説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、装置内部への水分の浸入を防止する。
【解決手段】電気光学装置は、互いに対向するようにシール材(52)で貼り合わされた
第1基板(10)及び第2基板(20)と、シール材の内側において、第1及び第2基板
間に挟持された電気光学物質(50)と、第1基板上において、電気光学物質と対向する
ように設けられた第1電極(9a)と、第1電極を覆うように形成された第1絶縁膜(2
10)と、第2基板上において、電気光学物質と対向するように設けられた第2電極(2
1)と、第2電極を覆うように形成された第2絶縁膜(220)とを備える。第1絶縁膜
及び第2絶縁膜は、シール材と少なくとも部分的に重ならない領域が存在するように設け
られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液
晶プロジェクター等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、例えば一対の基板によって液晶等の電気光学物質を挟持
することで構成されるものがある。このような電気光学装置では、電気光学物質に対して
電圧を印加するための電極を覆うように、絶縁材料を含んでなる絶縁膜が設けられる場合
がある。例えば特許文献1では、電極を覆うように基板全面に絶縁膜を形成することで、
上下電極の材質が異なることに起因する非対称性を抑制するという技術が開示されている

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−48626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように基板全面に絶縁膜を設けると、絶縁膜の存在によって、
基板の側面から装置内部へ水分が浸入し易くなってしまう。例えば、基板側方において露
出された絶縁膜を介して水分が浸入する。水分が装置内部に浸入すると、表示不具合が発
生するおそれがある。即ち、上述した技術には、装置の信頼性を著しく低下させてしまう
おそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、装置内部への水分の浸入
を好適に防止することが可能な電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、互いに対向するようにシール材で
貼り合わされた第1基板及び第2基板と、前記シール材の内側において、前記第1及び第
2基板間に挟持された電気光学物質と、前記第1基板上において、前記電気光学物質と対
向するように設けられた第1電極と、前記第1電極を覆うように形成された第1絶縁膜と
、前記第2基板上において、前記電気光学物質と対向するように設けられた第2電極と、
前記第2電極を覆うように形成された第2絶縁膜とを備え、前記第1絶縁膜及び前記第2
絶縁膜は、前記シール材と少なくとも部分的に重ならない領域が存在するように設けられ
ている。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、第1基板及び第2基板間に、例えば液晶等の電気光学
物質が挟持されている。第1基板及び第2基板は、例えば熱硬化樹脂等のシール材によっ
て貼り合わされており、電気光学物質はシール材の内側に封入されている。
【0008】
第1基板上には、例えばITO(Indium Tin Oxide)等を含んでなる第1電極が設けら
れている。第1電極は、画像を表示する表示領域に配列された画素毎に設けられる。第1
電極の上には、第1電極を覆うように第1絶縁膜が設けられている。第1絶縁膜は、例え
ばSiO等の絶縁材料を含んでなる。
【0009】
第2基板上には、例えばITO等を含んでなる第2電極が設けられている。第2電極は
、画像を表示する表示領域にベタ状に設けられる。第2電極の上には、第2電極を覆うよ
うに第2絶縁膜が設けられている。第2絶縁膜は、例えばSiO等の絶縁材料を含んで
なる。
【0010】
本願発明者の研究によれば、例えば電気光学物質の配向状態を規定するために無機配向
膜を用いた場合、無機配向カラムの間隙部に存在する電気光学物質と電極とが直接接触可
能な領域において、電気光学物質及び電極界面での電荷の移動が起こり、電気的非対称性
からフリッカーや表示の焼き付きといった表示不良が発生してしまうことが判明している

【0011】
しかるに本発明では、上述したように、第1絶縁膜が第1電極を覆うように設けられる
と共に、第2絶縁膜が第2電極を覆うように設けられている。このため、電気光学物質と
、第1電極又は第2電極とが直接接触することを容易且つ確実に防止することができる。
従って、表示不良の発生を好適に抑制することができる。
【0012】
本願発明者の研究によれば、更に、第1絶縁膜及び第2絶縁膜を基板全面に設けた場合
、露出した第1絶縁膜及び第2絶縁膜を介して、装置内部に水分が浸入し易くなってしま
うことが判明している。
【0013】
ここで本発明では特に、第1絶縁膜及び第2絶縁膜は、シール材と少なくとも部分的に
重ならない領域が存在するように設けられている。具体的には、第1絶縁膜及び第2絶縁
膜は、基板全面には設けられておらず、シール材と重なる領域に欠如部を有している。こ
れにより、第1絶縁膜及び第2絶縁膜は、少なくとも部分的に装置外に露出しない部分を
有することになる。従って、上述したような第1絶縁膜及び第2絶縁膜を介した水分の浸
入を防止することが可能となる。
【0014】
尚、水分の浸入を防止する観点では、第1絶縁膜及び第2絶縁膜は、できる限りシール
材と重ならないように設けられることが好ましい。即ち、シール材と重ならない領域はで
きるだけ大きくされた方がよい。
【0015】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、装置内への水分の浸入を防止す
ることができるため、信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、前記シー
ル材と重ならないように設けられている。
【0017】
この態様によれば、第1絶縁膜及び第2絶縁膜は、シール材の内側にのみ設けられる。
よって、第1絶縁膜及び第2絶縁膜は装置外に露出しない。従って、第1絶縁膜及び第2
絶縁膜を介した水分の浸入を、より効果的に防止することが可能となる。
【0018】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、表示に
寄与する画素領域及び該画素領域の周囲に位置するダミー画素領域に重なるように設けら
れている。
【0019】
この態様によれば、画像の表示領域に寄与する画素領域の周辺にはダミー画素領域が設
けられている。ダミー画素領域は、画素領域における各画素の構成を模擬するダミー画素
を有している。
【0020】
第1絶縁膜及び第2絶縁膜は、機能的には画素領域を覆うように設けられていればよい
。しかしながら、第1絶縁膜及び第2絶縁膜を画素領域にだけ設けようとすると、製造工
程において極めて高い精度が求められてしまう。
【0021】
本態様では、第1絶縁膜及び第2絶縁膜が、ダミー画素領域にまで重なるように設けら
れているため、画素領域を確実に覆うと共に、ダミー画素領域によって製造時のマージン
を持たせることができる。従って、製造工程の複雑化を防止しつつ、確実に水分の浸入を
防止することが可能となる。
【0022】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し
、その各種態様も含む)を備える。
【0023】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、
信頼性の高い投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビュ
ーファインダー型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テ
レビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の
電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置等も実現することも可能である

【0024】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされ
る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´線断面図である。
【図3】実施形態に係る絶縁膜の形成領域を示す平面図である。
【図4】図3のA−A´線断面図である。
【図5】比較例に係る絶縁膜の形成領域を示す平面図である。
【図6】比較例及び実施形態に係る電気光学装置において表示不具合が発生するまでの時間を示したグラフである。
【図7】実施形態に係る電気光学装置の変形例を示す平面図である。
【図8】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクターの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0027】
<電気光学装置>
本実施形態に係る電気光学装置について図1から図7を参照して説明する。尚、以下の
実施形態では、本発明の電気光学装置の一例として駆動回路内蔵型のTFT(Thin Film
Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を挙げて説明する。
【0028】
先ず、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説
明する。ここに図1は、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示す平面図であり、
図2は、図1のH−H´線断面図である。
【0029】
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と
対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は、本発明の「第1基板」
の一例であり、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板や、シリコン基板等である。対
向基板20は、本発明の「第2基板」の一例であり、例えば石英基板、ガラス基板等の透
明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、本発明の「電気光学物
質」の一例である液晶層50が封入されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類の
ネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
【0030】
TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域
10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により、相互に接着されて
いる。
【0031】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等
からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、
加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と
対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバー
或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。尚、ギャップ材を、シール材52
に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10a
の周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0032】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領
域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。尚、このよ
うな額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設け
られてもよい。
【0033】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、デ
ータ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿っ
て設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額
縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10
aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板1
0の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設
けられている。
【0034】
TFTアレイ基板10上における対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域には
、両基板間を上下導通材で接続するための上下導通端子106が配置されている。これら
により、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる

【0035】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のT
FTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の
詳細な構成については図2では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、ITO等の
透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。
【0036】
画素電極9aは、対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示
領域10aに形成されている。画素電極9aは、本発明の「第1電極」の一例であり、対
向電極21は、本発明の「第2電極」の一例である。尚、ここでの図示は省略しているが
、画素電極9a上には第1絶縁膜210が設けられており、対向電極21上には第2絶縁
膜220が設けられている(後述の図4参照)。
【0037】
TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9a上には
、配向膜16が画素電極9aを覆うように形成されている。対向基板20の対向面上にお
ける、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。配向膜16及び22は、例え
ば無機材料を含む無機配向膜として形成される。
【0038】
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上には、遮光膜23が形成され
ている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に
形成されている。遮光膜23上には、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うため
に、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図2には図示しないカラーフィルター
が形成されるようにしてもよい。
【0039】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、上述したデータ線駆動回路1
01、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリ
ングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリ
チャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の
当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0040】
次に、実施形態に係る電気光学装置に設けられる絶縁膜の構成及びその効果について、
図3から図7を参照して詳細に説明する。ここに図3は、実施形態に係る絶縁膜の形成領
域を示す平面図であり、図4は、図3のA−A´線断面図である。また図5は、比較例に
係る絶縁膜の形成領域を示す平面図であり、図6は、比較例及び実施形態に係る電気光学
装置において表示不具合が発生するまでの時間を示したグラフである。図7は、実施形態
に係る電気光学装置の変形例を示す平面図である。尚、図3以降の図では、説明の便宜上
、図1及び図2に示した詳細な部材を適宜省略して図示している。
【0041】
図3及び図4において、本実施形態に係る電気光学装置では、画像表示領域10aから
該画像表示領域10aの周囲に位置するダミー画素領域10bまでを覆うように、第1絶
縁膜210及び第2絶縁膜220が設けられている。第1絶縁膜210は、画素電極9a
と配向膜16との間に設けられている。第2絶縁膜220は、対向電極21と配向膜22
との間に設けられている。尚、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220は、典型的には互
いに同じ領域に形成される。
【0042】
ここで本願発明者の研究によれば、例えば配向膜16及び22を無機配向膜とした場合
、無機配向カラムの間隙部には液晶層50と画素電極9a或いは対向電極21とが直接接
触可能な領域が存在し、電気光学物質及び電極界面での電荷の移動に起因してフリッカー
や表示の焼き付きといった表示不良が発生してしまうことが判明している。
【0043】
これに対し本実施形態に係る電気光学装置では、上述したように、第1絶縁膜210が
画素電極9aを覆うように設けられると共に、第2絶縁膜220が対向電極21を覆うよ
うに設けられている。このため、液晶層50と、画素電極9a又は対向電極21とが直接
接触することを防止することができる。従って、表示不良の発生を抑制することができる

【0044】
加えて、本願発明者の研究によれば、仮に第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220を基
板全面に設けるような場合には、露出した第1絶縁膜及び第2絶縁膜を介して、装置内部
に水分が浸入し易くなってしまうことが判明している。
【0045】
具体的には、図5に示すような電気光学装置では、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜2
20が装置側面において装置外に露出している。よって、この露出した第1絶縁膜210
及び第2絶縁膜220を介して、水分が装置内部に浸入し易くなってしまう。
【0046】
これに対し本実施形態に係る電気光学装置では、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜22
0は、シール材52とは重ならないように設けられている。即ち、第1絶縁膜210及び
第2絶縁膜220は、シール材52の内側にのみ設けられる。よって、第1絶縁膜210
及び第2絶縁膜220は、図5に示した比較例のように装置外に露出しない。また、シー
ル材52と配向膜16及び22との界面は、互いの成分が反応することで、極めて水分を
浸入させにくい構造となっている。従って、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220を介
した水分の浸入を、効果的に防止することが可能となる。
【0047】
図6において、本願発明者の研究によれば、図5に示す比較例に係る電気光学装置と、
図3及び図4に示す本実施形態に係る電気光学装置とでは、温度60℃、湿度90%の状
況下において、表示不具合が発生するまでの時間に約2倍程度の差が生じることが判明し
ている。即ち、本実施形態に係る電気光学装置によれば、表示不具合が発生するまでの時
間を2倍程度長くすることができる。
【0048】
図3に戻り、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220は、機能的には画像表示領域10
aを覆うように設けられていれば十分であるが、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220
を画像表示領域10aにだけ設けようとすると、製造工程において極めて高い精度が求め
られてしまう。即ち、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220の端部を画像表示領域10
aの周囲の境界に高い精度で合わせることが求められてしまう。
【0049】
これに対し、本実施形態に係る電気光学装置では、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜2
20が、ダミー画素領域10bにまで重なるように設けられているため、画像表示領域1
0aを確実に覆うと共に、ダミー画素領域10bによって製造時のマージンを持たせるこ
とができる。従って、製造工程の複雑化を防止しつつ、確実に水分の浸入を防止すること
が可能となる。
【0050】
図7に示すように、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220は、シール材52に重なる
領域にまで設けられていてもよい。このように構成する場合であっても、第1絶縁膜21
0及び第2絶縁膜220は、側面において装置外に露出することはない。従って、図3及
び図4に示す構成と同様に、装置内への水分の浸入を防止することができる。
【0051】
尚、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220が装置外に露出するような構成であっても
、部分的に露出しない箇所が存在すれば、その分だけ水分の浸入を抑制することが可能で
ある。即ち、第1絶縁膜210及び第2絶縁膜220がシール材52全体に重なるように
設けられない限り(言い換えれば、図5に示すような構成でない限り)、上述した効果は
相応に得られる。但し、確実に装置内への水分の浸入を防止するためにも、第1絶縁膜2
10及び第2絶縁膜220が装置外へ露出する部分はできる限り少ない方が好ましい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置によれば、装置内への水分の浸入
を防止することができるため、信頼性を向上させることができる。
【0053】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について
説明する。ここに図8は、プロジェクターの構成例を示す平面図である。以下では、この
液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクターについて説明する。
【0054】
図8に示されるように、プロジェクター1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光
源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から
射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2
枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応す
るライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される

【0055】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等
であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるも
のである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズ
ム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、
R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成さ
れる結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることと
なる。
【0056】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着
目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bに
よる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0057】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1
108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルターを
設ける必要はない。
【0058】
尚、図8を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータ
や、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダー型、モニタ直視型のビデオテープレコ
ーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、
ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられ
る。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0059】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCO
S)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、
有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等に
も適用可能である。
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体
から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような
変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範
囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、10b…ダミー画
素領域、16…配向膜、20…対向基板、21…対向電極、22…配向膜、50…液晶層
、52…シール材、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走
査線駆動回路、210…第1絶縁膜、220…第2絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するようにシール材で貼り合わされた第1基板及び第2基板と、
前記シール材の内側において、前記第1及び第2基板間に挟持された電気光学物質と、
前記第1基板上において、前記電気光学物質と対向するように設けられた第1電極と、
前記第1電極を覆うように形成された第1絶縁膜と、
前記第2基板上において、前記電気光学物質と対向するように設けられた第2電極と、
前記第2電極を覆うように形成された第2絶縁膜と
を備え、
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、前記シール材と少なくとも部分的に重ならない
領域が存在するように設けられている
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、前記シール材と重ならないように設けられてい
ることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、表示に寄与する画素領域及び該画素領域の周囲
に位置するダミー画素領域に重なるように設けられていることを特徴とする請求項1又は
2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−215460(P2011−215460A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84916(P2010−84916)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】