説明

電気機器用巻線導体を製造するための方法およびこの方法により製造される巻線導体

本発明は、電気機器用の巻線導体(6a)を製造するための方法であって、機能性絶縁(22)で予め絶縁されたエナメル線(2)に単数または多数の熱可塑性絶縁層(60)が押出法によって被着され、前記熱可塑性絶縁層(60)のそれぞれが、専ら耐熱熱可塑性樹脂からなる方法に関する。本発明はさらに、この方法により製造された巻線導体に関する。耐熱熱可塑性樹脂を絶縁層として使用することによって、断熱クラスH、F用の巻線導体を押出法で安価に製造することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器、特に電気機械および変圧器用の巻線導体を製造するための方法に関する。本発明はさらに、この方法によって製造される巻線導体に関する。
【0002】
独国特許出願公開第3617818号明細書により公知の磁気コイル用巻線導体では、金属導体コアがポリウレタンPU、ポリエステルイミドPEIまたはTHEIC−ポリエステルイミドTHEIC−PEIを基とするエナメル絶縁(基礎絶縁)を備えている。このエナメル絶縁上にバックエナメル層が被着され、このバックエナメル層で巻線導体が巻線組立体内で融合される。
【0003】
エナメル絶縁を備えたこのような導体コア(エナメル線)の製造は一般に、溶媒に溶かしたポリマーを例えば噴霧によってまたは浸漬法で裸金属線に被覆し、引き続き乾燥させることによって行われる。このような単層または多層エナメル線を製造するための好適な方法が例えば独国特許出願公開第19538189号明細書に詳しく述べられている。これに対する選択案として独国特許出願公開第2728883号明細書により押出法でエナメル線を製造することが公知であり、そこでは溶解された熱可塑性素材がノズルによって裸金属線上に環状に被着され、引き続き金属線と一緒に円筒管内に通され、この管内で素材は圧力下に金属線に加圧される(加圧被覆)。しかし使用される熱可塑性素材は150℃より上の連続使用温度に適していない。
【0004】
従来の変圧器の巻線用に一般に巻線導体として使用される銅線は単一のエナメル絶縁を備えている。このエナメル絶縁は機能性絶縁とも称され、僅かな耐電圧を有するにすぎない。それゆえに、一次巻線と二次巻線が重ねて巻回された変圧器を構成する場合、これらの巻線を付加絶縁薄膜によって相互に電気的に絶縁する必要がある。さらに、各変圧器形式の規格によって要求される沿面距離をもたらすために、側部絶縁層を取付けることが不可欠である。
【0005】
製造技術上の理由から、また構造寸法を減らすために、最近では、絶縁層も絶縁薄膜も必要としない変圧器を構成する努力が強く試みられている。これに適した巻線導体は、従来のエナメル絶縁に比べて著しく改善された耐電圧を有しなければならない。
【0006】
独国特許出願公開第4336385号明細書または米国特許第5606152号明細書により公知の巻線導体では、少なくとも3つの熱可塑性絶縁層がエナメル絶縁なしに押出法で線に被着されている。個々の絶縁層用に使用されるプラスチック配合物でもって、一方で個々の層相互の分離性が達成され、他方で、絶縁層がろう浴内で線から容易に剥がれるのでろう付性が改善される。分離性の利点として、最外絶縁層の破損時に亀裂生長は第2絶縁層の表面にまで起きるにすぎず、第2絶縁層およびさらに内側にあるすべての層は未破損のままである。しかしこれら公知の巻線導体は耐熱クラスB(130℃)までの利用にのみ適している。
【0007】
これらの刊行物でさらに触れられている絶縁線の1実施形態では、ポリウレタンPUを塗布された線がフッ素ポリマーからなる3つの他の絶縁層で押出被覆されている。しかしこのような絶縁線は巻線導体として使用するには限定的にのみ適している。というのも、ポリウレタン層と最内熱可塑性絶縁層との間、熱可塑性絶縁層自体の間の付着が不十分であり、引張応力が加わると絶縁層が塗布線から剥がれることがあるからである。
【0008】
欧州特許出願公開第0825623号明細書により公知の巻線導体では、多数の絶縁層が同様に押出によって線に被着され、この線は裸金属線または機能性絶縁を備えた線とすることができる。これら公知の巻線導体も耐熱クラスBに至るまでの利用にのみ適している。
【0009】
独国特許出願公開第19748529号明細書に開示された巻線は耐熱熱可塑性樹脂からなる単数または複数の絶縁層を有し、より高い耐熱クラス用に適している。これらの耐熱熱可塑性樹脂は押出法で裸金属線に被着される。しかし実際には、裸金属線に対する熱可塑性絶縁層の付着が満足できるものでないことが判明した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、電気機器用、特に変圧器用の、耐熱クラスBよりも高い耐熱クラスでの利用にも適した巻線導体の製造方法を明示することである。さらに本発明の課題は、この方法により製造される巻線導体を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
方法に関して前記課題は本発明によれば請求項1の特徴を有する方法で解決される。この方法では、機能性絶縁で予め絶縁されたエナメル線に若干数の熱可塑性絶縁層、すなわち単数または複数の熱可塑性絶縁層がそれぞれ押出法によって被着され、前記熱可塑性絶縁層のそれぞれが、専ら耐熱熱可塑性樹脂からなる。換言するなら、エナメル線は耐熱熱可塑性樹脂からなる少なくとも1つの絶縁層によって取り囲まれる。本発明の意味における耐熱熱可塑性樹脂は熱可塑性処理に適したあらゆるプラスチックであり、熱可塑性処理可能なフッ素ポリマーの群を除き、150°より上の連続使用温度を有する。この群の耐熱熱可塑性樹脂に含まれるプラスチックは、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、シンジオタクチックポリスチレン(s−PS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(t−PI)、液晶ポリマー(LCP)、そしていくつかの特殊なポリアリレート(PAR)、部分芳香族ポリアミド(PPA)である。
【0012】
本発明の意味で専ら耐熱熱可塑性樹脂からなるとは、場合によって処理技術上の理由から添加されるコポリマーが、それ自体としては耐熱熱可塑性樹脂ではないとしても、せいぜい、生じるポリマー混合物をいまなお耐熱熱可塑性樹脂の群に分類できる程度に存在することも、そのように理解される。さらに耐熱熱可塑性樹脂になお、処理用の通常の補助物質または材料特性を変更または改善するための添加剤、例えば可塑剤、充填剤または着色剤も添加することができる。
【0013】
エナメル線は市販のエナメル線、すなわち相応する耐熱クラス用に単層または多層機能性絶縁を備えた金属線とすることができる。本発明は、単数もしくは複数の熱可塑性絶縁層が裸金属線に対してよりもエナメル線に対して著しく良好に付着するとの認識に依拠している。
【0014】
耐熱クラスF用にエナメル線は特に銅エナメル線であり、そのエナメル層は変性ポリウレタンからなる単層塗膜で1度に相当する厚さを有し、機能性絶縁層の厚さは導体直径に依存して規格DIN EN 60 317−0−1、DIN EN 60 317−20に規定されている。耐熱クラスH用にエナメル線として予定されるのは有利には銅エナメル線グレード1であり、変性ポリエステル−THEICとアミドイミド上塗りとからなる2層塗膜を有し、DIN EN 60 317−0−1、DIN EN 60 317−13に規定されている。
【0015】
エナメル線が単に1つの熱可塑性絶縁層を備えている巻線導体は、基礎絶縁を有する熱可塑性巻線導体と称される。2つの熱可塑性絶縁層の場合、付加絶縁を有する巻線導体と呼ばれ、3つ以上の熱可塑性絶縁層では、強化絶縁を有する巻線導体と呼ばれる。それぞれ耐熱熱可塑性樹脂からなる単数または複数の絶縁層をエナメル線に被着することによって、基礎絶縁、付加絶縁および強化絶縁を有する極端に薄くて無孔かつ高耐電圧な巻線導体を製造することができ、これらの巻線導体は耐熱クラスF、Hで利用するための諸要求を満足する。基礎絶縁を有する巻線導体は総絶縁(機能性絶縁またはエナメル絶縁+熱可塑性絶縁層)の厚さが約45μmの場合既に耐電圧>10kVを示す。強化絶縁を有する巻線導体では、総絶縁層厚(機能性絶縁+3つの熱可塑性絶縁層)がいまなお100μmよりかなり下であり、耐電圧は18kVよりも大きい。
【0016】
押出被覆は有利にはいわゆるチューブ延伸法で行われ、そこでは耐熱熱可塑性樹脂が、線を取り囲む環状ノズルからチューブ状に噴出し、環状ノズルから距離を置いてはじめて線の表面に触れる。環状ノズルを通して動く線は耐熱熱可塑性樹脂を受容し、この相対運動に基づいて樹脂に引張荷重を加え、被着された絶縁層の厚さは線の速度によって制御される。総絶縁は絶縁層の数にかかわりなく1工程で被着されるので、押出被覆時に可能な高い製造速度と薄い絶縁層のゆえに僅かな材料投入量とに基づいて巻線導体の安価な製造が可能である。
【0017】
本発明に係る巻線導体でもって配電網接続用変圧器、制御変圧器および絶縁変圧器は耐熱クラスF、H用に小型かつ緻密な構造寸法で製造することができる。さらに、上で述べた従来の絶縁薄膜および側部絶縁層が省かれ、同時にそれと結び付いた製造簡素化によって、このような変圧器は一層安価に製造することができる。
【0018】
耐熱熱可塑性樹脂からなる2つ以上の絶縁層が被着されるとき、絶縁層は単一の工程でタンデム法または/および共押出法で線に被着することができ、これは特別安価である。
【0019】
個々の熱可塑性絶縁層のそれぞれの厚さは線直径に依存して10乃至40μmである。好ましくは厚さは<25μm、特に15乃至25μmである。このような層厚を有する巻線導体は十分な耐電圧において特別省スペースな巻線を可能とする。
【0020】
幾つの熱可塑性絶縁層を被着するのかにかかわりなく、エナメル線の機能性絶縁に対する熱可塑性絶縁層の良好な付着も、複数の熱可塑性絶縁層の場合に熱可塑性絶縁層相互の良好な付着も確保されていなければならない。良好な付着は、後の巻線製造時に個々の絶縁層が剥離しもしくは絶縁層間に折目および空洞が生じることのないための前提条件である。変圧器または電気機械が動作電圧下で作動するとき、このような空洞内で迅速にグロー放電過程および部分放電過程が現れることがあり、これらの放電過程は絶縁層を破壊し、初期故障をもたらす。機能性絶縁および第1熱可塑性絶縁層の良好な付着は、押出被覆時に線を相応に予熱するとき達成することができる。耐熱クラスF用の変性ポリウレタンを塗装したエナメル線の場合、この予熱温度は150℃乃至250℃、好ましくは180℃乃至220℃である。耐熱クラスH用エナメル線の場合、予熱温度は>200℃、好ましくは300℃乃至330℃である。エナメル線が予熱されず、または不十分に予熱される場合、EN 60851−3、EN 60317−0−1によるラッピングテスト(弾性と付着)において剥離および折目形成が生じる。
【0021】
耐熱熱可塑性樹脂および押出法(共押出および/またはタンデム押出)の選択によって、層の間の粘着付着が十分な場合、完全に分離可能な絶縁層系を構成することもでき、または選択的に個々の絶縁層からの限定的部分分離のみが可能な絶縁層系を構成することもできる。例えば、同じ耐熱熱可塑性樹脂からなる第1、第2熱可塑性絶縁層が共押出法でエナメル線に被着される場合、これら両方の絶縁層は後に冷却状態ではもはや相互に分離可能でない。互いに相溶性の2種類の熱可塑性樹脂が共押出法で被着される場合にも同じことが妥当する。同じ絶縁材料を使ってタンデム法で被覆が行われ、第1熱可塑性絶縁層が一定の冷却−処理温度より約50乃至100℃低い−を受け、第2熱可塑性絶縁層の被着前に固化する場合、これら両方の層は後の冷却状態のとき相互に分離可能であるが、しかし上で触れた所要の粘着付着は維持される。
【0022】
すべての熱可塑性樹脂におけると同様に、耐熱熱可塑性樹脂においても無定形熱可塑性樹脂と半結晶性熱可塑性樹脂とを区別しなければならない。無定形耐熱熱可塑性樹脂の例はPES、PPSU、PEI、PARである。これらはガラス転移温度Tg(軟化温度)が約220℃である。PPS、s−PS、PAEK、PEEK、LCP、PPAは融点が>270℃で半結晶質である。この区別は耐熱クラスFまたはHで利用するうえで重要である。というのも規格EN 60317−20が、高められた温度での熱衝撃試験を規定しているからである。クラスFの場合これは、線直径に依存した直径の芯に巻回されて(やはり線直径に依存して)限定的な巻回張力を受けた試料を少なくとも175℃で30分間貯蔵し、引き続き耐電圧を試験することである。その他は同じ条件においてクラスHでは少なくとも220℃の貯蔵温度が規定されている。それゆえに、耐熱クラスFで利用するにはすべての耐熱熱可塑性樹脂は単層でも多層でも任意の順序で絶縁層として被着することができる。というのも、無定形耐熱熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgは要求された175℃の熱衝撃温度よりかなり上であるからである。耐熱クラスHでの利用の場合、無定形耐熱熱可塑性樹脂の軟化温度は規定された220℃の最低貯蔵温度に匹敵する。単に1つの熱可塑性絶縁層を有するエナメル線において巻回張力下のエナメル線が、軟化する熱可塑性絶縁層によって加圧され、後続の耐電圧試験に場合によって合格しなくなることを防止するために、この場合熱可塑性絶縁層は好ましくは、融点>270℃の半結晶性耐熱熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性絶縁の多層構造の場合、要求された220℃の最低温度を貯蔵温度が上まわらない限り、内側にある絶縁層用に無定形耐熱熱可塑性樹脂を利用することもできる。著しく高い貯蔵温度が要求される場合、多層構造の場合でも半結晶性耐熱熱可塑性樹脂のみを使用すべきであろう。
【0023】
多くの用途のため電気機械の変圧器または巻線は含浸樹脂で含浸される。優れた費用対パフォーマンス比のゆえにしばしば不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)またはポリエステルイミド樹脂(UPI)がこのために使用される。これらの含浸樹脂は1成分として反応性希釈剤、例えば単量体スチレンまたはビニルトルエンを含有している。これらはひどく応力亀裂を引き起こす媒体として知られている。耐熱熱可塑性樹脂はすべて耐化学薬品性が全体的に高いにもかかわらず、半結晶性耐熱熱可塑性樹脂のみがこれらの反応性希釈剤に対して十分な化学的な耐性を示す。これは特にPPS、PAEK、PEEK、LCP、s−PS、t−PI、PPAである。それゆえに、被着される熱可塑性絶縁層の数にかかわりなく、外側絶縁層が好ましくは前記半結晶性耐熱熱可塑性樹脂の1つからなると有利である。このような巻線導体は次にあらゆる含浸樹脂を流し込むのに適している。
【0024】
巻線導体に関して課題は本発明によれば請求項13の特徴を有する巻線導体で解決され、その諸利点は、請求項13に従属する請求項による巻線導体の諸利点と同様に、それぞれ付属する方法請求項から意味に即して明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明をさらに説明するために図面および以下の実施例を参照する。
【0026】
図1によれば、予め絶縁されたエナメル線2が所定の速度vで押出機4内に通され、チューブ延伸法で耐熱可塑性樹脂からなる熱可塑性絶縁層60を被覆される。エナメル線2は押出被覆前に所定温度に予熱される。この予熱は有利には押出被覆の直前に押出機の内部で行われる。押出機4から、いわゆる基礎絶縁された巻線導体6aは単に1つの熱可塑性絶縁層60を有して進出する。エナメル線2は裸金属線20からなり、この金属線はエナメルからなる単層または多層機能性絶縁22が被覆されている。このエナメル線2に単一の熱可塑性絶縁層60が被着される。
【0027】
図2が具体的に示す押出法ではエナメル線2が、タンデム配置で作動する2つの押出機4によって2つの熱可塑性絶縁層を備えられる。付加絶縁を有する巻線導体6bが最終製品である。第1絶縁層60に第2絶縁層62が被着される。タンデム法を使用することによって、第1(内側)絶縁層60の冷却度を介して第1絶縁層60と第2(外側)絶縁層62との間の分離性は調整することができる。しかし冷却は処理温度より概ね50乃至100℃低い温度にまでのみ行うべきであろう。互いに相溶性でない2つの熱可塑性樹脂が利用されるときにも分離性は容易となる。
【0028】
図3による実施例においてエナメル線2は共押出法で2つの絶縁層60、62が被覆される。こうして生成される巻線導体6cでは、第1絶縁層60と第2絶縁層62はもはや互いに分離することができない。
【0029】
図4に具体的に示す押出法においてエナメル線2はタンデム法で作動する3つの押出機4によって3つの絶縁層60、62、64を備えられる。こうして得られる巻線導体6dは強化絶縁を有し、この巻線導体は第1、第2、第3熱可塑性絶縁層60、62、64を有する。タンデム法によって第1(内側)絶縁層60、第2(中央)絶縁層62、第3(外側)絶縁層64は相互に分離することができる。
【0030】
図5は共押出法で作動する3つの押出機4の配列を示しており、これらの押出機でエナメル線2はやはり3つの絶縁層60、62、64を備えられる。こうして製造される巻線導体6eの絶縁層60、62、64は相互に分離することができない。
【0031】
図6による実施例に示す変更態様では、エナメル線2がやはり3つの絶縁層60、62、64を備えられ、両方の内側絶縁層60、62は共押出法で被着され、外側絶縁層64は後段の押出機4によって被着される。こうして製造される三重に絶縁された巻線導体6fでは、第1、第2絶縁層60、62は互いに分離することができない。第2、第3絶縁層62、64の間に分離性が達成される。
【0032】
図7に示す変更態様では、まず押出機4でエナメル線2に第1絶縁層60が被着され、こうして被覆された線は共押出法で作動する2つの押出機4を有する押出機配列に供給される。こうして得られる三重に絶縁された巻線導体6gにおいて第1絶縁層60と第2絶縁層62との分離性が存在する一方、第2絶縁層60と第3絶縁層64は相互に分離することができない。
【0033】
図示したすべての製造法においてエナメル線2の予熱は第1押出被覆の前に設けられている。図1乃至図7に基づいてそれぞれ解説した方法で製造された巻線導体の実施例が以下で詳しく述べられる。
【0034】
1.断熱クラスF用の実施例
1.1 1つの絶縁層を有する巻線(図1)
【0035】
(実施例1)
銅導体の直径 0.8mm
銅エナメル線グレード1の直径
(変性ポリウレタンPUからなる単一層を有する機能性絶縁):0.845mm
PEEKを押出被覆
予熱温度: 200℃
PEEKの層厚: 0.022mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.889mm
耐電圧: >10kV
変性PUに対する熱可塑性絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0036】
(実施例2)
実施例1による銅エナメル線
PEIを押出被覆
予熱温度: 195℃
PEIの層厚: 0.023mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.891mm
耐電圧: >11kV
変性PUに対する熱可塑性絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適していない。別の含浸樹脂が利用可能。
【0037】
1.2 2つの絶縁層を有する巻線(図2、図3)
【0038】
(実施例3)(図2)
実施例1による銅エナメル線
タンデム法でPES(第1絶縁層)とPPS(第2絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 205℃
内側PESの層厚: 0.022mm
外側PPSの層厚: 0.023mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.045mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.935mm
耐電圧: >14kV
絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0039】
(実施例4)(図3)
実施例1と同じ銅エナメル線
共押出法でPES(第1絶縁層)とPPS(第2絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 205℃
内側PESの層厚: 0.023mm
外側PPSの層厚: 0.023mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.046mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.937mm
耐電圧: >14kV
絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が不可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0040】
(実施例5)(図2)
実施例1と同じ銅エナメル線
タンデム法でPEI(第1絶縁層)とPEI(第2絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 195℃
内側PEIの層厚: 0.021mm
外側PEIの層厚: 0.023mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.044mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.933mm
耐電圧: >15kV
絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適していない。別の含浸樹脂が利用可能。
【0041】
(実施例6)(図3)
実施例1と同じ銅エナメル線
共押出法でPEI(第1絶縁層)とPEI(第2絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 195℃
内側PEIの層厚: 0.020mm
外側PEIの層厚: 0.025mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.045mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.935mm
耐電圧: >15kV
絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が不可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適していない。別の含浸樹脂が利用可能。
【0042】
1.3 3つの絶縁層を有する巻線(図4、図5、図6、図7)
【0043】
(実施例7)(図4)
実施例1と同じ銅エナメル線
タンデム法でPSU(第1絶縁層)、PPSU(第2絶縁層)、PEEK(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 210℃
内側PSUの層厚: 0.022mm
中央PPSUの層厚: 0.024mm
外側PEEKの層厚: 0.022mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.068mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.981mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0044】
(実施例8)(図5)
実施例1と同じ銅エナメル線
共押出法でPSU(第1絶縁層)、PPSU(第2絶縁層)、PEEK(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 210℃
内側PSUの層厚: 0.022mm
中央PPSUの層厚: 0.024mm
外側PEEKの層厚: 0.024mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.070mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.985mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が不可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0045】
(実施例9)(図4)
実施例1と同じ銅エナメル線
タンデム法でPES(第1絶縁層)、PES(第2絶縁層)、PES(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 200℃
内側PESの層厚: 0.022mm
中央PESの層厚: 0.023mm
外側PESの層厚: 0.025mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.070mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.985mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適していない。別の含浸樹脂が利用可能。
【0046】
(実施例10)(図5)
実施例1と同じ銅エナメル線
共押出法でPES(第1絶縁層)、PES(第2絶縁層)、PES(第3絶縁層)を押出被覆(図4b参照)
予熱温度: 200℃
内側PESの層厚: 0.022mm
中央PESの層厚: 0.024mm
外側PESの層厚: 0.020mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.066mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.977mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が不可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適していない。別の含浸樹脂が利用可能。
【0047】
(実施例11)(図6)
実施例1と同じ銅エナメル線
複合タンデム・共押出被覆。共押出法でPSU(第1絶縁層)とPPSU(第2絶縁層)、タンデム法でPEEK(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 210℃
内側PSUの層厚: 0.022mm
中央PPSUの層厚: 0.022mm
外側PEEKの層厚: 0.023mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.067mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.979mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層PSU(内側)とPPSU(中央)の分離が不可能。PPSU(中央)とPEEK(外側)の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0048】
(実施例12)(図7)
実施例1と同じ銅エナメル線
複合タンデム・共押出被覆。タンデム法でPSU(第1絶縁層)、共押出法でPPSU(第2絶縁層)とPEEK(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 210℃
内側PSUの層厚: 0.021mm
中央PPSUの層厚: 0.021mm
外側PEEKの層厚: 0.022mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.064mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.973mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層PPSU(中央)とPEEK(外側)の分離が不可能。PSU(内側)とPPSU(中央)との分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0049】
(実施例13)(図6)
実施例1と同じ銅エナメル線
複合タンデム・共押出被覆。共押出法でPPS(第1絶縁層)とPPS(第2絶縁層)、タンデム法でPPS(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 205℃
内側PPSの層厚: 0.023mm
中央PPSの層厚: 0.023mm
外側PPSの層厚: 0.022mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.068mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.981mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層PPS(内側)とPPS(中央)の分離が不可能。PPS(中央)とPPS(外側)の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。
【0050】
2.断熱クラスH用の実施例
2.1 単一の絶縁層を有する巻線(図1)
【0051】
(実施例14)
銅導体の直径 0.8mm
銅エナメル線グレード1の直径
(ポリエステル−THEICとアミドイミドの2層機能性絶縁): 0.845mm
PEEKを押出被覆
予熱温度: 320℃
PEEKの層厚: 0.025mm
機能絶縁を有する巻線の直径: 0.895mm
耐電圧: >10kV
機能性絶縁に対する熱可塑性絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。熱衝撃試験において貯蔵温度>220℃に適している。
【0052】
2.2 2つの絶縁層を有する巻線(図2、図3)
【0053】
(実施例15)(図2)
実施例14と同じ銅エナメル線
タンデム法でPES(第1絶縁層)とPPS(第2絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 290℃
内側PESの層厚: 0.020mm
外側PPSの層厚: 0.025mm
熱可塑性絶縁の総層厚: 0.045mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.935mm
耐電圧: >14kV
絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。熱衝撃試験において220℃の貯蔵温度に適している。
【0054】
(実施例16)(図3)
実施例14と同じ銅エナメル線
共押出法でPES(第1絶縁層)とPPS(第2絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 290℃
内側PESの層厚: 0.020mm
外側PPSの層厚: 0.020mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.040mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.925mm
耐電圧: >14kV
絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が不可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。熱衝撃試験において220℃の貯蔵温度に適している。
【0055】
(実施例17)(図2)
実施例14と同じ銅エナメル線
タンデム法でt−PI(第1絶縁層)とt−PI(第2絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 330℃
内側t−PIの層厚: 0.024mm
外側t−PIの層厚: 0.025mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.049mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.943mm
耐電圧: >14kV
絶縁層の付着:φ=0.9mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。熱衝撃試験において貯蔵温度>220℃に適している。
【0056】
2.3 3つの絶縁層を有する巻線(図4、図6)
【0057】
(実施例18)(図4)
実施例14と同じ銅エナメル線
タンデム法でPES(第1絶縁層)、PPSU(第2絶縁層)、PEEK(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 210℃
内側PESの層厚: 0.022mm
中央PPSUの層厚: 0.024mm
外側PEEKの層厚: 0.022mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.068mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.981mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層の分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。熱衝撃試験において220℃の貯蔵温度に適している。
【0058】
(実施例19)(図6)
実施例14と同じ銅エナメル線
複合タンデム・共押出被覆。共押出法でPPS(第1絶縁層)とPPS(第2絶縁層)、タンデム法でPPS(第3絶縁層)を押出被覆
予熱温度: 285℃
内側PPSの層厚: 0.023mm
中央PPSの層厚: 0.023mm
外側PPSの層厚: 0.022mm
熱可塑性絶縁層の総層厚: 0.068mm
絶縁層を有する巻線の直径: 0.981mm
耐電圧: >18kV
絶縁層の付着:φ=1.0mmの芯に巻回時に裂け目なし、折目形成なし。熱可塑性絶縁層PPS(内側)とPPS(中央)との分離が不可能。PPS(中央)とPPS(外側)との分離が可能。機能性絶縁の分離が可能。UP樹脂を追加的に流し込むのに適している。別の含浸樹脂も利用可能。熱衝撃試験において貯蔵温度>220℃に適している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る巻線導体を製造するための押出機配列とこの押出機配列で製造された巻線導体をそれぞれ略原理図で示す。
【図2】本発明に係る巻線導体を製造するための押出機配列とこの押出機配列で製造された巻線導体をそれぞれ略原理図で示す。
【図3】本発明に係る巻線導体を製造するための押出機配列とこの押出機配列で製造された巻線導体をそれぞれ略原理図で示す。
【図4】本発明に係る巻線導体を製造するための押出機配列とこの押出機配列で製造された巻線導体をそれぞれ略原理図で示す。
【図5】本発明に係る巻線導体を製造するための押出機配列とこの押出機配列で製造された巻線導体をそれぞれ略原理図で示す。
【図6】本発明に係る巻線導体を製造するための押出機配列とこの押出機配列で製造された巻線導体をそれぞれ略原理図で示す。
【図7】本発明に係る巻線導体を製造するための押出機配列とこの押出機配列で製造された巻線導体をそれぞれ略原理図で示す。
【符号の説明】
【0060】
2 エナメル線
4 押出機
6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g 巻線導体
20 金属線
22 機能性絶縁
60、62、64 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器、特に変圧器および電気機械用の巻線導体(6a乃至6g)を製造するための方法であって、機能性絶縁(22)で予め絶縁されたエナメル線(2)に1つの熱可塑性絶縁層(60)または多数の熱可塑性絶縁層(60、62、64)がそれぞれ押出法によって被着され、前記熱可塑性絶縁層が、もしくは前記複数の熱可塑性絶縁層(60、62、64)のそれぞれが、専ら耐熱熱可塑性樹脂からなる方法。
【請求項2】
前記絶縁層(60)もしくは前記複数の絶縁層(60、62、64)がチューブ延伸法で被着される請求項1記載の方法。
【請求項3】
耐熱熱可塑性樹脂の被着前にエナメル線(2)が予熱温度に加熱され、この予熱温度が、機能性絶縁(22)の耐熱性を考慮して耐熱熱可塑性樹脂の処理温度に極力近い請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの絶縁層(60、62、64)が共押出法で被着される請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの絶縁層(60、62、64)がタンデム法で被着される請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
少なくとも外側絶縁層(60、62、64)が結晶性または半結晶性耐熱熱可塑性樹脂である請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
予熱温度が150℃より上である先行請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
機能性絶縁(22)が変性ポリウレタンからなり、予熱温度が250℃を上まわらない請求項7記載の方法。
【請求項9】
機能性絶縁(22)が2層であり、ポリエステル−THEICと第2アミドイミド層とからなり、半結晶性耐熱熱可塑性樹脂からなる単一の絶縁層またはそれぞれ専ら半結晶性耐熱熱可塑性樹脂からなる複数の絶縁層(60、62、64)が第2層に被着され、予熱温度が280℃よりも高い請求項7記載の方法。
【請求項10】
予熱温度が330℃を上まわらない請求項9記載の方法。
【請求項11】
絶縁層(60、62、64)の厚さが25μm未満である先行請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
絶縁層(60、62、64)の厚さが15μm乃至25μmの間である請求項11記載の方法。
【請求項13】
電気機器用巻線導体(6a乃至6g)であって、機能性絶縁(22)で予め絶縁されたエナメル線(2)を有し、このエナメル線が1つの熱可塑性絶縁層または多数の熱可塑性絶縁層(60、62、64)で取り囲まれており、前記熱可塑性絶縁層もしくは前記複数の熱可塑性絶縁層(60、62、64)のそれぞれが専ら耐熱熱可塑性樹脂からなる巻線導体。
【請求項14】
線(2)が少なくとも2つの絶縁層によって取り囲まれている請求項13記載の巻線導体。
【請求項15】
少なくとも外側絶縁層(60、62、64)が半結晶性耐熱熱可塑性樹脂である請求項13または14記載の巻線導体。
【請求項16】
機能性絶縁(22)が2層であり、ポリエステル−THEICとアミドイミドとからなり、半結晶性耐熱熱可塑性樹脂からなる単一の絶縁層またはそれぞれ専ら半結晶性耐熱熱可塑性樹脂からなる複数の絶縁層(60、62、64)によって前記機能性絶縁が取り囲まれている請求項13乃至15のいずれか1つに記載の巻線導体。
【請求項17】
機能性絶縁(22)が変性ポリウレタンからなり、この絶縁が無定形耐熱熱可塑性樹脂からなる絶縁層(60、62、64)によって取り囲まれている請求項13乃至15のいずれか1つに記載の巻線導体。
【請求項18】
絶縁層(60、62、64)の厚さが25μm未満である請求項13乃至17のいずれか1つに記載の巻線導体。
【請求項19】
絶縁層(60、62、64)の厚さが20μm乃至25μmの間である請求項18記載の巻線導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−523544(P2008−523544A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543862(P2007−543862)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056456
【国際公開番号】WO2006/061360
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】