説明

電気光学表示装置及びプロジェクター

【課題】透過型の液晶パネルを備え表示むらのさらなる抑制が可能な電気光学表示装置を
提供すること。
【解決手段】駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板
74a等を含んで構成される複数の要素基板の熱膨張係数の値のうち、いずれか1つが負
であり、いずれか1つが正である。この結果、負の熱膨張係数の要素基板内に温度分布等
に起因して発生した歪みによって通過光に与えられる位相差と、正の熱膨張係数の要素基
板内に温度分布等に起因して発生した歪みによって通過光に与えられる位相差とが互いに
相殺するように作用する。これにより、個々の要素基板73,72,74b,74aの歪
み低減によって達成される位相差低減の効果よりも複数の要素基板73,72,74b,
74a全体によって達成される位相差低減の効果を大きくすることができ、液晶ユニット
26a,26b,26cの表示むらをより抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成用の電気光学表示装置、及び、かかる電気光学表示装置を組み込ん
だプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等に組み込まれる電気光学表示装置として、透過型の液晶デバイスを構
成する駆動基板及び対向基板の外面(光入射及び射出側面)上に防塵基板をそれぞれ貼り
付けた構造のものがある。このうち、透過型の液晶デバイスで構成される電気光学表示装
置については、表示むら改善のために、平均線膨張係数の絶対値が10×10−7〔/℃
〕以下の低膨張ガラスを基板材料として用いることが提案されている(特許文献1参照)
。この場合、液晶デバイスを構成する液晶基板及び防塵基板のほか、画像表示のため液晶
デバイスを挟むように配置される一対の偏光板の支持基板も、低膨張ガラスで形成され、
歪みによる位相差の発生を抑えている。なお、この特許文献1では、低膨張ガラスの例と
して、7971チタン珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられている。
【0003】
その他、防塵基板及び液晶基板の材料として、石英ガラス、ネオセラム(登録商標)等
の熱伝導性の高い材料を用いるものも存在する(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−9455号公報
【特許文献2】特開2006−235010号公報
【特許文献3】特開2004−311955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、低膨張ガラスを用いても、一般に線膨張係数をゼロとすることはできず
、表示むらの改善にも限界があり、例えば石英ガラスで防塵基板等を形成した透過型の液
晶デバイスで、加熱に伴う応力によって発生する位相差により、顕著な表示むらが形成さ
れる場合もある。
【0006】
そこで、本発明は、透過型の液晶パネルを備えて構成され表示むらのさらなる抑制が可
能な電気光学表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、かかる電気光学表示装置を組み込んだプロジェクターを提供すること
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る電気光学表示装置は、液晶を挟んで対向させた
駆動基板及び対向基板を有する透過型の液晶パネルと、駆動基板の外側に配置される第1
透光性基板と、対向基板の外側に配置される第2透光性基板とを備える電気光学表示装置
であって、駆動基板、対向基板、第1透光性基板、及び第2透光性基板を少なくとも含む
複数の要素基板の熱膨張係数の値のうち、いずれか1つ以上が負であり、複数の要素基板
の熱膨張係数の値のうち、いずれか1つ以上が正である。
【0009】
上記電気光学表示装置では、駆動基板、対向基板、第1透光性基板、第2透光性基板等
を含んで構成される複数の要素基板の熱膨張係数の値のうち、いずれか1つ以上が負であ
り、いずれか1つ以上が正であるので、負の熱膨張係数の要素基板内に温度分布等に起因
して発生した歪みによって通過光に与えられる位相差と、正の熱膨張係数の要素基板内に
温度分布等に起因して発生した歪みによって通過光に与えられる位相差とが互いに相殺す
るように作用する。これにより、個々の要素基板の歪み低減によって達成される位相差低
減の効果よりも複数の要素基板全体によって達成される位相差低減の効果を大きくするこ
とができ、電気光学表示装置の表示むらをより抑制することができる。
【0010】
また、本発明の具体的な態様又は側面によれば、上記電気光学表示装置において、駆動
基板、対向基板、第1透光性基板、及び第2透光性基板の熱膨張係数を、それぞれα1、
α2、α3、及びα4とし、駆動基板、対向基板、第1透光性基板、及び第2透光性基板
の屈折率を、それぞれn1、n2、n3、及びn4とし、駆動基板、対向基板、第1透光
性基板、及び第2透光性基板の厚みの値を、それぞれd1、d2、d3、及びd4として
、屈折率n1〜n4が1.5±0.1の範囲内にあり、厚み及び熱膨張係数の積和演算値
d1・α1+d2・α2+d3・α3+d4・α4が、0±17×10−7〔mm/K〕
の範囲内にある。この場合、駆動基板、対向基板、第1透光性基板、及び第2透光性基板
の組み合わせを通過する光束に付与される意図しない位相差を、厚み、熱膨張係数等を考
慮して低減することができる。
【0011】
本発明の別の側面によれば、厚み及び熱膨張係数の積和演算値d1・α1+d2・α2
+d3・α3+d4・α4が、0±6×10−7〔mm/K〕の範囲内にある。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、屈折率、厚み、及び熱膨張係数の積和演算値n1・
d1・α1+n2・d2・α2+n3・d3・α3+n4・d4・α4が、0±24×1
−7〔mm/K〕の範囲内にある。この場合、駆動基板、対向基板、第1透光性基板、
及び第2透光性基板の組み合わせを通過する光束に付与される意図しない位相差を、屈折
率、厚み、及び熱膨張係数を考慮して低減することができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、屈折率、厚み、及び熱膨張係数の積和演算値n1・
d1・α1+n2・d2・α2+n3・d3・α3+n4・d4・α4が、0±9×10
−7〔mm/K〕の範囲内にある。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、駆動基板、対向基板、第1透光性基板、及び第2透
光性基板の熱膨張係数を、それぞれα1、α2、α3、及びα4とし、駆動基板、対向基
板、第1透光性基板、及び第2透光性基板の厚みの値を、それぞれd1、d2、d3、及
びd4として、それぞれの厚み及び熱膨張係数の積和演算値d1・α1、d2・α2、d
3・α3、及びd4・α4のうち、最大値と最小値の絶対値がそれぞれ3×10−7〔m
m/K〕以上である、この場合、正の大きな熱膨張係数の要素基板によって発生する位相
差と、負の大きな熱膨張係数の要素基板によって発生する位相差とを比較的簡単に均衡さ
せやすくなり、電気光学表示装置の表示むらの抑制が容易となる。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、駆動基板及び第1透光性基板の熱膨張係数の値のう
ち一方が負であり、他方が正であり、対向基板及び第2透光性基板の熱膨張係数の値のう
ち一方が負であり、他方が正である。この場合、液晶層の光射出側に配置される駆動基板
と第1透光性基板とによって生じる位相差が互いに打ち消し合い、液晶層の入射出側に配
置される対向基板と第2透光性基板とによって生じる位相差が互いに打ち消し合う。これ
により、表示むらの発生をより確実に抑制することができる。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクターは、上述した少なくとも1つ以
上の電気光学表示装置と、当該少なくとも1つ以上の電気光学表示装置を照明する照明装
置と、当該少なくとも1つ以上の電気光学表示装置によって形成された画像を投射する投
射レンズとを備える。なお、電気光学表示装置は、照明光を変調するための光変調装置と
して機能する。
【0017】
上記プロジェクターでは、上述した本願の電気光学表示装置を備えており、表示むらを
抑えた画像の形成が可能になり、高品位の画像を投射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の液晶ユニットを組み込んだプロジェクターの光学系を示す図である。
【図2】図1のプロジェクターを構成するB光用の液晶ライトバルブ等の拡大断面図である。
【図3】図2の液晶ライトバルブのうち液晶ユニットの側断面図である。
【図4】液晶ユニットを構成する複数の要素基板の材料、状態等を説明する斜視図である。
【図5】(A)は、駆動基板の動作状態を説明する図であり、(B)は、射出側防塵基板の動作状態を説明する図である。
【図6】(A)は、実施例の液晶ライトバルブによる投射像の照度分布を示したものであり、(B)は、比較例の液晶ライトバルブによる投射像の照度分布を示したものである。
【図7】液晶ユニットの第1の変形例を説明する斜視図である。
【図8】(A)は、液晶ユニットの第2の変形例を説明する斜視図であり、(B)は、液晶ユニットの第3の変形例を説明する斜視図である。
【図9】第2実施形態の液晶ユニットの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る第1実施形態の電気光学表示装置を組み込んだプロジェクターの
光学系の構成を説明する概念図である。
【0020】
本プロジェクター10は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源
光を青緑赤の3色に分離する色分離導光光学系23と、色分離導光光学系23から射出さ
れた各色の照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25から射出された各色
の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム
27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射する投射レンズ29とを備える。
【0021】
以上のプロジェクター10において、光源装置21は、光源ランプ21aと、凹レンズ
21bと、一対のレンズアレイ21d,21eと、偏光変換部材21gと、重畳レンズ2
1iとを備える。このうち、光源ランプ21aは、例えば高圧水銀ランプ等であるランプ
本体22aと、光源光を回収して前方に射出させる凹面鏡22bとを備える。凹レンズ2
1bは、光源ランプ21aからの光源光を平行化する役割を有するが、例えば凹面鏡22
bが放物面鏡である場合には、省略することもできる。一対のレンズアレイ21d,21
eは、マトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによっ
て凹レンズ21bを経た光源ランプ21aからの光源光を分割して個別に集光・発散させ
る。偏光変換部材21gは、詳細は省略するが、PBS及びミラーを組み込んだプリズム
アレイと、当該プリズムアレイに設けた射出面上に貼り付けられる波長板アレイとを備え
る。この偏光変換部材21gは、レンズアレイ21eから射出した光源光を例えば図1の
紙面に平行な第1偏光方向の直線偏光のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ
21iは、偏光変換部材21gを経た照明光を全体として適宜収束させることにより、光
変調部25に設けた各色の液晶ライトバルブ25a,25b,25cに対する重畳照明を
可能にする。つまり、両レンズアレイ21d,21eと重畳レンズ21iとを経た照明光
は、以下に詳述する色分離導光光学系23を通って、光変調部25に設けられた各色の液
晶ユニット26a,26b,26cを均一に重畳照明する。
【0022】
色分離導光光学系23は、第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bと、フィ
ールドレンズ23f,23g,23hと、反射ミラー23j,23m,23n,23oと
を備え、光源装置21とともに照明装置を構成する。ここで、第1ダイクロイックミラー
23aは、青緑赤の3色のうち例えば青(B)色を透過させ、緑(G)色及び赤(R)色
を反射する。また、第2ダイクロイックミラー23bは、入射した緑赤の2色のうち例え
ば緑(G)色を反射し、赤(R)色を透過させる。これにより、光源光を構成するB光、
G光、及びR光は、第1、第2、及び第3光路OP1,OP2,OP3にそれぞれ導かれ
、異なる照明対象にそれぞれ入射する。具体的に説明すると、光源装置21からの光源光
は、反射ミラー23jで光路を折り曲げられて第1ダイクロイックミラー23aに入射す
る。この第1ダイクロイックミラー23aを通過したB光は、反射ミラー23mを経て、
液晶ライトバルブ25aに対向するフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイ
クロイックミラー23aで反射されて第2ダイクロイックミラー23bでさらに反射され
たG光は、液晶ライトバルブ25bに対向するフィールドレンズ23gに入射する。さら
に、第2ダイクロイックミラー23bを通過したR光は、レンズLL1,LL2及び反射
ミラー23n,23oを経て、液晶ライトバルブ25cに対向するフィールドレンズ23
hに入射する。なお、各フィールドレンズ23f,23g,23hは、各液晶ライトバル
ブ25a,25b,25cに入射する照明光の入射角度を調節する機能を有する。レンズ
LL1,LL2及びフィールドレンズ23hは、リレー光学系を構成している。このリレ
ー光学系は、第1レンズLL1の像を、第2レンズLL2を介してほぼそのままフィール
ドレンズ23hに伝達する機能を有する。
【0023】
光変調部25は、上記した各色用の3つの光路OP1,OP2,OP3に対応して、3
つの液晶ライトバルブ25a,25b,25cを備える。各液晶ライトバルブ25a,2
5b,25cは、入射した照明光の強度の空間分布を変調する非発光型の光変調装置であ
る。
【0024】
ここで、第1光路OP1に配置されたB色用の液晶ライトバルブ25aは、B光によっ
て照明される液晶ユニット26aと、液晶ユニット26aの入射側に配置される入射側偏
光板としての第1偏光板25eと、液晶ユニット26aの射出側に配置される射出側偏光
板としての第2偏光板25hとを備える。この液晶ライトバルブ25aは、色分離導光光
学系23に設けたフィールドレンズ23fの後段に配置されており、第1ダイクロイック
ミラー23aを透過したB光によって均一に照明される。液晶ライトバルブ25aにおい
て、第1偏光板25eは、入射したB光について、紙面に平行な第1偏光方向の直線偏光
を選択的に透過させて液晶ユニット26aに導く。ここで、第1偏光方向は、クロスダイ
クロイックプリズム27の第1ダイクロミラー27aと第2ダイクロミラー27bとの交
線に垂直な方向(後述するX軸方向)を意味する。液晶ユニット26aは、電気光学表示
装置を具体化したものであり、これに入射した第1偏光方向の直線偏光を画像信号に応じ
て例えば部分的に紙面に垂直な第2偏光方向の直線偏光に変換する。第2偏光方向は、上
記交線に平行な方向(後述するY軸方向)を意味する。第2偏光板25hは、液晶ユニッ
ト26aを経て変調された第2偏光方向の直線偏光のみを選択的に透過させる。
【0025】
第2光路OP2に配置されたG色用の液晶ライトバルブ25bは、G光によって照明さ
れる液晶ユニット26bと、液晶ユニット26bの入射側に配置される入射側偏光板とし
ての第1偏光板25fと、液晶ユニット26aの射出側に配置される射出側偏光板として
の第2偏光板25iと、最も射出側に配置される1/2波長板25pとを備える。この液
晶ライトバルブ25bは、色分離導光光学系23に設けたフィールドレンズ23gの後段
に配置されており、第2ダイクロイックミラー23bで反射されたG光によって均一に照
明される。液晶ライトバルブ25bにおいて、第1偏光板25fは、入射したG光につい
て、紙面に平行な第1偏光方向の直線偏光を選択的に透過させて液晶ユニット26bに導
く。液晶ユニット26bは、電気光学表示装置を具体化したものであり、これに入射した
第1偏光方向の直線偏光を画像信号に応じて例えば部分的に紙面に垂直な第2偏光方向の
直線偏光に変換する。第2偏光板25iは、液晶ユニット26bを経て変調された第2偏
光方向の直線偏光のみを選択的に透過させる。1/2波長板25pは、第2偏光板25i
を透過した第2偏光方向の直線偏光の偏光方向を90°回転させて紙面に平行な第1偏光
方向の直線偏光に切り換える。
【0026】
第3光路OP3に配置されたR色用の液晶ライトバルブ25cは、R光によって照明さ
れる液晶ユニット26cと、液晶ユニット26cの入射側に配置される入射側偏光板とし
ての第1偏光板25gと、液晶ユニット26aの射出側に配置される射出側偏光板として
の第2偏光板25jとを備える。この液晶ライトバルブ25cは、色分離導光光学系23
に設けたフィールドレンズ23hの後段に配置されており、第2ダイクロイックミラー2
3bを透過したR光によって均一に照明される。液晶ライトバルブ25cにおいて、第1
偏光板25gは、入射したR光について、紙面に平行な第1偏光方向の直線偏光を選択的
に透過させて液晶ユニット26cに導く。液晶ユニット26cは、電気光学表示装置を具
体化したものであり、これに入射した第1偏光方向の直線偏光を画像信号に応じて例えば
部分的に紙面に垂直な第2偏光方向の直線偏光に変換する。第2偏光板25jは、液晶ユ
ニット26cを経て変調された第2偏光方向の直線偏光のみを選択的に透過させる。
【0027】
図2は、図1に示すプロジェクター10の光変調部25を構成するB光用の液晶ライト
バルブ25a等の詳細な構造を説明する拡大断面図であり、図3は、図2の液晶ライトバ
ルブ25a等を構成する液晶ユニット26a等の構造を説明する断面図である。
【0028】
図2に示すように、液晶ライトバルブ25aにおいて、一対の偏光板25e,25hは
、液晶ユニット26aを挟んで対向配置され、クロスニコルを構成する。なお、同図にお
いて、Z軸方向は、システム光軸SAが延びる方向に対応する。また、X方向は、クロス
ダイクロイックプリズム27中の第1及び第2ダイクロミラー27a,27bの交線及び
Z軸に垂直な方向に相当し、Y方向は、第1及び第2ダイクロミラー27a,27bの交
線に平行な方向に相当するものとする。
【0029】
液晶ライトバルブ25aにおいて、入射側に設けた第1偏光板25eは、入射出面の法
線がそれぞれシステム光軸SA、すなわちZ軸に平行になっている。第1偏光板25eは
、例えば石英ガラス製の透光性基板61a上に樹脂製の偏光フィルム61bを貼り付けた
ものであり、偏光フィルム61bは、X方向に沿った第1偏光方向のP偏光のみを通過さ
せる。つまり、第1偏光板25eの吸収軸はY方向に延びている。なお、透光性基板61
aは、偏光フィルム61bの外側に配置されており、偏光フィルム61bを通過した後の
光束の状態に影響を与えないようになっている。
【0030】
一方、射出側に設けた第2偏光板25hは、入射出面の法線がそれぞれシステム光軸S
A、すなわちZ軸に平行になっている。第2偏光板25hは、例えば石英ガラス製の透光
性基板63a上に樹脂製の偏光フィルム63bを貼り付けたものであり、偏光フィルム6
3bは、Y方向に沿った第2偏光方向のS偏光のみを通過させ、P偏光(非変調光)を吸
収等により排除する。つまり、第2偏光板25hの吸収軸はX方向に延びている。なお、
透光性基板63aは、偏光フィルム63bの外側に配置されており、偏光フィルム63b
を通過する前の光束の状態に影響を与えないようになっている。
【0031】
第1及び第2偏光板25e,25hの間に挟まれた液晶ユニット26aは、第1偏光板
25e側から入射した入射光LIを入力信号に応じて画素単位で部分的にP偏光からS偏
光に変化させ、変化後の変調光を射出光LOとして第2偏光板25h側に射出する。この
ように、液晶ライトバルブ25aから射出される変調光は、後述するクロスダイクロイッ
クプリズム27での光合成に適するS偏光状態の射出光LOとなっている。
【0032】
液晶パネル80は、例えば垂直配向モードで動作する液晶(すなわち垂直配向型の液晶
)で構成される液晶層71を挟んで、入射側に対向基板72と、射出側に駆動基板73と
を備える。これらの対向基板72及び駆動基板73は、ともに平板状であり、第1偏光板
25e等と同様に、入射出面の法線がシステム光軸SA、すなわちZ軸に平行になるよう
に配置されている。液晶パネル80の光入射側すなわち対向基板72の外側には、第2透
光性基板である入射側防塵基板74aが貼り付けられており、液晶パネル80の光射出側
すなわち駆動基板73の外側には、第1透光性基板である射出側防塵基板74bが貼り付
けられている。これらの防塵基板74a,74bは、ともに平板状であり、第1偏光板2
5e等と同様に、入射出面の法線がシステム光軸SA、すなわちZ軸に平行になるように
配置されている。
【0033】
図3に示すように、電気光学表示装置である液晶ユニット26aにおいて、液晶層71
を間に挟んで固定された一対の基板72,73と、これらの外側に貼り付けられた一対の
防塵基板74a,74bとは、窓81aを設けたフレーム81中に保持されている。この
うち駆動基板73の端部には、フレキシブルケーブル82が接続され、外部からの電気信
号を入力できるようになっている。液晶ユニット26aのうち、一対の防塵基板74a,
74bを除いた部分は、本体としての液晶パネル80となっている。
【0034】
図2に戻って、液晶パネル80において、対向基板72の液晶層71側の面上には、透
明な共通電極75が設けられており、その上には、例えば配向膜76が形成されている。
一方、駆動基板73の液晶層71側の面上には、マトリクス状に配置された表示用電極と
しての複数の透明画素電極77と、各透明画素電極77に電気的に接続可能な配線(不図
示)と、透明画素電極77及び配線の間に介在する薄膜トランジスタ(不図示)とが設け
られており、その上には、例えば配向膜78が形成されている。液晶パネル80は、入射
光LIの偏光状態を入力信号に応じて変調するための光能動素子として機能する。
【0035】
この液晶パネル80を構成する各画素部分PPは、1つの透明画素電極77と、共通電
極75の一部と、両配向膜76,78の一部と、液晶層71の一部とを含む。なお、対向
基板72と共通電極75との間には、各画素部分PPを区分するように格子状のブラック
マトリクス79が設けられている。
【0036】
以上の液晶パネル80において、配向膜76,78は、電界の存在しない状態で、液晶
層71を構成する液晶性化合物をシステム光軸SA、すなわちZ軸に略平行な状態に配列
させる役割を有する。ただし、Z軸に沿った方向に適度な電界を形成した場合、液晶層7
1を構成する液晶性化合物は、システム光軸SA、すなわちZ軸に略平行な状態から例え
ばXY面内の所定方位に向けて傾けられる。これにより、一対の偏光板25e,25hの
間に挟まれた液晶層71をノーマリブラックモードで動作させることになり、電圧非印加
のオフ状態で最大遮光状態(光オフ状態)を確保することができる。つまり、液晶パネル
80すなわち液晶ユニット26aは、光オフ状態の黒表示時に、P偏光をそのまま変化さ
せないで通過させる。また、液晶パネル80すなわち液晶ユニット26aは、光オン状態
の白表示時に、P偏光をS偏光に切替えて通過させる。
【0037】
図4は、液晶ユニット26aを構成する光透過性を有する複数の要素基板、具体的には
、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板74aの材
料、状態等を説明する斜視図である。この場合、駆動基板73及び射出側防塵基板74b
の熱膨張係数の値のうち一方が負となり、他方が正となるように、材料が選択される。熱
膨張係数が負の材料としては、例えば平均線膨張係数=−5.5×10−7〔/K〕のネ
オセラム(登録商標)N−0等が存在し、熱膨張係数が正の材料としては、例えば平均線
膨張係数=5.5×10−7〔/K〕の石英ガラス、平均線膨張係数=0.3×10−7
〔/K〕のコーニング社の7971チタンケイ酸塩ガラス、平均線膨張係数=32.5×
10−7/Kのパイレックス(登録商標)、平均線膨張係数=7.5×10−7〔/K〕
のコーニング社の7913 95%ケイ酸ガラス、平均線膨張係数=53×10−7〔/
K〕のサファイアガラス、平均線膨張係数=93×10−7〔/K〕の白板ガラス等が存
在する。具体的には、駆動基板73は、熱膨張係数が正の石英ガラス等で形成され、射出
側防塵基板74bは、熱膨張係数が負のネオセラム(登録商標)等で形成される。また、
対向基板72は、熱膨張係数が正の石英ガラス等で形成され、入射側防塵基板74aは、
熱膨張係数が負のネオセラム(登録商標)等で形成される。
【0038】
図5(A)は、駆動基板73の動作状態を説明する図である。液晶ライトバルブ25a
に照明光を照射し表示動作を行わせていると、駆動基板73の例えば中央部CAが加熱さ
れて、中央部CAの温度が周辺部PAの温度よりも相対的に高くなる。この場合、熱膨張
係数が正の駆動基板73については、その中央部CAが膨張する結果として、周辺部PA
には、圧縮の歪みが発生し、この歪みに起因する複屈折が形成される。この複屈折による
遅相軸AR1は、中心から延びる半径方向に垂直な周方向に略沿うものとなり、特に駆動
基板73の4隅の部分では、対角方向に垂直な方向となっている。
【0039】
一方、図5(B)は、射出側防塵基板74bの動作状態を説明する図である。液晶ライ
トバルブ25aに照明光を照射し表示動作を行わせていると、駆動基板73に隣接する射
出側防塵基板74bも、例えば中央部CAが加熱されて、中央部CAの温度が周辺部PA
の温度よりも相対的に高くなる。この場合、熱膨張係数が負の射出側防塵基板74bにつ
いては、その中央部CAが収縮する結果として、周辺部PAには、引っ張りの歪みが発生
し、この歪みに起因する複屈折が形成される。この複屈折による遅相軸AR2は、中心か
ら延びる半径方向に略沿うものとなり、特に駆動基板73の4隅に対応する射出側防塵基
板74bの4隅部分では、対角方向なっている。
【0040】
同様にして、表示動作中、図5(A)に示す対向基板72も、例えば中央部CAが加熱
されて、中央部CAの温度が周辺部PAの温度よりも相対的に高くなる。この場合、熱膨
張係数が正の対向基板72については、その中央部CAが膨張する結果として、周辺部P
Aには、圧縮の歪みが発生し、この歪みに起因する複屈折が形成される。この複屈折によ
る遅相軸AR1は、中心から延びる半径方向に垂直な周方向に略沿うものとなり、特に駆
動基板73の4隅に対応する対向基板72の4隅部分では、対角方向に垂直な方向となっ
ている。
【0041】
また、表示動作中、図5(B)に示す入射側防塵基板74aも、例えば中央部CAが加
熱されて、中央部CAの温度が周辺部PAの温度よりも相対的に高くなる。この場合、熱
膨張係数が負の入射側防塵基板74aについては、その中央部CAが収縮する結果として
、周辺部PAには、引っ張りの歪みが発生し、この歪みに起因する複屈折が形成される。
この複屈折による遅相軸AR2は、中心から延びる半径方向に略沿うものとなり、特に対
向基板72の4隅に対応する入射側防塵基板74aの4隅部分では、対角方向となってい
る。
【0042】
ここで、駆動基板73の遅相軸AR1と射出側防塵基板74bの遅相軸AR2とは、略
直交しており、駆動基板73によって生じた意図しない位相差が射出側防塵基板74bに
よって生じた意図しない位相差によって相殺される傾向が生じる。特に、駆動基板73に
よって生じる位相差の大きさと、射出側防塵基板74bによって生じる位相差の大きさと
を略一致させることにより、駆動基板73及び射出側防塵基板74bを通過する際に偏光
が乱れる現象を低減でき、液晶層71から所期の状態の偏光を射出させることができる。
これにより、液晶ユニット26aによる位相変調を適正なものとすることができ、液晶ラ
イトバルブ25aから射出されるB色の変調光を精密な照度分布とすることができる。特
に、液晶ライトバルブ25aが光オフ状態となった黒表示時に、画像の中央及び周辺のい
ずれでも光漏れを低減できるので、液晶ライトバルブ25aの表示むらを低減することが
できる。
【0043】
同様に、対向基板72の遅相軸AR1と入射側防塵基板74aの遅相軸AR2とは、略
直交しており、入射側防塵基板74aによって生じた意図しない位相差が対向基板72に
よって生じた意図しない位相差によって相殺される傾向が生じる。特に、対向基板72に
よって生じる位相差の大きさと、入射側防塵基板74aによって生じる位相差の大きさと
を略一致させることにより、対向基板72及び入射側防塵基板74aを通過する際に偏光
が乱れる現象を低減でき、液晶層71に所期の状態の偏光を入射させることができる。こ
れにより、液晶ユニット26aによる位相変調を適正なものとすることができ、液晶ライ
トバルブ25aから射出されるB色の変調光を精密な照度分布とすることができる。特に
、液晶ライトバルブ25aが光オフ状態となった黒表示時に、画像の中央及び周辺のいず
れでも光漏れを低減できるので、液晶ライトバルブ25aの表示むらを低減することがで
きる。
【0044】
以上は、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板7
4aの中央部CAの温度が上昇する場合であったが、これらの要素基板73,72,74
b,74aに共通の温度分布が形成される限り、中央部CAが高温になる必要はない。
【0045】
また、以上では、駆動基板73及び射出側防塵基板74b間で位相差を相殺し、或いは
対向基板72及び入射側防塵基板74a間で位相差を相殺する場合について説明したが、
液晶ユニット26aを構成する全4枚の要素基板、具体的には駆動基板73、対向基板7
2、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板74aのバランスによって位相差を相殺
することによっても、液晶ライトバルブ25aの表示むらを低減することができる。
【0046】
すなわち、液晶ライトバルブ25aが光オフ状態となった黒表示時において、液晶層7
1は、変調光をそのまま通過させるだけであるので、駆動基板73、対向基板72、射出
側防塵基板74b、及び入射側防塵基板74aの全体で生じる位相差を低減すれば、液晶
ライトバルブ25aの表示むらを低減することになる。
【0047】
図6(A)は、後に詳述する実施例1の液晶ライトバルブ25a等が遮光状態にある時
におけるスクリーン上の照度分布を示したものであり、図6(B)は、すべての要素基板
73,72,74b,74aを石英製としている比較例の液晶ライトバルブが遮光状態に
ある時におけるスクリーン上の照度分布を示したものである。両図からも明らかなように
、実施例1の液晶ライトバルブ25a等では、比較的平坦な照度分布が得られており、表
示むらが比較的少ないといえるが、比較例の液晶ライトバルブでは、対角方向等に偏った
照度分布が発生しており、表示むらが比較的多いといえる。
【0048】
以下、実施例1の具体的な仕様について説明する。この実施例1では、液晶ライトバル
ブ25a等を構成する駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側
防塵基板74aの屈折率、厚み、及び熱膨張係数を適宜設定して表示むらの評価を行った
。下記の表1は、実施例1及び比較例のデータを対比したものである。なお、比較例は、
すべての要素基板73,72,74b,74aを石英製としている。その他の実施例2〜
8については、後述する。
【表1】

上記表1から明らかなように、実施例1では、表示むらが問題とならない程度に抑えられ
ていることが分かる。
【0049】
駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板74aの全
体で生じる位相差を低減するためには、まず、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵
基板74b、及び入射側防塵基板74aの熱膨張係数を、それぞれα1、α2、α3、及
びα4とし、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板
74aの屈折率を、それぞれn1、n2、n3、及びn4とし、駆動基板73、対向基板
72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板74aの厚みの値を、それぞれd1、
d2、d3、及びd4であるものとする。ここで、熱膨張係数としては、これら4つの要
素基板73,72,74b,74aの材料の平均線膨張係数を用いることができる。そし
て、屈折率n1〜n4が1.5±0.1の範囲内となるようにする。さらに、これら4つ
の要素基板73,72,74b,74aの厚み及び熱膨張係数に関する積和演算値C1を
求め、
C1=d1・α1+d2・α2+d3・α3+d4・α4 … (1)
の値が、0±17×10−7〔mm/K〕の範囲内となるようにする。この場合、4つの
要素基板73,72,74b,74aを通過する光束に付与される意図しない位相差を、
厚みや熱膨張係数を考慮して低減することができる。
【0050】
さらに、4つの要素基板73,72,74b,74aの厚み及び熱膨張係数に関する積
和演算値C1を求め、
C1=d1・α1+d2・α2+d3・α3+d4・α4 … (1)
の値が、0±6×10−7〔mm/K〕の範囲内となるようにすることで、より位相差の
発生を抑えることができる。
【0051】
以上では、4つの要素基板73,72,74b,74aの屈折率を加味した範囲限定を
行っていないが、屈折率を加味することでより厳密な範囲限定が可能になる。すなわち、
4つの要素基板73,72,74b,74aの屈折率、厚み、及び熱膨張係数の積和演算
値C2を求め、
C2=n1・d1・α1+n2・d2・α2
+n3・d3・α3+n4・d4・α4 … (2)
の値が、0±24×10−7〔mm/K〕の範囲内となるようにする。この場合、4つの
要素基板73,72,74b,74aを通過する光束に付与される意図しない位相差を、
屈折率、厚み、及び熱膨張係数を考慮して確実に低減することができる。
【0052】
さらに、4つの要素基板73,72,74b,74aの屈折率、厚み、及び熱膨張係数
に関する積和演算値C2を求め、
C2=n1・d1・α1+n2・d2・α2
+n3・d3・α3+n4・d4・α4 … (2)
の値が、0±9×10−7〔mm/K〕の範囲内となるようにすることで、より位相差の
発生を抑えることができる。
【0053】
液晶ユニット26aに組み込まれる、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板7
4b、入射側防塵基板74aの熱膨張係数を、それぞれα1、α2、α3、及びα4とし
、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、入射側防塵基板74aの厚みの
値を、それぞれd1、d2、d3、及びd4として、それぞれの厚み及び熱膨張係数の積
和演算値d1・α1、d2・α2、d3・α3およびd4・α4のうち、最大値の絶対値
と最小値の絶対値とがそれぞれ3×10−7〔mm/K〕以上であるような場合、それら
の要素基板それぞれでは通過する光束に位相差を与えるが、駆動基板73、対向基板72
、射出側防塵基板74b、入射側防塵基板74aを少なくとも含む複数の要素基板の熱膨
張係数の値のうち、いずれか1つ以上が負であり、前記複数の要素基板の熱膨張係数の値
のうち、いずれか1つ以上が正とすることによって、当該要素基板を通過する光束に付与
される位相差を低減することができる。
またその場合、液晶ユニット26aに組み込まれる、駆動基板73、対向基板72、射
出側防塵基板74b、入射側防塵基板74a等の要素基板が4枚以上である場合において
、これらの要素基板に関して厚み及び熱膨張係数の積を相互に比較した場合に、正の最大
値がPpであり、負の最小値がPmであるときに、最大値差DMが下記条件
DM=|Pp|−|Pm|≦8×10−7〔mm/K〕 … (3)
を満たすようにすることによっても、表示むらの抑制効果が得られる。つまり、最大値差
DMを比較的近い値に設定することで、正の最大値Ppを示す要素基板によって形成され
る位相差量と、負の最小値Pmを示す要素基板によって形成される位相差量とを比較的均
衡させることができ、表示むらの発生を抑制することができる。
【0054】
図7は、第1の変形例を説明する斜視図である。この液晶ユニット26aにおいて、駆
動基板73及び射出側防塵基板74bの材料は、熱膨張係数が負となるように選択され、
対向基板72及び入射側防塵基板74aの材料は、熱膨張係数が正となるように選択され
る。この場合も、上述の積和演算値C1を、0±17×10−7〔mm/K〕の範囲内、
好ましくは0±6×10−7〔mm/K〕の範囲内となるようにすることで、4つの要素
基板73,72,74b,74aを通過する光束に付与される位相差を、厚みや熱膨張係
数を考慮して低減することができる。また、上述の積和演算値C2を、0±24×10
〔mm/K〕の範囲内、好ましくは0±9×10−7〔mm/K〕の範囲内となるよう
にすることで、4つの要素基板73,72,74b,74aを通過する光束に付与される
位相差を、屈折率、厚み、及び熱膨張係数を考慮して確実に低減することができる。
【0055】
なお、以上の説明では、駆動基板73及び射出側防塵基板74bの熱膨張係数が負とな
り対向基板72及び入射側防塵基板74aの熱膨張係数が正となるようにしたが、駆動基
板73及び射出側防塵基板74bの熱膨張係数が正となり対向基板72及び入射側防塵基
板74aの熱膨張係数が負となるようにすることもできる。さらに、駆動基板73及び対
向基板72の熱膨張係数が負となり射出側防塵基板74b及び入射側防塵基板74aの熱
膨張係数が正となる組み合わせも可能である。つまり、いずれか2枚の要素基板の熱膨張
係数が負で残りの2枚の要素基板の熱膨張係数が正であるものは、図4に例示する駆動基
板73及び対向基板72の熱膨張係数が正となる場合を除いて、第1の変形例に含まれる

【0056】
図8(A)は、第2の変形例を説明する斜視図である。この液晶ユニット26aにおい
て、入射側防塵基板74aの材料は、熱膨張係数が負となるように選択され、残りの駆動
基板73、対向基板72、及び射出側防塵基板74bの材料は、熱膨張係数が正となるよ
うに選択される。この場合も、上述の積和演算値C1を、0±17×10−7〔mm/K
〕の範囲内、好ましくは0±6×10−7〔mm/K〕の範囲内となるようにすることで
、4つの要素基板73,72,74b,74aを通過する光束に付与される位相差を、厚
みや熱膨張係数を考慮して低減することができる。また、上述の積和演算値C2を、0±
24×10−7〔mm/K〕の範囲内、好ましくは0±9×10−7〔mm/K〕の範囲
内となるようにすることで、4つの要素基板73,72,74b,74aを通過する光束
に付与される位相差を、屈折率、厚み、及び熱膨張係数を考慮して確実に低減することが
できる。
【0057】
なお、以上の変形例では、入射側防塵基板74aの熱膨張係数が負で、残りの基板73
,72,74bの熱膨張係数が正となるようにしたが、駆動基板73、対向基板72、及
び射出側防塵基板74bのいずれか1つの熱膨張係数が負で、入射側防塵基板74aを含
む残りの基板の熱膨張係数が正となるようにすることもでき、これも第2の変形例に含ま
れる。つまり、いずれか1枚の要素基板の熱膨張係数が負で残りの3枚の要素基板の熱膨
張係数が正の場合は、第2の変形例に含まれる。
【0058】
図8(B)は、第3の変形例を説明する斜視図である。この液晶ユニット26aにおい
て、入射側防塵基板74aの材料は、熱膨張係数が正となるように選択され、残りの駆動
基板73、対向基板72、及び射出側防塵基板74bの材料は、熱膨張係数が負となるよ
うに選択される。この場合も、上述の積和演算値C1を、0±17×10−7〔mm/K
〕の範囲内、好ましくは0±6×10−7〔mm/K〕の範囲内となるようにすることで
、4つの要素基板73,72,74b,74aを通過する光束に付与される位相差を、厚
みや熱膨張係数を考慮して低減することができる。また、上述の積和演算値C2を、0±
24×10−7〔mm/K〕の範囲内、好ましくは0±9×10−7〔mm/K〕の範囲
内となるようにすることで、4つの要素基板73,72,74b,74aを通過する光束
に付与される位相差を、屈折率、厚み、及び熱膨張係数を考慮して確実に低減することが
できる。
【0059】
なお、以上の変形例では、入射側防塵基板74aの熱膨張係数が正で、残りの基板73
,72,74bの熱膨張係数が負となるようにしたが、駆動基板73、対向基板72、及
び射出側防塵基板74bのいずれか1つの熱膨張係数が正で、入射側防塵基板74aを含
む残りの基板の熱膨張係数が負となるようにすることもでき、これも第3の変形例に含ま
れる。つまり、いずれか3枚の要素基板の熱膨張係数が負で残りの1枚の要素基板の熱膨
張係数が正の場合は、第3の変形例に含まれる。
【0060】
以上において、液晶ユニット26aは、4枚の要素基板、すなわち駆動基板73、対向
基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板74aを含むものとしたが、液晶
ユニット26aは、5枚以上の積層された要素基板を含むものとできる。この場合も、上
述の積和演算値C1又は同様の以下に説明する積和演算値C1´を、0±17×10−7
〔mm/K〕の範囲内、好ましくは0±6×10−7〔mm/K〕の範囲内となるように
する。さらに、上述の積和演算値C2又は同様の以下に説明する積和演算値C2´を、0
±24×10−7〔mm/K〕の範囲内、好ましくは0±9×10−7〔mm/K〕の範
囲内となるようにする。以上において、積和演算値C1´は、以下の式(3)により与え
られる。
C1´=Σ(dk・αk) … (3)
ここで、 dkは各要素基板の厚み、
αkは各要素基板の熱膨張係数、
kは1からm(mは要素基板の総数)まで増加する自然数
また、積和演算値C2´は、以下の式(4)により与えられる。
C2´=Σ(nk・dk・αk) … (4)
ここで、nkは各要素基板の屈折率、
dkは各要素基板の厚み、
αkは各要素基板の熱膨張係数、
kは1からm(mは要素基板の総数)まで増加する自然数
【0061】
以下、第1〜第3の変形例を具体化した実施例2〜8の仕様について説明する。前出の
表1に記載のように、実施例2〜8のうち、実施例2〜5、8は図6等に例示する第1の
変形例に対応し、実施例6は図7(A)等に例示する第2の変形例に対応し、実施例7は
図7(B)等に例示する第3の変形例に対応する。同表から明らかなように、実施例2〜
8では、表示むらが問題とならない程度に抑えられていることが分かる。特に、実施例8
の場合、石英ガラス等に比較して熱膨張係数がかなり大きなパイレックス(登録商標)を
用いているが、表示むらは、許容範囲内に収まっている。
【0062】
以上では、図2等に基づいてB光用の液晶ライトバルブ25aの構造及び機能を説明し
たが、R光用の液晶ライトバルブ25cも、B光用の液晶ライトバルブ25aと同様の構
造及び機能を有する。つまり、図2等に示すように、第1偏光板25gによって、P偏光
のみを選択的に透過させ、液晶ユニット26cの変調によってP偏光からS偏光に変化さ
せ、偏光板25jによって、液晶ライトバルブ25cから射出される変調光をS偏光状態
の射出光LOとすることができる。この際、液晶ライトバルブ25cの液晶ユニット26
cを構成する光透過性の要素基板73,72,74b,74aの厚み、熱膨張係数等を適
宜設定することで、意図しない位相差の発生を防止し、表示むらの発生を抑制することが
できる。
【0063】
G光用の液晶ライトバルブ25bは、図2等に示すように、B光用の液晶ライトバルブ
25a等と基本的に同様の構造及び機能を有するが、光射出側に、1/2波長板25pを
追加した点が異なっている。これにより、偏光板25fによって、P偏光のみを選択的に
透過させ、液晶ユニット26bの変調によってP偏光からS偏光に変化させる。さらに、
偏光板25iによって、S偏光状態の変調光のみを透過させ、1/2波長板25pによっ
て、液晶ライトバルブ25bから射出される変調光をP偏光状態の射出光LOとすること
ができる。この際、液晶ライトバルブ25bの液晶ユニット26bを構成する光透過性の
要素基板73,72,74b,74aの厚み、熱膨張係数等を適宜設定することで、意図
しない位相差の発生を防止し、表示むらの発生を抑制することができる。
【0064】
図1に戻って、クロスダイクロイックプリズム27は、光合成光学系に相当するもので
あり、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を
貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対のダイクロミラー27a,27bが形成さ
れている。両ダイクロミラー27a,27bは、特性が異なる誘電体多層膜で形成されて
いる。すなわち、一方の第1ダイクロミラー27aはB光を反射し、他方の第2ダイクロ
ミラー27bはR光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム27は、液晶ライト
バルブ25aからの変調後のB光を第1ダイクロミラー27aで反射して進行方向右側に
射出させ、液晶ライトバルブ25bからの変調後のG光を第1及び第2ダイクロミラー2
7a,27bを介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ25cからの変調後のR光を第
2ダイクロミラー27bで反射して進行方向左側に射出させる。なお、既に説明したよう
に、第1及び第2ダイクロミラー27a,27bは、紙面に垂直なS偏光状態のB及びR
光を反射し、両ダイクロミラー27a,27bは、紙面に平行なP偏光状態のG光を透過
させる。これにより、クロスダイクロイックプリズム27におけるBGR光の合成効率を
高めることができ、色ムラの発生を抑えることができる。
【0065】
投射レンズ29は、投射部又は投射光学系として、クロスダイクロイックプリズム27
で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(不図示)上に投射する。つまり
、各液晶ユニット26a〜26cに入力された駆動信号或いは画像信号に対応する所望の
倍率のカラー動画やカラー静止画がスクリーン上に投射される。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本実施形態のプロジェクター10によれば、これに組
み込まれた電気光学表示装置すなわち液晶ユニット26a,26b,26cにおいて、駆
動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入射側防塵基板74a等を含ん
で構成される複数の要素基板の熱膨張係数の値のうち、いずれか1つ以上が負であり、い
ずれか1つ以上が正である。この結果、負の熱膨張係数の要素基板内に温度分布等に起因
して発生した歪みによって通過光に与えられる位相差と、正の熱膨張係数の要素基板内に
温度分布等に起因して発生した歪みによって通過光に与えられる位相差とが互いに相殺す
るように作用する。これにより、個々の要素基板73,72,74b,74aの歪み低減
によって達成される位相差低減の効果よりも複数の要素基板73,72,74b,74a
全体によって達成される位相差低減の効果を大きくすることができ、液晶ユニット26a
,26b,26cの表示むらをより抑制することができる。
【0067】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る第2実施形態のプロジェクターについて説明する。第2実施形態の
プロジェクターは、第1実施形態のプロジェクターを変形したものであり、特に説明しな
い部分は、第1実施形態と同様である。
【0068】
図9は、第2実施形態のプロジェクターに組み込まれる液晶ライトバルブ25a等の構
造を説明する拡大断面図である。この場合、光入射側の対向基板272にマイクロレンズ
アレイが組み込まれている。具体的に説明すると、対向基板272は、平板基板72aと
、レンズ基板72bとを備え、比較的屈折率が高い両基板72a,72bの間に比較的屈
折率が低い接着剤層72cを挟んだ構造を有している。これにより、対向基板272内に
、画素部分PPに対応する所定パターンで2次元的に配列された多数の要素レンズELで
構成されるマイクロレンズアレイを形成することができる。ここで、接着剤層72cは、
例えばアクリル樹脂製、シリコン樹脂製等とする。なお、対向基板272の光入射側の部
分にマイクロレンズアレイを設けることにより、入射光LIを各画素部分PPに対応する
要素レンズELによって分割するとともに各画素部分PPに集めることができる。つまり
、入射光LIをブラックマトリクス79を避けて画素部分PPに入射させることができ、
液晶パネル80での入射光LIの利用効率を高めることができる。
【0069】
本実施形態においても、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び入
射側防塵基板74a等を含んで構成される複数の要素基板の熱膨張係数の値のうち、いず
れか少なくとも1つが負となっており、これら熱膨張係数の値のうちいずれか少なくとも
1つが正となっている。ここで、対向基板272を構成する平板基板72a及びレンズ基
板72bの熱膨張係数は、変形や歪み回避等の観点で、略一致させることが望ましい。つ
まり、平板基板72aやレンズ基板72bの材料は、正又は負いずれの熱膨張係数を有す
るものであってもよいが、共通の材料とすることが望ましい。
【0070】
以下、具体的な実施例について説明する。下記の表2は、実施例9のデータをまとめた
ものである。
【表2】

上記表2から明らかなように、実施例9についても、表示むらが問題とならない程度に抑
えられていることが分かる。
【0071】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能で
あり、例えば次のような変形も可能である。
【0072】
すなわち、上記実施形態では、液晶ユニット26a,26b,26cにおいて、液晶パ
ネル80の外側に第1透光性基板としての射出側防塵基板74bと第2透光性基板として
の入射側防塵基板74aとを配置しているが、液晶ユニットを構成する第1及び第2透光
性基板として防塵基板74b,74a以外のものを配置することができる。具体的には、
防塵基板74b,74aに代えてカバーガラス、タッチパネル基板等を配置することがで
き、これらの要素基板の熱膨張率、厚み等を調整することで、液晶ユニット(例えば車載
用の直視型表示装置)による表示むらを低減することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、液晶パネル80として、垂直配向型の液晶層71を用いてい
るが、ツイストネマティック型の液晶層71を用いるものとできる。
【0074】
また、上記実施形態では、駆動基板73、対向基板72、射出側防塵基板74b、及び
入射側防塵基板74aの形状を長方形としているが、これらの要素基板73,72,74
b,74aが正方形その他の形状を有していても、同様の効果が得られる。
【0075】
また、上記実施形態では、液晶ユニット26aに組み込まれる、駆動基板73、対向基
板72、射出側防塵基板74b、入射側防塵基板74a等の要素基板が4枚以上である場
合において、これらの要素基板に関して厚み及び熱膨張係数の積和演算値の最大値と最小
値の絶対値がそれぞれ3×10−7〔mm/K〕以上としたが、3×10−7〔mm/K
〕以下の場合であっても、上記実施形態に記載された構成にすることによって、当該要素
基板を通過する光束に付与される意図しない位相差を互いに相殺しあう傾向が生じ、液晶
ライトバルブ25aの表示むらを低減することができる。
【0076】
上記実施形態では、偏光変換部材21gで、レンズアレイ21eから射出した光を例えば
図1の紙面に平行な第1偏光方向の直線偏光に変換し、クロスダイクロイックプリズム2
7のダイクロミラー27a及び27bを透過するG光用の液晶ライトバルブ25bの光射
出側に1/2波長板25pを配置したが、偏光変換部材21gで、レンズアレイ21eか
ら射出した光を例えば図1の紙面に垂直な第2偏光方向の直線偏光に変換し、クロスダイ
クロイックプリズム27のダイクロミラー27a,27bで反射するB光及びR光用の液
晶ライトバルブ25a及び25cの光射出側または光入射側に1/2波長板をそれぞれ配
置してもよい。
【0077】
上記実施形態のプロジェクター10では、光源装置21を、光源ランプ21a、一対の
レンズアレイ21d,21e、偏光変換部材21g、及び重畳レンズ21iで構成したが
、レンズアレイ21d,21e等については省略することができ、光源ランプ21aも、
LED等の別光源に置き換えることができる。
【0078】
上記実施形態では、3つの液晶ライトバルブ25a,25b,25cを用いたプロジェ
クター10の例のみを挙げたが、本発明は、1つ又は2つの液晶ライトバルブを用いたプ
ロジェクター、或いは、4つ以上の液晶ライトバルブを用いたプロジェクターにも適用可
能である。
【0079】
上記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロ
ジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投
射を行なうリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
10…プロジェクター、 21…光源装置、 21g…偏光変換部材、 23…色分離導
光光学系、 23a,23b…ダイクロイックミラー、 25…光変調部、 25a,2
5b,25c…液晶ライトバルブ、 25e,25f,25g,25h,25i,25j
…偏光板、 26a,26b,26c…液晶ユニット、 27…クロスダイクロイックプ
リズム、 29…投射レンズ、 71…液晶層、 72,272…対向基板、 73…駆
動基板、 73,72,74b,74a…要素基板、 74a…入射側防塵基板、 74
b…射出側防塵基板、 75…共通電極、 76,78…配向膜、 77…透明画素電極
、 79…ブラックマトリクス、 80…液晶パネル、 81…フレーム、 EL…要素
レンズ、 LI…入射光、 LO…射出光、 OP1,OP2,OP3…光路、 PP…
画素部分、 SA…システム光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を挟んで対向させた駆動基板及び対向基板を有する透過型の液晶パネルと、前記駆
動基板の外側に配置される第1透光性基板と、前記対向基板の外側に配置される第2透光
性基板とを備える電気光学表示装置であって、
前記駆動基板、前記対向基板、前記第1透光性基板、及び前記第2透光性基板を少なく
とも含む複数の要素基板の熱膨張係数の値のうち、いずれか1つ以上が負であり、前記複
数の要素基板の熱膨張係数の値のうち、いずれか1つ以上が正である、電気光学表示装置

【請求項2】
前記駆動基板、前記対向基板、前記第1透光性基板、及び前記第2透光性基板の熱膨張
係数を、それぞれα1、α2、α3、及びα4とし、前記駆動基板、前記対向基板、前記
第1透光性基板、及び前記第2透光性基板の屈折率を、それぞれn1、n2、n3、及び
n4とし、前記駆動基板、前記対向基板、前記第1透光性基板、及び前記第2透光性基板
の厚みの値を、それぞれd1、d2、d3、及びd4として、
屈折率n1〜n4が1.5±0.1の範囲内にあり、
厚み及び熱膨張係数の積和演算値d1・α1+d2・α2+d3・α3+d4・α4が
、0±17×10−7〔mm/K〕の範囲内にある、請求項1に記載の電気光学表示装置

【請求項3】
厚み及び熱膨張係数の積和演算値d1・α1+d2・α2+d3・α3+d4・α4が
、0±6×10−7〔mm/K〕の範囲内にある、請求項2に記載の電気光学表示装置。
【請求項4】
屈折率、厚み、及び熱膨張係数の積和演算値n1・d1・α1+n2・d2・α2+n
3・d3・α3+n4・d4・α4が、0±24×10−7〔mm/K〕の範囲内にある
、請求項2に記載の電気光学表示装置。
【請求項5】
屈折率、厚み、及び熱膨張係数の積和演算値n1・d1・α1+n2・d2・α2+n
3・d3・α3+n4・d4・α4が、0±9×10−7〔mm/K〕の範囲内にある、
請求項4に記載の電気光学表示装置。
【請求項6】
前記駆動基板、前記対向基板、前記第1透光性基板、及び前記第2透光性基板の熱膨張
係数を、それぞれα1、α2、α3、及びα4とし、前記駆動基板、前記対向基板、前記
第1透光性基板、及び前記第2透光性基板の厚みの値を、それぞれd1、d2、d3、及
びd4として、
それぞれの厚み及び熱膨張係数の積和演算値d1・α1、d2・α2、d3・α3、及
びd4・α4のうち、最大値と最小値の絶対値がそれぞれ3×10−7〔mm/K〕以上
である、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電気光学表示装置。
【請求項7】
前記駆動基板及び前記第1透光性基板の熱膨張係数の値のうち一方が負であり、他方が
正であり、
前記対向基板及び前記第2透光性基板の熱膨張係数の値のうち一方が負であり、他方が
正である、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電気光学表示装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の少なくとも1つ以上の電気光学表示
装置と、
前記少なくとも1つ以上の電気光学表示装置を照明する照明装置と、
前記少なくとも1つ以上の電気光学表示装置によって形成された画像を投射する投射レ
ンズと、
を備えるプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−282042(P2010−282042A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135869(P2009−135869)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】