説明

電気光学装置の製造方法及び電子機器

【課題】素子形成基板に内在した水分によって発光不良の有機エレクトロルミネッセンス素子が生じることを抑制することができる電気光学装置の製造方法及び該電気光学装置の製造方法によって製造された電子機器を提供する。
【解決手段】ガラス基板Sの回路形成層Sa上に有機絶縁層13を形成して素子形成基板を形成した後、素子形成基板をホットプレートに載置し、減圧下にて加熱しながらベークするようにした。その後、ベークした素子形成基板上に機能層14を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置の製造方法及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、薄型化・軽量化等の観点から、画素に有機エレクトロルミネッセンス素子を設けた有機エレクトロルミネッセンス表示パネルが注目されている。有機エレクトロルミネッセンス表示パネルは、ディスプレイや光プリンタの露光ヘッドへの応用が期待されている。この種の有機エレクトロルミネッセンス素子は、その機能層(発光層)を構成する材料によって高分子系有機エレクトロルミネッセンス素子と低分子系有機エレクトロルミネッセンス素子とに分類され、その中でも低分子系有機エレクトロルミネッセンス素子は、真空薄膜形成技術を利用した蒸着法によって形成されるのが一般的である。また、高分子系有機エレクトロルミネッセンス素子は、その機能層(発光層)を構成する材料を所定の溶媒に溶解または分散してなる液状体を塗布する、所謂ウェットプロセス法によって形成されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、有機エレクトロルミネッセンス素子では、隣接する画素との間に有機絶縁層が形成されることで各画素を分割している。そして、酸素プラズマ処理を施すことによって、有機絶縁層への影響を最小限に抑制しつつ各画素の画素電極の表面改質を行うようにしている。
【特許文献1】特開2005−228616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有機絶縁層は、吸水性に富んでいるため、基板上に有機絶縁層を形成した後において大気に暴露すると、有機絶縁層が大気中の水分を吸収してしまい素子形成基板に水分を内在することとなる。すると、画素電極上に機能層や陰極等を形成して表示パネルを作成した後に、素子形成基板に内在した水分が機能層に到達することで機能層の特性が変化してしまい、その結果、発光不良の有機エレクトロルミネッセンス素子が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、素子形成基板に内在した水分によって発光不良の有機エレクトロルミネッセンス素子が生じることを抑制することができる電気光学装置の製造方法及び該電気光学装置の製造方法によって製造された電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板処理装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に少なくとも発光層を有した機能層とを備えた電気光学素子を基板上に複数具備した電気光学装置の製造方法において、前記基板上に、前記第1電極に対応する位置に開口部を備えた絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記基板、前記第1電極及び前記絶縁層に吸着した水分を除去する水分除去工程と、前記第1電極上に前記機能層を形成する機能層形成工程とを含む。
【0007】
これによれば、基板、第1電極及び絶縁層から水分を十分に除去した後に機能層を形成することから、機能層の形成後に、該機能層が基板、第1電極及び絶縁層に内在する水分によって変質することはない。この結果、内在した水分による機能層の変質によって輝度や寿命が低下するのを抑制することができる。
【0008】
この電気光学装置の製造方法において、前記水分除去工程は、大気圧に比べて低い減圧下にて前記基板を加熱処理することによって行ってもよい。
これによれば、基板、前記第1電極及び絶縁層から水分を効果的に除去することができる。
【0009】
この電気光学装置の製造方法において、前記水分除去工程は、ホットプレートによって行うようにしてもよい。
これによれば、ホットプレートを表面改質工程または機能層形成工程を施す真空チャンバー内に載置することで、水分脱離工程を終了後に機能層形成工程に移る段階で大気に晒されることはないので、機能層が水分によって変質することを確実に抑制することができる。
【0010】
この電気光学装置の製造方法において、前記第1電極を、酸素プラズマ法によって表面改質処理する表面改質工程をさらに含んでいてもよい。
これによれば、第1電極のコンタミネーションが除去されるとともに、第1電極の表面が改質される。この結果、第1電極から効率よく機能層にキャリアが注入されるので、発光効率の高い電気光学素子を製造することができる。
【0011】
この電気光学装置の製造方法において、前記機能層は、低分子系有機材料で構成されていてもよい。
これによれば、機能層は、蒸着法、スパッタ法など、ドライプロセスによって形成される。そして、そのように形成された低分子系有機エレクトロルミネッセンス素子における水分による輝度や寿命が低下するのを抑制することができる。
【0012】
この電気光学装置の製造方法において、前記第1電極は、光透過性を有した導電性材料で構成されていてもよい。
これによれば、光出射面が基板側である、所謂ボトムエミッション型の電気光学装置に対して、内在する水分による輝度や寿命が低下するのを抑制することができる。
【0013】
本発明の電子機器は、上記記載の電気光学装置の製造方法によって製造されている。
これによれば、電気光学素子は、該素子に内在する水分によって機能層の特性が変質することはない。この結果、輝度や寿命が低下しにくい電気光学装置を備えた電子機器を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の製造方法について各図に従って説明する。
【0015】
まず、本実施形態の電気光学装置の製造方法によって製造された電気光学装置としての有機エレクトロルミネッセンス表示装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、「有機EL表示装置」という)10は、ガラス基板S上に回路形成層Saを備えている。この回路形成層Saは、複数の薄膜トランジスタ11や図示しない走査線駆動回路等を構成する回路素子及びその各種配線(図示略)を含んでいる。また、回路形成層Sa上には、各薄膜トランジスタ11のドレイン電極とコンタクトホールHを介して電気的に接続された画素電極12が形成されている。本実施形態の画素電極12は、光透過性を有した導電性材料で構成されたものであって、例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)で構成されている。尚、本実施形態の画素電極12をインジウム−スズ酸化物(ITO)で構成した
が、これは本発明の好適な一実施例に過ぎず、例えば、酸化亜鉛(ZnO)であってもよい。
【0016】
さらに、回路形成層Sa上であって、画素電極12に対応した位置に開口部Qoを備えた有機絶縁層13が形成されている。そして、この開口部Qoによって画素を区画形成する画素形成領域Zが区画形成される。尚、本実施形態の有機絶縁層13は、ポリイミドで構成されている。
【0017】
そして、本明細書においては、ガラス基板S上に回路形成層Sa、画素電極12及び有機絶縁層13を備えたものを「素子形成基板」Soという。
画素電極12及び有機絶縁層13上の全面には、機能層14が形成されている。機能層14は、正孔注入層14a、正孔輸送層14b、発光層14c及び電子輸送層14dから構成され、画素電極12側から正孔注入層14a→正孔輸送層14b→発光層14c→電子輸送層14dの順に積層されている。各正孔注入層14a、正孔輸送層14b、発光層14c及び電子輸送層14dは、公知の低分子材料で構成されており、例えば、本実施形態では、正孔注入層14aに銅フタロシアニンを使用している。また、正孔輸送層14bにトリフェニルジアミン(TPD)を、発光層14cにアルキキノリール鎖体アルミニウム(Alq3)を、電子輸送層14dにオキサジアゾールBNDを使用している。尚、本実施形態の発光層14cは白色の光を出射するものである。
【0018】
また、機能層14上の全面には陰極層15が形成されている。陰極層15は、光反射性の高い金属であることが望ましく、本実施形態では、銀(Ag)とマグネシウム(Mg)の化合物MgAgを使用している。そして、前述した各画素電極12、陰極層15、及び各画素電極12と陰極層15との間に配置された機能層14で有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という)16が形成される。つまり、各画素形成領域Zには、一つの有機EL素子16が形成されることとなる。そして、各有機EL素子16は、その発光層14cにて発せられた光と陰極層15によって反射された光とが合成され各画素電極12及び回路形成層Saを透過してガラス基板Sの光出射面Mo(回路形成層Saが形成された面と相対向する側の面)から出射する。
【0019】
陰極層15上には、空間Fを介して封止層17が形成されている。この封止層17は、陰極層15側の側面に乾燥剤18を充填したものであって、その外周の一部がガラス基板S上の周囲に沿って接着されることで、回路形成層Sa及び各有機EL素子16を封止する。乾燥剤18は、公知の吸水性を備えた、例えばシリカゲルであって、各ガラス基板S、回路形成層Sa、有機EL素子16中に内在する水分を吸収するものである。
【0020】
また、ガラス基板Sの光出射面Mo側には、カラーフィルタ19が取り付けられている。カラーフィルタ19は、有機EL素子16にて発せられた白色の光を赤色の光に変換する赤色変換層19Rと、緑色の光に変換する緑色変換層19Gと、青色の光に変換する青色変換層19Bとを各画素形成領域Zに対応した位置に備えている。従って、赤色変換層19Rからは赤色の光が、緑色変換層19Gからは緑色の光が、青色変換層19Bからは青色の光が、それぞれ図1中下向きに向かって外部に出射される。
【0021】
このように構成された有機エレクトロルミネッセンス表示装置10は、前述したガラス基板S及び回路形成層Saに内在する水分が少ない。従って、ガラス基板S及び回路形成層Saから機能層14を構成する正孔注入層14a、正孔輸送層14b、発光層14c及び電子輸送層14dに到達する水分は少ないので、該各層14a〜14dは変質されにくく、そのため、各有機EL素子16は所望の輝度で安定して発光する。
【0022】
次に、上記有機EL表示装置10の製造方法について図2〜図4を参照しながら説明す
る。
まず、ガラス基板S上に公知の方法によって、薄膜トランジスタ11を形成しガラス基板S上に回路形成層Saを形成する。続いて、その形成した薄膜トランジスタ11のドレイン電極に電気的接続するように画素電極12を形成する。これは、インジウム−スズ酸化物(ITO)をスパッタリング法によって形成し、レジストフォトリソグラフィ工程を施して、所定の画素形状に合わせたレジストパターンを形成し、ウェットエッチング法やドライエッチング法を使用して画素にあった形状に加工する。そして、レジストを剥離することにより、図2(a)に示すように、各薄膜トランジスタ11に対応した位置に画素電極12を形成する。
【0023】
次に、画素電極12を覆うように、蒸着法等によって回路形成層Sa上に有機絶縁層20を形成する(図2(b)参照)。本実施形態では有機絶縁層20はポリイミドである。続いて、図2(c)に示すように、画素電極12に対応した位置に透過領域Toを備えたマスクMKを貼着し、該マスクMKを介した露光を行った後、現像する。この結果、図2(d)に示すように、有機絶縁層20には、画素電極12に対応する位置に開口部Qoが形成される。このようにして、ガラス基板S上に回路形成層Sa及び有機絶縁層13が形成され(絶縁層形成工程)、前記素子形成基板Soが形成される。
【0024】
次に、前記のようにして形成された素子形成基板Soをチャンバー(図示略)に搬入する。このチャンバーは、スピンロータ及びホットプレートHP(図3(a)参照)を備えている。そして、まず、素子形成基板Soをスピンロータに固定してスピン洗浄をする。その後、図3(a)に示すように、素子形成基板SoをホットプレートHPに載置し、例えば、100℃〜240℃に加熱することで素子形成基板So全体をベークする(水分除去工程)。このとき、素子形成基板Soは減圧下にてベークされるので、ガラス基板S、画素電極12及び有機絶縁層13に内在した水分Wが除去される。
【0025】
続いて、ベークした素子形成基板Soを酸素プラズマ処理のためのチャンバー(図示略)に搬入する。本実施形態では、酸素プラズマ処理は、平行平板間酸素プラズマ処理装置を使用して行う。このとき、素子形成基板Soは大気に晒されないようにホットプレートHPを備えた真空チャンバーから酸素プラズマ処理を施すための平行平板間酸素プラズマ処理装置に移送するようにする。つまり、ホットプレートHPを備えたチャンバーと平行平板間酸素プラズマ処理装置とは所定の搬送チャンバーによって連結されたものである。また、平行平板間酸素プラズマ処理装置は前記搬送チャンバーを介して機能層14を蒸着する蒸着装置にも連結されている。
【0026】
そして、図3(b)に示すように、素子形成基板Soに対して酸素プラズマ処理を施す(表面改質工程)。この結果、画素電極12のコンタミネーションが除去されるとともに、その表面が改質される。
【0027】
次に、画素電極12を覆うように有機絶縁層13上の全面に機能層14を形成する(機能層形成工程)。具体的には、平行平板間酸素プラズマ処理装置から酸素プラズマ処理を施した素子形成基板Soを取り出し、前記搬送チャンバーを介して機能層14を蒸着する蒸着装置に搬入する。従って、酸素プラズマ処理を施した素子形成基板Soは大気に晒されることなく蒸着装置に搬入される。そして、公知の方法と同様に蒸着法等によって、正孔注入層14aを形成する。本実施形態では、銅フタロシアニンを、例えば膜厚が600Åとなるまで蒸着することで正孔注入層14aを形成する(図4(a)参照)。その後、同様にして、正孔注入層14a上にトリフェニルジアミン(TPD)からなる正孔輸送層14bを、正孔輸送層14b上にアルキキノリール鎖体アルミニウム(Alq3)からなる発光層14cを、発光層14c上にオキサジアゾールBNDからなる電子輸送層14dを、それぞれ順次蒸着する(図4(b)参照)。続いて、前述にようにして形成した機能
層14上の全面に銀(Ag)とマグネシウム(Mg)の化合物MgAgを蒸着することで、陰極層15を形成する(図4(c)参照)。
【0028】
その後、ガラス基板Sの光出射面Mo上にカラーフィルタ19を貼着するとともに、ガラス基板S上の前記光出射面Moと相対向する面(即ち、回路形成層Saが形成された側の面)上に乾燥剤18を充填した封止層17を接着剤によって接着する。このようにして、有機EL表示装置10
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、ガラス基板Sの回路形成層Sa上に有機絶縁層13を形成して素子形成基板Soを形成した後、素子形成基板SoをホットプレートHPに載置し、減圧下にて加熱しながらベークするようにした。その後、ベークした素子形成基板So上に機能層14を形成した。従って、ガラス基板S、画素電極12及び有機絶縁層13に内在した水分Wは確実に除去されることから、有機EL表示装置10の製造後に、機能層14がガラス基板、画素電極12及び有機絶縁層13に内在した水分によって変質されることはない。この結果、輝度や寿命の低下を抑制した有機EL表示装置10を製造することができる。
(2)本実施形態によれば、ホットプレートHPを備えたチャンバーと平行平板間酸素プラズマ処理装置とを搬送チャンバーによって連結したものを使用することで、素子形成基板Soを減圧下にてベークした後に、大気に晒すことなく、ベークした素子形成基板Soを酸素プラズマ処理を施す上に機能層14を形成するようにした。従って、ベークした素子形成基板Soからは水分が十分に除去された状態で酸素プラズマ処理を施すことができる。この結果、画素電極12の表面が最適に改質処理されるので、画素電極12から機能層14へのキャリアの注入効率が向上し、発光効率の高い有機EL素子を製造することができる。また、有機絶縁層13を、ポリベンズオキサゾールといった吸水性の低い材料を選択しなくてもよくなるので、有機絶縁層13の材料選択の自由度が広がり、有機絶縁層13の材料コストを下げることができる。
(3)本実施形態によれば、酸素プラズマ処理を行う平行平板間酸素プラズマ処理装置と機能層14を蒸着する蒸着装置とを搬送チャンバーによって連結したものを使用した。そして、酸素プラズマ処理を施した素子形成基板So上に、大気に晒すことなく、機能層14を形成するようにした。従って、一旦、水分を除去した素子形成基板Soに再度水分が吸着することないので、有機EL表示装置10の製造後のガラス基板、画素電極12及び有機絶縁層13に内在する水分を十分に少なくなる。この結果、輝度や寿命の低下を抑制した有機EL表示装置10を製造することができる。
(4)本実施形態によれば、機能層14を形成する前に、画素電極12を酸素プラズマ法によって表面改質するようにした。従って、画素電極12のコンタミネーションが除去されるとともに、画素電極12の表面が改質される。この結果、画素電極12から効率よく機能層14にキャリアが注入されるので、有機EL素子16の発光効率を向上させることができる。
(5)本実施形態によれば、機能層14を構成する正孔注入層14a、正孔輸送層14b、発光層14c及び電子輸送層14dは、低分子系有機材料で構成されているので、蒸着法、スパッタ法といった公知のドライプロセスによって形成することができる。
(6)本実施形態によれば、画素電極12をインジウム−スズ酸化物(ITO)で構成した。従って、有機EL素子16にて発せられた光を、画素電極12を介してガラス基板Sの光出射面Moから出射する、所謂ボトムエミッション型の有機EL表示装置に対して、内在する水分による輝度や寿命が低下するのを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、第1実施形態で説明した電気光学装置としての有機EL表示装置10の電子機器の適用について図5に従って説明する。
【0029】
図5は、電子機器の一例たる携帯電話の表示部に適用した例を示す携帯電話の斜視構成
図である。図5において、携帯電話30は、有機EL表示装置10を用いた表示ユニット31と、複数の操作ボタン32とを備えている。この有機EL表示装置10は、上記第1実施形態に記載された有機EL素子16をガラス基板S上にマトリクス状に配置されたものであって、各有機EL素子16が所望の輝度で点灯することでカラーフィルタ19上に画像や文字等を表示する。この場合でも、有機EL表示装置10を用いた表示ユニット31は、十分に水分が除去された素子形成基板Soを使用して製造されているので、素子形成基板Soに内在する水分による輝度や寿命が低下することはない。
【0030】
尚、発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記第1実施形態では、ホットプレートHPを使用して素子形成基板Soを加熱したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホットプレートHP以外のもので素子形成基板Soを加熱してもよい。例えば、ランプヒータを備えたチャンバーを使用し、そのランプヒータの輻射熱によって素子形成基板Soを加熱するようにしてもよい。要は、素子形成基板Soを加熱することができるものであればどんなものであってもよい。
【0031】
○上記第1実施形態では、有機EL素子16は、その機能層14を構成する正孔注入層14a、正孔輸送層14b、発光層14c及び電子輸送層14dは、低分子系有機材料で構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、高分子系有機材料で構成されたものであっても適用可能である。
【0032】
○上記第1実施形態では、有機EL表示装置10は、ガラス基板Sの回路形成層Saと相対向する側の面を光出射面Moとした、所謂ボトムエミッション型としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、陰極層15を光出射面側とした、所謂トップエミッション型のものであっても適用可能である。
【0033】
○上記第1実施形態では、電気光学素子として有機EL素子16に適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、発光ダイオード(LED)といった他の態様の電気光学素子であってもよい。
【0034】
○上記第1実施形態では、酸素プラズマ処理を、平行平板間酸素プラズマ処理装置を使用して行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の装置を使用して行ってもよい。例えば、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma)処理装置を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電気光学装置の製造方法によって製造された有機EL表示装置の一部断面図。
【図2】(a)〜(d)は、それぞれ、本実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するための図。
【図3】同じく、(a)及び(b)は、有機EL表示装置の製造方法を説明するための図。
【図4】同じく、(a)〜(c)は、それぞれ、有機EL表示装置の製造方法を説明するための図。
【図5】電子機器の一例たる携帯電話の表示部に適用した例を示す携帯電話の斜視構成図である。
【符号の説明】
【0036】
HP…ホットプレート、Qo…開口部、S…基板としてのガラス基板、10…電気光学装置としての有機エレクトロルミネッセンス表示装置、12…第1電極としての画素電極
、13…絶縁層としての有機絶縁層、14…機能層、14c…発光層、16…電気光学素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子、15…第2電極としての陰極層、30…電子機器としての携帯電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に少なくとも発光層を有した機能層とを備えた電気光学素子を基板上に複数具備した電気光学装置の製造方法において、
前記基板上に、前記第1電極に対応する位置に開口部を備えた絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記基板、前記第1電極及び前記絶縁層に吸着した水分を除去する水分除去工程と、
前記第1電極上に前記機能層を形成する機能層形成工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記水分除去工程は、大気圧に比べて低い減圧下にて前記基板を加熱処理することによって行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記水分除去工程は、ホットプレートによって行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の電気光学装置の製造方法において、
前記第1電極を、酸素プラズマ法によって表面改質処理する表面改質工程をさらに含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の電気光学装置の製造方法において、
前記機能層は、低分子系有機材料で構成されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の電気光学装置の製造方法において、
前記第1電極は、光透過性を有した導電性材料で構成されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の電気光学装置の製造方法によって製造されたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−213950(P2007−213950A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31985(P2006−31985)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】