電気接続箱
【課題】本発明は、スイッチング部材と回路基板との接続信頼性を向上させた電気接続箱を提供する。
【解決手段】リレー34(スイッチング部材の一例)は、回路基板12から離間して配されている。また、リレー34はケース11に設けられた開口部56においてケース11の外部に露出している。リレー34から発生した熱をケース11の外部に放散できるから、リレー34から発生した熱により、回路基板12の温度が上昇することを抑制できる。この結果、温度変化に起因する回路基板12の膨張、収縮を抑制できる。
【解決手段】リレー34(スイッチング部材の一例)は、回路基板12から離間して配されている。また、リレー34はケース11に設けられた開口部56においてケース11の外部に露出している。リレー34から発生した熱をケース11の外部に放散できるから、リレー34から発生した熱により、回路基板12の温度が上昇することを抑制できる。この結果、温度変化に起因する回路基板12の膨張、収縮を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気接続箱としては特許文献1に記載のものが知られている。この電気接続箱は、例えば電線を絶縁板に保持してなる電気回路を、ケース内に収容してなる。ケースの外面には、リレー等を収容するための収容部が設けられている。この収容部内には、電気回路と接続された端子が位置している。この端子は、収容部内に収容されたリレー等と接続するようになっている。
【特許文献1】特開平8−84422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、電気接続箱には小型化が求められている。上記の構成のように、ケースの外面にリレーを配設するための収容部を形成する場合、収容部にはリレーを収容しなければならないから、収容部はリレーの外形寸法よりも大きく形成しなければならない。このため、電気接続箱を小型化することが難しいという問題がある。
【0004】
そこで、リレーを、例えばはんだ付け等により回路基板に接続することが考えられる。これにより、ケースに設けられていた収容部を省略できるので、電気接続箱の小型化を図ることができる。
【0005】
しかし、回路基板上にリレーを配設すると、リレーと回路基板との間には、ほとんど隙間が形成されないため、リレーと回路基板との間にリレーから発生した熱がこもる。すると、リレーと回路基板との半田付け部分において、回路基板の膨張、抑制に起因するクラックが発生し、半田付け部分の接続信頼性が低下することが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、スイッチング部材と回路基板との接続信頼性を向上させた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気接続箱であって、回路基板と、前記回路基板に接続され、且つ前記回路基板から離間する方向に延びる導電部材と、前記導電部材のうち前記回路基板と反対側に位置する端部に配設されたスイッチング部材と、前記回路基板を収容し、且つ前記スイッチング部材に対応する位置に開口部が設けられたケースとを備え、前記スイッチング部材は前記開口部において前記ケースの外部に露出する。
【0008】
上述した導電部材により、回路基板とスイッチング部材との間には隙間が形成されるから、スイッチング部材から発生した熱が、回路基板とスイッチング部材との間にこもることを抑制できる。しかも、スイッチング部材はケース外に露出しているから、スイッチング部材から発生した熱を効率よくケース外に放散させることができる。これにより、スイッチング部材から発生した熱により回路基板の温度が上昇することを抑制できるから、温度変化に起因する回路基板の膨張、収縮を抑制できる。この結果、導電部材と回路基板との接続信頼性を向上させることが可能となり、これによりスイッチング部材と回路基板との接続信頼性を向上させることができる。
【0009】
本発明の実施態様としては、以下の構成が好ましい。
前記スイッチング部材は、リレーである。これにより、例えば、半導体デバイスを用いた場合に比べてコストダウンを図ることができる。
【0010】
前記リレーには、複数のリード端子が外方に突出するリード突出面が設けられており、前記リレーは、前記リード突出面が垂直方向を向く姿勢で配設される。
【0011】
リレーに通電されるとリレーから熱が発生する。この熱は、リード端子に伝達される。リレーには、複数のリード端子が突出するリード突出面が形成されているので、このリード突出面に、リレー部品から発生した熱が集中する。熱は、リード突出面から、ケース外の空気に伝達される。熱が伝達された空気は密度が低下して上昇し、ケース外部より新たな空気が流入する。これによりリード突出面から熱が放散される。上記のリード突出面が垂直方向を向く姿勢でリレーを配設することにより、リード突出面から熱が伝達された空気を、効率よく上昇させることができる。この結果、リレーの放熱性が向上する。
【0012】
前記リレーは、前記リード突出面が重力方向に対して上方を向く姿勢で配設される。リード突出面が重力方向に対して上方を向いているから、リード突出面から熱が伝達された空気は容易に上昇可能となっている。これにより、リレーの放熱性が向上する。
【0013】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子にはんだ付け又は溶接された接続金具である。上記の構成により、例えば、接続金具の先端に一対の挟持部を設け、この挟持部の間にリード端子を挟持する、いわゆる音叉型端子によりリード端子と接続金具とを接続する場合に比べて、リード端子と接続金具との接続構造を簡素化できる。
【0014】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子を前記回路基板側に延設したものである。上記の構成により、リード端子と接続金具とを別部材とする場合に比べて、構造を簡素化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気接続箱において、スイッチング部材の放熱性を向上させることにより、スイッチング部材と回路基板との接続信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12を参照して説明する。本実施形態の電気接続箱10は図示しない車両に搭載されて使用される。電気接続箱10は、バッテリー(図示せず)と、ランプ、パワーウィンドウ等の車載電装品(図示せず)との間に取り付けられて、これら車載電装品の通電又は断電を制御する。電気接続箱10は、図1に示す縦型姿勢で、例えば車両の室内に取り付けられて使用される。電気接続箱10は、扁平なケース11内に回路基板12が収容されてなる。
【0017】
図6に示すように、回路基板12は略矩形状をなし、その表面にはプリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されている。回路基板12には、外部回路と接続するためのコネクタとなる雄タブ13が接続されている。雄タブ13は、後述するコネクタ収容部14内に位置している。
【0018】
また、回路基板12には、図10及び図11に示すように、例えばはんだ付け等の公知の手段により、第1バスバー15(導電部材、接続金具の一例)が接続されている。この第1バスバー15は、後述する第2バスバー16(導電部材、接続金具の一例)と接続されている。
【0019】
図4に示すように、回路基板12の下端部寄りの位置には、複数本のヒューズ端子17の一方の端部が回路基板12を図4における右方から左方に貫通している。ヒューズ端子17の一方の端部は、回路基板12にはんだ付けされている。ヒューズ端子17の他方の端部は、下方に略L字状に曲げ加工されて、後述するヒューズブロック18に装着される。
【0020】
図4及び図7に示すように、ヒューズブロック18は合成樹脂製であって、概ね直方体状をなすヒューズブロック本体19と、本体から図4における左方に延びて形成されて、後述するフレーム20を支持する支持部21とを備える。図4におけるヒューズブロック本体19の下面には、上方に陥没するヒューズ装着部22が形成されている。このヒューズ装着部22内にヒューズ端子17が位置している。ヒューズ装着部22内にはヒューズ23が装着されて、ヒューズ端子17と接続可能になっている(図10参照)。図3に示すように、ヒューズ装着部22は図3における左右方向に並ぶと共に、図3における上下に並んで(本実施形態では二段)形成されている。
【0021】
図5に示すように、ケース11は、合成樹脂製の浅い容器状をなし、回路基板12を内部に収容する扁平なケース本体24と、そのケース本体24の開口面を覆うカバー25とを備える。カバー25には、ケース本体24と反対側の面に、ECU26が取り付けられている。
【0022】
ECU26内には図示しないECU基板が収容されてなる。ECU基板と回路基板12とは、ECU26及びカバー25を貫通して設けたECU接続端子28により接続されている。ECU接続端子28は、図4における回路基板12の上端部寄りの位置において、回路基板12と接続されている。
【0023】
図2におけるケース本体24の上面及び側面には、カバー25の上面及び側面に設けられた複数のロック突部29と弾性的に係合する複数のロック受け部30が設けられており、これらロック受け部30と、ロック突部29とが係合することで、ケース本体24とカバー25とが一体化される。
【0024】
ケース本体24の下端部は、図4における右方に膨出されており、上述したヒューズブロック本体19を収容するためのヒューズ収容部31とされる。ヒューズ収容部31の下端部は下方に開口しており、この開口内にヒューズブロック18が装着されている。図4に示すように、ヒューズ収容部31の下側開口縁と、ヒューズブロック18の底部の外側面とは、略面一に設定されている。
【0025】
ケース本体24の、図1における紙面手前側の壁面には、コネクタを装着するための複数のコネクタ収容部14が、紙面奥方に陥没して設けられている。コネクタ収容部14内には、雄タブ13が位置している。
【0026】
カバー25は、図4及び図5に示すように、概ね浅い皿状をなしており、ケース本体24の開口面を塞ぐように取り付けられる。図5に示すように、カバー25の上壁及び側壁には、ケース本体24のロック受け部30と係合するロック突部29が形成されている。また、カバー25には、ECU26と対向する壁面に、ECU26側に突出して弾性撓み可能なロック部32が形成されており、ECU26に形成された受け部(図示せず)と弾性的に係合して、カバー25とECU26とが一体化される。
【0027】
そして、図5に示すように、カバー25の、ECU26と対向する壁面には、ECU26側に突出する板状のガイド部33Aが形成されている。カバー25とECU26とを組み付ける際には、ガイド部33AがECU26外側面と摺接することで、ECU26を正規組付位置に案内するようになっている。さらに、ケース本体24の開口面の四隅からは、カバー25側に向けて延びる4つのガイド部33Bが設けられている。ケース本体24と、カバー25及びECU26とを組み付ける際には、カバー25及びECU26におけるガイド部33Bと対応する位置の外側面が、ガイド部33Bの内側面と摺接するようになっており、これによりカバー25及びECU26が正規組付け位置に案内されるようになっている(図2参照)。なお、ケース本体24とカバー25とを組み付けた後に、ECU26を組み付ける構成としてもよい。
【0028】
図4に示すように、カバー25の下端部は、図4の左方に膨出されており、後述するリレー(スイッチング部材の一例)34を収容するためのリレー収容部35とされる。
【0029】
図6に示すように、回路基板12の下端部には、リレー34を含むリレーユニット41が取り付けられている。リレーユニット41は、合成樹脂製のフレーム20に、金属製の第2バスバー16(導電部材の一例)、リレー34(本実施形態では5つ)、第1接続金具42(導電部材の一例、本実施形態では5つ)、及び第2接続金具43(導電部材の一例、本実施形態では10個)を組みつけてなる。
【0030】
図7に示すように、フレーム20には、リレー34を組み付けるためのリレー組付け部44(本実施形態では5つ)が、図7における右手前側から左斜め奥方に並んで、且つ上下方向に貫通して形成されている。図7における各リレー組付け部44の右斜め奥方には、第2バスバー16、第1接続金具42、及び第2接続金具43を取付けるための取付け部45(本実施形態では5つ)が、図7における上方に突出して設けられている。
【0031】
各取付け部45のうち、図7における左奥側の壁部には、後述する第2バスバー16のリレー接続部53Aを収容するバスバー収容溝46が、右奥方から左手前側に延びて形成されている。また、各取付け部45のうち、図7における右手前側の壁部には、第1接続金具42を収容するための金具収容孔47(本実施形態では5つ)が、左手前側から右奥方に向かって穿設されている。
【0032】
図7に示すように、リレー34は略直方体形状をなしている。リレー34には、複数のリード端子49(本実施形態では5つ)が突出するリード突出面50が設けられている。本実施形態においては、図9に示すように、リレー34は、リード突出面50が上方を向く姿勢でフレーム20に取付けられる。
【0033】
第2バスバー16は、金属板材をプレス成形してなる。図7に示すように、第2バスバー16は、大まかにはL字状をなしている。第2バスバー16は、回路基板12の板面に対して略平行に配されるバスバー本体51と、このバスバー本体51のうち図7における右手前側の端縁から右斜め奥方(回路基板12側)に向かって延びる延設部52とを備える。バスバー本体51の上部には、左手前側に曲げ形成されて、上述した取付け部45のバスバー収容溝46内に収容されるリレー接続部53A(本実施形態では5つ)が設けられている。リレー接続部53Aは、リレー34のリード端子49と公知の方法により溶接される。一方、延設部52の上端のうち、図7における右斜め奥側の端部には、右手前側に曲げ形成されて、上述した第1バスバー15と接続される接続片54が設けられている。図10及び図11に示すように、接続片54と第1バスバー15とは、互いに重ね合わされた状態で、溶接又ははんだ付け等の公知の手法により接続される。
【0034】
第1接続金具42は金属板材をプレス成形してなる。図7に示すように、第1接続金具42は略矩形状をなしている。第1接続金具42は、リレー34のリード端子49と、公知の手法により溶接される。第1接続金具42の図7における右斜め奥側の端部には、回路基板12と接続されるタブ55A(本実施形態では3つ)が上下に並んで突設される。タブ55Aは、回路基板12に形成されたスルーホール(図示せず)に挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。
【0035】
図7に示すように、第2接続金具43は金属板材をプレス成形、またはフォーミング加工してなり、略L字状の細長い板状をなす。第2接続金具43は、概ね図7における左手前側から右斜め奥方に向かって延びて配設されている。第2接続金具43の右奥側の端部からは、タブ55Bが突設されている。このタブ55Bは、回路基板12に形成されたスルーホール(図示せず)に挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。図7における第2接続金具43の左手前側の端部には、上方に曲げ形成されてなるリレー接続部53Bが形成されている。このリレー接続部53Bは、リレー34のリード端子49と、公知の手法により溶接される。
【0036】
上述したように、リード端子49が、第2バスバー16、第1接続金具42、及び第2接続金具43と接続されることで、リレー34はフレーム20に、リード突出面50を上方に向けた姿勢で配設されるようになっている。
【0037】
図11に示すように、第2バスバー16の接続片54と、第1バスバー15とが接続された状態では、第2バスバー16の延設部52は、回路基板12から離間する方向(図11における右方)に延びている。そして、第2バスバー16のうち回路基板12と反対側の端部(図11における右端部)には、リレー接続部53が右方に延びて設けられている。上述したように、このリレー接続部53は、リレー34のリード端子49と接続されている。
【0038】
また、図10に示すように、第1接続金具42及び第2接続金具43は、それぞれに設けられたタブ55A,55Bが回路基板12に接続された状態で、回路基板12から離間する方向(図10における右方)に延びている。そして、上述したように、第1接続金具42及び第2接続金具43のうち回路基板12と反対側に位置する端部はそれぞれ、リレー34のリード端子49と接続されている(図6参照)。
【0039】
上記の延設部52、第1接続金具42、及び第2接続金具43により、回路基板12とリレー34とは、間隔を空けた状態で接続されている。
【0040】
カバー25には、図4におけるリレー収容部35の下面、及び左側面に、開口部56が形成されている。また、図5に示すように、カバー25のリレー収容部35の上壁には、上壁開口部57(開口部の一例)が設けられている。図12に示すように、上壁開口部57(本実施形態では5つ)は、図12における左右方向に並んで設けられている。
【0041】
本実施形態においては、図2、図3、図4、図8及び図12に示すように、カバー25に設けられた開口部56及び上壁開口部57により、各リレー34を構成する6つの壁部全てが、カバー25外部の空間に露出するようになっている。
【0042】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態においては、回路基板12とリレー34とは、間隔を空けた状態で接続されているから、リレー34に通電したときにリレー34から発生する熱が、リレー34と回路基板12との間にこもることを抑制できる。また、リレー34を構成する6つの壁部全てが、カバー25外部の空間に露出しているから、リレー34から発生した熱は、カバー25外部の空間に速やかに放散される。これにより、リレー34から発生した熱により、回路基板12の温度が上昇することを抑制できるから、温度変化に起因する回路基板12の膨張、収縮を抑制できる。この結果、第1バスバー15と回路基板12との接続部分、第1接続金具42と回路基板12との接続部分、及び第2接続金具43と回路基板12との接続部分において、例えばはんだ付け部分にクラックが生じることを抑制できる。これにより、リレー34と回路基板12との接続信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態においては、リレー34のリード端子49と、第2バスバー16、第1接続金具42及び第2接続金具43とは、溶接されている。これにより、例えば、第2バスバー16、第1接続金具42及び第2接続金具43のリレー34側の先端に一対の挟持部を設け、この挟持部の間にリード端子49を挟持する、いわゆる音叉型端子によりリード端子49と接続金具とを接続する場合に比べて、接続構造を簡素化できる。
【0044】
また、リレー34に通電すると、リレー34から熱が発生する。この熱は、リード端子49に伝達される。リレー34には、複数のリード端子49が突出するリード突出面50が形成されているので、このリード突出面50に、リレー部品から発生した熱が集中する。熱は、リード突出面50から、ケース11外の空気に伝達される。熱が伝達された空気は密度が低下して上昇し、リード突出面50から熱が放散される。本実施形態では、リレー34は、リレー34のリード突出面50が上方を向いた姿勢で配設される。これにより、リード突出面50が上方を向いているから、リード突出面50から熱が伝達された空気は容易に上昇可能となっている。これに伴い、周囲から比較的低温の空気が新たに入ってくる。このようにリレー34に通電している間、リード突出面34は、比較的低温の空気と接触するようになっている。この結果、リレー34の放熱性が向上する。
【0045】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図13ないし図15を参照して説明する。本実施形態においては、各リレー34のリレー34突出面から突出するリード端子60のうち、図14における右手前側に位置する2本と、左奥側に位置する1本は、回路基板12に接続され、且つ回路基板12から離間する方向に延びてなり、本発明における導電部材とされる。本実施形態においては、上記のリード端子60は、上方に突出した後、回路基板12側(図14における右斜め奥方)に延びて形成されている。
【0046】
本発明における導電部材とされたリード端子60Aは、回路基板12に形成された図示しないスルーホールに挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。
【0047】
一方、本発明における導電部材とされないリード端子60Bは、第2バスバー16のリレー接続部53と、公知の手法により溶接される。上記のリード端子60Bは、回路基板12には接続されていないので、本発明における導電部材にはあたらない。
【0048】
上述したように、リード端子60Aと回路基板12とがはんだ付けされると共に、リード端子60Bと第2バスバー16とが溶接されることで、リレー34と回路基板12とは、間隔を空けた状態で接続される。
【0049】
上記以外の構成については実施形態1と略同様なので、同一構造については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
本実施形態によれば、導電部材をリード端子とは別体の部品で構成する場合に比べて、構造を簡素化できる。
【0051】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図16ないし図24を参照して説明する。図22に示すように、フレーム20には、リレー34を組み付けるためのリレー組付け部44(本実施形態では5つ)が、図22における右手前側から左斜め奥方に並んで、且つ左手前側に開口して形成されている。フレーム20の、図22における各リレー組付け部44の右斜め奥方の壁部は、第2バスバー16、第1接続金具42、及び第2接続金具43を取付けるための取付け壁部61とされる。
【0052】
各取付け壁部61には、第2バスバー16のリレー接続部53、第1接続金具42、及び第2接続金具43を収容可能になっている。
【0053】
リレー34は、各リレー組付け部44内に、リード突出面50を水平方向に向けて収容されている。本実施形態においては、リレー34は、図22における右斜め奥方、すなわち、回路基板12側に向けて収容されている。
【0054】
図24に示すように、カバー25のリレー収容部35の上壁には、上壁開口部57が設けられている。図24に示すように、上壁開口部57(本実施形態では5つ)は、図24における左右方向に並んで設けられている。本実施形態においては、上壁開口部57を介してリレー34のリード突出面50が面する空間と、カバー25の外部の空間とが連通することになる。
【0055】
本実施形態においては、図17、図18、図19、及び図23に示すように、カバー25に設けられた開口部56により、各リレー34を構成する壁部のうち、上壁と異なる5つの壁部が、カバー25外部の空間に露出するようになっている。
【0056】
上記以外の構成については実施形態1と略同様なので、同一構造については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
本実施形態においては、リレー34は、リード突出面50が回路基板12側(水平方向)を向く姿勢で配設される。リード突出面50が水平方向を向いているから、リード突出面50から熱が伝達された空気は容易に上昇可能となっている。これに伴い、周囲から比較的低温の空気が新たに入ってくる。これにより、リレー34の放熱性が向上する。
【0058】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図25ないし図27を参照して説明する。図27に示すように、本実施形態においては、各リレー34のリレー34突出面から突出するリード端子70のうちのいくつかは、回路基板12側(図27における右斜め奥方)に延びて形成されて、導電部材とされる。
【0059】
導電部材とされたリード端子70Aは、回路基板12に形成された図示しないスルーホールに挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。
【0060】
導電部材とされないリード端子70Bは、第2バスバー16のリレー接続部53と、公知の手法により溶接される。
【0061】
上述したように、導電部材とされたリード端子70Aと回路基板12とがはんだ付けされると共に、導電部材とされないリード端子70Bと第2バスバー16とが溶接されることで、リレー34と回路基板12とは、間隔を空けた状態で接続される。
【0062】
上記以外の構成については実施形態3と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
本実施形態によれば、導電部材をリード端子とは別体の部品で構成する場合に比べて、構造を簡素化できる。
【0064】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)リード端子49,60A,60B,70A,70Bと、第2バスバー16、第1接続金具42及び第2接続金具43とは、はんだ付けにより接続してもよい。
(2)リレー34は、リード突出面50が例えば図6において下方を向く姿勢で配設してもよい。また、リード突出面50が例えば図21において回路基板12から離間する方向を向く姿勢で配設してもよい。
(3)本実施形態においては、リレー34には複数のリード端子49が突出するリード突出面50を形成する構成としたが、これに限られず、複数のリード端子49が複数のリレー34の異なる面から突出する構成としてもよい。
(4)スイッチング部材としては、半導体デバイスを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態1に係る電気接続箱の正面図
【図2】電気接続箱の斜視図
【図3】電気接続箱の底面図
【図4】図1におけるA−A線断面図
【図5】電気接続箱の分解斜視図
【図6】電気接続箱においてカバーを外した状態を示す斜視図
【図7】図6に示す電気接続箱の分解斜視図
【図8】電気接続箱の背面図
【図9】図3におけるD−D線断面図
【図10】ECUを組み付ける前の電気接続箱の、図1におけるB−B線断面図
【図11】ECUを組み付ける前の電気接続箱の、図1におけるC−C線断面図
【図12】図8におけるE−E線断面図
【図13】実施形態2に係る電気接続箱の分解斜視図
【図14】カバーを外した状態の電気接続箱における分解斜視図
【図15】実施形態2に係る電気接続箱における断面図
【図16】実施形態3に係る電気接続箱の正面図
【図17】電気接続箱の斜視図
【図18】電気接続箱の底面図
【図19】図16におけるF−F線断面図
【図20】電気接続箱の分解斜視図
【図21】電気接続箱においてカバーを外した状態を示す斜視図
【図22】図21に示す電気接続箱の分解斜視図
【図23】ECUを組み付ける前の電気接続箱の、図16におけるG−G線断面図
【図24】図17におけるH−H線断面図
【図25】実施形態4に係る電気接続箱の分解斜視図
【図26】電気接続箱においてカバーを外した状態を示す斜視図
【図27】図26に示す電気接続箱の分解斜視図
【符号の説明】
【0066】
10…電気接続箱
12…回路基板
15…第1バスバー(導電部材、接続金具)
16…第2バスバー(導電部材、接続金具)
24…ケース本体(ケース)
25…カバー(ケース)
34…リレー
42…第1接続金具(導電部材、接続金具)
43…第2接続金具(導電部材、接続金具)
49…リード端子(導電部材)
50…リード突出面
56…開口部
57…上壁開口部(開口部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気接続箱としては特許文献1に記載のものが知られている。この電気接続箱は、例えば電線を絶縁板に保持してなる電気回路を、ケース内に収容してなる。ケースの外面には、リレー等を収容するための収容部が設けられている。この収容部内には、電気回路と接続された端子が位置している。この端子は、収容部内に収容されたリレー等と接続するようになっている。
【特許文献1】特開平8−84422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、電気接続箱には小型化が求められている。上記の構成のように、ケースの外面にリレーを配設するための収容部を形成する場合、収容部にはリレーを収容しなければならないから、収容部はリレーの外形寸法よりも大きく形成しなければならない。このため、電気接続箱を小型化することが難しいという問題がある。
【0004】
そこで、リレーを、例えばはんだ付け等により回路基板に接続することが考えられる。これにより、ケースに設けられていた収容部を省略できるので、電気接続箱の小型化を図ることができる。
【0005】
しかし、回路基板上にリレーを配設すると、リレーと回路基板との間には、ほとんど隙間が形成されないため、リレーと回路基板との間にリレーから発生した熱がこもる。すると、リレーと回路基板との半田付け部分において、回路基板の膨張、抑制に起因するクラックが発生し、半田付け部分の接続信頼性が低下することが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、スイッチング部材と回路基板との接続信頼性を向上させた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気接続箱であって、回路基板と、前記回路基板に接続され、且つ前記回路基板から離間する方向に延びる導電部材と、前記導電部材のうち前記回路基板と反対側に位置する端部に配設されたスイッチング部材と、前記回路基板を収容し、且つ前記スイッチング部材に対応する位置に開口部が設けられたケースとを備え、前記スイッチング部材は前記開口部において前記ケースの外部に露出する。
【0008】
上述した導電部材により、回路基板とスイッチング部材との間には隙間が形成されるから、スイッチング部材から発生した熱が、回路基板とスイッチング部材との間にこもることを抑制できる。しかも、スイッチング部材はケース外に露出しているから、スイッチング部材から発生した熱を効率よくケース外に放散させることができる。これにより、スイッチング部材から発生した熱により回路基板の温度が上昇することを抑制できるから、温度変化に起因する回路基板の膨張、収縮を抑制できる。この結果、導電部材と回路基板との接続信頼性を向上させることが可能となり、これによりスイッチング部材と回路基板との接続信頼性を向上させることができる。
【0009】
本発明の実施態様としては、以下の構成が好ましい。
前記スイッチング部材は、リレーである。これにより、例えば、半導体デバイスを用いた場合に比べてコストダウンを図ることができる。
【0010】
前記リレーには、複数のリード端子が外方に突出するリード突出面が設けられており、前記リレーは、前記リード突出面が垂直方向を向く姿勢で配設される。
【0011】
リレーに通電されるとリレーから熱が発生する。この熱は、リード端子に伝達される。リレーには、複数のリード端子が突出するリード突出面が形成されているので、このリード突出面に、リレー部品から発生した熱が集中する。熱は、リード突出面から、ケース外の空気に伝達される。熱が伝達された空気は密度が低下して上昇し、ケース外部より新たな空気が流入する。これによりリード突出面から熱が放散される。上記のリード突出面が垂直方向を向く姿勢でリレーを配設することにより、リード突出面から熱が伝達された空気を、効率よく上昇させることができる。この結果、リレーの放熱性が向上する。
【0012】
前記リレーは、前記リード突出面が重力方向に対して上方を向く姿勢で配設される。リード突出面が重力方向に対して上方を向いているから、リード突出面から熱が伝達された空気は容易に上昇可能となっている。これにより、リレーの放熱性が向上する。
【0013】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子にはんだ付け又は溶接された接続金具である。上記の構成により、例えば、接続金具の先端に一対の挟持部を設け、この挟持部の間にリード端子を挟持する、いわゆる音叉型端子によりリード端子と接続金具とを接続する場合に比べて、リード端子と接続金具との接続構造を簡素化できる。
【0014】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子を前記回路基板側に延設したものである。上記の構成により、リード端子と接続金具とを別部材とする場合に比べて、構造を簡素化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気接続箱において、スイッチング部材の放熱性を向上させることにより、スイッチング部材と回路基板との接続信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12を参照して説明する。本実施形態の電気接続箱10は図示しない車両に搭載されて使用される。電気接続箱10は、バッテリー(図示せず)と、ランプ、パワーウィンドウ等の車載電装品(図示せず)との間に取り付けられて、これら車載電装品の通電又は断電を制御する。電気接続箱10は、図1に示す縦型姿勢で、例えば車両の室内に取り付けられて使用される。電気接続箱10は、扁平なケース11内に回路基板12が収容されてなる。
【0017】
図6に示すように、回路基板12は略矩形状をなし、その表面にはプリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されている。回路基板12には、外部回路と接続するためのコネクタとなる雄タブ13が接続されている。雄タブ13は、後述するコネクタ収容部14内に位置している。
【0018】
また、回路基板12には、図10及び図11に示すように、例えばはんだ付け等の公知の手段により、第1バスバー15(導電部材、接続金具の一例)が接続されている。この第1バスバー15は、後述する第2バスバー16(導電部材、接続金具の一例)と接続されている。
【0019】
図4に示すように、回路基板12の下端部寄りの位置には、複数本のヒューズ端子17の一方の端部が回路基板12を図4における右方から左方に貫通している。ヒューズ端子17の一方の端部は、回路基板12にはんだ付けされている。ヒューズ端子17の他方の端部は、下方に略L字状に曲げ加工されて、後述するヒューズブロック18に装着される。
【0020】
図4及び図7に示すように、ヒューズブロック18は合成樹脂製であって、概ね直方体状をなすヒューズブロック本体19と、本体から図4における左方に延びて形成されて、後述するフレーム20を支持する支持部21とを備える。図4におけるヒューズブロック本体19の下面には、上方に陥没するヒューズ装着部22が形成されている。このヒューズ装着部22内にヒューズ端子17が位置している。ヒューズ装着部22内にはヒューズ23が装着されて、ヒューズ端子17と接続可能になっている(図10参照)。図3に示すように、ヒューズ装着部22は図3における左右方向に並ぶと共に、図3における上下に並んで(本実施形態では二段)形成されている。
【0021】
図5に示すように、ケース11は、合成樹脂製の浅い容器状をなし、回路基板12を内部に収容する扁平なケース本体24と、そのケース本体24の開口面を覆うカバー25とを備える。カバー25には、ケース本体24と反対側の面に、ECU26が取り付けられている。
【0022】
ECU26内には図示しないECU基板が収容されてなる。ECU基板と回路基板12とは、ECU26及びカバー25を貫通して設けたECU接続端子28により接続されている。ECU接続端子28は、図4における回路基板12の上端部寄りの位置において、回路基板12と接続されている。
【0023】
図2におけるケース本体24の上面及び側面には、カバー25の上面及び側面に設けられた複数のロック突部29と弾性的に係合する複数のロック受け部30が設けられており、これらロック受け部30と、ロック突部29とが係合することで、ケース本体24とカバー25とが一体化される。
【0024】
ケース本体24の下端部は、図4における右方に膨出されており、上述したヒューズブロック本体19を収容するためのヒューズ収容部31とされる。ヒューズ収容部31の下端部は下方に開口しており、この開口内にヒューズブロック18が装着されている。図4に示すように、ヒューズ収容部31の下側開口縁と、ヒューズブロック18の底部の外側面とは、略面一に設定されている。
【0025】
ケース本体24の、図1における紙面手前側の壁面には、コネクタを装着するための複数のコネクタ収容部14が、紙面奥方に陥没して設けられている。コネクタ収容部14内には、雄タブ13が位置している。
【0026】
カバー25は、図4及び図5に示すように、概ね浅い皿状をなしており、ケース本体24の開口面を塞ぐように取り付けられる。図5に示すように、カバー25の上壁及び側壁には、ケース本体24のロック受け部30と係合するロック突部29が形成されている。また、カバー25には、ECU26と対向する壁面に、ECU26側に突出して弾性撓み可能なロック部32が形成されており、ECU26に形成された受け部(図示せず)と弾性的に係合して、カバー25とECU26とが一体化される。
【0027】
そして、図5に示すように、カバー25の、ECU26と対向する壁面には、ECU26側に突出する板状のガイド部33Aが形成されている。カバー25とECU26とを組み付ける際には、ガイド部33AがECU26外側面と摺接することで、ECU26を正規組付位置に案内するようになっている。さらに、ケース本体24の開口面の四隅からは、カバー25側に向けて延びる4つのガイド部33Bが設けられている。ケース本体24と、カバー25及びECU26とを組み付ける際には、カバー25及びECU26におけるガイド部33Bと対応する位置の外側面が、ガイド部33Bの内側面と摺接するようになっており、これによりカバー25及びECU26が正規組付け位置に案内されるようになっている(図2参照)。なお、ケース本体24とカバー25とを組み付けた後に、ECU26を組み付ける構成としてもよい。
【0028】
図4に示すように、カバー25の下端部は、図4の左方に膨出されており、後述するリレー(スイッチング部材の一例)34を収容するためのリレー収容部35とされる。
【0029】
図6に示すように、回路基板12の下端部には、リレー34を含むリレーユニット41が取り付けられている。リレーユニット41は、合成樹脂製のフレーム20に、金属製の第2バスバー16(導電部材の一例)、リレー34(本実施形態では5つ)、第1接続金具42(導電部材の一例、本実施形態では5つ)、及び第2接続金具43(導電部材の一例、本実施形態では10個)を組みつけてなる。
【0030】
図7に示すように、フレーム20には、リレー34を組み付けるためのリレー組付け部44(本実施形態では5つ)が、図7における右手前側から左斜め奥方に並んで、且つ上下方向に貫通して形成されている。図7における各リレー組付け部44の右斜め奥方には、第2バスバー16、第1接続金具42、及び第2接続金具43を取付けるための取付け部45(本実施形態では5つ)が、図7における上方に突出して設けられている。
【0031】
各取付け部45のうち、図7における左奥側の壁部には、後述する第2バスバー16のリレー接続部53Aを収容するバスバー収容溝46が、右奥方から左手前側に延びて形成されている。また、各取付け部45のうち、図7における右手前側の壁部には、第1接続金具42を収容するための金具収容孔47(本実施形態では5つ)が、左手前側から右奥方に向かって穿設されている。
【0032】
図7に示すように、リレー34は略直方体形状をなしている。リレー34には、複数のリード端子49(本実施形態では5つ)が突出するリード突出面50が設けられている。本実施形態においては、図9に示すように、リレー34は、リード突出面50が上方を向く姿勢でフレーム20に取付けられる。
【0033】
第2バスバー16は、金属板材をプレス成形してなる。図7に示すように、第2バスバー16は、大まかにはL字状をなしている。第2バスバー16は、回路基板12の板面に対して略平行に配されるバスバー本体51と、このバスバー本体51のうち図7における右手前側の端縁から右斜め奥方(回路基板12側)に向かって延びる延設部52とを備える。バスバー本体51の上部には、左手前側に曲げ形成されて、上述した取付け部45のバスバー収容溝46内に収容されるリレー接続部53A(本実施形態では5つ)が設けられている。リレー接続部53Aは、リレー34のリード端子49と公知の方法により溶接される。一方、延設部52の上端のうち、図7における右斜め奥側の端部には、右手前側に曲げ形成されて、上述した第1バスバー15と接続される接続片54が設けられている。図10及び図11に示すように、接続片54と第1バスバー15とは、互いに重ね合わされた状態で、溶接又ははんだ付け等の公知の手法により接続される。
【0034】
第1接続金具42は金属板材をプレス成形してなる。図7に示すように、第1接続金具42は略矩形状をなしている。第1接続金具42は、リレー34のリード端子49と、公知の手法により溶接される。第1接続金具42の図7における右斜め奥側の端部には、回路基板12と接続されるタブ55A(本実施形態では3つ)が上下に並んで突設される。タブ55Aは、回路基板12に形成されたスルーホール(図示せず)に挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。
【0035】
図7に示すように、第2接続金具43は金属板材をプレス成形、またはフォーミング加工してなり、略L字状の細長い板状をなす。第2接続金具43は、概ね図7における左手前側から右斜め奥方に向かって延びて配設されている。第2接続金具43の右奥側の端部からは、タブ55Bが突設されている。このタブ55Bは、回路基板12に形成されたスルーホール(図示せず)に挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。図7における第2接続金具43の左手前側の端部には、上方に曲げ形成されてなるリレー接続部53Bが形成されている。このリレー接続部53Bは、リレー34のリード端子49と、公知の手法により溶接される。
【0036】
上述したように、リード端子49が、第2バスバー16、第1接続金具42、及び第2接続金具43と接続されることで、リレー34はフレーム20に、リード突出面50を上方に向けた姿勢で配設されるようになっている。
【0037】
図11に示すように、第2バスバー16の接続片54と、第1バスバー15とが接続された状態では、第2バスバー16の延設部52は、回路基板12から離間する方向(図11における右方)に延びている。そして、第2バスバー16のうち回路基板12と反対側の端部(図11における右端部)には、リレー接続部53が右方に延びて設けられている。上述したように、このリレー接続部53は、リレー34のリード端子49と接続されている。
【0038】
また、図10に示すように、第1接続金具42及び第2接続金具43は、それぞれに設けられたタブ55A,55Bが回路基板12に接続された状態で、回路基板12から離間する方向(図10における右方)に延びている。そして、上述したように、第1接続金具42及び第2接続金具43のうち回路基板12と反対側に位置する端部はそれぞれ、リレー34のリード端子49と接続されている(図6参照)。
【0039】
上記の延設部52、第1接続金具42、及び第2接続金具43により、回路基板12とリレー34とは、間隔を空けた状態で接続されている。
【0040】
カバー25には、図4におけるリレー収容部35の下面、及び左側面に、開口部56が形成されている。また、図5に示すように、カバー25のリレー収容部35の上壁には、上壁開口部57(開口部の一例)が設けられている。図12に示すように、上壁開口部57(本実施形態では5つ)は、図12における左右方向に並んで設けられている。
【0041】
本実施形態においては、図2、図3、図4、図8及び図12に示すように、カバー25に設けられた開口部56及び上壁開口部57により、各リレー34を構成する6つの壁部全てが、カバー25外部の空間に露出するようになっている。
【0042】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態においては、回路基板12とリレー34とは、間隔を空けた状態で接続されているから、リレー34に通電したときにリレー34から発生する熱が、リレー34と回路基板12との間にこもることを抑制できる。また、リレー34を構成する6つの壁部全てが、カバー25外部の空間に露出しているから、リレー34から発生した熱は、カバー25外部の空間に速やかに放散される。これにより、リレー34から発生した熱により、回路基板12の温度が上昇することを抑制できるから、温度変化に起因する回路基板12の膨張、収縮を抑制できる。この結果、第1バスバー15と回路基板12との接続部分、第1接続金具42と回路基板12との接続部分、及び第2接続金具43と回路基板12との接続部分において、例えばはんだ付け部分にクラックが生じることを抑制できる。これにより、リレー34と回路基板12との接続信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態においては、リレー34のリード端子49と、第2バスバー16、第1接続金具42及び第2接続金具43とは、溶接されている。これにより、例えば、第2バスバー16、第1接続金具42及び第2接続金具43のリレー34側の先端に一対の挟持部を設け、この挟持部の間にリード端子49を挟持する、いわゆる音叉型端子によりリード端子49と接続金具とを接続する場合に比べて、接続構造を簡素化できる。
【0044】
また、リレー34に通電すると、リレー34から熱が発生する。この熱は、リード端子49に伝達される。リレー34には、複数のリード端子49が突出するリード突出面50が形成されているので、このリード突出面50に、リレー部品から発生した熱が集中する。熱は、リード突出面50から、ケース11外の空気に伝達される。熱が伝達された空気は密度が低下して上昇し、リード突出面50から熱が放散される。本実施形態では、リレー34は、リレー34のリード突出面50が上方を向いた姿勢で配設される。これにより、リード突出面50が上方を向いているから、リード突出面50から熱が伝達された空気は容易に上昇可能となっている。これに伴い、周囲から比較的低温の空気が新たに入ってくる。このようにリレー34に通電している間、リード突出面34は、比較的低温の空気と接触するようになっている。この結果、リレー34の放熱性が向上する。
【0045】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図13ないし図15を参照して説明する。本実施形態においては、各リレー34のリレー34突出面から突出するリード端子60のうち、図14における右手前側に位置する2本と、左奥側に位置する1本は、回路基板12に接続され、且つ回路基板12から離間する方向に延びてなり、本発明における導電部材とされる。本実施形態においては、上記のリード端子60は、上方に突出した後、回路基板12側(図14における右斜め奥方)に延びて形成されている。
【0046】
本発明における導電部材とされたリード端子60Aは、回路基板12に形成された図示しないスルーホールに挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。
【0047】
一方、本発明における導電部材とされないリード端子60Bは、第2バスバー16のリレー接続部53と、公知の手法により溶接される。上記のリード端子60Bは、回路基板12には接続されていないので、本発明における導電部材にはあたらない。
【0048】
上述したように、リード端子60Aと回路基板12とがはんだ付けされると共に、リード端子60Bと第2バスバー16とが溶接されることで、リレー34と回路基板12とは、間隔を空けた状態で接続される。
【0049】
上記以外の構成については実施形態1と略同様なので、同一構造については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
本実施形態によれば、導電部材をリード端子とは別体の部品で構成する場合に比べて、構造を簡素化できる。
【0051】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図16ないし図24を参照して説明する。図22に示すように、フレーム20には、リレー34を組み付けるためのリレー組付け部44(本実施形態では5つ)が、図22における右手前側から左斜め奥方に並んで、且つ左手前側に開口して形成されている。フレーム20の、図22における各リレー組付け部44の右斜め奥方の壁部は、第2バスバー16、第1接続金具42、及び第2接続金具43を取付けるための取付け壁部61とされる。
【0052】
各取付け壁部61には、第2バスバー16のリレー接続部53、第1接続金具42、及び第2接続金具43を収容可能になっている。
【0053】
リレー34は、各リレー組付け部44内に、リード突出面50を水平方向に向けて収容されている。本実施形態においては、リレー34は、図22における右斜め奥方、すなわち、回路基板12側に向けて収容されている。
【0054】
図24に示すように、カバー25のリレー収容部35の上壁には、上壁開口部57が設けられている。図24に示すように、上壁開口部57(本実施形態では5つ)は、図24における左右方向に並んで設けられている。本実施形態においては、上壁開口部57を介してリレー34のリード突出面50が面する空間と、カバー25の外部の空間とが連通することになる。
【0055】
本実施形態においては、図17、図18、図19、及び図23に示すように、カバー25に設けられた開口部56により、各リレー34を構成する壁部のうち、上壁と異なる5つの壁部が、カバー25外部の空間に露出するようになっている。
【0056】
上記以外の構成については実施形態1と略同様なので、同一構造については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
本実施形態においては、リレー34は、リード突出面50が回路基板12側(水平方向)を向く姿勢で配設される。リード突出面50が水平方向を向いているから、リード突出面50から熱が伝達された空気は容易に上昇可能となっている。これに伴い、周囲から比較的低温の空気が新たに入ってくる。これにより、リレー34の放熱性が向上する。
【0058】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図25ないし図27を参照して説明する。図27に示すように、本実施形態においては、各リレー34のリレー34突出面から突出するリード端子70のうちのいくつかは、回路基板12側(図27における右斜め奥方)に延びて形成されて、導電部材とされる。
【0059】
導電部材とされたリード端子70Aは、回路基板12に形成された図示しないスルーホールに挿通されて、回路基板12の導電路とはんだ付けされる。
【0060】
導電部材とされないリード端子70Bは、第2バスバー16のリレー接続部53と、公知の手法により溶接される。
【0061】
上述したように、導電部材とされたリード端子70Aと回路基板12とがはんだ付けされると共に、導電部材とされないリード端子70Bと第2バスバー16とが溶接されることで、リレー34と回路基板12とは、間隔を空けた状態で接続される。
【0062】
上記以外の構成については実施形態3と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
本実施形態によれば、導電部材をリード端子とは別体の部品で構成する場合に比べて、構造を簡素化できる。
【0064】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)リード端子49,60A,60B,70A,70Bと、第2バスバー16、第1接続金具42及び第2接続金具43とは、はんだ付けにより接続してもよい。
(2)リレー34は、リード突出面50が例えば図6において下方を向く姿勢で配設してもよい。また、リード突出面50が例えば図21において回路基板12から離間する方向を向く姿勢で配設してもよい。
(3)本実施形態においては、リレー34には複数のリード端子49が突出するリード突出面50を形成する構成としたが、これに限られず、複数のリード端子49が複数のリレー34の異なる面から突出する構成としてもよい。
(4)スイッチング部材としては、半導体デバイスを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態1に係る電気接続箱の正面図
【図2】電気接続箱の斜視図
【図3】電気接続箱の底面図
【図4】図1におけるA−A線断面図
【図5】電気接続箱の分解斜視図
【図6】電気接続箱においてカバーを外した状態を示す斜視図
【図7】図6に示す電気接続箱の分解斜視図
【図8】電気接続箱の背面図
【図9】図3におけるD−D線断面図
【図10】ECUを組み付ける前の電気接続箱の、図1におけるB−B線断面図
【図11】ECUを組み付ける前の電気接続箱の、図1におけるC−C線断面図
【図12】図8におけるE−E線断面図
【図13】実施形態2に係る電気接続箱の分解斜視図
【図14】カバーを外した状態の電気接続箱における分解斜視図
【図15】実施形態2に係る電気接続箱における断面図
【図16】実施形態3に係る電気接続箱の正面図
【図17】電気接続箱の斜視図
【図18】電気接続箱の底面図
【図19】図16におけるF−F線断面図
【図20】電気接続箱の分解斜視図
【図21】電気接続箱においてカバーを外した状態を示す斜視図
【図22】図21に示す電気接続箱の分解斜視図
【図23】ECUを組み付ける前の電気接続箱の、図16におけるG−G線断面図
【図24】図17におけるH−H線断面図
【図25】実施形態4に係る電気接続箱の分解斜視図
【図26】電気接続箱においてカバーを外した状態を示す斜視図
【図27】図26に示す電気接続箱の分解斜視図
【符号の説明】
【0066】
10…電気接続箱
12…回路基板
15…第1バスバー(導電部材、接続金具)
16…第2バスバー(導電部材、接続金具)
24…ケース本体(ケース)
25…カバー(ケース)
34…リレー
42…第1接続金具(導電部材、接続金具)
43…第2接続金具(導電部材、接続金具)
49…リード端子(導電部材)
50…リード突出面
56…開口部
57…上壁開口部(開口部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に接続され、且つ前記回路基板から離間する方向に延びる導電部材と、前記導電部材のうち前記回路基板と反対側に位置する端部に配設されたスイッチング部材と、前記回路基板を収容し、且つ前記スイッチング部材に対応する位置に開口部が設けられたケースとを備え、前記スイッチング部材は前記開口部において前記ケースの外部に露出する電気接続箱。
【請求項2】
前記スイッチング部材は、リレーである請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記リレーには、複数のリード端子が外方に突出するリード突出面が設けられており、前記リレーは、前記リード突出面が垂直方向を向く姿勢で配設される請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記リレーは、前記リード突出面が上方を向く姿勢で配設される請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記リレーには、複数のリード端子が外方に突出するリード突出面が設けられており、前記リレーは、前記リード突出面が水平方向を向く姿勢で配設される請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子にはんだ付け又は溶接された接続金具である請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子を前記回路基板側に延設したものである請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に接続され、且つ前記回路基板から離間する方向に延びる導電部材と、前記導電部材のうち前記回路基板と反対側に位置する端部に配設されたスイッチング部材と、前記回路基板を収容し、且つ前記スイッチング部材に対応する位置に開口部が設けられたケースとを備え、前記スイッチング部材は前記開口部において前記ケースの外部に露出する電気接続箱。
【請求項2】
前記スイッチング部材は、リレーである請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記リレーには、複数のリード端子が外方に突出するリード突出面が設けられており、前記リレーは、前記リード突出面が垂直方向を向く姿勢で配設される請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記リレーは、前記リード突出面が上方を向く姿勢で配設される請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記リレーには、複数のリード端子が外方に突出するリード突出面が設けられており、前記リレーは、前記リード突出面が水平方向を向く姿勢で配設される請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子にはんだ付け又は溶接された接続金具である請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記導電部材は、前記スイッチング部材のリード端子を前記回路基板側に延設したものである請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−17757(P2009−17757A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180048(P2007−180048)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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