説明

電気掃除機

【課題】メンテナンス性が良好で、かつ、第2集塵装置の小型化および低コスト化が可能な電気掃除機を提供する。
【解決手段】第2集塵装置42は、第2遠心分離部51を備える。第2遠心分離部51は、含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する分離部本体54を有する。第2遠心分離部51は、分離部本体54の上側に位置し分離部本体54に対して着脱可能で、着脱により分離部本体54の上側を開閉する蓋部55を有する。第2集塵装置42は、第2遠心分離部51で分離した塵埃を収容する集塵ケース52を備える。集塵ケース52は、第2遠心分離部51とは別体で分離部本体54の下側に位置し、分離部本体54の下側に着脱可能に接続する。第2集塵装置42は、分離部本体54にクランプ53を備える。クランプ53は、上側で分離部本体54と蓋部55とを係止するとともに、下側で分離部本体54と集塵ケース52とを係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本体ケースに着脱可能に設けられた集塵装置を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、含塵空気を旋回させることにより塵埃を遠心分離(サイクロン分離)する、いわゆるサイクロン式の集塵装置を着脱可能に備えた電気掃除機が知られている。このような集塵装置は、含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する遠心分離部と、この遠心分離部により遠心分離された塵埃を収容する塵埃溜め部とを備えている。そして、遠心分離部は、集塵部内に旋回流を形成する円筒状の旋回部を有し、塵埃溜め部に係止されている。
【0003】
サイクロン式の集塵装置の場合、旋回流の径寸法に応じて塵埃の分離性能が決定され、具体的には径寸法が小さいほど分離性能は向上する。したがって、分離性能をより向上させつつ塵埃の捕集量を確保するためには、遠心分離部は、旋回部を配置する分離室を集塵部と別個に設けることが好ましい。
【0004】
このような場合、分離室内の旋回部および分離室内には塵埃が付着するため、遠心分離部の分離室を蓋部などにより開閉可能とすることで、分離室の内部のメンテナンスを可能にすることが考えられる。しかしながら、この構成の場合、蓋部を分離室側に係止する構成が必要となり、集塵装置の大型化、あるいは部品点数の増加によるコスト増などを招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−219994号公報
【特許文献2】特開2006−311895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、メンテナンス性が良好で、かつ、集塵装置の小型化および低コスト化が可能な電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機は、本体ケースを有する。また、この電気掃除機は、本体ケースに収容された電動送風機を有する。さらに、この電気掃除機は、本体ケースに着脱可能に設けられた集塵装置を有する。この集塵装置は、遠心分離部を備える。この遠心分離部は、電動送風機の駆動により内部に吸い込んだ含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する分離部本体を有する。また、この遠心分離部は、分離部本体の一方向側に位置して設けられこの分離部本体に対して着脱可能で、着脱によりこの分離部本体の一方向側を開閉する蓋部を有する。また、集塵装置は、遠心分離部で分離された塵埃を収容する塵埃溜め部を備える。この塵埃溜め部は、遠心分離部とは別体で分離部本体の一方向側とは異なる他方向側に位置して設けられ、分離部本体の他方向側に着脱可能に接続される。そして、集塵装置は、分離部本体に設けられた係止手段を備える。この係止手段は、一方向側で分離部本体と蓋部とを係止するとともに、他方向側で分離部本体と塵埃溜め部とを係止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の電気掃除機の集塵装置の一部を示す断面図であり、(a)は係止手段により分離部本体および蓋部を係止した状態を示し、(b)は分離部本体から塵埃溜め部を取り外す状態を示し、(c)は分離部本体から蓋部を取り外す状態を示す。
【図2】同上集塵装置を示す斜視図である。
【図3】同上集塵装置の縦断側面図である。
【図4】同上集塵装置の縦断正面図である。
【図5】同上集塵装置の塵埃溜め部を分離部本体から取り外す状態を示す斜視図である。
【図6】同上集塵装置の一部を示す斜視図であり、(a)は分離部本体から蓋部を取り外す状態を示し、(b)は分離部本体の一方向側を開く状態を示す。
【図7】同上電気掃除機の一部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】同上電気掃除機の集塵装置を取り外す状態を示す斜視図である。
【図9】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を図1ないし図9を参照して説明する。
【0010】
図9において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、吸込風路体(風路形成体)である管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0011】
管部12は、掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側、あるいはホース体16の先端側に選択的に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0012】
手元操作部17には、ループ状の把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21の上部には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
【0013】
また、掃除機本体13は、大径の走行輪23を両側に有し図示しない旋回輪を下部に有する本体ケース25を備え、この本体ケース25の上部には、集塵部26が着脱可能となっている。そして、掃除機本体13は、走行輪23および旋回輪によって被掃除面である床面上を少なくとも前後方向に沿って走行(移動)可能に構成されている。
【0014】
本体ケース25は、図7ないし図9に示すように、例えば合成樹脂などにより形成されており、電動送風機31を収容した本体部32と、この本体部32の前部に突設された突出部33とを有している。
【0015】
電動送風機31は、本体部32内に配置されており、設定ボタン22の操作に応じて、本体部32内に収容された図示しない制御手段により動作が制御される。また、この電動送風機31は、例えばゴムなどの図示しない弾性部材を介して軸方向の両端部が弾性的に支持されている。
【0016】
本体部32は、集塵部26の後側の下部を支持する部分であり、電動送風機31および制御手段の他に、この電動送風機31に給電するためのコードリール装置、あるいは二次電池などの図示しない電源部が収容されている。また、この本体部32の前部には、集塵部26の一部を着脱するための取付凹部34が凹設されており、この取付凹部34の上部は、覆い部35により覆われている。また、取付凹部34の上部で、かつ、覆い部35の下方には、図示しない連通口が形成されている。この連通口は、本体部32内に上下方向に沿って形成された図示しない連通風路部を介して電動送風機31の吸込側に連通している。さらに、この本体部32の後端部には、電動送風機31からの排気を本体ケース25の外部へと排出する図示しない排気孔が形成されている。そして、本体部32の両側には走行輪23が位置している。
【0017】
また、突出部33は、集塵部26の前側の下部を支持する部分であり、前方に向けて上方へと傾斜している。さらに、この突出部33の内部から本体部32の内部に亘って、集塵部26に連通する図示しないダクト部が内部に区画されている。このダクト部の下流端は、取付凹部34の側方の位置にて本体部32の前部に開口した連通開口39となっている。また、この突出部33の前部には、管部12の接続管部15が接続される本体吸込口40が形成されており、この本体吸込口40がダクト部の上流端の開口となっている。そして、この突出部33の下部には、旋回輪が位置している。
【0018】
また、集塵部26は、図1ないし図9に示すように、前側に位置し上下方向に沿って軸方向を有する塵埃分離部としての第1集塵装置41と、この第1集塵装置41と連通してこの第1集塵装置41の後方に位置する集塵装置としての第2集塵装置42とを一体的に備えている。
【0019】
図9に示す第1集塵装置41は、ダクト部を通過した含塵空気から繊維ごみなどの比較的大きい塵埃である粗塵を捕集できれば、例えば紙バッグあるいは布バッグなどの集塵袋、あるいは、ウレタンフィルタなどのフィルタを用いるなど、任意の構成とすることができるが、本実施形態では含塵空気を旋回させて繊維ごみなどの比較的大きい塵埃である粗塵を遠心分離(サイクロン分離)および捕集する第1遠心分離部であり、有底円筒状をなすケース体45と、このケース体45内に配置された図示しない円筒状の旋回部とを有するユニット状となっている。また、この第1集塵装置41は、例えばクランプなどの図示しない着脱手段によって本体ケース25に対して着脱可能に固定される。そして、この第1集塵装置41は、例えば集塵部26が本体ケース25に装着されて図示しない第1着脱手段により本体ケース25に固定された状態で、後方上側に向けて傾斜するように配置されるとともに、取付凹部34(図8)の前部を覆う。
【0020】
ケース体45は、例えば合成樹脂などの部材により形成された円筒状のケース本体47と、このケース本体47の一端部である下端部を開閉可能とする図示しない蓋体と、ケース本体47の上部に形成された連結風路49とを一体的に備えている。そして、ケース本体47の後部一側には、ダクト部の下流端である連通開口39と気密に接続される流入口である図示しない吸込口が形成されており、この吸込口を介して含塵空気がダクト部からケース体45内へと接線方向に沿って流入するように構成されている。
【0021】
また、旋回部は、ケース体45(ケース本体47)の内部に、このケース体45(ケース本体47)と同心状に配置されている。そして、この旋回部の周囲には、この旋回部の内部を介して連結風路49と連通する複数の周囲開口部が形成されており、これら周囲開口部はメッシュ状の集塵フィルタによりそれぞれ覆われている。
【0022】
さらに、連結風路49は、所定方向である前後方向に沿って長手状に形成されており、第1集塵装置41の上部から第2集塵装置42(図8)の前部に亘って位置している。
【0023】
一方、図1ないし図8に示す第2集塵装置42は、第1集塵装置41(図9)により分離できなかった、粉ごみなどの比較的小さい塵埃(細塵)、すなわち第1集塵装置41(図9)で分離する粗塵よりも微細な塵埃を遠心分離するものである。そして、この第2集塵装置42は、遠心分離部としての第2遠心分離部51と、この第2遠心分離部51とは別体でこの第2遠心分離部51の下側に位置する塵埃溜め部としての細塵溜め部である集塵ケース52と、この集塵ケース52を第2遠心分離部51に係止する係止手段としてのクランプ53,53とを有するユニット状となっており、本体ケース25の取付凹部34(図7)に対して図示しない第2着脱手段により着脱可能となっている。
【0024】
第2遠心分離部51は、分離部本体54と、この分離部本体54の集塵ケース52と反対側である上側を開閉する蓋部55とを備えている。
【0025】
分離部本体54は、電動送風機31(図9)の駆動により第1集塵装置41(図9)を通過して内部に吸い込んだ含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離するものであり、複数の分離室57と、これら分離室57の一方向側である上側を囲んで突設された外枠部58と、分離室57の他方向側である下側に位置する連結部59とを一体的に有している。
【0026】
分離室57は、上側から下側へと、すなわち上流側から下流側へと徐々に縮径された長尺円筒状に形成されており、本実施形態では例えば前後方向に4つずつの列が、左右幅方向に3列、合計12個配置されており、両側に位置する4つずつの分離室57の列は、中央部に位置する分離室57の列に対して下側がそれぞれ接近するように傾斜している。また、各分離室57の上部には、それぞれ整流部61が着脱可能に取り付けられる。そして、これら分離室57は、整流部61から流入した含塵空気を内周面に沿って旋回させる部分であり、少なくとも内周面の最大径寸法が第1集塵装置41のケース体45(ケース本体47)よりも小さく、例えばケース体45(ケース本体47)の内周面の半分以下程度の径寸法に設定されている。
【0027】
また、各整流部61は、各分離室57の上端からこれら分離室57内に挿入されて同心状に配置されている。さらに、各整流部61は、上下方向に沿って円筒状に形成された通気部としての通気筒部63と、この通気筒部63の周囲に沿って螺旋状に形成された整流通路部64とをそれぞれ一体に有している。
【0028】
各通気筒部63は、下端側が各分離室57内へと挿入されて突出している。
【0029】
また、各整流通路部64は、上流側が前方、すなわち上流側に向けて開口しているとともに、下流側へと徐々に下方に傾斜している。このため、各分離室57内には、各整流通路部64により、含塵空気が接線方向に沿って流入するように構成されている。
【0030】
そして、本実施形態において、整流部61は、例えば分離室57の列毎に一体に形成されている。すなわち、整流部61は、本実施形態では4つずつ前後に並んで一体形成されている。
【0031】
また、外枠部58は、平面視で四角形状に形成され、分離室57全体の外側を枠状に囲む箱状に形成されている。すなわち、この外枠部58は、分離室57の外周面と連続する底面58aと、この底面58aから立ち上げられた上流側面である前面58b、係止手段取付部としての両側面58cおよび下流側面である後面58dを備え、上側が開口されている。前面58bには、第1集塵装置41の連結風路49(図9)と連通する連通開口部58eが形成されている。また、両側面58cには、クランプ53がそれぞれ回動可能に軸支されている。さらに、この外枠部58は、蓋部55によって上側の開口が閉塞されることにより、風路部としての分配風路67を内部に区画する。この分配風路67は、全ての分離室57の上側寄りの位置の外側全体を囲んで前後方向に沿って長手状に形成されており、連通開口部58eにより上流側の連結風路49(図9)と連通可能であるとともに、各整流部61の整流通路部64に対して並列に連通している。
【0032】
また、連結部59は、集塵ケース52の蓋となっている部分であり、全ての分離室57の下端部が連通して前後方向に長手状に形成されている。さらに、この連結部59の下部には、左右幅方向に沿って板状の連結突出部59aが複数突設されている。これら連結突出部59aは、集塵ケース52側と気密に接続される部分であり、前後方向に互いに離間されている。
【0033】
また、蓋部55は、分離部本体54に対する着脱によりこの分離部本体54の上側を開閉するものであり、上側(外側)に位置する蓋部本体71と、この蓋部本体71の下側(内側)に位置する被覆部72とを備え、これら蓋部本体71と被覆部72との間に、連通風路73が区画され、この連通風路73が、蓋部本体71と被覆部72とのそれぞれの後部間に区画される通気開口74と連通している。
【0034】
蓋部本体71は、連通風路73の前部、後部、両側部および上部を区画する区画部76と、この区画部76の外縁部にフランジ状に突設されたフランジ部77とを有している。
【0035】
また、フランジ部77は、区画部76の前側に位置して左右幅方向に沿って延びる前部フランジ77aと、区画部76の両側に位置して前後方向に沿って被保持部としての側部フランジ77bとを一体に備えている。すなわち、このフランジ部77は、平面視コ字状に形成されている。さらに、このフランジ部77の下部には、蓋部55を分離部本体54の外枠部58の前面58bおよび側面58cの上端部に対して気密に接続するためのシール部材79が取り付けられている。
【0036】
前部フランジ77aは、蓋部55を分離部本体54に取り付けた状態で、外枠部58の前面58bの連通開口部58eの上縁に沿って位置する。
【0037】
また、両側部フランジ77bは、蓋部55を分離部本体54に取り付けた状態で、外枠部58の両側面58cに沿って位置する。さらに、これら両側部フランジ77bのそれぞれの外縁部の前後方向の略中央部には、各クランプ53が係止される蓋部被係止部としての仮止め部である係止爪部77cが上方に向けて前後方向に長手状に突設されているとともに、この係止爪部77cに対してクランプ53と反対側に、前後方向に長手状の逃げ凹部77dが凹設されている。
【0038】
また、シール部材79は、フランジ部77全体に沿って取り付けられている。したがって、このシール部材79は、前側から両側に連続する平面視コ字状に形成されている。さらに、このシール部材79には被覆部72の上端側が圧接され、蓋部本体71と被覆部72との前側および両側を気密に接続している。
【0039】
また、被覆部72は、例えば板状に形成され、前側から両側に亘る縁部がフランジ部77の下部に係止されて蓋部本体71の下側全体を覆っている。さらに、この被覆部72には、分離部本体54の下流側、すなわち各分離室57の下流側である各整流部61の通気筒部63の上端側と連通風路73とを気密に接続する円形状の接続開口72aが複数形成されている。これら接続開口72aは、分離室57の個数に対応して、すなわち本実施形態では、前後方向に4つずつ、左右幅方向に3列、計12個形成されている。さらに、これら接続開口72aの縁部には、各整流部61の通気筒部63の上端部に圧接される接続用シール部材72bがそれぞれ取り付けられている。
【0040】
また、連通風路73は、分配風路67の上側に沿って、前後方向に長手状に形成されている。したがって、この連通風路73は、分配風路67と上下二層に構成されている。さらに、この連通風路73には、全ての分離室57の下流側がそれぞれ並列に連通している。さらに、この連通風路73は、第2集塵装置42を本体ケース25に取り付けた状態で連通口と気密に接続されることにより電動送風機31の吸込側に連通する。
【0041】
一方、集塵ケース52は、第2遠心分離部51で分離された塵埃(細塵)を収容するものであり、前後方向に長手状の集塵部本体としての集塵ケース本体81と、この集塵ケース本体81の上側に連続する嵌合部82とを一体に備え、これら集塵ケース本体81と嵌合部82とが連続する部分に、段差状に突出する受け部83が形成されている。
【0042】
集塵ケース本体81は、上側が開口して形成されており、第2遠心分離部51の連結部59により開閉可能に覆われる。また、この集塵ケース本体81の内部には、左右幅方向に沿って板状の仕切り部81aが前後方向に複数形成されており、これら仕切り部81aによって、集塵ケース本体81の内部に複数の溜め部81bが前後方向に区画されている。これら仕切り部81aは、連結部59の連結突出部59aの下端に挿入されて気密に接続される。そして、各溜め部81bは、左右幅方向に隣接する分離室57がそれぞれ連通するように、換言すれば連通開口部58eから略等距離の分離室57がそれぞれ連通するように形成されている。
【0043】
また、嵌合部82は、分離室57全体の外側を覆う部分であり、下側から上側へと、左右幅方向に拡開状に形成されている。すなわち、この嵌合部82の両側面部82a,82aは、上側ほど互いに離間されるように傾斜状となっている。また、これら両側面部82a,82aの上端部は、集塵ケース52を第2遠心分離部51の分離部本体54に取り付けた状態で外枠部58の両側面58cの下方に位置する。さらに、これら両側面部82a,82aの上端部には、クランプ53,53により係止される集塵部被係止部としての被支持部であるケース爪部82bが側方(外方)に向けて突設されている。これらケース爪部82bは、例えば側面部82aの前後方向の略中央部に、水平方向に沿って長手状に突出している。
【0044】
また、受け部83は、連結部59の下端部を支持し、この連結部59の下端部が気密に接続される部分である。
【0045】
そして、各クランプ53は、板状に形成され、分離部本体54の外枠部58の各側面58cに、前後方向でかつ水平方向に沿う回動軸86を介して軸支され、この回動軸86を中心として、上側および下側がシーソー状に左右幅方向に回動するように構成されている。したがって、各クランプ53は、分離部本体54の互いに対向する位置に配置され、下側が集塵ケース52の各側面部82a(分離部本体54)から離間し上側が蓋部55側に接近するように回動、すなわち分離部本体54に対して蓋部55を係止し集塵ケース52の係止を解除する方向(以下、矢印A方向という)に回動したり、上側が蓋部55側から離間し下側が分離部本体54側(集塵ケース52の各側面部82a)に接近するように回動、すなわち分離部本体54に対して蓋部55の係止を解除し集塵ケース52を係止する方向(以下、矢印B方向という)に回動したりするように構成されている。なお、図1においては、一方のクランプ53のみを示しているが、他方のクランプ53については、この一方のクランプ53と左右幅方向に対して線対称な動作をするものとする。
【0046】
また、各クランプ53は、上側に突出する摘み部53aと、この摘み部53aの基端部の背面(裏面)側、すなわち蓋部55に向けて水平状に突出する係止突出部53bと、この係止突出部53bの下側に突出する蓋部係止部としての上側係止部53cと、下側の背面、すなわち集塵ケース52(分離部本体54)に向けて突出する集塵部係止部としての下側係止部53dとを備えている。
【0047】
摘み部53aは、各クランプ53を回動させる際に使用者が摘む部分である。
【0048】
また、上側係止部53cは、蓋部55の係止爪部77cに係合されて逃げ凹部77dに位置することで蓋部55を分離部本体54に対して係止する部分であり、前後方向に沿って長手状に連続し、かつ、断面視で下側に突出する略半円形状に形成されている。
【0049】
また、下側係止部53dは、集塵ケース52のケース爪部82bを下側から支持することで集塵ケース52を第2遠心分離部51の分離部本体54に係止する部分であり、前後方向に沿って長手状に連続し、かつ、略水平状に突出して形成されている。
【0050】
したがって、各クランプ53は、上側で蓋部55を分離部本体54に係止するとともに、下側で集塵ケース52を分離部本体54に係止する。また、各クランプ53は、下側係止部53dによって集塵ケース52を分離部本体54に係止している状態では、この下側係止部53dが集塵ケース52の嵌合部82の側面部82aに当接することにより、矢印B方向への回動が規制され、上側係止部53cが係止爪部77cから外れないようになっている。すなわち、各クランプ53は、分離部本体54に対して集塵ケース52を装着した状態では、蓋部55を分離部本体54から取り外せない状態に係止する。
【0051】
そして、各クランプ53は、付勢手段としてのトーションばね88によって矢印B方向に向けて付勢されている。
【0052】
次に、上記一実施形態の作用を説明する。
【0053】
掃除の際には、第1集塵装置41および第2集塵装置42をそれぞれ掃除機本体13の本体ケース25に予め装着しておく。すなわち、まず、第2集塵装置42を取付凹部34に本体部32の前方から挿入し、第2着脱手段により固定する。この状態で、連通風路73が連通口と気密に接続される。さらに、第1集塵装置41を突出部33上に取り付けて第1着脱手段により本体ケース25に固定する。この状態で、第1集塵装置41の吸込口がダクト部の連通開口39と気密に接続される。したがって、第1集塵装置41と第2集塵装置42とを介して、管部12と電動送風機31の吸込側とが気密に接続される。
【0054】
そして、使用者は、電源部により給電可能とした状態で、把持部21を把持して所望の設定ボタン22を操作することにより、制御手段が電動送風機31を、設定された動作モードで駆動させる。
【0055】
電動送風機31の駆動により生じた負圧は、連通風路部、第2集塵装置42、第1集塵装置41、連通開口39、ダクト部および本体吸込口40を介して管部12へと作用する。そして、管部12では、ホース体16、延長管18および床ブラシ19と負圧が作用して、被掃除面に載置した床ブラシ19の先端などから、塵埃を空気とともに吸い込む。
【0056】
含塵空気は、床ブラシ19、延長管18およびホース体16を介して、本体吸込口40からダクト部の連通開口39を介して第1集塵装置41のケース体45の内部へと吸込口を介して流入する。この吸込口から流入した含塵空気は、ケース体45(ケース本体47)と旋回部との間で周方向に旋回し、粗塵が遠心分離されて下方へと重力落下し、第1集塵装置41に捕集される。
【0057】
この第1集塵装置41を旋回する含塵空気は、集塵フィルタを介して周囲開口部から旋回部の内部へと流入する。そして、この集塵フィルタの通過の際には、この含塵空気中の粗塵よりも細かい塵埃が集塵フィルタに捕集される。
【0058】
旋回部を通過した含塵空気(細塵を含んだ空気)は、連結風路49を通過した後、分配風路67へと流入し、第2集塵装置42の各整流部61の整流通路部64へとそれぞれ分岐して流入し、これら整流通路部64により整流されつつ各分離室57内へと流入する。
【0059】
これら分離室57に流入した含塵空気は、これら分離室57の内周面に沿って周方向に、第1集塵装置41のケース体45内での旋回の流速よりも大きな流速で旋回し、細塵が遠心分離されて各分離室57の下端部から連結部59を介して集塵ケース52へとそれぞれ重力落下してこの集塵ケース52の集塵ケース本体81の各溜め部81b内に捕集される。細塵が除去された澄んだ空気は、整流部61の通気筒部63を通過して連通風路73へと抽出されて互いに合流する。
【0060】
そして、連通風路73に合流した空気は連通口および連通風路部を介して電動送風機31へと吸い込まれ、この電動送風機31内を通過してこの電動送風機31を冷却した後、この電動送風機31から排気されて排気風となり、排気孔から掃除機本体13の本体ケース25の外部へと排気される。
【0061】
掃除が終了すると、使用者が設定ボタン22を操作することで、制御手段が電動送風機31を停止させる。そして、所定量以上の塵埃が第1集塵装置41および集塵ケース52に溜まった場合には、使用者は第1集塵装置41および第2集塵装置42をそれぞれ掃除機本体13から取り外して塵埃を廃棄する。
【0062】
このとき、使用者は、第1着脱手段を操作して第1集塵装置41を本体ケース25から取り外し、蓋体をごみ箱上などで開くことで、内部に捕集した塵埃(粗塵)を廃棄する。
【0063】
また、使用者は、この第1集塵装置41を本体ケース25から取り外した状態で、第2着脱手段を操作して第2集塵装置42を取付凹部34から取り外す。そして、まず、各クランプ53の摘み部53aを、各トーションばね88の付勢に抗して互いに接近させるように両側から摘む、すなわち各クランプ53の上側を左右幅方向に狭め下側を左右幅方向に開くように摘むことにより、各クランプ53が矢印A方向に回動して上側係止部53cが蓋部55の各逃げ凹部77dへと退避するとともに、下側係止部53dが集塵ケース52のケース爪部82bに対してそれぞれ側方へと退避し、各クランプ53による集塵ケース52の分離部本体54への係止が解除される。なお、このように分離部本体54から集塵ケース52を取り外した状態で、使用者が各クランプ53の摘み部53aを開放した場合には、各トーションばね88の付勢によって各クランプ53が矢印B方向へと復帰回動することにより、各上側係止部53cが蓋部55の係止爪部77cに係止され、各クランプ53が蓋部55に仮係止される。
【0064】
そして、分離部本体54から取り外した集塵ケース52は、ごみ箱などに内部の塵埃を廃棄する、または、集塵ケース52の内部を水などによって洗浄する。また、各クランプ53は、集塵ケース52を分離部本体54から取り外したことにより、この分離部本体54の外枠部58の下方の位置にスペースSが生じるため、矢印B方向への回動が可能となる。したがって、各分離室57を手入れする場合には、使用者は各クランプ53の下側を両側から押し込む、すなわち各クランプ53の下側を左右幅方向に狭め上側を左右幅方向に開くように回動させることにより、各クランプ53が矢印B方向へと回動して上側係止部53cが係止爪部77cを外方へと乗り越え、分離部本体54に対する蓋部55の係止が解除される。
【0065】
この後、使用者は、蓋部55を分離部本体54から取り外し(図6(a))、さらに各整流部61を各分離室57から取り外して(図6(b))、各整流部61および各分離室57に付着した塵埃を除去して手入れする。なお、蓋部55については、連通風路73内を常に澄んだ空気が流れているため、塵埃が付着することは殆どないものの、必要に応じて水洗いなどをして手入れできる。
【0066】
手入れが終了した第2集塵装置42は、再度組み立てる。この組み立ての際には、まず、分離部本体54に対して蓋部55を取り付けて第2遠心分離部51を形成するとともに、この第2遠心分離部51の分離部本体54に対して集塵ケース52を取り付ける。
【0067】
使用者は、各分離室57の上側に整流部61を取り付けた分離部本体54の上部に蓋部55を被せ、各クランプ53の摘み部53aを、トーションばね88の付勢に抗して互いに接近させるように摘んで各クランプ53を矢印A方向へと回動させることにより、各クランプ53の上側係止部53cが蓋部55の両側の係止爪部77cを逃げ凹部77d,77d側へと乗り越えることで、各係止爪部77cに各上側係止部53cが係合し、蓋部55が分離部本体54に係止固定されて第2遠心分離部51が形成される。このとき、蓋部55のシール部材79が分離部本体54の外枠部58の上部に圧接されて、分離部本体54と蓋部55との間に分配風路67が区画されるとともに、各整流部61の通気筒部63が接続用シール部材72bに圧接されて接続開口72aと気密に接続され、分配風路67とそれぞれ連通する。
【0068】
この状態で、使用者は摘み部53a,53aを両側からさらに摘むことで上側係止部53c,53cを逃げ凹部77d,77dに移動させるように各クランプ53を矢印A方向へと回動させた状態を保持したまま、集塵ケース52に対して上側から第2遠心分離部51の下側を挿入し、連結部59を受け部83に当接させた位置で摘み部53a,53aを開放することで、各トーションばね88の付勢により各クランプ53が矢印B方向へと復帰回動し、各クランプ53の下側係止部53dが集塵ケース52のケース爪部82bの下部に挿入されてこの集塵ケース52を第2遠心分離部51の分離部本体54に係止固定する。このとき、連結部59の周縁部と受け部83とが気密に接続されるとともに、連結部59の各連結突出部59aと集塵ケース52の各仕切り部81aとが気密に接続されることで、各分離室57が連結部59を介して集塵ケース52の集塵ケース本体81の溜め部81bと気密に接続される。
【0069】
このように組み立てた第2集塵装置42は、取付凹部34に対して取り付けることで再使用できる。
【0070】
以上説明した一実施形態によれば、第2遠心分離部51の分離部本体54と蓋部55とを各クランプ53の上側で係止するとともに、これらクランプ53の下側で第2遠心分離部51とは別体の集塵ケース52を分離部本体54に係止することにより、例えば分離部本体と蓋部とを係止する係止手段と分離部本体と集塵ケースとを係止する係止手段とを別個に備える場合などと比較して、係止手段用のスペースを広く取ったり、部品点数が増加したりすることがなく、第2集塵装置42の小型化および低コスト化が可能になるとともに、集塵ケース52を分離部本体54から取り外すことで集塵ケース52に捕集した塵埃を廃棄したり、蓋部55を分離部本体54から取り外して分離部本体54の上側を開き各分離室57の内部などを手入れしたりすることができ、良好なメンテナンス性を確保できる。
【0071】
また、各クランプ53は、分離部本体54に対して集塵ケース52を装着した状態では蓋部55を分離部本体54から取り外せない状態に係止することにより、使用者が誤ってクランプ53を操作して蓋部55が分離部本体54から外れる状態となることを確実に防止できる。
【0072】
具体的に、各クランプ53は、分離部本体54に係止した集塵ケース52の側面部82aに当接することで分離部本体54に対して蓋部55の係止を解除する方向(矢印B方向)への回動が規制されることにより、集塵ケース52を有効に利用して、分離部本体54に対して集塵ケース52を装着した状態では蓋部55を分離部本体54から取り外せない状態に係止する構成を容易に形成できる。
【0073】
さらに、各クランプ53を分離部本体54の互いに対向する位置に配置することにより、一方のクランプ53が蓋部55の分離部本体54への係止を解除する方向の動作と、他方のクランプ53が蓋部55の分離部本体54への係止を解除する方向の動作とが、互いに左右幅方向に反対方向の動作となる。したがって、一方のクランプ53が蓋部55の分離部本体54への係止を解除する方向へと回動しようとすると、この一方のクランプ53の下側係止部53dによって他方のクランプ53側へと集塵ケース52が押されることによって他方のクランプ53の下側係止部53dと当接し、この他方のクランプ53の回動をより確実に規制する。すなわち、互いのクランプ53によって互いのクランプ53が蓋部55の分離部本体54への係止を解除する方向へ回動することを、集塵ケース52を介して規制するため、使用者が誤ってクランプ53を操作して蓋部55が分離部本体54から外れる状態となることを、より確実に防止できる。
【0074】
そして、各クランプ53が、分離部本体54から集塵ケース52を取り外した状態で、蓋部55に仮係止されることにより、集塵ケース52を分離部本体54から取り外した後に蓋部55の分離部本体54への係止が誤って容易に解除されることを防止できる。
【0075】
なお、上記一実施形態において、電気掃除機11は、第2集塵装置42の上流側に第1集塵装置41を設けるものとしたが、第2集塵装置42により塵埃を充分に除去できれば、この第1集塵装置41は必須の構成ではない。
【0076】
また、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
11 電気掃除機
25 本体ケース
31 電動送風機
42 集塵装置としての第2集塵装置
51 遠心分離部としての第2遠心分離部
52 塵埃溜め部としての集塵ケース
53 係止手段としてのクランプ
54 分離部本体
55 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、
この本体ケースに収容された電動送風機と、
前記本体ケースに着脱可能に設けられた集塵装置とを具備し、
前記集塵装置は、
前記電動送風機の駆動により内部に吸い込んだ含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する分離部本体、および、この分離部本体の一方向側に位置して設けられこの分離部本体に対して着脱可能で、着脱によりこの分離部本体の一方向側を開閉する蓋部を有する遠心分離部と、
この遠心分離部とは別体で分離部本体の一方向側とは異なる他方向側に位置して設けられ、前記分離部本体の他方向側に着脱可能に接続され、前記遠心分離部で分離された塵埃を収容する塵埃溜め部と、
前記分離部本体に設けられ、前記一方向側で前記分離部本体と前記蓋部とを係止するとともに、前記他方向側で前記分離部本体と前記塵埃溜め部とを係止する係止手段とを備えている
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
係止手段は、分離部本体に対して塵埃溜め部を装着した状態では蓋部を前記分離部本体から取り外せない状態に係止する
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
係止手段は、分離部本体に回動可能に設けられ、この分離部本体に係止した塵埃溜め部により前記分離部本体に対して蓋部の係止を解除する方向への回動が規制される
ことを特徴とした請求項2記載の電気掃除機。
【請求項4】
係止手段は、分離部本体の互いに対向する位置に配置されている
ことを特徴とした請求項3記載の電気掃除機。
【請求項5】
係止手段は、分離部本体から塵埃溜め部を取り外した状態で、蓋部に仮係止される
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106880(P2013−106880A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256004(P2011−256004)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】