説明

電気機器の洗浄装置

【課題】開発期間の短縮を図り得るとともに、保持部及び防水部の寸法精度の確保が容易な電気機器の洗浄装置を提供する。
【解決手段】電気機器を保持して洗浄水で洗浄する保持部2と、洗浄水をろ過するフィルター装置を備えた洗浄剤容器3と、保持部2と洗浄剤容器3との間に介在されて、保持部2と洗浄剤容器3との間での洗浄水の漏れを防止する防水部6とを備えた洗浄装置において、保持部2と防水部6とを別体に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気かみそりや脱毛器等の小型電気機器を洗浄するための洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気かみそりの洗浄充電器は、電気かみそりの装着に基づいて電気かみそりの洗浄と充電を行うものである。洗浄充電器は、電気かみそりを保持する保持部と、フィルター装置を備えた洗浄剤容器と、洗浄水容器と、これらの間で洗浄液を循環させるポンプ等を備えている。
【0003】
また、特許文献1に開示されるように、保持部には防水部が一体に形成され、保持部と洗浄剤容器との間からの水漏れを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−18128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような洗浄充電器では、保持部と防水部とが一体に形成されているため、異なる機種に対応するためには、防水部を含めて保持部を設計し直す必要がある。従って、多種類の機種に対応するためには、所要の開発期間が必要となるとともに、製造コストも上昇する。
【0006】
また、保持部と防水部とを合成樹脂で一体に成形すると、複雑な形状で比較的大型の樹脂成形部品となるため、寸法精度の確保が容易ではない。
この発明の目的は、開発期間の短縮を図り得るとともに、保持部及び防水部の寸法精度の確保が容易な電気機器の洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、電気機器を保持して洗浄液で洗浄する保持部と、前記洗浄水をろ過するフィルター装置を備えた洗浄剤容器と、前記保持部と前記洗浄剤容器との間に介在されて、前記保持部と前記洗浄剤容器との間での洗浄水の漏れを防止する防水部とを備えた洗浄装置において、前記保持部と前記防水部とを別体に形成したことを特徴とする。
【0008】
また、上記構成において、前記保持部を前記電気機器の機種毎に成形することが好ましい。
また、上記構成において、前記保持部にヒーターを収容する収容部を備えることが好ましい。
【0009】
また、上記構成において、前記洗浄装置の底蓋に前記防水部と保持部を別個に取着することが好ましい。
また、上記構成において、前記防水部に前記保持部を仮保持するフックを設けることが好ましい。
【0010】
また、上記構成において、前記保持部の連結管を前記防水部の貫通孔に嵌合し、前記連結管と前記貫通孔との間にOリングを介在させ、前記Oリングを前記連結管と前記貫通孔との間で該連結管の嵌合方向と直交する方向に圧縮することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開発期間の短縮を図り得るとともに、保持部及び防水部の寸法精度の確保が容易な電気機器の洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】洗浄充電器を示す断面図である。
【図2】洗浄充電器の動作を示す説明図である。
【図3】洗浄充電器の一部を示す分解斜視図である。
【図4】保持部と防水部との連結部分を示す断面図である。
【図5】保持部を防水部上に組み立てた状態を示す斜視図である。
【図6】洗浄充電器の一部を示す分解断面図である。
【図7】洗浄充電器の組立て手順を示す斜視図である。
【図8】洗浄充電器の組立て手順を示す斜視図である。
【図9】洗浄充電器の組立て手順を示す斜視図である。
【図10】洗浄充電器の組立て手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す洗浄充電器は、本体1に受け皿状の保持部2が形成されるとともに、本体1内にフィルター装置4を備えた洗浄剤容器3、洗浄水貯留部5、防水部6、ポンプ7等が設けられる。そして、電気かみそり8を保持部2に装着して洗浄と充電を行うものである。
【0014】
上記のような洗浄充電器の動作を図2に従って説明すると、前記洗浄剤容器3内の洗浄剤はポンプ7で洗浄水貯留部5に供給される。洗浄水貯留部5内の洗浄水は保持部2に供給され、保持部2に保持された電気かみそり8が洗浄される。そして、保持部2内の洗浄水は、防水部6を経て洗浄剤容器3に循環する。
【0015】
なお、保持部2内の洗浄水を全て排水する場合には、洗浄水貯留部5の上部に設けられた通気孔5aを電磁ソレノイドの動作により開放し、その状態でポンプ7を作動させることにより排水可能となっている。
【0016】
前記保持部2と、防水部6と、洗浄剤容器3及びフィルター装置4の具体的構成を説明する。図3に示すように、保持部2は合成樹脂で電気かみそり8を保持する受け皿状に形成され、その底部には排水用の連結管9が下方へ突出されている。
【0017】
また、保持部2の側部には保持部2からの洗浄水のオーバーフローを防止するための導水管10が設けられ、その導水管10の上端は前記保持部2の上部に開口されている。
前記防水部6は、合成樹脂で前記保持部2と別体で形成され、前記本体1の底蓋11に取着可能となっている。そして、防水部6上に前記保持部2が支持される。
【0018】
前記保持部2を防水部6上に取着する際、図4に示すように、前記連結管9は防水部6に設けられた貫通孔12にOリング13を介して嵌着される。すなわち、前記連結管9の外周面と貫通孔12の内周面との間にはOリング13を収容するための収容部9aが設けられている。
【0019】
そして、前記収容部9aの連結管9の径方向の隙間は、前記Oリング13のリング部の径より小さくなるように形成されている。
そして、連結管9を貫通孔12に嵌挿すると、Oリング13は連結管9の挿入方向と直交する方向(図4において左右方向)に圧縮されて、連結管9と貫通孔12との間の隙間が密封されるようになっている。
【0020】
従って、保持部2から連結管9に案内される洗浄水は、防水部6の上面に漏れ出ることはなく、洗浄剤容器3の上面に開口された導水孔14から洗浄剤容器3内に案内される。また、前記導水管10に案内された洗浄水は、連結管21と防水部6に配置された導水管22を介して洗浄剤容器3に案内される。
【0021】
図3及び図6に示すように、前記防水部6の上面には、上方へ突出するフック15が形成され、図5に示すように、前記保持部2の外面において前記フック15に対応する位置には該フック15を係止可能とした係止部16が形成されている。
【0022】
そして、防水部6上に保持部2を取着する際、フック15を係止部16に係止することにより、保持部2を防水部6に仮止め可能となっている。
前記保持部2の下面には、収容部17が形成され、その収容部17にヒーター装置18が収容されている。ヒーター装置18は、保持部2内の洗浄水を適宜温度に過熱する機能を備えている。
【0023】
次に、上記のように構成された洗浄充電器の作用を説明する。
上記洗浄充電器を組み立てるには、図7に示すように、底蓋11上の一側にポンプや洗浄剤容器3の検出装置19等を組み立てた後、図8に示すように、底蓋11の他側の洗浄剤容器収容部20上に防水部6を取着する。
【0024】
次いで、図9に示すように保持部2にヒーター装置18を取着し、図10に示すようにその保持部2を防水部6上に取着する。
上記のような洗浄充電器では、次に示す効果を得ることができる。
(1)保持部2と防水部6を別体としたので、保持部2と防水部6をそれぞれ別個に成形することができる。従って、保持部2及び防水部6を小型の樹脂成形部品とすることができるので、寸法精度の確保が容易となる。
(2)多種類の異なる機種の電気かみそりに対応するためには、各機種に対応する保持部2のみを別個に設計し、防水部6を共通部品とすることができる。従って、異なる機種に対応する洗浄充電器の開発期間を短縮し、開発コストを低減することができる。
(3)保持部2にヒーター装置18を組み込み可能としたので、防水部6に不具合が発生しても、ヒーター装置18と保持部2を廃棄することなく、防水部6のみを容易に交換することができる。
(4)防水部6を底蓋11上に取着した後に、保持部2を防水部6上に取着することができる。従って、底蓋11上に防水部6を取着した状態で他の部品を底蓋11上に取着し、その後に保持部2を防水部6上に取着することができるので、組み立てが容易である。
(5)フック15により保持部2を防水部6上に仮保持することができる。従って、保持部2を仮保持した状態で他の部品の組み立て作業を容易に行うことができる。
(6)Oリング13を連結管9の挿入方向と直交する方向に圧縮して、連結管9と貫通孔12との間の隙間を密封することができる。従って、貫通孔12への連結管9の挿入ストロークに関わらず、連結管9と貫通孔12との隙間を安定して密封することができる。
【0025】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・電気かみそり以外の脱毛器等の小型電気機器の洗浄装置に応用することもできる。
【符号の説明】
【0026】
2…保持部、3…容器(洗浄剤容器)、6…防水部、8…電気機器(電気かみそり)、9…連結管、11…底蓋、12…貫通孔、13…Oリング、15…フック、18…ヒーター装置、19…検出装置、20…洗浄剤容器収容部、21…連結管、22…導水管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を保持して洗浄水で洗浄する保持部と、
前記洗浄水をろ過するフィルター装置を備えた洗浄剤容器と、
前記保持部と前記洗浄剤容器との間に介在されて、前記保持部と前記洗浄剤容器との間での洗浄液の漏れを防止する防水部と
を備えた洗浄装置において、
前記保持部と前記防水部とを別体に形成したことを特徴とする電気機器の洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器の洗浄装置において、
前記保持部を前記電気機器の機種毎に成形することを特徴とする電気機器の洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機器の洗浄装置において、
前記保持部にヒーターを収容する収容部を備えたことを特徴とする電気機器の洗浄装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気機器の洗浄装置において、
前記洗浄装置の底蓋に前記防水部と保持部を別個に取着することを特徴とする電気機器の洗浄装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気機器の洗浄装置において、
前記防水部に前記保持部を仮保持するフックを設けたことを特徴とする電気機器の洗浄装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気機器の洗浄装置において、
前記保持部の連結管を前記防水部の貫通孔に嵌合し、前記連結管と前記貫通孔との間にOリングを介在させ、前記Oリングを前記連結管と前記貫通孔との間で該連結管の嵌合方向と直交する方向に圧縮したことを特徴とする電気機器の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−179524(P2012−179524A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43044(P2011−43044)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】