説明

電気機器収納用箱の通風装置

【課題】電気機器収納用箱の天井面と側面のいずれに取り付けた場合であっても、バネを用いることなく、ファン停止時に排気口が閉塞される電気機器収納用箱の通風装置を提供する。
【解決手段】内部にファンが取り付けられた筐体201と、筐体201の排気口を閉塞するように筐体201に回動可能に取り付けられた板状のシャッター202と、シャッター202の回動軸から延出する延出片に取り付けられた重り203を有し、縦向きの姿勢で取り付けた場合には、前記延出片及び重り203の質量により生じる前記回動軸回りのモーメントのほうが、シャッター202の質量により生じる前記回動軸回りのモーメントよりも大きく構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納用箱内の熱気を排気するための通風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分電機器、配電機器、通信装置等の電気機器を収納する電気機器収納用箱には、内部機器の熱気を排気するために、特許文献1に示されるように、ファンを電気機器収納用箱に取り付けたものがある。或いは、吸気口及び排気口が形成された筐体内にファンが取り付けられた通風装置を電気機器収納用箱の外面に取り付けた構造のものもある。収納される電気機器の発熱を考慮した電気機器の配置や電気機器収納用箱の種類によって、前記通風装置は、排気口を横方向に向けた横向き姿勢で前記箱の天井面に取り付けられ、或いは、排気口を下方に向けた縦向き姿勢で前記箱の側面に取り付けられる。
【0003】
通風装置が取り付けられた電気機器収納用箱を屋外で使用する場合には、排気口から通風装置内への雨水や虫、埃等の異物の進入を防止する構造を設ける必要がある。この構造の一例として、従来では、排気口を閉塞するシャッターを通風装置に回動可能に軸着し、シャッターを排気口側に付勢する捲回バネをシャッターの軸部に取り付けていた。このような構成により、通風装置は、横向き又は縦向きのいずれの姿勢であっても、ファン稼働時には風圧によりシャッターが回動して排気口が開放され、ファン停止時には捲回バネの付勢力により、排気口がシャッターで閉塞され、ファン停止時の通風装置や電気機器収納用箱内への異物の進入が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−503079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、捲回バネのシャッターの軸部への取り付けは、作業性が悪く、屋外使用による捲回バネへの異物の付着や、シャッターの繰り返しの開閉による捲回バネのヘタリや破損により、ファン停止時に排気口がシャッターで閉塞されないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決し、バネを用いることなく、ファン停止時に排気口が閉塞される電気機器収納用箱の通風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
電気機器収納用箱の天井面又は側面のいずれにも取付可能で、前記天井面又は前記側面に形成された排気穴から前記箱内部の空気を外部に排出する通風装置であって、
底面に吸入口が形成されるとともに、側方に開放する排気口が形成された箱形の筐体と、
前記筐体内に取り付けられ、前記吸入口からの吸気を前記排気口から排気させるファンと、
前記排気口を閉塞するように、前記筐体に回動可能に取り付けられた板状のシャッターと、
前記シャッターの回動軸から前記シャッターと反対側方向に延出する延出片と、
前記延出片に取り付けられた重りを有し、
前記側面に形成された排気穴と前記吸入口を連通させ、前記排気口を下側に向けた縦向きの姿勢で前記側面に取り付けた場合には、前記延出片及び前記重りの質量により生じる前記回動軸回りのモーメントのほうが、前記シャッターの質量により生じる前記回動軸回りのモーメントよりも大きく構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記天井面に形成された排気穴と前記吸入口を連通させ、前記排気口を横側に向けた横向き姿勢で前記天井面に取り付けた場合よりも、前記縦向き姿勢で前記側面に取り付けた場合のほうが、前記シャッターの回動軸と前記重りの重心との水平方向距離が大きくなるように構成されていることを特徴とする。
これにより、縦向きの姿勢では、重りの重心と回動軸との水平方向距離が大きくなることから、重りによりシャッターが閉じる方向に作用するモーメントが大きくなり、シャッターが確実に排気口を閉塞する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記シャッターは、前記排気口の上方位置の筐体に回動可能に取り付けられ、
前記延出片は、前記シャッターの回動軸から上方に延出し、
前記重りは前記延出片の外側に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記重りは、前記延出片に回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記シャッターは、前記排気口の下方位置の筐体に回動可能に取り付けられ、
前記延出片は、前記シャッターの回動軸から下方に延出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前記排気口を下側に向けた縦向きの姿勢で前記側面に取り付けた場合には、前記延出片及び前記重りの質量により生じる前記回動軸回りのモーメントのほうが、前記シャッターの質量により生じる前記回動軸回りのモーメントよりも大きく構成されているので、シャッターが排気口を閉塞した状態が維持される。このため、電気機器収納用箱の天井面と側面のいずれに取り付けた場合であっても、バネを用いることなく、ファン停止時に排気口が閉塞される電気機器収納用箱の通風装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(横向き、閉状態)
【図2】第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の裏面側斜視図である。
【図3】図1の断面図である。
【図4】第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(横向き、開状態)
【図5】図4の断面図である。
【図6】第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(縦向き、閉状態)
【図7】図6の断面図である。
【図8】第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(縦向き、開状態)
【図9】図8の断面図である。
【図10】第1の実施形態の別例の電気機器収納用箱の断面図である。(横向き、閉状態)
【図11】第1の実施形態の別例の電気機器収納用箱の断面図である。(縦向き、閉状態)
【図12】第2の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(横向き、閉状態)
【図13】図12の断面図である。
【図14】第2の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の断面図である。(横向き、開状態)
【図15】第2の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の断面図である。(縦向き、閉状態)
【図16】第2の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の断面図である。(縦向き、開状態)
【図17】第3の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(横向き・閉状態)
【図18】図17の断面図である。
【図19】第3の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(横向き、開状態)
【図20】図19の断面図である。
【図21】第3の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(縦向き、閉状態)
【図22】図21の断面図である。
【図23】第3の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の断面図である。(縦向き、開状態)
【図24】第4の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(横向き、閉状態)
【図25】図24の断面図である。
【図26】第4の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(横向き、開状態)
【図27】図26の断面図である。
【図28】第4の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(縦向き、閉状態)
【図29】第4の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置の斜視図である。(縦向き、開状態)
【図30】防水カバーを取り付けた実施形態の斜視図及び断面斜視図である。
【図31】防水カバーを取り付けた実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置)
図1〜図9に第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置100(以下、通風装置100とする)を示して、通風装置100について説明する。なお、図1、図3〜図5は、通風装置100を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた状態を表した図である。図1、図3〜図5に示されるように、通風装置100は、筐体101、ファン10、シャッター102、重り103、ヒンジ104、105とから構成されている。
【0014】
筐体101は箱形形状であり、側方に開口する排気口101aが形成されている。なお、図1や図4において、筐体101の内部が見えるように、便宜的に天井面を除去した状態の筐体101を表しているが、筐体101は天井面101c(図3、図5に示す)を有している。図2に示されるように、筐体101の底面には、吸入口101bが形成されている。電気機器収納用箱99の天井面又は側面(背面を含む)には排気穴が形成され、前記排気穴と吸気口101bが連通して、通気装置100が電気機器収納用箱99の天井面又は側面に取り付けられる。筐体101内には、ファン10が取り付けられている。ファン10には、プロペラファン、シロッコファン、ターボファン等のファンが含まれる。ファン10が稼働すると、電気機器収納用箱99内の空気が、電気機器収納用箱99の排気穴(吸入口101b)から筐体101内に吸気され、排気口101aから排気される。
【0015】
図3に示されるように、排気口101aの上方位置の筐体101には、排気口101aを閉塞する板状のシャッター102がヒンジ104により回動可能に取り付けられている。図3に示されるように、シャッター102は、その上端の第1回動軸102aで、筐体101に軸着されている。図3に示されるように、シャッター102の第1回動軸102aからは、上方に延出する延出片102cが形成されている。
【0016】
図3に示されるように、延出片102c先端の外側の第2回動軸102bには、板状又はブロック状の重り103がヒンジ105により回動可能に軸着している。なお、シャッター102はアルミニウムや樹脂等の比重が軽い材質で構成されているが、重り103は鉄や鉛等、シャッター102に比べて比重が重い材料で構成されている。
【0017】
以下に、図1、図3〜図5を用いて、排気口101aを横側に向けた横向き姿勢で、通風装置100を電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図1や図3に示されるように、シャッター102の自重により、シャッター102が排気口101aを閉塞している。この状態では、シャッター102に重り103の重量も作用するので、排気口101aがシャッター102で確実に閉塞され、風によるシャッター102の開放が防止され、排気口101aからの異物の進入が防止される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図4や図5に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター102が第1回動軸102aを中心に回動して、排気口101aが開放される。
【0018】
図6〜図9は、排気口101aを下側に向けた縦向きの姿勢で、通風装置100を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた状態を示した図である。以下に、図6〜図9を用いて、縦向きの姿勢で、通風装置100を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図6や図7に示されるように、重り103の重量により、シャッター102が排気口101aを閉塞する方向に回動され、排気口101aがシャッター102で閉塞される。詳述すると、通風装置100が縦向きの姿勢では、延出片102c及び重り103の質量により生じる第1回動軸102a回りのモーメントのほうが、シャッター102の質量により生じる第1回動軸102a回りのモーメントよりも大きいので、シャッター102が排気口101aを閉塞した状態が維持される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図8や図9に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター102が第1回動軸102aを中心に回動して、排気口101aが開放される。
【0019】
通風装置100を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた状態では、図3や図5に示されるように、重り103の重心と第1回動軸102aの水平方向距離AやA’は小さい。このため、ファン10稼働時において、重り103によりシャッター102が閉じる方向に作用するモーメントは小さく、シャッター102の開放の阻害となりにくい。
一方で、通風装置100を、縦向き姿勢で、電気機器収納用箱99の側面に取り付けた状態では、図7に示されるように、重り103の重心と第1回動軸102aの水平方向距離Bは大きくなり、重り103によりシャッター102が閉じる方向に作用するモーメントは大きく、シャッター102が確実に排気口101aを閉塞する。
このように、本発明の通風装置100は、横向きの姿勢よりも縦向きの姿勢のほうが、第1回動軸102aと重り103の重心の水平方向距離が大きくなるように構成されているので、横向き又は縦向きの両方の姿勢で、電気機器収納用箱99天井面又は側面に取り付けて使用することが可能となっている。
【0020】
(第1の実施形態の別例)
図10〜図11に第1の実施形態の別例を示す。図10に示されるように、第1の実施形態の別例では、シャッター102上端の回動軸102eから、排気方向側の側上方に延出する延出する延出片102dが形成され、この延出片102dに移動規制部材106が取り付けられている。移動規制部材106は、箱形又は長穴形状の空間106aが延出片102dの形成方向に沿って形成されている。空間106a内には、重り107が移動可能に収納されている。
【0021】
図10に示されるように、第1の実施形態の別例の通風装置100を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた場合には、重り107は、空間106a内の回動軸102eに近接した位置にあり、回動軸102eと重り107の重心との水平方向距離Cが小さい。このため、ファン10稼働時において、重り107によりシャッター102が閉じる方向に作用するモーメントは小さく、シャッター102の開放の阻害となりにくい。
一方で、図11に示されるように、第1の実施形態の別例の通風装置100を、縦向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の側面に取り付けた場合には、重り107は、空間106a内の回動軸102eから離れた位置に移動し、回動軸102eと重り107の重心との水平方向距離Dが大きくなる。このため、重り107によりシャッター102が閉じる方向に作用するモーメントは大きく、シャッター102が排気口101aを確実に閉塞する。詳述すると、通風装置100が縦向きの姿勢では、延出片102d、移動規制部材106及び重り107の質量により生じる第1回動軸102e回りのモーメントのほうが、シャッター102の質量により生じる第1回動軸102e回りのモーメントよりも大きいので、シャッター102が排気口101aを閉塞した状態が維持される。
このように、第1の実施形態の別例の通風装置100もまた、横向き又は縦向きの両方の姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面又は側面に取り付けて使用することが可能となっている。
【0022】
(第2の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置)
図12〜図16に、第2の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置200(以下、通風装置200とする)を示して、第1の実施形態の通風装置100と異なる点について、通風装置200を説明する。図12〜図14は、通風装置200を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた状態を表した図である。図12〜図14に示されるように、通風装置200は、筐体201、ファン10、シャッター202、重り203、ヒンジ204とから構成されている。筐体201は、前記した筐体101と同様の構造であり、その側方に開放する排気口201aが形成され、その内部にファン10が取り付けられている。
【0023】
図13に示されるように、排気口201aの上方位置の筐体201には、排気口201aを閉塞する板状のシャッター202がヒンジ204により回動可能に取り付けられている。図13に示されるように、シャッター202の回動軸202bからは、上方に延出する延出片202aが形成されている。図13に示されるように、延出片202aの先端の外側には、重り203が取り付けられている。図に示される重り203は板状であるが、ブロック状であっても差し支え無い。なお、シャッター202はアルミニウムや樹脂等の比重が軽い材質で構成されているが、重り203は鉄や鉛等、シャッター202に比べて比重が重い材料で構成されている。図13や図14に示されるように、排気口201aの上方の筐体201には、筐体201の内側に凹陥した形状の空間201aが形成され、シャッター202が回動可能となっている。なお、筐体201aの延出片202aと対向する部分は、規制壁201bとなっている。この規制壁201bの役割については、後述する。
【0024】
以下に、図12〜図14を用いて、排気口201aを横側に向けた横向き姿勢で、通風装置200を電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図12や図13に示されるように、シャッター202の自重により、排気口201aがシャッター202で閉塞される。この状態では、シャッター202に、重り203の重量も作用するので、排気口201aがシャッター202で確実に閉塞され、風によるシャッター202の開放が防止され、排気口201aからの異物の進入が防止される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図14に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター202が回動軸202bを中心に回動し、排気口201aが開放される。図14に示されるように、延出片202aの先端は規制壁201bと当接するので、シャッター202の所定角度以上の回動が規制される。これにより、シャッター202が開いたままの状態となってしまうことが防止される。
【0025】
図15、図16は、排気口201aを下側に向けた縦向きの姿勢で、通風装置200を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた状態を示した図である。以下に、図15、図16を用いて、縦向きの姿勢で、通風装置200を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図15に示されるように、重り203の重量により、シャッター202が排気口201aを閉塞する方向に回動され、排気口201aがシャッター202で閉塞される。詳述すると、通風装置200が縦向きの姿勢では、延出片202a及び重り203の質量により生じる回動軸202b回りのモーメントのほうが、シャッター202の質量により生じる回動軸202b回りのモーメントよりも大きいので、シャッター202が排気口201aを閉塞した状態が維持される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図16に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター202が回動軸202bを中心に回動して、排気口201aが開放される。
このように、通風装置200は、横向き又は縦向きの両方の姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面又は側面に取り付けて使用することが可能となっている。
【0026】
図13及び図15に示されるように、通風装置200は、横向き姿勢よりも縦向き姿勢のほうが、シャッター202の回動軸202bと重り203の重心との水平方向距離が大きくなるように構成されている。この構成による効果について説明する。
通風装置200を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた状態では、図13に示されるように、重り203の重心と回動軸202bの水平方向距離Eは、短い。このため、ファン10稼働時において、重り203によりシャッター202が閉じる方向に作用するモーメントは小さく、シャッター202の開放の阻害となりにくい。
一方で、通風装置200を、縦向き姿勢で、電気機器収納用箱99の側面に取り付けた状態では、図15に示されるように、重り203の重心と回動軸202bとの水平方向距離Fは大きくなり、重り203によりシャッター202が閉じる方向に作用するモーメントは大きく、シャッター202が確実に排気口201aを閉塞する。
【0027】
(第3の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置)
図17〜図23に、第3の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置300(以下、通風装置300とする)を示して、第1の実施形態の通風装置100と異なる点について、通風装置300を説明する。図17〜図20は、通風装置300を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた状態を表した図である。図17〜図20に示されるように、通風装置300は、筐体301、ファン10、シャッター302、ヒンジ303、支持部材304、重り305、ワイヤー306とから構成されている。筐体301は前記した筐体101と同様の構造であり、その側方に開放する排気口301aが形成され、その内部にファン10が取り付けられている。
【0028】
図18や図20に示されるように、排気口301aの上方位置の筐体301には、排気口301aを閉塞する板状のシャッター302がヒンジ303により回動可能に取り付けられている。図18に示されるように、本実施形態では、シャッター302は、その上端よりもやや下側の回動軸302aで、排気口301a上方の筐体301に軸着されている。
【0029】
図17〜図20に示されるように、筐体301の排気口301aの上方部分には、側方(排気側方向)に延出する支持部材304が取り付けられている。支持部材304は、水平方向に延出する支持板304aと、この支持板304aの両側端から上方に折曲形成された支持片304b、支持板304bの先端から折曲形成された支持片304cとから構成されている。支持板304b上には、重り305が移動可能に載置されている。図18に示されるように、重り305は、シャッター302の回動軸302aよりも上側の接続部302bと、ワイヤー306で接続されている。なお、シャッター302はアルミニウムや樹脂等の比重が軽い材質で構成されているが、重り305は鉄や鉛等、シャッター302に比べて比重が重い材料で構成されている。
【0030】
以下に、図17〜図20を用いて、排気口301aを横側に向けた横向き姿勢で、通風装置300を電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図17や図18に示されるように、シャッター302の自重により、排気口301aがシャッター302で閉塞される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図19や図20に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター302が回動軸302bを中心に回動し、排気口301aが開放される。なお、第3の実施形態の通風装置300を横向きの姿勢で取り付けた場合には、シャッター302が開放する際に、重り305の重量はシャッター302に作用しない。
【0031】
図21〜図23は、排気口301aを下側に向けた縦向きの姿勢で、通風装置300を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた状態を示した図である。以下に、図21〜図23を用いて、縦向きの姿勢で、通風装置300を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図22に示されるように、重り305の重量により、シャッター302が排気口301aを閉塞する方向に回動され、排気口301aがシャッター302で閉塞される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図23に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター302が回動軸302bを中心に回動して、排気口301aが開放される。
このように、通風装置300は、横向き又は縦向きの両方の姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面又は側面に取り付けて使用することが可能となっている。
【0032】
(第4の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置)
図24〜図29に、第4の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置400(以下、通風装置400とする)を示して、第1の実施形態の通風装置100と異なる点について、通風装置400を説明する。図24〜図27は、通風装置400を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた状態を表した図である。図24〜図27に示されるように、通風装置400は、筐体401、ファン10、シャッター402、重り403とから構成されている。筐体401は前記した筐体101と同様の構造であり、その側方に開放する排気口401aが形成され、その内部にファン10が取り付けられている。
【0033】
図25に示されるように、排気口401aの下方位置の筐体401には、排気口401aを閉塞する板状のシャッター402が回動可能に取り付けられている。本実施形態では、シャッター402は、その下端よりもやや上側の回動軸402aで、筐体401に軸着されている。シャッター402は、その下側が筐体401の内部側を向き、その上端側が筐体401の外側を向くように傾斜している。なお、シャッター402が排気口401aを閉塞している状態でのシャッター402の傾斜角は、鉛直方向から45°以下の角度である。シャッター402の回動軸402aからは、下方に延出する延出片402bが形成されている。延出片402bの先端には、板状又はブロック状の重り403が取り付けられている。なお、シャッター402はアルミニウムや樹脂等の比重が軽い材質で構成されているが、重り403は鉄や鉛等、シャッター402に比べて比重が重い材料で構成されている。
【0034】
以下に、図24〜図27を用いて、排気口401aを横側に向けた横向き姿勢で、通風装置400を電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図24や図25に示されるように、重り403の重量がシャッター402に作用して、シャッター402が排気口401aを閉塞する方向に回動され、排気口401aがシャッター402で閉塞される。詳述すると、通風装置400が縦向きの姿勢では、延出片402b及び重り403の質量により生じる回動軸402a回りのモーメントのほうが、シャッター402の質量により生じる回動軸402a回りのモーメントよりも大きいので、シャッター402が排気口401aを閉塞した状態が維持される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図27に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター402が回動軸402aを中心に回動し、排気口401aが開放される。
【0035】
図28、図29は、排気口401aを下側に向けた縦向きの姿勢で、通風装置400を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた状態を示した図である。以下に、図28、図29を用いて、縦向きの姿勢で、通風装置400を電気機器収納用箱99の側面に取り付けた場合の作用について説明する。
ファン10が停止している状態では、図28に示されるように、重り403の重量により、シャッター402が排気口401aを閉塞する方向に回動され、排気口401aがシャッター402で閉塞される。
一方で、ファン10が稼働している状態では、図29に示されるように、ファン10で発生する風圧により、シャッター402が回動軸402aを中心に回動して、排気口401aが開放される。
【0036】
通風装置400を、横向きの姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面に取り付けた状態では、図25に示されるように、重り403の重心と回動軸402aの水平方向距離G、は小さい。このため、ファン10稼働時において、重り403によりシャッター402が閉じる方向に作用するモーメントは小さく、シャッター402の開放の阻害となりにくい。
一方で、通風装置400を、縦向き姿勢で、電気機器収納用箱99の側面に取り付けた状態では、図27に示されるように、重り403の重心と回動軸402aの水平方向距離Hは大きくなり、重り403によりシャッター402が閉じる方向に作用するモーメントは大きく、シャッター402が排気口401aを確実に閉塞する。
このように、通風装置400は、横向き又は縦向きの両方の姿勢で、電気機器収納用箱99の天井面又は側面に取り付けて使用することが可能となっている。
【0037】
(カバーを取り付けた実施形態の説明)
図30、図31を用いて、本発明の通風装置100〜400に、防水カバー99を取り付けた実施形態の説明をする。
図30、図31に示されるように、防水カバー99は、側方に排気口99aが、底部に取付口99bが形成された箱形である。排気口99aには、多数のスリット穴が形成された異物侵入防止部材99eが取り付けられている。図31に示されるように、異物侵入防止部材99eの内側には、不織紙や不織布等で構成されフィルタ99fが取り付けられている。
【0038】
防水カバー99を通風装置100〜400に取り付けるには、取付口99bから通風装置100〜400を防水カバー99内に挿通させて、ネジ97により通風装置100〜400に取り付ける。防水カバー99は、ネジ97により通風装置100〜400に取り付けられているので、着脱可能となっている。なお、図30の(B)や図31に示されるように、防水カバー99の排気口99a側の底部には、防水カバー99の排気口99a下端から、筐体101の排気口101aの下端まで延出する、防水板99dが形成されている。防水カバー99が取り付けられた状態では、通風装置100〜400は、防水カバー99で覆われている。このため、通風装置100〜400や電気機器収納用箱99内への雨水の進入をより確実に防止することが可能となる。防水カバー99は通風装置100〜400と一体でなく着脱可能な構造となっているので、防水カバー99を通風装置100〜400に取り付ける前に、電気機器収納用箱99と通風装置100〜400との取付面に、コーキング剤を塗布することができ、より防水性を高めることができる。
【0039】
なお、防止カバー99を通風装置100〜400取り付ける実施形態の場合には、筐体101〜401の天井面は不要であり、筐体101〜401は上方に開放した構造となっている。なお、防水性を確保するために、筐体101〜401の上端周縁と防水カバー99の天井面99cとの間に、パッキンを取り付けることが好ましい。筐体101〜401は上方に開放した構造となっているので、防水カバー99を取り外して、ファン10を交換することができる。また、防水カバー99は通風装置100〜400と一体でなく着脱可能な構造となっているので、フィルタ99fを交換することができる。
【0040】
図31に示されるように、防水カバー99の天井面99cや防水板99dは、排気口99a側が低くなるように、傾斜している。このため、天井面99cや防水板99d上の雨水が溜まること無く排気口99a側に流れ落ちるようになっている。
【0041】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気機器収納用箱の通風装置もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0042】
10 ファン
99 防水カバー
100 第1の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置
101 筐体
101a 排気口
101b 吸入口
101c 天井面
102 シャッター
102a 第1回動軸
102b 第2回動軸
102c 延出片
103 重り
104 ヒンジ
105 ヒンジ
106 移動規制部材
107 重り
200 第2の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置
201 筐体
202 シャッター
202a 延出片
202b 回動軸
300 第3の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置
301 筐体
302 シャッター
302a 回動軸
302b 接続部
303 ヒンジ
304 支持部材
305 重り
306 ワイヤー
400 第4の実施形態の電気機器収納用箱の通風装置
401 筐体
402 シャッター
402a 回動軸
402b 延出片
403 重り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器収納用箱の天井面又は側面のいずれにも取付可能で、前記天井面又は前記側面に形成された排気穴から前記箱内部の空気を外部に排出する通風装置であって、
底面に吸入口が形成されるとともに、側方に開放する排気口が形成された箱形の筐体と、
前記筐体内に取り付けられ、前記吸入口からの吸気を前記排気口から排気させるファンと、
前記排気口を閉塞するように、前記筐体に回動可能に取り付けられた板状のシャッターと、
前記シャッターの回動軸から前記シャッターと反対側方向に延出する延出片と、
前記延出片に取り付けられた重りを有し、
前記側面に形成された排気穴と前記吸入口を連通させ、前記排気口を下側に向けた縦向きの姿勢で前記側面に取り付けた場合には、前記延出片及び前記重りの質量により生じる前記回動軸回りのモーメントのほうが、前記シャッターの質量により生じる前記回動軸回りのモーメントよりも大きく構成されていることを特徴とする電気機器収納用箱の通風装置。
【請求項2】
前記天井面に形成された排気穴と前記吸入口を連通させ、前記排気口を横側に向けた横向き姿勢で前記天井面に取り付けた場合よりも、前記縦向き姿勢で前記側面に取り付けた場合のほうが、前記シャッターの回動軸と前記重りの重心との水平方向距離が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器収納用箱の通風装置。
【請求項3】
前記シャッターは、前記排気口の上方位置の筐体に回動可能に取り付けられ、
前記延出片は、前記シャッターの回動軸から上方に延出し、
前記重りは前記延出片の外側に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機器収納用箱の通風装置。
【請求項4】
前記重りは、前記延出片に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の電気機器収納用箱の通風装置。
【請求項5】
前記シャッターは、前記排気口の下方位置の筐体に回動可能に取り付けられ、
前記延出片は、前記シャッターの回動軸から下方に延出していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機器収納用箱の通風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−177501(P2012−177501A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40129(P2011−40129)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】