説明

電気光学装置、電気光学装置の駆動回路および電子機器

【課題】本発明は、トランジスターのオフリークによって液晶容量の保持電圧が減少することを防止する。
【解決手段】1行毎に走査線112と容量線132が設けられ、1列毎にデータ線114が設けられて、各画素110は、走査線112とデータ線114との交差に対応して設けられている。ここで、容量線駆動回路160は、ある行の走査線112に対応する容量線132に対し、当該一の走査線112が選択されているときに、電圧Vcomに固定し、当該一の走査線112の選択が終了して時間量Taだけ経過したときに、電圧Vcomから時間経過とともに変化させる。このときの電圧の変更方向については、正極性書込後であれば上昇方向とし、負極性書込後であれば下降方向とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素毎にトランジスターを有するアクティブマトリクス型の電気光学装置、電気光学装置の駆動回路および当該電気光学装置を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置、例えば液晶表示装置では、一般には複数の走査線と複数のデータ線との交点に対応して、トランジスターと補助容量とを含む画素がそれぞれ設けられている。トランジスターは、スイッチング素子として機能し、その一端はデータ線に接続され、その他端が補助容量の一端に接続されるとともに、走査線の選択期間にオンする。この構成では、トランジスターの他端に保持された電位に応じて画素の階調が規定されるが、走査線の非選択期間、すなわちトランジスターのオフ期間に、保持電位が変化して、表示ムラの原因になりやすい。
このため、コモン電極の特定数と容量線の時定数とを等しくする技術(特許文献1参照)が提案されている。また、この原因を、光源の分布ムラや画素の位置に応じたノイズの影響と捉えて、トランジスターの一端に供給するデータ信号を画素の位置に応じて調整する技術(特許文献2参照)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−98337号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2004−287113号公報(図1および図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記いずれの技術によっても、トランジスターのオフ期間において発生する保持電位の変化を補償することができず、十分に表示ムラを抑えることができない、といった問題が発生した。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、トランジスターのオフ期間における保持電位の変化を補償して、表示ムラを抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、トランジスターのオフ期間において保持電位が変化する原因をトランジスターのオフリークとして捉えるとともに、このオフリークの影響を抑えるために、次のように構成したものである。すなわち、本発明に係る電気光学装置の駆動回路にあっては、走査線と、前記走査線に電気的に接続されたトランジスターと、前記トランジスターに対応して画素に設けられた補助容量と、を備えた電気光学装置の駆動回路であって、前記走査線を選択する走査線駆動回路と、前記走査線の選択期間に、前記補助容量に電気的に接続された容量線に所定の電位を供給すると共に、前記走査線の非選択期間に、前記画素の階調が変化しないように、前記容量線の電位を変化させる容量線駆動回路とを備えることを特徴とする。本発明によれば、走査線の非選択期間においてトランジスターのオフリークに起因した保持電位の変化分は、容量線の電位変化によって補われるので、オフリークによる影響を抑えることが可能となる。ここで、容量線の電位変化については、オフリークに起因する保持電位の変化分だけではなく、トランジスターのフィールドスルーの変化分や、さらには、データ線にデータ信号をサンプリングトランジスターによってサンプリングする構成であれば、当該サンプリングトランジスターのフィールドスルーの変化分を補うようにしても良い。
【0006】
本発明において、前記容量線駆動回路は、前記走査線の非選択期間に、前記容量線の電位を前記所定の電位との電位差の絶対値が大きくなる方向に変化させる構成が好ましい。
さらに、本発明において、第2走査線と、前記第2走査線に電気的に接続された第2トランジスターと、前記第2トランジスターに対応して第2画素に設けられた第2補助容量と、を備え、前記走査線駆動回路は、前記走査線に続いて前記第2走査線を選択し、前記容量線駆動回路は、前記第2走査線の選択期間に、前記第2補助容量に電気的に接続された第2容量線に所定の電位を供給すると共に、前記第2走査線の非選択期間に、前記第2画素の階調が変化しないように、前記第2容量線の電位を変化させる構成としても良い。この構成によれば、オフリークに起因した保持電位の変化分を容量線の電位変化によって補正する動作が、各走査線にわたって実行される。このため、例えば画面の位置によって明るさが異なってしまう事態を防止することができる。
本発明において、前記容量線駆動回路は、前記走査線の選択が終了して所定の時間経過したときに、前記容量線に対し前記所定の電位からの変化を開始する構成が好ましい。この構成によれば、走査線の選択が終了したタイミングで発生するカップリングノイズ等が、容量線に及ぼす影響を小さくすることができる。
また、本発明において、前記容量線駆動回路は、前記容量線に対して設けられ、第1端子または第2端子のいずれかを選択するセレクターを有し、前記走査線の選択が開始してから、前記走査線の選択が終了して所定の時間経過するまで前記第1端子を選択し、前記走査線の選択が終了して所定の時間量経過したときから前記第2端子を選択し、前記第1端子には、前記所定の電位が印加され、前記第2端子には、オフのトランジスターが接続されると共に、前記走査線の選択が終了して所定の時間経過するまで、前記所定の電位がセットされる構成が好ましい。この構成によれば、トランジスターのオフリークを、第2端子に接続されたオフのトランジスターによって模擬することができるので、走査線の非選択期間における保持電位の変化分を、容量線の電位変化によって、より効果的に補うことが可能となる。
また、本発明において、前記容量線駆動回路は、前記補助容量の1対の電極のうち前記容量線と接続されていない側の電極の電位が、前記容量線の所定の電位よりも高い場合は、前記所定の電位から時間経過とともに前記所定の電位に対して上昇するように変化させ、前記補助容量の1対の電極のうち前記容量線と接続されていない側の電極の電位が、前記容量線の所定の電位よりも低い場合は、前記所定の電位から時間経過とともに前記所定の電位に対して下降するように変化させる構成が好ましい。この構成によれば、画素を両極性で駆動することができる。
【0007】
上記目的は、走査線と、前記走査線に電気的に接続されたトランジスターと、前記トランジスターに対応して画素に設けられた補助容量と、前記補助容量と並列に設けられ、画素電極とコモン電極とを有する画素容量と、を備えた電気光学装置の駆動回路であって、前記走査線を選択する走査線駆動回路と、前記走査線の選択期間に、前記コモン電極に所定の電位を供給すると共に、前記走査線の非選択期間に、前記画素の階調が変化しないように、前記コモン電極の電位を変化させるコモン電極駆動回路とを備える電気光学装置の駆動回路によっても達成できる。この駆動回路によれば、走査線の非選択期間においてトランジスターのオフリークに起因した保持電位の変化分が、コモン電極の電位変化によって補われるからである。
なお、本発明は、上記電気光学装置の駆動回路のほか、電気光学装置それ自体、さらには、当該電気光学装置を含む電子機器としても概念することが可能である。このような電子機器としては、電気光学装置による光変調画像を拡大投射するプロジェクターが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】電気光学装置における画素の等価回路を示す図である。
【図3】電気光学装置におけるフレームおよびフィールドを示す図である。
【図4】電気光学装置における走査線駆動回路の構成を示す図である。
【図5】走査線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】電気光学装置における容量線駆動回路の1行分の構成を示す図である。
【図7】容量線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】電気光学装置におけるデータ線駆動回路の構成を示す図である。
【図9】データ線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】電気光学装置の動作を説明するための図である。
【図11】電気光学装置の動作を説明するための図である。
【図12】第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図13】電気光学装置における画素の等価回路を示す図である。
【図14】コモン電極駆動回路の構成を示す図である。
【図15】コモン電極駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図16】電気光学装置の動作を説明するための図である。
【図17】電気光学装置の動作を説明するための図である。
【図18】電気光学装置を適用したプロジェクターの構成を示す図である。
【図19】比較例に係る電気光学装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る電気光学装置について説明する。この電気光学装置は、例えばプロジェクターのライトバルブとして好適な透過型の液晶表示装置である。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電気光学装置の全体的な構成を示すブロック図である。この図に示されるように、電気光学装置10aは、制御回路20、メモリー30、D/A変換回路40および液晶パネル100を含んだ構成となっている。
液晶パネル100には、480行の走査線112が図において行(X)方向に沿ってそれぞれ設けられている。また、各行の走査線112に対をなすように容量線132が行方向に沿ってそれぞれ設けられている。一方、640列のデータ線114が、列(Y)方向に沿って、かつ、各走査線112および各容量線132に対し互いに電気的に絶縁を保つようにそれぞれ設けられている。
画素110は、480行の走査線112と640列のデータ線114との交差に対応して、それぞれ配列している。したがって、本実施形態では、画素110が縦480行×横640列でマトリクス状に配列して表示領域Maを構成することになるが、本発明を当該配列に限定する趣旨ではない。
なお、本説明においては、走査線112、容量線132または画素110の行を区別するために、図1において上から順に、1行目、2行目、…、480行目と呼ぶ場合があり、同様にデータ線114または画素110の列を区別するために、図1において左から順に、1列目、2列目、…、640列目と呼ぶ場合がある。
【0011】
液晶パネル100は、表示領域Maの周辺に、走査線駆動回路140、容量線駆動回路160およびデータ線駆動回路190がそれぞれ形成された周辺回路内蔵型となっている。
このうち、走査線駆動回路140は、制御回路20から供給されるスタートパルスDyおよびクロック信号Clyに基づいて、走査信号Y1、Y2、Y3、…、Y480を生成し、1、2、3、…、480行目の走査線112にそれぞれ供給する出力するものである。
容量線駆動回路160は、外部から供給される電圧Vcomと制御回路20から供給されるリセット信号Rstと走査信号Y1、Y2、Y3、…、Y480とに基づいて、容量信号Com1、Com2、Com3、…、Com480を生成し、1、2、3、…、480行目の容量線132にそれぞれ供給するものである。
データ線駆動回路190は、制御回路20から供給されるスタートパルスDxおよびクロック信号Clxに基づいて、データ信号Vidをそれぞれ1、2、3、…、640列目のデータ線114に、それぞれデータ信号X1、X2、X3、…、X640としてサンプリングするものである。
なお、走査線駆動回路140、容量線駆動回路160およびデータ線駆動回路190の詳細については、それぞれ後述する。
【0012】
電気光学装置1には、映像データDaが、図示省略した上位装置から垂直同期信号Vs、水平同期信号Hsおよびドットクロック信号Clkに同期してフレーム単位で繰り返し供給される。この映像データDaは、例えば8ビットのディジタルデータであり、画素110の濃淡(階調レベル)を最も暗い「0」から最も明るい「255」までの256階調で指定する。
制御回路20は、垂直同期信号Vs、水平同期信号Hsおよびドットクロック信号Clkに基づいて、制御信号やクロック信号などを生成して各部を制御する。
メモリー30は、縦480行×横640列で配列する画素110の各々に対応した記憶領域をそれぞれ有する。なお、メモリー30の各記憶領域には、制御回路20による指示にしたがって、それぞれに対応する画素の映像データDaが格納される一方で、例えば1フレーム経過後に、液晶パネル100における書込走査に応じて第1フィールドおよび第2フィールドにおいて計2回、映像データDbとして読み出される構成となっている。
D/A変換回路40は、読み出された映像データDbを階調レベルに応じた電圧であって、かつ、極性指定信号Polによって指定された極性の電圧のデータ信号Vidに変換するものである。詳細には、D/A変換回路40は、極性指定信号Polによって正極性が指示されていれば電圧Vcを基準として高位側電圧に変換する一方、負極性が指示されていれば電圧Vcを基準として低位側電圧に変換し、データ信号Vidとして出力する。
【0013】
なお、電圧Vcは、データ信号Vidの振幅中心であり、画素110への書込極性の基準であって、後述する電源電圧VH、VL(図5、図9等参照)のほぼ中間電圧である。換言すれば、本実施形態では、データ信号Vidの極性については、電圧Vcよりも高位側を正極性とし、低位側を負極性としている。一方、電圧については、特に説明のない限り、電圧VL(=Gnd)を基準とする。
また、データ信号の極性を反転する理由は、画素を交流駆動するためである。本実施形態にあっては、後述するフィールドにわたってすべての画素を同一極性とし、かつ、フィールド毎に極性を反転させる面反転方式としている。
【0014】
図2は、画素110の等価回路を示す図であり、i行目及びこれに下方向で隣接する(i+1)行目と、j列目及びこれに右方向で隣接する(j+1)列目との交差に対応する2×2の計4画素分の構成が示されている。
ここで、i、(i+1)は、画素110が配列する行を一般的に示す場合の記号であって、1以上480以下の整数であり、j、(j+1)は、画素110が配列する列を一般的に示す場合の記号であって、1以上640以下の整数である。
【0015】
図2に示されるように、各画素110は、画素トランジスターとして機能するnチャネル型の薄膜トランジスター(thin film transistor:以下単に「TFT」と略称する)116と、液晶容量(画素容量)120と、補助容量130とを有する。
各画素110については互いに同一構成なので、i行j列に位置するもので代表して説明すると、当該i行j列の画素110において、TFT116のゲート電極はi行目の走査線112に接続される一方、そのソース電極はj列目のデータ線114に接続され、そのドレイン電極は、液晶容量120の一端である画素電極118及び補助容量130の一端にそれぞれ接続されている。
液晶容量120の他端は、コモン電極108に接続されている。コモン電極108は、図1に示されるように全ての画素110にわたって共通である。また、第1実施形態においては、コモン電極108には時間的に一定の電圧LCcomが外部から印加される構成となっている。
一方、補助容量130の他端はi行目の容量線132に接続されている。第1実施形態において、i行目の容量線132には、当該i行目の補助容量130の他端がそれぞれ共通接続されている。
【0016】
なお、図2において、Y(i)、Y(i+1)は、それぞれi、(i+1)行目の走査線112に供給される走査信号を示し、Com(i)、Com(i+1)は、それぞれi、(i+1)行目の容量線132に供給される容量信号を示している。また、Pix(i,j)、Pix(i+1,j)は、それぞれi行j列、(i+1)行j列の画素電極118補助容量130の一端)の電圧を識別するための記号である。Cpixは液晶容量120の容量値を表し、Csは補助容量130の容量値を表している。
【0017】
液晶パネル100は、特に図示しないが、画素電極118が形成された素子基板とコモン電極108が形成された対向基板との一対の基板同士を、電極形成面が互いに対向するように一定の間隙を保って貼り合わせるとともに、この間隙に例えばVA(Vertical Alignment)型の液晶105を挟持した構成となっている。このため、液晶容量120は、ノーマリーブラックモードに設定され、画素電極118とコモン電極108とによって誘電体の一種である液晶105を挟持して、画素電極118に印加されるデータ信号の電圧とコモン電極108に印加される電圧LCcomとの差に相当する電圧を保持することになる。
液晶容量120では、画素電極118およびコモン電極108によって生じる電界に応じて液晶105の配向状態が変化するので、液晶容量120は、保持電圧に応じた透過率となる。したがって、液晶パネル100では、液晶容量120毎に透過率が変化するので、当該液晶容量120が、表示すべき画像の最小単位である画素に相当することになる。ただし、本説明では便宜的または習慣的に、TFT116、液晶容量120および補助容量130を含めた回路を画素110と称している。
【0018】
次に、上位装置から供給される映像データDaと液晶パネル100の書込走査との関係について図3を参照して説明する。なお、この図において縦軸は、映像データDa、Dbが規定する画素の行を示し、横軸は、経過時間を示している。
映像データDaは、上位装置から垂直同期信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkに同期して、詳細には、1行1列〜1行640列、2行1列〜2行640列、3行1列〜3行640列、…、480行1列〜480行640列という順番で、画素毎に供給される。このため、1フレームにおける映像データDaの供給状態は、図3の(a)に示されるように、おおよそ右下がりの斜め線によって示される。
この映像データDaは、一旦メモリー30に格納され、1フレーム経過後に、1フレームにおいて2回、上位装置からの供給時よりも高い速度で読み出される。このため、図3の(b)に示されるように、映像データDbの供給を示す斜め線の傾きは、映像データDaの供給を示す傾きよりも大きくなる。
【0019】
なお、本説明において、フレームとは、1カット(コマ)分の映像データが上位装置から供給される期間をいい、垂直同期信号Vsの周波数が60Hzである場合、その1周期分の16.67ミリ秒の期間をいう。ここで、あるフレーム(「nフレーム」と表記する)の映像データDaが一旦メモリー30に格納された後に映像データDbとして読み出されるので、本実施形態では、映像データDaで規定されるフレームに対して、映像データDbで規定されるフレーム(液晶パネル100の書込走査を規定するフレーム)は遅延した関係となるが、フレームの時間長は同一である。
また、本実施形態において、映像データDbを1フレームにおいて2回読み出すので、1フレームが2つの期間に分割される。このうち、時間的に先の期間を第1フィールドと呼び、時間的に後の期間を第2フィールドと呼ぶことにする。
本実施形態において制御回路20は、図3の(c)に示されるように、極性指定信号Polを例えば第1フィールドにおいてHレベルとして正極性書込を指定し、第2フィールドにおいてLレベルとして負極性書込を指定する。
【0020】
次に、図4を参照して、走査線駆動回路140の構成について説明する。図4は、走査線駆動回路140の一例を示す回路図である。
この図に示されるように、走査線駆動回路140は、インバーター(NOT回路)141、142、複数セットのnチャネル型TFT143a、143b、143c、143d、複数のバッファー144および複数のAND回路145を有する。このうち、バッファー144およびAND回路145は、各行に対応して設けられている。
インバーター141は、制御回路20から供給されるクロック信号Clyの論理レベルを反転して、反転クロック信号/Clyとして出力し、インバーター142は、反転クロック信号/Clyの論理レベルを再反転して出力する。このため、インバーター142が出力するクロック信号の論理レベルは、クロック信号Clyと同一となる。
【0021】
TFT143a、143bは、偶数(0、2、4、…、478、480)行目に対応しても受けられ、TFT143c、143dは、奇数(1、3、5、…、479、481)行目に対応して設けられている。
なお、液晶パネル100においては、1〜480行目の走査線112が設けられるが、走査線駆動回路140においては、さらにダミーの0行目および481行目に対応している。ただし、この0行目および481行目は、液晶パネル100の垂直走査には何ら寄与しない。
【0022】
偶数行目において、TFT143aのソース電極は、原則的に、1行前の奇数行目に対応するTFT143dのソース電極に接続され、偶数行目に対応するTFT143a、143bのドレイン電極同士は、当該偶数行目に対応するバッファー144の入力端に共通接続されている。なお、最初の0行目に対応するTFT143aのソース電極は、例外的に、スタートパルスDyが供給される信号線146に接続されている。TFT143aのゲート電極には反転クロック信号/Clyが供給され、TFT143bのゲート電極にはクロック信号Clyが供給される。
一方、奇数行目に対応するTFT143cのソース電極は、1行前の偶数行目に対応するTFT143bのソース電極に接続され、奇数行目に対応するTFT143c、143dのドレイン電極同士は、当該奇数行目に対応するバッファー144の入力端に共通接続されている。TFT143cのゲート電極にはクロック信号Clyが供給され、TFT143dのゲート電極には反転クロック信号/Clyが供給される。
【0023】
偶数行目に対応するバッファー144の出力端は、自行に対応するTFT143bのソース電極および次行に対応するTFT143cのソース電極の接続点と、次行に対応するAND回路145の入力端の一方と、自行に対応するAND回路145の入力端の他方とに、それぞれ接続されている。
一方、奇数行目に対応するバッファー144の出力端は、自行に対応するTFT143dのソース電極および次行に対応するTFT143aのソース電極の接続点と、次行に対応するAND回路145の入力端の一方と、自行に対応するAND回路145の入力端の他方とに、それぞれ接続されている。ただし、ダミーの481行目に対応するバッファー144の出力端は、次の482行目が存在しないので、自行に対応するTFT143dのソース電極、および、自行に対応するAND回路481の入力端の他方にのみに接続されている。
また、0、1、2、3、…、480、481行目のバッファー145から出力される信号を、便宜的にそれぞれN0、N1、N2、N3、…、N480、N481と表記する。
【0024】
各行のAND回路145は、原則として、前行に対応するバッファー144の出力信号を入力端の一方に入力し、自行に対応するバッファー144の出力信号を入力端の他方に入力して、両者信号の論理積信号を出力する。ただし、最初の0行目に対応するAND回路145は、前行が存在しないので、例外的に、一方の入力端は信号線146に接続されて、スタートパルスDyと0行目に対応するバッファー144の出力信号との論理積信号を出力する。
なお、0、1、2、3、…、480、481行目のAND回路145から出力される論理積信号(パルス信号)が、それぞれ図示省略したバッファーを経て走査信号Y0、Y1、Y2、Y3、…、Y480、Y481として出力される。
【0025】
このような構成の走査線駆動回路140の動作について簡単に説明する。
クロック信号Clyが電源の低位側電圧VLに相当するLレベルであって、反転クロック信号/Clyが電源の高位側電圧VHに相当するHレベルであるとき、奇数行目においてTFT143cがオフ(ソース・ドレイン電極間が非導通状態)になり、TFT143dがオン(ソース・ドレイン電極間が導通状態)になる。このため、奇数行目のバッファー144は、自身の出力端が入力端に接続されることによって保持回路を構成することになる。一方、奇数行の次の偶数行目のTFT143aがオンするので、奇数行目のバッファー144によって保持された電圧状態は、当該奇数行の次の偶数行目におけるバッファー144からも出力されることになる。
次に、クロック信号ClyがHレベル(反転クロック信号/ClyがLレベル)になると、TFT143dがオフするので、奇数行目のバッファー144による保持動作が解除される。また、TFT143aもオフするので、当該偶数行よりも1行前の奇数行目のバッファー144の出力端が、当該偶数行のバッファー144の入力端に接続された状態も解除される。
一方、クロック信号ClyがHレベルであると、TFT143bがオンするので、今度は、偶数行目のバッファー144が保持回路を構成して、直前の電圧状態を保持することになる。また、TFT143cもオンするので、偶数行目のバッファー144によって保持された電圧状態は、当該偶数行の次の奇数行目におけるバッファー144からも出力されることになる。
【0026】
図5に示されるように、第1フィールドおよび第2フィールドの開始に先立ってスタートパルスDyが供給されると、当該スタートパルスDyのHレベルは、クロック信号ClyがLレベル(反転クロック信号/ClyがHレベル)であるときに0行目のTFT143aのオンによって取り込まれるため、0行目のバッファー144の出力である信号N0は、Hレベルになる。
次に、クロック信号ClyがHレベルになると、TFT143b、143cがオンするので、0行目のバッファー144は、直前の電圧状態であるHレベルの状態を保持するとともに、当該電圧状態が、1行目のバッファー144からも出力される。このため、信号N1がHレベルになる。
クロック信号Clyが再びLレベルになると、スタートパルスDyのLレベルの部分が0行目のTFT143aのオンによって取り込まれるため、信号N0はLレベルになる。また、TFT143a、143dがオンするので、1行目のバッファー144は、直前の電圧状態であるHレベルの状態を保持するとともに、当該電圧状態が、2行目のバッファー144から出力される。このため、信号N2がHレベルになる。
以下、このような動作が、クロック信号Clyの論理レベルが反転する毎に繰り返されるので、信号N1、N2、N3、…、N479、N480は、信号N0をクロック信号Clyの半周期分ずつ順次遅延させたものとなる。
【0027】
AND回路145は、自行よりも1行前のバッファー144による出力信号と、自行のバッファー144による出力信号との論理積信号を走査信号として出力する。このため、走査信号Y1は、信号N1のHレベルと信号N1のHレベルとの重複部分となり、以下、走査信号Y2、Y3、…、Y479、Y480は、走査信号Y1をクロック信号Clyの半周期分ずつ順次させたものとなる。
なお、図5において、期間F1aは、第1フィールドにおける液晶パネル100の垂直有効走査期間であり、第1フィールドの開始に先立って供給されたスタートパルスDyによって走査信号Y1がHレベルに変化してから走査信号Y480がLレベルに変化するまでの期間である。期間F1bは、第1フィールドにおける液晶パネル100の垂直帰線期間であり、第1フィールドの開始に先立って供給されたスタートパルスDyによって走査信号Y480がLレベルに変化してから第2フィールドの開始に先立って供給されたスタートパルスDyによって走査信号Y1がHレベルに変化するまでの期間である。
同様に、期間F2aは、第2フィールドにおける液晶パネル100の垂直有効走査期間であり、第2フィールドの開始に先立って供給されたスタートパルスDyによって走査信号Y1がHレベルに変化してから走査信号Y480がLレベルに変化するまでの期間である。期間F2bは、第2フィールドにおける液晶パネル100の垂直帰線期間であり、第2フィールドの開始に先立って供給されたスタートパルスDyによって走査信号Y480がLレベルに変化してから、次フレームの第1フィールドの開始に先立って供給されたスタートパルスDyによって走査信号Y1がHレベルに変化するまでの期間である。
【0028】
続いて説明の便宜上、図8を参照して、データ線駆動回路190の構成について説明する。図8は、データ線駆動回路190の一例を示す回路図である。
この図に示されるように、データ線駆動回路190は、サンプリング信号出力回路192と、データ線114毎に設けられるnチャネル型のTFT194とを有する。また、信号線196には、D/A変換回路40によって変換されたデータ信号Vidが供給される。
サンプリング信号出力回路192は、制御回路20から供給されるスタートパルスDxおよびクロック信号Clxに基づいて、各列に対応したサンプリング信号S1、S2、S3、…、S639、S640をそれぞれ出力するものである。
各列に設けられるTFT194は、そのソース電極が信号線196に接続され、そのドレイン電極が列に対応するデータ線114に接続され、そのゲート電極には、列に対応するサンプリング信号が供給される。したがって、ある列のサンプリング信号がHレベルになると、当該列のTFT194がオンして、信号線196に供給されたデータ信号Vidが当該列のデータ線114にサンプリングされる構成となっている。
【0029】
図9は、サンプリング信号出力回路192によって出力されるサンプリング信号S1、S2、S3、…、S639、S640の波形を示す図である。サンプリング信号出力回路192は、走査線駆動回路140と同様にして、スタートパルスDxをクロック信号Clxにしたがって順次転送し、サンプリング信号として出力する。このため、サンプリング信号S1、S2、S3、…、S639、S640は、クロック信号Clxの半周期分に相当するHレベルのパルスを、クロック信号Clxの半周期分ずつ順次遅延させたものとなる。
なお、図9においては、第1フィールドおよび第2フィールドに供給されるデータ信号Vidの電圧波形の一例も示されている。
図3に示したように第1フィールドにおいては正極性書込が指定されるので、図9に示されるように、第1フィールドのデータ信号Vidは、黒色に相当する電圧Vb(+)から白色に相当する電圧Vw(+)までの範囲であって、指定される階調レベルが高く(明るく)なるにつれて、電圧Vcよりも高位側の電圧になる。
また、第2フィールドにおいては負極性書込が指定されるので、データ信号Vidは、黒色に相当する電圧Vb(-)から白色に相当する電圧Vw(-)までの範囲であって、指定される階調レベルが高く(明るく)なるにつれて、電圧Vcよりも低位側の電圧になる。
【0030】
このような構成において、i行目の走査線112が選択されると、すなわちi行目の走査信号Y(i)がHレベルになると、当該走査線112にゲート電極が接続されたi行目のTFT116がすべてオンになって、画素電極118がデータ線114に電気的に接続された状態になる。このため、走査信号Y(i)がHレベルであるときに、1〜640列目のデータ線114に対し、それぞれ階調レベルに応じた電圧のデータ信号Vidをサンプリングさせると、当該データ信号Vidは、オンのTFT116を介して画素電極118に印加される。走査信号Y(i)がLレベルになると、TFT116はオフになるが、画素電極118に印加された電圧は、液晶容量120および補助容量130の容量性によって保持される。
このような動作が、第1フィールドにおいて、1行目から480行目まで順番に実行されるとともに、ある1行でいえば、1列目から640列目までの画素について実行される。第1フィールドにおいて各画素電極118には、階調レベルに応じた正極性電圧がそれぞれ印加されるので、各液晶容量120は、印加・保持電圧に応じた透過率となる。
第2フィールドおいても、同様に1行目から480行目まで順番に実行される。第2フィールドにおいて各画素電極118には、階調レベルに応じた負極性電圧がそれぞれ印加されるが、各液晶容量120が、印加・保持電圧に応じた透過率になることについては第1フィールドと同様である。
1フレームのうち、第1フィールドでは階調レベルに応じた正極性電圧が画素電極118に印加され、第2フィールドでは同じ階調レベルに応じた負極性電圧が当該画素電極118に印加されるので、当該1フレームにおいて液晶容量120の交流駆動が完結することになる。
【0031】
ところで、TFT116がオフであるときにおけるソース・ドレイン電極間の抵抗、すなわちオフ抵抗は、無限大であって無視できることが望ましいが、実際の液晶パネル100においては、当該オフ抵抗が無視できない。このため、TFT116がオンしたときに画素電極118に印加された電圧は、TFT116がオフに転じてから、リークによって時間経過とともに電圧LCcomに徐々に近づいてしまう、すなわち、液晶容量120の保持電圧は、実効値でみたときに低下してしまう現象が発生する。リークによる画素電極118の電圧変化方向は、正極性書込後であれば下降であり、負極性書込後であれば上昇である。また、リーク量(程度)は、正極性書込時と負極性書込時とで異なる場合が多い。
【0032】
このオフリークの影響について図19を参照して説明する。この図は、実施形態ではなく、1〜480行目の容量線132を、すなわち容量信号Com1〜Com480を、すべて電圧Vcomで一定に保った比較構成において発生するオフリークを示すための図である。また、この図は、i行j列の画素110における画素電極Pix(i,j)と、(i+1)行j列の画素110における画素電極Pix(i+1,j)との電圧変化を、それぞれに対応する走査信号Y(i)、Y(i+1)との関係において示す図でもある。
【0033】
ここで、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がHレベルになったときに、i行j列の階調レベルに応じた正極性のデータ信号が、j列目のデータ線114にサンプリングされているものとする。このときのデータ信号の電圧をVjとする。走査信号Y(i)がHレベルであれば、i行j列のTFT116がオンするので、液晶容量120の一端である画素電極Pix(i,j)は、同図に示されるように電圧Vjになる。次に、走査信号Y(i)がHからLレベルになったときに、画素電極Pix(i,j)の電圧は、i行j列のTFT116がオンからオフに変化したときのフィールドスルーによって電圧Vfだけ低下する。
ここで、フィールドスルーとは、TFT116がオンからオフに転じるときに、TFT116のゲート・ドレイン電極間の寄生容量に起因して、ドレイン電極に接続された画素電極118の電位が変化する現象をいう。当該現象は、「プッシュダウン」(TFTがnチャネル型である場合)、「突き抜け」などと呼ばれることもある。また、フィールドスルーによる電圧変化方向は、書込極性に関係なく一定方向であり、TFT116が本実施形態のようにnチャネル型であれば下降方向である。なお、TFT116がpチャネル型であれば、フィールドスルーによる電圧変化方向は、上昇方向である。
【0034】
画素電極Pix(i,j)の電圧は、TFT116のフィールドスルーによって電圧Vfだけ低下した後、TFT116のオフリークに起因して時間経過とともに徐々に下降する。
第2フィールドにおいて走査信号Y(i)がHレベルになったときに、画素電極Pix(i,j)は、i行j列の階調レベルに応じた負極性のデータ信号の電圧になる。次に、画素電極Pix(i,j)の電圧は、走査信号Y(i)がHからLレベルになったときに、TFT116のフィールドスルーによって電圧上昇し、さらに、TFT116のオフリークに起因して時間経過とともに徐々に上昇することになる。
なお、次の(i+1)行目では、i行目に対して一水平走査期間(H)だけ遅延した動作となる。
【0035】
このように液晶容量120の保持電圧がオフリークによって低下すると、表示ムラや、直流成分の印加による液晶105の劣化などの原因になる。
そこで、第1実施形態では、第1に、オフリークによる液晶容量120の保持電圧の低下を、容量線132の電圧変化によって補償して、オフリークの影響を小さくさせる構成とした。ここで、TFT116のオフリークが発生する期間は、図19に示されるように、i行目でいえば走査信号Y(i)がLレベルである期間であり、(i+1)行目でいえば走査信号Y(i+1)がLレベルである期間であるから、行毎に異なる。このため、各行に対して、オフリークの影響を均等に小さくするためには、行毎に容量線132を電圧変化させる構成としなければならない。
そこで、第1実施形態では、第2に、容量線駆動回路160に行毎に単位回路170を設けて、対応する容量線132への電圧を個別に変化させる構成とした。
【0036】
図6は、容量線駆動回路160のうち、1行分の容量線132を駆動するための単位回路170の構成を示す回路図であり、図7は、単位回路170における動作を説明するための電圧波形図である。なお、図6および図7では、当該単位回路170がi行目に対応しているものとしている。
まず、図6に示されるように、単位回路170には、遅延回路1702と、バッファー1704と、NOR回路1706、インバーター1708、T−FF(トグル型フリップフロップ)1710、nチャネル型のTFT1720、1722、1724、1726、1730、1732、1734、1736が含まれる。
i行目の単位回路170では、当該i行目の走査信号Y(i)が、遅延回路1702と、NOR回路1706のうち一方の入力端と、T−FF1710の反転クロック入力端(CL)とにそれぞれ供給されている。
遅延回路1702は、入力信号に対し時間量Taだけ遅延させ、その遅延信号D(i)を、バッファー1704の入力端とNOR回路1706のうち他方の入力端とにそれぞれ供給する。本実施形態において時間量Taは、後述するように、走査信号がLレベルに変化してから、当該変化によるカップリングノイズ等の影響が無視できる程度となるまでの時間に設定されている。遅延回路1702の出力信号は、バッファー1704を介し、TFT1722、1732の共通ゲート電極に供給される。
ここで、バッファー1704では、出力信号の論理レベルを入力信号の論理レベルから変化させないので、バッファー1704から出力される信号の論理レベルは、遅延回路1702による遅延信号D(i)と同視している。
【0037】
NOR回路1706は、走査信号Y(i)と、当該走査信号Y(i)の遅延信号D(i)との否定論理和信号を求め、当該否定論理和信号を、i行目の選択信号L(i)としてTFT1726のゲート電極に供給する。インバーター1708は、NOR回路1706による否定論理和信号の論理レベルを反転した信号を、すなわち走査信号Y(i)と遅延信号D(i)との論理和信号を、i行目の選択信号R(i)としてTFT1736のゲート電極に供給する。したがって、選択信号L(i)、R(i)の論理レベルは、互いに排他的になるので、TFT1726、1736は、一方がオンしていれば他方がオフし、一方がオフしていれば他方がオンする関係になる。
【0038】
T−FF1710のトグル(T)入力端には、制御回路20からリセット信号Rstが供給されている。なお、このリセット信号Rstは、電源投入後にHレベルに維持されている。このため、走査信号Y(i)が電源投入後に初めてHからLレベルに立ち下がったときに、T−FF1710の正転出力端QはHレベルに変化し、以後、走査信号Y(i)が、HからLレベルに立ち下がる毎に、正転出力端Qから出力される論理レベルが反転する構成となっている。ここで、T−FF1710の正転出力端Qからの出力信号がi行目の選択信号Sel(i)として、TFT1724のゲート電極に供給され、反転出力端/Qからの出力信号がi行目の選択信号/Sel(i)として、TFT1734のゲート電極に供給されている。このため、TFT1724、1734についても、一方がオンしていれば他方がオフし、一方がオフしていれば他方がオンする関係になる。
【0039】
TFT1720のソース電極は、電源の高位側電圧VHの給電線に接続され、そのドレイン電極が、TFT1722のドレイン電極とTFT1724のソース電極とに接続されている。便宜的に、TFT1724のソース電極(TFT1720、1722のドレイン電極)を端子Npと表すと、端子Npには容量Cpが寄生している。
一方、TFT1730のソース電極は、電源の低位側電圧VLの給電線に接続され、すなわち接地され、そのドレイン電極が、TFT1732のドレイン電極とTFT1734のソース電極とに接続されている。同様に、TFT1734のソース電極(TFT1730、1732のドレイン電極)を端子Nmと表すと、端子Nmには容量Cmが寄生している。
TFT1720のゲート電極およびTFT1730ゲート電極は、それぞれLレベルに相当する電圧VLの給電線に接地されている。このため、TFT1720およびTFT1730は、常時オフである。TFT1724のドレイン電極とTFT1734のドレイン電極とは、TFT1726のソース電極に共通接続されている。
【0040】
外部から供給される電圧Vcomは、単位回路170においてTFT1722、1732、1736の各ソース電極にそれぞれ印加される。便宜的にTFT1722、1732、17363の各ソース電極の接続点を端子Nrとする。
i行目の単位回路170において、TFT1726、1736のドレイン電極は、i行目の容量線132に接続されている。
【0041】
i行目の容量線132に供給される容量信号Com(i)の電圧は、TFT1726、1736における排他的なオンオフに応じて定まる。詳細には、TFT1736がオンしていれば、端子Nrの電圧Vcomとなり、TFT1726がオンしていれば、さらにTFT1724、1734における排他的なオンオフに応じて端子Npまたは端子Nmのいずれか一方の電圧となる。
換言すれば、TFT1736のソース電極が端子Nrに接続され、TFT1726のソース電極がTFT1724を介した端子NpまたはTFT1734を介した端子Nmのいずれかに接続されることになるので、TFT1736、1726は、端子Nr(第1端子)、又は、端子Np若しくは端子Nm(第2端子)を選択して、容量線132に接続するセレクター172として機能することになる。
【0042】
次に、TFT1726、1736のいずれかがオンになるかについては走査信号Y(i)のみによって定まる。詳細には、選択信号R(i)がHレベル(選択信号L(i)がLレベル)になって、TFT1736がオン、TFT1726がオフするのは、走査信号Y(i)または当該走査信号Y(i)を時間量Taだけ遅延させた遅延信号D(i)がHレベルとなる期間、すなわち図7に示されるように、走査信号Y(i)がHレベルに立ち上がってから、当該走査信号Y(i)がLレベルに立ち下がって時間量Taだけ経過した時点までの期間である。
なお、この期間は、i行目の容量線132が端子Nrに接続されるという意味で、図7において「Nr」と表記している。
【0043】
一方、選択信号R(i)がLレベル(選択信号L(i)がHレベル)になって、TFT1736がオフ、TFT1726がオンするのは、当該期間以外の期間、すなわち走査信号Y(i)がLレベルに立ち下がって時間量Taだけ経過した時点から、再び走査信号Y(i)がHレベルに立ち上がるまでの期間である。
TFT1726のオンする期間では、上述したようにTFT1724、1734のいずれかがオンになる。当該期間において、TFT1724、1734のいずれかがオンになるかについては、次に説明するように第1フィールドであるか第2フィールドであるかによって定まる。
T−FF1710では、上述したように、トグル(T)入力端に供給されたリセット信号Rstが電源投入後にHレベルに維持されるので、走査信号Y(i)が電源投入後に初めてHからLレベルに立ち下がったときに制御信号Sel(i)がHレベルになり、以後、走査信号Y(i)が、HからLレベルに立ち下がる毎に、論理レベルが反転する構成となっている。
液晶パネル100に対する書込走査において、時間的に先が第1フィールドであり、後が第2フィールドである。このため、走査信号Yi)が電源投入後に初めてHからLレベルに立ち下がるときは、第1フィールドであり、次に走査信号Y(i)がHレベルからLレベルに立ち下がるときは、第2フィールドとなるように規定される。以降、このパターンが繰り返される。
このため、図7に示されるように、選択信号Sel(i)は、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルに立ち下がったときに、Hレベルに変化し、この後、次の第2フィールドにおいて走査信号Y(i)が再びLレベルに立ち下がったときに、Lレベルに変化する。反対に選択信号/Sel(i)は、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルに立ち下がったときに、Lレベルに変化し、この後、次の第2フィールドにおいて走査信号Y(i)が再びLレベルに立ち下がったときに、Hレベルに変化する。
【0044】
ここで、端子Np、Nmの電圧について説明する。遅延信号D(i)がHレベルになると、TFT1722、1732がオンするので、端子Np、Nmには、それぞれ電圧Vcomがセットされる。この後、遅延信号D(i)がLレベルになると、TFT1722、1732がオフする。TFT1720、1730はそれぞれ常時オフであるが、それぞれオフリークが発生している。このため、端子Npは、TFT1720のオフリークによって、TFT1722のオフから時間が経過するにつれて、セットされた電圧Vcomから徐々に上昇し、反対に、端子Nmは、TFT1730のオフリークによって、TFT1732のオフから時間が経過するにつれて、セットされた電圧Vcomから徐々に下降することになる。
【0045】
したがって、i行目の容量信号Com(i)の電圧は、図7に示されるようになる。
すなわち、容量信号Com(i)は、まず、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がHレベルに立ち上がってから、Lレベルに立ち下がって時間量Taだけ経過するまでの期間、TFT1736のオンによって電圧Vcomに固定される。このため、i行目の画素110に対し、走査信号Y(i)がHレベルとなって正極性電圧を書き込む選択期間にあっては、i行目の容量線132が電圧Vcomから変動しないので、液晶容量120に対して正確に電圧が書き込まれるとともに、この書き込み時に補助容量130を介したカップリングノイズが容量線132に伝搬しても、その影響が当該容量線に及ぼさないようになっている。
次に、容量信号Com(i)は、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルに立ち下がって時間量Taだけ経過すると、TFT1724、1726のオンによってi行目の容量線132が端子Npに接続されるので、時間経過とともに電圧Vcomから徐々に上昇する。なお、この電圧上昇期間は、図7において「Np」と表記している。
続いて、容量信号Com(i)は、第2フィールドにおいて走査信号Y(i)がHレベルに立ち上がると、TFT1736のオンによって再び電圧Vcomになる。以後、走査信号Y(i)がLレベルに立ち下がって時間量Taだけ経過するまでの期間、TFT1736のオンが継続するので、電圧Vcomに固定され続ける。
そして、容量信号Com(i)は、第2フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルに立ち下がって時間量Taだけ経過すると、TFT1734、1726のオンによってi行目の容量線132が端子Nmに接続されるので、時間経過とともに電圧Vcomから徐々に下降する。なお、この電圧下降期間は、図7において「Nm」と表記している。
ここで、時間量Taを無視していえば、容量信号Com(i)は、第1フィールドにおいて、走査信号Y(i)がHレベルであるときに電圧Vcomとなり、走査信号Y(i)がLレベルになれば電圧Vcomから徐々に上昇し、第2フィールドにおいて走査信号Y(i)がHレベルであるときに再び電圧Vcomとなり、走査信号Y(i)がLレベルになれば電圧Vcomから徐々に下降する、ということになる。
【0046】
単位回路170は、実際には、1、2、3、…、480行目に対応して設けられる。このため、容量信号Com1、Com2、Com3、…、Com480は、図10に示されるように走査信号Y1、Y2、Y3、…、Y480に応じた電圧波形となる。
【0047】
次に、容量線132を走査信号に合わせて行毎に電圧変化させたときの効果について図11を参照して説明する。図11は、i行j列の画素110における画素電極Pix(i,j)と、(i+1)行j列の画素110における画素電極Pix(i+1,j)との電圧変化を、それぞれに対応する走査信号Y(i)、Y(i+1)との関係において示す図である。
【0048】
なお、比較のために、図19の実線で示したオフリークの電圧変化を、図11においては破線で示している。なお、走査線の選択期間における動作は、図19と同じである。すなわち、走査信号Y(i)がHレベルであれば、i行j列のTFT116がオンするので、液晶容量120の一端である画素電極Pix(i,j)は、図11に示されるようにそれぞれ電圧Vjになる。
一方、走査信号Y(i)がHレベルであるとき、i行目の単位回路170においてTFT1736がオンするので、当該i行目の容量信号Com(i)は電圧Vcomとなる。一方、第1実施形態においてコモン電極108は走査信号Y(i)に関係なく電圧LCcomで一定である。このため、i行j列における液晶容量120には電圧(Vj−LCcom)が充電され、補助容量130には電圧(Vj−Vcom)が充電される。
なお、走査信号Y(i)がHからLレベルになったときに、画素電極Pix(i,j)は、i行j列のTFT116がオンからオフに変化したときのフィールドスルーによって電圧Vfだけ低下する。
【0049】
第1実施形態では、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルになったときに、i行目の単位回路170においてTFT1724がオンする。さらに走査信号Y(i)がLレベルになって時間量Taだけ経過した後、i行目の単位回路170においてTFT1726がオンし、TFT1736がオフするので、容量信号Com(i)の電圧は、図11で示されるように、時間経過とともに電圧Vcomから徐々に上昇する。このときの容量信号Com(i)における電圧Vcomからの上昇変化分を、電圧変化開始タイミングからの経過時間の関数ΔV(t)で表すことにする。
容量信号Com(i)は、時間経過とともに電圧Vcomから徐々に上昇するのに対し、コモン電極108は電圧LCcomで一定であるので、液晶容量120に蓄えられた電荷は、補助容量130に移動する。詳細には、画素110における液晶容量120と補助容量130との直列接続では、液晶容量120の他端(コモン電極)が電圧一定に保たれたまま、補助容量130の他端が電圧VcomからΔV(t)だけ上昇するので、画素電極118の電圧も、容量比に応じて上昇する方向に働く。
すなわち、当該直列接続点である画素電極Pix(i,j)の電圧は、
(Vj−Vf)+{Cs/(Cs+Cpix)}・ΔV(t)
となる。
このため、第1実施形態において、容量信号Com(i)の電圧上昇は、画素電極Pix(i,j)の電圧を、データ信号の電圧Vjからフィールドスルーによる電圧Vfだけ低下した電圧(Vj−Vf)を起点として、i行目の容量線132の電圧変化分ΔV(t)に容量比{Cs/(Cs+Cpix)}を乗じた値だけ(時間経過とともに徐々に)上昇させる方向に作用させることになる。
一方で、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルであるときのTFT116のオフリークは、画素電極Pix(i,j)の電圧を、電圧(Vj−Vf)を起点として時間経過とともに徐々に下降させる方向に作用させている。
【0050】
結局、第1実施形態では、第1フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルになると、i行j列の画素において、i行目の容量線132の電圧上昇による作用は、オフリークによる電圧下降の作用を相殺させていることになる。したがって、第1実施形態によれば、画素電極Pix(i,j)は、図11において実線で示されるように、走査信号Y(i)がLレベルに変化した時点以後、電圧変動がほぼゼロとなるように補償されるので、破線で示されるようなオフリークによる電圧変動が抑えられる。
第2フィールドにおいては、フィールドスルーを除けば、電圧の変化方向が第1フィールドと反対方向になる。詳細には、i行j列の画素では、第2フィールドにおいて走査信号Y(i)がLレベルになると、i行目の容量線132の電圧下降と、オフリークによる電圧上昇とが互いに相殺し合うので、同様にオフリークによる電圧変動が抑えられる。
なお、第1実施形態において、容量信号Com(i+1)は、容量信号Com(i)に対して一水平走査期間(H)だけ遅延することを除けば、(i+1)行目ではi行目と同様な動作が実行される。また、ここでは、i行目と(i+1)行目とで代表して説明したが、第1フィールドおよび第2フィールドの各々において、それぞれ1〜480行目の順番で実行される。
【0051】
このように第1実施形態によれば、第1フィールドの正極性書込後においてTFT116のオフリークに起因する液晶容量120の保持電圧の低下は、容量線132による電圧上昇によって、また、第2フィールドの負極性書込後においてTFT116のオフリークに起因する液晶容量120の保持電圧の低下は、容量線132による電圧下降によって、それぞれ相殺される。このため、TFT116のオフリークによる影響を抑えることが可能となる。
また、容量線の電圧変化は、パルス的ではなく、時間経過とともになだらかに変化するように与えているので、画素における容量成分や抵抗成分によって、画素の上下左右位置に応じて偏りが生じてしまう現象が抑えられる。
【0052】
ところで、フィールドスルーによる電圧変化は、nチャネル型のTFT116であれば、書込極性に関係なく下降方向である。一方で、第1実施形態では、オフリークによる電圧変動がほぼゼロとなるように補償されている。このため、フィールドスルーによる電圧変化分を相殺するように、コモン電極108の電圧LCcomを、図11に示されるように電圧基準Vcに対して若干低位側に設定すると、正極性書込によって液晶容量120に印加される電圧実効値と、負極性書込によって液晶容量120に印加される電圧実効値とをほぼ等しくして、直流成分の印加によるフリッカーや、いわゆる焼き付き現象の発生を抑えることも可能となる。
【0053】
ただし、実際の液晶パネル100において、非選択期間での液晶容量120の保持電圧を変動させる要因としては、オフリークやフィールドスルーのほかにも、素子基板と対向基板との極性差や、液晶105それ自体が有する抵抗成分などが挙げられる。また、フィールドスルーについては、TFT116だけでなく、データ線114にデータ信号をサンプリングするTFT194でも発生する。
したがって、これらの要因による液晶容量120の保持電圧の変動を相殺するように、容量線132の電圧変化特性を定めることが望ましい。例えば、正極性書込後におけるオフリークやフィールドスルーなどによる変動分を相殺するように、TFT1720のオフリーク特性や、端子Npに付加する容量を定めても良い。また、TFT1720のソース電極に電圧VHではなく、他の電圧を印加しても良い。一方、負極性書込後における変動分を相殺するように、TFT1730のオフリーク特性や、端子Nmに付加する容量を定めても良い。同様に、TFT1730のソース電極に電圧VLではなく、他の電圧を印加しても良い。
このように第1実施形態では、正極性書込後の保持電圧の変動分を相殺するための特性と、負極性書込後の保持電圧の変動分を相殺するための特性とを、それぞれ個別に設定することができるので、高精度な補償が可能となる。
【0054】
さらに、第1実施形態によれば、走査信号がHからLレベルに立ち下がったとき(厳密にいえばLレベルに立ち下がって時間量Taだけ経過したとき)から、次に走査信号がHレベルに立ち上がるまでの期間にわたって容量線の電圧を変化させる動作を、各容量線に対して設けられた単位回路170によって行毎に、それぞれ実行する構成となっている。このため、TFT116のオフリークに起因した保持電圧の低下を相殺する期間が、各行のそれぞれにおいて走査線の選択が終了してから走査線が再び選択されるまでの期間となって、各行にわたって揃えられる。したがって、第1実施形態では、例えば画面の走査線位置によって明るさが異なってしまうような表示ムラを抑えることも可能となる。
また、1つの単位回路170が1行の容量線132を駆動する構成であるので、単位回路170における駆動負荷についても、同時に複数本の容量線132を駆動する構成と比較して、小さくて済む。
【0055】
くわえて、単位回路170においては、セットされた電圧Vcomを、常時オフのTFT1720、1730のオフリークを用いて変化させることによって、容量線132の電圧を変化させる構成となっている。このため、TFT1720、1730のオフリーク特性が画素110のTFT116におけるオフリーク特性を模擬するように、TFT1720、1730を設計すると、TFT116のオフリークに起因する液晶容量120の保持電圧の低下を、容量線132による電圧上昇によって精度良く相殺することが可能となる。
【0056】
また、単位回路170にあっては、i行目でいえば、走査信号Y(i)がHからLレベルに変化して時間量Taだけ経過したときにコモン信号Com(i)を電圧Vcomから変化させている。ここで、走査信号Y(i)がLレベルの変化したときと同時に、コモン信号Com(i)の電圧変化を開始させる構成にすると、走査線112の電圧変化によるカップリングノイズが容量線132の電圧に影響を及ぼす可能性がある。このため、第1実施形態では、走査信号Y(i)がLレベルの変化して時間量Taが経過したときに、すなわち、走査線112の電圧変化によるカップリングノイズが十分に収束したと考えられるときに、コモン信号Com(i)の電圧変化を開始させる構成としているのである。この構成によって第1実施形態では、走査線112の電圧変化によるカップリングノイズが容量線132の電圧に悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0057】
なお、第1実施形態では、容量線132を1行ずつ駆動する構成としたが、複数行の容量線132をまとめて、あるいは、全容量線132を一括して駆動する構成としても良い。詳細には、複数行の走査線について選択終了後に当該複数行の容量線を同じように電圧変化させても良いし、すべての走査線についての選択終了後に、すなわち垂直帰線期間に全行の容量線を同じように電圧変化させても良い。
ただし、複数行の容量線132をまとめて駆動する構成では、当該複数行同士でみて保持電圧の相殺について差が発生するし、また、全容量線132を一括して駆動する構成においても、特に最初の1行目と最終の480行目とで保持電圧の相殺について差が大きくなり、画面の走査線位置によって明るさが異なってしまう表示ムラが発生しやすくなる。
もっともメモリー30からの読み出しを高速化して、垂直有効走査期間に対する垂直帰線期間の比率を大きくすれば、このような差を緩和して、上記表示ムラの発生を抑えることがことができる。
【0058】
また、第1実施形態では、各行の単位回路170において、第1フィールドであるか、第2フィールドであるかについて、走査信号が立ち下がり毎にT−FF1710の出力信号の論理レベルを反転させてTFT1724、1734のいずれかをオンさせる構成とした。この構成に限られず、第1フィールドであるか、第2フィールドであるかを区別する信号を、単位回路170以外の外部から、例えば制御回路20から、供給する構成として、当該を用いてTFT1724、1734のいずれかを排他的にオンさせる構成としても良い。
【0059】
第1実施形態では、すべての画素110を、第1フィールドにおいて正極性に、第2フィールドにおいて負極性に、それぞれ駆動する面反転方式としたが、走査線112の行毎に極性を反転させるライン反転方式としても良いし、走査線112の行およびデータ線114の列毎に極性を反転させるドット反転方式としても良い。
ここで例えば、第1フィールドにおいて奇数行の画素1行分を正極性に、偶数行の画素1行分を負極性にそれぞれ駆動するとともに、第2フィールドにおいて書込極性を反転するライン反転方式とする場合、極性指定信号Polの論理レベルをそれぞれの極性に合わせて変更するとともに、容量線駆動回路160において、奇数行の単位回路170を第1実施形態と同様とし、偶数行の単位回路において、TFT1724のゲート電極およびTFT1734のゲート電極に供給する選択信号を入れ替えた構成とすれば良い。
さらに、ドットライン反転方式とする場合、次のように構成すれば良い。すなわち、第1に、1行の走査線112に対し、第1容量線および第2容量線の計2本を設けるとともに、第1容量線および第2容量線の各々に対して単位回路170を個別に設ける。第2に、奇数行奇数列および偶数行偶数列の画素110に対して第1容量線を対応させ、奇数行偶数列および偶数行奇数列の画素110に対して第2容量線を対応させる。第3に、第1フィールドにおいて奇数行奇数列およびを偶数行偶数列の画素を正極性に、奇数行偶数列および偶数行奇数列の画素を負極性にそれぞれ駆動するとともに、第2フィールドにおいて書込極性を反転する場合、極性指定信号Polの論理レベルをそれぞれの極性に合わせて変更するとともに、各行については、第1容量線に対して上記ライン反転方式とする場合の奇数行の単位回路による容量信号を供給し、第2容量線に対して上記ライン反転方式とする場合の偶数行の単位回路による容量信号を供給する構成とすれば良い。
この構成では、第1容量線に対する電圧変化方向は、第1フィールドで上昇方向であり、第2フィールドで下降方向になり、第2容量線に対する電圧変化方向は、反対に、第1フィールドで下降方向であり、第2フィールドで上昇方向になる。ここで例えば、第1容量線に対する電圧変化方向を、第1フィールドおよび第2フィールドでそれぞれ上昇方向に固定し、第2容量線に対する電圧変化方向を、第1フィールドおよび第2フィールドでそれぞれ下降方向に固定するとともに、画素110毎に、いずれか一方の容量線を極性に合わせて選択するスイッチ(またはセレクター)を設ける構成としても良い。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置について説明する。図12は、第2実施形態に係る電気光学装置10bの全体的な構成を示すブロック図である。この図に示される電気光学装置10bが、図1に示した第1実施形態に係る電気光学装置10aと相違する点は、主に次の点である。
すなわち、液晶容量120の保持電圧変化を相殺するために、第1実施形態に係る電気光学装置10aでは、行毎に設けられた容量線132を、非選択期間において電圧変化させる構成であったのに対し、第2実施形態に係る電気光学装置10bでは、各行にわたって共通のコモン電極108を各フィールドの垂直帰線期間において電圧変化させる構成とした点において、第2実施形態は第1実施形態と相違する。
【0061】
この相違点に起因して、第2実施形態では、第1実施形態における容量線駆動回路160の替わりにコモン電極駆動回路200が設けられている。このコモン電極駆動回路200は、コモン電極108に対してコモン信号Vcnを供給するものである。なお、詳細については後述する。
【0062】
また、第2実施形態では、画素110の回路構成が変更される一方で、走査線112に対をなすように制御線134が行方向に沿ってそれぞれ設けられるとともに、これらの制御線134を制御するための補助容量制御回路180が設けられている。
このうち、補助容量制御回路180は、1、2、3、…、480行に対応して設けられる制御線134に対して、それぞれ補助容量制御信号Shz1、Shz2、Shz3、…、Shz480を供給するものである。なお、この第2実施形態において補助容量制御回路180は、制御回路20から供給されるセット信号Setをバッファリングして出力する機能のみを有する。また、第2実施形態において1〜480行目の容量線132には、時間的に一定の電圧Vcomが外部から共通に印加される構成となっている。さらに、第1実施形態では用いられなかったダミーの走査信号Y481が、第2実施形態においてはコモン電極駆動回路200に供給される構成となっている。
【0063】
ここで、説明の便宜上、第2実施形態における画素110の構成について図13を参照して説明する。図13は、第2実施形態における画素110の等価回路を示す図であり、図2と同様に、i行目及び(i+1)行目と、j列目及び(j+1)列目との交差に対応する2×2の計4画素分の構成が示されている。
図13に示される画素110が図2に示した構成と相違する点は、補助容量130の他端と容量線132との間において、TFT136が電気的に介挿されている点にある。ここで、i行j列に位置するもので代表して説明すると、当該i行j列の画素110において、nチャネル型のTFT136のゲート電極は、i行目の制御線134に接続される一方、その一端電極(ソース電極またはドレイン電極のいずれか一方)は補助容量130の他端に接続され、その他端電極(ソース電極またはドレイン電極のいずれか他方)は、i行目の容量線132に接続されている。
したがって、第2実施形態において補助容量130の他端は、TFT136がオンのときに容量線132に接続され、TFT136がオフであるときに電気的にどの部分にも接続されていないハイ・インピーダンス状態になる。
なお、図13において、Shz(i)、Shz(i+1)は、それぞれi、(i+1)行目の容量線132に供給される補助容量制御信号を示している。
【0064】
次に、第2実施形態におけるコモン電極駆動回路200について説明する。図14は、コモン電極駆動回路200の構成を示す回路図であり、図15は、コモン電極駆動回路200の動作を説明するための電圧波形図である。
なお、第1実施形態において、容量線132毎に単位回路170が設けられたが、第2実施形態においてコモン電極108は、各行の画素110に対して共通なので、1つのコモン電極駆動回路200のみが設けられる。
このため、図14および図15において、選択信号には、単位回路170とは異なり、行を特定するための「(i)」という記号が付与されていない。
【0065】
さて、図14に示されるように、コモン電極駆動回路200には、走査線駆動回路140から最終480行目の走査信号Y480と、ダミーの481行目の走査信号Y481とが供給されるとともに、制御回路20から第1実施形態と同様なリセット信号Rstと、新たなセット信号Setとが供給される。
ここで、コモン電極駆動回路200が図6に示した単位回路170と相違する点は、第1に、T−FF1710の反転クロック入力端に走査信号Y480が供給される点と、第2に、TFT1722、1732のゲート電極に、走査信号Y480を遅延回路1702によって時間量Taだけ遅延させた遅延信号D480が供給される点と、第3に、TFT1726、1736の各ゲート電極に対してそれぞれ選択信号を供給する回路が、RS−FF(リセット・セット・フリップフロップ)1750である点と、第4に、端子Nrに電圧LCcomが給電される点とである。
【0066】
そこで、これらの相違部分を中心に説明する。
まず、T−FF1710の反転クロック入力端には走査信号Y480が供給される。このため、T−FF1710の正転出力端Qから出力される選択信号Selは、図15に示されるように、第1フィールドにおいて走査信号Y480がLレベルに立ち下がったとき、すなわち最終480行目の走査線112の選択が終了して垂直帰線期間F1bが開始するとき、Hレベルに変化し、この後、次の第2フィールドにおいて走査信号Y480が再びLレベルに立ち下がったとき、すなわち垂直帰線期間F2bが開始するとき、Lレベルに変化する。反対にT−FF1710の反転出力端/Qから出力される選択信号/Selは、第1フィールドにおいて走査信号Y480がLレベルに立ち下がったときに、Lレベルに変化し、この後、次の第2フィールドにおいて走査信号Y480が再びLレベルに立ち下がったときに、Hレベルに変化する。
なお、第1フィールドおよび第2フィールドにおいて遅延信号D480がHレベルであれば、TFT1722、1732がオンして、端子Np、Nmが電圧LCcomにそれぞれセットされる。
【0067】
次に、遅延回路1740は、走査信号Y481を時間量Taだけ遅延させて、遅延信号D481としてRS−FF1750のリセット入力端(R)に供給する。インバーター1742は、セット信号Setの論理レベルを反転して、その反転信号/SetをRS−FF1750のセット入力端(S)に供給する。RS−FF1750は、正転出力端Qからの出力信号を選択信号RとしてTFT1736のゲート電極に供給し、反転出力端/Qからの出力信号を選択信号LとしてTFT1726のゲート電極に供給する。
RS−FF1750は、リセット入力端(R)に供給された遅延信号D481がLからHレベルになったときに、正転出力端QをLレベル(反転出力端/QをHレベル)にリセットし、セット入力端(S)に供給された信号/SetがLからHレベルになったときに、正転出力端QをHレベル(反転出力端/QをLレベル)にセットする。
ここで、制御回路20は、セット信号Setを図16に示されるように、第1フィールドおよび第2フィールドの開始直前に、Lレベルのパルスとして出力する。このため、反転信号/Setは、図15に示されるように、垂直帰線期間F1b、F2bの終了直前に、Hレベルのパルスとなる。
【0068】
したがって、選択信号Rは、第1フィールドとして走査信号Y1がHレベルとなる直前に反転信号/SetがHレベルになったタイミング(図においてXのタイミング)から、当該第1フィールドにおいて走査信号Y480がHからレベルに変化し時間量Taだけ経過するまでの期間にわたって、Hレベルとなる。選択信号RがHレベルである期間では、TFT1726がオフし、TFT1736がオンするので、コモン電極108が端子Nrに接続される結果、コモン信号Vcnは電圧LCcomに固定される。
次に、選択信号Lは、第1フィールドにおいて走査信号Y480がHからレベルに変化し時間量Taだけ経過してから、反転信号/SetがHレベルになるまでの期間にわたって、Hレベルになる。このため、TFT1726がオンする。また、第1フィールドにおいて走査信号Y480が立ち下がったときに、選択信号SelがHレベルになる。このため、TFT1724がオンする。よって、コモン電極108が端子Npに接続される結果、コモン信号Vcnは、セットされた電圧LCcomから時間経過とともに徐々に上昇することになる。
【0069】
続いて、選択信号Rは、第2フィールドとして走査信号Y1がHレベルとなる直前に反転信号/SetがHレベルになってから、当該第2フィールドにおいて走査信号Y480がHからレベルに変化し時間量Taだけ経過するまでの期間にわたって、Hレベルとなる。このため、コモン信号Vcnは再び電圧LCcomに固定される。
次に、選択信号Lは、当該第2フィールドにおいて走査信号Y480がHからレベルに変化し時間量Taだけ経過してから、次に反転信号/SetがHレベルになるまでの期間にわたって、Hレベルになる。このため、TFT1726がオンする。また、第2フィールドにおいて走査信号Y480が立ち下がったときに、選択信号/SelがHレベルになる。このため、今度は、TFT1734がオンする。よって、コモン電極108が端子Nmに接続される結果、コモン信号Vcnは、電圧LCcomから時間経過とともに徐々に下降することになる。
【0070】
このため、コモン信号Vcnは、図16に示されるように、第1フィールドのおおよそ垂直有効走査期間F1aでは電圧LCcomに固定され、おおよそ垂直帰線期間F1bにおいて電圧LCcomから時間経過とともに徐々に上昇し、第2フィールドのおおよそ垂直有効走査期間F2aでは再び電圧LCcomに固定され、おおよそ垂直帰線期間F2bにおいて電圧LCcomから時間経過とともに徐々に下降するような電圧波形となる。
なお、時間量Taは無視できるほどに小さいので、図16(および図17)において、コモン信号Vcnは、走査信号Y480がLレベルになったときに電圧LCcomから変化するように記載している。
【0071】
次に、垂直帰線期間にコモン電極108を電圧変化させたときの効果について図17を参照して説明する。図17は、最初の1行目とj列目とに対応する画素電極Pix(1,j)と、最終の480行目とj列目とに対応する画素電極Pix(480,j)との電圧変化を、それぞれに対応する走査信号Y1、Y480との関係において示す図である。
第1フィールドにおいて最初の行に対応する走査信号Y1がHレベルになったとき、1行j列では、TFT116のオンによって画素電極Pix(1,j)には、データ信号Xjの正極性電圧Vjが印加される。走査信号Y1がHからLレベルになったときに、画素電極Pix(1,j)は、TFT116がオンからオフに変化したときのフィールドスルーによって電圧Vfだけ低下する。
このような正極性電圧の書込動作が、順次走査信号Y2、Y3、Y4、…、Y479がHレベルになることによって、2、3、4、…、479行目の画素110について行われる。
ただし、第2実施形態では、各行の容量線132は電圧Vcomで一定であり、コモン電極108は垂直帰線期間に至らないと、電圧変化しないので、画素電極の電圧は、選択期間が終了してから、すなわち対応する走査信号がLレベルに変化してから、オフリークによって徐々に低下する。
第1フィールドにおいて最終行に対応する走査信号Y480がHレベルになったとき、画素電極Pix(480,j)は、TFT116のオンによって、データ信号Xjの正極性電圧となる。走査信号Y480がHからLレベルになると、画素電極Pix(480,j)は、フィールドスルーによって電圧Vfだけ低下する。
【0072】
ここで、走査信号Y480がLレベルになって時間量Taだけ経過すると、コモン信号Vcnは、電圧LCcomから上昇を開始する。
第2実施形態において、容量線132は電圧Vcomで一定であるので、各画素110における液晶容量120と補助容量130との直列接続では、補助容量130の他端が電圧一定に保たれたまま、液晶容量120の他端であるコモン電極108が電圧Vcomから上昇することになる。
コモン信号Vcnの電圧変化開始タイミング、すなわち、走査信号Y480がLレベルになって時間量Taだけ経過したタイミングにおける画素電極の電圧をVkとする。また、コモン信号Vcnにおいて、電圧Vcomから上昇変化分を、コモン信号Vcnの電圧変化開始タイミングからの経過時間の関数ΔV(t)とすると、画素電極118の電圧は、
Vk+{Cpix/(Cs+Cpix)}・ΔV(t)
と表すことができる。
このため、第2本実施形態では、コモン信号Vcnの電圧上昇は、画素電極118の電圧を、コモン信号の電圧変化分ΔV(t)に容量比{Cpix/(Cs+Cpix)}を乗じた値だけ時間経過とともに徐々に上昇させる方向に作用させることになる。
一方で、第1フィールドにおけるTFT116のオフリークは、画素電極の電圧を時間経過とともに徐々に下降させる方向に作用させている。
結局、第2実施形態では、第1フィールドの垂直帰線期間F1bにおけるコモン電極108の電圧上昇は、オフリークによる電圧下降を相殺させることになる。したがって、第2実施形態によれば、図17において実線で示されるように、垂直帰線期間F1bにおいて画素電極の電圧変動がほぼゼロとなるように補償されるので、破線で示されるようなオフリークによる電圧変動を抑えることができる。
【0073】
ところで、垂直帰線期間F1bの終了直前、すなわち走査信号Y1がHレベルとなる直前において、セット信号SetがLレベルになると、その反転信号/SetがHレベルになるので、コモン信号Vcnは電圧LCcomに戻る。このとき、各画素110では、TFT136がオフなるので、補助容量130の他端は容量線132から電気的に切り離されてハイ・インピーダンス状態になる。このため、コモン電極108が電圧上昇過程から電圧LCcomに変化しても、液晶容量120の保持電圧に影響を与えることはない。ただし、コモン電極108が電圧LCcomに変化するのに伴って、画素電極の電圧も低下している。
なお、第2フィールドにおいては、オフリークによる電圧の変化方向が第1フィールドと反対方向になる。第2フィールドの垂直帰線期間F2bでは、コモン電極108が電圧LCcomから時間経過とともに徐々に下降するので、オフリークによる電圧上昇を相殺させることになる。このため、垂直帰線期間F2bにおいても、画素電極の電圧変動がほぼゼロとなるように補償して、オフリークによる電圧変動を抑えることができる。
【0074】
このように第2実施形態によれば、オフリークに起因する液晶容量120の保持電圧の低下は、正極性電圧が書き込まれる第1フィールドであれば、垂直帰線期間F1bにおけるコモン電極108の電圧上昇によって、また、負極性電圧が書き込まれる第2フィールドであれば、垂直帰線期間F2bにおけるコモン電極108の電圧下降によって、それぞれ相殺される。このため、TFT116のオフリークによる影響を抑えることが可能となる。
なお、コモン電極の電圧変化は、パルス的ではなく、時間経過とともになだらかに変化するように与えているので、画素における容量成分や抵抗成分によって、画素の上下左右位置に応じて偏りが生じてしまう現象も抑えられる。
【0075】
ところで、第1実施形態では、容量線132の電圧を、行毎に、行に対応する走査信号に合わせて変化させているので、オフリークに起因した保持電圧の低下を相殺する期間が、各行のそれぞれにおいて走査線の選択が終了してから走査線が再び選択されるまでの期間となり、各行にわたって揃えられる。
これに対して、第2実施形態では、すべての画素110に共通のコモン電極108の電圧を垂直帰線期間に変化させているので、非選択期間に対して保持電圧の低下を相殺する期間の占める相対位置が、行毎に異なる。例えば最初の1行目の画素では、1行目の選択終了後、選択2〜480行目の選択が完了してからコモン電極の電圧が変化するので、保持電圧の低下を相殺する期間は、非選択期間に対して後端側で占めることになる。一方、最終の480行目の画素では、選択が完了してから直ちにコモン電極の電圧が変化するので、保持電圧の低下を相殺する期間は、非選択期間に対し前端側で占めることになる。
このように第2実施形態では、TFT116がオフしてからコモン電極の電圧変化開始するまでの時間が、行毎に異なるので、オフリークの進行についても差が発生する。このため、第2実施形態では、画面の走査線位置によって明るさが異なってしまうような表示ムラが、第1実施形態と比較して発生しやすい。
しかしながら、第2実施形態においても、全容量線132を一括して駆動する場合と同様に、メモリー30からの読み出しを高速化して、垂直有効走査期間に対する垂直帰線期間の比率を大きくすれば、このような表示ムラを抑えることができる。さらに、第2実施形態では、1つのコモン電極駆動回路200がコモン電極108を駆動する構成であるので、行毎に単位回路170を有する第1実施形態の容量線駆動回路160と比較して、構成が簡略化される。
【0076】
第2実施形態においても、オフリークだけでなく、フィールドスルーに起因した液晶容量120の保持電圧の変動を相殺するように、コモン電極108の電圧変化特性を正極性および負極性のそれぞれ個別に設定することが望ましいのは、第1実施形態と同様である。
ところで、第2実施形態における画素110の構成(図13参照)については、特開2009−75300号公報の図5と同一である。このため、TFT116、TFT194のフィールドスルーを相殺するにあたっては、同公報に記載された技術を用いる一方で、オフリークについては、コモン電極の電圧変化によって相殺する構成としても良い。このような構成とするには、補助容量制御回路180に、セット信号Setとともに走査信号Y1〜Y480を供給して、これらの論理レベルから補助容量制御信号Shz1〜Shz480を個別に生成する構成とすれば良い。
【0077】
なお、上述した第1および第2実施形態のいずれにおいても、1フレームを第1フィールドおよび第2フィールドに分けて、それぞれ正極性書込および負極性書込を実行する構成としたが、1フレームを例えば4以上の偶数個のフィールドに分けて、正極性書込と負極性書込とを交互に実行しても良い。また、フィールドに分けないで例えば奇数フレームおよび偶数フレームに分けて正極性書込と負極性書込とを交互に実行しても良い。いずれにしても、走査線の選択回数をT−FF1710によってカウントし、そのカウント結果の奇数、偶数に応じて、容量線132またはコモン電極108を、正極性書込後のオフリークを相殺するように電圧上昇させるか、負極性書込後のオフリークを相殺するように電圧下降させるか、について選択する構成であれば良い。
また、容量線駆動回路160や補助容量制御回路180については、走査線駆動回路140とは反対側に設けても良い。
上述した第1および第2実施形態のいずれにおいても、液晶容量120は、透過型に限られず、反射型であっても良い。さらに、液晶容量120は、ノーマリーブラックモードに限られず、例えばTN方式として、電圧無印加時において液晶容量120が白状態となるノーマリーホワイトモードとしても良い。
【0078】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置10a、10bを適用した電子機器の一例として、プロジェクターを例にとって説明する。図18は、このプロジェクターの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0079】
このプロジェクター2100では、実施形態に係る電気光学装置が、R色、G色、B色のそれぞれに対応して3組設けられる。そして、R色、G色、B色のそれぞれに対応する映像データがそれぞれ上位回路から供給されて、各色に対応するデータ信号Vidに変換される構成となっている。ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの構成は、上述した液晶パネル100と同様であり、R色、G色、B色のそれぞれに対応する映像データに応じて駆動される。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
【0080】
ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R色、G色、B色のそれぞれに対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
【0081】
なお、電子機器としては、図18を参照して説明したプロジェクターの他、電子ビューファインダーや、リヤ・プロジェクション型のテレビジョン、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0082】
10a、10b…電気光学装置、20…制御回路、30…メモリー、40…D/A変換回路、100…液晶パネル、105…液晶、108…コモン電極、110…画素、112…走査線、114…データ線、116…TFT、118…画素電極、120…液晶容量、130…補助容量、132…容量線、140…走査線駆動回路、160…容量線駆動回路、170…単位回路、172…セレクター、190…データ線駆動回路、200…コモン電極駆動回路、2100…プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線と、
前記走査線に電気的に接続されたトランジスターと、
前記トランジスターに対応して画素に設けられた補助容量と、を備えた電気光学装置の駆動回路であって、
前記走査線を選択する走査線駆動回路と、
前記走査線の選択期間に、前記補助容量に電気的に接続された容量線に所定の電位を供給すると共に、前記走査線の非選択期間に、前記画素の階調が変化しないように、前記容量線の電位を変化させる容量線駆動回路と
を備えることを特徴とする電気光学装置の駆動回路。
【請求項2】
前記容量線駆動回路は、前記走査線の非選択期間に、前記容量線の電位を前記所定の電位との電位差の絶対値が大きくなる方向に変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動回路。
【請求項3】
前記電気光学装置は、
第2走査線と、前記第2走査線に電気的に接続された第2トランジスターと、前記第2トランジスターに対応して第2画素に設けられた第2補助容量と、を備え、
前記走査線駆動回路は、前記走査線に続いて前記第2走査線を選択し、
前記容量線駆動回路は、前記第2走査線の選択期間に、前記第2補助容量に電気的に接続された第2容量線に所定の電位を供給すると共に、前記第2走査線の非選択期間に、前記第2画素の階調が変化しないように、前記第2容量線の電位を変化させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置の駆動回路。
【請求項4】
前記容量線駆動回路は、
前記走査線の選択が終了して所定の時間経過したときに、前記容量線に対し前記所定の電位からの変化を開始する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動回路。
【請求項5】
前記容量線駆動回路は、
前記容量線に対して設けられ、第1端子または第2端子のいずれかを選択するセレクターを有し、
前記走査線の選択が開始してから、前記走査線の選択が終了して所定の時間経過するまで前記第1端子を選択し、前記走査線の選択が終了して所定の時間量経過したときから前記第2端子を選択し、
前記第1端子には、前記所定の電位が印加され、
前記第2端子には、オフのトランジスターが接続されると共に、前記走査線の選択が終了して所定の時間経過するまで、前記所定の電位がセットされる
ことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の駆動回路。
【請求項6】
前記容量線駆動回路は、
前記補助容量の1対の電極のうち前記容量線と接続されていない側の電極の電位が、前記容量線の所定の電位よりも高い場合は、前記所定の電位から時間経過とともに前記所定の電位に対して上昇するように変化させ、
前記補助容量の1対の電極のうち前記容量線と接続されていない側の電極の電位が、前記容量線の所定の電位よりも低い場合は、前記所定の電位から時間経過とともに前記所定の電位に対して下降するように変化させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動回路。
【請求項7】
走査線と、
前記走査線に電気的に接続されたトランジスターと、
前記トランジスターに対応して画素に設けられた補助容量と、前記補助容量と並列に設けられ、画素電極とコモン電極とを有する画素容量と、を備えた電気光学装置の駆動回路であって、
前記走査線を選択する走査線駆動回路と、
前記走査線の選択期間に、前記コモン電極に所定の電位を供給すると共に、前記走査線の非選択期間に、前記画素の階調が変化しないように、前記コモン電極の電位を変化させるコモン電極駆動回路と
を備えることを特徴とする電気光学装置の駆動回路。
【請求項8】
走査線と、
前記走査線に電気的に接続されたトランジスターと、
前記トランジスターに対応して画素に設けられた補助容量と、
前記走査線を選択する走査線駆動回路と、
前記走査線の選択期間に、前記補助容量に電気的に接続された容量線に所定の電位を供給すると共に、前記走査線の非選択期間に、前記画素の階調が変化しないように、前記容量線の電位を変化させる容量線駆動回路と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置を有する
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−145798(P2012−145798A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4670(P2011−4670)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】