電気接続箱
【課題】本発明は、小型化された電気接続箱を提供する。
【解決手段】回路基板17には開口部24が形成されており、開口部24内には、金属板材からなり電源60に電気的に接続される第1導電部材22と、第1導電部材22に絶縁性の第1絶縁部33を介して積層され、且つ金属板材からなると共に負荷61に電気的に接続される第2導電部材32とが配されており、回路基板17と、第1導電部材22及び第2導電部材32との間は絶縁性の第2絶縁部23によって絶縁されており、第1導電部材22には半導体リレー19の入力端子30が接続されており、第2導電部材32には半導体リレー19の出力端子34が接続されている。
【解決手段】回路基板17には開口部24が形成されており、開口部24内には、金属板材からなり電源60に電気的に接続される第1導電部材22と、第1導電部材22に絶縁性の第1絶縁部33を介して積層され、且つ金属板材からなると共に負荷61に電気的に接続される第2導電部材32とが配されており、回路基板17と、第1導電部材22及び第2導電部材32との間は絶縁性の第2絶縁部23によって絶縁されており、第1導電部材22には半導体リレー19の入力端子30が接続されており、第2導電部材32には半導体リレー19の出力端子34が接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用の電気接続箱として、特許文献1に記載のものが知られている。この電気接続箱は、電源と、ランプ、ホーン等の負荷との間に配されて、負荷のスイッチングを実行する。電気接続箱は、ケースと、ケース内に収容された回路基板と、回路基板に実装されて、負荷のスイッチングを実行するスイッチング素子と、を備える。
【0003】
回路基板に形成された銅箔パターンには、電源と電気的に接続可能なバスバーが接続されている。バスバーと接続された銅箔パターンには、スイッチング素子の入力端子が接続されている。また、スイッチング素子の出力端子は、バスバーが接続された銅箔パターンとは異なる銅箔パターンに接続されている。出力端子が接続された銅箔パターンは、回路基板上を配索されて、負荷と電気的に接続可能なコネクタ端子に接続されている。
【0004】
また、回路基板には、スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路が形成されており、この制御回路は、スイッチング素子の制御端子と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−125190公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の構成によると、回路基板の銅箔パターンには、電源からの電流と、負荷への電流とが流れる。これらの電流は比較的に大きな電流なので、銅箔パターンの抵抗を低くして銅箔パターンからの発熱を抑制するためには、銅箔パターンを幅広に形成する必要がある。すると、回路基板において、制御回路を作成するための領域が相対的に狭くなる。このため、必要な制御回路を回路基板に作成しようとすると、回路基板を比較的に大きくしなければならず、電気接続箱を小型化することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化された電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電源と負荷との間に配される電気接続箱であって、ケースと、前記ケース内に収容された回路基板と、前記回路基板に実装されて前記負荷に対するスイッチングを実行するスイッチング素子と、を備え、前記回路基板には開口部が形成されており、前記開口部内には、金属板材からなり前記電源に電気的に接続される第1導電部材と、前記第1導電部材に絶縁性の第1絶縁部を介して積層され、且つ、金属板材からなると共に前記負荷に電気的に接続される第2導電部材とが配されており、前記回路基板と、前記第1導電部材及び前記第2導電部材との間は絶縁性の第2絶縁部によって絶縁されており、前記第1導電部材には前記スイッチング素子の入力端子が接続されており、前記第2導電部材には前記スイッチング素子の出力端子が接続されている。
【0009】
本発明によれば、電源からの電流は第1導電部材を流れ、負荷への電流は第2導電部材を流れる。上記の第1導電部材及び第2導電部材は回路基板に形成された開口部内に配されているので、回路基板上には、比較的に大きな電流を流すための導電路を形成しなくてもよい。これにより、比較的に幅広な導電路を回路基板上に形成しなくてもよいので、回路基板を小型化できる。この結果、電気接続箱を小型化できる。
【0010】
また、第1導電部材、及び第2導電部材は金属板材からなるので、同じ回路を回路基板上に銅箔パターンで形成する場合に比べて、幅狭に形成できる。このため、回路基板の小型化が可能であり、電気接続箱を小型化できる。
【0011】
また、第1導電部材と第2導電部材とは積層されているので、第1導電部材と第2導電部材とを並べて配する場合に比べて配線密度を向上させることができる。これにより、電気接続箱を小型化できる
【0012】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記回路基板には前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部が設けられており、前記制御部には前記スイッチング素子の制御端子が電気的に接続されていることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、1枚の回路基板上に、電源から負荷へと電力を供給する電力回路と、スイッチング素子のオンオフを制御する制御部とが設けられている。これにより、電力回路と制御部とをそれぞれ異なった回路基板に設ける場合に比べて、全体として電気接続箱を小型化できる。
【0014】
前記入力端子は前記スイッチング素子の裏面に形成されており、前記スイッチング素子の裏面と前記第1導電部材とが接続されていることが好ましい。
【0015】
上記の態様によれば、通電時にスイッチング素子で発生した熱は、スイッチング素子の裏面に形成された入力端子から、第1導電部材に速やかに伝達され、第1導電部材に拡散される。これにより、スイッチング素子の近傍に熱がこもり、局所的に高温になることを抑制できる。
【0016】
前記ケースには、前記電源に接続された入力ワイヤーハーネスと接続可能な入力コネクタ部が設けられており、前記入力コネクタ部内には入力コネク端子の一方の端部が配されており、前記入力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第1導電部材に電気的に接続されていることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、入力コネクタ部から第1導電部材に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【0018】
前記ケースには、前記負荷に接続された出力ワイヤーハーネスと接続可能な出力コネクタ部が設けられており、前記出力コネクタ部内には出力コネク端子の一方の端部が配されており、前記出力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第2導電部材に電気的に接続されていることが好ましい。
【0019】
上記の態様によれば、出力コネクタ部から第2導電部材に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電気接続箱を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係る電気接続箱を示す全体斜視図
【図2】電気接続箱を示す分解斜視図
【図3】電気接続箱を示す正面図
【図4】図3におけるIV−IV線断面図
【図5】図3におけるV−V線断面図
【図6】回路基板に第1導電部材及び第2導電部材を組み付けた状態を示す正面図
【図7】図6におけるVII−VII線断面図
【図8】図6におけるVIII−VIII線断面図
【図9】図6におけるIX−IX線断面図
【図10】第1導電部材と、第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図11】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図12】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す斜視図
【図13】下型に第1導電部材を載置する状態を示す断面図
【図14】第1導電部材に第2導電部材を載置する状態を示す断面図
【図15】第1導電部材及び第2導電部材を上型及び下型内に収容した状態を示す断面図
【図16】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す断面図
【図17】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す断面図
【図18】本発明の実施形態2に係る電気接続箱を示す断面図
【図19】本発明の実施形態3に係る回路構成体において、第1導電部材と第2導電部材を組み付けた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図17を参照しつつ説明する。本実施形態は、車載用の電気接続箱10であって、電源60(図5参照)と、ランプ、ホーン等の負荷61(図4参照)との間に配設されて、負荷61のスイッチングを実行する。この電気接続箱10は、合成樹脂製のケース11内に回路構成体12を収容してなる。なお、以下の説明においては、図4における左側を表側とし、右側を裏側として説明する。
【0023】
(ケース11)
図4に示すように、ケース11は、表側(図4に置ける左側)に開口するケース本体13と、このケース本体13の開口を表側から塞ぐカバー14と、を備える。図2に示すように、ケース本体13は、表裏方向(図2における上下方向)から見て略五角形状をなしている。
【0024】
図4に示すように、カバー14には、図4における上端部寄りの位置に、図4における下方に開口すると共に、図示しない相手側コネクタが嵌合可能なコネクタ部15が形成されている。コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されている。図2に示すように、カバー14には、複数のコネクタ部15がカバー14と一体に形成されている。
【0025】
図4に示すように、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とは、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合されている。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。
【0026】
(回路構成体12)
図2に示すように、回路構成体12は、回路基板17と、回路基板17の表面18に実装された半導体リレー19(特許請求の範囲に記載のスイッチング素子に相当)と、を有する。回路基板17の表面18には、プリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されている。回路基板17は、表裏方向(図2における上下方向)から見て、略矩形状をなしている。
【0027】
図4に示すように、回路基板17の導電路には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における下方)に突出する制御端子20が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0028】
(第1導電部材22)
図4に示すように、回路基板17の裏面21(図4における右側面)には、金属板材からなる第1導電部材22が積層されている。第1導電部材22は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。回路基板17と第1導電部材22との間には、絶縁性の合成樹脂からなる第2絶縁部23が介されている。第2絶縁部23は、第1導電部材22と回路基板17とをモールド成形することにより形成される。
【0029】
図4に示すように、第1導電部材22は、回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置に配設されている。回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置には開口部24が回路基板17を貫通して形成されている。第1導電部材22は、開口部24を裏側(図4における右側)から塞ぐように配設されており、開口部24内には第1導電部材22の少なくとも一部が配されている。
【0030】
図6に示すように、回路基板17には、開口部24の周囲に、回路基板17を貫通する基板側樹脂充填孔25が形成されている。また、図6に示すように、第1導電部材22には、回路基板17の正規位置に第1導電部材22を組み付けた状態で、回路基板17の基板側樹脂充填孔25に対応する位置に、導電部材側樹脂充填孔26が形成されている。図6に示すように、基板側樹脂充填孔25、及び導電部材側樹脂充填孔26の双方には、モールド成形により第2絶縁部23を構成する合成樹脂材が充填されている。これにより、回路基板17と第1導電部材22とが剥離することが抑制されるようになっている。
【0031】
図4に示すように、回路基板17の開口部24に対応する位置には、表側(図4における左側)に突出する凸部27が形成されている。凸部27のうち、第1導電部材22の板面から立ち上がる側面28は、第1導電部材22の板面から実質的に垂直に突出している。実質的に垂直とは、凸部27の側面28と第1導電部材22の板面とが垂直である場合を含むと共に、垂直でなくとも、略垂直であると認められる場合を含む。
【0032】
図6に示すように、凸部27は、図6における左右方向に細長く延びて形成されている。開口部24の口縁は、凸部27の端縁に倣った形状に形成されている。凸部27と回路基板17の開口部24との間には、第2絶縁部23を構成する合成樹脂材が充填されている。
【0033】
図4に示すように、凸部27の突出端面29(図4における左端面)は、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さ位置に配されている。また、回路基板17の開口縁と、第1導電部材22との間に充填されている第2絶縁部23のうち回路基板17の表面18側に露出している部分についても、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さ位置に配されている。なお、実質的に同じ高さとは、凸部27の突出端面29及び第2絶縁部23の表面と、回路基板17の表面18とが、同じ高さである場合を含むと共に、同じ高さでなくとも、略同じと認められる程度である場合も含む。
【0034】
図4に示すように、凸部27の突出端面29には、半導体リレー19の裏面(図4における右側面)に形成された入力端子30が半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0035】
なお、図15に示すように、第1導電部材22には、後述する第2導電部材32とのモールド成形時に金型が挿通される金型挿通孔31が、第1導電部材22を貫通して形成されている。
【0036】
(第2導電部材32)
図4に示すように、第1導電部材22のうち回路基板17の開口部24に対応する位置には、第1導電部部材の表面(回路基板17側の面であって、図4における左側面)に、金属板材からなる第2導電部材32が積層されている。第2導電部材32は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。第1導電部材22と第2導電部材32との間には、絶縁性の合成樹脂材からなる第1絶縁部33が介されている。第1絶縁部33は、第1導電部材22と第2導電部材32とをモールド成形することにより形成される。
【0037】
図6に示すように、1つの第1導電部材22に、複数(本実施形態においては5つ)の第2導電部材32が積層されている。各第2導電部材32は図6における左右方向に間隔を空けて並んで配されている。各第2導電部材32の隙間には、第1絶縁部33を構成する合成樹脂材が充填されている。また、回路基板17に形成された開口部24の口縁は、第2導電部材32の端縁に倣った形状に形成されている。
【0038】
図4に示すように、第2導電部材32の表面(図4における左側面)には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における上方)に突出する出力端子34が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。第2導電部材32の表面は、出力端子34が接続される接続面35とされる。この接続面35は、回路基板17の表面18(図4における右側面)と、実質的に同じ高さに配されている。また、隣り合う第2導電部材32の隙間に充填された第1絶縁部33の表面(図4における右側面)も、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さに配されている。さらに、第2導電部材32のうち図4における上端部と、開口部24の口縁との隙間には第2絶縁部23を構成する合成樹脂材が充填されている。この第2絶縁部23の表面も、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さに配されている。なお、実質的に同じ高さとは、第2導電部材32の接続面35、第2絶縁部23の表面、および第1絶縁部33材の表面と、回路基板17の表面18とが、同じ高さである場合を含むと共に、同じ高さでななくとも、略同じと認められる程度である場合を含む。
【0039】
図8及び図9には、回路基板17、第1導電部材22、第2導電部材32、第2絶縁部23、及び第1絶縁部33が積層された積層体の断面図を示す。本実施形態においては、回路基板17の表面18、第2絶縁部23の表面、第1導電部材22に形成された凸部27の突出端面29、第1絶縁部33の表面、及び第1絶縁部33の接続面35は、実質的に面一に配されている。
【0040】
(マイコン)
図2に示すように、回路基板17の表面18には、回路基板17の下端部寄りの位置(図2における左手前側の位置)に、半導体リレー19のオンオフを制御するマイコン64(特許請求の範囲に記載の制御部に相当)が実装されている。マイコン64のリード端子は、回路基板17の導電路に接続されて、半導体リレー19の制御端子20と電気的に接続されている。
【0041】
(コネクタ端子16の接続構造)
上述したように、コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されており、コネクタ端子16の一方の端部はコネクタ部15内に位置して配されている。図4に示すように、コネクタ端子16の他方の端部は、裏側(図4における右側)に向けて曲げ形成されると共に裏側に向けてコネクタ部15から突出している。
【0042】
コネクタ部15は、電源60に接続された入力ワイヤーハーネス62が接続可能な入力コネクタ部15Aと、負荷61に接続された出力ワイヤーハーネスが接続可能な出力コネクタ部15Bと、図示しない信号線が接続可能な信号用コネクタ部15Cと、を備える。
【0043】
図1に示すように、信号用コネクタ部15Cはカバー14のうち、図1における左奥側の位置に形成されており、入力コネクタ部15Aはカバー14のうち図1における右手前側の位置に形成されており、出力コネクタ部15Bは、上述した信号用コネクタ部15Cと入力コネクタ部15Aの間に形成されている。
【0044】
図4に示すように、出力コネクタ部15Bには出力コネクタ端子16Bが配設されており、出力コネクタ端子16Bの一方の端部は出力コネクタ部15Bの内部に配設されて、出力ワイヤーハーネスと接続可能になっている。出力コネクタ端子16Bの他方の端部に対応する位置には、第2導電部材32が配されている。この第2導電部材32には、出力コネクタ端子16Bの他方の端部に対応する位置に、出力コネクタ端子16Bの他方の端部が挿通される第2端子接続孔36が、第2導電部材32を貫通して形成されている。出力コネクタ端子16Bの他方の端部は、第2端子接続孔36内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第2導電部材32と電気的に接続されている。
【0045】
また、図5に示すように、入力コネクタ部15Aには、入力コネクタ端子16Aが配設されており、入力コネクタ端子16Aの一方の端部は入力コネクタ部15Aの内部に配設されて、入力ワイヤーハーネスと接続可能になっている。入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置には、回路基板17が位置している。この回路基板17には、入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置に、入力コネクタ端子16Aの他方の端部が挿通される端子挿通孔37が形成されている。さらに、入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置には、第1導電部材22が配されている。この第1導電部材22には、入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置に、第1端子接続孔38が、第1導電部材22を貫通して形成されている。入力コネクタ端子16Aの他方の端部は、端子挿通孔37及び第1端子接続孔38内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第1導電部材22と電気的に接続されている。
【0046】
また、図6に示すように、開口部24は、回路基板17のうち図6における上端部寄りの位置であって、且つ図6における左右方向について略右半分の位置に、形成されている。また、回路基板17のうち、開口部24の左方の位置には、複数の基板側端子接続孔39が回路基板17を貫通して形成されている。この基板側端子接続孔39には、詳細には図示しないが、信号用コネクタ端子16の他方の端部が挿通されて、半田付け等の公知の手法により、回路基板17に形成された導電路と、電気的に接続される。
【0047】
(製造工程)
続いて、本実施形態の製造工程の一例について説明する。まず、金属板材を鍛造、鋳造、プレス加工等、任意の手法により加工して、第1導電部材22を形成する(図10参照)。次いで、図13に示すように、図13の下側に位置する金型40(以下、下型40と記載する。)の上面(図13における上面)に、第1導電部材22を載置する。下型40の上面には、第1導電部材22を収容するためのキャビティ41が形成されている。また、キャビティ41の底面には、上方(図13における上方)に突出する突出台42が形成されている。この突出台42の上面には、上方に突出する位置決め突起43が形成されている。
【0048】
図14に示すように、第1導電部材22を、凸部27を上方(図14における上方)に向けた姿勢で、且つ金型挿通孔31内に突出台42が挿通された状態で、下型40のキャビティ41内に収容する。第1導電部材22と、下型40とは、第1導電部材22の外縁と、キャビティ41の内面とが当接することにより位置決めされてもよいし、また、下型40に設けた位置決めピンと、第1導電部材22に設けた位置決め孔の内周面とが当接することにより位置決めされてもよい。
【0049】
その後、第2導電部材32を、図14の矢線で示す方向から第1導電部材22の上面に積層する。図10には、第1導電部材22と第2導電部材32の積層状態を斜視図で示す。このとき、第2導電部材32の第2端子接続孔36内に、下型40の位置決め突起43を挿通する。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32との相対的な位置決めを行う。
【0050】
図15に示すように、第2導電部材32の上方(図15における上方)から、上側に位置する金型44(以下、上型44と記載する。)を重ねる。これにより、下型40と、上型44との間に、第1導電部材22及び第2導電部材32が位置決めされた状態で挟まれる。その後、キャビティ41内に絶縁性の合成樹脂材を充填してモールド成形を行う。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32とが、第1絶縁部33を介して積層される。
【0051】
図11及び図16に示すように、回路基板17の裏面21側から(図11及び図16において矢線で示す方向)、回路基板17の開口部24を塞ぐようにして、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものを重ねる。その後、図示しない一対の金型内に収容して、絶縁性の合成樹脂材でモールド成形を行う。これにより、図17に示すように、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものと、回路基板17とが、第2絶縁部23を介して積層される。
【0052】
その後、回路基板17の表面18に半導体リレー19等を載置して、公知のリフロー半田付けを実行する。これにより、半導体リレー19が回路基板17に実装されて、回路構成体12が完成する。
【0053】
一方、コネクタ端子16を所定の形状に曲げ形成した後、合成樹脂材でモールド成形することにより、カバー14を製造する。その後、カバー14の裏面から回路構成体12を積層し、コネクタ端子16の端部を、それぞれ、基板側端子接続孔39、第1端子接続孔38、及び第2端子接続孔36内に挿通する。ついで、公知のフロー半田付けにより、コネクタ端子16と、回路基板17、第1導電部材22、及び第2導電部材32とを電気的に接続する。
【0054】
その後、ケース本体13の開口内に回路構成体12を収容すると共に、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とを、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合する。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。以上により、電気接続箱10が完成する。
【0055】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、電源60からの電流は、入力ワイヤーハーネス62を通った後、入力コネクタ部15Aから入力コネクタ端子16Aを通って、電気接続箱10内に入力される。その後、電流は、入力コネクタ端子16Aの他方の端部から第1導電部材22へと流れ、入力端子30から半導体リレー19へと達する。
【0056】
また、半導体リレー19の出力端子34から流れ出た電流は、第2導電部材32を流れ、出力コネクタ端子16Bを通って電気接続箱10の外部へ出力される。その後、電流は、出力コネクタ端子16Bから出力コネクタ部15Bに嵌合された出力ワイヤーハーネス63へと流れ、負荷61へと達する。
【0057】
このように、本実施形態によれば、電気接続箱10内において、電源60からの電流は第1導電部材22を流れ、負荷61への電流は第2導電部材32を流れる。上記の第1導電部材22及び第2導電部材32は、回路基板17に形成された開口部24内に配されているので、回路基板17上には、比較的に大きな電流を流すための導電路を形成しなくてもよい。これにより、比較的に幅広な導電路を回路基板17上に形成しなくてもよいので、回路基板17を小型化できる。この結果、電気接続箱10を小型化できる。
【0058】
また、第1導電部材22、及び第2導電部材32は金属板材からなるので、同じ回路を回路基板17上に銅箔パターンで形成する場合に比べて、幅狭に形成できる。このため、回路基板17の小型化が可能であり、電気接続箱10を小型化できる。
【0059】
また、第1導電部材22と第2導電部材32とは積層されているので、第1導電部材22と第2導電部材32とを並べて配する場合に比べて配線密度を向上させることができる。これにより、電気接続箱を小型化できる
【0060】
また、本実施形態によれば、回路基板17には半導体リレー19のオンオフを制御するマイコン64が実装されている。このマイコン64のリード端子は回路基板17に形成された導電路に接続されており、半導体リレー19の制御端子20と電気的に接続されている。このように本実施形態においては、1枚の回路基板17上に、電源60から負荷61へと電力を供給する電力回路と、半導体リレー19のオンオフを制御するマイコン64とが設けられている。これにより、電力回路と制御部とをそれぞれ異なった回路基板17に設ける場合に比べて、全体として電気接続箱10を小型化できる。
【0061】
また、半導体リレー19の入力端子30は半導体リレー19の裏面に形成されており、この半導体リレー19の裏面と第1導電部材22とが接続されている。これにより、通電時に半導体リレー19で発生した熱は、半導体リレー19の裏面に形成された入力端子30から、第1導電部材22に速やかに伝達され、第1導電部材22に拡散される。これにより、半導体リレー19の近傍に熱がこもり、局所的に高温になることを抑制できる。
【0062】
さらに、本実施形態によれば、カバー14には、電源60に接続された入力ワイヤーハーネス62と接続可能な入力コネクタ部15Aが設けられており、入力コネクタ部15A内には入力コネク端子16Aの一方の端部が配されており、入力コネクタ端子16Aの他方の端部は、ケース11内に導入されて、第1導電部材22に電気的に接続されている。これにより、入力コネクタ部15Aから第1導電部材22に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【0063】
また、カバー14には、負荷61に接続された出力ワイヤーハーネス63と接続可能な出力コネクタ部15Bが設けられており、出力コネクタ部15B内には出力コネク端子16Bの一方の端部が配されており、出力コネクタ端子16Bの他方の端部は、ケース11内に導入されて、第2導電部材32に電気的に接続されている。これにより、出力コネクタ部15Bから第2導電部材32に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【0064】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図18を参照しつつ説明する。本実施形態においては、回路基板17と第1導電部材22とは、図示しない絶縁性の接着層(特許請求の範囲に記載の第2絶縁部23に相当)を介して積層されている。接着層としては、接着剤を用いてもよいし、接着シートを用いてもよい。また、開口部24の口縁と、第1導電部材22の凸部27とは隙間なく接触している。
【0065】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0066】
本実施形態によれば、第1導電部材22と回路基板17とを近接して配することができる。これにより、回路構成体12を一層小型化することができる。
【0067】
また、通電時に第1導電部材22で発生した熱は、回路基板17に伝達され、回路基板17によって均熱化される。これにより、ケース11内部が局所的に高温になることを抑制できる。この結果、回路基板17に実装された電子部品に、例えば半田クラック等、熱に起因する不具合が発生することを抑制できる。
【0068】
<実施形態3>
続いて、本発明の実施形態を、図19を参照しつつ説明する。本実施形態においては、回路基板17には基板側ピン貫通孔50が形成されている。基板側ピン貫通孔50の表側(図19における左側)の開口部はやや径大に形成されている。また、第1導電部材22には、基板側ピン貫通孔50に整合する位置に、導電部材側ピン貫通孔51が形成されている。導電部材側ピン貫通孔51の裏側(図19における右側)の開口部はやや径大に形成されている。
【0069】
基板側ピン貫通孔50及び導電部材側ピン貫通孔51内には、合成樹脂製の樹脂ピン52が貫通されている。そして、樹脂ピン52の両端部は、加熱、加圧されることで圧潰されている。これにより、回路基板17と、第1導電部材22とは、隙間を有して積層された状態に保持されている。なお、回路基板17と、第1導電部材22とは、樹脂ピン52に限られず、任意の手段により、隙間を有して積層される。
【0070】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0071】
本実施形態によれば、回路基板17と第2導電部材32とは隙間を有して積層されている。この結果、回路基板17と第2導電部材32との間には空気層53が存在する。本実施形態においては、この空気層53が第1絶縁部33とされる。
【0072】
上記の構成によれば、通電時に第2導電部材32で発生した熱は、比較的に熱伝導率の低い空気層53によって遮断されて、回路基板17に伝達することが抑制される。これより、回路基板17に実装された電子部品が熱により不具合を生じることが抑制される。
【0073】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、スイッチング素子として半導体リレー19を用いたが、これに限られず、機械式リレー等、必要に応じて任意の素子を用いることができる。
(2)第1絶縁部33としては、絶縁性の接着剤、絶縁性の接着シート、絶縁性の粘着シート等、必要に応じて任意の絶縁性の材料を用いることができる。
(3)第2絶縁部23としては、絶縁性の接着剤、絶縁性の接着シート、絶縁性の粘着シート等、必要に応じて任意の絶縁性の材料を用いることができる。
(4)本実施形態においては、第1導電部材22に形成された第1端子接続孔38は、回路基板17に形成された端子挿通孔37と整合する位置に配される構成としたが、これに限られず、第1端子接続孔38は、回路基板17の開口部24内に位置して配された第1導電部材22に形成されてもよい。
(5)本実施形態においては、制御部としてマイコン64を用いたが、これに限られず、制御回路により半導体リレー19のオンオフを制御する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…電気接続箱
11…ケース
12…回路構成体
15A…入力コネクタ部
15B…出力コネクタ部
16A…入力コネクタ端子
16B…出力コネクタ端子
17…回路基板
19…半導体リレー(スイッチング素子)
22…第1導電部材
23…第2絶縁部
24…開口部
30…入力端子
32…第2導電部材
33…第1絶縁部
34…出力端子
60…電源
61…負荷
62…入力ワイヤーハーネス
63…出力ワイヤーハーネス
64…マイコン(制御部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用の電気接続箱として、特許文献1に記載のものが知られている。この電気接続箱は、電源と、ランプ、ホーン等の負荷との間に配されて、負荷のスイッチングを実行する。電気接続箱は、ケースと、ケース内に収容された回路基板と、回路基板に実装されて、負荷のスイッチングを実行するスイッチング素子と、を備える。
【0003】
回路基板に形成された銅箔パターンには、電源と電気的に接続可能なバスバーが接続されている。バスバーと接続された銅箔パターンには、スイッチング素子の入力端子が接続されている。また、スイッチング素子の出力端子は、バスバーが接続された銅箔パターンとは異なる銅箔パターンに接続されている。出力端子が接続された銅箔パターンは、回路基板上を配索されて、負荷と電気的に接続可能なコネクタ端子に接続されている。
【0004】
また、回路基板には、スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路が形成されており、この制御回路は、スイッチング素子の制御端子と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−125190公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の構成によると、回路基板の銅箔パターンには、電源からの電流と、負荷への電流とが流れる。これらの電流は比較的に大きな電流なので、銅箔パターンの抵抗を低くして銅箔パターンからの発熱を抑制するためには、銅箔パターンを幅広に形成する必要がある。すると、回路基板において、制御回路を作成するための領域が相対的に狭くなる。このため、必要な制御回路を回路基板に作成しようとすると、回路基板を比較的に大きくしなければならず、電気接続箱を小型化することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化された電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電源と負荷との間に配される電気接続箱であって、ケースと、前記ケース内に収容された回路基板と、前記回路基板に実装されて前記負荷に対するスイッチングを実行するスイッチング素子と、を備え、前記回路基板には開口部が形成されており、前記開口部内には、金属板材からなり前記電源に電気的に接続される第1導電部材と、前記第1導電部材に絶縁性の第1絶縁部を介して積層され、且つ、金属板材からなると共に前記負荷に電気的に接続される第2導電部材とが配されており、前記回路基板と、前記第1導電部材及び前記第2導電部材との間は絶縁性の第2絶縁部によって絶縁されており、前記第1導電部材には前記スイッチング素子の入力端子が接続されており、前記第2導電部材には前記スイッチング素子の出力端子が接続されている。
【0009】
本発明によれば、電源からの電流は第1導電部材を流れ、負荷への電流は第2導電部材を流れる。上記の第1導電部材及び第2導電部材は回路基板に形成された開口部内に配されているので、回路基板上には、比較的に大きな電流を流すための導電路を形成しなくてもよい。これにより、比較的に幅広な導電路を回路基板上に形成しなくてもよいので、回路基板を小型化できる。この結果、電気接続箱を小型化できる。
【0010】
また、第1導電部材、及び第2導電部材は金属板材からなるので、同じ回路を回路基板上に銅箔パターンで形成する場合に比べて、幅狭に形成できる。このため、回路基板の小型化が可能であり、電気接続箱を小型化できる。
【0011】
また、第1導電部材と第2導電部材とは積層されているので、第1導電部材と第2導電部材とを並べて配する場合に比べて配線密度を向上させることができる。これにより、電気接続箱を小型化できる
【0012】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記回路基板には前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部が設けられており、前記制御部には前記スイッチング素子の制御端子が電気的に接続されていることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、1枚の回路基板上に、電源から負荷へと電力を供給する電力回路と、スイッチング素子のオンオフを制御する制御部とが設けられている。これにより、電力回路と制御部とをそれぞれ異なった回路基板に設ける場合に比べて、全体として電気接続箱を小型化できる。
【0014】
前記入力端子は前記スイッチング素子の裏面に形成されており、前記スイッチング素子の裏面と前記第1導電部材とが接続されていることが好ましい。
【0015】
上記の態様によれば、通電時にスイッチング素子で発生した熱は、スイッチング素子の裏面に形成された入力端子から、第1導電部材に速やかに伝達され、第1導電部材に拡散される。これにより、スイッチング素子の近傍に熱がこもり、局所的に高温になることを抑制できる。
【0016】
前記ケースには、前記電源に接続された入力ワイヤーハーネスと接続可能な入力コネクタ部が設けられており、前記入力コネクタ部内には入力コネク端子の一方の端部が配されており、前記入力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第1導電部材に電気的に接続されていることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、入力コネクタ部から第1導電部材に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【0018】
前記ケースには、前記負荷に接続された出力ワイヤーハーネスと接続可能な出力コネクタ部が設けられており、前記出力コネクタ部内には出力コネク端子の一方の端部が配されており、前記出力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第2導電部材に電気的に接続されていることが好ましい。
【0019】
上記の態様によれば、出力コネクタ部から第2導電部材に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電気接続箱を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係る電気接続箱を示す全体斜視図
【図2】電気接続箱を示す分解斜視図
【図3】電気接続箱を示す正面図
【図4】図3におけるIV−IV線断面図
【図5】図3におけるV−V線断面図
【図6】回路基板に第1導電部材及び第2導電部材を組み付けた状態を示す正面図
【図7】図6におけるVII−VII線断面図
【図8】図6におけるVIII−VIII線断面図
【図9】図6におけるIX−IX線断面図
【図10】第1導電部材と、第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図11】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図12】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す斜視図
【図13】下型に第1導電部材を載置する状態を示す断面図
【図14】第1導電部材に第2導電部材を載置する状態を示す断面図
【図15】第1導電部材及び第2導電部材を上型及び下型内に収容した状態を示す断面図
【図16】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す断面図
【図17】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す断面図
【図18】本発明の実施形態2に係る電気接続箱を示す断面図
【図19】本発明の実施形態3に係る回路構成体において、第1導電部材と第2導電部材を組み付けた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図17を参照しつつ説明する。本実施形態は、車載用の電気接続箱10であって、電源60(図5参照)と、ランプ、ホーン等の負荷61(図4参照)との間に配設されて、負荷61のスイッチングを実行する。この電気接続箱10は、合成樹脂製のケース11内に回路構成体12を収容してなる。なお、以下の説明においては、図4における左側を表側とし、右側を裏側として説明する。
【0023】
(ケース11)
図4に示すように、ケース11は、表側(図4に置ける左側)に開口するケース本体13と、このケース本体13の開口を表側から塞ぐカバー14と、を備える。図2に示すように、ケース本体13は、表裏方向(図2における上下方向)から見て略五角形状をなしている。
【0024】
図4に示すように、カバー14には、図4における上端部寄りの位置に、図4における下方に開口すると共に、図示しない相手側コネクタが嵌合可能なコネクタ部15が形成されている。コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されている。図2に示すように、カバー14には、複数のコネクタ部15がカバー14と一体に形成されている。
【0025】
図4に示すように、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とは、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合されている。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。
【0026】
(回路構成体12)
図2に示すように、回路構成体12は、回路基板17と、回路基板17の表面18に実装された半導体リレー19(特許請求の範囲に記載のスイッチング素子に相当)と、を有する。回路基板17の表面18には、プリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されている。回路基板17は、表裏方向(図2における上下方向)から見て、略矩形状をなしている。
【0027】
図4に示すように、回路基板17の導電路には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における下方)に突出する制御端子20が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0028】
(第1導電部材22)
図4に示すように、回路基板17の裏面21(図4における右側面)には、金属板材からなる第1導電部材22が積層されている。第1導電部材22は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。回路基板17と第1導電部材22との間には、絶縁性の合成樹脂からなる第2絶縁部23が介されている。第2絶縁部23は、第1導電部材22と回路基板17とをモールド成形することにより形成される。
【0029】
図4に示すように、第1導電部材22は、回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置に配設されている。回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置には開口部24が回路基板17を貫通して形成されている。第1導電部材22は、開口部24を裏側(図4における右側)から塞ぐように配設されており、開口部24内には第1導電部材22の少なくとも一部が配されている。
【0030】
図6に示すように、回路基板17には、開口部24の周囲に、回路基板17を貫通する基板側樹脂充填孔25が形成されている。また、図6に示すように、第1導電部材22には、回路基板17の正規位置に第1導電部材22を組み付けた状態で、回路基板17の基板側樹脂充填孔25に対応する位置に、導電部材側樹脂充填孔26が形成されている。図6に示すように、基板側樹脂充填孔25、及び導電部材側樹脂充填孔26の双方には、モールド成形により第2絶縁部23を構成する合成樹脂材が充填されている。これにより、回路基板17と第1導電部材22とが剥離することが抑制されるようになっている。
【0031】
図4に示すように、回路基板17の開口部24に対応する位置には、表側(図4における左側)に突出する凸部27が形成されている。凸部27のうち、第1導電部材22の板面から立ち上がる側面28は、第1導電部材22の板面から実質的に垂直に突出している。実質的に垂直とは、凸部27の側面28と第1導電部材22の板面とが垂直である場合を含むと共に、垂直でなくとも、略垂直であると認められる場合を含む。
【0032】
図6に示すように、凸部27は、図6における左右方向に細長く延びて形成されている。開口部24の口縁は、凸部27の端縁に倣った形状に形成されている。凸部27と回路基板17の開口部24との間には、第2絶縁部23を構成する合成樹脂材が充填されている。
【0033】
図4に示すように、凸部27の突出端面29(図4における左端面)は、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さ位置に配されている。また、回路基板17の開口縁と、第1導電部材22との間に充填されている第2絶縁部23のうち回路基板17の表面18側に露出している部分についても、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さ位置に配されている。なお、実質的に同じ高さとは、凸部27の突出端面29及び第2絶縁部23の表面と、回路基板17の表面18とが、同じ高さである場合を含むと共に、同じ高さでなくとも、略同じと認められる程度である場合も含む。
【0034】
図4に示すように、凸部27の突出端面29には、半導体リレー19の裏面(図4における右側面)に形成された入力端子30が半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0035】
なお、図15に示すように、第1導電部材22には、後述する第2導電部材32とのモールド成形時に金型が挿通される金型挿通孔31が、第1導電部材22を貫通して形成されている。
【0036】
(第2導電部材32)
図4に示すように、第1導電部材22のうち回路基板17の開口部24に対応する位置には、第1導電部部材の表面(回路基板17側の面であって、図4における左側面)に、金属板材からなる第2導電部材32が積層されている。第2導電部材32は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。第1導電部材22と第2導電部材32との間には、絶縁性の合成樹脂材からなる第1絶縁部33が介されている。第1絶縁部33は、第1導電部材22と第2導電部材32とをモールド成形することにより形成される。
【0037】
図6に示すように、1つの第1導電部材22に、複数(本実施形態においては5つ)の第2導電部材32が積層されている。各第2導電部材32は図6における左右方向に間隔を空けて並んで配されている。各第2導電部材32の隙間には、第1絶縁部33を構成する合成樹脂材が充填されている。また、回路基板17に形成された開口部24の口縁は、第2導電部材32の端縁に倣った形状に形成されている。
【0038】
図4に示すように、第2導電部材32の表面(図4における左側面)には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における上方)に突出する出力端子34が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。第2導電部材32の表面は、出力端子34が接続される接続面35とされる。この接続面35は、回路基板17の表面18(図4における右側面)と、実質的に同じ高さに配されている。また、隣り合う第2導電部材32の隙間に充填された第1絶縁部33の表面(図4における右側面)も、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さに配されている。さらに、第2導電部材32のうち図4における上端部と、開口部24の口縁との隙間には第2絶縁部23を構成する合成樹脂材が充填されている。この第2絶縁部23の表面も、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さに配されている。なお、実質的に同じ高さとは、第2導電部材32の接続面35、第2絶縁部23の表面、および第1絶縁部33材の表面と、回路基板17の表面18とが、同じ高さである場合を含むと共に、同じ高さでななくとも、略同じと認められる程度である場合を含む。
【0039】
図8及び図9には、回路基板17、第1導電部材22、第2導電部材32、第2絶縁部23、及び第1絶縁部33が積層された積層体の断面図を示す。本実施形態においては、回路基板17の表面18、第2絶縁部23の表面、第1導電部材22に形成された凸部27の突出端面29、第1絶縁部33の表面、及び第1絶縁部33の接続面35は、実質的に面一に配されている。
【0040】
(マイコン)
図2に示すように、回路基板17の表面18には、回路基板17の下端部寄りの位置(図2における左手前側の位置)に、半導体リレー19のオンオフを制御するマイコン64(特許請求の範囲に記載の制御部に相当)が実装されている。マイコン64のリード端子は、回路基板17の導電路に接続されて、半導体リレー19の制御端子20と電気的に接続されている。
【0041】
(コネクタ端子16の接続構造)
上述したように、コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されており、コネクタ端子16の一方の端部はコネクタ部15内に位置して配されている。図4に示すように、コネクタ端子16の他方の端部は、裏側(図4における右側)に向けて曲げ形成されると共に裏側に向けてコネクタ部15から突出している。
【0042】
コネクタ部15は、電源60に接続された入力ワイヤーハーネス62が接続可能な入力コネクタ部15Aと、負荷61に接続された出力ワイヤーハーネスが接続可能な出力コネクタ部15Bと、図示しない信号線が接続可能な信号用コネクタ部15Cと、を備える。
【0043】
図1に示すように、信号用コネクタ部15Cはカバー14のうち、図1における左奥側の位置に形成されており、入力コネクタ部15Aはカバー14のうち図1における右手前側の位置に形成されており、出力コネクタ部15Bは、上述した信号用コネクタ部15Cと入力コネクタ部15Aの間に形成されている。
【0044】
図4に示すように、出力コネクタ部15Bには出力コネクタ端子16Bが配設されており、出力コネクタ端子16Bの一方の端部は出力コネクタ部15Bの内部に配設されて、出力ワイヤーハーネスと接続可能になっている。出力コネクタ端子16Bの他方の端部に対応する位置には、第2導電部材32が配されている。この第2導電部材32には、出力コネクタ端子16Bの他方の端部に対応する位置に、出力コネクタ端子16Bの他方の端部が挿通される第2端子接続孔36が、第2導電部材32を貫通して形成されている。出力コネクタ端子16Bの他方の端部は、第2端子接続孔36内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第2導電部材32と電気的に接続されている。
【0045】
また、図5に示すように、入力コネクタ部15Aには、入力コネクタ端子16Aが配設されており、入力コネクタ端子16Aの一方の端部は入力コネクタ部15Aの内部に配設されて、入力ワイヤーハーネスと接続可能になっている。入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置には、回路基板17が位置している。この回路基板17には、入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置に、入力コネクタ端子16Aの他方の端部が挿通される端子挿通孔37が形成されている。さらに、入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置には、第1導電部材22が配されている。この第1導電部材22には、入力コネクタ端子16Aの他方の端部に対応する位置に、第1端子接続孔38が、第1導電部材22を貫通して形成されている。入力コネクタ端子16Aの他方の端部は、端子挿通孔37及び第1端子接続孔38内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第1導電部材22と電気的に接続されている。
【0046】
また、図6に示すように、開口部24は、回路基板17のうち図6における上端部寄りの位置であって、且つ図6における左右方向について略右半分の位置に、形成されている。また、回路基板17のうち、開口部24の左方の位置には、複数の基板側端子接続孔39が回路基板17を貫通して形成されている。この基板側端子接続孔39には、詳細には図示しないが、信号用コネクタ端子16の他方の端部が挿通されて、半田付け等の公知の手法により、回路基板17に形成された導電路と、電気的に接続される。
【0047】
(製造工程)
続いて、本実施形態の製造工程の一例について説明する。まず、金属板材を鍛造、鋳造、プレス加工等、任意の手法により加工して、第1導電部材22を形成する(図10参照)。次いで、図13に示すように、図13の下側に位置する金型40(以下、下型40と記載する。)の上面(図13における上面)に、第1導電部材22を載置する。下型40の上面には、第1導電部材22を収容するためのキャビティ41が形成されている。また、キャビティ41の底面には、上方(図13における上方)に突出する突出台42が形成されている。この突出台42の上面には、上方に突出する位置決め突起43が形成されている。
【0048】
図14に示すように、第1導電部材22を、凸部27を上方(図14における上方)に向けた姿勢で、且つ金型挿通孔31内に突出台42が挿通された状態で、下型40のキャビティ41内に収容する。第1導電部材22と、下型40とは、第1導電部材22の外縁と、キャビティ41の内面とが当接することにより位置決めされてもよいし、また、下型40に設けた位置決めピンと、第1導電部材22に設けた位置決め孔の内周面とが当接することにより位置決めされてもよい。
【0049】
その後、第2導電部材32を、図14の矢線で示す方向から第1導電部材22の上面に積層する。図10には、第1導電部材22と第2導電部材32の積層状態を斜視図で示す。このとき、第2導電部材32の第2端子接続孔36内に、下型40の位置決め突起43を挿通する。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32との相対的な位置決めを行う。
【0050】
図15に示すように、第2導電部材32の上方(図15における上方)から、上側に位置する金型44(以下、上型44と記載する。)を重ねる。これにより、下型40と、上型44との間に、第1導電部材22及び第2導電部材32が位置決めされた状態で挟まれる。その後、キャビティ41内に絶縁性の合成樹脂材を充填してモールド成形を行う。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32とが、第1絶縁部33を介して積層される。
【0051】
図11及び図16に示すように、回路基板17の裏面21側から(図11及び図16において矢線で示す方向)、回路基板17の開口部24を塞ぐようにして、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものを重ねる。その後、図示しない一対の金型内に収容して、絶縁性の合成樹脂材でモールド成形を行う。これにより、図17に示すように、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものと、回路基板17とが、第2絶縁部23を介して積層される。
【0052】
その後、回路基板17の表面18に半導体リレー19等を載置して、公知のリフロー半田付けを実行する。これにより、半導体リレー19が回路基板17に実装されて、回路構成体12が完成する。
【0053】
一方、コネクタ端子16を所定の形状に曲げ形成した後、合成樹脂材でモールド成形することにより、カバー14を製造する。その後、カバー14の裏面から回路構成体12を積層し、コネクタ端子16の端部を、それぞれ、基板側端子接続孔39、第1端子接続孔38、及び第2端子接続孔36内に挿通する。ついで、公知のフロー半田付けにより、コネクタ端子16と、回路基板17、第1導電部材22、及び第2導電部材32とを電気的に接続する。
【0054】
その後、ケース本体13の開口内に回路構成体12を収容すると共に、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とを、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合する。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。以上により、電気接続箱10が完成する。
【0055】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、電源60からの電流は、入力ワイヤーハーネス62を通った後、入力コネクタ部15Aから入力コネクタ端子16Aを通って、電気接続箱10内に入力される。その後、電流は、入力コネクタ端子16Aの他方の端部から第1導電部材22へと流れ、入力端子30から半導体リレー19へと達する。
【0056】
また、半導体リレー19の出力端子34から流れ出た電流は、第2導電部材32を流れ、出力コネクタ端子16Bを通って電気接続箱10の外部へ出力される。その後、電流は、出力コネクタ端子16Bから出力コネクタ部15Bに嵌合された出力ワイヤーハーネス63へと流れ、負荷61へと達する。
【0057】
このように、本実施形態によれば、電気接続箱10内において、電源60からの電流は第1導電部材22を流れ、負荷61への電流は第2導電部材32を流れる。上記の第1導電部材22及び第2導電部材32は、回路基板17に形成された開口部24内に配されているので、回路基板17上には、比較的に大きな電流を流すための導電路を形成しなくてもよい。これにより、比較的に幅広な導電路を回路基板17上に形成しなくてもよいので、回路基板17を小型化できる。この結果、電気接続箱10を小型化できる。
【0058】
また、第1導電部材22、及び第2導電部材32は金属板材からなるので、同じ回路を回路基板17上に銅箔パターンで形成する場合に比べて、幅狭に形成できる。このため、回路基板17の小型化が可能であり、電気接続箱10を小型化できる。
【0059】
また、第1導電部材22と第2導電部材32とは積層されているので、第1導電部材22と第2導電部材32とを並べて配する場合に比べて配線密度を向上させることができる。これにより、電気接続箱を小型化できる
【0060】
また、本実施形態によれば、回路基板17には半導体リレー19のオンオフを制御するマイコン64が実装されている。このマイコン64のリード端子は回路基板17に形成された導電路に接続されており、半導体リレー19の制御端子20と電気的に接続されている。このように本実施形態においては、1枚の回路基板17上に、電源60から負荷61へと電力を供給する電力回路と、半導体リレー19のオンオフを制御するマイコン64とが設けられている。これにより、電力回路と制御部とをそれぞれ異なった回路基板17に設ける場合に比べて、全体として電気接続箱10を小型化できる。
【0061】
また、半導体リレー19の入力端子30は半導体リレー19の裏面に形成されており、この半導体リレー19の裏面と第1導電部材22とが接続されている。これにより、通電時に半導体リレー19で発生した熱は、半導体リレー19の裏面に形成された入力端子30から、第1導電部材22に速やかに伝達され、第1導電部材22に拡散される。これにより、半導体リレー19の近傍に熱がこもり、局所的に高温になることを抑制できる。
【0062】
さらに、本実施形態によれば、カバー14には、電源60に接続された入力ワイヤーハーネス62と接続可能な入力コネクタ部15Aが設けられており、入力コネクタ部15A内には入力コネク端子16Aの一方の端部が配されており、入力コネクタ端子16Aの他方の端部は、ケース11内に導入されて、第1導電部材22に電気的に接続されている。これにより、入力コネクタ部15Aから第1導電部材22に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【0063】
また、カバー14には、負荷61に接続された出力ワイヤーハーネス63と接続可能な出力コネクタ部15Bが設けられており、出力コネクタ部15B内には出力コネク端子16Bの一方の端部が配されており、出力コネクタ端子16Bの他方の端部は、ケース11内に導入されて、第2導電部材32に電気的に接続されている。これにより、出力コネクタ部15Bから第2導電部材32に至るまでの導電路の配索経路を簡素化できる。
【0064】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図18を参照しつつ説明する。本実施形態においては、回路基板17と第1導電部材22とは、図示しない絶縁性の接着層(特許請求の範囲に記載の第2絶縁部23に相当)を介して積層されている。接着層としては、接着剤を用いてもよいし、接着シートを用いてもよい。また、開口部24の口縁と、第1導電部材22の凸部27とは隙間なく接触している。
【0065】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0066】
本実施形態によれば、第1導電部材22と回路基板17とを近接して配することができる。これにより、回路構成体12を一層小型化することができる。
【0067】
また、通電時に第1導電部材22で発生した熱は、回路基板17に伝達され、回路基板17によって均熱化される。これにより、ケース11内部が局所的に高温になることを抑制できる。この結果、回路基板17に実装された電子部品に、例えば半田クラック等、熱に起因する不具合が発生することを抑制できる。
【0068】
<実施形態3>
続いて、本発明の実施形態を、図19を参照しつつ説明する。本実施形態においては、回路基板17には基板側ピン貫通孔50が形成されている。基板側ピン貫通孔50の表側(図19における左側)の開口部はやや径大に形成されている。また、第1導電部材22には、基板側ピン貫通孔50に整合する位置に、導電部材側ピン貫通孔51が形成されている。導電部材側ピン貫通孔51の裏側(図19における右側)の開口部はやや径大に形成されている。
【0069】
基板側ピン貫通孔50及び導電部材側ピン貫通孔51内には、合成樹脂製の樹脂ピン52が貫通されている。そして、樹脂ピン52の両端部は、加熱、加圧されることで圧潰されている。これにより、回路基板17と、第1導電部材22とは、隙間を有して積層された状態に保持されている。なお、回路基板17と、第1導電部材22とは、樹脂ピン52に限られず、任意の手段により、隙間を有して積層される。
【0070】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0071】
本実施形態によれば、回路基板17と第2導電部材32とは隙間を有して積層されている。この結果、回路基板17と第2導電部材32との間には空気層53が存在する。本実施形態においては、この空気層53が第1絶縁部33とされる。
【0072】
上記の構成によれば、通電時に第2導電部材32で発生した熱は、比較的に熱伝導率の低い空気層53によって遮断されて、回路基板17に伝達することが抑制される。これより、回路基板17に実装された電子部品が熱により不具合を生じることが抑制される。
【0073】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、スイッチング素子として半導体リレー19を用いたが、これに限られず、機械式リレー等、必要に応じて任意の素子を用いることができる。
(2)第1絶縁部33としては、絶縁性の接着剤、絶縁性の接着シート、絶縁性の粘着シート等、必要に応じて任意の絶縁性の材料を用いることができる。
(3)第2絶縁部23としては、絶縁性の接着剤、絶縁性の接着シート、絶縁性の粘着シート等、必要に応じて任意の絶縁性の材料を用いることができる。
(4)本実施形態においては、第1導電部材22に形成された第1端子接続孔38は、回路基板17に形成された端子挿通孔37と整合する位置に配される構成としたが、これに限られず、第1端子接続孔38は、回路基板17の開口部24内に位置して配された第1導電部材22に形成されてもよい。
(5)本実施形態においては、制御部としてマイコン64を用いたが、これに限られず、制御回路により半導体リレー19のオンオフを制御する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…電気接続箱
11…ケース
12…回路構成体
15A…入力コネクタ部
15B…出力コネクタ部
16A…入力コネクタ端子
16B…出力コネクタ端子
17…回路基板
19…半導体リレー(スイッチング素子)
22…第1導電部材
23…第2絶縁部
24…開口部
30…入力端子
32…第2導電部材
33…第1絶縁部
34…出力端子
60…電源
61…負荷
62…入力ワイヤーハーネス
63…出力ワイヤーハーネス
64…マイコン(制御部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷との間に配される電気接続箱であって、
ケースと、前記ケース内に収容された回路基板と、前記回路基板に実装されて前記負荷に対するスイッチングを実行するスイッチング素子と、を備え、
前記回路基板には開口部が形成されており、前記開口部内には、金属板材からなり前記電源に電気的に接続される第1導電部材と、前記第1導電部材に絶縁性の第1絶縁部を介して積層され、且つ、金属板材からなると共に前記負荷に電気的に接続される第2導電部材とが配されており、前記回路基板と、前記第1導電部材及び前記第2導電部材との間は絶縁性の第2絶縁部によって絶縁されており、前記第1導電部材には前記スイッチング素子の入力端子が接続されており、前記第2導電部材には前記スイッチング素子の出力端子が接続されている電気接続箱。
【請求項2】
前記回路基板には前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部が設けられており、前記制御部には前記スイッチング素子の制御端子が電気的に接続されている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記入力端子は前記スイッチング素子の裏面に形成されており、前記スイッチング素子の裏面と前記第1導電部材とが接続されている請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記ケースには、前記電源に接続された入力ワイヤーハーネスと接続可能な入力コネクタ部が設けられており、前記入力コネクタ部内には入力コネク端子の一方の端部が配されており、前記入力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第1導電部材に電気的に接続されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記ケースには、前記負荷に接続された出力ワイヤーハーネスと接続可能な出力コネクタ部が設けられており、前記出力コネクタ部内には出力コネク端子の一方の端部が配されており、前記出力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第2導電部材に電気的に接続されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項1】
電源と負荷との間に配される電気接続箱であって、
ケースと、前記ケース内に収容された回路基板と、前記回路基板に実装されて前記負荷に対するスイッチングを実行するスイッチング素子と、を備え、
前記回路基板には開口部が形成されており、前記開口部内には、金属板材からなり前記電源に電気的に接続される第1導電部材と、前記第1導電部材に絶縁性の第1絶縁部を介して積層され、且つ、金属板材からなると共に前記負荷に電気的に接続される第2導電部材とが配されており、前記回路基板と、前記第1導電部材及び前記第2導電部材との間は絶縁性の第2絶縁部によって絶縁されており、前記第1導電部材には前記スイッチング素子の入力端子が接続されており、前記第2導電部材には前記スイッチング素子の出力端子が接続されている電気接続箱。
【請求項2】
前記回路基板には前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部が設けられており、前記制御部には前記スイッチング素子の制御端子が電気的に接続されている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記入力端子は前記スイッチング素子の裏面に形成されており、前記スイッチング素子の裏面と前記第1導電部材とが接続されている請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記ケースには、前記電源に接続された入力ワイヤーハーネスと接続可能な入力コネクタ部が設けられており、前記入力コネクタ部内には入力コネク端子の一方の端部が配されており、前記入力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第1導電部材に電気的に接続されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記ケースには、前記負荷に接続された出力ワイヤーハーネスと接続可能な出力コネクタ部が設けられており、前記出力コネクタ部内には出力コネク端子の一方の端部が配されており、前記出力コネクタ端子の他方の端部は、前記ケース内に導入されて、前記第2導電部材に電気的に接続されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−178491(P2010−178491A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17989(P2009−17989)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]