説明

電気機器収納用筐体の支持体

【課題】低コストかつコンパクトな構造で、電気機器収納用筐体を自立して支持する技術を提供すること。
【解決手段】表面を電気機器収納用筐体1の取付面2とする板状の取付部材3を、平行に配置した2本の支柱4間に配置し、該取付部材3の背面には電気機器収納用筐体への配線を行う配線部10を設けたので、低コストかつコンパクトな構造で、電気機器収納用筐体を自立して支持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納用筐体の支持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外コンセントや車両用充電器等、一般家屋の屋外に設置される電気機器収納用筐体は、壁面に直接取り付けて使用するタイプのものが主流である(例えば、特許文献1)。壁面取り付け構造を採用することにより、一般家屋の屋外において、電気機器収納用筐体をコンパクトに設置することができる。
【0003】
一方、特に既設家屋においては、所望の壁面箇所に筐体取付け用の孔を新たに設けることが困難であったり、外観デザインの観点から壁面設置を希望しないケースもあるが、このような場合には、電気機器収納用筐体を、扉体を有する自立式キャビネット型のものとして屋外に設置することも可能である。
【0004】
しかし、扉体を有する自立式キャビネット型の電気機器収納用筐体は、コスト高になるとともに、大きな占有スペースを必要とするため、一般家屋の屋外に設置した場合、圧迫感があり家屋の美観を損なうといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−90579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、低コストかつコンパクトな構造で、電気機器収納用筐体を自立して支持する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の電気機器収納用筐体の支持体は、前面を電気機器収納用筐体の取付面とする板状の取付部材を、平行に配置した2本の支柱間に配置し、該取付部材の背面には電気機器収納用筐体への配線を行う配線部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気機器収納用筐体の支持体において、2本の支柱間に渡した支持部材を介して取付部材を配置したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電気機器収納用筐体の支持体において、板状の取付部材と同一平面を形成するパネル部材を、平行に配置した2本の支柱間に配置したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の電気機器収納用筐体の支持体において、配線部を被覆する背面板を備え、該2本の支柱間に渡した保持部材に、背面板を固定する背面板固定部を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気機器収納用筐体の支持体は、前面を電気機器収納用筐体の取付面とする板状の取付部材を、平行に配置した2本の支柱間に配置し、該取付部材の背面には電気機器収納用筐体への配線を行う配線部を設けて構成されているので、低コストかつコンパクトな構造で、電気機器収納用筐体を自立して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電気機器収納用筐体を取り付けた状態における電気機器収納用筐体の支持体の正面斜視図である。
【図2】電気機器収納用筐体を外した状態における電気機器収納用筐体の支持体の正面斜視図である。
【図3】背面側要部拡大図である。
【図4】取付部材の説明図である。(電気機器収納用筐体を取り外した状態)
【図5】2本の支柱間に渡した保持部材の説明図である。
【図6】図1の背面斜視図である。
【図7】図6に背面板を取りつけた状態図である。
【図8】電気機器収納用筐体の支持体の正面斜視図である。
【図9】背面板の取付け構造の説明図である。
【図10】背面板の全体斜視図である。
【図11】第1支持部材の全体斜視図である。
【図12】保持部材の全体斜視図である。
【図13】態様が異なる背面板の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。本実施形態における電気機器収納用筐体の支持体は、図1に示すように、前面を電気機器収納用筐体1の取付面2を有する板状の取付部材3を、平行に配置した2本の支柱4間に配置して構成されている。
【0014】
支柱4は円筒形状の中空部材からなり、本実施形態では、1本の中空部材を略中央部で湾曲させて両支柱4を形成した構造を有している。なお、両支柱4は別個の中空部材の端部を湾曲させて形成してそれぞれを連結してもよい。支柱4の下端は、地中に埋め込んで設置することができる。また、図2に示すように、支柱4の下端に基礎部材5を設けて、基礎部材のアンカー孔で地面に固定することもできる。
【0015】
図3に示すように、板状の取付部材3は、2本の支柱4間に渡した支持部材6(第1支持部材61、第2支持部材62)を介して配置されている。支持部材6は、溶接又はねじ止め等により、支柱4間に固定されている。なお、取付部材3は、端部を直接支柱4に溶接又はねじ止め等により固定したものであってもよい。
【0016】
取付部材3は、強度の確保の観点から、端部を垂直方向に折り曲げ形成している。また図4に示すように、取付部材3の前面側には、電気機器収納用筐体1を取付部材3に取り付けるための取付孔7が形成されている。取付部材3の中央下方には、背面側から電線を挿通する挿通穴8が形成されている。挿通穴8の両面には、防水パッキン22を取付けて防水を確保している。
【0017】
図5に示すように、2本の支柱4間には保持部材15が渡されていて、板状の取付部材3の下側に、該取付部材3と同一平面を形成し、外形が略同一のパネル部材9が保持部材15を介して配置されている。パネル部材9は、板材で形成され、前面パネルの端部は垂直方向に折り曲げ形成されている。パネル部材9の前面には配線器具、屋外照明、インターホン等を設置することができる。なお、取付部材3とパネル部材9とを略同一形状としているため、設置環境に応じて順番を入れ替えることが可能である
【0018】
取付部材3の背面には、図6に示すように、電気機器収納用筐体1への配線を行う箱形状の配線部10を備えている。配線部10は、下部に配線管11を連結している。配線管11は配線固定部12で配線管11に接続されている。配線管11の内部には、電線等が挿通され、配線部10の前側には、電線を引き出すための開口を形成している。
【0019】
本実施形態の電気機器収納用筐体の支持体は、図7に示すように、配線部10を含む電気機器収納用筐体の支持体の背面側を被覆する背面板13を備えている。背面板13は、中央部を湾曲させて取付部材3との間に内部空間を形成している。内部空間の大きさの異なる背面板13を複数用意することにより、各種の設置環境に対応することができる。
【0020】
前記のように、取付部材3とパネル部材9は、2本の支柱4間に渡した支持部材6及び保持部材15を介して配置され、該支持部材6は、図8に示すように、取付部材3の上部を固定する第1支持部材61と、取付部材3の下部を固定する第2支持部材62とから構成されている。また保持部材15は、パネル部材9の上端又は下端を支持している。
【0021】
第1支持部材61は、背面板13の上部を固定する水平部14を備え、第2支持部材62には、配線部10に対応する切欠16が形成取されている。保持部材15には、背面側に位置する電線の接続作業を前面側から行うための作業用切欠17を形成するとともに、配線支持部材30を固定するための孔部21を形成している。
【0022】
第1支持部材61および第2支持部材62の前面には、取付部材3を固定するためのねじ孔20が形成されている。
【0023】
保持部材15は断面がクランク形状からなり、突出側(前面)を電気機器収納用筐体の支持体の前方に向けて支柱4に固定される。突出側(前面)の両端には、パネル部材9を固定するためのねじ孔18が形成されている。ねじ孔18の上部に奥行方向に延びる水平部19が形成されている。パネル部材9の取り付け作業時には、該水平部19とパネル部材9の上端部とを当接させて位置決めし、仮保持させることができる。なお、このときパネル部材9の下側は、下段に位置する別箇の保持部材15の前面と当接する。
【0024】
ねじ孔18、20は、何れも電気機器収納用筐体の支持体の前面側からねじ止め可能であるため、取付部材3やパネル部材9を取付ける時や交換する時に、電気機器収納用筐体の支持体の背面側に建物等の壁面がある場合でも、簡単に設置作業を行うことができ、建物壁面の直近に電気機器収納用筐体の支持体を設置することが可能である。
【0025】
図9には、背面板13の取付構造の説明図を示している。上記実施形態では、中央部を湾曲させて取付部材3との間に内部空間を形成した背面板13を使用したが、背面板の形状は、図10に示すように、上下両端に折り返し辺25、27を形成した箱形状のものとしてもよい。図11には、第1支持部材61の全体斜視図を示し、図12には、保持部材15の全体斜視図を示している。
【0026】
図10に示すように、背面板13の上部折り返し辺27は第1支持部材61の水平部14上部に重ねて載置され、上部折り返し辺27に形成されたねじ孔23と、第1支持部材61に形成されたねじ孔29とを重ねあわせて、上部折り返し辺27の上面側からねじ止めすることができる。
【0027】
背面板13の下部には、保持部材15と固定される固定部24が形成されている。固定作業は、固定部24に形成されたねじ孔26と、保持部材15の下端で左右に形成された背面板固定部28と重ねあわせて、電気機器収納用筐体の支持体の前面側からねじ止めすることができる。なお、図13に示すように固定部24は背面板13の端部を折曲形成した一体構造としてもよい。
【0028】
なお、電気機器収納用筐体の内部に収納される電気機器は特に制限されず、例えば、近年急速に普及が進んでいる充電式車両への充電を行う車両用充電装置とすることもできる。例えば、一般家庭において、壁面設置型の車両用充電装置の設置を希望するものの、家屋の壁面に取り付けが困難な場合、本発明の支持体を使用することにより、任意の場所において簡易に車両用充電装置の設置を行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 電気機器収納用筐体
2 取付面
3 取付部材
4 支柱
5 基礎部材
6 支持部材
61 第1支持部材
62 第2支持部材
7 取付孔
8 挿通穴
9 パネル部材
10 配線部
11 配線管
12 配線固定部
13 背面板
14 水平部
15 保持部材
16 切欠
17 作業用切欠
18 ねじ孔
19 水平部
20 ねじ孔
21 孔部
22 防水パッキン
23 ねじ孔
24 固定部
25、27 折り返し辺
26 ねじ孔
28 背面板固定部
29 ねじ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面を電気機器収納用筐体の取付面とする板状の取付部材を、平行に配置した2本の支柱間に配置し、該取付部材の背面には電気機器収納用筐体への配線を行う配線部を設けたことを特徴とする電気機器収納用筐体の支持体。
【請求項2】
2本の支柱間に渡した支持部材を介して取付部材を配置したことを特徴とする請求項1記載の電気機器収納用筐体の支持体。
【請求項3】
板状の取付部材と同一平面を形成するパネル部材を、平行に配置した2本の支柱間に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の電気機器収納用筐体の支持体。
【請求項4】
配線部を被覆する背面板を備え、該2本の支柱間に渡した保持部材に、背面板を固定する背面板固定部を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電気機器収納用筐体の支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−115082(P2013−115082A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257081(P2011−257081)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】