説明

電気式脱イオン水製造装置及びその運転方法

【課題】イオン交換反応に伴う膨張、収縮による片流れやイオン交換膜との接触不良を防止できると共に、高い電圧を必要とせず、電流の利用効率が高い電気式脱イオン水製造装置及びその運転方法を提供すること。
【解決手段】陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜で区画される縦型脱塩室を内包し、該脱塩室内のイオン交換体に被処理水を通過させると共に、該両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する電気式脱イオン水製造装置において、該イオン交換体が、モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱イオン水を用いる半導体製造工業、製薬工業、食品工業、発電所、研究所等の各種の工業あるいは糖液、ジュース、ワイン等の製造等で利用される電気式脱イオン水製造装置及び運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気式脱イオン水製造装置は、基本的には陽イオン交換膜と陰イオン交換膜で形成される隙間に、イオン交換体として粒状アニオン交換樹脂と粒状カチオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂層を充填して脱塩室とし、当該イオン交換樹脂層に被処理水を通過させるとともに、前記両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電流を作用させて、両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除しながら脱イオン水を製造するものである。この電気式脱イオン水製造装置の脱塩室は陽イオン交換膜と陰イオン交換膜で形成される隙間が狭く、被処理水の流れ方向に長いため、縦型脱塩室と称されることがある。
【0003】
一方、特開2003−334560号公報には、モノリス状の有機多孔質イオン交換体(以下、単に「モノリス」とも言う)を充填した脱塩室を有し、該脱塩室に通水し、水中のイオン性不純物を除去して脱イオン水を製造すると共に、該脱塩室に直流電場を印加して、該有機多孔質イオン交換体に吸着したイオン性不純物を系外に排除する電気式脱イオン水製造装置において、該直流電場の印加は、排除されるイオンが該有機多孔質イオン交換体内における通水方向に対して逆向きに泳動するように行う電気式脱イオン水製造装置が開示されている。特開2003−334560号公報記載の電気式脱イオン水製造装置の脱塩室は幅寸法が大きく採れ且つ脱塩室充填材として3次元網目構造を有するモノリスを用いるため、直流電流を被処理水の流れに対して垂直方向に印加する従前の電気式脱イオン水製造装置に比べて、装置構造が簡略であり材料費、加工費、組み立て費を軽減させることができる。また、モノリスは粒状イオン交換樹脂と比較して充填層全体が連続体となっているため、イオンの吸脱着が容易であり、吸着したイオン性不純物の移動を速めて吸着イオンの排除を容易にし、炭酸カルシウムや水酸化マグネシウム等のスケール発生の可能性が全くないなど顕著な効果を有している。
【0004】
また、特開2006−15260号公報には、モノリスと粒状イオン交換樹脂の混合体を充填した脱塩室に、直流電場を、排除されるイオンが該イオン交換体内における通水方向に対して同一方向又は逆方向に泳動するように印加して、該イオン交換体に吸着したイオン性不純物を系外に排除する電気式脱イオン水製造装置が開示されている。この電気式脱イオン水製造装置によれば、モノリスのイオン交換反応由来の膨張収縮とは無関係な物理的な伸縮性による緩衝作用により、イオン交換反応に伴う膨張、収縮による片流れやイオン交換膜との接触不良を防止できる。この電気式脱イオン水製造装置の脱塩室は、被処理水の流れ方向である両側のイオン交換膜で形成される幅寸法が長いため、横型脱塩室と称されることがある。
【特許文献1】特開2003−334560号公報
【特許文献2】特開2006−15260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2006−15260号公報には、モノリスと粒状イオン交換樹脂の混合体を、縦型脱塩室へ適用することは記載されていない。また、横型脱塩室を内包する電気式脱イオン水製造装置は、1つのセルが厚くなり電気抵抗が高い、一つの脱塩室の極間距離が長く電圧が高い、積層できないため電流の利用効率が劣るという装置構造に起因した問題がある。また、モノリスと粒状イオン交換樹脂の混合体を横型脱塩室に適用する際、モノリスとして両性イオンモノリスを使用すると、もともと高い電圧が必要な構造に加えて、両性イオンモノリスに由来する電気抵抗の高さから、更に高い電圧を必要とし、実用上使用し得ないという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、イオン交換反応に伴う膨張、収縮による片流れやイオン交換膜との接触不良を防止できると共に、高い電圧を必要とせず、電流の利用効率が高い電気式脱イオン水製造装置及びその運転方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記目的に加えて更に、脱塩室ひとつでイオン交換体充填高さを低くでき、且つカチオンとアニオンの除去を可能にする電気式脱イオン水製造装置及びその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実状において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、縦型脱塩室を内包する電気式脱イオン水製造装置において、該脱塩室に充填されるイオン交換体を、モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体とすれば、イオン交換反応に伴う膨張、収縮による片流れやイオン交換膜との接触不良を防止できると共に、高い電圧を必要とせず、電流の利用効率が高まること、ひとつの脱塩室に例えば、被処理水流入側から流出側に向けて、粒状アニオン交換樹脂と両性イオンモノリスをこの順序で充填した場合、印加電圧をそれほど高くすることなく、脱塩室ひとつでイオン交換体充填高さを低くでき、且つカチオンとアニオンの除去ができること、などを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、陽極側がアニオン交換膜で区画され陰極側がカチオン交換膜で区画されるイオン交換体が充填される脱塩室を内包し、該イオン交換体に被処理水を通過させると共に、該両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する電気式脱イオン水製造装置において、該イオン交換体が、モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体であることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の間に更に中間イオン交換膜を配設して、該アニオン交換膜と該中間イオン交換膜で区画される第1イオン交換体が充填される第1小脱塩室と該中間イオン交換膜と該カチオン交換膜で区画される第2イオン交換体が充填される第2小脱塩室を形成し、該第1小脱塩室と該第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させるか、または該第2小脱塩室と該第1小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させると共に、該イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する電気式脱イオン水製造装置において、該イオン交換体が、モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体であることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、陽極側がアニオン交換膜で区画され陰極側がカチオン交換膜で区画されるモノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体が充填される脱塩室を内包する電気式脱イオン水製造装置を用い、該イオン交換体に被処理水を通過させると共に、該両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置の運転方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜と該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の間に位置する中間イオン交換膜とを有し、該アニオン交換膜と該中間イオン交換膜で形成される隙間にモノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の第1混合イオン交換体が充填される第1小脱塩室と該中間イオン交換膜と該カチオン交換膜で形成される隙間にモノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の第2混合イオン交換体が充填される第2小脱塩室を内包する電気式脱イオン水製造装置を用い、該第1小脱塩室と該第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させるか、または該第2小脱塩室と該第1小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させると共に、該アニオン交換膜又は該カチオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置の運転方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、縦型脱塩室に充填されるイオン交換体の一部にモノリスを使用するため、(1)モノリス及び粒状イオン交換樹脂の膨潤、収縮反応による体積変化を、モノリスの物理的な伸縮性により緩衝し、該脱塩室内の充填状態を均一に保つことができる。また、イオン交換反応に伴う膨張、収縮による片流れやイオン交換膜との接触不良を防止できると共に、高い電圧を必要とせず、電流の利用効率が高まる。また、(2)粒状イオン交換樹脂に比べて、モノリスはイオンの移動速度が速くイオン交換体長さが短いため、処理水流出口近傍に配置されたモノリスは希薄濃度域での微量イオンの漏れを抑えて高純度処理水を得ることができる。このため、(3)イオン交換体充填高さを低くでき、装置をコンパクト化できるか、あるいは(4)イオン交換体充填高さを保ったまま、大流量処理が可能となる。また、(5)脱塩室の被処理水流入口近傍にモノリスを配置することで、脱陽イオン室ではカルシウム等の硬度成分の排除速度が向上し、脱陰イオン室では炭酸やシリカ等の陰イオンの排除速度が向上する。また、(6)ひとつの脱塩室に例えば、被処理水流入側から流出側に向けて、粒状アニオン交換樹脂と両性イオンモノリスをこの順序で充填した場合、横型脱塩室に比べて遥かに低い印加電圧で、カチオンとアニオンの除去ができ、特に炭酸比率の高い逆浸透膜処理水を、高度に精製された純水とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の電気式脱イオン水製造装置は、陽極側がアニオン交換膜で区画され陰極側がカチオン交換膜で区画されるイオン交換体が充填される脱塩室を内包し、該イオン交換体に被処理水を通過させると共に、該両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する装置(第1の装置)、又は該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の間に更に中間イオン交換膜を配設して、該アニオン交換膜と該中間イオン交換膜で区画される第1イオン交換体が充填される第1小脱塩室と該中間イオン交換膜と該カチオン交換膜で区画される第2イオン交換体が充填される第2小脱塩室を形成し、該第1小脱塩室と該第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させるか、または該第2小脱塩室と該第1小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させると共に、該イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する装置(第2の装置)が挙げられる。第1の装置の基本構造は、例えば、特開2001−239270号公報において従来例である図5に示されたものと、第2の装置の基本構造は、特開2001−239270号公報に記載の発明に係る装置とそれぞれ同じである。
【0014】
モノリスとしては、特に制限されず、特開2003−334560号公報記載のものが挙げられ、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が共通の開口となる平均径が1〜1000μmのメソポアを有し、該マクロポアと該メソポアで形成される気泡内が流路となる連続気泡構造体であって、全細孔容積が1ml/g〜50ml/gであり、イオン交換基が均一に分布され、イオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥多孔質体以上である3次元網目構造のものが使用できる。粒状イオン交換樹脂としては、特に制限されず、水処理に使用される公知のイオン交換樹脂が挙げられる。当該モノリスの製造方法は、特開2003−334560号公報に開示されている。
【0015】
モノリスと粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体としては、通水方向に対して、粒状イオン交換樹脂とモノリスをこの順序で積層する2層構造であるか、又は該積層構造の繰り返しの3層又は4層構造以上のもの、あるいは通水方向に対して、モノリスと粒状イオン交換樹脂をこの順序で積層する2層構造であるか、又は該積層構造の繰り返しの3層又は4層構造のものが挙げられる。モノリスと粒状イオン交換樹脂の積層体は、モノリスがスポンジ状の一体構造物であるため、粒状イオン交換樹脂と混ざることがなく、室内において通水方向に対して垂直方向に延設される仕切り部材を用いなくとも相状に充填できる。積層体におけるモノリス相と粒状イオン交換樹脂相の体積割合としては、特に制限されず、イオン交換基の種類、被処理水の処理目的などにより適宜決定される。
【0016】
モノリスとしては、モノリス状有機多孔質カチオン交換体(カチオンモノリス)、モノリス状有機多孔質アニオン交換体(アニオンモノリス)及びモノリス状有機多孔質両性イオン交換体(両性モノリス)が挙げられ、粒状イオン交換樹脂としては、粒状カチオン交換樹脂、粒状アニオン交換樹脂及び粒状カチオン交換樹脂と粒状アニオン交換樹脂の混合樹脂(粒状ミックス交換樹脂)が挙げられる。従って、脱塩室がモノリスと粒状イオン交換樹脂の2層の積層構造の場合、上記6種類で、本願発明のモノリスと粒状イオン交換樹脂の組合せは18通りの積層形態を採ることができる。
【0017】
モノリスとイオン交換樹脂の混合イオン交換体のイオン形としては、特に制限されないが、塩形と再生形の混合イオン交換体が、イオン交換反応に伴う膨潤、収縮を緩和できる点で好ましい。なお、本発明においては、モノリスとイオン交換樹脂の混合イオン交換体による当該膨潤、収縮緩和効果のみでは十分ではなく、これにモノリスの物理的な伸縮効果が加わって、脱塩室内の密着性が確保できる。
【0018】
脱塩室が被処理水中のカチオンを除去するカチオンセルの場合、あるいは脱塩室が被処理水中のアニオンを除去するアニオンセルの場合、被処理水流入側から順に粒状イオン交換樹脂→モノリスの積層構造、あるいは被処理水流入側から順にモノリス→粒状イオン交換樹脂の積層構造をとる。このうち、被処理水流入側から順に粒状イオン交換樹脂→モノリスの積層構造の場合、上記(1)〜(4)の効果を奏する。また、被処理水流入側から順にモノリス、粒状イオン交換樹脂の積層構造の場合、上記(1)、(5)及び(6)の効果を奏する。
【0019】
ひとつの脱塩室が被処理水中のカチオンとアニオンを共に除去する両性セルの場合、粒状カチオン交換樹脂とアニオンモノリスの組み合わせ、又は粒状アニオン交換樹脂とカチオンモノリスの組み合わせを採る第1の形態、両性モノリスと粒状イオン交換樹脂の組合せを採る第2の形態、被処理水流入側から順に単一極性のモノリス若しくは単一極性の粒状イオン交換樹脂と、両性粒状ミックス交換樹脂若しくは両性モノリスの組合せを採る第3の形態が挙げられる。この中、第1の装置において、脱塩室の被処理水流入側から流出側に向けて、粒状アニオン交換樹脂と両性イオンモノリスをこの順序で充填した場合、あるいは第2の装置において、第1小脱塩室と第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させる装置形態において、第1小脱塩室に、被処理水流入側から順に、粒状アニオン交換樹脂、アニオンモノリスの積層構造、第2小脱塩室に、第1小脱塩室処理水流入側から順に、粒状ミックス交換樹脂、両性モノリスの積層構造の場合、共に、横型脱塩室に比べて遥かに低い印加電圧で、カチオンとアニオンの除去ができ、特に炭酸比率の高い逆浸透膜処理水を、高度に精製された純水とすることができる。なお、本発明において、第2装置におけるひとつの脱塩室とは、第1小脱塩室又は第2小脱塩室を言う。
【0020】
本発明において、被処理水としては、脱イオン処理を目的とするものであり、濁質を含まないものであれば特に限定されないが、例えば、濁度1度程度以下の工業用水や市水、あるいは逆浸透膜処理水などを挙げることができる。
【0021】
本発明の電気式脱イオン水製造装置において、脱塩室を形成するセル枠内にモノリスと粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体を充填する方法としては、モノリスをセル枠よりやや大きいサイズにカットして、セル枠の所定の位置に押し込むように充填し、その後、モノリス以外の空間に粒状イオン交換樹脂を充填するのがよい。このように混合イオン交換体が充填された脱塩室は、粒状イオン交換樹脂が収縮しても、モノリスがスポンジ状に押し返して隙間を塞ぎ、一方、粒状イオン交換樹脂が膨張しても、モノリスがスポンジ状に縮んで吸収し、セル枠の破損やイオン交換膜の剥離を防ぐ。従って、セル内の混合イオン交換体の充填状態を常に一定に保ち、片流れや、電気抵抗及び電流の偏りを防ぐことができる。また、モノリスと粒状イオン交換樹脂を組み合わせることで、従来の縦型被処理水の通水方向に対して、垂直方向に延出するように配設されていた仕切り部材の設置を省略することができる。
【0022】
本発明の電気式脱イオン水製造装置の運転方法としては、第1の装置を用い、該イオン交換体に被処理水を通過させると共に、該両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する方法、第2の装置を用い、該第1小脱塩室と該第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させるか、または該第2小脱塩室と該第1小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させると共に、該イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する運転方法が挙げられる。
【0023】
次に、本発明の電気式脱イオン水製造装置及びその運転方法の一例を図1を参照して説明する。図1は本例の電気式脱イオン水製造装置の構造を示す模式図である。図1の電気式脱イオン水製造装置10は、カチオン交換膜1及びアニオン交換膜2を離間して交互に配置し、カチオン交換膜1とアニオン交換膜2で形成される空間内にひとつおきにイオン交換体を充填して脱塩室4とする。脱塩室4のそれぞれの隣に位置するアニオン交換膜2とカチオン交換膜1で形成されるイオン交換体を充填していない部分は濃縮水が流れる濃縮室5である。
【0024】
また、カチオン交換膜1とアニオン交換膜2とその内部には、通水方向に沿って、アニオン交換樹脂(AER)41と両性モノリス(K/AMo)42がこの順で2層に積層された脱塩モジュール40を形成する。脱塩モジュール40の複数個をその間に図では省略するスペーサーを挟んで併設した状態が図1に示されたものであり、併設した脱塩モジュール40の一端側に陰極8を配設すると共に、他端側に陽極7を配設する。なお、スペーサーを挟んだ位置が濃縮室5であり、両端の濃縮室5の両外側は、例えばイオン交換性のない単なる隔膜(仕切り膜)21を配設し、隔膜21で仕切られた両電極が接する部分をそれぞれ陰極室81及び陽極室71としている。
【0025】
次ぎに、電気式脱イオン水製造装置10によって、被処理水を処理し、処理水を製造するには、以下のように操作される。なお、被処理水は逆浸透膜透過水の場合について説明する。すなわち、陰極8と陽極7間に直流電流を通じ、また、電極室71、81に電極水を、濃縮室5に濃縮水をそれぞれ通水する。被処理水は、各脱塩室4を流下し、アニオン交換樹脂41の充填層を通過する際、逆浸透膜装置で除去し難い炭酸イオンやその他のアニオン成分が除かれ、流出側の両性モノリス42の充填層を通過する際、残りのアニオン成分とカチオン成分が除かれ、処理水が脱塩室から得られる。また、濃縮水は濃縮室5を流下し、両イオン交換膜を介して移動してくる不純物イオンを受け取り、不純物イオンを濃縮した濃縮水として濃縮室5から流出される。上記操作によって、逆浸透膜装置の透過水中の不純物イオンは電気的に除去され、高度に精製された処理水(純水)を得ることができる。従来の横型脱塩室を備える電気式脱イオン水製造装置の場合、モノリスとして両性イオンモノリスを使用すると、もともと高い電圧が必要な構造に加えて、両性イオンモノリスに由来する電気抵抗の高さから、更に高い電圧を必要とし、実用上使用することができないものであったが、本例の電気式脱イオン水製造装置10の運転方法によれば、横型脱塩室に比べて遥かに低い印加電圧で不純物イオンを除去でき、且つ上記(1)〜(4)の効果を奏する。
【0026】
次に、本発明の電気式脱イオン水製造装置及びその運転方法の他の例を図2を参照して説明する。図2は他の例の電気式脱イオン水製造装置の構造を示す模式図である。図2において、図1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図2において、図1と異なる点は、脱塩室構造及び被処理水の流れ方向である。電気式脱イオン水製造装置10aの脱塩構造は、アニオン交換膜2とカチオン交換膜1の間に更に中間イオン交換膜9を配設して、アニオン交換膜2と中間イオン交換膜9で区画される第1イオン交換体が充填される第1小脱塩室4aと中間イオン交換膜9とカチオン交換膜1で区画される第2イオン交換体が充填される第2小脱塩室4bを形成したものである。なお、中間イオン交換膜9はカチオン交換膜である。
【0027】
次ぎに、電気式脱イオン水製造装置10aによって、被処理水を処理し、処理水を製造するには、以下のように操作される。なお、被処理水は前記同様に、逆浸透膜装置の透過水の場合について説明する。すなわち、陰極8と陽極7間に直流電流を通じ、また、電極室71、81に電極水を、濃縮室5に濃縮水をそれぞれ通水する。被処理水は、第1小脱塩室4a及び第2小脱塩室4bの順序で直列に通過され、第1小脱塩室4aのアニオン交換樹脂41及びアニオンモノリス43の2層の充填層を通過する際、逆浸透膜装置で除去し難い炭酸イオンやその他のアニオン成分が除かれ、次いで第2小脱塩室4bのカチオン交換樹脂44及び両性モノリス42の2層の充填層を通過する際、残りのアニオン成分とカチオン成分が除かれ、処理水が脱塩室4から得られる。また、濃縮水は濃縮室5を流下し、アニオン交換膜2とカチオン交換膜1を介して移動してくる不純物イオンを受け取り、不純物イオンを濃縮した濃縮水として濃縮室5から流出される。上記操作によって、透過水の不純物イオンは電気的に除去され、処理水(純水)を得ることができる。電気式脱イオン水製造装置10aの運転方法によれば、電気式脱イオン水製造装置10と同様の効果を奏する。
【0028】
次ぎに、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0029】
脱塩室構造が図1に示す電気式脱イオン水製造装置の縦型のもので、下記仕様の装置を用いて、図1に示したフローにて、被処理水を下記の運転条件により処理した。被処理水は逆浸透膜装置の透過水であり、炭酸濃度3.8mgCO/l、シリカ濃度500μgSiO/lである。この結果、運転時間1000時間における抵抗率17.9MΩ-cmの処理水を得るための、平均印加電圧は12V、電流は0.3Aであった。また、連続運転中、脱塩モジュール内を観察したところ、アニオン交換樹脂が膨張して両性モノリスが潰されており、混合イオン交換体は脱塩モジュール内に密着している状態であった。
【0030】
(両性モノリス(K/AMo)の製造)
ビニルベンジルクロライド83ミリモル、スチレンスルホン酸エチル30ミリモル、ジビニルベンゼン13ミリモル、アゾビスイソブチロニトリル1.6ミリモル及びソルビタンモノオレエート2.25gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該混合物を180mlの純水に添加し、500ml容量の円筒型容器に入れ、遊星式攪拌装置(VMX−360、EME社製)を用いて−0.08MPaの減圧下、公転回転数1800回転/分、自転回転数600回転/分で5分間攪拌し、油中水滴型エマルジョンを得た(油中水滴型エマルジョン形成工程)。乳化終了後、窒素で十分置換した後、密封し、静置下、60℃で24時間重合させた(重合工程)。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで18時間ソックスレー抽出し、未反応モノマーとソルビタンモノオレエートを除去した後、85℃で一昼夜減圧乾燥した。このようにして得られた次式(I)に示すビニルベンジルクロライド/スチレンスルホン酸エチル/ジビニルベンゼン共重合体よりなる多孔質体(架橋成分を10モル%含有)から6.6gを切り出して、テトラヒドロフラン900ml及びジメチルエタノールアミン177ミリモルを加え、40℃で6時間反応させた。反応終了後、多孔質イオン交換体を取り出し、メタノールで洗浄後水洗し、乾燥して次式(II)に示す多孔質イオン交換体を得た。
【化1】

IR測定の結果より、この多孔質イオン交換体中には四級アンモニウム基に帰属される吸収(1630cm−1、3390cm−1)とスルホン酸基に帰属される吸収(1033cm−1)は認められたが、スルホン酸エステルの吸収(1176cm−1)は認められなかった。このことから、この多孔質イオン交換体にはスルホン酸エステル基の加水分解によって生じた陽イオン交換基であるスルホン酸基と、クロロメチル基とジメチルエタノールアミンとの反応で生成した陰イオン交換基である四級アンモニウム基が導入されていることを確認した。また、これらのイオン交換基の分布状況を確認するため、硫黄原子及び塩素原子の分布をEPMAで測定した。その結果、硫黄原子、塩素原子共に多孔質体の表面及び内部に均一に分布していることが確認できた。導入されたイオン交換基を定量するため、元素分析により硫黄含有量及び窒素含有量を定量し、スルホン酸基導入量と四級アンモニウム基導入量を算出したところ、それぞれ1.5ミリモル/g乾燥多孔質体、3.9ミリモル/g乾燥多孔質体であった。また、SEM観察の結果、多孔質体の連続気泡構造が確認できた。SEM観察の結果から求めたマクロポアの平均径は20μm であり、マクロポアとマクロポアの重なりで形成されるメソポアの直径の平均値は8μm、多孔質ポリマー部分の全細孔容積は8.2ml/gであった。なお、メソポアの直径の平均値及び全細孔容積は、水銀圧入法を用いて測定した。
【0031】
<電気式脱イオン水製造装置>
・ 電気式脱イオン水製造装置;EDI(オルガノ社製)
・ 脱塩室;幅55mm、高さ230mm、厚さ8mm
・ 混合イオン交換体の体積比率(AER(IRA402BL):K/AMo);2:1
・ 被処理水の流量;10l/h
・ 濃縮水の流量;5l/h
【実施例2】
【0032】
脱塩室構造が図2に示す電気式脱イオン水製造装置の縦型のもので、下記仕様の装置を用いて、図2に示したフローにて、被処理水を下記の運転条件により処理した以外は、実施例1と同様に行った。この結果、運転時間1000時間における抵抗率17.9MΩ-cmの処理水を得るための、平均印加電圧は18V、電流は0.3Aであった。
【0033】
(アニオンモノリスの製造)
スチレン83.1gの代わりに、p-クロロメチルスチレン54.0gを用い、ジビニルベンゼン51.9g、アゾビスイソブチロニトリル0.78gとした以外、上記両性モノリスの製造と同様の油中水滴型エマルジョンの重合を行い、p−クロロメチルスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を50モル%含有した多孔質体を製造した。この多孔質体に、ジオキサン1500gを加え80℃で30分加熱した後、室温まで冷却し、トリメチルアミン(30%)水溶液195gを徐々に加え、50℃で3時間反応させた後、室温で一昼夜放置した。反応終了後、多孔質体を取り出し、アセトンで洗浄後水洗し、乾燥して多孔質アニオン交換体を得た。SIMSにより、トリメチルアンモニウム基が多孔質体に均一に導入されていることを確認した。また、SEM観察の結果、この多孔質体の内部構造は、連続気泡構造を有しており、平均径30μm のマクロポアの大部分が重なり合い、マクロポアとマクロポアの重なりで形成されるメソポアの直径の平均値は4μm、全細孔容積は9.9ml/gであった。
【0034】
<電気式脱イオン水製造装置>
・ 電気式脱イオン水製造装置;D2EDI(オルガノ社製)
・ 第1小脱塩室;幅55mm、高さ230mm、厚さ8mm
・ 第1小脱塩室の混合イオン交換体の体積比率(AER:AMo);2:1
・ 第2小脱塩室;幅55mm、高さ230mm、厚さ4mm
・ 第2小脱塩室の混合イオン交換体の体積比率(K/AER:K/AMo);2:1、
・ 第2脱塩室のK/AER;粒状カチオン(IR120B)と粒状アニオン(IRA402BL)の体積比率50:50
・ 被処理水の流量;10l/h
・ 濃縮水の流量;5l/h
【0035】
比較例1
(電気式脱イオン水製造装置の作製)
図3の簡略図に示すような下記仕様の横型脱塩室を有する電気式脱イオン水製造装置を使用した。図3中、電気式脱イオン水製造装置50は、混合イオン交換体51aを充填した脱塩室51に、直流電場を、排除されるイオンがイオン交換体51a内における通水方向に対して同一方向又は逆方向に泳動するように印加して、混合イオン交換体51aに吸着したイオン性不純物を系外に排除する装置であって、脱塩室51の陽極側にはアニオン交換樹脂58が充填され、脱塩室51の陰極側には両性モノリス59が充填され、被処理水はアニオン交換樹脂58の陽極56に隣接するアニオン交換膜52近傍に流入し、処理水は陰極57に隣接するカチオン膜53近傍で、被処理水流入部とは対角線上にある位置から流出する。
【0036】
・ セルサイズ;160ml(縦5cm×横4cm×高さ(電極間長さ)8cm)
・ セル容器;内容積160ml
・ アニオン交換樹脂(陽極側に充填);120ml(IRA402BL)、縦5cm×横4cm×高さ6cm、
・ 両性モノリス(陰極側に充填);40ml、実施例1記載のモノリスを切断した縦5cm×横4cm×高さ2cmのもの、
・ 被処理水;実施例1で使用した逆浸透膜装置の透過水、流量15l/時間
・ 電極水;アノード水、カソード水共に、流量各5l/時間
【0037】
(電気式脱イオン水製造装置の運転)
得られた電気式脱イオン水製造装置に被処理水を流速15l/時間(LV=7.5、SV=94(全体))で連続通水し、0.6Aの直流電流を通電したところ、操作電圧は脱塩構造及び両性モノリスに起因する電気抵抗の高さから、350Vに達して、実用上使用に耐えないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の電気式脱イオン水製造装置は、脱イオン水を用いる半導体製造工業、製薬工業、食品工業、発電所、研究所等の各種の工業あるいは糖液、ジュース、ワイン等の製造等で利用され、特に逆浸透膜装置の透過水の処理に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置の構造を示す模式図である。
【図2】本発明の他の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置の構造を示す模式図である。
【図3】比較例で用いた横型脱塩室構造の電気式脱イオン水製造装置の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
1 カチオン交換膜
2 アニオン交換膜
4 脱塩室
4a 第1小脱塩室
4b 第2小脱塩室
5 濃縮室
7 陽極
8 陰極
9 中間イオン交換膜
10、10a、10b 電気式脱イオン水製造装置
41 粒状アニオン交換樹脂
42 両性モノリス
43 アニオンモノリス
44 粒状ミックス樹脂
15 脱塩室



【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極側がアニオン交換膜で区画され陰極側がカチオン交換膜で区画されるイオン交換体が充填される脱塩室を内包し、該イオン交換体に被処理水を通過させると共に、該両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する電気式脱イオン水製造装置において、該イオン交換体が、モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体であることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項2】
該脱塩室は、通水方向に沿って、粒状イオン交換樹脂とモノリス状有機多孔質イオン交換体をこの順序で積層する構造であるか、又は該積層構造の繰り返し構造であることを特徴とする請求項1記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項3】
該脱塩室は、通水方向に沿って、モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂をこの順序で積層する構造であるか、又は該積層構造の繰り返し構造であることを特徴とする請求項1記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項4】
該脱塩室の流出側に、モノリス状有機多孔質両性イオン交換体を配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項5】
該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の間に更に中間イオン交換膜を配設して、該アニオン交換膜と該中間イオン交換膜で区画される第1イオン交換体が充填される第1小脱塩室と該中間イオン交換膜と該カチオン交換膜で区画される第2イオン交換体が充填される第2小脱塩室を形成し、該第1小脱塩室と該第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させるか、または該第2小脱塩室と該第1小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させると共に、該イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除する電気式脱イオン水製造装置において、該イオン交換体が、モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体であることを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項6】
該第1小脱塩室及び該第2小脱塩室は、それぞれ被処理水流入側から流出側に向けて、粒状イオン交換樹脂とモノリス状有機多孔質イオン交換体をこの順序で積層する構造であるか、又は該積層構造の繰り返し構造であることを特徴とする請求項5記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項7】
該第1小脱塩室と該第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させるものであって、該第1小脱塩室は、被処理水流入側から流出側に向けて、粒状アニオン交換樹脂とモノリス状有機多孔質アニオン交換体をこの順序で積層する構造であり、該第2小脱塩室は、該第1小脱塩室の処理水流入側から流出側に向けて、粒状混合イオン交換体とモノリス状有機多孔質両性イオン交換体をこの順序で積層する構造であることを特徴とする請求項5又は6記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項8】
陽極側がアニオン交換膜で区画され陰極側がカチオン交換膜で区画されるモノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の混合イオン交換体が充填される脱塩室を内包する電気式脱イオン水製造装置を用い、該イオン交換体に被処理水を通過させると共に、該両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置の運転方法。
【請求項9】
陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜と該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の間に位置する中間イオン交換膜とを有し、該アニオン交換膜と該中間イオン交換膜で形成される隙間にモノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の第1混合イオン交換体が充填される第1小脱塩室と該中間イオン交換膜と該カチオン交換膜で形成される隙間にモノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状イオン交換樹脂の第2混合イオン交換体が充填される第2小脱塩室を内包する電気式脱イオン水製造装置を用い、該第1小脱塩室と該第2小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させるか、または該第2小脱塩室と該第1小脱塩室に被処理水をこの順序で直列に通過させると共に、該アニオン交換膜又は該カチオン交換膜を介して被処理水の流れに対して垂直方向に直流電場を作用させて、該アニオン交換膜と該カチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置の運転方法。




















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−55388(P2008−55388A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238671(P2006−238671)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】