説明

電気光学装置、電気光学装置の駆動方法および電子機器

【課題】カラー化や多階調化が図れ、表示特性が良好な表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る表示装置は、第1電極〔CE〕と第2電極〔PE〕との間に、帯電粒子である第1色粒子〔R〕、第2色粒子〔G〕および第3色粒子〔B〕を分散させた液体を封入し、第1電極と前記第2電極間に電圧を印加することにより、第1、第2および第3色粒子を移動させる表示装置であって、第1および第2色粒子は、帯電符号が同じ〔-〕であり、第3色粒子は、第1および第2色粒子と帯電符号が逆〔+〕であり、第1色粒子の駆動電圧は第1電圧〔+5V〕であり、第2色粒子の駆動電圧は、前記第1電圧より大きい第2電圧〔+15V〕である。かかる構成によれば、第1〜第3色粒子を個別に表示側に移動させることができ、表示のカラー化を図ることができる。また、明粒子と暗粒子を分散させた液体を封入した副画素を併用することにより多階調化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、特に、帯電粒子を用いた電気光学装置およびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体中に帯電粒子を分散させた分散系に電界を作用させると、帯電粒子は、クーロン力により液体中で移動(泳動)する。この現象を電気泳動といい、この電気泳動を利用して、所望の情報(画像)を表示させる電気泳動表示装置が新たな表示装置(電気光学装置)として注目を集めている。
【0003】
しかしながら、現行の電気泳動表示装置は、モノクロが主流であり、また、階調性に乏しいため、カラー化と多階調化が求められている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、着色されたR、G、Bのカラーフィルタにおいて、着色されていない透明の部分を設けることにより、色再現性と、白色輝度の向上を図る技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−279572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、電気泳動表示装置(電子ペーパー)に関する研究開発を行っており、装置のカラー化と多階調化による装置特性の向上を検討している。
【0006】
電子ペーパーのカラー化の方法としては、上記カラーフィルタを用いた方法(RGBのカラーフィルタ方式)があるが、この場合入射光の利用効率は、原理的に1/3になってしまう。
【0007】
よって、反射型ディスプレイである電子ペーパーにおいては、表示が暗くなり、見づらくなってしまう。また、純粋な赤(または緑、青)、いわゆる単色を表示しようとしても、1画素内の1/3の副画素しか赤にならないため、色純度が低くなってしまう。
【0008】
これに対し、明るさの改善のために上記特許文献1に記載のように、R、G、Bのカラーフィルタにおいて、着色されていない透明の部分を設ける構成(RGBWのカラーフィルタ方式)も提案されているが、この場合、単色の表示を行えるのは1画素内の1/4になってしまう。
【0009】
よって、本発明に係る具体的態様は、カラー化や多階調化が図れ、表示特性が良好な電気光学装置の構成やその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電気光学装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に封入された液体と、を含み、前記液体には、前記第1電極と前記第2電極との間に引加された電圧によって移動する複数の種類の帯電粒子が分散されており、前記複数の種類の帯電粒子は、第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子を含み、前記第1および第2色粒子は、帯電符号が同じであり、前記第3色粒子は、前記第1および第2色粒子と帯電符号が逆であり、前記第1色粒子の駆動電圧は第1電圧であり、前記第2色粒子の駆動電圧は、前記第1電圧より大きい第2電圧であることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、第1〜第3色粒子を個別に表示側に移動させることができ、表示のカラー化を図ることができる。特に、単色を表示する場合の表示面積が向上し、色純度が良好となる。
【0012】
例えば、前記第1、第2および第3色粒子は、光の3原色である赤系粒子、緑系粒子および青系粒子である。
【0013】
前記電気光学装置は、前記第1、第2および第3色粒子を分散させた液体を封入した第1副画素と、明粒子と暗粒子を分散させた液体を封入した第2副画素とを、一の画素中に有する。このように、明粒子と暗粒子を分散させた液体を封入した第2副画素を併用することにより多階調化が可能となり、さらに、表示特性を向上させることができる。
【0014】
例えば、前記画素は、第1方向および前記第1方向と直交する第2方向にアレイ状に配置され、前記第1副画素と第2副画素とは、第1方向に隣接して配置され、前記画素は、第1方向に走査される。また、例えば、前記画素は、一の正方形の画素であり、第1方向が短辺である長方形の第1副画素と第2副画素とからなる。また、例えば、前記画素は、第1方向および前記第1方向と直交する第2方向にアレイ状に配置され、前記第1副画素と第2副画素とは、第2方向に隣接して配置され、前記画素は、第1方向に走査される。また、例えば、前記画素は、一の正方形の画素であり、第2方向が短辺である長方形の第1副画素と第2副画素とからなる。このように、第1副画素と第2副画素を走査方向と直交する方向に隣接させても良いし、走査方向に隣接させてもよい。また、各画素を一の正方形の画素とし、この画素を第1、第2副画素に分割してもよい。
【0015】
本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、第1電極と第2電極との間に、帯電粒子である第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子であって、前記第1および第2色粒子は、帯電符号が同じであり、前記第3色粒子は、前記第1および第2色粒子と帯電符号が逆であり、前記第1色粒子の駆動電圧は第1電圧であり、前記第2色粒子の駆動電圧は、前記第1電圧より大きい第2電圧である第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子を、分散させた液体を封入した電気光学装置の駆動方法であって、前記第2色粒子のみを前記第1電極側に表示させる場合には、前記第1電極側に第1および第2色粒子を移動させ、前記第2電極側に第3色粒子を移動させた後、前記第2電極側に第1色粒子を移動させる。
【0016】
かかる方法によれば、帯電符号が同じである第1および第2色粒子のうち、第2色粒子を表示することができる。
【0017】
本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、第1電極と第2電極との間に、帯電粒子である第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子であって、前記第1および第2色粒子は、帯電符号が同じであり、前記第3色粒子は、前記第1および第2色粒子と帯電符号が逆であり、前記第1色粒子の駆動電圧は第1電圧であり、前記第2色粒子の駆動電圧は、前記第1電圧より大きい第2電圧である第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子を、分散させた液体を封入した電気光学装置の駆動方法であって、前記第1色粒子を前記第1電極側に表示させる場合には、前記第2電極側に第1および第2色粒子を移動させ、前記第1電極側に第3色粒子を移動させた後、第1電極側に第1色粒子を移動させるとともに第2電極側に第3色粒子を移動させる。
【0018】
かかる方法によれば、帯電符号が同じである第1および第2色粒子のうち、第1色粒子を表示することができる。
【0019】
例えば、前記第1、第2および第3色粒子は、光の3原色である赤系粒子、緑系粒子および青系粒子である。
【0020】
前記電気光学装置は、前記第1、第2および第3色粒子を分散させた液体を封入した第1副画素と、明粒子と暗粒子を分散させた液体を封入した第2副画素とを、一の画素中に有する。このように、明粒子と暗粒子を分散させた液体を封入した第2副画素を併用することにより多階調化が可能となり、さらに、表示特性を向上させることができる。
【0021】
本発明に係る電子機器は、上記電気光学装置を有する。かかる構成によれば、電子機器の特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0023】
<実施の形態1>
(電気泳動表示装置の構成)
図1は、本実施の形態の電気泳動表示装置(電気光学装置)のアクティブマトリクス基板の構成例を示す回路図である。図1に示すように、アクティブマトリクス基板は、複数のデータ線DLと、複数の走査線SLとを有し、これらの交点に、副画素(SP1、SP2)がマトリクス状に配置される。本実施の形態においては、追って詳細に説明するように、色相用の副画素と、明度用の副画素を用いて一つの画素(表示)を構成する。色相用の副画素(SP1)においては、電気泳動用液体3Aを有し、明度用の副画素(SP2)においては、電気泳動用液体3Bを有する。また、各副画素は、画素電極PE、トランジスタTおよび保持容量Csを有している。この画素電極PEと共通電極CEとの間に、上記電気泳動用液体(3A、3B)が配置されている。また、データ線DLはデータ線駆動回路により駆動され、走査線SLは走査線駆動回路により駆動される。
【0024】
図2は、本実施の形態の電気泳動表示装置の構成を示す断面図である。図2に示すように、アクティブマトリクス基板S1の画素電極PEと、対向基板(透明基板)S2の共通電極CEとの間には、電気泳動用液体(3A、3B)が配置されている。なお、上記トランジスタTや保持容量Csは、アクティブマトリクス基板S1中に形成されているが、図2においては省略されている。
【0025】
電気泳動用液体(3A、3B)は、帯電粒子(電気泳動粒子)を含有する分散液であり、当該液体を画素電極PEと共通電極CEの間に封入することにより電気泳動表示装置が構成されている。
【0026】
電気泳動用液体3Aは、分散液に、色相用の帯電粒子(色粒子)として、赤粒子R、緑粒子G、青粒子Bが混合されている。また、電気泳動用液体3Bは、分散液に明度用の帯電粒子として、白粒子(明粒子)WHおよび黒粒子(暗粒子)BKが混合されている。これらの液体間は、例えば、障壁5により分離されている。
【0027】
なお、カプセル本体(殻体)内に電気泳動用液体が封入された電気泳動カプセルを用いてもよい。この場合、電極間に電気泳動カプセルがバインダにより接着され層状となって配置される。カプセル本体(殻体)は、例えば、樹脂よりなる。
【0028】
(電気泳動表示装置の駆動方法)
1.各副画素の駆動方法
例えば、図2に示す画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧を印加すると、これらの間に生じる電界にしたがって、帯電粒子(R、G、BやWH、BK)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
【0029】
副画素SP2について、例えば、図2に示す白粒子WHとしてプラス帯電(正荷電)を有するものを用い、黒粒子BKとしてマイナス帯電(負荷電)のものを用いた場合、画素電極PEを負電位とすると、白色粒子は、画素電極PE側に移動して集まる。一方、黒粒子は、共通電極CE側に移動して集まる。逆に、画素電極PEを正電位とすると、白粒子は、共通電極CE側に移動して集まる。一方、黒粒子は、画素電極PE側に移動して集まる。
【0030】
図3は、本実施の形態の副画素SP1とSP2を組み合わせた場合の多階調のカラースケールを示す図である。ここで、上記帯電粒子(WH、BK)の帯電量や、泳動性にばらつきを持たせることにより、印加電圧(電極間の電位差)により、白から黒までのクレースケール表示が得られる(図3(A)参照)。また、上記ばらつきがない場合でも、電圧の印加時間(即ち、黒表示の時間と白表示の時間割合)を制御することにより中間調(グレースケール)を得ることができる。また、上記印加電圧と印加時間の双方を制御することにより中間調を調整してもよい。
【0031】
副画素SP1においては、印加電圧を制御することにより、赤粒子R、緑粒子G、青粒子Bのいずれかを共通電極CE側に移動させることにより、赤、緑、青の3色の表示を切り替えることができる(図3(B)参照)。
【0032】
よって、副画素SP1と副画素SP2との面積が鑑賞者との距離に対して十分に小さければ、図3(C)に示すように、多階調のカラー表示が可能となる。副画素SP1と副画素SP2との面積については、例えば、携帯電話や電子ブック等の手元で操作する機器であれば、画素ピッチは400μm角以下(63.5dpi以上)がよい。望ましくは200μm以下が良い。もちろんその他のサイズや用途に応じて画素ピッチは適宜調整するのが望ましい。また、副画素SP1と副画素SP2との面積比は、1:1でも良いし、それ以外でもよい。例えば、副画素SP1の面積が相対的に大きければ色純度が増し、副画素SP2の面積が相対的に大きければ白黒表示のコントラストが増す。
【0033】
次いで、副画素SP1における、赤表示、緑表示および青表示の方法(駆動方法)について詳細に説明する。図4〜図6は、本実施の形態の電気泳動表示装置の副画素SP1の駆動方法を示す図である。
【0034】
ここでは、赤粒子R、緑粒子Gが、マイナス帯電、青粒子Bがプラス帯電であるとする。また、マイナス帯電の赤粒子R、緑粒子Gにおいて、駆動に必要な電圧(電極間の電位差)は、赤粒子Rが5V、緑粒子Gが15Vであるとする。ここで、赤粒子Rは、より好ましくは、他の粒子と比較し、電圧に対する応答速度および泳動速度が大きいものとする。また、プラス帯電の青粒子Bの駆動に必要な電圧は5Vとする。例えば、粒子の構成材料や表面修飾、粒子径などを調整することにより赤粒子R、緑粒子Gおよび青粒子Bに、各特性を持たせることができる。
【0035】
図4に示すように、赤表示から緑表示を行うには、まず、画素電極PEに−15V、共通電極CEに0Vを印加することにより、緑粒子Gを共通電極CE側に移動させる。この際、共通電極CE側には、赤粒子Rおよび緑粒子Gが存在し、中間色(この場合、黄色)が表示される。次いで、画素電極PEに5V、共通電極CEに0Vを印加することにより、赤粒子Rを画素電極PE側に移動させ、緑粒子Gのみを共通電極CF側に留まらせ、緑表示を行う。なお、共通電極CEの電位は、0Vで固定されているため、以降、画素電極PEの電位についてのみ説明する。
【0036】
青表示から緑表示を行うには、まず、画素電極PEに−15Vを印加することにより、赤粒子Rを共通電極CE側に移動させるとともに、青粒子Bを画素電極PE側に移動させる。この際、共通電極CE側には、赤粒子Rおよび緑粒子Gが存在し、中間色(この場合、黄色)が表示される。次いで、画素電極PEに5Vを印加することにより、赤粒子Rを画素電極PE側に移動させ、緑粒子Gのみを共通電極CF側に留まらせ、緑表示を行う。
【0037】
図5に示すように、緑表示から赤表示を行うには、まず、画素電極PEに15Vを印加することにより、青粒子Bを共通電極CE側に移動させるとともに、緑粒子Gを画素電極PE側に移動させる。次いで、画素電極PEに−5Vを印加することにより、青粒子Bを画素電極PE側に移動させるとともに、赤粒子Rを共通電極CE側に移動させ、赤表示を行う。
【0038】
青表示から赤表示を行うには、画素電極PEに−5Vを印加することにより、青粒子Bを画素電極PE側に移動させるとともに、赤粒子Rを共通電極CE側に移動させ、赤表示を行う。当該変化においては、1ステップで赤表示を行うことが可能であるが、緑表示から赤表示を行う場合と同様に、画素電極PEに15Vを印加した後、画素電極PEに−5Vを印加する2ステップ駆動としてもよい。この場合、前色の履歴(緑であったか青であったか)を記憶させ、駆動の際に考慮する必要がなく、制御が容易となる。
【0039】
図6に示すように、赤表示から青表示を行うには、画素電極PEに5Vを印加することにより、赤粒子Rを画素電極PE側に移動させるとともに、青粒子Bを共通電極CE側に移動させ、青表示を行う。また、緑表示から青表示を行うには、画素電極PEに15Vを印加することにより、緑粒子Gを画素電極PE側に移動させるとともに、青粒子Bを共通電極CE側に移動させ、青表示を行う。
【0040】
このように、帯電符号が逆の粒子は、1ステップ駆動が可能であるが、帯電符号が同じ2つの粒子(R、G)は、1ステップ目において双方の粒子を同一電極側へ移動させたのち、2ステップ目で、双方の粒子の駆動電圧の差によりいずれか一方を移動させる駆動(2ステップ駆動)が好ましい。なお、泳動速度が大きい赤粒子Rのみを選択的に画素電極PE側に引き寄せるため、また泳動速度の小さい緑粒子Gを共通電極CE側へ引き寄せないため、2ステップ目の画素電極PEへの電圧印加を短いパルス電圧で行ってもよい。即ち、駆動電圧が異なるとはいえ同符号の帯電粒子を使用するため、2ステップ目で同符号の帯電粒子(ここでは、緑粒子G)が動いてしまう恐れがある。これを最小限に抑えるため、1ステップ目は十分な時間をとって遅い緑粒子Gを引き寄せ、2ステップ目は短い時間で赤粒子Rのみを引き寄せよる。また、別の言い方をすれば、このような駆動に合うよう、緑粒子Gを遅くし、赤粒子Rとの移動度に差を持たせる。
【0041】
また、上記においては、マイナス帯電の粒子を2つ、プラス帯電の粒子を1つとしたが、マイナス帯電の粒子を1つ、プラス帯電の粒子を2つとしてもよい。また、赤粒子R、青粒子Bおよび緑粒子Gのうち、いずれをマイナス帯電の粒子とするか、また、プラス帯電の粒子とするかは適宜調整可能であり、図4〜図6に示すものに限られるものではない。また、上記においては、駆動電圧や印加電圧を5Vと15Vに設定したが、これに限定されるものではなく、帯電符号が同じ2つの粒子において、駆動に必要な電圧が異なっていればよい。
【0042】
2.アレイの駆動方法
次いで、副画素がアレイ状に配置された表示領域について、赤表示、緑表示および青表示の方法(駆動方法)をタイミングチャートを用いて詳細に説明する。図7は、本実施の形態の副画素の配置(アレイ)を示す図である。図8〜11、図13および図14は、本実施の形態の緑表示のタイミングチャートである。図12は、本実施の形態の他の副画素の配置(アレイ)を示す図である。図15および図16は、本実施の形態の赤表示のタイミングチャートである。図17は、本実施の形態の青表示のタイミングチャートである。
【0043】
2−1.緑表示について
図7に示すように、本実施の形態の副画素SP1(RGB)、SP2(WHBK)は、x方向(行方向)に隣接して配置され、1画素を構成する(図1参照)。ここで、走査方向をy方向(列方向)とし、アレイにおける1回の走査(スキャン)の時間を1フレーム(1F)とする。
【0044】
図8(A)に示すように、緑表示を行う場合には、入力信号(IN)として、画素電極PEに−15Vのパルスを印加した後、5Vのパルスを印加する。この場合、1行選択時間はt1であり、各パルスの期間の和となる。この後、次のフレームで再度同様のパルスを印加してもよい。なお、図8(B)に、各パルスの印加時における前述の副画素SP1のR,G,Bの様子を併記した。
【0045】
図8(A)においては、−15Vのパルスと5Vのパルスを同じ期間としたが、図9(A)に示すように、5Vのパルスの期間と−15Vのパルスの期間の比を変化させてもよい。ここでは、1:2とした。
【0046】
また、図9(B)に示すように、1行選択期間(t1)において、−15Vのパルスと5Vのパルスを複数回交互に印加(反復駆動)してもよい。
【0047】
また、図10(A)に示すように、緑表示を行う場合において、第1のフレーム(最初のフレーム)で、画素電極PEに−15Vのパルスを印加し、第2のフレーム(次のフレーム、2回目のフレーム)で、5Vのパルスを印加してもよい。この場合、アレイの2回の走査で、緑表示が行われる。この後、次の2フレームで再度同様のパルスを印加してもよい。なお、図10(B)に、各パルスの印加時における前述の副画素SP1のR,G,Bの様子を併記した。また、この2回走査の場合も、図11に示すように、第1のフレームでの−15Vのパルスの期間と、第2のフレームでの5Vのパルスの期間の比を変えてもよい。
【0048】
また、図12においては、副画素SP1(RGB)とSP2(WHBK)は、y方向に隣接して配置され、1画素を構成する。即ち、走査方向において、副画素SP1(RGB)行と、副画素SP2(WHBK)行とが交互に配置されている。かかるアレイにおいて、副画素SP2(WHBK)行の駆動が第1のフレームで終了した場合、第2のフレームにおいては、副画素SP1(RGB)行のみを選択すればよいため、図13に示すように、第2のフレームが1/2フレームに短縮される。図13は、−15Vのパルスと5Vのパルスを同じ期間とした場合を示し、図14(A)は、これらのパルスの期間の比を変化させた場合を示す。さらに、図14(B)に示すように、5Vのパルスの期間の短縮に対応して1行選択時間(t1)を変化させ、ここでは、1/2とした場合には、第2のフレームをさらに短く1/4とすることができる。
【0049】
2−2.赤表示について
図15(A)および(B)に示す、青表示から赤表示を行う場合には、前述のとおり、入力信号(IN)として、画素電極PEに−5Vのパルスを印加すればよい。一方、図15(C)および(D)に示す、緑表示から赤表示を行う場合には、前述のとおり、入力信号(IN)として、画素電極PEに15Vのパルスを印加した後、−5Vのパルスを印加する必要がある。前述のとおり、履歴を考慮して、赤表示を制御しても良いが、履歴に関わらず、図15(C)に示すパルスで赤表示を行ってもよい。
【0050】
図16(A)は、2回の走査で、赤表示を行う場合のタイミングチャートで、第1のフレームで、画素電極PEに15Vのパルスを印加し、第2のフレームで、−5Vのパルスを印加する。また、図16(B)は、図12に示すアレイにおいて、第2のフレームで副画素SP1(RGB)行のみを選択した場合のタイミングチャートである。この場合も、第2のフレームが1/2フレームに短縮される。
【0051】
2−3.青表示について
図17(A)および(B)に示す、緑表示から青表示を行う場合には、前述のとおり、入力信号(IN)として、各フレームにおいて、画素電極PEに15Vのパルスを印加すればよい。一方、図17(C)および(D)に示す、赤表示から青表示を行う場合には、前述のとおり、入力信号(IN)として、各フレームにおいて、画素電極PEに5Vのパルスを印加すればよい。この場合も、履歴を考慮して、15Vのパルスと5Vのパルスを使い分けてもよいが、履歴に関わらず、15Vのパルスを印加し、青表示を行ってもよい。なお、履歴を考慮して、5Vのパルスを併用した場合、消費電力の低減を図ることができる。
【0052】
以上、詳細に説明したように、本実施の形態においては、赤粒子R、緑粒子Gおよび青粒子Bを有する副画素SP1を用い、これらを個別に表示させることが可能となるよう構成(駆動制御)したので、色純度を向上させ、高精彩なカラー画像を表示することができる。また、白粒子(明粒子)WHおよび黒粒子(暗粒子)BKを有する副画素SP2を隣接して設けることにより、多階調化が可能となり、画像の更なる高精彩化を図ることができる。また、色相用の副画素SP1(RGB)と、明度用の副画素SP2(WHBK)とを独立して駆動制御できるため、制御性良く色相の切り替えと明度の切り替えを行うことができる。
【0053】
なお、図7および図12において、一の画素を正方形状としてもよい。この場合、図7においては、一の正方形の画素を、2分割し、第1方向(x方向)が短辺である長方形の2つの副画素で画素を構成する。また、図12においては、一の正方形の画素を、2分割し、第2方向(y方向)が短辺である長方形の2つの副画素で画素を構成する。このように、画素を正方形とすることで、より高精細な表示が可能となる。なお、前述したとおり、副画素SP1と副画素SP2との面積比は、1:1でも良いし、それ以外でもよい。
【0054】
<実施の形態2>
本実施の形態においては、色相用の副画素SP1(RGB)と、明度用の副画素SP2(WHBK)で1つの画素で構成した場合でも、白および黒の純度を向上させることができるディザリング処理(画像処理)について説明する。図18は、本実施の形態の電気泳動表示装置のディザリング処理を示す図である。
【0055】
例えば、図7のx方向に並ぶ3つの画素について、図18に示すように、(R、WH)、(G、WH)および(B、WH)を表示すれば、3つの画素を一纏めにして扱い、白を表示することができる。なお、纏める3つの画素は、x方向に並んでいる必要はなく、隣接する3つの画素を選択すればよい。また、白の領域が広ければ、当該領域において、3つの画素の纏まりで、それぞれ(R、WH)、(G、WH)および(B、WH)を表示すればよい。
【0056】
また、x方向に並ぶ3つの画素について、(R、BK)、(G、BK)および(B、BK)を表示すれば、3つの画素を一纏めにして扱い、黒を表示することができる。また、2つの画素を一纏めにして(R、BK)、(B、BK)を表示し、濃い紫を黒表示として利用してもよい。なお、この場合も、纏める画素は、隣接する画素を適宜選択すればよい。
【0057】
このように、本実施の形態によれば、ディザリング処理(画像処理)により、白や黒も鮮明となり、より高精彩な表示が可能となる。上記各副画素SP1、SP2の詳細な構成および駆動方法は、実施の形態1と同様であるためその説明を省略する。
【0058】
なお、黒表示を無視してRGBのみの表示であれば、画素を副画素SP1のみとしてもかまわない。さらに表示可能な混色数を増やすには、2つ以上の副画素SP1を1つの画素とする。例えば2つの副画素SP1を1つの画素として用いれば紫の表示が可能になり、3つならばRGBの混色によって白を表示することができる。
【0059】
<実施の形態3>
実施の形態2では、3つの副画素で1つの画素を構成したが、一画素をさらに分割してもよい。図19は、本実施の形態の電気泳動表示装置の構成を示す図である。図19(A)に示すように、色相用の副画素SP1(RGB)と明度用の副画素SP2(WHBK)の組が、3個行方向に隣接している。これらの組を赤用SPR、緑用SPG、青用SPBとする。
【0060】
かかる構成によっても、R、G、Bの組み合わせとWH、BKにより白表示(図19(B))や黒表示(図19(C))が鮮明となる。
【0061】
なお、各副画素SP1およびSP2の詳細な構成および駆動方法は、実施の形態1と同様であるためその説明を省略する。
【0062】
また、本実施の形態においては、各組の色相用の副画素SP1(RGB)と明度用の副画素SP2(WHBK)とを行方向に隣接させたが、y方向(列方向)に隣接させてもよい。
【0063】
次いで、入射光の利用効率の観点から上記実施の形態の効果について説明する。図20は、上記実施の形態の入射光の利用効率を説明するための図である。また、図21は、上記実施の形態の単色表示の表示面積を説明するための図である。なお、各図において、(B)に上記実施の形態の場合を示し、(A)および(B)は比較例を示す。
【0064】
図20(A)に示すように、従来のRGBのカラーフィルタを用いた場合、一画素が3つの副画素に分割され、それぞれの副画素での入射光利用効率は1/3となる。よって1画素あたりの白表示時の入射光の利用効率は1/3となる(図20(A))。これに対し、上記実施の形態においては、それぞれの効率は副画素SP1で1/3、副画素SP2で1となるため、一つの画素全体で利用効率は2/3となる(図20(B))。
【0065】
このように、RGBのカラーフィルタ方式と比較して入射光利用効率が向上する。よって、画像の明るさが向上する。
【0066】
また、1画素あたりの単色表示の表示面積についても、図21(A)に示すようにRGBのカラーフィルタ方式では、1/3であるのに対し、上記実施の形態では、1/2となり(図21(B))、単色表示の表示面積(図では、赤領域)が向上する。
【0067】
さらに、特許文献1に記載のRGBWのカラーフィルタ方式においても、白表示の入射光利用率は1/2であり(図20(C))、また、単色表示面積は1/4である(図21(C))。よって、上記実施の形態の方が、白表示の入射光利用率および単色表示面積においてより効果的であることが分かる。
【0068】
<電子機器>
上記実施の形態の電気泳動表示装置は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動表示装置を備える電子機器について説明する。
【0069】
(電子ペーパー)
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。図22は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。
【0070】
図22に示す電子ペーパー1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体1201と、表示ユニット1202とを備えている。このような電子ペーパー1200では、表示ユニット1202が、前述したような電気泳動表示装置で構成されている。
【0071】
なお、本発明に係る電子機器は、上記電子ペーパーへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等にも適用できる。これらの各種電子機器の表示部に、上記電気泳動表示装置を組み込むことができる。
【0072】
また、上記実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態1の電気泳動表示装置のアクティブマトリクス基板の構成例を示す回路図である。
【図2】実施の形態1の電気泳動表示装置の構成を示す断面図である。実施の形態1の電気泳動表示装置の製造フローを示す図である。
【図3】実施の形態1の副画素SP1とSP2を組み合わせた場合の多階調のカラースケールを示す図である。
【図4】実施の形態1の電気泳動表示装置の副画素SP1の駆動方法を示す図である。
【図5】実施の形態1の電気泳動表示装置の副画素SP1の駆動方法を示す図である。
【図6】実施の形態1の電気泳動表示装置の副画素SP1の駆動方法を示す図である。
【図7】実施の形態1の副画素の配置(アレイ)を示す図である。
【図8】実施の形態1の緑表示のタイミングチャートである。
【図9】実施の形態1の緑表示のタイミングチャートである。
【図10】実施の形態1の緑表示のタイミングチャートである。
【図11】実施の形態1の緑表示のタイミングチャートである。
【図12】実施の形態1の他の副画素の配置(アレイ)を示す図である。
【図13】実施の形態1の緑表示のタイミングチャートである。
【図14】実施の形態1の緑表示のタイミングチャートである。
【図15】実施の形態1の赤表示のタイミングチャートである。
【図16】実施の形態1の赤表示のタイミングチャートである。
【図17】実施の形態1の青表示のタイミングチャートである。
【図18】実施の形態2の電気泳動表示装置のディザリング処理を示す図である。
【図19】実施の形態3の電気泳動表示装置の構成を示す図である。
【図20】上記実施の形態の入射光の利用効率を説明するための図である。
【図21】上記実施の形態の単色表示の表示面積を説明するための図である。
【図22】電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
3A、3B…電気泳動用液体、5…障壁、1200…電子ペーパー、1201…本体、1202…表示ユニット、B…青粒子、BK…黒粒子、Cs…保持容量、CE…共通電極、DL…データ線、F…フレーム、G…緑粒子、IN…入力信号、PE…画素電極、R…赤粒子、S1…アクティブマトリクス基板、S2…対向基板(透明基板)、SL…走査線、SP1、SP2…副画素、T…トランジスタ、t1…1行選択時間、WH…白粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に封入された液体と、を含み、
前記液体には、前記第1電極と前記第2電極との間に引加された電圧によって移動する複数の種類の帯電粒子が分散されており、
前記複数の種類の帯電粒子は、第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子を含み、
前記第1および第2色粒子は、帯電符号が同じであり、前記第3色粒子は、前記第1および第2色粒子と帯電符号が逆であり、
前記第1色粒子の駆動電圧は第1電圧であり、前記第2色粒子の駆動電圧は、前記第1電圧より大きい第2電圧であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1、第2および第3色粒子は、赤系粒子、緑系粒子および青系粒子であることを特徴とする請求項1記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記電気光学装置は、
前記第1、第2および第3色粒子を分散させた液体を封入した第1副画素と、
明粒子と暗粒子を分散させた液体を封入した第2副画素とで、一の画素中に有することを特徴とする請求項1又は2記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記画素は、第1方向および前記第1方向と直交する第2方向にアレイ状に配置され、
前記第1副画素と第2副画素とは、第1方向に隣接して配置され、
前記画素は、第1方向に走査されることを特徴とする請求項3記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記画素は、正方形の画素よりなり、第1方向が短辺である長方形の第1副画素と第2副画素とで形成されることを特徴とする請求項4記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記画素は、第1方向および前記第1方向と直交する第2方向にアレイ状に配置され、
前記第1副画素と第2副画素とは、第2方向に隣接して配置され、
前記画素は、第1方向に走査されることを特徴とする請求項3記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記画素は、正方形の画素よりなり、第2方向が短辺である長方形の第1副画素と第2副画素とで形成されることを特徴とする請求項6記載の電気光学装置。
【請求項8】
第1電極と第2電極との間に、
帯電粒子である第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子であって、
前記第1および第2色粒子は、帯電符号が同じであり、前記第3色粒子は、前記第1および第2色粒子と帯電符号が逆であり、
前記第1色粒子の駆動電圧は第1電圧であり、前記第2色粒子の駆動電圧は、前記第1電圧より大きい第2電圧である、第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子を、
分散させた液体を封入した電気光学装置の駆動方法であって、
前記第2色粒子のみを前記第1電極側に表示させる場合には、
前記第1電極側に第1および第2色粒子を移動させ、前記第2電極側に第3色粒子を移動させた後、
前記第2電極側に第1色粒子を移動させることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項9】
第1電極と第2電極との間に、
帯電粒子である第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子であって、
前記第1および第2色粒子は、帯電符号が同じであり、前記第3色粒子は、前記第1および第2色粒子と帯電符号が逆であり、
前記第1色粒子の駆動電圧は第1電圧であり、前記第2色粒子の駆動電圧は、前記第1電圧より大きい第2電圧である、第1色粒子、第2色粒子および第3色粒子を、
分散させた液体を封入した電気光学装置の駆動方法であって、
前記第1色粒子を前記第1電極側に表示させる場合には、
前記第2電極側に第1および第2色粒子を移動させ、前記第1電極側に第3色粒子を移動させた後、
第1電極側に第1色粒子を移動させるとともに第2電極側に第3色粒子を移動させることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項10】
前記第1、第2および第3色粒子は、赤系粒子、緑系粒子および青系粒子であることを特徴とする請求項8又は9記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項11】
前記電気光学装置は、
前記第1、第2および第3色粒子を分散させた液体を封入した第1副画素と、
明粒子と暗粒子を分散させた液体を封入した第2副画素とを、一の画素中に有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項12】
請求項1乃至7のいずれか一項記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−251032(P2009−251032A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95268(P2008−95268)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】