説明

電気機器およびテレビジョン装置

【課題】壁掛け具の取付構造を設ける場合にも、装置の組立作業性が低下するのを抑制することが可能な電気機器を提供する。
【解決手段】この液晶テレビジョン装置(電気機器)100は、貫通孔6aを有するリアカバー6と、リアカバー6の内部に配置され、ねじ穴41を有する締結部材40と、締結部材40を保持するとともに、リアカバー6の内面6bに係合する係合部53を有するキャップ50とを備え、壁掛け具90をリアカバー6に取り付けるためのねじ80を、リアカバー6の外部から貫通孔6aを介してキャップ50に保持された締結部材40のねじ穴41に螺合させることにより、壁掛け具90をリアカバー6の外面に取り付け可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機器およびテレビジョン装置に関し、特に、壁掛け具を取り付け可能な電気機器およびテレビジョン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁掛け具を取り付け可能なテレビジョン装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、表示パネル(表示部)と、表示パネルを収納する後部筐体と、壁掛け具取り付け用の内側固定具とを備えたテレビジョン装置が開示されている。内側固定具は、板金製であり、後部筐体の内側に配置されている。この内側固定具は、表示パネルの背面側に内側固定具を固定するための複数の貫通孔を有する基部と、基部から切り起こされて形成されたねじ穴を有するねじ止め部とを含んでいる。そして、内側固定具は、ねじ止め部のねじ穴が後部筐体に形成された貫通孔と重なる位置に配置された状態で、基部の複数の貫通孔を介して表示パネルにねじ止めされている。壁掛け具の取付時には、壁掛け具固定用のねじを、後部筐体の外側から、壁掛け具の貫通孔と、後部筐体の貫通孔とを通して、内側固定具のねじ止め部のねじ穴に螺合させる。これにより、壁掛け具が後部筐体に固定されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−265223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のテレビジョン装置では、内側固定具の複数箇所を表示パネルの背面側にねじ止めする必要があるため、組立工程中に、内側固定具を固定するために複数のねじを締め付ける工程が必要になるという不都合がある。このため、上記特許文献1では、壁掛け具の取付構造を設ける場合には、複数のねじ締め工程を追加する必要があるため、装置の組立作業性が低下してしまうという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、壁掛け具の取付構造を設ける場合にも、装置の組立作業性が低下するのを抑制することが可能な電気機器およびテレビジョン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による電気機器は、貫通孔を有する後部筐体と、後部筐体の内部に配置され、ねじ穴を有する締結部材と、締結部材を保持するとともに、後部筐体の内面に係合する第1係合部を有する取付部材とを備え、壁掛け具を後部筐体に取り付けるためのねじを、後部筐体の外部から貫通孔を介して取付部材に保持された締結部材のねじ穴に螺合させることにより、壁掛け具を後部筐体の外面に取り付け可能に構成されている。
【0008】
この第1の局面による電気機器では、上記のように、ねじ穴を有する締結部材と、締結部材を保持するとともに、後部筐体の内面に係合する第1係合部を有する取付部材とを設け、壁掛け具を後部筐体に取り付けるためのねじを、後部筐体の外部から貫通孔を介して取付部材に保持された締結部材のねじ穴に螺合させることにより、壁掛け具を後部筐体の外面に取り付け可能に構成することによって、取付部材の第1係合部を後部筐体の内面に係合させるだけで、締結部材を後部筐体に取り付けることができる。これにより、壁掛け具の取付構造を設ける場合にも、装置の組立作業性が低下するのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、後部筐体の内面には、取付部材の第1係合部と係合する第2係合部が設けられている。このように構成すれば、取付部材の第1係合部と後部筐体の内面の第2係合部とを係合させるだけで、容易に、取付部材を後部筐体の内面に取り付けることができるので、装置の組立作業性が低下するのを容易に抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、後部筐体の内面には、締結部材のねじ穴を後部筐体の貫通孔に位置合わせする位置決め部が設けられている。このように構成すれば、取付部材を後部筐体に係合させて締結部材を保持させる簡易な構成であっても、締結部材と後部筐体の貫通孔との位置合わせを精度良く行うことができる。
【0011】
この場合、好ましくは、後部筐体の内面には、締結部材の外周を取り囲むとともに位置決め部を有する枠状壁部が設けられている。このように構成すれば、枠状壁部によって後部筐体の側にも締結部材を保持させることができる。また、枠状壁部によって位置決め部の機械的強度を向上させることができるので、壁掛け具の取り付け時のねじ締め作業などで外部から締結部材に力が加わる場合などにも、締結部材の位置ずれを抑制することができる。
【0012】
上記後部筐体の内面に枠状壁部が設けられる構成において、好ましくは、取付部材は、枠状壁部を取り囲むとともに枠状壁部と嵌合可能な側壁部を含む。このように構成すれば、取付部材の側壁部を後部筐体の枠状壁部に嵌め込むことにより、取付部材の後部筐体への取り付けを強固にすることができる。このため、取付部材を後部筐体に係合させる簡易な構成であっても取付部材が外れ難くなるので、締結部材をより確実に保持することができる。
【0013】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、締結部材は、ねじの先端を受け止め可能なねじ受部を含む。このように構成すれば、壁掛け具の取り付け時に、壁掛け具取付用のねじを締め過ぎた場合にも、締結部材のねじ受部によってねじの先端を受け止めることができる。ここで、壁掛け具を電気機器へ取り付けるのはユーザによって行われることも多く、その場合、長過ぎるねじを誤って使用した場合などに、ねじを締め過ぎてしまうことがある。このような場合にも、後部筐体の内部で壁掛け具取付用のねじの先端が突出して、取付部材が脱落したり、ねじが内部の回路基板などに接触したりするのを防止することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、締結部材は、金属製の板状部材を折り曲げて両端部を重ね合わせた重複部と、重複部に対向する対向部とを含み、締結部材のねじ穴は、重複部を貫通するように設けられるとともに、ねじ受部は、対向部に設けられている。このように構成すれば、重複部のねじ穴に螺合させた壁掛け具取付用のねじを、板状の締結部材の両端(重複部)を連結するくさびとして機能させることができる。この場合、ねじを締め過ぎた場合に対向部のねじ受部をねじの先端が押圧すると、締結部材の両端(重複部)が互いに離れる方向に引っ張られることになり、ねじ先端の押圧力が重複部でねじ自体に作用することになる。この結果、ねじを締め過ぎた場合にはねじ自体が回り難くなるので、ねじの締め過ぎが防止されるとともに、重複部で連結されることによって締結部材が変形するのを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、取付部材は、後部筐体の内面側に締結部材を付勢する付勢部をさらに含む。このように構成すれば、壁掛け具を取り付けていない状態(締結部材がねじ固定されていない状態)でも、締結部材は付勢部によって後部筐体側に押圧された状態で保持される。これにより、微小な隙間による締結部材のガタつきが防止されるので、たとえば電気機器がスピーカなどの震動源を備えている場合に、スピーカの音圧(振動)に起因して締結部材がいわゆるびびり音を発生させるのを防止することができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、付勢部は、取付部材に一体的に形成されるとともに取付部材と締結部材との間に配置された撓み変形可能な凸部を含む。このように構成すれば、取付部材を後部筐体に取り付けて締結部材を保持させるだけで、容易に、取付部材と締結部材との間の凸部によって締結部材を付勢することができる。
【0017】
上記付勢部が取付部材に一体的に形成された凸部を含む構成において、好ましくは、締結部材は、後部筐体の内面に近づくにつれて間隔が大きくなるように傾斜した一対の傾斜部を有し、付勢部は、一対の傾斜部にそれぞれ当接するように設けられた一対の撓み変形可能な凸部を含む。このように構成すれば、付勢部は、締結部材を後部筐体の内面側に付勢するだけでなく、一対の凸部によって一対の傾斜部の間に向かう力を作用させることができるので、後部筐体の内面に沿う方向の締結部材の位置ずれを規制することができる。
【0018】
上記第1の局面による電気機器において、好ましくは、締結部材は金属製であり、取付部材は、締結部材を覆うとともに、電気絶縁性を有する樹脂材料により形成されている。このように構成すれば、金属製の締結部材を用いた場合にも、締結部材が電気絶縁性を有する取付部材に覆われるので、後部筐体の貫通孔を介して進入する静電気で締結部材が帯電したとしても、静電気を取付部材で遮蔽して後部筐体の内部の回路基板などへ静電気の影響が及ぶのを防止することができる。
【0019】
この場合、好ましくは、取付部材は、締結部材の側方を取り囲む側壁部と、側壁部を覆う蓋部とを含むキャップ形状を有する。このように構成すれば、キャップ形状の取付部材によって確実に締結部材を覆うことができるとともに、締結部材を安定して保持することができる。
【0020】
上記後部筐体の内面に第2係合部が設けられる構成において、好ましくは、後部筐体の第2係合部は、貫通孔に対して外側に突出するように形成されたフック部を含み、取付部材の第1係合部は、係合凹部を含み、フック部の外側から係合凹部をフック部に係合可能に構成されている。ここで、ねじ締め時には、取付部材に対して、貫通孔を介して壁掛け具取付用のねじの進む方向に外力が作用するため、取付部材の第1係合部(係合凹部)には、貫通孔に対して内向き(貫通孔に近付く方向)で斜めに引き上げる力が作用する。また、後部筐体には、外力によって筐体の内側に向けて反るような撓み変形が生じるため、フック部には貫通孔から外側に向かう力が作用することになる。このため、本発明では、フック部を貫通孔に対して外側に突出させ、取付部材の係合凹部をフック部の外側から係合させることにより、ねじ締め時の外力が作用した場合に、取付部材の係合凹部はフック部に向けて内向きに引き上げられ、フック部は後部筐体の撓み(内反り)により外側(係合凹部側)に向けて力が働くことになるので、ねじ締め時の外力を係合凹部とフック部とがより強く係合し合うように作用させることができる。この結果、ねじ締め時に取付部材の係合が解除されるのを抑制することができる。
【0021】
この場合、好ましくは、係合凹部を含む第1係合部は、フック部を含む第2係合部よりも撓み易くなるよう形成されており、第1係合部を撓ませることによりフック部と係合凹部とが係合するように構成されている。このように第1係合部を第2係合部よりも撓み易くなるよう形成すれば、ねじ締め時に第1係合部には貫通孔に対して内向きの外力が作用するので、第1係合部が容易に内側(フック部側)に撓んでフック部と係合凹部との係合をより強くすることができる。また、第2係合部を撓ませずに第1係合部と係合させることができるので、第2係合部の機械的強度を高くすることができる。このように第2係合部の機械的強度を高くした場合には、ねじ締め時に作用する外力によって後部筐体の撓み(内反り)が発生した場合にも、第2係合部がほとんど撓むことがないため、第1係合部と第2係合部との係合状態を維持することができる。
【0022】
上記第1係合部が第2係合部よりも撓み易くなるよう形成される構成において、好ましくは、取付部材は、後部筐体の内面に対向する蓋部と、蓋部の周縁から後部筐体の内面側に向かって延びる側壁部とを含み、第1係合部は、蓋部の周縁から外側に延びるとともに、側壁部の外側で係合凹部がフック部と係合するように構成されている。このように構成すれば、蓋部と側壁部とによって取付部材の機械的強度を向上させることができる。これにより、取付部材自体を外力によって変形し難くすることができるので、取付部材に締結部材を確実に保持させておくことができる。また、側壁部の外側で係合凹部がフック部と係合するように第1係合部を構成することにより、取付部材自体の機械的強度を向上させながら、容易に、第1係合部を撓みやすくすることができる。
【0023】
上記後部筐体の内面に第2係合部が設けられる構成において、好ましくは、第1係合部は、後部筐体の内面に沿った方向に突出する第1係合片を含み、後部筐体の第2係合部は、後部筐体の内面から立ち上がり後部筐体の内面に沿った方向に延びる第2係合片を含み、取付部材を後部筐体の内面に沿った方向に移動させることにより、第1係合部が後部筐体の内面と直交する方向で第2係合部と係合するように構成されている。このように構成すれば、取付部材を後部筐体の内面に沿ってスライド移動させることによって第1係合部と第2係合部とを後部筐体の内面と直交する方向で係合させることができるので、第1係合部と第2係合部との係合に撓み変形を利用する必要がない。このため、第1係合部および第2係合部の機械的強度を高くすることができるので、容易に、ねじ締め時の外力(後部筐体の内面と直交する方向の外力)に対して第1係合部と第2係合部との係合を強化することができる。
【0024】
この場合、好ましくは、後部筐体または取付部材の少なくとも一方には、第1係合部の第1係合片と第2係合部の第2係合片とを係合させた状態で取付部材の後部筐体の内面に沿う方向への移動を規制する規制部が設けられている。このように構成すれば、取付部材の後部筐体の内面に沿った移動(係合を解除する方向へのスライド移動)が、規制部によって規制されるので、容易かつ確実に、第1係合片と第2係合片との係合状態を保持することができる。
【0025】
この発明の第2の局面によるテレビジョン装置は、テレビジョン放送を受信する受信部と、受信部により受信したテレビジョン放送を表示する表示部と、貫通孔を有する後部筐体と、後部筐体の内部に配置され、ねじ穴を有する締結部材と、締結部材を保持するとともに、後部筐体の内面に係合する係合部を有する取付部材とを備え、壁掛け具を後部筐体に取り付けるためのねじを、後部筐体の外部から貫通孔を介して取付部材に保持された締結部材のねじ穴に螺合させることにより、壁掛け具を後部筐体の外面に取り付け可能に構成されている。
【0026】
この第2の局面によるテレビジョン装置では、上記のように、ねじ穴を有する締結部材と、締結部材を保持するとともに、後部筐体の内面に係合する係合部を有する取付部材とを設け、壁掛け具を後部筐体に取り付けるためのねじを、後部筐体の外部から貫通孔を介して取付部材に保持された締結部材のねじ穴に螺合させることにより、壁掛け具を後部筐体の外面に取り付け可能に構成することによって、取付部材を後部筐体の内面に係合させるだけで、締結部材を後部筐体に取り付けることができる。これにより、壁掛け具の取付構造を設ける場合にも、装置の組立作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上記のように、装置の組立作業性が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置を前側から見た全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置を後ろ側から見た全体斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置のブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置のリアカバーの内面側の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の固定部を示した斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置のリアカバーの内面を示した平面図である。
【図8】図6の500−500線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の締結部材の斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置のキャップを底面側から見た平面図である。
【図11】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の締結部材の機能を説明するための模式図である。
【図12】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の壁掛け具取付時に作用する外力を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の固定部内での静電気の経路を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン装置の固定部を示した分解斜視図である。
【図15】図14の510−510線に沿った断面図である。
【図16】図14とは異なる角度から固定部を示した斜視図である。
【図17】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン装置のキャップの取付動作を説明するための模式的な平面図である。
【図18】図14の520−520線に沿った、キャップの取付動作を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第3実施形態による液晶テレビジョン装置の固定部を示した分解斜視図である。
【図20】図19の530−530線に沿った断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態による液晶テレビジョン装置のキャップの取付動作を説明するための模式的な平面図である。
【図22】本発明の第1実施形態の変形例による固定部を示した模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置100の構成について説明する。なお、液晶テレビジョン装置100は、本発明の「電気機器」および「テレビジョン装置」の一例である。
【0031】
本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置100は、図1および図2に示すように、矩形形状を有する枠状の前部筐体1と、前部筐体1に収納された液晶モジュール2とを備えている。また、液晶テレビジョン装置100には、液晶テレビジョン装置100全体を支持するスタンド部材3が着脱可能に設けられている。なお、液晶モジュール2は、本発明の「表示部」の一例である。また、前部筐体1およびスタンド部材3は、共に樹脂製である。
【0032】
また、図2および図3に示すように、前部筐体1の後面側(矢印Y2方向側)には、矩形形状を有し前部筐体1よりも小さく形成された金属(板金)製のリアフレーム5が配置されている。また、リアフレーム5の裏面側には、樹脂製のリアカバー6が取り付けられている。このリアカバー6は、後方から見て矩形形状を有しているとともに、前部筐体1およびリアフレーム5よりも小さく形成されている。なお、リアカバー6は、本発明の「後部筐体」の一例である。
【0033】
リアカバー6には、矩形状に配置された4つの貫通孔6aが形成されている。これらの貫通孔6aには、壁掛け具90を固定するためのねじ80が挿入される。すなわち、壁掛け具90の貫通孔(図示せず)を介してねじ80を貫通孔6aに挿入し、リアカバー6の内部に設けられた固定部14(図5参照)の締結部材40(図5参照)にねじ80を螺合させることによって、壁掛け具90をリアカバー6の外面に取り付けることが可能である。また、リアカバー6に壁掛け具90を取り付け、たとえば室内の壁、天井などに取り付けられた設置用金具(図示せず)などに壁掛け具90を固定することによって、液晶テレビジョン装置100を壁掛けで使用することが可能である。液晶テレビジョン装置100を壁掛けで使用する場合には、スタンド部材3が取り外される。このように、第1実施形態の液晶テレビジョン装置100は、スタンド部材3による据え置きと、壁掛け具90による壁掛けの両方で使用することが可能なように構成されている。
【0034】
また、図3に示すように、リアフレーム5の後面(矢印Y2方向側の面)には、装置全体に電力を供給する機能を有する回路基板7および信号処理を行う回路基板8がX方向に所定の間隔を隔てて並べて取り付けられている。また、リアフレーム5の後面には、2つのスピーカ11が取り付けられたスピーカ取付部材10が取り付けられている。リアカバー6は、これらの回路基板7および回路基板8と、スピーカ取付部材10とを後方から覆うようにして、4つのねじ9によってリアフレーム5の後面に取り付けられている。
【0035】
なお、図4に示すように、リアフレーム5に取り付けられた信号処理用の回路基板8は、テレビジョン放送を受信可能な受信部(チューナー)13を有している。受信部13は、液晶モジュール2およびスピーカ11と接続されており、アンテナ110により受信されたテレビジョン放送信号(映像信号および音声信号)のうち映像信号を液晶モジュール2に出力してテレビジョン放送を表示させるとともに、音声信号をスピーカ11に出力するように構成されている。
【0036】
ここで、第1実施形態では、図3、図5および図6に示すように、液晶テレビジョン装置100は、上記した壁掛け具90(図2参照)を取り付けるためのねじ80を固定するための4つの固定部14を備えている。4つの固定部14は、4つの貫通孔6a(図2参照)に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0037】
4つの固定部14は、それぞれ同一構造を有する。図5に示すように、固定部14は、リアカバー6の内面6bにおいて、貫通孔6aに対応する位置に形成された枠状壁部20および係合部30と、ねじ穴41を有する上記締結部材40と、締結部材40を保持するためのキャップ50とにより構成されている。したがって、これらの枠状壁部20および係合部30と、締結部材40およびキャップ50とは、4つの貫通孔6aに対応してそれぞれ設けられている。なお、係合部30は、本発明の「第2係合部」の一例である。また、キャップ50は、本発明の「取付部材」の一例である。以下、固定部14の構成について詳細に説明する。
【0038】
図7に示すように、枠状壁部20は、平面視において貫通孔6aの周囲を取り囲む略正方形状を有し、リアカバー6の内面6bから前方(図5のY1方向、リアカバー6の内部側)に延びるように形成されている。矩形状の枠状壁部20の上下方向(Z方向)に対向する一対の内側面21には、互いに近付く方向に延びる2対のリブ状の位置決め部22が一体的に形成されている。これらの位置決め部22は、締結部材40に対して上下から挟み込むように当接することにより、締結部材40のねじ穴41とリアカバー6の貫通孔6aとのZ方向の位置合わせを行うように構成されている。
【0039】
また、係合部30は、枠状壁部20の側方(X方向)の両外側にそれぞれ(一対)設けられている。一対の係合部30は、それぞれ、リアカバー6の内面から前方(図5のY1方向)に延びるように形成されている。図8に示すように、一対の係合部30は、それぞれ、貫通孔6aに対してX方向の外側に突出するように形成されたフック部31と、フック部31の反対側(X方向の内側)に形成された補強リブ32とを有している。フック部31はリアカバー6の内面6bと略平行な係合面33を有している。フック部31は、この係合面33でキャップ50の後述する係合穴55と、リアカバー6の内面6bと直交するY方向に係合するように設けられている。補強リブ32は、係合部30のZ方向の両端にそれぞれ形成されていて、貫通孔6a側に向かって延びるとともに、リアカバー6の内面6bに近付くにつれて肉厚が大きくなるように形成されている。
【0040】
図9に示すように、締結部材40は、帯状の板金を折り曲げることにより、断面が中空の略矩形形状となるように形成されている。締結部材40は、帯状の板金を折り曲げて両端部(外側端部42aおよび内側端部42b)を重ね合わせた重複部42と、重複部42に対向する対向部43と、重複部42の外側端部42aと対向部43との間を接続する側面部44と、重複部42の内側端部42bと対向部43との間を接続する側面部45とを含んでいる。なお、対向部43は、本発明の「ねじ受部」の一例である。
【0041】
重複部42の内側端部42bには、上記したねじ穴41が形成されており、重複部42の外側端部42aには、ねじ穴41と同心で貫通孔46が形成されている。貫通孔46は、ねじ穴41のねじ穴径よりもわずかに大きい内径を有する。重複部42は、外側端部42aの貫通孔46と内側端部42bのねじ穴41とによって貫通されている。
【0042】
対向部43は、側面部45の高さ分だけ間隔を隔てて、重複部42(内側端部42b)と対向している。この対向部43は、ねじの先端を受け止め可能なように構成されている。
【0043】
側面部44および45は、それぞれ対向部43から直立した壁状形状に形成されている。また、側面部44と対向部43との角部、および、側面部45と対向部43との角部には、板金の曲げ加工によって円弧状に傾斜した一対の傾斜部47aおよび47bが形成されている。傾斜部47aおよび47bは、図9に示すように、リアカバー6の内面6bに近づくにつれて間隔が大きくなるように傾斜している。
【0044】
次に、図6および図8に示すように、キャップ50は、リアカバー6の内面6bに対向する略矩形状の蓋部51と、蓋部51の周縁からリアカバー6の内面6b側に向かって延びる側壁部52と、蓋部51の周縁から側壁部52の外側に延びる一対の係合部53とを一体的に含んでいる。また、キャップ50は、電気絶縁性を有する樹脂材料により形成されている。キャップ50は、一対の係合部53をリアカバー6の一対の係合部30にそれぞれ係合させることによってリアカバー6に着脱可能に構成されており、枠状壁部20に嵌め込まれた締結部材40が脱落しないように保持する機能を有する。
【0045】
キャップ50の側壁部52は、平面視において枠状壁部20に対応する略正方形状を有し、側壁部52が枠状壁部20の外周に嵌合可能なように形成されている。側壁部52は、締結部材40の周囲をリアカバー6の枠状壁部20ごと取り囲んで覆うように設けられている。キャップ50は、この側壁部52と側壁部52を覆う蓋部51とによって、リアカバー6の内面6b側で締結部材40を覆うキャップ形状に形成されている。
【0046】
一対の係合部53は、側壁部52の側方(X方向)の両外側にそれぞれ設けられており、蓋部51からリアカバー6の内面6b側に延びるように形成されている。係合部53は、貫通孔からなる係合穴55が形成された環状の腕部54を含んでいる。この係合穴55にリアカバー6の係合部30のフック部31が挿入されることにより、フック部31の係合面33と係合穴55の端面55a(腕部54の内側面)とが係合するように構成されている。第1実施形態では、係合部53の係合穴55がリアカバー6の係合部30のフック部31の外側から係合するように構成されている。また、係合部53には補強リブなどが設けられておらず、係合部53は、リアカバー6の係合部30よりも撓みやすくなるように形成されている。なお、係合穴55は、本発明の「係合凹部」の一例である。
【0047】
また、図8および図10に示すように、キャップ50の蓋部51の内面には、撓み変形可能な凸部56aおよび56bが2つずつ、蓋部51と一体的に形成されている。これらの凸部56aおよび56bは、蓋部51と締結部材40との間に配置され、キャップ50がリアカバー6に取り付けられた状態で締結部材40に当接して撓み変形するように構成されている。これにより、4つの凸部56aおよび56bは、締結部材40をリアカバー6の内面6bに対して付勢する機能を有する。なお、凸部56aおよび56bは、本発明の「付勢部」の一例である。
【0048】
また、凸部56aおよび56bは、X方向の両側に2つ(一対)ずつ、それぞれZ方向に並ぶように配置されている。X2方向側の2つの凸部56aは、締結部材40の傾斜部47aに当接するように配置されており、X1方向側の2つの凸部56bは、締結部材40の傾斜部47bに当接するように配置されている。このため、締結部材40は、2つの凸部56aにより傾斜部47aでX1方向側に付勢されるとともに、2つの凸部56bにより傾斜部47bでX2方向側に付勢されている。
【0049】
以上のような構成により、第1実施形態による液晶テレビジョン装置100では、壁掛け具90(図2参照)をリアカバー6に取り付けるためのねじ80を、リアカバー6の外部から貫通孔6aを介してキャップ50に保持された締結部材40のねじ穴41に螺合させることにより、壁掛け具90をリアカバー6の外面に取り付け可能に構成されている。
【0050】
次に、図5および図8を参照して、キャップ50の取り付けについて説明する。
【0051】
第1実施形態では、図5および図8に示すように、キャップ50をリアカバー6の内側から内面6bに向けて押圧するだけでキャップ50を取り付けることが可能である。
【0052】
より具体的には、まず、締結部材40をねじ穴41がリアカバー6の貫通孔6aと対向する向きで枠状壁部20内にセットする。この際、枠状壁部20の位置決め部22によって締結部材40のZ方向の位置合わせが行われる。続いて、キャップ50の側壁部52を枠状壁部20の外周に嵌め込むようにして、キャップ50をリアカバー6の内面6bに向けて移動させる。このとき、図8に示すように、係合部53の環状の腕部54が係合部30のフック部31の外側(X方向外側)に乗り上げるように撓み変形する。一方、係合部30には補強リブ32が設けられているため、ほとんど変形することがない。腕部54が係合部30のフック部31を乗り越えると、腕部54の撓みが解放されるとともに内側(X方向内側)に復元することによって、係合穴55にフック部31が嵌り込む。これにより、係合穴55の端面55aとフック部31の係合面33とがY方向に当接して、キャップ50の係合部53とリアカバー6の係合部30とが係合状態となり、キャップ50がリアカバー6に固定される。
【0053】
次に、図11を参照して、締結部材40のねじ受けおよび締結部材40の変形の防止について説明する。なお、図11では、説明の便宜のために、キャップ50や枠状壁部20を省略して模式的に図示している。
【0054】
図11に示すように、壁掛け具90の取り付けの際に軸長の長いねじSが誤って使用された場合などには、ねじSが過度にねじ込まれるおそれがある。この場合に、第1実施形態では、重複部42の貫通孔6aおよびねじ穴41を貫通したねじ先端が対向部43に当接することによって受け止められ、それ以上のねじ込みを防止することが可能となる。
【0055】
また、この状態でさらにねじSがねじ込まれると、対向部43が押圧されることにより、重複部42の外側端部42aと内側端部42bとが互いに引っ張られることとなる。この場合にも、ねじSが外側端部42aの貫通孔6aと内側端部42bのねじ穴41の両方に挿入されているため、ねじS自体が外側端部42aと内側端部42bとを固定するくさびとして機能し、外側端部42aと内側端部42bとが開き変形を起こすのが防止される。
【0056】
次に、図12を参照して、キャップ50の脱落抑制作用について説明する。
【0057】
図12に示すように、壁掛け具90の取り付け時には、ねじ80による内側(Y1方向側、前方)方向の外力F1が締結部材40を介してキャップ50に対して加えられる。また、作業者によって内側(Y1方向側、前方)方向の外力F2がリアカバー6の貫通孔6a周辺に加えられることが考えられる。
【0058】
このとき、キャップ50の一対の係合部53には、それぞれ、外力F1によって貫通孔6aを中心としたX方向内側に傾斜した方向に引き上げられるような力F3が作用する。第1実施形態では、キャップ50の係合部53(係合穴55)がリアカバー6の係合部30(フック部31)に対してX方向の外側から係合しているため、壁掛け具90の取り付け時に作用する力F3は、係合部53と係合部30とをより強く係合させるように作用する。また、リアカバー6の係合部30は、補強リブ32によって補強され撓み難いため、力F3が作用した場合にも、リアカバー6の係合部30が撓んで係合が解除されてしまうことが抑制される。
【0059】
また、外力F2がリアカバー6の貫通孔6a周辺に加えられると、一点鎖線で示したように、リアカバー6が貫通孔6aを中心としてわずかに内側に湾曲することが考えられる。この場合にも、リアカバー6の一対の係合部30がそれぞれX方向外側に変位して、リアカバー6の湾曲が係合部53と係合部30とをより強く係合させるように作用する。
【0060】
以上の結果、第1実施形態では、キャップ50をリアカバー6に係合させる簡素な取付構造でも、壁掛け具90の取り付け作業時にキャップ50および締結部材40の脱落を抑制することが可能である。
【0061】
次に、図13を参照して、キャップ50による静電気の進入抑制について説明する。
【0062】
図13に示すように、リアカバー6の貫通孔6aの内側に金属製の締結部材40が保持されているため、静電気が外部から貫通孔6aを介して侵入し、締結部材40が帯電する可能性がある。第1実施形態では、締結部材40がリアカバー6の内面6b側で電気絶縁性を有する樹脂からなるキャップ50によって覆われているため、静電気がキャップ50によって遮蔽される。このため、リアカバー6の内部の回路基板7および回路基板8に静電気の影響が及ぶのを抑制することが可能である。また、静電気により帯電した締結部材40と回路基板7または8との空間距離Dは、リアカバー6の枠状壁部20と、枠状壁部20が嵌り込むキャップ50の側壁部52と、側壁部52のリアカバー6の内面6b側の端部とを迂回して回路基板7または8に至る経路の合計距離に相当する。このため、空間距離Dが大きくなることから、回路基板7または8への静電気の影響がより効果的に抑制される。
【0063】
第1実施形態では、上記のように、ねじ穴41を有する締結部材40と、締結部材40を保持するとともに、リアカバー6の内面6bに係合する係合部53を有するキャップ50とを設け、壁掛け具90をリアカバー6に取り付けるためのねじ80を、リアカバー6の外部から貫通孔6aを介してキャップ50に保持された締結部材40のねじ穴41に螺合させることにより、壁掛け具90をリアカバー6の外面に取り付け可能に構成することによって、キャップ50の係合部53をリアカバー6の内面6bに係合させるだけで、締結部材40をリアカバー6に取り付けることができる。これにより、壁掛け具90の取付構造(固定部14)を設ける場合にも、液晶テレビジョン装置100の組立作業性が低下するのを抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、リアカバー6の内面6bに、キャップ50の係合部53と係合する係合部30を設けることによって、キャップ50の係合部53とリアカバー6の内面6bの係合部30とを係合させるだけで、容易に、キャップ50をリアカバー6の内面6bに取り付けることができるので、液晶テレビジョン装置100の組立作業性が低下するのを容易に抑制することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、リアカバー6の内面6bに、締結部材40のねじ穴41をリアカバー6の貫通孔6aに位置合わせする位置決め部22を設けることによって、キャップ50をリアカバー6に係合させて締結部材40を保持させる簡易な構成であっても、締結部材40とリアカバー6の貫通孔6aとの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、リアカバー6の内面6bに、締結部材40の外周を取り囲むとともに位置決め部22を有する枠状壁部20を設けることによって、枠状壁部20によりリアカバー6の側にも締結部材40を保持させることができる。また、枠状壁部20によって位置決め部22の機械的強度を向上させることができるので、壁掛け具90の取り付け時のねじ締め作業などで外部から締結部材40に力が加わる場合などにも、締結部材40の位置ずれを抑制することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、キャップ50に、枠状壁部20を取り囲むとともに枠状壁部20と嵌合可能な側壁部52を形成することによって、キャップ50の側壁部52をリアカバー6の枠状壁部20の外周に嵌め込むことにより、キャップ50のリアカバー6への取り付けを強固にすることができる。このため、キャップ50をリアカバー6に係合させる簡易な構成であってもキャップ50が外れ難くなるので、締結部材40をより確実に保持することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、締結部材40に、ねじ80の先端を受け止め可能な対向部43を設けることによって、壁掛け具90の取り付け時に、壁掛け具90取付用のねじ80を締め過ぎた場合や、長軸のねじS(図11参照)を用いた場合などにも、締結部材40の対向部43によってねじ80の先端を受け止めることができる。これにより、リアカバー6の内部で壁掛け具90取付用のねじ80(S)の先端が突出して、キャップ50が脱落したり、ねじ80(S)が内部の回路基板7および8などに接触したりするのを防止することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、締結部材40を、金属製の板状部材を折り曲げて両端部を重ね合わせた重複部42と、重複部42に対向する対向部43とを含むように形成し、締結部材40のねじ穴41が重複部42を貫通するように設けるとともに、対向部43をねじ受け可能に構成することによって、ねじ80(S)の締め過ぎを防止することができるとともに、重複部42で連結されることによって締結部材40が変形するのを抑制することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、キャップ50に、リアカバー6の内面6b側に締結部材40を付勢する凸部56aおよび56bを形成することによって、壁掛け具90を取り付けていない状態(締結部材40がねじ固定されていない状態)でも、締結部材40は凸部56aおよび56bによってリアカバー6の内面6b側に押圧された状態で保持される。これにより、微小な隙間による締結部材40のガタつきが防止されるので、スピーカ11の音圧(振動)などに起因して締結部材40がいわゆるびびり音を発生させるのを防止することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、凸部56aおよび56bを、キャップ50と締結部材40との間で撓み変形可能なように構成し、キャップ50に一体的に形成することによって、キャップ50をリアカバー6に取り付けて締結部材40を保持させるだけで、容易に、キャップ50と締結部材40との間の凸部56aおよび56bによって締結部材40を付勢することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、リアカバー6の内面6bに近づくにつれて間隔が大きくなるように傾斜した一対の傾斜部47aおよび47bを締結部材40に形成し、一対の撓み変形可能な凸部56aおよび56bを、一対の傾斜部47aおよび47bにそれぞれ当接するように配置することによって、リアカバー6の内面6bに沿うX方向の締結部材40の位置ずれを規制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、電気絶縁性を有する樹脂材料により形成したキャップ50により金属製の締結部材40を覆うことによって、リアカバー6の貫通孔6aを介して進入する静電気をキャップ50で遮蔽して、リアカバー6の内部の回路基板7および8などへ静電気の影響が及ぶのを防止することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、キャップ50に、締結部材40の側方を取り囲む側壁部52と、側壁部52を覆う蓋部51とを形成してキャップ形状を有するように構成することによって、キャップ形状のキャップ50によって確実に締結部材40を覆うことができるとともに、締結部材40を安定して保持することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、リアカバー6の係合部30に、貫通孔6aに対して外側(X方向外側)に突出するフック部31を形成し、キャップ50の係合部53に係合穴55を形成し、フック部31の外側から係合穴55をフック部31に係合可能に構成することによって、図12に示したように、ねじ締め時にキャップ50の係合が解除されるのを抑制することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、係合穴55を含む係合部53を、フック部31を含む係合部30よりも撓み易くなるよう形成し、係合部53を撓ませることによりフック部31と係合穴55とが係合するように構成することによって、図12に示したように、ねじ締め時に係合部53が容易に内側(フック部31側)に撓んでフック部31と係合穴55との係合をより強くすることができる。また、係合部30を撓ませずに係合部53と係合させることができるので、係合部30に補強リブ32を設けることができる。この結果、ねじ締め時に作用する外力F2によってリアカバー6の撓み(内反り)が発生した場合にも、係合部30がほとんど撓むことなく係合部53と係合部30との係合状態を維持することができる。
【0077】
また、第1実施形態では、上記のように、キャップ50に、リアカバー6の内面6bに対向する蓋部51と、蓋部51の周縁からリアカバー6の内面6b側に向かって延びる側壁部52とを形成し、係合部53を、蓋部51の周縁から外側に延びるとともに、側壁部52の外側で係合穴55がフック部31と係合するように形成することによって、蓋部51と側壁部52とによってキャップ50の機械的強度を向上させることができる。これにより、キャップ50自体を外力によって変形し難くすることができるので、キャップ50に締結部材40を確実に保持させておくことができる。また、係合部53が側壁部52の外側で係合穴55がフック部31と係合するので、蓋部51と側壁部52とによりキャップ50自体の機械的強度を向上させながら、容易に、係合部53を撓みやすくすることができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、図14〜図16および図18を参照して、本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン装置200について説明する。この第2実施形態では、キャップ50の係合部53(腕部54)を撓ませてキャップ50(係合部53)とリアカバー6(係合部30)とを係合させるように固定部14を構成した上記第1実施形態と異なり、キャップ150をリアカバー106の内面106bに沿ってスライド移動させることにより、キャップ150とリアカバー106とを係合させるように固定部114を構成した例について説明する。なお、第2実施形態では、固定部114以外の構成は上記第1実施形態と同様であるので、固定部114以外の構成の説明は省略する。
【0079】
図14に示すように、第2実施形態による液晶テレビジョン装置200の固定部114は、リアカバー106の内面106bにおいて、貫通孔106aに対応する位置に形成された枠状壁部20および一対の係合部130と、締結部材40と、締結部材40を保持するためのキャップ150とにより構成されている。また、第2実施形態では、リアカバー106の内面106bには、キャップ150の移動を規制するための規制部160(図16参照)と、傾斜部170とが形成されている。なお、枠状壁部20および締結部材40は、上記第1実施形態と同様の構成を有する。なお、リアカバー106およびキャップ150は、それぞれ、本発明の「後部筐体」および「取付部材」の一例である。また、係合部130は、本発明の「第2係合部」および「第2係合片」の一例である。
【0080】
一対の係合部130は、枠状壁部20のX方向の両外側にそれぞれ設けられている。図14および図15に示すように、係合部130は、リアカバー106の内面106bから内部側(Y1方向側)へ立ち上がる第1部分131と、第1部分131の頂部からリアカバー106の内面106bに沿って枠状壁部20側へ延びる第2部分132と、第2部分132の枠状壁部20側端部から内面106bに向けて延びる第3部分133とを一体的に含む係合片からなる。これにより、係合部130は、Z1方向側から見ると、第1部分131、第2部分132および第3部分133の内面によって囲まれた溝状部134を有している。また、係合部130のZ2方向側には、補強リブ136によって補強された壁部135が形成されている。このため、溝状部134のZ2方向側端部は、壁部135の内面によって塞がれている。また、第1部分131および第2部分132の外表面には、3本の筋状の補強リブ137が形成されており、係合部130が補強されている。
【0081】
第2実施形態によるキャップ150は、蓋部151と、長手側の一対の側壁部152aおよび短手側の一対の側壁部152bとを一体的に有し、直方体状のキャップ形状に形成されている。また、長手側の一対の側壁部152aのZ1方向側の位置には、それぞれ係合部153が一体的に形成されている。図18に示すように、キャップ150の長手側の内寸(長さL1)は、略正方形状の枠状壁部20の外寸(長さL2)よりも大きい。このため、キャップ150は、枠状壁部20の外側に嵌め込まれた状態で、長手方向(Z方向)にスライド移動させることが可能なように構成されている。なお、係合部153は、本発明の「第1係合部」および「第1係合片」の一例である。
【0082】
図14および図15に示すように、係合部153は、係合部130の溝状部134に対応するように形成された係合片からなる。具体的には、側壁部152aの下辺からリアカバー106の内面106bに沿うようにしてX方向の外側(係合部130側)に延びる第1部分154と、第1部分154の外側(係合部130側)端部から立ち上がる第2部分155と、Z1方向側端部に設けられた壁状の第3部分156とを一体的に含んでいる。係合部153は、第1部分131および第2部分132が係合部130の溝状部134に挿入されることにより、リアカバー106の係合部130と内面106bに垂直なY方向に係合するように形成されている。
【0083】
なお、第2実施形態によるキャップ150には、第1実施形態のキャップ50と同様、係合部153と係合部130とが係合した状態で、締結部材40をリアカバー106側に付勢する一対の凸部157が、蓋部151の内面側に形成されている。凸部157は、本発明の「付勢部」の一例である。
【0084】
図16に示すように、規制部160は、枠状壁部20のZ2方向側に形成され、リアカバー106の内面106bから略垂直に立ち上がる係止面161と、係止面161から枠状壁部20向かうにつれて内面106bに近付くように傾斜した傾斜面162とを含んでいる。係止面161は、係合部153と係合部130とが係合した状態で、キャップ150の短手側の側壁部152bの内面と当接する(図18参照)ように構成されている。
【0085】
図14に示すように、傾斜部170は、枠状壁部20のZ1方向側の表面からZ1方向に延びるように直線状に形成されている。傾斜部170は、枠状壁部20から離れるにつれて内面106bに近付くように傾斜している。傾斜部170は、係合部153と係合部130とが係合した状態で、キャップ150の短手側の側壁部152bの端面によってリアカバー106側に撓み変形する(図18参照)ように形成されている。なお、図18では、理解の容易化のために傾斜部170の傾斜を誇張して図示している。
【0086】
次に、図14、図15、図17および図18を参照して、第2実施形態による液晶テレビジョン装置200のキャップ150の取付方法について説明する。
【0087】
まず、図14に示すように、枠状壁部20の内部に締結部材40を挿入する。そして、図17に示すように、係合部153とリアカバー106の係合部130とが接触しないようにキャップ150の位置をZ1方向にずらした状態で、枠状壁部20の外側にキャップ150を嵌め込む。続いて、キャップ150をリアカバー106の内面106bに沿ってZ2方向にスライド移動させると、係合部153の第1部分131および第2部分132が係合部130の溝状部134(図15参照)内に挿入される。これにより、図15に示すように、係合部153の第1部分154および第2部分155と係合部130の第2部分132および第3部分133とが内面106bと直交するY方向に係合する。また、図18に示すように、キャップ150のZ2方向のスライド移動によって、キャップ150のZ1方向側の側壁部152bが傾斜部170に乗り上げながら移動するとともに、Z2方向側の側壁部152bが規制部160の傾斜面162に乗り上げながら移動する。
【0088】
係合部153の第3部分133が係合部130のZ1方向側の端部に当接するまでキャップ150を移動させる(図17参照)と、キャップ150のZ2方向側の側壁部152bが規制部160の傾斜面162を乗り越えるとともに、係止面161と当接する。この結果、規制部160より、キャップ150が逆方向(Z1方向)にスライド移動するのが規制される。この状態では、リアカバー106の内面106bから傾斜部170が最も突出した位置(枠状壁部20の近傍の位置)にキャップ150のZ1方向側の側壁部152bが配置されるため、側壁部152bの端面によって傾斜部170がリアカバー106側に押圧され、リアカバー106側に撓み変形する。これにより、キャップ150とリアカバー106の内面106bとが隙間なく接するようになり、キャップ150のがたつきやびびりが防止される。また、図15に示すように、キャップ150の内部では、一対の凸部157が締結部材40の傾斜部47aおよび47bを付勢して、貫通孔106aと締結部材40とのX方向の位置合わせが行われるとともに、凸部157の付勢力によって締結部材40がリアカバー106の内面106bに密着する。
【0089】
第2実施形態では、上記のように、締結部材40と、リアカバー106の内面106bに係合する係合部153を有するキャップ150とを設けることによって、キャップ150の係合部153をリアカバー106の内面106bに係合させるだけで、締結部材40をリアカバー106に取り付けることができる。これにより、壁掛け具90(図2参照)の取付構造(固定部114)を設ける場合にも、液晶テレビジョン装置200の組立作業性が低下するのを抑制することができる。
【0090】
また、第2実施形態では、上記のように、リアカバー106の内面106bに沿ったX方向に突出する係合部153(第1部分154および第2部分155)をキャップ150に設け、リアカバー106の内面106bから立ち上がるとともに内面106bに沿ったX方向に延びる係合部130(第1部分131、第2部分132および第3部分133)をリアカバー106に形成する。そして、キャップ150をリアカバー106の内面106bに沿ったZ2方向に移動させることにより、係合部153がリアカバー106の内面106bと直交するY方向で係合部130と係合するように構成することによって、キャップ150を内面106bに沿ってスライド移動させることで係合部153と係合部130とをY方向に係合させることができるので、係合部153と係合部130との係合に撓み変形を利用する必要がない。このため、係合部153および係合部130の機械的強度を高くすることができるので、容易に、ねじ締め時の外力(リアカバー106の内面106bと直交するY1方向の外力)に対して係合部153と係合部130との係合を強化することができる。
【0091】
また、第2実施形態では、上記のように、係合部153と係合部130とを係合させた状態でキャップ150のリアカバー106の内面106bに沿うZ1方向への移動を規制する規制部160をリアカバー106に形成することによって、キャップ150の係合を解除する方向へのスライド移動が、規制部160によって規制されるので、容易かつ確実に、係合部153と係合部130との係合状態を保持することができる。
【0092】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0093】
(第3実施形態)
次に、図19〜図21を参照して、本発明の第3実施形態による液晶テレビジョン装置300について説明する。この第3実施形態では、キャップ150をリアカバー106の内面106bに沿ってZ方向にスライド移動させることにより、キャップ150とリアカバー106とを係合させるように固定部114を構成した上記第2実施形態と異なり、キャップ250をリアカバー206の内面206bに沿う面内で回動させることにより、キャップ250とリアカバー206とを係合させるように固定部214を構成した例について説明する。なお、第3実施形態では、固定部214以外の構成は上記第1実施形態と同様であるので、固定部214以外の構成の説明は省略する。
【0094】
図19に示すように、第3実施形態による液晶テレビジョン装置300の固定部214は、リアカバー206の内面206bにおいて、貫通孔6aに対応する位置に形成された枠状壁部220および一対の係合部230aおよび230bと、締結部材40と、締結部材40を保持するためのキャップ250とにより構成されている。なお、締結部材40は、上記第1実施形態と同様の構成を有する。また、リアカバー206およびキャップ250は、それぞれ、本発明の「後部筐体」および「取付部材」の一例である。また、係合部230aおよび230bは、それぞれ、本発明の「第2係合部」および「第2係合片」の一例である。
【0095】
第3実施形態では、枠状壁部220は、一対の直線状部221と、一対の円弧状部222とを含み、貫通孔6aを取り囲むようにリアカバー206に一体的に形成されている。このため、第3実施形態の枠状壁部220は、略長円筒形状に形成されている。一対の直線状部221および一対の円弧状部222の内面側には、それぞれリブ状の位置決め部223が一体的に形成されている。一対の直線状部221は、互いにX方向に対向するように配置され、一対の円弧状部222は、互いにZ方向に対向するように配置されている。
【0096】
一対の係合部230aおよび230bは、枠状壁部220のX方向の両外側にそれぞれ設けられている。図20に示すように、係合部230aおよび230bは、それぞれ、リアカバー206の内面206bから内部側(Y1方向側)へ立ち上がる第1部分231と、第1部分231の頂部からリアカバー106の内面106bに沿って枠状壁部220側へ延びる第2部分232とを一体的に含む係合片からなる。これにより、係合部230aおよび230bには、それぞれ、第1部分231および第2部分232とリアカバー206の内面206bとに囲まれた溝状部233が形成されている。第2部分232の内面(内面206b側表面)には、リアカバー206側に突出するリブ状の突起部234が、Z方向に延びるように形成されている。また、第1部分231および第2部分232の外表面には、3本の筋状の補強リブ235が形成されており、係合部230a(230b)が補強されている。
【0097】
また、図19に示すように、X1方向側の係合部230bには、Z2方向側の端部に壁部237が形成されており、係合部230bの溝状部233がZ2方向側の端部で塞がれている。一方、係合部230bのZ1方向側端部、および、X2方向側の係合部230aのZ方向両端部には、壁部は形成されていない。したがって、係合部230bの溝状部233はZ1方向にのみ貫通しており、係合部230aの溝状部233は、Z方向の両側に貫通している。
【0098】
第3実施形態によるキャップ250は、平面視で円形状の蓋部251と、蓋部251の周縁からリアカバー206に向けて延びる円周(円筒)状の側壁部252とを一体的に有する円形のキャップ形状に形成されている。また、側壁部252には、2つの係合部253aおよび253bが一体的に形成されている。キャップ250の側壁部252の内径の大きさは、枠状壁部220の一対の円弧状部222をつなげた円の外径に対応している。キャップ250は、枠状壁部220の外側に嵌め込まれた状態で、リアカバー206の内面206bに沿う面内で、円弧状部222に沿って回動(スライド移動)させることが可能なように構成されている。係合部253aおよび253bは、キャップ250の回動によって係合部253aおよび253bがそれぞれ係合部230aおよび係合部230aの溝状部233に挿入されることにより、係合部230aおよび係合部230aと係合するように構成されている。なお、係合部253aおよび253bは、それぞれ、本発明の「第1係合部」および「第1係合片」の一例である。
【0099】
係合部253aは、リアカバー206の内面206bに沿って側壁部252の外側に延びる板状片部254と、フック状の規制部255とを一体的に含む係合片からなる。板状片部254は、円周状の側壁部252の外周に沿って延びるように形成されている。また、板状片部254は、X2方向側に配置された係合部230aの突起部234と当接可能な、側壁部252の外周の所定の高さ位置に形成されている。板状片部254は、係合部253aと係合部230aが係合した状態で、突起部234を撓み変形させるように構成されている。
【0100】
規制部255は、板状片部254の端部から円周状の側壁部252の外周に沿うように延びる腕部256に形成されている。規制部255はリアカバー206の内面206bとは反対側(Y1方向)に突出するフック形状を有し、X2方向側に配置された係合部230bのZ1方向側端部と係合する(図21参照)ように形成されている。
【0101】
また、図19および図21に示すように、係合部253bは、板状片部254のみが一体的に形成された係合片からなり、係合部253bの板状片部254には腕部256および規制部255が形成されていない。係合部253bの板状片部254は、X1方向側に配置された係合部230bの突起部234と当接するとともに、端部254aで係合部230bの壁部237と当接するように構成されている。
【0102】
なお、図20に示すように、係合部253aおよび253bと係合部230aおよび230bとがそれぞれ係合した状態で、締結部材40をリアカバー206側に付勢する凸部257が、蓋部251の内面側に形成されている。凸部257は、本発明の「付勢部」の一例である。
【0103】
次に、図19〜図21を参照して、第3実施形態による液晶テレビジョン装置300のキャップ250の取付方法について説明する。
【0104】
まず、図19に示すように、枠状壁部220の内部に締結部材40を挿入する。そして、図21に示すように、係合部253aが枠状壁部220のZ2方向側に配置され、係合部253bが枠状壁部220のZ1方向側に配置されるようにキャップ250の向きを合わせた状態で、枠状壁部220の外側にキャップ250を嵌め込む。続いて、キャップ250をリアカバー206の内面206bに沿う面内でR1方向に回動させる。これにより、係合部253aがX2方向側の係合部230aの溝状部233内にZ2方向側から挿入され、係合部253bがX1方向側の係合部230bの溝状部233内にZ1方向側から挿入される。この際、キャップ250の回動に伴い、係合部253aの規制部255が腕部256をリアカバー206側に撓ませることによって溝状部233内に進入する。
【0105】
係合部253aの規制部255が係合部230aのZ1方向側の端部を越える(溝状部233から抜け出る)までキャップ250を回動させると、腕部256の撓みが開放され、腕部256が元の位置に復元する。これにより、規制部255が係合部230aのZ1方向側の端部と係合し、キャップ250のR2方向への回動が規制される。また、このとき係合部253bの端部254aが係合部230bのZ2方向側の壁部237に当接するため、キャップ250のR1方向への更なる回動も規制される。
【0106】
これにより、図20に示すように、係合部253aの板状片部254と係合部230aの突起部234とが当接して、係合部253aと係合部230aとが内面106bと直交するY方向に係合する。同様に、係合部253bの板状片部254と係合部230bの突起部234とが当接して、係合部253bと係合部230bとが内面106bと直交するY方向に係合する。また、この係合状態で係合部230aおよび係合部230bのそれぞれの突起部234は板状片部254によって押圧され、Y1方向に撓み変形する。これにより、キャップ250とリアカバー206とが隙間なく接するようになり、キャップ250のがたつきやびびりが防止される。また、キャップ250の内部では、凸部257が締結部材40を付勢して、締結部材40がリアカバー206の内面206bに密着する。
【0107】
第3実施形態では、上記のように、締結部材40と、リアカバー206の内面206bに係合する係合部253aおよび253bを有するキャップ250とを設けることによって、キャップ250の係合部253aおよび253bをリアカバー206の内面206bに係合させるだけで、締結部材40をリアカバー206に取り付けることができる。これにより、壁掛け具90(図2参照)の取付構造(固定部214)を設ける場合にも、液晶テレビジョン装置300の組立作業性を向上させることができる。
【0108】
また、第3実施形態では、上記のように、リアカバー206の内面206bに沿って突出する板状片部254を含む係合部253aおよび253bをキャップ250に設け、リアカバー206の内面206bから立ち上がるとともに内面206bに沿ったX方向に延びる係合部230aおよび230b(第1部分231および第2部分232)をリアカバー206に形成する。そして、キャップ250をリアカバー206の内面206bに沿う方向に移動(回動)させることにより、係合部253a(253b)がリアカバー206の内面206bと直交するY方向で係合部230a(230b)と係合するように構成することによって、キャップ250をリアカバー206の内面206bに沿う面内で回動させることで係合部253a(253b)と係合部230a(230b)とをY方向に係合させることができるので、係合部253a(253b)と係合部230a(230b)との係合に撓み変形を利用する必要がない。このため、係合部253a(253b)および係合部230a(230b)の機械的強度を高くすることができるので、容易に、ねじ締め時の外力(リアカバー206の内面206bと直交するY1方向の外力)に対して係合部253a(253b)と係合部230a(230b)との係合を強化することができる。
【0109】
また、第3実施形態では、上記のように、係合部253a(253b)と係合部230a(230b)とを係合させた状態でキャップ250のリアカバー206の内面206bに沿う面内のR2方向への移動を規制する規制部255をキャップ250に形成することによって、キャップ250の係合を解除するR2方向への回動が、規制部255によって規制されるので、容易かつ確実に、係合部253aおよび253bと係合部230aおよび230bとの係合状態を保持することができる。
【0110】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0111】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0112】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、テレビジョン装置および電子機器の一例として液晶テレビジョン装置に本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、テレビジョン装置以外のたとえばパーソナルコンピュータのモニタなどの他の表示装置や液晶テレビジョン装置以外のテレビジョン装置にも本発明を適用可能である。また、たとえば、フォトフレームやスピーカなどの電子機器にも本発明を適用可能である。
【0113】
また、上記第1実施形態では、キャップ50の係合部53(係合穴55)がリアカバー6の係合部30(フック部31)の外側から係合するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図22に示す変形例のように、キャップ350の係合部353がリアカバー6の係合部330の内側(X方向内側)から係合するように構成してもよい。この変形例による固定部314では、キャップ350は、側壁部352からX方向の外側に突出するフック部355を有する一対の係合部353を一体的に含んでいる。キャップ350および係合部353は、本発明の「取付部材」および「第1係合部」の一例である。また、リアカバー6には、一対の係合部330が、一対の係合部353に対してX方向の外側に配置されている。なお、係合部330は、本発明の「第2係合部」の一例である。各係合部330は、それぞれ、X方向の内側に突出するフック部331と、X方向の外側に延びるとともにリアカバー6の内面6bに向かうにつれて幅広となるように傾斜した補強リブ332とを一体的に含んでいる。この変形例では、キャップ350を枠状壁部20の外側に嵌め込むと、一対のフック部355がそれぞれ一対の係合部330(フック部331)をX方向外側に撓ませながら進入する。そして、フック部355の頂部がフック部331の頂部を乗り越えることによって、係合部353(フック部355)と係合部330(フック部331)がY方向に係合するように構成されている。
【0114】
また、上記第1実施形態では、本発明の係合凹部の一例として、貫通孔からなる係合穴55をキャップ50に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の係合凹部は、フック部と係合可能であれば、貫通しない凹部であってもよい。
【0115】
また、上記第1〜第3実施形態では、板金の折り曲げにより形成された締結部材を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一般的なナットなどの締結部材を用いてもよい。
【0116】
また、上記第1〜第3実施形態では、板金の折り曲げにより傾斜面が形成された締結部材を用い、キャップの凸部で傾斜面を付勢するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、締結部材に傾斜面を設けなくともよい。また、キャップに凸部を設けなくともよい。さらに、キャップに凸部を設ける場合でも、締結部材のどの部分を付勢してもよい。
【0117】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の後部筐体の一例として、液晶テレビジョン装置の背面を部分的に覆うリアカバーを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明ではリアカバーがテレビジョン装置の背面の全体を覆っていてもよい。
【0118】
また、上記第1〜第3実施形態では、リアカバーの枠状壁部に位置決め部を一体的に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、位置決め部を枠状壁部とは別個に設けてもよい。また、本発明では、位置決め部を設けなくともよい。
【0119】
また、上記第1〜第3実施形態では、リアカバーに枠状壁部を一体的に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リアカバーに枠状壁部を設けなくともよい。
【0120】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の取付部材の一例として、蓋部と、側壁部と、係合部(第1係合部)とを一体的に含むキャップを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、側壁部を設けずに、蓋部および第1係合部のみを含む取付部材を用いてもよい。
【0121】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の取付部材の一例として、側壁部が枠状壁部の外周を取り囲むように形成されたキャップを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、キャップの側壁部が枠状壁部の外周を部分的に取り囲むように構成してもよい。
【0122】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の取付部材の一例としてのキャップを、蓋部と側壁部とによって締結部材を覆うように形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、取付部材が締結部材を完全に覆うことなく、締結部材がリアカバー内部で部分的に露出するように取付部材を形成してもよい。
【符号の説明】
【0123】
2 液晶モジュール(表示部)
6、106、206 リアカバー(後部筐体)
6a、106a、206a 貫通孔
6b、106b、206b 内面
13 受信部
20、220 枠状壁部
22、223 位置決め部
30、330 係合部(第2係合部)
31 フック部
40 締結部材
41 ねじ穴
42 重複部
43 対向部(ねじ受部)
47a、47b 傾斜部
50、150、250、350 キャップ(取付部材)
51、151、251 蓋部
52、152a、152b、252、352 側壁部
53、353 係合部(第1係合部)
55 係合穴(係合凹部)
56a、56b、157、257 凸部(付勢部)
80 ねじ
90 壁掛け具
100 液晶テレビジョン装置(電気機器)(テレビジョン装置)
130、230a、230b 係合部(第2係合部、第2係合片)
153、253 係合部(第1係合部、第1係合片)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する後部筐体と、
前記後部筐体の内部に配置され、ねじ穴を有する締結部材と、
前記締結部材を保持するとともに、前記後部筐体の内面に係合する第1係合部を有する取付部材とを備え、
壁掛け具を前記後部筐体に取り付けるためのねじを、前記後部筐体の外部から前記貫通孔を介して前記取付部材に保持された前記締結部材のねじ穴に螺合させることにより、前記壁掛け具を前記後部筐体の外面に取り付け可能に構成されている、電気機器。
【請求項2】
前記後部筐体の内面には、前記取付部材の第1係合部と係合する第2係合部が設けられている、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記後部筐体の内面には、前記締結部材のねじ穴を前記後部筐体の貫通孔に位置合わせする位置決め部が設けられている、請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記後部筐体の内面には、前記締結部材の外周を取り囲むとともに前記位置決め部を有する枠状壁部が設けられている、請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記取付部材は、前記枠状壁部を取り囲むとともに前記枠状壁部と嵌合可能な側壁部を含む、請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記締結部材は、前記ねじの先端を受け止め可能なねじ受部を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記締結部材は、金属製の板状部材を折り曲げて両端部を重ね合わせた重複部と、前記重複部に対向する対向部とを含み、
前記締結部材のねじ穴は、前記重複部を貫通するように設けられるとともに、
前記ねじ受部は、前記対向部に設けられている、請求項6に記載の電気機器。
【請求項8】
前記取付部材は、前記後部筐体の内面側に前記締結部材を付勢する付勢部をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項9】
前記付勢部は、前記取付部材に一体的に形成されるとともに前記取付部材と前記締結部材との間に配置された撓み変形可能な凸部を含む、請求項8に記載の電気機器。
【請求項10】
前記締結部材は、前記後部筐体の内面に近づくにつれて間隔が大きくなるように傾斜した一対の傾斜部を有し、
前記付勢部は、前記一対の傾斜部にそれぞれ当接するように設けられた一対の前記撓み変形可能な凸部を含む、請求項9に記載の電気機器。
【請求項11】
前記締結部材は金属製であり、
前記取付部材は、前記締結部材を覆うとともに、電気絶縁性を有する樹脂材料により形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項12】
前記取付部材は、前記締結部材の側方を取り囲む側壁部と、前記側壁部を覆う蓋部とを含むキャップ形状を有する、請求項11に記載の電気機器。
【請求項13】
前記後部筐体の第2係合部は、前記貫通孔に対して外側に突出するように形成されたフック部を含み、
前記取付部材の第1係合部は、係合凹部を含み、前記フック部の外側から前記係合凹部を前記フック部に係合可能に構成されている、請求項2に記載の電気機器。
【請求項14】
前記係合凹部を含む前記第1係合部は、前記フック部を含む前記第2係合部よりも撓み易くなるよう形成されており、
前記第1係合部を撓ませることにより前記フック部と前記係合凹部とが係合するように構成されている、請求項13に記載の電気機器。
【請求項15】
前記取付部材は、前記後部筐体の内面に対向する蓋部と、前記蓋部の周縁から前記後部筐体の内面側に向かって延びる側壁部とを含み、
前記第1係合部は、前記蓋部の周縁から外側に延びるとともに、前記側壁部の外側で前記係合凹部が前記フック部と係合するように構成されている、請求項14に記載の電気機器。
【請求項16】
前記第1係合部は、前記後部筐体の内面に沿った方向に突出する第1係合片を含み、
前記後部筐体の第2係合部は、前記後部筐体の内面から立ち上がり前記後部筐体の内面に沿った方向に延びる第2係合片を含み、
前記取付部材を前記後部筐体の内面に沿った方向に移動させることにより、前記第1係合部が前記後部筐体の内面と直交する方向で前記第2係合部と係合するように構成されている、請求項2に記載の電気機器。
【請求項17】
前記後部筐体または前記取付部材の少なくとも一方には、前記第1係合部の第1係合片と前記第2係合部の第2係合片とを係合させた状態で前記取付部材の前記後部筐体の内面に沿う方向への移動を規制する規制部が設けられている、請求項16に記載の電気機器。
【請求項18】
テレビジョン放送を受信する受信部と、
前記受信部により受信したテレビジョン放送を表示する表示部と、
貫通孔を有する後部筐体と、
前記後部筐体の内部に配置され、ねじ穴を有する締結部材と、
前記締結部材を保持するとともに、前記後部筐体の内面に係合する係合部を有する取付部材とを備え、
壁掛け具を前記後部筐体に取り付けるためのねじを、前記後部筐体の外部から前記貫通孔を介して前記取付部材に保持された前記締結部材のねじ穴に螺合させることにより、前記壁掛け具を前記後部筐体の外面に取り付け可能に構成されている、テレビジョン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−42103(P2013−42103A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224315(P2011−224315)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】