説明

電気双極子間の近接場における遠隔縦結合によって電気エネルギを伝達し、分配し、かつ管理するための方法および装置

本発明に係る装置は、エネルギ源に接続された1つまたは複数の発生器装置(2)と、(移動可能であり得る)1つまたは複数の負荷(3)とで構成される。各負荷は、強力でありかつ急速に可変の電界が存在する制約された空間領域(4)の仲介によって電力が供給され、これは電線、電気的接点、またはアース接続を使用することなく行われる。強力な電界は、発生器の表面上に位置する特定のサブ電極(5)と、負荷側に対向して位置する電極(6)または複数のサブ電極との間で局所的に形成される。発生器側の能動サブ電極(5)は、スイッチ(7)、たとえば負荷(3)に配置される永久磁石(8)によって起動される磁気スイッチによって選択される。負荷側では、主に周囲の誘電媒体に結合されていると考えることができる受動電極(9)が使用される。本発明は、特に、低電力もしくは中電力の固定型または携帯型電気装置に対するエネルギの遠隔供給を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
序文
電磁波は、電磁場の最もよく知られた現象である。近接場の状況においては(つまり物質本体の近傍には)、純粋に電気的または磁気的な場に関連付けられた、性質が異なる他の現象が存在する。これらの基本的な場は電波放射とは関連付けられず、明らかなエネルギ損失を生じさせることなく、真空中に配置された物体を永続的に包囲することができる。これらの場は、いわゆる静電または静磁気領域と関連付けられることが多いが、擬似接点を介してエネルギを伝送するために動的な形で使用される用途が数多く存在する。磁界に関しては、電気エネルギを機械エネルギに、またその逆に変換するための多くの回転工業用機械に言及することができる。電界に関しては、適用数はより少ないが、特に、静電塗装処理などの電荷推進装置または衛星のイオン推進ユニット、およびとりわけ我々の日常的な環境のあらゆる電子カードに存在するキャパシタが存在する。発明者の主な仕事は、静電装置の適用分野を、電波を著しく放射しないように十分低速で発振するにも関わらず互いに動的に結合される電気双極子という、より一般的な動的場に拡張し、推進し、発展させることである。
【背景技術】
【0002】
概要
従来の用途のごく短距離かつ特に低い周波数(数センチメートルかつ数十ヘルツ程度)によって、このような領域を説明するのに「準静的」という表現が長期に亘って一般的に使用されてきた。現在では、近接場は、1メートル程度の距離に亘り、MHzの範囲の周波数において使用されることが増えており、したがって準静的領域とは言い難くなっている。非放射動的領域と言うことも可能であるが、以下では(動的領域においては混乱を招き得る「静電誘導」という表現の代わりに)「電磁誘導」および「感応」という適切な名詞に基づく従来からの表現を続けて使用することを提案する。
【0003】
電磁誘導システムおよび感応システムは、活動しているエネルギの大部分がこれらの装置の近傍に局所的に保存された状態であり、伝播しないことを特徴とする。
【0004】
このような装置は、少なくとも個々の粒子レベルにおいては、必然的に電気機械的または磁気機械的である(つまり、力学の法則と関連付けられた電磁気の法則を利用する)が、この特徴はマクロレベルでは部分的に曖昧となる可能性があり、近接場領域とEM波領域との間に現在偏在している混乱をもたらす。したがって、電磁誘導変圧器に関連して、縦方向に構成された2つのコイル間の距離が顕著になると、多くの技術者は、2つの遠隔双極子間で電波が伝播すると考える。波長がシステムの全寸法よりも大きい場合が多いことに加え、電磁エネルギの流れを表わすポインティングベクトルが2つの双極子の軸上でゼロであることを証明するのは比較的容易である。この否定できない事実は解釈に深刻な問題を伴い、ごく近傍におけるこのような相互作用を説明するための標準モデルが疑問視されることにまで繋がる。
【0005】
短距離のエネルギ伝送は、結合された磁気双極子を用いた電磁誘導によって長期間実現されてきたが、ごく最近になって初めて、2つの電気双極子間の近接場縦結合を用いた装置を本発明者が提案している。このような装置は、感応について、電磁誘導変圧器の均等物と見なすことができる。
【0006】
実際的な問題として、このような電磁誘導装置または感応装置が非放射であるためには、それらの全寸法が、採用される信号の波長に比べて小さいことが一般に必要である。放射を抑制するために逆相の領域を用いた、より大きなシステムも想定することができる。
【0007】
したがって、2つのコイルに基づき1MHzで動作する装置は、コイル間の距離が150mよりも十分に短い限り、電磁誘導装置と考えることができる。
【0008】
今日、極めて多くの装置が、誘導装置であるのに放射装置として説明される場合、大きな混乱が存在することに留意すべきである。特に、現在のRFID装置のごく大多数は電磁誘導装置である。
【0009】
発明の構成
発明の概要について、同じ発明者によって提出された仏国特許FR2875649、FR2875939、FR2876495、およびPCT/FR2006/000614に関して、より詳細に説明する。
【0010】
より特定的には、本発明は、2つの発振電気双極子間の全体的または部分的感応による電気エネルギの伝達に適用され、電気双極子の各々は、一方は能動的であり、他方は受動的である1対の電極を含み、2つの能動電極は、互いに対面して位置決めされる。受動電極の寸法は能動電極の寸法よりも大きく、および/または受動電極はある距離のところに位置決めされ、したがって能動電極の近傍の電界は、受動電極の電界よりもはるかに強力である。発生器側において、1対の電極は、2つの電極間に接続された高電圧高周波発生器によって作動される。負荷側において、負荷は2つの電極間に接続される。
【0011】
電磁波の著しい放射を防ぐために、発生器の周波数は相対的に高いものの、能動電極の寸法は問題となる波長と比較すると小さい。典型的に、採用される波長の10分の1の寸法の電極が選択される(したがって、放射電力は近接場の電力の1/1000である)。しかし、(λ/2の電極はアンテナとして動作することが想起されるものの)より程度が大きい電波放射が許容できる特定の用途においては、より大きな電極(たとえば、λ/8またはさらにλ/4)の使用が可能である。さらに、電波放射を回避することがますます必要となりつつある用途においては、λ/10未満の電極を使用することが望ましいことを実証することができる。
【0012】
これに関連して、発生器側の能動電極の電位変化によってエネルギ伝達が起こり、全体的または部分的感応によって、負荷側の能動電極において対応する電位変化が誘起される。「部分的」感応は、発生器側の能動電極によって生成される電気力線の一部のみが負荷側の能動電極で終端する場合に生じる。
【0013】
能動電極の相互作用について説明するのに<容量結合>という表現を使用することが可能であるが、この結合は、全体的感応キャパシタの場合に得られるものよりもはるかに一般的である。本発明においては、能動電極および受動電極の具体的な構造(およびこれらの異なる電極間の距離)に従って、複数の相互作用が存在することになる。帯電した導体間のこのような複数の相互作用は、容量係数の行列を用いて数学的に説明され、通常は、従来の回路理論の枠組内での表示に帰することはできない。しかし、絶縁された導体の固有キャパシタンスおよび開回路の固有キャパシタンスといった新たな概念を用いることによって、抽象的な行列よりもわかりやすい表示を行うことができる。このような回路において、電荷は保存されるが物理的な電流は保存されないという事実から、主な問題が生じる。導体/誘電体遷移において、マクスウェルの変位電流と呼ばれる変位電流によって置換され、その正確な性質およびモデリングは処理し難い。しかし、物理的な電流の保存が実際に行なわれる分岐を絶縁すると、流量的表示を得ることができ、回路理論が通常当てはまる分岐によって、後者は、絶縁された導体に対応する場合に簡潔に表示することができるソース/シンクによって各側で終端する。
【0014】
対応する理論が未だに開発中であるため、これらの見解についてはこれ以上論じることができないことを読み手に弁解したい。本明細書における目的は、本発明によらなければ読み手にとって奇異であるかまたは誤りと感じられるような回路を提示することである。
【0015】
したがって、本発明者によれば、通常の回路および従来の全体的感応キャパシタによって一体的に表わされる装置に対するいずれの先行特許も、部分的感応の分野に属しかつ従来の回路理論の枠組外にある本発明に関して、真に関係がある先行技術と見なすことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
検討される課題
近接場装置の(特定の用途では明白な)主な利点は、極めて良好な効率でエネルギをある距離のところに伝送することができる点であり、その欠点は、範囲が比較的限定されることである。実際、上記のようにこれらの装置は電位エネルギによって包囲されており、ある特定の方向にエネルギを集中させることは(採用される長い波長に鑑みると)不可能であり、その結果、エネルギは全方向に分散され、距離とともに急速に減少する。各サイクルにおいて、(一般に、エネルギが存在する空間のわずかな部分のみを含む)遠方の負荷に伝送することができるエネルギの割合は概ね非常に小さい。
【0017】
このような装置が良好な効率をもたらすためには、各サイクルにおいて保存されるが使用されないエネルギを効率的に再利用できるようにすることが必要である。これは、電子工学技術者の用語に変換すると、有効電力よりもはるかに大きい場合が多い無効電力をこのようなシステムが必要とするということを意味する。実際、従来の四極結合の状況では、発生器によって生成された場は距離とともに非常に高速で減少し、(場の平方に比例する)局所的に保存されたエネルギは、したがって距離とともに極めて急速に減少する。各サイクルにおいて、負荷が遠方になるか、または発生器の場が存在する容積と比べて容積が非常に小さい場合、所与の量のエネルギを遠方の負荷に伝送するためには、負荷によって実際に消費されるよりもはるかに多くのエネルギを各サイクルにおいて空間に保存することが必要である。負荷が発生器の寸法の数倍も離れると、同じ伝達される有効電力に対する無効電力はすぐに管理不可能となるか、または無効電力を生成する要素において相当な損失を生じさせる。L/D(Lは双極子間の距離、Dは発生器の等価直径)で測定されるこのようなシステムの相対的範囲は、実際には、実現したい効率と、使用される回路および技術の「品質」とに依存する小数の単位に限定される。
【0018】
このような装置に見られる第2の問題点は、採用される周波数が高く、これは、大規模な装置を作製する際には、能動電極の自由表面から発せられるEM放射を招く。
【発明の効果】
【0019】
対照的な本発明の利点
本発明は、発振電気双極子間の縦結合構造におけるエネルギの無線伝送に関連して、強力な場の領域を負荷のごく近傍に限定し、それにより強い無効電力と寄生電波放射とによって引き起こされる損失を抑制する単純な手段を提案する。
【0020】
(無効電力の増大が急速に大電流と大きなジュール損失とを招く電磁誘導システムについては特に肝要な)大きな無効電力レベルの問題を克服するために、能動表面(つまり強力な場が生成される表面)を、負荷の位置または必要性に従って適宜起動される複数の小さなコイルで覆われる領域にセグメント化することが、米国特許6803744B1において提案されている。
【0021】
本発明は、少なくとも発生器側において複数のサブ電極にセグメント化される能動電極と、サブ電極の選択的な切換とを用いて、負荷側の電極(もしくはサブ電極)と有効に相互作用している電極(もしくはサブ電極)を起動する部分的(または全体的)感応に関連する方法および装置について説明する。
【0022】
セグメント化された能動表面を有する電磁誘導システムと、セグメント化された能動電極および選択的な切換を有する部分的感応システムとの間には、著しい相違点がいくつか存在する。セグメント化された能動電極を有する部分的感応システムは、以下の数多くの利点を有する。
・強力な電界の生成は、有効な強度とは必ずしも関連付けられず、高価な導電性金属の必要量がはるかに少ない。
・能動表面は、ごく僅かに導電性を有する材料を用いて低費用で覆うことができる。
・場が強力な領域の形状をよりよく制御することができ、任意に、単に弱導電性電線または材料を用いて置換することができる。
・ある距離での磁界の伝達および切換ははるかに問題があるのに対し、電界発生器は能動電極から隔たることができる。
・切換動作は単極上で自然に生じることができ(磁気単極子は存在しない)、1本の電線を使用して、サブ電極の組全体に発生器を接続することが可能となる。
【0023】
本発明に係る方法は、高電圧線によって電気エネルギを伝達するための通常の方法と同様である。しかし、はるかに高い周波数の使用と、分配の最終段階において電線が存在しないことと、負荷のごく近傍に位置する領域にのみ強力な場を印加することとによって差別化される。
【0024】
負荷(複数であり得る)が発生器構造の内部に配置されている独国特許DE10304584A1に対し、本発明は、発生器および負荷が互いの外部にあり、かつ互いの遠方にあることと、受動電極の使用と、電界が存在する領域の制限とによって差別化される。
【0025】
2つの電気双極子間の縦結合による(各瞬間において、少なくとも2対の電極の使用を伴う)二重の従来の容量結合に基づくカナダ特許CA2526245A1に対し、本発明に係る方法は1対の電極の使用を可能とし、切換動作の制御が極めて簡略化される。
【0026】
我々自身の特許に対して、本発明は、電界が強力な領域の拡大を制限しかつ制御することを可能にし、それによって効率を向上させる手段を使用する点で差別化される。
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の説明
事前摘要
準縦モードに従った部分的感応によって、電気エネルギをある距離に伝達し、分配し、管理するための装置および方法を提示する。準縦モードは、「2つまたは複数の双極子間の近接場縦電気結合」と称することもできる。
【0028】
2種類の双極性(または任意に多極性)装置が考えられ、それぞれ発生器および負荷と呼ばれる。所与の双極子(または多極子)は、相対的に高い周波数で強力な電界を介して近接場に結合される。
【0029】
「高周波数」とは、電気エネルギを伝達するのに通常使用されるものよりもはるかに高い周波数であると理解されるべきである。当該装置は、優先的に縦方向に結合され、ごくわずかな電磁エネルギしか放射しないことを主に特徴とする。これは、周囲の媒体の波長が発生器装置の寸法よりも明らかに大きいときに特に当てはまる。強力な電界は、考慮対象の媒体の破壊電界強度によって限定され、電極間の距離が相当に大きくなると、非常に高い電圧を招く。
【0030】
得られた電圧および周波数は、伝送される電力と、装置の寸法と、それらを隔てる距離との関数である。
【0031】
このような装置に直接関連付けられる発生器および負荷について説明するために、以下ではHVHF(高電圧高周波)という簡潔な表現を使用する。従来の電子工学技術を用いた他の種類の電圧または周波数への変換、昇圧もしくは降圧も可能である。
【0032】
本発明に係る各装置は、少なくとも1つのHVHF発生器または同じ種類の負荷によって構成され、それらの端部の各々において、寸法および形状が変化する少なくとも1つの電極に接続される。一方では発生器とそれに接続された電極とからなり、他方では負荷とそれに接続された電極とからなるアセンブリの各々は、発振電気双極子を構成する。本発明に関連して好ましい構造は、双極子が縦方向に、つまり同じ軸上に配置されている場合に相当する。しかし特定の近接結合の場合、双極子は互いに非常に大きな角度を有し、直角よりも大きい可能性もある。
【0033】
負荷側または発生器側の受動電極の一方は、任意に、アースへの接続で置換され得る。
本発明に関連して、発生器と特定の負荷とで実現される結合は、2つの電極のみが主にリンクに関与することを特徴とし、電極は各側に1つずつある。これらの電極(「能動電極」と称する)は、優先的に直接対面して(互いに反対側に)配置される。つまり、局所的に互いに平行な表面を優先的に示し、互いに相対的に短距離に位置決めされる。他方の電極(「受動電極」と称する)およびなおさらアースは、場がより弱い環境にある。この非対称性は、異なる電極の寸法を調整することによって、またはそれらの位置決めつまりそれらの距離を調整することによって得られる。多くの用途において、受動電極の役割を果たすのは、装置の遮蔽部分または大きな寸法の導体であり、より一般的には、発生器側のアースもしくは一次接地および負荷側の二次接地である。
【0034】
密結合を伴う構造において、つまり考慮対象の2つの双極子が互いにごく近接している場合、2つの能動電極間の結合は著しく優勢であり、したがって全体的感応領域で動作し、他方の2つの隔たった受動電極は、周囲の誘電媒体に結合されているにすぎないと考えられ得る。このような場合、受動電極が互いに十分に隔たった状態であるならば、双極子はどのような相対的配向を有することもできる。互いに相当に隔たった2つの対称的な双極子という極端な場合は、本発明の別の可能な構造である。このような場合、双極子は、同じ軸上、または小角度をなす軸上に位置決めされることになる。これらの2つの例の間において、通常の全体的感応キャパシタの単純なアセンブリに帰すことができない数多くの構造を実現することができる。優先的に縦方向である全体的な配置を維持し、かつ一方で電極の寸法および形状と、他方においてそれらの間のそれぞれの距離とを変化させつつ、これらの構造が得られる。
【0035】
本発明は、請求項1に係る、電気エネルギをある距離に伝達する方法と、請求項5に係る、電気エネルギをある距離に伝達するための装置とを提供する。
【0036】
本発明に関連して、電極はセグメント化され選択的に切換えられるが、一般に、上述の主要な原理が該当する。特に、所与の瞬間における所与の発生器と負荷とのリンクについては、基本的に、優先的な縦構造のために2つの能動電極を用いて結合が行なわれる。
【0037】
本発明は、とりわけ、大規模発生器(物理的寸法)が複数の小さな負荷に電力を供給する極めて非対称的な状況における用途を目的とし、小さな負荷は移動可能であり、発生器に対して、それら自身の寸法と比較して相対的に長距離のところに位置し得る。
【0038】
本発明に係る方法は、非常に高い電圧を高い周波数で、選択的に切換システムを介して、覆われる空間の局所化された領域に印加することにある。エネルギは、縦方向の非放射モードに従った強力な電界を介して、ある距離に伝送される。本発明の方法に係る理想的な状況は、電気エネルギが存在する領域を、エネルギを消費する負荷によって占められる領域のみに限定することである。
【0039】
この点に関し、本発明は、エネルギ分配の無線モードに関する。
印加されるHVHF電圧を生成するために、本発明は、低電圧DCまたは低周波数電気エネルギを低電圧高周波の電気エネルギに変換するステップと、次いで電圧を大幅に上昇させるステップとを典型的に含む。
【0040】
図面
本発明の特徴および利点は、例示のみを目的として示される一部の好ましい実施例についての以下の説明を添付の図面と関連付けて読むことで、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る方法の実施例を概略的に示す図である。
【図2】図1の実施例の変形例を示す図である。
【図3】図2の実施例の変形例を示す図である。
【図4】本発明に係るシステムの実施例を概略的に示す図である。
【図5】図4のシステムの発生器装置において使用されるHVHF発生器の構成を概略的に示す図である。
【図6】図4のシステムの発生器装置において使用されるHVHF発生器の構成を概略的に示す図である。
【図7】セグメント化された電極がとり得る特定の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
方法
本発明に係る方法の好ましい実施例を説明する。この実施例によれば、当該方法は以下のステップを含む。
ステップ1:電気エネルギは、外部電源から低電圧直流または交流の形で得られる。
ステップ2:この電流は、場合によっては整流された後で、適切な技術を用いて高周波交流に変換される。
ステップ3:この交流の電圧は、次に、昇圧変圧器装置などの手段を用いて大幅に上昇される。
ステップ4:高電圧発生器の端子の一方はアースまたはかなり大きな電気接地に接続され、他方の端子の高電圧は、選択的に検出手段および切換手段を介して、(セグメント化された能動電極に対応する)1つまたは複数組のサブ電極に印加される。
ステップ5:装置が動作可能な場合は、これらの組のサブ電極とちょうど対向して少なくとも1つの電極が位置し、少なくとも1つの電極は、場合によっては負荷側の他の切換手段に関連付けられた組の一部を構成し、高電圧および高周波で動作する装置の端子に接続される。負荷の他方の端子は、かなり大きな金属接地に接続される。
ステップ6:この装置内で、変圧器などの適切な手段を用いて電圧を低下させる。
ステップ7:低電圧は次に、特定の電子手段によって整流され、調節される。
ステップ8:低電圧電気エネルギが最終負荷に印加される。
【0043】
切換手段は、発生器側もしくは負荷側に、または各々の側に部分的に位置する検出手段および制御手段と関連付けられる。
【0044】
サブ電極は、これらの手段によって、所与の瞬間において能動的であるサブ電極の数および位置が、発生器および負荷の相互位置と負荷の要件とに依存して最適化されるように切換えられる。たとえば、伝達中に負荷と発生器装置との距離が増大した場合、発生器側の能動電極の有効寸法が増大するように、起動される隣接するサブ電極の数を増やすことができる。
【0045】
発生器側のサブ電極には、(任意に電子)回路が有利に設けられ、サブ電極と存在し得る負荷との間でエネルギの伝送が不要になったかまたは正確に行なうことができない場合、サブ電極は保護もしくは待機モードをとることが可能となる。
【0046】
当該方法の範囲から逸脱することなく、数多くの変形例が可能である。たとえば:
高周波での電流の生成および高電圧への昇圧に関するステップ2およびステップ3を逆転させてもよい。つまり、信号の周波数を増大させる前に、電圧を上昇させてもよい。
【0047】
任意に、各能動サブ電極において変圧器が使用される場合には昇圧する前に切換動作が行なわれ、切換動作は、電子モジュールが能動サブ電極の各々に関連付けられている場合には、高周波電流の生成前に任意に行なうこともできる。切換動作についての先行技術を何らかの形で組合せることも可能である。
【0048】
同様に、負荷側において起こり得る切換動作(負荷側のセグメント化された電極の場合)は、任意に、電圧を低下させた後もしくは整流後、またはこれらを実現可能な手段のいずれかの組合せによって行なわれる。
【0049】
セグメント化された能動電極が設けられた、配向が可変な負荷の場合、能動的でないサブ電極は、任意に、寸法が大きい受動電極を実現するように接地に接続される。
【0050】
サブ電極の起動を駆動する検出手段および切換手段の制御は、(たとえば発生器側の磁気スイッチと、対向する装置に配置された磁石とを使用することによって)局所的に、または位置検出器に関連付けられたマイクロコントローラなどの、存在するおよび/または能動的な負荷を局所化する専用回路を用いて遠隔的に行なわれる。
【0051】
通信プロトコルは、負荷、発生器、および任意に外界の間のエネルギおよび/またはデータの交換に任意に使用される。単方向または双方向でのエネルギの伝達に使用される電気的リンクを活用することによって、またはいずれかの他の既存の通信技術によって、実現される。
【0052】
図1は、当該方法の1つの可能な実現例を概略的に示し、図の上部に位置する丸で囲まれた数字を用いてステップが示される。低電圧で直流を供給する外部電気エネルギ源1は、発生器11に高周波の高電圧を供給する。発生器11は、(所望の高周波信号を出力する)DC−AC変換器13と昇圧変圧器14とで構成される。この変形例において、2組の切換えられたサブ電極が存在し、一方は発生器側の5であり、他方は切換手段7と関連付けられた負荷側の6である。負荷側において、サブ電極6を介して受取られる電気エネルギは、降圧変圧器15と整流器16と最終負荷18とで構成される装置12に与えられる。なお、装置12の構成要素は、(特に最終負荷18の電気的特性の関数として)利用目的に従って変化することが注目されるべきである。
【0053】
簡略化のために、切換手段7の検出手段および制御手段は図1には示されない。図1の例によれば、切換動作は、HVHF側つまり発生器側においては昇圧変圧器14の後、負荷側においては降圧変圧器15の前に行なわれる。
【0054】
図2は同様の可能な実現例を示し、補助的な変調手段および制御手段がさらに示され、変調手段は、伝達されたエネルギに所望の変調信号を重畳するように機能する。使用される変調は双方向振幅変調であり、発生器2側においては、変圧器14に与えられる信号の振幅の変調を行う変調器19によって、負荷側においては負荷変調器20によって実現される。装置に対する変調信号の検出は変圧器において行なわれ、これらの信号は、任意に、外部とのデータ交換も制御する論理ユニット21によって処理される前に増幅および整形される。
【0055】
図3は、図2に関して説明した主要な機能が、発生器側の専用集積回路22と負荷側の専用集積回路23とに分類される状況を概略的に示す。最終低電圧負荷18を除いて負荷側に位置するすべての要素を含むアダプタ装置24の形態で、市販されている既存の製品を(本発明に係るエネルギおよび/またはデータの伝達に関与することが可能な装置に)変換するのに必要な分類機能を実現可能な手段も示されている。
【0056】
なお、上記の3つの表示において、発生器側の一次側の電気回路および負荷側の二次側の電気回路が、受動電極の役割を暗示的に果たす。
【0057】
方法を実現する装置
本発明に係る装置の特定の好ましい実施例について説明する。
【0058】
概略的構造
本発明に係る装置全体は、電気エネルギ源1に接続された(通常は固定された)1つまたは複数の発生器装置2と、移動可能であり得る1組の負荷3とで構成される。各負荷は、電線、電気的接点、またはアースへの接続なしに、強力でありかつ急速に可変の電界4が存在する制約された空間領域(図4参照)を介して電力供給される。強力な電界は、発生器の表面上に位置する特定のサブ電極5と、対向して負荷6側に位置する1つの電極または複数のサブ電極との間で局所的に形成される。発生器のサブ電極は、スイッチ7と関連付けられた検出手段および制御手段によって選択的に起動される。スイッチは、たとえば、磁性を有し、負荷8に配置された永久磁石によって起動される。
【0059】
当該装置は、特に、負荷側および発生器側それぞれにおいて受動電極9および10を使用することを特徴とする。これらの電極は、優先的に、主に周囲の誘電媒体に結合されるように、能動電極よりも寸法が大きく、および/または能動電極から十分隔たっている。この状況は、実際には、それら自身のキャパシタンスが、真空中にのみ存在する際の自己キャパシタンスと僅かしか異ならない場合に実現される。これらのキャパシタンスは、
i=Cij・Vj,
によって規定される結合行列の次数に対応する対角要素Ciiによって表わされる。
【0060】
発生器
本発明に係る発生器装置は、1つもしくは複数のHVHF発生器11からなり、HVHF発生器11は、電線および1組のスイッチ7のネットワークを介して、一方側においては大きな受動電極またはアース10に接続され、他方側においてはより小さい1つもしくは複数組の能動サブ電極5に接続される。
【0061】
負荷
本発明に係る負荷型の装置は、1つまたは複数のHVHF負荷12からなり、HVHF負荷12は、一方側においては能動電極6に、他方側においては、好ましくはより寸法が大きい受動電極9に接続される。負荷は任意に、能動サブ電極の組を含む。たとえば、本発明の特定の用途によれば、負荷側の能動電極を構成する1組のサブ電極は、車輪(たとえば自転車の車輪)の周りに配置される。
【0062】
HVHF発生器
本発明に係るHVHF発生器11は、低電圧で高周波を生成する電子回路13と関連付けられた誘電型または圧電型の昇圧変圧器14を用いて低電圧から、または強力な電界と高周波とを同時に生成することが可能ないずれかの他の技術によって得られる。エネルギの未使用部分が各サイクルにおいて完全に損失されないように、共振回路および/またはエネルギ回復装置を含むことが有利である。当該発生器は、任意に、1つの構成要素を介して昇圧を行うための共振誘導変圧器と、エネルギ再利用装置とを使用する。発生器の接地またはアースが受動電極の役割を果たすことが有利である。
【0063】
HVHF負荷
負荷構造は通常は双極性であるが、3つ以上の電極が同時に使用される場合は、より複雑な多極構造も形成する。
【0064】
本発明の特定の用途によれば、負荷は、抵抗型の高インピーダンス媒体、または代替的に、場のエネルギを直接使用して、たとえば熱もしくは光を生成する大きな損失角を有する誘電媒体からなる。このような場合、電極は仮想的であり、このような構成要素の、電気力線が出入りする外側表面で構成される。
【0065】
任意に、負荷は、本発明に従って提示される技術と適合するように1つまたは複数の既存の装置に接続されたアダプタ24からなる。アダプタ装置は、少なくとも1つの能動電極6と、任意に受動電極9とで構成され、既存の装置の電気的特性に従って、任意的には共振する降圧変圧器15と電子整流調節モジュール16とを含むこともできる。特定の場合には、最終負荷の低インピーダンス回路および/または金属遮蔽部品が、受動電極として機能するように使用されることが有利である。
【0066】
分配
エネルギの分配は、スイッチ7のネットワークを介して、HVHF発生器11の高電圧端子と発生器側の能動サブ電極5の組との間で優先的に行なわれる。この実施例により、セグメント化された能動電極を構成するサブ電極のグループ全体にHVHF電気エネルギを伝えるのに1本の電線を使用することが可能となる。さらに、この電線は非常に細い(下記参照)。
【0067】
本発明に係る装置の他の実施例によれば、エネルギの分配は、エネルギ源1と、発生器5の各能動電極に配置された昇圧変圧器14に関連付けられたDC/AC変換電子回路13との間に位置決めされるスイッチのネットワークを介して行われる。
【0068】
別の可能性は、切換モード回路を使用して、適切に適合化された1つの電力回路13によって低電圧直流を高周波に変換し、次いでこの高周波を、スイッチのネットワークを介して、発生器5の各能動電極に関連付けられた1組の昇圧変圧器14に分配することである。
【0069】
電線
HVHF電圧を伝える接続電線は良好な導電体である必要はなく、任意に、非常に細長いか、またはシート、帯、リボンなどの他の(任意に可撓性を有する)誘電材料に蒸着されるかもしくは含まれる少量の導電材料によって置換される。
【0070】
電極
能動サブ電極5は、任意に、電線と同じ可能性を利用し得る。つまり、任意に、可撓性を有する誘電表面上に含まれるかまたは蒸着される少量の導電材料を用いて実現することができる。
【0071】
サブ電極および電極は、いずれの形状も有することができる。しかし、能動電極については、イオン化によって損失を生じさせやすく、かつコロナ効果によって周囲の誘電材料の劣化を引起こしやすい鋭いエッジを避けることが適当である。
【0072】
特定の用途において、発生器の表面のいずれかの位置に、所望の強力な電界を形成できるようにすることが有用である。このような場合、たとえば、三角形、長方形、六角形、または表面全体をモザイク状に覆うことができるいずれかの他の形状をとる理想的なサブ電極によって表面をマッピングすることができる。いずれかの適切な形状および表面積を有するサブ電極は、たとえば特定の領域における制御の向上を必要とする特定の状況において使用することができる。
【0073】
サブ電極ならびに電極のそれぞれの寸法および形状の選択は、全く制約されない。しかし、発生器側においては、強力な電界が空き領域に拡大することを制限しつつ、負荷側の能動電極(または能動サブ電極)のごく近傍に所望の強力な電界を形成することができるように最小のサブ電極を採用することが好ましい。発生器側のサブ電極の寸法が負荷側の能動電極の寸法に匹敵するかまたは僅かに大きい場合は、発生器側において1度に1つのサブ電極を起動しつつ負荷に対して適切な供給が行われ、発生器側の切換がより簡略化される。
【0074】
発生器側のサブ電極の寸法が負荷側の能動電極の寸法よりもはるかに小さい場合は、負荷の適切な作動を保証するために、発生器側において1度に複数のサブ電極を起動することが一般に必要である。さらに、発生器側のサブ電極が負荷側の電極(またはサブ電極)と同じ寸法であるかもしくは僅かに小さい特定の場合は、負荷側の電極がこれらのサブ電極間の境界に面して位置決めされていれば、発生器側において1度に2つ以上のサブ電極を起動することができる。
【0075】
発生器側のサブ電極の寸法が負荷側の能動電極の寸法よりもはるかに大きい場合は、形成される強力な電界の領域が必要以上に大きくなり、エネルギの浪費を伴う。しかし、この浪費は、負荷への適切な電力供給を保証するための厳しい要件が存在する特定の用途においては許容され得る。
【0076】
セグメント化された電極が両側に存在する場合、サブ電極の形状および寸法は、各個々の場合に適合化される。
【0077】
スイッチ
スイッチ7は、選択される分配モード(高電圧または低電圧)と、採用される電力レベルと、使用されるトリガ手段とに依存して変化する非常に異なる技術に属し得る。任意に、制御素子と一体化することができる。代替的に、電気機械的、磁気機械的、電磁的、光学的、音響的であってもよいし、ある距離のところでトリガするいずれかの他の技術を含んでもよい。任意に、さらなるケーブルを必要とすることなくスイッチ自身が作動するように、スイッチの端子の電位差を利用する。スイッチ7のこのような自己作動を用いることによって、HVHF発生器からサブ電極5の組全体に1本の電線が延びる構造を得ることができる。
【0078】
本発明の好ましい実施例によれば、電線および電極のように、HV上に配置される場合、スイッチに少量の導電材料を使用することが有利である。
【0079】
スイッチ7は、各能動電極5のごく近傍に優先的に位置決めされ、直接的な機械動作(固体接点、圧力など)によって、または短距離においては、負荷の近傍にあることによる作用によって直接的に、もしくは電子手段によって間接的に駆動される。電子手段を使用する場合、電子手段は、スイッチ自身もしくは各電極に一体化されるか、または発生器に配置されるか、または部分的に発生器に、部分的に負荷に分散される。
【0080】
制御手段、検出手段および通信手段
検出および制御の手段がスイッチ自身に一体化されない場合は、発生器および/または負荷に存在する電子モジュールの形態で分散される。任意に、専用集積回路22および23の形態をとる。電子手段は、通信プロトコルの形態のソフトウェア手段と任意に関連付けられる。任意に、通信手段はエネルギ伝送と同じサポートを使用し、適切な変調手段19および復調手段20を実現する。
【0081】
一部の例示的な実施例
図4は、本発明の特定の簡単な実施例を示す。HVHF発生器11は、リード型磁気機械式スイッチ7のネットワークを介して、一方側においては大きな受動電極10と、他方側においては1組の小電極5−サブ電極−とに接続される。磁気スイッチは、負荷の存在もしくは要件に従って接点を開閉させるように、スイッチ7内に位置する磁石8が引き付けられたり反発されるように配置される、永久磁石または電磁石8が設けられた負荷3が短距離のところに存在することによって起動される。
【0082】
図4の実施例の変形例によれば、スイッチ7は、負荷側に加えられた変調を検出するように機能する検出器(図示せず)を含む(この変調は、負荷側の能動電極上にある電荷の変動を生じさせるように機能する)。スイッチ7の接点は、この変調がセンサによって検出されたときのみ閉じられた状態となる。この特徴によって、予期される負荷3から生じているのではない磁界が存在する場合のサブ電極の不適当な起動を回避することが可能となる。スイッチ7が他の刺激(固体接点、圧力など)によって制御される場合でも、サブ電極の不要な起動を防ぐために、負荷側において同じ種類のセンサと同じ変調とを採用してもよい。
【0083】
図5は、HVHF発生器11の可能な実現例を示す。この実現例において、低電圧電流は、第1のステップにおいて、テスラ型共振昇圧変圧器14に印加される前に、交流(任意に正弦波)電流に変換される。この変圧器の二次巻線の低電圧端子はアースに接続され、高電圧端子は分配ネットワークに接続される。
【0084】
図6は、既存の負荷に接続されたアダプタの形態の負荷の実現例を示す。アダプタ24は、共振型降圧変圧器の一次巻線の高電圧端子に接続された能動電極6からなり、この巻線の低電圧端子は、二次側の回路に接続される。変圧器の二次側は、任意に調節要素16を含む整流回路に接続される。出力電圧は、次いで最終負荷に印加される。この実施例では、二次側の低インピーダンス回路と負荷側の低インピーダンス回路とが受動電極の役割を果たす。
【0085】
図7は、(可撓性を有し得る)誘電材料の非常に薄い表面が1組のサブ電極の支持体として使用される実施例を示す。サブ電極は、蒸着もしくは電着、および/またはエッチングによって実現される。電子型スイッチは、たとえば直列に搭載されたトランジスタによって構成され、トランジスタは、任意に、負荷の存在、たとえば適切な変調回路が設けられた負荷が短距離内に存在することによって引起こされる変調の存在を検出する回路に関連付けられる。トランジスタ、ならびに制御および検出回路は、誘電基板上への蒸着という同様の技術を用いて実現される。
【0086】
待機位置にある(つまり開いている)ときには、スイッチを電子制御する回路は、補助配線を必要とすることなく、発生器と浮遊電極との間に存在する電位差によって任意に作動される。
【0087】
発明の変形例(図示せず)において、拡大された空間領域を含まなければならない場合、かつ電波の放射を制限するために、複数の位相がずれた発生器を用いて、または同じ発生器の2つの端子のうち一方の能動電極を交互に切換えることによって、同相および逆相のセクタがもたらされる。
【0088】
一部の適用例
本発明は、電極の寸法および使用される周波数が(用途に応じて)大きく変動する極めて多様な用途において採用され得る。限定はしないが、いくつかの例示的な例を挙げる。
・本発明に係る発生器装置が設けられた作業面から家庭用器具に電力を供給するためのシステム(家庭用器具には、本発明に係る負荷装置が設けられる)
・道路沿い(たとえば地中、マイル標、もしくは道路脇の標識など)に設置された本発明に係る発生器装置から、車両に収容された1つ/複数の負荷に電力を供給するための(または車両自身に電力を供給するための)システム
・主発生器装置と複数の従属負荷装置との間で電気エネルギおよびデータを伝達するシステム(たとえば、発生器装置はバスステーションに設置され、負荷装置はバスに設置される)
・携帯電話または他の携帯型装置(MP3プレーヤ、携帯型コンピュータなど)に、家の壁などに設置された発生器装置から電力を供給する。
【0089】
本発明は、特に、低電力もしくは中電力の固定型または携帯型電気装置に対するエネルギの遠隔供給を目的とする。
【0090】
長距離に亘るエネルギ伝達の場合、伝達リスクから保護するために必要な電圧レベルまたは電界強度は、(数十キロボルトを超える電圧の使用を認めていない)現行の基準に明記されている限界を超える。しかし、基準が発展していくにつれて、本発明の用途はさらに大きな規模に広がり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギをある距離に伝達する方法であって、
一方(5)は能動電極であり、他方(10)は受動電極である第1の組の電極(5,10)を含む発生器装置を供給するステップを含み、前記第1の組の電極は、高周波および高電圧の電気エネルギの発生器(11)の端子に接続され、前記能動電極は、切換手段(7)を介して選択的に発生器(11)に接続される複数のサブ電極(5)にセグメント化され、さらに、
負荷として機能する少なくとも1つの装置(3)を供給するステップを含み、前記負荷装置(3)は、一方(6)は能動電極であり、他方(9)は受動電極である第2の組の電極を含み、前記第2の組の電極は負荷に接続され、さらに、
負荷装置(3)のうち少なくとも1つの能動電極(4)を、前記発生器装置(2)の前記サブ電極(5)のうち少なくとも1つの近傍に位置決めするステップと、
前記切換手段(7)を起動して前記少なくとも1つのサブ電極(5)を前記発生器(11)に接続して、前記残りのサブ電極(5)は前記発生器(11)に接続せず、前記少なくとも1つのサブ電極(5)の近傍に局所化される強力な電界領域(4)を形成することによって、前記少なくとも1つの負荷装置(3)に電気エネルギを伝達するステップとを含み、前記領域(4)は、前記少なくとも1つの負荷装置(3)の近傍に位置する、方法。
【請求項2】
同じ方法に従って、かつ前記発生器装置(2)および前記負荷装置(3)に一体化された追加的な変調手段および復調手段を用いて、情報が一方向または双方向に任意に伝送される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各負荷装置(3)自身にエネルギ伝達を開始させる通信プロトコルに従って、電気エネルギが前記少なくとも1つの負荷装置(3)に任意に伝送され、前記プロトコルは、前記発生器装置(2)および/または任意に前記負荷装置(3)の各能動サブ電極(5)に優先的に位置する検出手段、制御手段ならびに切換手段を用いた装置によって実現される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発生器装置(2)と存在し得る前記負荷装置(3)との間のエネルギの伝達が不要になったかまたは正確に行なうことができない場合、前記通信プロトコルは、保護もしくは待機モードを任意に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
「発生器装置」と称される一方がエネルギを供給し、「負荷装置」と称される第2の装置がエネルギを受取る少なくとも2つの発振電気双極子間の近接場縦電気結合によって電気エネルギをある距離に伝達するためのシステムであって、
少なくとも1つの発生器装置(2)を備え、前記発生器装置(2)は、一方(5)は能動電極であり、他方(10)は受動電極である第1の組の電極(5,10)を含み、前記第1の組の電極は、高周波および高電圧の電気エネルギの発生器(11)の端子に接続され、前記能動電極は、切換手段(7)を介して選択的に発生器(11)に接続される複数のサブ電極(5)にセグメント化され、さらに、
一方(6)は能動電極であり、他方(9)は受動電極である第2の組の電極を含む少なくとも1つの装置(3)を備え、前記第2の組の電極は負荷(12)に接続され、さらに、
前記切換手段(7)を選択的に起動して、前記少なくとも1つのサブ電極(5)を前記発生器(11)に接続するための制御手段を備え、残りのサブ電極(5)は前記発生器(11)に接続されず、起動された前記少なくとも1つのサブ電極(5)は、電気双極子の端部の一方を構成し、他方端は前記発生器装置(2)の前記受動電極(10)によって構成され、
前記制御手段は、前記負荷装置(3)の1つの能動電極(6)に対面して配置される少なくとも1つのサブ電極(5)を起動するように適合化され、前記負荷装置(3)の前記能動電極(6)は、電気双極子の端部の一方を構成し、他方端は前記負荷装置(3)の前記受動電極(9)によって構成される、システム。
【請求項6】
前記発生器(11)は、高電圧高周波発生器(HVHF発生器)である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記発生器装置(2)および前記負荷装置(3)のうち少なくとも一方の前記受動電極(10/9)は、一次接地またはアースへの接続によって置換される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記HVHF発生器(11)は、好ましくは共振型の誘導変圧器、圧電変圧器、または高周波で高電圧を供給することができるいずれかの技術などの、少なくとも1つの昇圧変圧器(14)と関連付けられた電子装置によって構成される、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記負荷装置(3)は、高電圧で直接的に動作するか、または従来の低電圧負荷(18)と関連付けられた降圧装置(15)によって任意に構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記負荷装置(3)の前記受動電極(9)の役割は、前記低電圧負荷(18)の金属遮蔽によって、または前記低電圧負荷(18)の低インピーダンス回路によって果たされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
一方側における前記HVHF発生器(11)とそれらに関連付けられた前記電極(5,10)との間の接続、および、他方側における前記負荷装置(3)に含まれるHVHF負荷とそれらに関連付けられた電極(4,9)との間の接続は、任意に極めて細い導体電線を用いて実現され、電線は、前記電極(5,10/4,9)およびHVスイッチ(7)のように、シート、帯もしくはリボンなどの可撓性を有し得る誘電材料に蒸着されるかまたは含まれる少量の導電材料によって任意に構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記発生器側の前記サブ電極(5)の寸法は十分に小さく、それらの数、形状、および配置は、対向して配置され、移動可能であり得る負荷側能動電極(6)の良好な有効範囲を各瞬間において保証するように適合化される、請求項5に記載のシステム。
【請求項13】
前記切換手段(7)、ある距離での検出のための補助手段、およびこれらの要素の制御回路は、好ましくは前記サブ電極(5)に近接して位置決めされ、前記切換手段(7)は、後者の2つの要素のうち一方が各サブ電極(5)に位置する場合、前記変圧器および前記発生器の上流に任意に位置決めされる、請求項5に記載の装置。
【請求項14】
前記切換手段(7)の一部を構成するスイッチに一体化されるかまたはごく近傍にある電子手段は、前記スイッチの端子間に存在する電位差によって任意に作動される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記切換手段(7)を制御する電子制御手段は、専用集積回路(22,23)内で任意に部分的にまたは全体的に分類され、エネルギの伝達を可能にするのと同じリンクを用いた電子通信手段と任意に関連付けられる、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
任意に前記制御手段と一体化される補助回路をさらに備え、前記少なくとも1つの発生器装置(2)と存在し得る前記負荷装置(3)との間のエネルギの伝達が不要になったかまたは正確に行うことができない場合、前記制御手段は、保護もしくは待機モードをとることが可能となる、請求項5に記載のシステム。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−537613(P2010−537613A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520613(P2010−520613)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051501
【国際公開番号】WO2009/024731
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508283886)TMMS株式会社 (2)
【Fターム(参考)】