説明

電気光学装置、その駆動方法、および電子機器

【課題】電気光学素子の階調の変化を抑制する。
【解決手段】単位回路Uは、ゲートG0の電圧に応じた駆動電流Idrを生成する駆動トラ
ンジスタTdrと、駆動電流Idrに応じた階調となる電気光学素子11と、電極E1と電極
E2とを有する容量素子C1と、ゲートG0と電極E1との電気的な接続を制御するトランジ
スタT1とを含む。書込期間Pwrtにおいては電極E2に対するデータ信号S[j]の供給によ
ってゲートG0の電圧がデータ電圧Vdataに応じて設定される。駆動期間Pdrvにおいては
、ゲートG0に書込期間Pwrtにて設定された電圧に応じた駆動電流Idrの供給によって電
気光学素子11が駆動されるとともに、トランジスタT1がオフ状態とされてゲートG0と
容量素子C1とが電気的に切り離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(以下「OLED(Organic Light Emitting Diode)」
という)素子などの電気光学素子を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ(以下「駆動トランジスタ」という)のゲートの電圧に応じて電気光学素
子を駆動する構成が従来から提案されている。例えば、OLED素子を利用した発光装置
においては、各OLED素子に供給される電流の電流値が駆動トランジスタのゲートの電
圧に応じて制御される。
【0003】
特許文献1には、容量カップリングを利用して駆動トランジスタのゲートの電圧を所期
値に設定する画素回路が開示されている。この画素回路においては、容量素子の第1電極
が駆動トランジスタのゲートに接続され、容量素子の第2電極に対するデータ電圧(例え
ば電気光学素子に指定された階調に応じた電圧)の供給によって第1電極の電圧を変動さ
せることで駆動トランジスタのゲートの電圧を設定する。
【特許文献1】特開2004−245937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成においては、第2電極の電圧に連動して駆動トランジスタのゲートの
電圧が変化する。したがって、電気光学素子の駆動時に第2電極の電圧がノイズ等を原因
として変動すると、電気光学素子の状態(例えば階調)がデータ電圧に応じた所期の状態
から変化するという問題がある。
【0005】
例えば、複数の画素回路のデータ電圧が時分割でデータ線に供給される構成においては
、ひとつの画素回路の電気光学素子が実際に駆動されている期間内にデータ線の電圧(各
画素回路のデータ電圧)が順次に変化する。したがって、第2電極とデータ線とが容量的
に結合する場合(両者間に容量が寄生する場合)には、データ線の電圧の変動に起因した
ノイズによって第2電極の電圧が変動し、この結果として電気光学素子が所期の状態から
変化してしまう。また、電源線から供給される電流によって電気光学素子が駆動される構
成においては、各電気光学素子に対する電流の供給によって電源線の電圧が変動する。し
たがって、第2電極と電源線とが容量的に結合する場合にも電気光学素子が所期の状態か
ら変化する。以上のような事情を背景として、本発明は、駆動トランジスタのゲートの電
圧の変動(さらには電気光学素子の状態の変化)を抑制するという課題の解決を目的とし
ている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、ゲート(例えば図2のゲ
ートG0)の電圧に応じた導通状態となる駆動トランジスタ(例えば図2の駆動トランジ
スタTdr)と、駆動トランジスタの導通状態に応じて駆動される電気光学素子(例えば図
2の電気光学素子11)と、第1電極(例えば図2の電極E1)と第2電極(例えば図2
の電極E2)とを有する容量素子(例えば図2の容量素子C1)と、ゲートと第1電極との
間に設けられた第1スイッチング素子(例えば図2のトランジスタT1)とを具備する。
この構成においては、ゲートと第1電極との電気的な接続(典型的には導通/非導通)が
第1スイッチング素子によって制御されるから、第1スイッチング素子をオフ状態(高抵
抗状態)とすることで、第2電極の電圧の変動が駆動トランジスタのゲートに与える影響
を低減することができる。
【0007】
なお、電気光学素子とは、電気的な作用および光学的な作用の一方を他方に変換する要
素であり、典型的には電気エネルギの供給(電流の供給や電圧の印加)によって輝度や透
過率といった光学的な性状が変化する素子である。例えば、電流の供給によって輝度が変
化する電流駆動型の発光素子(例えばOLED素子)など様々な素子が本発明の電気光学
素子として採用される。すなわち、本発明に係る電気光学装置のひとつの形態は、電気光
学素子として発光素子を利用した発光装置である。
【0008】
電気光学素子の状態が電流(駆動電流)に応じて制御される場合、例えば駆動電流の経
路上に駆動トランジスタを配置した構成が採用される。この構成においては、駆動トラン
ジスタのゲートの電圧に応じて駆動電流の電流値が制御される。ただし、駆動トランジス
タの配置の態様は任意である。例えば、駆動電流の経路から分岐した経路上に駆動トラン
ジスタが電気光学素子と並列に配置された構成としてもよい。この構成においては、電気
光学素子に流れる駆動電流と駆動トランジスタに流れる電流との比率が駆動トランジスタ
のゲートの電圧に応じて変化するから、駆動トランジスタの導通状態に応じて電気光学素
子を駆動することが可能である。また、以上においては電流駆動型の電気光学素子を想定
したが、駆動トランジスタの導通状態に応じた電圧の印加によって駆動される電圧駆動型
の電気光学素子(例えば液晶素子)にも本発明は適用される。
【0009】
本発明の好適な態様においては、書込期間(例えば図3の書込期間Pwrt)にて第2電
極にデータ電圧を供給するデータ供給手段(例えば図1のデータ線駆動回路25)と、第
1スイッチング素子を制御する制御手段(例えば図1の走査線駆動回路23)とが設けら
れる。制御手段は、書込期間にて第1スイッチング素子をオン状態に制御する一方、第2
電極に対するデータ電圧の供給によって設定されたゲートの電圧(例えば図7の電圧「V
EL−Vth−k・ΔV」)に応じて電気光学素子が駆動される駆動期間(例えば図3の駆動
期間Pdrv)にて第1スイッチング素子をオフ状態に制御する。この態様によれば、駆動
期間において第1スイッチング素子がオフ状態に制御されるから、駆動期間にて実際に駆
動されている電気光学素子の状態の変化を有効に抑制することが可能である。
【0010】
さらに好適な態様においては、第2電極とデータ供給手段がデータ電圧を供給するデー
タ線との間に設けられた第2スイッチング素子(例えば図2のトランジスタT2)が設け
られ、制御手段は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を、各々に対する
共通の信号の供給によって制御する。この態様によれば、第1スイッチング素子の制御と
第2スイッチング素子の制御とにひとつの配線が兼用される。したがって、各々の制御の
ために別個の配線が形成された構成と比較して、電気光学装置の構成が簡素化される。
【0011】
その他の態様においては、駆動トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第
3スイッチング素子(例えば図2のトランジスタT3)が設けられ、制御手段は、書込期
間の開始前の補償期間にて第3スイッチング素子をオン状態に制御し、書込期間および駆
動期間にて第3スイッチング素子をオフ状態に制御する。この態様においては、補償期間
にて第3スイッチング素子がオン状態に変化することで駆動トランジスタのゲートとドレ
インとが接続(ダイオード接続)される。これによって駆動トランジスタのゲートは自身
の閾値電圧に応じた電圧(例えば図5の補償電圧「VEL−Vth」)に設定される。書込期
間においては、この閾値電圧に応じた電圧を起点として駆動トランジスタのゲートの電圧
がデータ電圧に応じて変化する。したがって、駆動トランジスタの閾値電圧の誤差(バラ
ツキ)が電気光学素子の状態に与える影響が抑制(理想的には閾値電圧の誤差が補償)さ
れる。
【0012】
ところで、本発明における第3スイッチング素子のうちゲート側の端子は、第1スイッ
チング素子の何れの端子に接続されてもよい。ただし、第3スイッチング素子が第1電極
(第1スイッチング素子のうちゲート側の端子)に接続された構成においては、第3スイ
ッチング素子がオン状態に変化しても第1スイッチング素子が完全にオン状態に遷移しな
ければ、駆動トランジスタは実際にはダイオード接続されない。すなわち、駆動トランジ
スタをダイオード接続する時機が第1スイッチング素子の時定数(例えばスイッチングの
遅延)に影響される場合がある。したがって、第1スイッチング素子の一方の端子と第3
スイッチング素子の一方の端子とをゲートに接続した態様(すなわち、第3スイッチング
素子のうちゲート側の端子を、第1スイッチング素子におけるゲート側の端子に接続した
態様)が好適である。この態様によれば、駆動トランジスタをダイオード接続させる動作
が第1スイッチング素子の時定数に影響されないという利点がある。なお、スイッチング
素子の端子とは、当該スイッチング素子の動作によって電気的な接続(導通/非導通)が
制御される対象となる部分を意味し、形状のうえで配線の端部(末端部)である必要は必
ずしもない。
【0013】
より好適な態様において、制御手段は、補償期間の開始前の初期化期間(例えば図3の
初期化期間Pres)において、第1スイッチング素子および第3スイッチング素子をオン
状態に制御することでゲートの電圧を初期化する一方、補償期間において第1スイッチン
グ素子をオン状態に制御する。この態様によれば、初期化期間と補償期間と書込期間とに
わたって連続して第1スイッチング素子がオン状態に制御されるから、補償期間にて第1
スイッチング素子がオフ状態に制御される構成と比較して、第1スイッチング素子のスイ
ッチングの回数が削減される。なお、この態様の具体例は、例えば第1・第3および第4
実施形態として後述される。
【0014】
本発明の好適な態様においては、電気光学素子に供給される駆動電流の経路と所定の電
圧が供給される給電線(例えば図12の給電線17)との間に設けられた第4スイッチン
グ素子(例えば図12のトランジスタT4)が設けられ、駆動トランジスタは、ゲートの
電圧に応じて駆動電流を制御し、制御手段は、補償期間の開始前の初期化期間において、
第3スイッチング素子および第4スイッチング素子をオン状態に制御する。なお、この態
様の具体例は第3実施形態として後述される。
この態様によれば、初期化期間において第3スイッチング素子と第4スイッチング素子
とがオン状態に制御されるから、補償期間や書込期間に先立って駆動トランジスタのゲー
トが所定の電圧に初期化される。特に、駆動トランジスタに流れる電流は初期化期間にて
第4スイッチング素子を経由して給電線に至る。したがって、初期化期間において電気光
学素子に電流が供給される構成(すなわち第4スイッチング素子を持たない構成)と比較
して、電気光学素子の状態を精緻に規定できるという利点がある。例えば、駆動電流の電
流値に応じた輝度で発光する発光素子を電気光学素子として利用した電気光学装置におい
ては、初期化期間において電気光学素子が確実に非点灯とされるから、電気光学素子のコ
ントラストを向上させることができる。
【0015】
なお、以上の各態様のように補償期間に先立って駆動トランジスタのゲートの電圧が初
期化される構成によれば、ノイズなどに起因して駆動トランジスタのゲート電圧が不適当
な電圧(例えばその後の補償動作を阻害するような電圧)に設定された場合であっても、
第1電極を所定の電圧に初期化して確実に補償動作を実行させることが可能となる。初期
化後のゲート電圧の電圧値は任意であるが、補償動作を確実に実行するという観点からす
れば、補償期間の終了時に設定されるべきゲート電圧(例えば図5の補償電圧「VEL−V
th」)よりも低電位であることが望ましい。
【0016】
さらに好適な態様においては、第2電極と所定の電圧が供給される給電線(例えば図1
4の給電線17)との間に設けられた第5スイッチング素子(例えば図15のトランジス
タT5)が設けられ、制御手段は、補償期間において第5スイッチング素子をオン状態に
制御する。この態様の具体例は第4実施形態として後述される。この態様によれば、補償
期間にて第5スイッチング素子がオン状態に遷移することで第2電極には所定の電圧が供
給されるから、駆動トランジスタのゲートをその閾値電圧に応じた電圧に安定的に設定す
ることが可能である。
また、制御手段が、補償期間および駆動期間において第5スイッチング素子をオン状態
に制御する構成も採用される。この態様によれば、駆動期間においても第5スイッチング
素子がオン状態に制御されて第2電極には所定の電圧が供給される。本発明においては、
第1スイッチング素子をオフ状態とすることで、第2電極の電圧の変動に起因したゲート
電圧の変化が低減される。この作用に加えて第2電極の電圧の変動が第5スイッチング素
子によって低減される本態様によれば、駆動トランジスタのゲート電圧の変動をさらに確
実に抑制できる。
【0017】
本発明において、駆動トランジスタと電気光学素子と容量素子と第1スイッチング素子
とを含む回路(単位回路)の個数や各々の配置の態様は任意である。ただし、例えば表示
装置として利用される電気光学装置においては、ひとつのデータ線に複数の単位回路が接
続された構成(より詳細には複数のデータ線の各々に複数の単位回路が接続されてマトリ
クス状に配列する構成)が好適に採用される。すなわち、本発明の好適な態様に係る電気
光学装置は、データ線に接続された複数の単位回路(例えば図1の単位回路U)と、複数
の単位回路の各々を書込期間ごとに順番に選択する制御手段と、各単位回路が選択される
書込期間にて当該単位回路のデータ電圧をデータ線に供給するデータ供給手段とを具備し
、複数の単位回路の各々は、ゲートの電圧に応じた導通状態となる駆動トランジスタと、
駆動トランジスタの導通状態に応じて駆動される電気光学素子と、第1電極と第2電極と
を有する容量素子と、ゲートと第1電極との間に設けられた第1スイッチング素子と、第
2電極とデータ線との間に設けられた第2スイッチング素子とを含み、制御手段は、各単
位回路を選択する書込期間において、当該単位回路の第1スイッチング素子および第2ス
イッチング素子をオン状態に制御し、第2電極に対するデータ電圧の供給によって設定さ
れたゲートの電圧に応じて当該単位回路の電気光学素子が駆動される駆動期間において、
当該単位回路の第1スイッチング素子をオフ状態に制御する。
【0018】
さらに好適な態様において、各単位回路は、駆動トランジスタのゲートとドレインとの
間に設けられた第3スイッチング素子を具備し、制御手段は、複数の単位回路の各々につ
いて、当該単位回路を選択する書込期間の開始前であって他の単位回路が選択される書込
期間を含む補償期間(例えば図9の補償期間Pcps)において、第2スイッチング素子を
オフ状態に制御するとともに第3スイッチング素子をオン状態に制御する。この態様の具
体例は第2実施形態として後述される。
この態様によれば、補償期間において第2スイッチング素子がオフ状態に制御されるか
ら、ひとつの単位回路の補償期間においては、データ線に他の単位回路のデータ電圧を供
給することができる。すなわち、他の単位回路が選択される書込期間を含む期間がひとつ
の単位回路の補償期間とされる。したがって、各単位回路について補償期間の時間長を充
分に確保できる。
【0019】
本発明に係る電気光学装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、
電気光学装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソ
ナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る電気光学装置の用途
は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体
に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)、液晶装置の背面側に配置されてこれを
照明する装置(バックライト)、あるいは、スキャナなどの画像読取装置に搭載されて原
稿を照明する装置など各種の照明装置など、多様な用途に本発明の電気光学装置を適用す
ることができる。また、光学的な作用を電気的な作用に変換する素子(例えば受光量に応
じて抵抗値が変化する受光素子)を電気光学素子として利用した電気光学装置は、スキャ
ナなどの画像読取装置において原稿を読み取るイメージセンサとして利用される。
【0020】
本発明は、電気光学装置を駆動する方法としても特定される。本発明の駆動方法は、ゲ
ートの電圧に応じた導通状態となる駆動トランジスタと、駆動トランジスタの導通状態に
応じて駆動される電気光学素子と、第1電極と第2電極とを有する容量素子とを具備する
電気光学装置を制御する方法であって、書込期間において、前記ゲートと前記第1電極と
を電気的に接続するとともに前記第2電極にデータ電圧を供給し、前記第2電極に対する
データ電圧の供給によって設定された前記ゲートの電圧に応じて前記電気光学素子が駆動
される駆動期間において、前記ゲートと前記第1電極とを電気的に切り離すことを特徴と
している。この駆動方法によれば、駆動トランジスタのゲートと第1電極とが駆動期間に
て電気的に切り離されるから、本発明の電気光学装置と同様の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<A−1:電気光学装置の構成>
図1は本発明のひとつの形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。同図
に例示された電気光学装置Dは、画像を表示する手段として各種の電子機器に利用される
装置であり、複数の単位回路(画素回路)Uが面状に配列された素子アレイ部10と、各
単位回路Uを駆動するための走査線駆動回路23およびデータ線駆動回路25とを含む。
なお、走査線駆動回路23およびデータ線駆動回路25は、素子アレイ部10とともに基
板上に形成された薄膜トランジスタによって構成されてもよいしICチップの形態で実装
されてもよい。
【0022】
図1に示すように、素子アレイ部10には、X方向に延在するm本の走査線13と、X
方向に直交するY方向に延在するn本のデータ線15とが形成される(mおよびnの各々
は2以上の自然数)。各単位回路Uは、走査線13とデータ線15との交差に対応する各
位置に配置される。したがって、素子アレイ部10には縦m行×横n列のマトリクス状に
単位回路Uが配列する。各単位回路Uには、電源回路(図示略)から電源電位VELと接地
電位Gndとが供給される。
【0023】
走査線駆動回路23は、素子アレイ部10の各行(X方向に配列するn個の単位回路U
の集合)を選択するための手段である。データ線駆動回路25は、各単位回路Uの階調デ
ータに基づいてデータ信号S[1]〜S[n]を生成する手段である。データ信号S[j]は第j
列目のデータ線15に出力される(jは1≦j≦nを満たす整数)。階調データは、電気
光学装置Dが搭載される電子機器のCPUなど各種の外部装置から単位回路Uごとに供給
される。
【0024】
<A−2:単位回路Uの構成>
図2は、各単位回路Uの構成を示す回路図である。同図においては、第i行の第j列目
に位置するひとつの単位回路Uのみが図示されているが、これ以外の単位回路Uも同様の
構成である。
【0025】
図2に示すように、単位回路Uは、電源線(電源電位VEL)と接地線(接地電位Gnd)
との間に介在する電気光学素子11を含む。電気光学素子11は、駆動電流Idrに応じた
状態に駆動される要素である。本実施形態の電気光学素子11は、有機EL(ElectroLum
inescence)材料からなる発光層を陽極と陰極との間に介在させたOLED素子(発光素
子)であり、発光層に供給される駆動電流Idrの電流値に応じた輝度(階調)で発光する
。電気光学素子11の陰極は接地(Gnd)される。
【0026】
図2に示すように、図1において便宜的に1本の配線として図示された走査線13は、
実際には3本の配線(第1制御線131・第2制御線132・第3制御線133)を含む
。各配線には走査線駆動回路23から所定の信号が供給される。より具体的には、第i行
目の走査線13を構成する第1制御線131には第1制御信号Ga[i]が供給される。同様
に、第2制御線132には第2制御信号Gb[i]が供給され、第3制御線133には第3制
御信号Gc[i]が供給される。なお、各信号の具体的な波形やこれに応じた単位回路Uの動
作については後述する。
【0027】
図2に示すように、電源線から電気光学素子11の陽極に至る経路上にはpチャネル型
の駆動トランジスタTdrが配置される。駆動トランジスタTdrのソース(S)は電源線に
接続される。この駆動トランジスタTdrは、ソースとドレイン(D)との導通状態(ソー
ス−ドレイン間の抵抗値)がゲートG0の電圧(以下「ゲート電圧」という)Vgに応じて
変化することで当該ゲート電圧Vgに応じた駆動電流Idrを生成する。したがって、電気
光学素子11は駆動トランジスタTdrの導通状態に応じた階調に駆動される。
【0028】
駆動トランジスタTdrのドレインと電気光学素子11の陽極との間(すなわち駆動電流
Idrの経路上)には両者の電気的な接続を制御するnチャネル型のトランジスタ(以下「
発光制御トランジスタ」という)Telが配置される。発光制御トランジスタTelのゲート
は第3制御線133に接続される。したがって、第3制御信号Gc[i]がハイレベルに遷移
すると発光制御トランジスタTelがオン状態に変化して電気光学素子11に対する電流の
供給が可能となる。これに対し、第3制御信号Gc[i]がローレベルである場合には発光制
御トランジスタTelがオフ状態を維持するから、電気光学素子11に対する電流の経路が
遮断されて電気光学素子11は消灯する。
【0029】
図2に示すように、単位回路Uは、2個の容量素子(C1・C2)とnチャネル型の3個
のトランジスタ(T1・T2・T3)とを含む。単位回路Uを構成する各トランジスタ(Td
r・Tel・T1〜T3)としては例えば薄膜トランジスタが好適に採用される。容量素子C1
は、電極E1と電極E2との間隙に誘電体が介挿された素子である。容量素子C2は、ゲー
トG0と電源線(駆動トランジスタTdrのドレイン)との間に介挿される。
【0030】
トランジスタT1は、ゲートG0と電極E1との間に介在して両者の電気的な接続(導通
/非導通)を制御するスイッチング素子である。トランジスタT2は、電極E2とデータ線
15との間に介在して両者の電気的な接続を制御するスイッチング素子である。トランジ
スタT1およびトランジスタT2の各々のゲートは第1制御線131に対して共通に接続さ
れる。したがって、トランジスタT1およびトランジスタT2は第1制御信号Ga[i]に応じ
て同じ状態に制御される。この構成によれば、トランジスタT1を制御する配線とトラン
ジスタT2を制御する配線とが別個に形成された構成と比較して、素子アレイ部10内の
配線数の削減やこれによる開口率(素子アレイ部10のうち各電気光学素子11からの放
射光が実際に出射する面積の割合)の向上が実現されるという利点がある。ただし、トラ
ンジスタT1とトランジスタT2とが別個の配線に接続されて各々が独立に制御される構成
としてもよい。この構成によれば、各トランジスタのオン・オフの切換えを時間的に精密
に制御できるといった利点がある。
【0031】
トランジスタT3は、駆動トランジスタTdrのゲートG0とそのドレインとの間に介在し
て両者の電気的な接続を制御するスイッチング素子である。トランジスタT3のうちゲー
トG0側の端子は、当該ゲートG0(トランジスタT1のうち駆動トランジスタTdr側の端
子)に対して直接に接続される。トランジスタT3のゲートは第2制御線132に接続さ
れる。トランジスタT3がオン状態に遷移すると駆動トランジスタTdrはダイオード接続
される。
【0032】
次に、図3を参照して、電気光学装置Dにて利用される各信号の具体的な波形を説明す
る。同図に示すように、第1制御信号Ga[1]〜Ga[m]は、各フレーム期間F内の所定の期
間(以下「単位期間」という)Hごとに順番にハイレベルとなる信号である。すなわち、
第1制御信号Ga[i]は、ひとつのフレーム期間Fのうち第i番目の単位期間Hにてハイレ
ベルを維持するとともにそれ以外の期間(以下「駆動期間」という)Pdrvにてローレベ
ルを維持する。
【0033】
単位期間Hは、初期化期間Presと補償期間Pcpsと書込期間Pwrtとに区分される。図
3に示すように、第2制御信号Gb[i]は、第1制御信号Ga[i]がハイレベルとなる単位期
間Hのうちの初期化期間Presと補償期間Pcpsとにおいてハイレベルとなり、それ以外の
期間(書込期間Pwrt・駆動期間Pdrv)にてローレベルを維持する。第3制御信号Gc[i]
は、第1制御信号Ga[i]がハイレベルとなる単位期間Hのうちの補償期間Pcpsと書込期
間Pwrtとにおいてローレベルとなり、それ以外の期間(初期化期間Pres・駆動期間Pdr
v)にてハイレベルを維持する信号である。
【0034】
データ信号S[j]は、第1制御信号Ga[i]がハイレベルとなる単位期間Hのうちの書込
期間Pwrtにおいて、第i行に属する第j列目の単位回路Uの階調データ(電気光学素子
11の階調を指定するデータ)に応じたデータ電圧Vdataに設定され、各単位期間Hの初
期化期間Presおよび補償期間Pcpsにて所定の電圧(以下「リセット電圧」という)Vre
fを維持する。リセット電圧Vrefは、データ電圧Vdataの最大値以上の電圧値に設定され
る。
【0035】
<A−3:電気光学装置Dの動作>
図4ないし図7は、以上の各期間における単位回路Uの様子を模式的に示す回路図であ
る。以下では図4から図7を参照しながら、第i行に属する第j列目の単位回路Uの動作
を、初期化期間Pres(図4)と補償期間Pcps(図5)と書込期間Pwrt(図6)と駆動
期間Pdrv(図7)とに区分して説明する。
【0036】
(a) 初期化期間Pres(図4)
初期化期間Presは、ゲートG0や容量素子C1の電圧を初期化するための期間である。
初期化期間Presにおいてデータ信号S[j]はリセット電圧Vrefに維持される。また、第
1制御信号Ga[i]・第2制御信号Gb[i]および第3制御信号Gc[i]は何れもハイレベルを
維持するから、図4に示すように発光制御トランジスタTelとトランジスタT1〜T3とは
オン状態となる。したがって、電極E2にはリセット電圧Vrefが供給される。一方、発光
制御トランジスタTelがオン状態に変化することで電気光学素子11には電流が流れる。
このときにトランジスタT3はオン状態となっているから、ゲート電圧Vgは電気光学素子
11の特性に応じた電圧V0に初期化される。電圧V0は、接地電位Gndよりも電気光学素
子11の閾値電圧だけ高い電圧であって、補償期間Pcpsの終点におけるゲート電圧Vg(
VEL−Vth)よりも低い電圧である。
【0037】
(b) 補償期間Pcps(図5)
補償期間Pcpsは、ゲート電圧Vgを、駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthの誤差を補
償するための電圧(以下「補償電圧」という)に設定する期間である。補償期間Pcpsに
おいては、第3制御信号Gc[i]がローレベルに遷移する一方、その他の信号(第1制御信
号Ga[i]・第2制御信号Gb[i]・データ信号S[j])は初期化期間Presと同じレベルを維
持する。したがって、図5に示すように、リセット期間Presにおける状況から発光制御
トランジスタTelがオフ状態に変化して電気光学素子11に対する電流の供給が停止する
。これによってゲート電圧Vgは初期化期間Presで設定された電圧V0から徐々に上昇し
ていき、最終的には電源電位VELと駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthとの差分値に相
当する補償電圧「VEL−Vth」に収束する。
【0038】
ところで、ノイズなど様々な原因によって補償期間Pcpsの開始前にゲート電圧Vgが補
償電圧「VEL−Vth」よりも高位となる場合がある。この状態ではトランジスタT3をオ
ン状態に変化させたとしても駆動トランジスタTdrに電流が流れないから、ゲート電位V
gを補償電圧「VEL−Vth」に設定することはできない。これに対し、本実施形態におい
ては初期化期間Presにてゲート電圧Vgが補償電圧「VEL−Vth」よりも低い電圧V0ま
で低下するから、電源線から駆動トランジスタTdrとトランジスタT3とを経由してゲー
トG0に至る電流が補償期間Pcpsにて確実に発生する。したがって、ノイズなどに起因し
た単位回路Uの誤動作が有効に防止される。
【0039】
(c) 書込期間Pwrt(図6)
書込期間Pwrtは、データ電圧Vdataに応じてゲート電圧Vgを設定するための期間であ
る。書込期間Pwrtにおいては、第2制御信号Gb[i]がローレベルに遷移するから、トラ
ンジスタT3がオフ状態に変化して駆動トランジスタTdrのダイオード接続が解除される
。また、書込期間Pwrtが開始するとデータ信号S[j]はデータ電圧Vdataに変化する。ト
ランジスタT2はハイレベルの第1制御信号Ga[i]によってオン状態に維持されるから、
電極E2の電圧は、図6に示すように、リセット期間Presおよび補償期間Pcpsにて設定
されたリセット電圧Vrefから階調データに応じたデータ電圧Vdataに変化(低下)する

【0040】
駆動トランジスタTdrのゲートG0のインピーダンスは充分に高いから、トランジスタ
T3がオフ状態に変化すると電極E1(ゲートG0)は電気的なフローティング状態となる
。したがって、電極E2の電圧がリセット電圧Vrefからデータ電圧Vdataまで変化量ΔV
(=Vref−Vdata)だけ変化すると、電極E1の電圧(ゲート電圧Vg)は容量素子C1に
おける容量カップリングによってその直前の電圧(補償電圧「VEL−Vth」)から変動す
る。このときのゲート電圧Vgの変化量は、容量素子C1の容量値c1と容量素子C2の容量
値c2とを用いて「ΔV・c1/(c1+c2)」と表現される。したがって、図6に示すよ
うに、書込期間Pwrtにおいてゲート電圧Vgは以下の式(1)の電圧値に安定する。なお、
容量素子C2のほかに駆動トランジスタTdrのゲート容量やその他の配線に寄生する容量
を考慮する場合、容量値c2は、容量素子C2とこれらの容量とを合成した数値となる。
Vg=VEL−Vth−k・ΔV ……(1)
ただし、k=c1/(c1+c2)
【0041】
(d) 駆動期間Pdrv(図7)
駆動期間Pdrvは、電気光学素子11がデータ電圧Vdataに応じた階調に実際に駆動さ
れる期間である。駆動期間Pdrvにおいては第1制御信号Ga[i]がローレベルに遷移する
から、図7に示すようにトランジスタT1はオフ状態に変化する。したがって、ゲートG0
は容量素子C1(電極E1)から電気的に切り離された状態となる。また、ローレベルの第
1制御信号Ga[i]によってトランジスタT2もオフ状態となる。
【0042】
一方、第3制御信号Gc[i]は駆動期間Pdrvにてハイレベルに遷移するから、発光制御
トランジスタTelがオン状態に変化して駆動電流Idrの経路が形成される。したがって、
書込期間Pwrtにて設定されたゲート電圧Vgに応じた電流値の駆動電流Idrが電源線から
駆動トランジスタTdrおよび発光制御トランジスタTelを経由して電気光学素子11に供
給される。電気光学素子11は駆動電流Idrに応じた輝度に発光する。
【0043】
駆動期間Pdrvにおいて駆動トランジスタTdrは飽和領域で動作する。したがって、駆
動電流Idrは以下の式(2)で表現される電流値となる。なお、式(2)における「β」は駆動
トランジスタTdrの利得係数であり、「Vgs」は駆動トランジスタTdrのゲート−ソース
間の電圧である。
Idr=(β/2)(Vgs−Vth)2
=(β/2)(Vg−VEL−Vth)2 ……(2)
式(1)の代入によって式(2)は以下のように変形される。
Idr=(β/2){(VEL−Vth−k・ΔV)−VEL−Vth}2
=(β/2)(k・ΔV)2
以上のように、駆動電流Idrはデータ電圧Vdataとリセット電圧Vrefとの差分値ΔV
(=Vref−Vdata)によって決定され、閾値電圧Vthには依存しない。したがって、各
駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthの誤差に起因した電気光学素子11の輝度のバラツ
キは抑制される。
【0044】
ところで、各行の単位回路Uの電気光学素子11が駆動される駆動期間Pdrv内にて各
データ線15の電圧は随時に変化する。例えば図3に示すように、データ信号S[j]の電
圧は、第i行目の各単位回路Uの駆動期間Pdrvのうち、次行の単位回路Uの書込期間Pw
rt(第1制御信号Ga[i+1]がハイレベルとなる単位期間Hの書込期間Pwrt)にてリセッ
ト電圧Vrefからデータ電圧Vdata(第(i+1)行に属する第j列目の単位回路Uの階調に応
じた電圧)に変化する。電極E2とデータ線15とが容量的に結合する(両者間に容量が
寄生する)とすれば、電極E2の電圧はデータ線15の電圧の変化量に応じて変動する。
【0045】
駆動期間Pdrvにおいて電極E1とゲートG0との電気的な接続が維持される構成におい
ては、ゲートG0が電気的なフローティング状態に維持された状態で電極E2と容量的に結
合する。したがって、駆動トランジスタTdrのゲート電圧Vgは駆動期間Pdrvにてデータ
線15の電圧の変化に応じて式(1)の電圧値から変動し、これを原因とする電気光学素子
11の階調の変動が利用者によってクロストークや画像のチラツキとして知覚されるとい
う問題がある。
【0046】
これに対し、本実施形態においては、駆動期間PdrvにてトランジスタT1がオフ状態に
維持されることでゲートG0が容量素子C1(電極E1)から電気的に切り離される。した
がって、電極E2の電圧の変動の影響は電極E1の電圧の変動にとどまってゲート電圧Vg
には及ばない。したがって、本実施形態によれば、駆動期間Pdrvにおけるゲート電圧Vg
の変動を抑制し、これによって電気光学素子11を所期の階調に安定させることができる

【0047】
なお、本実施形態においては補償期間PcpsにてトランジスタT1がオン状態となる。し
たがって、トランジスタT3のひとつの端子が電極E1に接続された構成(駆動トランジス
タTdrのドレインと電極E1との間にトランジスタT3が介在する構成)によっても、補償
期間Pcpsにて駆動トランジスタをダイオード接続するという作用は得られる。ただし、
この構成においては、駆動トランジスタTdrのダイオード接続される時機がトランジスタ
T1の時定数に影響される場合がある。例えば、補償期間Pcpsの始点にてトランジスタT
3がオン状態に変化しても、トランジスタT1のスイッチングが時定数の影響で遅延すれば
駆動トランジスタTdrはダイオード接続されない。これに対し、本実施形態においてはト
ランジスタT3の端子がゲートG0に対して直接に(すなわち両者間にトランジスタT1が
介在することなく)接続される。したがって、駆動トランジスタTdrをダイオード接続さ
せる時機がトランジスタT1の時定数に影響されないという利点がある。
【0048】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に列挙する各形態において
は、第1実施形態と作用や機能が共通する要素について図1や図2と同一の符号を使用し
、各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0049】
図8は、本実施形態における単位回路Uの構成を示す回路図である。同図に示すように
、本実施形態の単位回路Uは、第1実施形態の単位回路U(図2)に容量素子C3が追加
された構成となっている。容量素子C3は容量素子C1の電極E2と電源線(駆動トランジ
スタTdrのソース)との間に介挿された容量であり、初期化期間Presにてデータ線15
から供給されるリセット電圧Vrefを保持する手段として機能する。
【0050】
次に、図9は、本実施形態における各信号の波形を示すタイミングチャートである。第
1実施形態においてはひとつの単位期間Hが初期化期間Presと補償期間Pcpsと書込期間
Pwrtとに区分される場合を例示した。これに対し、本実施形態においては、相連続する
3個の単位期間Hを単位として1行の単位回路Uの初期化期間Presと補償期間Pcpsと書
込期間Pwrtとが規定される。
【0051】
例えば、第i行目の単位回路Uについては、フレーム期間Fのうち第i番目の単位期間
H[i]における後半の期間が書込期間Pwrtである。さらに、単位期間H[i]からみて2個
前の単位期間H[i-2]における前半の期間が第i行目の単位回路Uの初期化期間Presとさ
れ、この初期化期間Presの経過後から書込期間Pwrtの開始前までの期間(単位期間H[i
-1]を包含する期間)が補償期間Pcpsとされる。書込期間Pwrtの経過後(単位期間H[i+
1]の始点)から次回の初期化期間Presの開始前(単位期間H[i-2]の始点)までの期間は
、第i行目の電気光学素子11が駆動される駆動期間Pdrvである。
【0052】
第1制御信号Ga[i]は、第i行目の単位回路Uの書込期間(単位期間H[i]の後半)お
よび初期化期間Pres(単位期間H[i-2]の前半)にてハイレベルとなり、それ以外の期間
でローレベルを維持する。第2制御信号Gb[i]は、第i行目の単位回路Uの初期化期間P
resおよび補償期間Pcpsにてハイレベルとなり、それ以外の期間にてローレベルを維持す
る。また、第3制御信号Gc[i]は、第i行目の単位回路Uの補償期間Pcpsと書込期間Pw
rtとにわたってローレベルとなり、それ以外の期間にはハイレベルを維持する。一方、デ
ータ信号S[j]は、各単位期間H[i]内の書込期間Pwrt(第i行目の単位回路Uの書込期
間Pwrt)において、第i行に属する第j列目の単位回路Uの階調データに応じたデータ
電圧Vdataとなり、それ以外の期間(単位期間H[1]からH[m]の各々における前半の期間
)にてリセット電圧Vrefを維持する。
【0053】
次に、第i行に属する第j列目の単位回路Uに着目して初期化期間Pres(図10)と
補償期間Pcps(図11)とにおける動作を説明する。まず、初期化期間Presにおいては
、第1実施形態と同様に、発光制御トランジスタTelとトランジスタT1〜T3とがオン状
態に変化する。したがって、ゲート電圧Vgは電圧V0に初期化される。また、図10に示
すように、データ線15からトランジスタT2を介して単位回路Uに供給されるリセット
電圧Vrefは容量素子C3に保持される。
【0054】
補償期間Pcpsにおいては、発光制御トランジスタTelがオフ状態に遷移することによ
ってゲート電圧Vgは補償電圧「VEL−Vth」に収束する。また、図11に示すように、
第1制御信号Ga[i]がローレベルに遷移することによってトランジスタT2(およびトラ
ンジスタT1)がオフ状態に変化する。これによって電極E2はデータ線15から電気的に
切り離されるから、電極E2の電圧は初期化期間Presにて容量素子C3に保持されたリセ
ット電圧Vrefに維持される。
【0055】
書込期間Pwrtや駆動期間Pdrvにおける動作は第1実施形態と同様である。すなわち、
書込期間Pwrtにおいては電極E2の電圧がリセット電圧Vrefからデータ電圧Vdataに変
化することでゲート電圧Vgが式(1)の電圧値に設定され、駆動期間Pdrvにおいてはトラ
ンジスタT1がオフ状態とされたうえで電気光学素子11がゲート電圧Vgに応じた階調に
駆動される。このように本実施形態においても駆動期間PdrvにてゲートG0が容量素子C
1から電気的に切り離されるから、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0056】
また、図11に示すように、補償期間Pcpsにおいては容量素子C1(電極E2)とデー
タ線15とが電気的に切り離されるから、各行の単位回路Uの補償期間Pcps内に、他の
単位回路Uにデータ線15を介してデータ電圧Vdataを供給することが可能である。例え
ば、図9に示すように、第i行目の単位回路Uの補償期間Pcps内に、データ線15には
第(i-2)行目および第(i-1)行目の各単位回路Uのデータ電圧Vdataが供給される。この構
成によれば、データ電圧Vdataがデータ線15に供給される周期(単位期間H)とは無関
係に補償期間Pcpsを設定することが可能である。より具体的には、図9に示すように複
数の単位期間Hにわたる期間(単位期間H[i-2]の途中から単位期間H[i]の途中までの期
間)を補償期間Pcpsとして確保することができる。したがって、ゲート電圧Vgが補償電
圧「VEL−Vth」に収束するのに充分な時間長を容易に確保できるという利点がある。
【0057】
<C:第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図12は、本実施形態における単位回路Uの構成を示す回路図である。同図に示すよう
に、本実施形態の素子アレイ部10には給電線17と第4制御線134とが形成される。
給電線17には、電源回路(図示略)から所定の電圧VSTが供給される。電圧VSTは、補
償電圧「VEL−Vth」よりも低い電圧値に設定される。第4制御線134には走査線駆動
回路23から第4制御信号Gd[i]が供給される。
【0058】
また、本実施形態の単位回路Uは、第1実施形態の単位回路U(図2)にトランジスタ
T4が追加された構成となっている。トランジスタT4は、駆動トランジスタTdrのドレイ
ンと給電線17との間に介在して両者の電気的な接続を制御するスイッチング素子である
。トランジスタT4のゲートは第4制御線134に接続される。
【0059】
図13は、初期化期間Presにおける単位回路Uの様子を示す回路図である。同図に示
すように、第3制御信号Gc[i]は初期化期間Presにてローレベルを維持する。したがっ
て、発光制御トランジスタTelはオフ状態となって電気光学素子11に対する電流の経路
は遮断される。また、初期化期間Presにおいては第4制御信号Gd[i]がハイレベルに遷
移することでトランジスタT4はオン状態に変化する。これによってゲートG0はトランジ
スタT3とトランジスタT4とを介して給電線17に接続されるから、ゲート電圧Vgは電
圧VSTに初期化される。そして、補償期間Pcpsが開始すると、ゲート電圧Vgは初期化期
間Presにて設定された電圧VSTから上昇して補償電圧「VEL−Vth」に収束する。電圧
VSTは補償電圧「VEL−Vth」よりも低電位に設定されているから、第1実施形態と同様
に、ゲート電圧Vgを補償期間Pcpsにて確実に補償電圧「VEL−Vth」に収束させること
ができる。
【0060】
補償期間Pcpsと書込期間Pwrtと駆動期間Pdrvとにおいては第4制御信号Gd[i]がロ
ーレベルを維持することでトランジスタT4はオフ状態となる。これらの期間における単
位回路Uの動作は第1実施形態と同様である。本実施形態によっても第1実施形態と同様
の効果が奏される。なお、以上においては第1実施形態を変形した形態として本実施形態
を説明したが、第2実施形態にも本実施形態と同様の構成が採用される。
【0061】
図2や図8の構成においては初期化期間Presにおける電流の供給によって電気光学素
子11は僅かに発光する。これに対し、本実施形態においてはゲート電圧Vgの初期化に
際して電気光学素子11に電流が供給されないから、初期化期間Presにおいては電気光
学素子11の発光が完全に停止される。したがって、図2や図8のように初期化期間Pre
sにて電気光学素子11が発光する構成と比較して、素子アレイ部10に表示される画像
のコントラストが向上するという利点がある。
【0062】
<D:第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図14は、本実施形態に係る単位回路Uの構成を示す回路図である。同図に示すように
、本実施形態の単位回路Uは、第3実施形態の単位回路U(図12)にトランジスタT5
が追加された構成となっている。トランジスタT5は、電極E2と給電線17との間に介在
して両者の電気的な接続を制御するスイッチング素子である。トランジスタT5のゲート
は第5制御線135に接続される。第5制御線135には走査線駆動回路23から第5制
御信号Ge[i]が供給される。
【0063】
単位回路Uの動作は、第1実施形態と同様に、初期化期間Pres(図15)・補償期間
Pcps(図16)・書込期間Pwrtおよび駆動期間Pdrv(図17)に区分される。第5制
御信号Ge[i]は、初期化期間Presと補償期間cpsと駆動期間Pdrvとにおいてハイレベル
を維持し、書込期間Pwrtにてローレベルとなる。
【0064】
初期化期間Presにおいては、図15に示すように、トランジスタT5がオン状態に変化
して電極E2と給電線17とは電気的に接続される。これによって電極E2の電圧は電圧V
STに初期化される。なお、トランジスタT4がオン状態に変化することでゲート電圧Vgが
電圧VSTに設定される動作は第3実施形態と同様である。なお、データ信号S[j]は初期
化期間Presにて電圧VSTを維持する。
【0065】
図16に示すように、補償期間PcpsにおいてもトランジスタT5はオン状態を維持する
。したがって、ゲート電圧Vgが補償電圧「VEL−Vth」に向かって上昇しているときに
電極E2の電圧は電圧VSTに固定される。また、書込期間Pwrtにおいては、トランジスタ
T5がオフ状態とされて電極E2に対する電圧VSTの供給が停止されたうえで、データ信号
S[j]の供給によって電極E2の電圧(電圧VST)がデータ電圧Vdataに変化する。これに
よってゲート電圧Vgは閾値電圧Vthとデータ電圧Vdataとに応じた電圧値(式(1))に設
定される。
【0066】
そして、駆動期間Pdrvにおいては、図17に示すように第5制御信号Ge[i]がハイレ
ベルに遷移することでトランジスタT5はオン状態に変化する。したがって、電気光学素
子11がゲート電圧Vgに応じた輝度に駆動されているときに電極E2は電圧VSTに固定さ
れる。なお、トランジスタT1は第1実施形態と同様に駆動期間Pdrvにてオフ状態を維持
する。したがって、本実施形態においても第1実施形態と同様の効果が奏される。なお、
以上においては第1実施形態を変形した形態として本実施形態を説明したが、第2実施形
態にも本実施形態と同様の構成が採用される。
【0067】
ところで、第1実施形態から第3実施形態においてはトランジスタT1が駆動期間Pdrv
にてオフ状態となるから、電極E2の電圧の変動がゲート電圧Vgに与える影響は基本的に
は排除される。しかしながら、単位回路Uの構成(特に各要素のレイアウト)によっては
、ゲートG0と電極E2とが容量的に結合する場合も考えられる。この場合には、駆動期間
PdrvにてトランジスタT1がオフ状態に維持されるとしても、電極E2の電圧の変動に応
じてゲート電圧Vgが変化する可能性がある。これに対し、本実施形態においては、駆動
期間Pdrvにて電極E2の電圧が電圧VSTに固定される。したがって、ゲートG0と電極E2
との間に容量が寄生する構成においても、駆動期間Pdrvにおけるゲート電圧Vgの変動(
さらに電気光学素子11の階調の変動)が確実に抑制されるという利点がある。また、電
極E2の電圧は補償期間Pcpsにおいても電圧VSTに固定されるから、補償期間Pcpsにお
いてゲート電圧Vgを高い精度で補償電圧「VEL−Vth」に設定できるという効果もある

【0068】
<E:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば
以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0069】
(1)変形例1
単位回路Uの具体的な構成は以上の例示に限定されない。例えば、図2の形態において
は、Y方向に配列するm個の単位回路Uの各々に対して1本のデータ線15を介して時分
割でデータ電圧Vdataが供給される構成を例示した。この構成においては、データ電圧V
dataの出力先となる単位回路Uを順次に変更するために、各単位回路Uとデータ線15と
の電気的な接続を制御するトランジスタT2が必要となる。しかしながら、例えば単位回
路Uごとにデータ線15が形成された構成においては、各単位回路Uとデータ線15との
電気的な接続を制御する必要はないから、トランジスタT2は適宜に省略される。より具
体的には、画像形成装置に利用されて感光体ドラムを露光する露光装置(光ヘッド)にお
いては、単位回路Uがひとつの方向のみに配列され、各単位回路Uが独立のデータ線15
を介してデータ線駆動回路25に接続された構成が採用される。この構成においては、図
2のトランジスタT2が省略され、容量素子C1の電極E2がデータ線15に対して直接に
接続される。
【0070】
また、単位回路Uを構成する各トランジスタの導電型は適宜に変更される。例えば、駆
動トランジスタTdrはnチャネル型であってもよい。また、発光制御トランジスタTelは
適宜に省略される。例えば、初期化期間Presや補償期間Pcpsや書込期間Pwrtの時間長
が充分に短い場合には、これらの期間にて電気光学素子11が発光したとしても画質には
殆ど影響がない。このような場合には発光制御トランジスタTelを省略した構成(駆動ト
ランジスタTdrのドレインが電気光学素子11の陽極に対して直接に接続された構成)も
採用される。また、以上の各形態においてはゲート電圧Vgの保持のために容量素子C2を
配置した構成を例示したが、例えば書込期間Pwrtにて設定されたゲート電圧Vgを駆動期
間Pdrvにて保持するのに充分な容量を容量素子C1(あるいは駆動トランジスタTdrのゲ
ート容量やその他の寄生容量)にいよって確保できる場合には、容量素子C2を省略して
もよい。
【0071】
(2)変形例2
以上の各形態においては単位回路Uの各トランジスタ(Tel・T1〜T5)がひとつの走
査線駆動回路23によって制御される構成を例示したが、単位回路Uを駆動する回路(本
発明における制御手段)の態様は任意に変更される。例えば、トランジスタT1〜T5を制
御する回路と発光制御トランジスタTelを制御する回路とが個別に配置された構成や、ト
ランジスタT1〜T5の各々を駆動する回路が別個に配置された構成も採用される。
【0072】
(3)変形例3
以上の各形態においては補償期間Pcpsに先立ってゲート電圧Vgが初期化される構成を
例示した。しかしながら、例えば、以上に例示した方法以外の方法によって補償期間Pcp
sの始点におけるゲート電圧Vgが補償電圧「VEL−Vth」よりも低電位であることが担保
される場合には、初期化期間Presを省略することも可能である。また、以上の各形態に
おいては駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthの誤差が補償される構成を例示したが、閾
値電圧Vthの誤差が問題とならない場合や以上に例示した方法以外の方法によって閾値電
圧Vthが補償される場合には、各形態における補償期間Pcpsを省略してもよい。
【0073】
(4)変形例4
本発明における電気光学素子とは、電気的な作用および光学的な作用の一方を他方に変
換する要素である。電気エネルギの付与によって光度や透過率といった光学的な特性が制
御(駆動)される素子は本発明の電気光学素子として特に好適に採用される。この種の電
気光学素子については、自身が光を放射する自発光型の素子と透過率に応じて外光を変調
する非発光型の素子との区別や、電流の供給によって駆動される電流駆動型の素子と電圧
の印加によって駆動される電圧駆動型の素子との区別を問わず本発明に適用される。例え
ば、以上の各形態にて例示したOLED素子に代えて、無機EL素子やフィールド・エミ
ッション(FE)素子、表面導電型エミッション(SE:Surface-conduction Electron
-emitter)素子、弾道電子放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子
、LED(Light Emitting Diode)素子、液晶素子、電気泳動素子、エレクトロクロミ
ック素子など様々な電気光学素子を本発明に利用することができる。
【0074】
<F:応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。図18ないし
図20には、以上に説明した何れかの形態に係る電気光学装置Dを表示装置として採用し
た電子機器の形態が図示されている。
【0075】
図18は、電気光学装置Dを採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示
す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する電気光学装
置Dと、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具
備する。電気光学装置DはOLED素子を電気光学素子11として使用しているので、視
野角が広く見易い画面を表示できる。
【0076】
図19は、電気光学装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話
機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画
像を表示する電気光学装置Dとを備える。スクロールボタン3002を操作することによ
って、電気光学装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0077】
図20は、電気光学装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Ass
istants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン40
01および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する電気光学装置Dとを備える。
電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が電気
光学装置Dに表示される。
【0078】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図18から図20に
示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション
装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーショ
ン、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパ
ネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の
表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置
においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する光ヘッド
(書込ヘッド)が使用されるが、この種の光ヘッドとしても本発明の電気光学装置は利用
される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ひとつの単位回路の構成を示す回路図である。
【図3】単位回路の駆動に関わる信号の波形を示すタイミングチャートである。
【図4】初期化期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図5】補償期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図6】書込期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図7】駆動期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図8】第2実施形態に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図9】単位回路の駆動に関わる信号の波形を示すタイミングチャートである。
【図10】初期化期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図11】補償期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図12】第3実施形態に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図13】初期化期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図14】第4実施形態に係る単位回路の様子を示す回路図である。
【図15】初期化期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図16】補償期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図17】駆動期間における単位回路の様子を示す回路図である。
【図18】本発明に係る電子機器の形態(パーソナルコンピュータ)を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る電子機器の形態(携帯電話機)を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る電子機器の形態(携帯情報端末)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
D……電気光学装置、U……単位回路、10……素子アレイ部、11……電気光学素子、
13……走査線、131〜135……第1制御線〜第5制御線、15……データ線、17
……給電線、Tdr……駆動トランジスタ、T1〜T5……トランジスタ、C1〜C3……容量
素子、Pres……初期化期間、Pcps……補償期間、Pwrt……書込期間、Pdrv……駆動期
間、Ga[i],Gb[i],Gc[i],Gd[i],Ge[i]……第1制御信号〜第5制御信号、S[j]
……データ信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートの電圧に応じた導通状態となる駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの導通状態に応じて駆動される電気光学素子と、
第1電極と第2電極とを有する容量素子と、
前記ゲートと前記第1電極との間に設けられた第1スイッチング素子と、
書込期間において前記第2電極にデータ電圧を供給するデータ供給手段と、
前記書込期間にて前記第1スイッチング素子をオン状態に制御する一方、前記第2電極
に対するデータ電圧の供給によって設定された前記ゲートの電圧に応じて前記電気光学素
子が駆動される駆動期間において、前記第1スイッチング素子をオフ状態に制御する制御
手段と
を具備することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第2電極と前記データ供給手段がデータ電圧を供給するデータ線との間に設けられ
た第2スイッチング素子を具備し、
前記制御手段は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を、各々
に対する共通の信号の供給によって制御する
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記駆動トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第3スイッチング素子を
具備し、
前記制御手段は、前記書込期間の開始前の補償期間にて前記第3スイッチング素子をオ
ン状態に制御し、前記書込期間および前記駆動期間にて前記第3スイッチング素子をオフ
状態に制御する
請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1スイッチング素子の一方の端子および前記第3スイッチング素子の一方の端子
は前記ゲートに接続されている
請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記補償期間の開始前の初期化期間において、前記第1スイッチング
素子および前記第3スイッチング素子をオン状態に制御することで前記ゲートの電圧を初
期化する一方、前記補償期間において前記第1スイッチング素子をオン状態に制御する
請求項3または請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記電気光学素子に供給される駆動電流の経路と所定の電圧が供給される給電線との間
に設けられた第4スイッチング素子を具備し、
前記駆動トランジスタは、前記ゲートの電圧に応じて駆動電流を制御し、
前記制御手段は、前記補償期間の開始前の初期化期間において、前記第3スイッチング
素子および前記第4スイッチング素子をオン状態に制御する
請求項3から請求項5の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第2電極と所定の電圧が供給される給電線との間に設けられた第5スイッチング素
子を具備し、
前記制御手段は、前記補償期間において前記第5スイッチング素子をオン状態に制御す

請求項3から請求項6の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記補償期間および前記駆動期間において前記第5スイッチング素子
をオン状態に制御する
請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
データ線に接続された複数の単位回路と、
前記複数の単位回路の各々を書込期間ごとに順番に選択する制御手段と、
各単位回路が選択される書込期間にて当該単位回路のデータ電圧を前記データ線に供給
するデータ供給手段とを具備する電気光学装置であって、
前記複数の単位回路の各々は、
ゲートの電圧に応じた導通状態となる駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの導通状態に応じて駆動される電気光学素子と、
第1電極と第2電極とを有する容量素子と、
前記ゲートと前記第1電極との間に設けられた第1スイッチング素子と、
前記第2電極と前記データ線との間に設けられた第2スイッチング素子とを含み、
前記制御手段は、前記各単位回路を選択する書込期間において、当該単位回路の前記第
1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子をオン状態に制御し、前記第2電極
に対するデータ電圧の供給によって設定された前記ゲートの電圧に応じて当該単位回路の
前記電気光学素子が駆動される駆動期間において、当該単位回路の前記第1スイッチング
素子をオフ状態に制御する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
前記各単位回路は、前記駆動トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられた第3
スイッチング素子を具備し、
前記制御手段は、前記複数の単位回路の各々について、当該単位回路を選択する書込期
間の開始前であって他の単位回路が選択される書込期間を含む補償期間において、前記第
2スイッチング素子をオフ状態に制御するとともに前記第3スイッチング素子をオン状態
に制御する
請求項9に記載の電気光学装置。
【請求項11】
ゲートの電圧に応じた導通状態となる駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの導通状態に応じて駆動される電気光学素子と、
第1電極と第2電極とを有する容量素子と、
前記ゲートと前記第1電極との間に設けられた第1スイッチング素子と
を具備する電気光学装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れかに記載の電気光学装置を具備する電子機器。
【請求項13】
ゲートの電圧に応じた導通状態となる駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタの導
通状態に応じて駆動される電気光学素子と、第1電極と第2電極とを有する容量素子とを
具備する電気光学装置を制御する方法であって、
書込期間において、前記ゲートと前記第1電極とを電気的に接続するとともに前記第2
電極にデータ電圧を供給し、
前記第2電極に対するデータ電圧の供給によって設定された前記ゲートの電圧に応じて
前記電気光学素子が駆動される駆動期間において、前記ゲートと前記第1電極とを電気的
に切り離す
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−225652(P2007−225652A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43482(P2006−43482)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】