説明

電気機器

【課題】 簡単に機能変更のできる電気機器を提供する。
【解決手段】 基本モデルのチューナ部1AはAM/FM機能、グラフィックイコライザ部4Aは5素子であるが、変形モデルのチューナ部をTV音声機能付き、グラフィックイコライザ部を7素子としたい場合、第1〜第3選択用機能をTV音声、5素子グライコ、7素子グライコとし、基本モデルのEEPR0M10A には第1〜第3選択用機能につきオフ、オン、オフを登録し、変形モデルではオン、オフ、オンに変更して登録する。基本モデル、変形モデルともマイクロコンピュータ700 は、電源投入後、プログラムROM80 に記憶された同一の制御プログラムの初期設定プログラムに従い、EEPR0Mに登録された機能別オン・オフ情報に従い車載用オーディオシステムの各部を初期設定し、基本モデルでは第2選択用機能オンさせ、第1、第3選択用機能をオフさせ、変形モデルでは第1、第3選択用機能をオンさせ、第2選択用機能をオフさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器に係り、とくに機能構成の変更が可能な電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用オーディオシステムは、図1に示す如くAM/FMのチューナ部1、CD再生部2、ソースセレクト部3、オーディオ帯域を第1バンド(低域側)〜第5バンド(高域側)まで5バンドに分割してゲインコントロールを行う5素子のグラフィックイコライザ部4、ボリューム部5、キー操作部6、マイクロコンピュータ7、システム各部の制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムROM8、データを一時記憶するRAM9、電気的書き換えが可能で、前回電源オフ直前のシステムの動作状態データを記憶するEEPROM10などが組み合わされてなる。キー操作部6にはソースセレクトキー61、受信モード切り替えキー62、受信周波数アップキー63、受信周波数ダウンキー64、グラフィックイコライザ用のバンドアップキー65、バンドダウンキー66、ゲインアップキー67、ゲインダウンキー68、音量アップキー69、音量ダウンキー70などを有している。EEPROM10に記憶される動作状態データには、ソースセレクト部3のポジションを示すソースセレクトデータLSOCE 、チューナ部1の最後の受信モードデータLMODE 、AMモードでの最後の受信周波数データLFR(AM) 、FMモードの最後の受信周波数データLFR(FM) 、グラフィックイコライザ部4に対するバンド切り替えキーによる最後の操作対象バンドデータLPB
、最後の第1バンドゲインデータ〜第5バンドゲインデータLBG1〜LBG5、ボリューム5での最後のボリュームデータLVOLが含まれる。
【0003】
マイクロコンピータ7は電源投入後、プログラムROM8に記憶された制御プログラム中の初期設定プログラムに基づき、図2に示す制御処理を実行する。まずEEPROM10に記憶されている動作状態データを参照して各部を制御し、前回電源オフ直前の動作状態を再現する(ステップS10)。具体的には、受信モードデータLMODE がFMであれば、チューナ部1に対しFMモードへの切り替え制御とFM受信周波数データLFR(FM) の示す受信周波数への同調制御をし、ソースセレクトデータLSOCE がチューナであればソースセレクト部3に対しチューナ部1の側への切り替え制御をし、第1バンドゲインデータ〜第5バンドゲインデータLBG1〜LBG5がLBG1=0、LBG2=+4、LBG3=+6、LBG4=0、LBG5=−2(単位はdB)であれば、グラフィックイコライザ部4に対し、第1バンド=0、第2バンド=+4、第3バンド=+6、第4バンド=0、第5バンド=−2(dB)のゲイン設定制御をし、ボリュームデータLVOLが−40(dB)であれば、ボリューム部5に対し−40(dB)の音量調整制御をする。これにより、ユーザはFM放送を前回電源オフ直前の周波数特性と音量で聴取できる。
【0004】
このあと、マイクロコンピュータ7は通常のシステム制御に移行し、ユーザによるキー操作部6でのキー操作に従い、例えば、受信周波数アップキー63または受信周波数ダウンキー64が操作されると、FM受信周波数データLFR(FM) を増加または減少させ、チューナ部1を制御してFM受信周波数を増加または減少させる(ステップS11、S12)。受信モード切り替えキー62が操作されたときは、受信モードデータLMODE をAMとし、チューナ部1を制御してAMモードへの切り替え制御とAM受信周波数データLFR(AM) の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS13〜S15)。再度、受信モード切り替えキー62が操作されたときは、受信モードデータLMODE をFMとし、チューナ部1を制御してFMモードへの切り替え制御とFM受信周波数データLFR(FM) の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS13、S14、S16)。ソースセレクトキー61が操作されると、LSOCE をCDとしソースセレクト部3を制御してCD側に切り替えさせるので(ステップS17、S18)、ユーザがCDをCD再生部2に装てんし再生を開始させると、CD音楽を聴取できる。ソースセレクトキー61を再度操作すると、元のFM放送に戻る(ステップS17、S18)。
【0005】
グラフィックイコライザ部4に対するゲインアップキー67とゲインダウンキー68の現在の操作対象バンドデータLPB が第1バンドであるとして、第3バンドのゲインを持ち上げたい場合(下げたい場合)、バンドアップキー65を2回操作すると、操作対象バンドデータLPB を第3バンドとし(図3のステップS20、S21)、ゲインアップキー67(ゲインダウンキー68)を操作する度に第3バンドゲインデータLBG3を+8、+10・・(+4、+2・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、グラフィックイコライザ部4を制御して、第3バンドのゲインを+8、+10・・(+4、+2・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS22、S23)。第2バンドのゲインを持ち上げたい場合(下げたい場合)、バンドダウンキー66を1回操作すると、操作対象バンドデータLPB を第2バンドとし(ステップS20、S21)、ゲインアップキー67(ゲインダウンキー68)を操作する度に第2バンドゲインデータLBG2を+6、+8・・(+2、0、・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、グラフィックイコライザ部4を制御して、第2バンドのゲインを+6、+8・・(+2、0・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS22、S23)。音量を上げたい場合(下げたい場合)、ボリュームアップキー69(ボリュームダウンキー70)を操作する度にボリュームデータLVOLを−38、−36・・(−42、−44・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、ボリューム部5を制御して、音量を−38、−36・・(−42、−44・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS24、S25)。
【0006】
ところで、車載用オーディオシステムのメーカが図1のプログラムROM8の部品を調達するためには、プログラム開発、プログラム評価とデバッグ、メモリ業者へのプログラムの引渡し、メモリ業者でのROMへのプログラムの焼付け、量産という大変手間の掛かる工程を経る。車載用オーディオシステムでは短期間に新モデルをリリースすることが多いが、実際には前モデルから簡単な機能の削除・追加等を行ったマイナーチェンジモデルである。たとえば、図1のモデルから、チューナ部1にTV音声受信機能を追加したり、グラフィックイコライザ部4を第1バンド〜第7バンドの7素子に変更したりする如くである。ところが、このようなマイナーチェンジであっても、従来はベースモデルのプログラム分析とプログラムの変更、変更後のプログラムの評価とデバッグ、メモリ業者へのプログラムの引渡し、メモリ業者でのROMへのプログラムの焼付け、量産という工程を経なければならず、大変手間が掛かっていた。
【0007】
【特許文献1】特開2006−4014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、簡単に機能変更のできる電気機器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、機能構成の変更が可能でn種類の選択用機能の中から選択されたk種類を含む機能を有する電気機器において、電気機器の各部に対し、前記n種類の機能を含む制御が可能な制御プログラムを記憶したプログラム記憶部と、プログラム記憶部に記憶された制御プログラムに基づき、電気機器の各部を制御する処理部と、前記n種類の選択用機能別に、機能オン・オフ設定情報を変更自在に登録する登録部と、を含み、前記制御プログラムに登録部で登録された機能オン・オフ設定情報を参照して電気機器の各部を初期設定し、前記n種類の内、k種類の機能をオンさせ、残りの(n−k)種類の機能をオフさせる初期設定プログラムを含めておき、前記処理部は、電気機器の電源投入時に初期設定プログラムを実行し、電気機器各部の初期設定を行うようにしたこと、を特徴としている。
請求項2の発明は、登録部は、EEPROMまたはディプスイッチ群またはショートピン群によって構成したこと、を特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気機器によれば、n種類の選択用機能別に、機能オン・オフ設定情報を変更自在に登録部に登録してあり、プログラム記憶部には電気機器の各部に対し、n種類の選択用機能の全機能を含む制御が可能な制御プログラムを記憶してある。この制御プログラムには登録部で登録された機能オン・オフ設定情報を参照して電気機器の各部を初期設定し、前記n種類の内、k種類の機能をオンさせ、残りの(n−k)種類の機能をオフさせる初期設定プログラムが含まれている。処理部は、電気機器の電源投入時に初期設定プログラムを実行し、電気機器各部の初期設定を行うので、制御プログラムの変更をしなくてもn種類の選択用機能について、適宜選択されたk種類の機能の動作だけ実行させることができ、モデルチェンジに要する手間が大幅に軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
例えば、車載用オーディオシステムのベースモデルのチューナ部はAM/FM放送受信機能、グラフィックイコライザ部は5素子であるが、将来マイナーチェンジモデルとしてチューナ部にTV音声受信機能を追加し、グラフィックイコライザ部を5素子から7素子に変更したい場合、第1選択用機能はTV音声、第2選択用機能は5素子グライコ、第3選択用機能は7素子グライコとし、ベースモデルのEEPROMに機能別オン・オフ情報として第1選択用機能オフ、第2選択用機能オン、第3選択用機能オフを登録しておく。なお、マイナーチェンジモデルのEEPROMには第1選択用機能オン、第2選択用機能オフ、第3選択用機能オンを登録する。ベースモデル、マイナーチェンジモデルともプログラムROMには同一の制御プログラムを記憶させておく。この制御プログラムは第1選択用機能、第2選択用機能、第3選択用機能とも実行可能であるが、但し、EEPROMに登録された機能別オン・オフ情報に従い車載用オーディオシステムの各部を初期設定し、前記第1選択用機能〜第3選択用機能の内、ベースモデルでは第2選択用機能オンさせ、残りの第1、第3選択用機能をオフさせ、マイナーチェンジモデルでは第1、第3選択用機能をオンさせ、第2選択用機能をオフさせる初期設定プログラムを含めておく。マイクロコンピュータは、車載用オーディオシステムの電源投入時、制御プログラム中の初期設定プログラムを実行することでモデルに合致した所定機能を実行可能とする。ベースモデルではチューナ部によりAM/FM放送受信だけ可能であり、グラフィックイコライザ部で5素子の帯域別ゲイン調節が可能であるが、マイナーチェンジモデルではAM/FM放送に加えてTV音声放送の受信が可能となり、グラフィックイコライザ部で7素子の帯域別ゲイン調節が可能となる。
ベースモデルからマイナーチェンジモデルへの変更に際し、制御プログラムの変更、変更後のプログラム評価とデバッグ、プログラムROMの変更を要しないので、設計・製造の手間が大幅に軽減する。
【実施例1】
【0012】
図4と図5は本発明の一つの実施例に係る車載用オーディオシステムのベースモデルとマイナーチェンジモデルの構成を示すブロック図である。図1と同一の構成部分には同一の符号を付してある。
図4のベースモデルにおいて、1AはAM/FMのチューナ部、2はCD再生部、3はソースセレクト部、4Aはオーディオ帯域を第1バンド(低域側)〜第5バンド(高域側)まで5バンドに分割してゲインコントロールを行う5素子のグラフィックイコライザ部、5は音量調節を行うボリューム部、6はキー操作部、700はマイクロコンピュータ、80はシステム各部の制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムROM、9はデータを一時記憶するRAM、10Aは電気的書き換えが可能で、前回電源オフ直前のシステムの動作状態データを記憶するEEPROMである。キー操作部6にはソースセレクトキー61、受信モード切り替えキー62、受信周波数アップキー63、受信周波数ダウンキー64、グラフィックイコライザ用のバンドアップキー65、バンドダウンキー66、ゲインアップキー67、ゲインダウンキー68、音量アップキー69、音量ダウンキー70などを有している。EEPROM10Aに記憶された動作状態データには、ソースセレクト部3のポジションを示すソースセレクトデータLSOCE
、チューナ部1Aの最後の受信モードデータLMODE 、AMモードでの最後の受信周波数データLFR(AM) 、FMモードの最後の受信周波数データLFR(FM) 、グラフィックイコライザ部4に対するバンド切り替えキーによる最後の操作対象バンドデータLPB 、最後の第1バンドゲインデータ〜第5バンドゲインデータLBG1〜LBG5、ボリューム部5での最後のボリュームデータLVOLが含まれる。
【0013】
図5のマイナーチェンジモデルではチューナ部が1BのTV音声受信機能付に変更され、グラフィックイコライザ部が4Bの7素子に変更され、EEPROMが10Bに変更される。EEPROM10Bに記憶された動作状態データには、ソースセレクト部3のポジションを示すソースセレクトデータLSOCE 、チューナ部1Bの最後の受信モードデータLMODE 、AMモードでの最後の受信周波数データLFR(AM) 、FMモードの最後の受信周波数データLFR(FM) 、TV音声モードの最後の受信周波数データLFR(TV音声) 、グラフィックイコライザ部4に対するバンド切り替えキーによる最後の操作対象バンドデータLPB 、最後の第1バンドゲインデータ〜第7バンドゲインデータLBG1〜LBG7、ボリューム部5での最後のボリュームデータLVOLが含まれる。
即ち、ベースモデルではTV音声受信機能無し、5素子グライコ機能有り、7素子グライコ機能無し、マイナーチェンジモデルではTV音声受信機能有り、5素子グライコ機能無し、7素子グライコ機能有りなので、これらの機能を第1乃至第3選択用機能としておき、メーカで製造段階においてベースモデルのEEPROM10Aの空き領域に図6(1)の如く、各選択用機能別に、機能オン・オフ情報が登録してあり、同様にマイナーチェンジモデルのEEPROM10Bの空き領域に図6(2)の如く、各選択用機能別に、機能オン・オフ情報が登録してある(なお、動作状態データの初期値もメーカ側で製造段階において登録されている)。プログラムROM80に記憶された制御プログラムはベースモデル、マイナーチェンジモデル共通であり、第1選択用機能、第2選択用機能、第3選択用機能とも実行可能であるが、EEPROMに登録された機能別オン・オフ情報に従い車載用オーディオシステムの各部を初期設定し、前記第1選択用機能〜第3選択用機能の内、ベースモデルでは第2選択用機能オンさせ、残りの第1、第3選択用機能をオフさせ、マイナーチェンジモデルでは第1、第3選択用機能をオンさせ、第2選択用機能をオフさせる初期設定プログラムが含めてある。
【0014】
マイクロコンピュータ700は、車載用オーディオシステムの電源投入時、制御プログラム中の初期設定プログラムを実行することでモデルに合致した所定機能を実行可能とする。ベースモデルではチューナ部1AによりAM/FM放送受信だけ可能とさせ、グラフィックイコライザ部4Aで5素子の帯域別ゲイン調節を可能とさせる。一方、マイナーチェンジモデルではチューナ部1BによりAM/FM放送に加えてTV音声放送の受信を可能とさせ、グラフィックイコライザ部4Bで7素子の帯域別ゲイン調節を可能とさせる。
【0015】
図7〜図9はマイクロコンピュータ700により実行される初期設定処理を含む制御処理を示すフローチャートであり、以下、これらの図を参照して上記した実施例の動作を説明する。
<ベーシックモーデルの場合>
図4のベーシックモーデルのマイクロコンピータ700は電源投入後、プログラムROM80に記憶された制御プログラム中の初期設定プログラムに基づき、図7のステップS100〜ステップS110までに示す初期設定処理を実行する。ベースモデルの場合、EEPROM10Aに記憶されている機能別オン・オフ情報と動作状態データを参照して各部の初期設定をし、ベースモデルに合致した機能だけ可能とさせ、マイナーチェンジモデル固有の機能を不能とするとともに前回電源オフ直前の動作状態を再現する。具体的には、第1選択用機能がオフなので、受信モードデータLMODEの可変要素をAMとFMに設定し(ステップS100、S101)、受信モードデータLMODE がFMであれば、チューナ部1Aに対しFMモードへの切り替え制御とFM受信周波数データLFR(FM) の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS103)。次に、第2選択用機能がオン、第3選択用機能がオフなので、操作対象バンドデータの可変要素を第1バンド〜第5バンドに設定し(ステップS104、S105)、第1バンドゲインデータ〜第5バンドゲインデータLBG1〜LBG5がLBG1=0、LBG2=+4、LBG3=+6、LBG4=0、LBG5=−2(単位はdB)であれば、グラフィックイコライザ部4Aに対し、第1バンド=0、第2バンド=+4、第3バンド=+6、第4バンド=0、第5バンド=−2(dB)のゲイン設定制御をする(ステップS106)。あとは、ソースセレクトデータLSOCE がチューナであればソースセレクト部2対しチューナ部1Aの側への切り替え制御をし、し、ボリュームデータLVOLが−40(dB)であれば、ボリューム部5に対し−40(dB)の音量調整制御をする(ステップS110)。これにより、ユーザはFM放送を前回電源オフ直前の周波数特性と音量で聴取できる。
【0016】
このあと、マイクロコンピュータ700は図8、図9に示す通常のシステム制御に移行し、ユーザによるキー操作部6でのキー操作に従い、例えば、受信周波数アップキー63または受信周波数ダウンキー64が操作されると、FM受信周波数データLFR(FM) を増加または減少させ、チューナ部1Aを制御してFM受信周波数を増加または減少させる(ステップS121、S122)。受信モード切り替えキー62が操作されたときは、受信モードデータLMODE の可変要素がAMとFMの2つしかないので、受信モードデータLMODE をAMとし、チューナ部1Aを制御してAMモードへの切り替え制御とAM受信周波数データLFR(AM) の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS123〜S125)。再度、受信モード切り替えキー62が操作されたときは、受信モードデータLMODE をFMとし、チューナ部1Aを制御してFMモードへの切り替え制御とFM受信周波数データLFR(FM) の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS123〜S125)。ソースセレクトキー61が操作されると、LSOCE をCDとしソースセレクタ部3を制御してCD側に切り替えさせるので(ステップS127、S128)、ユーザがCDをCD再生部2に装てんし再生を開始させると、CD音楽を聴取できる。ソースセレクトキー61を再度操作すると、元のFM放送に戻る(ステップS127、S128)。
【0017】
グラフイックイコライザ部4Aに対するゲインアップキー67とゲインダウンキー68による操作対象バンドの可変域は第1〜第5バンドの範囲に制限されており、現在の操作対象バンドデータLPB が第1バンドであるとして、第3バンドのゲインを持ち上げたい場合(下げたい場合)、バンドアップキー65を2回操作すると、操作対象バンドデータLPB を第3バンドとし(図9のステップS130、S131)、ゲインアップキー67(ゲインダウンキー68)を操作する度に第3バンドゲインデータLBG3を+8、+10・・(+4、+2・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、グラフィックイコライザ部4を制御して、第3バンドのゲインを+8、+10・・(+4、+2・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS132、S133)。第2バンドのゲインを持ち上げたい場合(下げたい場合)、バンドダウンキー66を1回操作すると、操作対象バンドデータLPB を第2バンドとし(ステップS130、S131)、ゲインアップキー67(ゲインダウンキー68)を操作する度に第2バンドゲインデータLBG2を+6、+8・・(+2、0、・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、グラフィックイコライザ部4Aを制御して、第3バンドのゲインを+6、+8・・(+2、0・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS132、S133)。音量を上げたい場合(下げたい場合)、ボリュームアップキー69(ボリュームダウンキー70)を操作する度にボリュームデータLVOLを−38、−36・・(−42、−44・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、ボリューム部5を制御して、音量を−38、−36・・(−42、−44・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS134、S135)。このようにして、ベースモデルに対する通常のシステム制御がなされる。
【0018】
<マイナーチェンジモーデルの場合>
図5のマイナーチェンジモーデルの場合、マイクロコンピータ700は電源投入後、プログラムROM80に記憶された制御プログラム中の初期設定プログラムに基づき、EEPROM10Bに記憶されている機能別オン・オフ情報と動作状態データを参照して各部の初期設定をし、マイナーチェンジモデルに合致した機能だけ可能とさせ、ベースモデル固有の機能を不能とするとともに前回電源オフ直前の動作状態を再現する。具体的には、第1選択用機能がオンなので、受信モードデータLMODEの可変要素をAMとFM、TV音声の3つに設定し(図7のステップS100、S102)、受信モードデータLMODE がTV音声であれば、チューナ部1Bに対しTV音声モードへの切り替え制御とTV音声受信周波数データLFR(TV音声) の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS103)。次に、第2選択用機能がオフ、第3選択用機能がオンなので、操作対象バンドデータの可変要素を第1バンド〜第7バンドに設定し、第1バンドゲインデータ〜第7バンドゲインデータLBG1〜LBG7がLBG1=0、LBG2=+4、LBG3=+6、LBG4=0、LBG5=−2、LBG6=0、LBG7=−2(単位はdB)であれば、グラフィックイコライザ部4Bに対し、第1バンド=0、第2バンド=+4、第3バンド=+6、第4バンド=0、第5バンド=−2、第6バンド=0、第7バンド=−2(dB)のゲイン設定制御をする(ステップS104でNO、S107でYES、S108、S109)。あとは、ソースセレクトデータLSOCE がチューナであればソースセレクト部あに対しチューナ部1Bの側への切り替え制御をし、ボリュームデータLVOLが−40(dB)であれば、ボリューム部5に対し−40(dB)の音量調整制御をする(ステップS110)。これにより、ユーザはTV音声放送を前回電源オフ直前の周波数特性と音量で聴取できる。
【0019】
このあと、マイクロコンピュータ70は通常のシステム制御に移行し、ユーザによるキー操作部6でのキー操作に従い、例えば、受信周波数アップキー63または受信周波数ダウンキー64が操作されると、TV音声受信周波数データLFR(TV音声) を増加または減少させ、チューナ部1Bを制御してTV音声受信周波数を増加または減少させる(図8のステップS121、S122)。受信モード切り替えキー62が操作されたときは、受信モードデータLMODE の可変要素がAM、FM、TV音声の3つなので、受信モードデータLMODE をAMとし、チューナ部1Bを制御してAMモードへの切り替え制御とAM受信周波数データLFR(AM)
の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS123、S124、S126)。再度、受信モード切り替えキー62が操作されたときは、受信モードデータLMODE をFMとし、チューナ部1Bを制御してFMモードへの切り替え制御とFM受信周波数データLFR(FM) の示す受信周波数への同調制御をする(ステップS123、S124、S126)。ソースセレクトキー61が操作されると、LSOCE をCDとしソースセレクト部3を制御してCD側に切り替えさせるので(ステップS127、S128)、ユーザがCDをCD再生部2に装てんし再生を開始させると、CD音楽を聴取できる。ソースセレクトキー61を再度操作すると、元のFM放送に戻る(ステップS127、S128)。
【0020】
グラフィックイコライザ部4Bに対するゲインアップキー67とゲインダウンキー68による操作対象バンドの可変域は第1〜第7バンドの範囲なので、現在の操作対象バンドデータLPB が第4バンドであるとして、第6バンドのゲインを持ち上げたい場合(下げたい場合)、バンドアップキー65を2回操作すると、操作対象バンドデータLPB を第6バンドとし(図9のステップS130、S131)、ゲインアップキー67(ゲインダウンキー68)を操作する度に第6バンドゲインデータLBG6を+2、+4・・(−2、−4・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、グラフィックイコライザ部4Bを制御して、第6バンドのゲインを+2、+4・・(−2、−4・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS132、S133)。第5バンドのゲインを持ち上げたい場合(下げたい場合)、バンドダウンキー66を1回操作すると、操作対象バンドデータLPB を第5バンドとし(ステップS130、S131)、ゲインアップキー67(ゲインダウンキー68)を操作する度に第5バンドゲインデータLBG5を0、+2・・(−4、−6、・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、グラフィックイコライザ部4Bを制御して、第5バンドのゲインを0、+2、・・(−4、−6・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS132、S133)。音量を上げたい場合(下げたい場合)、ボリュームアップキー69(ボリュームダウンキー70)を操作する度にボリュームデータLVOLを−38、−36・・(−42、−44・・)という具合に2dBずつ増加(減少)し、ボリューム部5を制御して、音量を−38、−36・・(−42、−44・・)という具合に2dBずつ増加(減少)させる(ステップS134、S135)。このようにして、マイナーチェンジモデルに対する通常のシステム制御がなされる。
【0021】
この実施例によれば、車載用オーディオシステムのベースモデルのチューナ部1AはAM/FM放送受信機能だけであり、グラフィックイコライザ部4Aは5素子であるが、マイナーチェンジモデルではチューナ部1BをTV音声受信機能付とし、グラフィックイコライザ部4Bを7素子に変更したい場合、第1選択用機能はTV音声、第2選択用機能は5素子グライコ、第3選択用機能は7素子グライコとし、ベースモデルのEEPROM10Aに機能別オン・オフ情報として第1選択用機能オフ、第2選択用機能オン、第3選択用機能オフを登録しておく。なお、マイナーチェンジモデルのEEPROM10Bには第1選択用機能オン、第2選択用機能オフ、第3選択用機能オンを登録しておく。ベースモデル、マイナーチェンジモデルともプログラムROM80には同一の制御プログラムを記憶させておく。この制御プログラムは第1選択用機能、第2選択用機能、第3選択用機能とも実行可能であるが、但し、EEPROMに登録された機能別オン・オフ情報に従い車載用オーディオシステムの各部を初期設定し、前記第1選択用機能〜第3選択用機能の内、ベースモデルでは第2選択用機能オンさせ、残りの第1、第3選択用機能をオフさせ、マイナーチェンジモデルでは第1、第3選択用機能をオンさせ、第2選択用機能をオフさせる初期設定プログラムを含めておく。マイクロコンピュータ700は、車載用オーディオシステムの電源投入時、制御プログラム中の初期設定プログラムを実行することでモデルに合致した所定機能を実行可能とする。ベースモデルではチューナ部1AによりAM/FM放送受信だけ可能であり、グラフィックイコライザ部4Aで5素子の帯域別ゲイン調節が可能であるが、マイナーチェンジモデルではチューナ部1BによりAM/FM放送に加えてTV音声放送の受信が可能となり、グラフィックイコライザ部4Bで7素子の帯域別ゲイン調節が可能となる。
ベースモデルからマイナーチェンジモデルへの変更に際し、制御プログラムの変更、変更後のプログラム評価とデバッグ、プログラムROMの変更を一切要しないので、設計・製造の手間が大幅に軽減する。
【0022】
なお、上記した実施例では選択用機能が3つの場合につき説明したが、2以下または4以上の場合にも同様に適用することができる。
また、機能別オン・オフ情報をEEPROMに登録するようにしたが、本発明は何らこれに限定されず、図10(1)に示す如く、第1〜第n選択用機能の別に設けたディップスイッチSW1〜SWnにより登録するようにしたり(SWiがオンのとき第i機能オン、SWjがオフのとき第j機能オン)、図10(2)に示す如く、第1〜第n選択用機能別にショートピンSPiでショートさせたり(第i機能オン)、ショートピンSPjを省略させたりして(第j機能オフ)、登録するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、車載用AVシステム、車載用ナビゲーションシステム、家庭用オーディオシステム、家庭用AVシステムを初めとした種々の電気機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の車載用オーディオシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1中のマイクロコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図1中のマイクロコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る車載用オーディオシステムのベースモデルの構成を示すブロック図である(実施例1)。
【図5】本発明に係る車載用オーディオシステムのマイナーチェンジモデルの構成を示すブロック図である。
【図6】EEPROMに登録される機能別オン・オフ情報の説明図である。
【図7】図4、図5中のマイクロコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図8】図4、図5中のマイクロコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図9】図4、図5中のマイクロコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1A、1B チューナ部
4A、AB グラフィックイコライザ部
6 キー操作部
80 プログラムROM
10A、10B EEPROM
SW1〜SWn ディップスイッチ
JP1〜JPn ショートピン
700 マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能構成の変更が可能でn種類の選択用機能の中から選択されたk種類を含む機能を有する電気機器において、
電気機器の各部に対し、前記n種類の機能を含む制御が可能な制御プログラムを記憶したプログラム記憶部と、
プログラム記憶部に記憶された制御プログラムに基づき、電気機器の各部を制御する処理部と、
前記n種類の選択用機能別に、機能オン・オフ設定情報を変更自在に登録する登録部と、
を含み、
前記制御プログラムに登録部で登録された機能オン・オフ設定情報を参照して電気機器の各部を初期設定し、前記n種類の内、k種類の機能をオンさせ、残りの(n−k)種類の機能をオフさせる初期設定プログラムを含めておき、
前記処理部は、電気機器の電源投入時に初期設定プログラムを実行し、電気機器各部の初期設定を行うようにしたこと、
を特徴とする電気機器。
【請求項2】
登録部は、EEPROMまたはディプスイッチ群またはショートピン群によって構成したこと、
を特徴とする電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−299067(P2007−299067A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124444(P2006−124444)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】