説明

電気機器用の整流子

電気機器用の整流子は、絶縁性の成形材料から形成された支持部材と、その上に整流子軸を中心にして均等配置された複数の金属製導体セグメント(3)およびその上に配置された回転子巻線用の接続要素と、ならびに前記導体セグメント(3)と導電的に接続された混信防止装置とからなる。混信防止装置は導体セグメント(3)の数に相当する数の個別の混信防止要素(10′)と互いに隣接する各2つの混信防止要素(10′)を導電的に相互に結合する前記数と同数の接触ブリッジ(11′)とを備え、ここで接触ブリッジ(11′)はいずれも内側に指向するとともに周囲方向において相互に接近し得るような弾力性を有していて対応する両方の混信防止要素と導電的に結合された2本の翼部(20′)と外側方向を指向していて対応する導体セグメントと導電的に結合された基底部(21′)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、絶縁性の成形材料から形成された支持部材と、その上に整流子軸を中心にして均等配置された複数の金属製導体セグメントおよびその上に配置された回転子巻線用の接続要素と、ならびに前記導体セグメントと導電的に接続された混信防止装置とからなる、電気機器用の整流子に関する。
【0002】
異なった構成形式(ドラム型整流子、平形整流子)の整流子が多様な構成形態によって知られている。特にドラム型整流子としての構成形態において、その整流子を備えている電気機械の近傍に設置された電子部品群が整流子上の電波生成によって影響を受けることを防止するために、電波抑制装置(混信防止装置)を装備した整流子が増えている。
【0003】
この種の混信防止装置は、従来電圧依存型抵抗を有する材料からなるリング形状の混信防止盤として構成されることが知られており、これは導体セグメントと導電的に接続されている。該当する混信防止盤は、ブラシ滑走面の放射方向外側(例えば、米国特許第5895990A号明細書、米国特許第5717270A号明細書、英国特許出願公開第2183933A号明細書、ならびに米国特許第5796203A号明細書参照)に配置するか、あるいはブラシ滑走面の放射方向内側(例えば、米国特許第6285106B1号明細書、独国特許出願公開第19953231A1号明細書参照)に配置することができる。加えて、導体セグメントが外側のシリンダ状混信防止スリーブ上に配置されている混信防止された特殊形式のドラム型整流子が知られている(独国特許第2055648号公報ならびに独国特許3614869C2号明細書)。欧州特許第364292B1号明細書には、接続ラグの半径方向下側に混信防止被覆を有するかあるいは独立した混信防止リングが隣接して配置された耐熱性の補強リングが設けられた熱可塑性材料から形成された支持部材を有するドラム型整流子が記載されており;この補強リングは必要に応じて設けられる独立した混信防止リングと同様に支持部材の台座上に配置されており、そこで導体セグメントから突出している固定リンクによって支持されている。
【0004】
混信防止盤の個別の構成とは無関係に、混信防止装置が環形状の混信防止盤からなる全ての整流子において、混信防止装置の多大なコストが問題点となる。これは、通常この種の混信防止盤を形成するために使用するセラミック材料が極めて高価であるためであり;また多層式金属−セラミック盤から切削して環形状の混信防止盤を製造する際には大量の切削屑が発生する。
【0005】
加えて、多くの実用上の適用に際して整流子が使用できる空間が限られているため、混信防止盤を使用して混信防止する既知のドラム型整流子のうちブラシ滑走面の半径方向内側に配置された混信防止盤を有する小型の整流子のみが使用可能である。ブラシ滑走面の放射方向内側に配置された混信防止リングを有するこの種のドラム型整流子の別の問題点は、通常セラミック材料から形成される混信防止盤と該当する整流子のその他の構成要素と比べて異なった熱特性によるものである。特別な処置が施されない限り、熱応力によって破損した混信防止盤および/または導体セグメントと混信防止盤との間の接続の破壊のため早期の整流子の故障が発生し得る。この問題を解決するため、独国特許出願公開第19953231A1号明細書においては、可塑性の接着剤を使用して混信防止盤を支持部材に接合し導体セグメントは細い線を介して混信防止盤に接続し、この線は一方で該当する導体セグメントの接続ラグにハンダ付けし他方で該当する混信防止盤の金属化ゾーンにハンダ付けすることが提案されている。これに対して、前述した種類のドラム型整流子を開示している米国特許第6285106B1号明細書によれば、導体セグメントを混信防止盤と電気的に接触させるために板バネが設けられており、これは支持部材と導体セグメントと環状蓋部材によって仕切られるとともにその中にさらに混信防止盤も収容されている環状中空部内に配置されている。板バネは混信防止盤とその他の整流子構成部分において異なった放射方向の熱膨張に対応するものであり、これは特に環状蓋部材上に固定することができる。
【0006】
前述した導体セグメントの放射方向内側に配置された混信防止盤を備えた両方のドラム型整流子において特に問題なことは、ドラム型整流子の競争力を低下させる高い製造コストであり、これは特に混信防止盤の高い製造コスト(上記参照)によるものである。
【0007】
従って、本発明の目的は、少ない製造労力をもって低コストに大量生産することに向いていて、長寿命かつ信頼性の高い前述した種類の混信防止された整流子を提供することであり、この際混信防止されていない同様な設計の整流子と実質的に同等な寸法からなる混信防止された整流子を製造し得ることが好適である。
【0008】
前記の課題は、本発明に従って、混信防止装置が導体セグメントの数に相当する数の個別の混信防止要素とこれと同数の互いに隣接する各2つの混信防止要素を導電的に互いに結合する接触ブリッジとを備え、ここで接触ブリッジはいずれも内側に指向するとともに周囲方向において相互に接近するよう弾性を有していて両方の対応する混信防止要素と導電的に結合された2本の翼部と外側方向を指向していて対応する導体セグメントと導電的に結合された基底部とを備えている。
【0009】
従って、本発明に係る整流子の第1の特徴は、混信防止装置が環状の混信防止盤を備えておらず、むしろ導体セグメントの数に相当する数の個別の混信防止要素を備えていることであり;この種の混信防止要素は多層式コンデンサとして特に四角形に形成することができ、これは多層金属−セラミック板から特に多量の切り屑を発生させることなく低コストに製造することができる。さらに、本発明に係る整流子は、各2つの互いに隣接する混信防止要素がいずれも1つの接触ブリッジを介して相互に導電性に結合され、この際接触ブリッジはその両方の翼部上で前記2つの混信防止要素と導電性に結合され、この両方の翼部が周囲方向において互いに接近するように弾力的に形成されることを特徴とする。ここで“弾力的”とは、接触ブリッジを周囲方向において変形させるために必要な応力が接触ブリッジと混信防止要素との間の結合の強度よりも小さいことを意味している。本発明に係る整流子の特徴である混信防止装置はこの方式によって混信防止要素と接触ブリッジとから構成され、これらは環状構造を構成するために交互に配置されている。ここで接触ブリッジの弾力性によって環状構造が硬直的とならないことがもたらされ;むしろこの環状構造はその周囲全域にわたって弾力的なものとなり、それによって熱膨張に従った整流子の寸法変化を補償することができる。接触ブリッジを分割された部品として製造することによって、混信防止装置の環状構造の弾力性および剛性、ならびに接触ブリッジと混信防止要素との間の接続の観点において材料の選択および寸法を最適化することによって、殆ど制限なく所要の機能に適合させることができる。
【0010】
組み立て状態での接触ブリッジの変形性はその弾力的な構成と並んで、接触ブリッジの翼部が自由に支持される、すなわち一般的な整流子の温度膨張の枠内で隣接する整流子の構成部材によって妨害されることなく変形可能であることによって可能になる。
【0011】
接触ブリッジと各2つの隣接する混信防止要素の接触極あるいは接触面との間の“導電性の結合”は、機械的な応力の伝達も可能なものである限り本発明の枠内において多様な接触子によって可能であり;特にハンダ等の結合材料を好適に使用することができるが(後述参照)、本発明の全ての構成形態において不可避に使用されるものではない。ここで、整流子の寿命に悪影響を及ぼさない、接触ブリッジと混信防止要素との間の直接的な接触は、接触ブリッジが個々の整流子構成部材の多様な熱膨張特性を補償するように変形可能であることによって達成される、ことによって解決される。
【0012】
従って、本発明の適用により、本発明に係る整流子の特徴の組み合わせのため、最小限の加工労力により極めて低コスト、超寿命かつ小型の混信防止された整流子を製造することができる。この際、本発明はブラシ滑走面の構成に左右されずに多様な整流子構成方式に適用可能である。自動車の燃料ポンプの駆動に使用されるような、炭素材滑走面を備えた整流子を本発明に従って構成することが特に好適である。
【0013】
特に好適なことは、接触ブリッジが単純なハンダ結合あるいは導電性の接着剤結合によって接触点の領域において恒久的に混信防止要素と結合されることである。同様なことが、導体セグメントと接触する接触ブリッジの基底領域における接触ブリッジと導体セグメントの間の結合にも該当する。この点に関して、混信防止要素の接触極の領域および/または接触ブリッジの翼部領域に適宜な金属化(例えば銀あるいは錫メッキ)を施すことが好適であり;また接触ブリッジを銅、真鍮、あるいはそれらの金属を含んだ合金から形成することも有効である。この種の接触ブリッジと混信防止要素および/または導体セグメントとの間の恒久的な結合は、混信防止要素自体と同様に周囲方向において弾力性である接触ブリッジの構成によって極少ない機械的負荷に曝されるだけであり、これは本発明に係る整流子を腐食し易い環境で使用する際に極めて効果的であることが理解される。
【0014】
本発明に係る整流子の別の構成形態によれば、混信防止要素は四角形の多層コンデンサとして構成され、等辺多角形の縁部に沿って整流子軸を中心に、好適にはそれぞれ隣接する2つの導体セグメント間の間隙部に配置される。このことによって製造方法が簡略化され、従って本発明に係る整流子の製造コストが低下する。
【0015】
接触ブリッジの構造形態に関し、本発明の枠内において大きな許容範囲がもたらされ、これを利用して特に整流子の構造様式、寸法、および固有の要求性能に対応することができる。この点に関して、本発明の第1の好適な構成形態は、接触ブリッジがいずれも場所的に2つの隣接する混信防止要素の間に配置されるとともに、当該混信防止要素の端面側接触面と結合されることが好適である。ここで、接触ブリッジはいずれも湾曲した金属製の帯状材から形成され、ここで接触ブリッジの基本形は実質的にV字型とすることができる。
【0016】
本発明の別の好適な構成形態によれば、接触ブリッジは混信防止要素に対して軸方向に変位した面内に配置され、側方に形成された接触面の領域で当該混信防止要素と結合される。この場合、接触ブリッジはその形状の点に関して蹄鉄とそれに結合された足部に似たものとなり、これは金属製の平板材料(例えば金板)から極めて低コストに製造することができる。この種の接触ブリッジの構成によっても、本発明に係る整流子の製造に関して好適な効果をもたらすことができる。
【0017】
本発明の基盤となる概念は多様な形式の整流子(ドラム型整流子、平形整流子)ならびに多様な方式で形成されたブラシ滑走面(例えば直接金属製の導体セグメント上に形成されたもの、あるいは炭素材滑走面を有するもの等)において利点をもたらすが、シリンダ形状のブラシ滑走面を有するドラム型整流子としての整流子の構成の場合に本発明によって達成される利点が特に顕著に現れる。これは、ブラシ滑走面が軸方向に向かって混信防止装置から突出して延在するため、本発明によって極めて小型の構造が達成されるためである。
【0018】
接続要素の構成の観点において、さらに別の本発明の好適な追加構成は、整流子をドラム型整流子として構成した際に混信防止装置の反対側の整流子の端面の領域に配置される接続ラグとして接続要素を形成することを特徴とする。この場合、回転子巻線の接続ラグへの溶着中において接触ブリッジと導体セグメントならびに混信防止要素との間の接続が破損する危険性が最小限となる。
【0019】
混信防止要素は、組立て中にその位置を保持するために支持部材内に軸方向に没入されている収容部内に挿入することが特に好適である。この種の収容部の仕切り壁は該当する混信防止要素を放射方向、周囲方向ならびに軸方向において向かい側の混信防止要素の放射方向内側および外側表面ならびに前端面に対して支持するように作用する。この収容部は、放射方向内側および周囲方向に対してそれぞれリブリングによってまた放射方向外側に対して支持部材の成形材突出部によって仕切ることが特に好適である。
【0020】
これに関連して、前述した接触ブリッジの構成の場合いずれにしても、空間的に互いに隣接する混信防止要素の間において混信防止要素の個々の収容部が接触ブリッジの取り付け空間を通じて互いに結合され、ここで取り付け空間の構成は接触ブリッジの形状に相当するものとなる。このことは必要不可欠なものではないが、接触ブリッジが前述したように混信防止要素から軸方向に変位した平面内に配置されるとともに当該混信防止要素と側面において、すなわち軸方向に形成された接触面を介して結合されている場合には極めて好適である。
【0021】
本発明に係る整流子の製造に関して述べると、これは、当業者において既知である方式に従って、支持部材とその中に埋入された導体セグメントからなる整流子未加工材によって形成される。この点に関して本発明は従来からよく知られた技術に基づいたものであり、従ってより詳細な説明は省略する。既知の整流子の製造に使用される技術と異なった点は、支持部材の製造に際してその端面側に設けられた混信防止要素の収容部と、ならびに必要に応じてこれらの収容部を互いに結合している接触ブリッジのための取り付け空間を形成することである。通常、これに続く個々の混信防止要素ならびにそれと同数の接触ブリッジの組み立ては前後する独立したステップで実施される。この点に関して、後続する製造プロセス中においてまず予加工された混信防止要素を前記収容部内に挿入し;これに続いて予加工された接触ブリッジをいずれも隣接する2つの混信防止要素ならびに1つの導体セグメントと導電性に結合するように取り付ける。このため接触ブリッジはその翼部の領域において対応する両方の混信防止要素と、その基底部領域において対応する胴体セグメントとハンダ付けあるいは接着することができる。
【0022】
ここで、接触ブリッジを取り付ける前に、後に混信防止要素ならびに導体セグメントと導電性に結合される部分にハンダ材あるいは接着剤を塗布することが好適である。
【0023】
前述したように、接触ブリッジが平板上の帯状板金材から打ち抜き加工される場合、その打ち抜き加工中の形状が製造する整流子内における形状に相当することが好適である。接触ブリッジはそれを帯状板金材から打ち抜いた後再びその中に嵌め込まれ、従ってこの帯状板金材が接触ブリッジの組み立て補助材を形成する。混信防止要素を収容部内に挿入した後、全ての接触ブリッジが同時に帯状板金材から押出すことによって(存在する場合)取り付け空間内に取り付けられる。この方式において、ハンダ材あるいは接着剤を使用する場合、接触ブリッジを再び帯状板金材内に挿入した後に、この接触ブリッジにハンダ材あるいは接着剤を塗布する。
【0024】
次に、本発明の実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0025】
図1ないし図3に示されているドラム型整流子は、主要な構成部材として絶縁性の成形材から形成された支持部材1と整流子軸2の周りに均等に配置された10個の導体セグメント3とを備え、この導体セグメントの周囲面がブラシ滑走面4を定義している。支持部材1は軸2と同心である孔部5を備えており、これは整流子の構成において図示されていない回転子軸として機能する。
【0026】
導体セグメント3の電機子部分6は支持部材1の成形材料内に埋め込まれ、これによって導体セグメントが高い回転数においてもその際発生する慣性力にもかかわらず安定的に固定される。導体セグメント3の末端側には接続ラグ7が設けられており、これは既知のものと同様な方式で巻線を整流子へ接続するよう機能する。
【0027】
前述した範囲内において図1ないし図3に示された整流子は従来の技術によるものと同様であり、従ってその詳細な説明は省略する。
【0028】
接続ラグ7の反対側の端面8の領域内において整流子は混信防止装置9を備えている。これは等しい形状で整流子軸2の周りに配置されたセラミック材料製の10個の四角形の個別混信防止要素10ならびに10個の接触ブリッジ11からなる。ここで混信防止要素10は導体セグメント3間の間隙に配置される。これらはいずれもコンデンサ機能を有していて、(整流子を組み立てた状態で周囲方向において)互いに対向する2つの端面上にこの混信防止要素の接触極を形成する金属化層12を備えている。各混信防止要素10は、支持部材1の袋状収容部14内に収容されている。この収容部14は放射方向内側ならびに周囲方向において周囲面15または支持部材1の一部であるリブリング17の2つのリブ16によって仕切られており;放射方向外側に対してはそれぞれ支持部材1の成形材突出部18が混信防止要素10の収容部14を仕切っている。各成形材突出部18上には外側に2つの導体セグメント3が着合しており;各2つの隣接する導体セグメント3を互いに絶縁している空隙部19は成形材突出部18内部へ延在している。
【0029】
接触ブリッジ11は、それぞれ空間的に隣接する2つの混信防止要素10の間に配置され、当該混信防止要素と端面側の接触極13の領域で結合される。これはいずれも金属製帯状材からなり、これが2つの翼部20と1つの基底部21を形成するために幾度も曲折される(図3)。この観点から、接触ブリッジの基本形状はV字型とされる。接触ブリッジ11を複数回曲折するため、一方で翼部21が四角形の混信防止要素10の接触極13上に大面積で接合し、他方で接触ブリッジ11は周囲方向および放射方向の両方において弾力的な柔軟性を備えることができる。接触ブリッジ11は翼部20の領域内においてハンダ付け接合部22を介して混信防止要素10と、基底部21の領域においてはハンダ付け接合部23を介して対応する導体セグメント3の半径方向内側面と固定的に結合される。混信防止要素10の収容部14は接触ブリッジ11の取り付け空間24を介して互いに結合されており、これは接触ブリッジ11の自由な変形性を妨害しないように形成されている。
【0030】
図4ないし図6に示されている本発明に係る整流子の第2の実施例はその主要な構成要素の観点から図1ないし図3に示された実施例と同等である。従って、説明の繰り返しを避けるために前述した説明を参考にする。
【0031】
図4ないし図6に示された整流子は、図1ないし図3に示された整流子と比べて、主に混信防止装置9′の構成が異なっている。ここで接触ブリッジ11′は平坦な金属製平板材から形成されており;接触ブリッジ11′の形状は両方の翼部20′を形成している蹄鉄状部材とその頂点に設けられた基底部21′に相当している。接触ブリッジ11′は、四角形の混信防止要素10′に対して軸方向に変位して配置され、ここでその翼部20′が混信防止要素10′に対してその側部領域で、すなわち整流子の軸方向面内に配置された金属製の接触面25′に接合している。そこにおいて接触ブリッジ11′は、ハンダ付け接合部26を介して混信防止要素10′と固定的に結合されている。導体セグメント3はいずれもその内側に溝形状の低没部27を備えており、その中に対応する接触ブリッジ11′がその基底部21′をもって嵌合する。低没部27の内側端部上には当該接触ブリッジ11′のための台座27aが形成されている。ハンダ付け接合部28によって各接触ブリッジ11′と導体セグメント3が固定的に結合されている。
【0032】
この実施例においても、混信防止要素10′のための収容部14′が接触ブリッジ11′の取り付け空間24′を介して互いに結合されており、ここで接触ブリッジの取り付け空間24′は混信防止要素10′と接触ブリッジ11′の軸方向の積重ね構成のため混信防止要素10′の収容部14′よりも小さな深さを有している。
【0033】
前述したドラム型整流子の実施例は勿論本発明に従って平型整流子にも適用することが可能である。その実施例が図7に示されている。ここで平型整流子は、既知の方式で、成形材から形成された支持部材1″とその中に埋め込まれた8個の導体セグメント3″を備えている。各導体セグメント3″に対してそれぞれ1つの炭素材セグメント29が導電性に結合されており、ここで炭素材セグメントの端面がブラシ滑走面4″を定義している。接続ラグ7″は整流子のブラシ滑走面4″と反対側の面の導体セグメント3″上に配置されている。
【0034】
同様に、ブラシ滑走面4″と反対側の面上に、整流子が混信防止装置9″を備えている。これは8個の実質的に四角形の混信防止要素10″と8個の接触ブリッジ11″とを備えており、これらはいずれも両方の隣接している混信防止要素10″ならびに対応する導体セグメント3″と導電性に結合されている。混信防止要素10″は支持部材1″内に形成された収容部14″内に挿入されている。接触ブリッジ11″は取り付け空間24″内に挿入されており、これはいずれも隣接する2つの収容部14″を互いに結合しているが、収容部14″に比べて混信防止要素10″の分だけ縮小された深さを有している。その他の点では、図7に示されている平型整流子によって実現された混信防止装置は図4ないし図6に示されたドラム型整流子によって実現された混信防止装置と同様に構成されている。説明の重複を避けるために前述した整流子と同様な記述は省略する。そのことは整流子の製造方法についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に従って構成されたドラム型整流子の第1の実施例を示す軸方向端面図である。
【図2】図1のドラム型整流子の端面側平面図である。
【図3】図1および図2の整流子の図1に示された端面の一部を示す拡大透視図である。
【図4】本発明に従って構成されたドラム型整流子の第2の実施例を示す軸方向端面図である。
【図5】図4のドラム型整流子の端面側平面図である。
【図6】図4および図5の整流子の図4に示された端面の一部を示す拡大透視図である。
【図7】本発明に従って構成された平型整流子を示した透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の成形材料から形成された支持部材(1,1″)と、その上に整流子軸(2)を中心にして均等配置された複数の金属製導体セグメント(3,3″)およびその上に配置された回転子巻線用の接続要素と、ならびに前記導体セグメント(3,3″)と導電的に接続された混信防止装置(9,9′,9″)とからなる、電気機器用の整流子であり、
混信防止装置(9,9′,9″)が導体セグメント(3,3″)の数に相当する数の整流子軸(2)を中心にして配置された個別の混信防止要素(10,10′,10″)と互いに隣接する各2つの混信防止要素(10,10′,10″)を導電的に相互に結合する前記数と同数の接触ブリッジ(11,11′,11″)とを備え、ここで接触ブリッジ(11,11′,11″)はいずれも内側に指向するとともに周囲方向において相互に接近し得るような弾力性を有していて対応する両方の混信防止要素と導電的に結合された2本の翼部(20,20′)と外側方向を指向していて対応する導体セグメントと導電的に結合された基底部(21,21′)とを備えている、
ことを特徴とする整流子。
【請求項2】
混信防止要素(10,10′,10″)は四角形の多層コンデンサとして形成されることを特徴とする請求項1記載の整流子。
【請求項3】
混信防止要素(10,10′,10″)は整流子軸(2)を中心にして等辺多角形の辺に沿って等間隔で配置されることを特徴とする請求項1または2記載の整流子。
【請求項4】
混信防止要素(10,10′,10″)は支持部材(1,1″)の収容部(14,14′,14″)内に挿入され、これが当該混信防止要素の位置を半径方向および周囲方向において定義することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の整流子。
【請求項5】
収容部(14,14′,14″)は放射方向内側および周囲方向においてそれぞれリブリング(17,17″)によってまた放射方向外側に対して支持部材(1,1″)の成形材突出部(18,18″)によって仕切られることを特徴とする請求項4記載の整流子。
【請求項6】
混信防止要素(10,10′,10″)の収容部(14,14′,14″)は接触ブリッジ(11,11′,11″)の取り付け空間(24,24′,24″)を介して互いに結合されていることを特徴とする請求項4または5記載の整流子。
【請求項7】
接触ブリッジ(11)は空間的に隣接する2つの混信防止要素(10)の間に配置され、当該混信防止要素と端面側の接触極(13)の領域で結合されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の整流子。
【請求項8】
接触ブリッジ(11)は曲折した金属製帯状材からなることを特徴とする請求項7記載の整流子。
【請求項9】
接触ブリッジ(11′,11″)は混信防止要素(10′,10″)に対して軸方向に変位した面内に配置され、側方に形成された接触面(25)の領域で当該混信防止要素と結合されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の整流子。
【請求項10】
接触ブリッジ(11′,11″)は実質的に蹄鉄形状に形成され、平坦な金属製平板材料、特に板金から打ち抜き加工されることを特徴とする請求項9記載の整流子。
【請求項11】
接触ブリッジ(11,11′,11″)はその翼部(20,20′)の領域で対応する混信防止要素(10,10′,10″)にハンダ付けまたは接着結合されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の整流子。
【請求項12】
接触ブリッジ(11,11′,11″)は銅、真鍮、あるいはそれらの金属を含んだ合金から形成することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の整流子。
【請求項13】
接触ブリッジ(11,11′,11″)は少なくとも部分的に銀または錫の被覆を有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の整流子。
【請求項14】
導体セグメント(3,3″)はその半径方向内側面に低没部(27)を備えており、その中に接触ブリッジ(11′,11″)の基底部(21′)が嵌合することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の整流子。
【請求項15】
接触ブリッジ(11,11′,11″)はその基底部(21,21′,21″)の領域で対応する導体セグメント(3,3″)とハンダ付けまたは接着結合されることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の整流子。
【請求項16】
円筒形のブラシ滑走面(4)を備えたドラム型整流子として形成されることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の整流子。
【請求項17】
ブラシ滑走面(4)は軸方向において混信防止装置(9,9′)を超えて延在し、ここで導体セグメント(3)のブラシ滑走面(4)の下の半径方向の厚みが混信防止装置(9,9′)の領域において0.5mmより大きくなることを特徴する請求項16記載の整流子。
【請求項18】
混信防止装置(9,9′)は接続要素(7)と反対側の整流子の端面上に配置されることを特徴とする請求項16または17記載の整流子。
【請求項19】
平坦なブラシ滑走面(4″)を有する平型整流子として構成され、混信防止装置(9″)はブラシ滑走面の逆側の整流子の端面上に配置されることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の整流子。
【請求項20】
支持部材(1,1″)と導体セグメント(3,3″)を含み、端面側に支持部材内に配置された混信防止要素(10,10′,10″)のための収容部(14,14′,14″)を備えた整流子未加工材を製造し;
複数の混信防止要素(10,10′,10″)を製造し;
それぞれ互いに接近し得るように柔軟性を有した2本の翼部(20,20′)と1つの基底部(21,21′)を備えた、混信防止要素の数と等しい数の接触ブリッジ(11,11′,11″)を製造し;
混信防止要素(10,10′,10″)を支持部材(1,1″)の収容部(14,14′,14″)内に挿入し;
接触ブリッジ(11,11′,11″)をその翼部(20,20′)領域において対応する混信防止要素(10,10′,10″)と、その基底部(21,21′)領域においては対応する導体セグメント(3,3″)とハンダ付けあるいは接着結合することによってこの接触ブリッジ(11,11′,11″)をいずれも2つの隣接する混信防止要素(10,10′,10″)ならびに1つの導体セグメント(3,3″)と導電性に結合するようにして取り付ける:
各ステップからなる整流子の製造方法。
【請求項21】
接触ブリッジ(11,11′,11″)を取り付ける前に後に混信防止要素(10,10′,10″)ならびに導体セグメント(3,3″)と導電性に結合する領域にハンダ材料あるいは接着剤を塗布することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
接触ブリッジ(11′,11″)は帯状板金材から打ち抜き加工によって製造することを特徴とする請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
接触ブリッジ(11′,11″)の打ち抜き加工中における形態がその製造する整流子内における形態に相当し、この際接触ブリッジ(11′,11″)は帯状板金材から打ち抜いた後再びその中に圧入され、混信防止要素(10′,10″)が収容部(14′,14″)内に挿入された後全て同時に帯状板金材から押出すことによって整流子未加工材に取り付けられることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
接触ブリッジ(11,11′,11″)を帯状板金材内に再度圧入した後その上にハンダ材料あるいは接着剤を塗布することを特徴とする請求項21および23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−511997(P2007−511997A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540297(P2006−540297)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013004
【国際公開番号】WO2005/050820
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(505039424)コレクトール グループ デー.オー.オー. (8)
【Fターム(参考)】