説明

電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器

【課題】電気光学装置の部品点数、及び電気光学装置の製造工程の工程数を削減する。
【解決手段】電気光学装置(1)は、画素領域(10a)で電気光学動作を行う電気光学パネル(100)と、電気光学パネルの外面に接すると共に、外面を少なくとも部分的に覆う樹脂製の収容ケース(210)とを備える。当該電気光学装置では、収容ケースが電気光学パネルの外面に接しているので、例えば接着剤により収容ケースと電気光学パネルとを相互に接着固定する必要がなく、電気光学装置の部品点数、及び電気光学装置の製造工程の工程数を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置の製造方法、並びに電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、例えば、電気光学パネルが、その有効表示領域に対応した開口部が形成されたケース内に収納され、接着剤により電気光学パネル及びケースが相互に接着固定された電気光学装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−366046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によれば、電気光学パネルをケース内に収納した後に、接着剤により電気光学パネル及びケースを相互に接着固定しているので、電気光学装置を構成する部品点数が増加すると共に、電気光学装置の製造工程の工程数が増加するという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、部品点数、及び製造工程の工程数を削減することができる電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するために、画素領域で電気光学動作を行う電気光学パネルと、前記電気光学パネルの外面に接すると共に、前記外面を少なくとも部分的に覆う樹脂製の収容ケースとを備える。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、例えば液晶パネル等である電気光学パネルは、駆動時に、該電気光学パネル上の画素領域における表示動作等の電気光学動作を行う。ここに、「画素領域」とは、個々の画素の領域を意味するのではなく、複数の画素が平面配列された領域全体を意味し、典型的には、「画像表示領域」或いは「表示領域」に相当する。
【0008】
収容ケースは、例えば透明樹脂、高熱伝導性樹脂等の樹脂製であり、電気光学パネルの外面に接すると共に、外面を少なくとも部分的に覆っている。ここに、「外面」とは、電気光学パネルの上面、下面及び側面等の外側の表面を意味する。また、「外面に接する」とは、典型的には、電気光学パネル及び収容ケース間に何も介さずに(即ち、電気光学パネル及び収容ケースが互いに接触した状態で)、電気光学パネルと収容ケースとが配置されていることを意味する。
【0009】
収容ケースは、例えば、電気光学パネルの側面のみに接していてもよいし、電気光学パネルの画素領域に対応する部分を露出させつつ、他の部分全てに接していてもよい。或いは、電気光学パネルの外面全てに接していてもよい(即ち、電気光学パネルを内包していてもよい)。
【0010】
このように、収容ケースが電気光学パネルの外面に接しているので、例えば接着剤により収容ケースと電気光学パネルとを相互に接着固定する必要がない。このため、製造コストを削減することができると共に、当該電気光学装置の製造工程を簡略化することができる。
【0011】
加えて、電気光学パネルと収容ケースとが接しているので、電気光学パネル及び収容ケース間における熱の伝達効率が向上し、電気光学パネルの熱の放散効率を向上させることができる。更に、電気光学パネル及び収容ケース間の相対的な位置がずれ難いため、当該電気光学装置を、例えば電子機器等の筐体内部に実装する際に、配置精度の向上を図ることができる。
【0012】
収容ケースは、例えば、収容ケースの外形形状を規定する金型の内部に、所定の隙間を空けて電気光学パネルを配置し、該隙間に樹脂を充填して形成すればよい(即ち、インサート成形すればよい)。
【0013】
仮に、電気光学パネルを接着剤等により収容ケースに接着固定すると、少なくとも接着剤を、電気光学パネル及び収容ケース間に充填する工程を設けなければならない。加えて、接着剤を充填する際に、電気光学パネル及び収容ケース間に空気層が生じる可能性がある。すると、電気光学パネル及び収容ケース間における熱の伝達効率が低減し、電気光学パネルの熱の放散効率が低減する可能性がある。また、電気光学パネル及び収容ケース間への接着剤の充填の仕方によっては、電気光学パネルが所定位置からずれてしまう可能性がある。
【0014】
しかるに本発明では、上述の如く、収容ケースが電気光学パネルの外面に少なくとも部分的に接しているので、部品点数、及び製造工程の工程数を削減しつつ、熱の放散効率等を向上させることができ、実用上非常に有利である。
【0015】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記収容ケースは、前記電気光学パネルを内包する。
【0016】
この態様によれば、収容ケースに、例えば防塵用部材等の機能を併せて持たせることができるので、当該電気光学装置を構成する部品点数をより削減することができ、実用上非常に有利である。
【0017】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記収容ケースは、透明樹脂を含んでなる。
【0018】
この態様によれば、収容ケースが、例えば電気光学パネルの画素領域に接していたとしても、当該電気光学装置に入射する光、又は当該電気光学装置から出射する光を遮ることがなく、実用上非常に有利である。
【0019】
この態様では、前記収容ケースの外表面に、反射防止加工が施されていてよい。
【0020】
このように構成すれば、収容ケースによる輝度の低下を抑制することができ、実用上非常に有利である。
【0021】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネルは、電気光学物質を狭持する一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の基板における前記電気光学物質に対向しない側に設けられた防塵用基板とを備える。
【0022】
この態様によれば、一対の基板は、例えば液晶等である電気光学物質を狭持している。尚、一対の基板は、例えば、少なくとも一方の基板上における、電気光学物質に対向する側に、例えばSiOやSiO等の無機材料からなる無機配向膜を有している。他方の基板上における、電気光学物質に面する側にも、同様に、無機配向膜が設けられていてもよい。防塵用基板は、一対の基板の少なくとも一方の基板における電気光学物質に対向しない側に配置されている。
【0023】
防塵用基板の一表面が露出するように、収容ケースを配置すれば(例えば、電気光学パネルの側面のみに接するようにすれば)、電気光学パネル表面から熱を放散することができ、熱の放散効率を向上させることができる。
【0024】
電気光学パネルが防塵用基板を備える態様では、前記防塵用基板の前記一対の基板に対向しない側の面における少なくとも前記画素領域に対応する部分が前記収容ケースから露出していてよい。
【0025】
このように構成すれば、収容ケースを、例えば金属粒子、炭素等を含む樹脂である高熱伝導性樹脂により形成することができ、電気光学パネルの熱の放散効率をより向上させることができる。或いは、収容ケースを、不透明な樹脂により形成することができるので、材料選択の幅を増やすことができ、実用上非常に有利である。
【0026】
電気光学パネルが防塵用基板を備える態様では、前記収容ケースは、高熱伝導性樹脂を含んでよい。
【0027】
このように構成すれば、収容ケースが高熱伝導性樹脂を含んでなるので、比較的容易にして電気光学パネルの熱の放散効率をより向上させることができ、実用上非常に有利である。
【0028】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネル及び前記収容ケースは、インサート成形法により一体的に形成される。
【0029】
この態様によれば、比較的容易にして、電気光学パネルの外面に少なくとも部分的に接する収容ケースを形成することができる。
【0030】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記課題を解決するために、画素領域で電気光学動作を行う電気光学パネルと、前記電気光学パネルの外面に接すると共に、前記外面を少なくとも部分的に覆う樹脂製の収容ケースとを備える電気光学装置の製造方法であって、前記収容ケースの外形形状を規定する金型の内部に、所定幅の隙間を空けて前記電気光学パネルを配置する配置工程と、前記隙間に樹脂を充填する充填工程とを備える。
【0031】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、部品点数、及び製造工程の工程数を削減することができる電気光学装置を製造することができる。
【0032】
先ず、配置工程において、収容ケースの外形形状を規定する金型の内部に、所定幅の隙間を空けて電気光学パネルが配置される。ここに、本発明に係る「所定幅」は、典型的には、電気光学パネルを支持、固定することが可能な幅として設定されている。次に、充填工程において、電気光学パネル及び金型間の隙間に樹脂が充填される。該充填された樹脂が固化することによって、収容ケースが形成される。
【0033】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0034】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を備えてなるので、例えば電気光学装置の製造コストを削減することができるので、比較的安価に、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0035】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器の各実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の図では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、以下の実施形態では、電気光学装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリックス駆動方式の液晶装置を挙げる。
【0037】
<第1実施形態>
本発明の電気光学装置に係る第1実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。
【0038】
(液晶装置の構成)
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のA−A´線断面図である。
【0039】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置1は、液晶パネル100、収容ケース210及び配線基板220を備えて構成されている。ここに、本実施形態に係る「液晶パネル100」は、本発明に係る「電気光学パネル」の一例である。
【0040】
液晶パネル100は、TFTアレイ基板10及び対向基板20を備えて構成されている。配線基板220は、後述する液晶パネル100の外部回路接続端子に電気的に接続されている。配線基板220上に、例えばストライプ状に形成された複数の配線の一部に電源電圧が印加されたり、複数の配線の他の部分に、例えば画像信号等の各種信号が供給されたりすることによって、液晶パネル100が駆動される。
【0041】
図2に示すように、透明樹脂を含んでなる収容ケース210は、液晶パネル100の外面に接しつつ、該液晶パネル100を内包している(言い換えれば、収容ケース210は、液晶パネル100全体を包み込むように形成されている)。収容ケース210には、当該液晶装置1を、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の筐体に実装するための複数の取付穴210hが設けられている。尚、収容ケース210の外表面210aには、反射防止加工が施されていることが望ましい。
【0042】
収容ケース210が液晶パネル100の外面に接しているので、例えば接着剤により収容ケース210と液晶パネル100とを相互に接着固定する必要がない。加えて、液晶パネル100及び収容ケース210間における熱の伝達効率が向上し、液晶パネル100の熱の放散効率を向上させることができる。加えて、収容ケース210が、当該液晶装置1に付着するごみや埃等による画像品質の劣化を抑制する防塵ガラスの機能を備えるので、別途防塵ガラスを設ける必要がない。
【0043】
次に、液晶パネル100の具体的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。ここに、図3は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図4は、図3のH−H´線断面図である。
【0044】
図3及び図4において、液晶パネル100では、TFTアレイ基板10及び対向基板20が対向配置されている。TFTアレイ基板10は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の基板からなり、対向基板20は、例えば、石英基板、ガラス基板等の基板からなる。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に、本発明に係る「電気光学物質」の一例としての液晶を含んでなる液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0045】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。尚、ギャップ材を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0046】
図3において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aを規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0047】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側にサンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域52aの内側の額縁領域に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0048】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。更に、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0049】
図4において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図4では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。
【0050】
画素電極9aは、後述する対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに形成されている。TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9a上には、配向膜16が画素電極9aを覆うように形成されている。
【0051】
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が、例えばプロジェクタ用のランプや直視用のバックライトから出射された光を透過させる開口領域となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、該遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられたデータ線等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
【0052】
遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。遮光膜23上に、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図4には図示しないカラーフィルタが形成されるようにしてもよい。対向基板20の対向面上における、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。
【0053】
尚、図3及び図4に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104、サンプリング回路7等に加えて、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置1の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0054】
(液晶装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る液晶装置の製造方法について、図5乃至図7を参照して説明する。ここに、図5は、本実施形態に係る液晶装置の製造方法の工程の一部を示す工程断面図であり、図6は、図5の工程に続く工程を示す工程断面図であり、図7は、図6の工程に続く工程を示す工程断面図である。尚、図5乃至図7は、図1のB−B´線に沿って切った断面図である。また、以降の図においては、図3及び図4で示した、液晶パネル100の詳細な部材については適宜省略し、直接関連のある部材のみを示す。
【0055】
先ず、所定の製造方法により液晶パネル100が製造された後に、図5に示すように、収容ケース210の外形形状を規定する金型310内に、所定の隙間を空けて液晶パネル100を配置する。本実施形態では、金型310の内部に、液晶パネル100の下面と金型310との間に隙間を空けるための支持部材311が設けられている。尚、液晶パネル100が金型310内に配置されるより前に、配線基板220が液晶パネル100の外部回路接続端子102(図3参照)に電気的に接続されている。
【0056】
次に、図6に示すように、金型310の上に金型320を配置すると共に、金型320に設けられた穴を介して、シリンダー330内に貯留された樹脂340を隙間に充填する。該充填された樹脂340が固まった後に、金型310及び320内から成形品が取り出されることによって、図7に示すように、液晶装置1が製造される。このように、本実施形態に係る液晶装置の製造方法によれば、液晶装置1を構成する液晶パネル100及び収容ケース210を、インサート成形法により一体的に形成する。よって、部品点数、及び製造工程の工程数を削減することができる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、本発明の電気光学装置に係る第2実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。第2実施形態では、液晶パネルの構成が異なる以外は、第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図8は、図1と同趣旨の、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図9は、図2と同趣旨の、図8のC−C´線断面図である。
【0058】
図9に示すように、本実施形態に係る液晶装置2の液晶パネル110は、液晶層50(図4参照)を狭持するTFTアレイ基板10及び対向基板20と、TFTアレイ基板10及び対向基板20各々の液晶層50と対向しない側に配置された、本発明に係る「防塵用基板」の一例としての防塵ガラス401及び402とを備えて構成されている。ここに、本実施形態に係る「液晶パネル110」は、本発明に係る「電気光学パネル」の他の例である。
【0059】
図8及び図9に示すように、液晶装置2では、液晶パネル110の上面及び下面が露出するように、収容ケース210が形成されている。尚、収容ケース210は、高熱伝導性樹脂を含んで形成されていることが望ましい。
【0060】
(変形例)
次に、本実施形態に係る液晶装置の変形例について、図10及び図11を参照して説明する。ここに、図10は、図1と同趣旨の、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図11は、図2と同趣旨の、図10のD−D´線断面図である。
【0061】
図10及び図11に示すように、本変形例に係る液晶装置3では、液晶パネル110の上面及び下面のうち、画像表示領域10a(図3参照)に対応する領域が露出するように、収容ケース210が形成されている。言い換えれば、収容ケース210に、画像表示領域10aに対応する開口部211が設けられている。このように収容ケース210を形成すれば、該収容ケース210に見切りとしての機能を持たせることができる。この場合、収容ケース210は、典型的には、不透明樹脂を含んで形成される。
【0062】
尚、当該液晶装置3に冷却風が供給される場合には、収容ケース210の風上側の形状を楔形にしたり、収容ケース210の外表面にフィン等を形成したりしてもよい。
【0063】
<電子機器>
次に、図12を参照しながら、上述した液晶装置を電子機器の一例であるプロジェクタに適用した場合を説明する。上述した液晶装置における液晶パネル100は、プロジェクタのライトバルブとして用いられている。図12は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
【0064】
図12に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
【0065】
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等の構成を有しており、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0066】
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像は、液晶パネル1110Gによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0067】
尚、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0068】
尚、図12を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0069】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその製造方法、並びに電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A´線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶パネルの全体構成を示す平面図である。
【図4】図3のH−H´線断面図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶装置の製造方法の工程の一部を示す工程断面図である。
【図6】図5の工程に続く工程を示す工程断面図である。
【図7】図6の工程に続く工程を示す工程断面図である。
【図8】第2実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図9】図8のC−C´線断面図である。
【図10】第2実施形態の変形例に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図11】図10のD−D´線断面図である。
【図12】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0071】
1、2、3…液晶装置、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、100、110…液晶パネル、210…収容ケース、220…配線基板、310、320…金型、401、402…防塵ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域で電気光学動作を行う電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの外面に接すると共に、前記外面を少なくとも部分的に覆う樹脂製の収容ケースと
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記収容ケースは、前記電気光学パネルを内包することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記収容ケースは、透明樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記収容ケースの外表面に、反射防止加工が施されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記電気光学パネルは、
電気光学物質を狭持する一対の基板と、
該一対の基板の少なくとも一方の基板における前記電気光学物質に対向しない側に設けられた防塵用基板と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記防塵用基板の前記一対の基板に対向しない側の面における少なくとも前記画素領域に対応する部分が前記収容ケースから露出していることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記収容ケースは、高熱伝導性樹脂を含んでなることを特徴とする請求項5又は6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記電気光学パネル及び前記収容ケースは、インサート成形法により一体的に形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
画素領域で電気光学動作を行う電気光学パネルと、前記電気光学パネルの外面に接すると共に、前記外面を少なくとも部分的に覆う樹脂製の収容ケースとを備える電気光学装置の製造方法であって、
前記収容ケースの外形形状を規定する金型の内部に、所定幅の隙間を空けて前記電気光学パネルを配置する配置工程と、
前記隙間に樹脂を充填する充填工程と
を備えることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
前記1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−204958(P2009−204958A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48054(P2008−48054)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】