説明

電気掃除機

【課題】回転ブラシの回転異常を確実に検出して使用者に報知できる電気掃除機を提供する。
【解決手段】振動検出手段57により検出した床ブラシの振動に基づいて回転ブラシ35の回転数を検出する。電動機36の特性のばらつきに拘らず回転ブラシ35の回転数を確実に検出する。検出した回転ブラシ35の回転数が所定の回転数以下であるときに回転ブラシ35が回転異常であると判断して報知するので、回転ブラシ35の回転異常を確実に検出して使用者に報知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機により回転駆動される回転清掃体を有する吸込口体を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体に、ホース体および延長管を介して吸込口体としての床ブラシが連通接続される。この床ブラシは、横長のケース体と、このケース体に連通接続された接続管とを備えている。ケース体には、回転清掃体としての回転ブラシが吸込口に回転自在に取り付けられている。また、ケース体の内部には、回転ブラシを回転駆動させる電動機が収容されている。
【0003】
ここで、回転ブラシには、被掃除面としての床面上の毛ごみなどを掃除した際に、この毛ごみなどが絡み付くことがある。そして、このように回転ブラシに毛ごみなどが絡み付いた際には、回転ブラシが回転しなくなり、この回転ブラシを回転駆動させる電動機がロックすることがある。そこで、このようなロックにより電動機が損傷しないように、電動機の電流値を検出し、この電流値に基づいて電動機のロックを検出し、このロックを検出した際には電動機を停止させる構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−73224号公報(第6−9頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電動機は個々に特性のばらつきがあるため、上述のように電動機の電流値に基づいて電動機のロックを検出する場合には、電動機を停止させたいときに電動機を停止させることができなかったり、例えば毛足が長い絨毯などの負荷が大きい(高負荷の)床面を掃除する際などに誤って電動機を停止させたりするおそれがあるという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、回転清掃体の回転異常を確実に検出して使用者に報知できる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸込口を有するケース体、このケース体に回転可能に取り付けられた回転体およびこの回転体の軸方向に沿って直線状の直線部を少なくとも一部に備え回転体から突出する清掃部材を有する回転清掃体、および、この回転清掃体を回転駆動させる電動機を備え、吸込口を電動送風機の吸込側へと連通させる吸込口体と、この吸込口体の振動を検出する振動検出手段と、この振動検出手段により検出した吸込口体の振動に基づき回転清掃体の回転数を検出し、この検出した回転数が所定の回転数以下であるときに回転清掃体の回転異常を報知する制御手段とを具備したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振動検出手段により検出した吸込口体の振動に基づいて回転清掃体の回転数を検出することで、電動機の特性のばらつきに拘らず回転清掃体の回転数を確実に検出し、この検出した回転数が所定の回転数以下であるときに回転清掃体が回転異常であると判断して報知するので、回転清掃体の回転異常を確実に検出して使用者に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【図2】同上電気掃除機の吸込口体を模式的に示す縦断面図である。
【図3】同上吸込口体を模式的に示す平面図である。
【図4】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図5】同上電気掃除機の振動検出手段により検出した吸込口体のケース体の上下方向の振動パターンに対応する電気的な波形を示すグラフであり、(a)は硬質の被掃除面上を掃除している状態、(b)は軟質の被掃除面上を掃除している状態を示す。
【図6】同上電気掃除機の制御の一部を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【図8】同上電気掃除機の制御の一部を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態の電気掃除機の制御の一部を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施の形態の電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【図11】同上電気掃除機の制御の一部を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5の実施の形態の電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【図13】同上電気掃除機の制御の一部を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第6の実施の形態の電気掃除機の制御の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0011】
図4において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に着脱可能に接続される風路形成体である管部13とを有している。
【0012】
掃除機本体12は、床面上を旋回および走行可能な中空状の本体ケース15を備えており、この本体ケース15の内部に、図示しない本体集塵室と電動送風機室とが前後に区画されている。さらに、電動送風機室には、電動送風機18が収容されており、この電動送風機18の吸込側が本体集塵室に連通している。また、本体集塵室内には、フィルタ、集塵袋、あるいは集塵装置(集塵カップ)などの集塵部が配置されている。そして、本体ケース15の前部には、本体集塵室に連通するとともに管部13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。
【0013】
また、管部13は、本体吸込口19に接続される接続管部21と、この接続管部21の先端側に連通する可撓性を有するホース体22と、このホース体22の先端側に設けられた手元操作部23と、この手元操作部23の先端側に着脱可能に接続される延長管24とを備えており、この延長管24の先端側に、吸込口体としての床ブラシ25が着脱可能となっている。さらに、手元操作部23には、把持部28がホース体22側へと突出し、この把持部28には、電動送風機18の動作モードを設定するための操作手段としての複数の設定ボタン29がそれぞれ設けられている。
【0014】
そして、床ブラシ25は、図2ないし図4に示すように、左右幅方向に長手状、すなわち横長のケース体31と、このケース体31の左右幅方向の略中心位置に回転可能に連通接続された接続管32とを備えている。ケース体31の下部には、左右幅方向に長手状の吸込口34が開口形成されており、この吸込口34には、回転清掃体としての回転ブラシ35が回転可能に配置されている。また、ケース体31の内部には、回転ブラシ35を回転駆動させる駆動手段としての電動機36が収容されている。
【0015】
回転ブラシ35は、長尺状の回転体としての軸部41と、この軸部41から外方へと突出するように取り付けられた(第1)清掃部材としての長ブレード部材42,42と、これら長ブレード部材42,42間にて軸部41から外方へと突出する(第2)清掃部材としての第1短ブレード部材43,43および(第3)清掃部材としての第2短ブレード部材44,44とを一体的に有している。これら長ブレード部材42、第1短ブレード部材43および第2短ブレード部材44は、それぞれ軸部41の周方向に略等間隔に離間されて配置され、回転ブラシ35の周方向に、長ブレード部材42、第1短ブレード部材43、第2短ブレード部材44、長ブレード部材42、第1短ブレード部材43、第2短ブレード部材44の順となっている。なお、各ブレード部材42,43,44は、それぞれ軸部41と別体で形成して軸部41に取り付けてもよいし、軸部41と一体的に形成してもよい。
【0016】
軸部41は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成されている。また、軸部41の両端部は、図示しない軸受を介して床ブラシ25の吸込口34の両側部に回動可能に取り付けられている。
【0017】
長ブレード部材42,42は、例えばフローリング、あるいは畳などの、比較的硬質で平面的な床面に当接して掃除するもので、それぞれ例えば可撓性および弾性を有するゴムなどにより薄板状(ブレード状)に形成されており、断面視で軸部41の中心に対して互いに対称な位置に取り付けられている。また、各長ブレード部材42は、軸部41の両端間全体に亘って連続し、この軸部41の外周面から壁状に突出している。さらに、各長ブレード部材42は、軸部41の端部に、この軸部41の軸方向(長手方向)に沿って直線状の(第1)直線状部としての(第1)振動付与部であるストレート部42a,42bを備えており、これらストレート部42a,42b間の部分が、軸部41の周方向に螺旋状にねじれた(第1)ねじれ部42cとなっている。したがって、各長ブレード部材42は、軸部41の一端側から他端側に亘って例えば周方向に180°ねじれており、一方の長ブレード部材42のストレート部42a(ストレート部42b)は、他方の長ブレード部材42のストレート部42b(ストレート部42a)に対して同位相、すなわち、回転ブラシ35が回転したときに同時に床面に接触するように位置している。
【0018】
第1短ブレード部材43,43および第2短ブレード部材44,44は、例えば絨毯などの、比較的軟質で床ブラシ25が沈み込む床面に当接して掃除するもので、それぞれ例えば長ブレード部材42,42と同様の可撓性および弾性を有するゴムなどにより薄板状(ブレード状)に形成されており、断面視で軸部41の中心に対して互いに対称な位置に取り付けられている。また、各短ブレード部材43,44は、それぞれ軸部41の両端間全体に亘って連続し、この軸部41の外周面から壁状に突出している。さらに、各第1短ブレード部材43および各第2短ブレード部材44は、軸部41の外周面に対する外方への突出量が、長ブレード部材42よりも小さい。なお、ここでは、第1短ブレード部材43と第2短ブレード部材44とは、軸部41の外周面に対する外方への突出量が互いに等しいものとするが、互いに異なっている構成としてもよい。
【0019】
また、各第1短ブレード部材43は、軸部41の端部に、この軸部41の軸方向(長手方向)に沿って直線状の(第2)直線状部としての(第2)振動付与部であるストレート部43a,43bを備えており、これらストレート部43a,43b間の部分が、軸部41の周方向に螺旋状にねじれた(第2)ねじれ部43cとなっている。したがって、各第1短ブレード部材43は、軸部41の一端側から他端側に亘って例えば周方向に180°ねじれており、一方の第1短ブレード部材43のストレート部43a(ストレート部43b)は、他方の第1短ブレード部材43のストレート部43b(ストレート部43a)に対して同位相、すなわち、回転ブラシ35が回転したときに同時に床面に接触するように位置している。
【0020】
同様に、各第2短ブレード部材44は、軸部41の端部に、この軸部41の軸方向(長手方向)に沿って直線状の(第3)直線状部としての(第3)振動付与部であるストレート部44a,44bを備えており、これらストレート部44a,44b間の部分が、軸部41の周方向に螺旋状にねじれた(第3)ねじれ部44cとなっている。したがって、各第2短ブレード部材44は、軸部41の一端側から他端側に亘って例えば周方向に180°ねじれており、一方の第2短ブレード部材44のストレート部44a(ストレート部44b)は、他方の第2短ブレード部材44のストレート部44b(ストレート部44a)に対して同位相、すなわち、回転ブラシ35が回転したときに同時に床面に接触するように位置している。
【0021】
電動機36は、例えばベルトなどの動力伝達手段46を介して回転ブラシ35の軸部41に回転力を伝達するものである。
【0022】
また、接続管32は、吸込口34と連通するとともに、図4に示す管部13(延長管24)の先端側に着脱可能に連通接続される。
【0023】
次に、上記第1の実施の形態の内部構成を、図1を参照して説明する。
【0024】
掃除機本体12(図4)内には、電動送風機18および電動機36の動作を制御する制御手段としての本体制御部51が配置されている。この本体制御部51は、設定ボタン29の設定操作を判定する操作判定手段、および、各種データを記憶した記憶手段などをそれぞれ備えたマイコンであり、例えば商用交流電源eとプラグ部52(図4)を介して電気的に接続されている。また、この本体制御部51は、報知手段としての表示部53に電気的に接続されている。この表示部53は、例えば液晶表示部、あるいはLEDなどであり、掃除機本体12(図4)の上部、床ブラシ25のケース体31(図2)の上部、あるいは手元操作部23(図4)などの、掃除中の使用者により目視されやすい任意の位置に配置されている。そして、この本体制御部51は、例えばトライアックなどの制御素子C1,C2を介して電動送風機18および電動機36を位相制御可能となっている。
【0025】
また、図1および図2に示すように、床ブラシ25内には、この床ブラシ25(ケース体31)の上下方向の振動を検出する振動検出手段57が取り付けられている。この振動検出手段57は、例えば加速度センサなどであり、床ブラシ25の回転ブラシ35を回転させた際に、各ブレード部材42〜44が床面と接触することにより生じる床ブラシ25(ケース体31)の上下方向の振動を検出可能となっている。さらに、この振動検出手段57は、好ましくは回転ブラシ35のストレート部42a,43a,44a(図3)に対応する位置、本実施の形態では回転ブラシ35の軸部41の端部近傍、すなわち回転ブラシ35のケース体31への軸支(取り付け)位置の近傍(後方)に配置されている。換言すれば、振動検出手段57は、回転ブラシ35の振動がケース体31へと最大に伝わる部分の近傍に配置されている。また、この振動検出手段57は、検出した床ブラシ25(ケース体31)の上下方向の振動パターンを、信号出力部58を介して電気的な波形、すなわち電流値として出力可能である。なお、これら振動検出手段57および信号出力部58は、それぞれ掃除機本体12側から給電を受けているが、例えば床ブラシ25内に別個に電源を備えていてもよい。そして、信号出力部58から出力された電流値は、掃除機本体12内に配置された信号受信部59により受信され、この信号受信部59と接続された本体制御部51によりその信号が読み取られるように構成されている。本体制御部51は、この読み取った信号により、床ブラシ25の振動パターンを検出して、この振動パターンに基づき回転ブラシ35(電動機36)の回転数を検出(推定)する機能を有している。
【0026】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0027】
掃除の際には、使用者は、図4に示すように集塵部を装着した掃除機本体12の本体吸込口19に管部13の接続管部21を接続し、プラグ部52を商用交流電源e(図1)に接続するなど、電気掃除機11に給電可能な状態とした後、把持部28を把持し、所望の動作モードに対応する設定ボタン29を操作する。
【0028】
この操作が図1に示す本体制御部51の操作判定手段により判定され、この本体制制御部51が制御素子C1を介して電動送風機18を位相制御することにより、使用者により設定された動作モードで電動送風機18が動作し、この電動送風機18の動作により生じた負圧が集塵部を介して管部13へと作用する。
【0029】
この状態で、使用者は、図2に示す床ブラシ25を床面上で前後に走行させることにより、負圧の作用によって床面上の塵埃を空気とともに吸込口34から吸い込んで掃除する。
【0030】
吸い込まれた空気は吸気風となり、塵埃とともに図4に示す管部13を掃除機本体12側へと移動し、本体吸込口19から集塵部へと吸い込まれる。そして、この集塵部で塵埃が分離された後、吸気風は電動送風機18に吸い込まれ、この電動送風機18の内部を冷却しつつ通過して排気風となり、この電動送風機18から電動送風機室へと排気され、さらに、本体ケース15に形成された図示しない排気孔を介して掃除機本体12の外部へと排気される。
【0031】
また、掃除中に床面の塵埃をより強力に除去したい場合には、使用者は回転ブラシ35(電動機36)を動作させるように設定ボタン29を操作する。
【0032】
この操作は図1に示す本体制御部51の操作判定手段により判定され、この本体制御部51が制御素子C2を介して電動機36を位相制御することにより、電動機36が駆動し、この電動機36により回転ブラシ35が回転駆動される。
【0033】
例えば、床面がフローリングなどの比較的硬質のものである場合、図2および図3に示す回転ブラシ35は長ブレード部材42のみが床面に接触し、床面に付着した塵埃を擦って掻き取る。このとき、長ブレード部材42は、ストレート部42aあるいはストレート部42bが床面に接触する毎に床ブラシ25に上下方向の振動を生じさせる。なお、長ブレード部材42のねじれ部42cは、床面に対して例えばストレート部42a側の部分からストレート部42b側の部分へと順次連続的に接触した状態を維持し続けるため、ストレート部42a,42bが床面に接触した場合と比較して、床ブラシ25に生じさせる上下方向の振動が相対的に小さくなる。この結果、ストレート部42aあるいはストレート部42bが床面に接触したタイミングでのみ相対的に大きな振動が生じるため、振動検出手段57により検出された床ブラシ25のケース体31の上下方向の振動パターンが、所定の間隔T1毎にピークを有するパターンとなる(図5(a))。
【0034】
また、例えば床面が絨毯などの比較的軟質で床ブラシ25が沈み込むものである場合、回転ブラシ35は長ブレード部材42の他に、短ブレード部材43,44が床面に接触し、床面に入り込んだ塵埃を叩き出す。このとき、長ブレード部材42は、ストレート部42aあるいはストレート部42bが床面に接触する毎に床ブラシ25に上下方向の振動を生じさせ、ねじれ部42cは、床面に対して例えばストレート部42a側の部分からストレート部42b側の部分へと順次連続的に接触した状態を維持し続けるため、ストレート部42a,42bが床面に接触した場合と比較して、床ブラシ25に生じさせる上下方向の振動が小さくなる。また、短ブレード部材43,44は、それぞれストレート部43a,43b、あるいはストレート部44a,44bが床面に接触する毎に、長ブレード部材42のストレート部42a,42bが床面に接触したときよりも小さい上下方向の振動を床ブラシ25に生じさせるとともに、ねじれ部43c,44cが床面に接触したときには、長ブレード部材42のねじれ部42cと同様に、床ブラシ25に生じさせる上下方向の振動がストレート部43a,43bあるいはストレート部44a,44bが床面に接触した場合と比較して相対的に小さくなる。この結果、ストレート部42aあるいはストレート部42bが床面に接触したタイミングで相対的に大きな振動が生じ、ストレート部43a,43b、あるいはストレート部44a,44bが床面に接触したタイミングで相対的に小さな振動が生じるため、振動検出手段57により検出された床ブラシ25のケース体31の上下方向の振動パターンが、所定の間隔T1よりも短い所定の間隔T2(≒1/3×T1)毎に相対的に大きなピーク、相対的に小さなピーク、相対的に小さなピークを順次有するパターンとなる(図5(b))。
【0035】
したがって、本体制御部51では、図6に示すように、振動検出手段57により検出する床ブラシ25のケース体31の上下方向の振動パターンに対応して信号出力部58を介して出力された電流値の変化(電気的な波形)を、信号受信部59を介して読み取り、この読み取った電流値の変化の中で、長ブレード部材42のストレート部42a,42bが床面に接触したときに対応するピーク値の間隔T1を読み取ることによって、回転ブラシ35の回転数を検出(推定)する(ステップ1)。
【0036】
そして、本体制御部51は、この検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下であるかどうかを判断し(ステップ2)、検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下であると判断したときには、表示部53を介して回転ブラシ35(電動機36)の回転異常、例えば高負荷に起因する低速回転、あるいはロックなどを使用者に報知して(ステップ3)ステップ1に戻り、検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下でないと判断したときには、そのままステップ1に戻る。
【0037】
なお、図6に示す制御は、例えば電動送風機18の入力を設定ボタン29の操作に対応して制御する主制御に対して並列に行ってもよいし、主制御中に所定の時間毎に割り込んで行ってもよい。
【0038】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、振動検出手段57により検出した床ブラシ25のケース体31の振動に基づいて回転ブラシ35の回転数を本体制御部51が検出することで、電動機36の特性のばらつきに拘らず回転ブラシ35の回転数を確実に検出し、この検出した回転数が所定の回転数以下であるときに回転ブラシ35が回転異常である(電動機36に高負荷が加わっている、あるいは電動機36がロックした)と判断して表示部53により報知するので、回転ブラシ35(電動機36)の回転異常を確実に検出して使用者に報知できる。
【0039】
すなわち、電動機36の特性には個々にばらつきがあるため、電動機36の電流値を検出し、この電流値のみで回転ブラシ35(電動機36)の回転異常を検出しようとすると、検出にばらつきが生じるおそれがある。そこで、上記第1の実施の形態では、ばらつきが生じやすい電動機36の電流値ではなく、回転ブラシ35の長ブレード部材42と床面との接触により生じる床ブラシ25(ケース体31)の振動パターンを振動検出手段57により検出して回転ブラシ35の回転数を検出する構成としたことで、回転ブラシ35の回転数に基づき、回転ブラシ35(電動機36)の回転異常を確実に検出できる。
【0040】
そして、回転ブラシ35の回転異常を確実に検出できるため、毛ごみなどの絡み付きに起因する回転ブラシ35の回転異常を使用者に確実に報知して、この回転ブラシ35を回転駆動させる電動機36の損傷などを確実に防止できる。
【0041】
さらに、長ブレード部材42と床面との接触により生じる回転ブラシ35の振動は、軸部41を通じてケース体31側へと伝達されることとなるので、振動検出手段57を、軸部41の軸支位置の近傍に配置することにより、床ブラシ25(ケース体31)の振動を、振動検出手段57によって、より確実に検出できる。すなわち、軸部41は、ケース体31に軸支されている両端部と比較して、軸方向の中央部ではぶれが大きく、振動を精度よく検出することが容易でないため、振動検出手段57を軸部41の軸支位置である端部近傍に配置することで、長ブレード部材42と床面との接触により生じる床ブラシ25(ケース体31)の振動を、より精度よく検出できる。
【0042】
そして、各ブレード部材42,43,44が、軸部41の軸方向に沿うストレート部42a,42b,43a,43b,44a,44bを一部にそれぞれ有していることにより、各ブレード部材42,43,44が床面に接触した際に、これらストレート部42a,42b,43a,43b,44a,44bによって床ブラシ25(ケース体31)に上下方向の振動を確実に発生させることができる。
【0043】
なお、上記第1の実施の形態において、表示部53は、例えば表示を消すことなどにより回転ブラシ35の回転異常を報知してもよい。
【0044】
また、報知手段としては、表示部53以外でも、例えば音声により使用者に報知する音声発生部など、任意のものを用いることができる。
【0045】
次に、第2の実施の形態を図7および図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の表示部53に代えて、図7に示すように、電動機36を停止させることにより回転ブラシ35(電動機36)の回転異常、例えば高負荷に起因する低速回転、あるいはロックなどを使用者に報知するものである。
【0047】
すなわち、本体制御部51は、上記第1の実施の形態のステップ3に代えて、図8に示すように、検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下であると判断したときには、制御素子C2を介して電動機36の入力を遮断することで回転ブラシ35(電動機36)を停止させることにより、回転ブラシ35(電動機36)の回転異常を使用者に報知し(ステップ5)、ステップ1に戻る。
【0048】
このように、本体制御部51が、回転ブラシ35の回転異常を、電動機36を停止させることで報知することにより、報知手段などが別途必要なく、構成を簡略化しつつ、電動機36(回転ブラシ35)の停止によって、使用者に回転ブラシ35の回転異常を確実に報知できるとともに、電動機36を停止させるので、回転ブラシ35(電動機36)に高負荷が加わっている状態、あるいは回転ブラシ35(電動機36)がロックしたままの状態で電動機36に入力が与えられることを防止して、電動機36の損傷をより確実に防止できる。
【0049】
しかも、例えば回転ブラシの回転異常の際には電動機の電流値が大きくなって電動機の温度が上昇することによりPTCサーミスタの抵抗値を増加させて電動機の入力を遮断する従来の構成では、PTCサーミスタの特性のばらつき、および、周囲温度などにより電動機を停止させることができないことがあるのに対して、上記実施の形態では、回転ブラシ35の回転異常の判断の際にばらつく要素がなく、回転ブラシ35の回転異常時には確実に電動機36を停止させることができ、信頼性を向上できる。
【0050】
次に、第3の実施の形態を図9を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態の表示部53に代えて、電動機36を停止させるとともに電動送風機18の入力を低減することにより回転ブラシ35(電動機36)の回転異常、例えば高負荷に起因する低速回転、あるいはロックなどを使用者に報知するものである。
【0052】
すなわち、本体制御部51は、上記第1の実施の形態のステップ3に代えて、図9に示すように、検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下であると判断したときには、制御素子C2を介して電動機36の入力を遮断することで回転ブラシ35(電動機36)を停止させることにより、回転ブラシ35(電動機36)の回転異常を使用者に報知し(ステップ7)、ステップ1に戻る。
【0053】
このように、回転ブラシ35の回転異常を、電動機36を停止させるとともに電動送風機18の入力を抑制することで報知することにより、報知手段などが別途必要なく、構成を簡略化しつつ、電動機36(回転ブラシ35)の停止と電動送風機18のパワーダウンとによって、使用者に回転ブラシ35の回転異常を、より確実に報知できる。
【0054】
次に、第4の実施の形態を図10および図11を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
この第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、電気掃除機11が、電動機36の電流値を検出する電流検出手段61を備えているものである。
【0056】
図10に示す電流検出手段61は、例えば床ブラシ25のケース体31の内部に配置されており、電流信号出力部62を介して信号受信部59へと、検出した電流値を出力可能である。
【0057】
そして、本体制御部51では、上記第1の実施の形態のステップ1に代えて、振動検出手段57により検出する床ブラシ25のケース体31の上下方向の振動パターンに対応して信号出力部58を介して出力された電流値の変化(電気的な波形)を、信号受信部59を介して読み取り、この読み取った電流値の変化の中で、長ブレード部材42のストレート部42a,42bが床面に接触したときに対応するピーク値の間隔T1を読み取ることによって、回転ブラシ35の回転数を検出(推定)するとともに、電流検出手段61から電流信号出力部62を介して出力された電動機36の電流値を、信号受信部59を介して読み取り(ステップ11)、ステップ2に進む。
【0058】
そして、ステップ2において、検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下であると本体制御部51が判断したときには、この本体制御部51は、検出した電流値が予め設定された所定値を超えているかどうかを判断する(ステップ12)。
【0059】
このステップ12において、検出した電流値が予め設定された所定値を超えていると本体制御部51が判断した場合には、ステップ3に進み、検出した電流値が予め設定された所定値を超えていないと本体制御部51が判断した場合には、ステップ11に戻る。
【0060】
このように、振動検出手段57により検出した床ブラシ25(ケース体31)の振動に基づき検出した回転ブラシ35の回転数が所定の回転数以下で、かつ、電流検出手段61により検出した電動機36の電流値が所定の電流値を超えているときに、本体制御部51が回転ブラシ35の回転異常を表示部53により報知することで、回転ブラシ35の回転数の検出精度をより向上でき、回転ブラシ35の回転異常をより確実に検出して使用者に報知できる。
【0061】
次に、第5の実施の形態を図12および図13を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
この第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態の表示部53に代えて、図12に示すように、電動機36を停止させることにより回転ブラシ35(電動機36)の回転異常、例えば高負荷に起因する低速回転、あるいはロックなどを使用者に報知するものである。
【0063】
すなわち、本体制御部51は、上記第4の実施の形態のステップ3に代えて、図13に示すように、検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下であると判断したときには、制御素子C2を介して電動機36の入力を遮断することで回転ブラシ35(電動機36)を停止させることにより、回転ブラシ35(電動機36)の回転異常を使用者に報知する(ステップ15)。
【0064】
このように、回転ブラシ35の回転異常を、電動機36を停止させることで報知することにより、報知手段などが別途必要なく、構成を簡略化しつつ、電動機36(回転ブラシ35)の停止によって、使用者に回転ブラシ35の回転異常を確実に報知できるとともに、電動機36を停止させるので、回転ブラシ35(電動機36)に高負荷が加わっている状態、あるいは回転ブラシ35(電動機36)がロックしたままの状態で電動機36に入力が与えられることを防止して、電動機36の損傷をより確実に防止できる。
【0065】
しかも、例えば回転ブラシの回転異常の際には電動機の電流値が大きくなって電動機の温度が上昇することによりPTCサーミスタの抵抗値を増加させて電動機の入力を遮断する従来の構成の場合には、PTCサーミスタの特性のばらつき、および、周囲温度などにより電動機を停止させることができないことがあるのに対して、上記実施の形態では、回転ブラシ35の回転異常の判断の際にばらつく要素がなく、回転ブラシ35の回転異常時には確実に電動機36を停止させることができ、信頼性を向上できる。
【0066】
次に、第6の実施の形態を図14を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
この第6の実施の形態は、上記第4の実施の形態の表示部53に代えて、電動機36を停止させるとともに電動送風機18の入力を低減することにより回転ブラシ35(電動機36)の回転異常、例えば高負荷に起因する低速回転、あるいはロックなどを使用者に報知するものである。
【0068】
すなわち、本体制御部51は、上記第4の実施の形態のステップ3に代えて、図14に示すように、検出した回転ブラシ35の回転数が予め設定した所定の回転数以下であると判断したときには、制御素子C2を介して電動機36の入力を遮断することで回転ブラシ35(電動機36)を停止させることにより、回転ブラシ35(電動機36)の回転異常を使用者に報知する(ステップ17)。
【0069】
このように、回転ブラシ35の回転異常を、電動機36を停止させるとともに電動送風機18の入力を抑制することで報知することにより、報知手段などが別途必要なく、構成を簡略化しつつ、電動機36(回転ブラシ35)の停止と電動送風機18のパワーダウンとによって、使用者に回転ブラシ35の回転異常を、より確実に報知できる。
【0070】
なお、上記各実施の形態において、電動送風機18、電動機36および本体制御部51などは、商用交流電源eに代えて、例えば掃除機本体12に内蔵された二次電池などの電源により給電するものでもよい。
【0071】
また、清掃部材は、軸部41からの突出量などが全て等しい1種類のみでもよいし、軸部41からの突出量などが互いに異なる2種類、あるいは4種類以上などとしてもよい。
【0072】
さらに、清掃部材は、一端側に直線状部を有し、他の部分がねじれ部である構成でもよい。
【0073】
そして、電気掃除機11としては、例えば床ブラシ25を掃除機本体12の下部に接続したアップライト型、あるいはハンディ型など任意のものを用いることができ、掃除機本体12内の細部は、上記構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
11 電気掃除機
12 掃除機本体
18 電動送風機
25 吸込口体としての床ブラシ
31 ケース体
34 吸込口
35 回転清掃体としての回転ブラシ
36 電動機
41 回転体としての軸部
42 清掃部材としての長ブレード部材
42a,42b,43a,43b,44a,44b 直線状部としてのストレート部
43 清掃部材としての第1短ブレード部材
44 清掃部材としての第2短ブレード部材
51 制御手段としての本体制御部
57 振動検出手段
61 電流検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
吸込口を有するケース体、このケース体に回転可能に取り付けられた回転体およびこの回転体の軸方向に沿って直線状の直線状部を少なくとも一部に備え前記回転体から突出する清掃部材を有する回転清掃体、および、この回転清掃体を回転駆動させる電動機を備え、前記吸込口を前記電動送風機の吸込側へと連通させる吸込口体と、
この吸込口体の振動を検出する振動検出手段と、
この振動検出手段により検出した前記吸込口体の振動に基づき前記回転清掃体の回転数を検出し、この検出した回転数が所定の回転数以下であるときに前記回転清掃体の回転異常を報知する制御手段と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
制御手段は、回転清掃体の回転異常を、電動機を停止させることで報知する
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
制御手段は、回転清掃体の回転異常を、電動機を停止させるとともに電動送風機の入力を抑制することで報知する
ことを特徴とした請求項2記載の電気掃除機。
【請求項4】
電動機の電流値を検出する電流検出手段を具備し、
制御手段は、振動検出手段により検出した吸込口体の振動に基づき検出した回転清掃体の回転数が所定の回転数以下で、かつ、前記電流検出手段により検出した前記電動機の電流値が所定の電流値を超えているときに前記回転清掃体の回転異常を報知する
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の電気掃除機。
【請求項5】
振動検出手段は、回転体の軸支位置の近傍に配置されている
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−172747(P2011−172747A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39233(P2010−39233)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】