説明

電気機器

【課題】電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを内蔵した不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータを備える電気機器であって、不揮発性メモリの書き込みが容易であり、尚かつ、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータの破損を防止することができる電気機器を提供する。
【解決手段】フラッシュマイコン12と、フラッシュマイコン12が実装されているプリント基板と、前記プリント基板外に設けられるフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17と、フラッシュマイコン12とフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17との電気的接続/遮断を切り替えるスイッチ16とを備え、フラッシュマイコン12が、書き込みモードのときにスイッチ16をオンにし、前記書き込みモード以外のときにスイッチ16をオフにする空気調和機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、特に、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを内蔵した不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ(例えば、フラッシュメモリを内蔵したマイクロコンピュータであるフラッシュマイコン)を備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御を必要とする電気機器には通常マイクロコンピュータが組み込まれており、いわゆるマイコン制御が行われている。例えば、室内機と室外機を分離した分離型の空気調和機の場合、室内機に一つ或いは二つのフラッシュマイコンが組み込まれ、室外機に一つのフラッシュマイコンが組み込まれる構成が一般的な構成である。
【0003】
フラッシュマイコンは書き込みデータ入力用ピンを複数有しており、フラッシュマイコンの書き込みデータ入力用ピンはそれぞれ信号線を介してフラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタに接続されている。フラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタにフラッシュマイコン書き込み用ライターを接続することで、フラッシュマイコンが内蔵しているフラッシュメモリにプログラムデータなどのデータの書き込み(書き換えを含む)を行うことができる。したがって、フラッシュマイコンは、プリント基板に実装された後であっても、さらには組み込まれた電気機器が製品出荷された後であっても、データの書き込みが可能である。
【0004】
上述したフラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタにユーザーが触れた場合に静電気などによりフラッシュマイコンが破損するおそれがあるため、電気用品安全法などの安全規格上フラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタにユーザーが容易に触れることがないように設計する必要がある。このため、従来の空気調和機では、フラッシュマイコンが実装されているプリント基板上にフラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタを設け、フラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタにユーザーが容易に触れることがないようにしていた。
【0005】
【特許文献1】特開2001−90984号公報
【特許文献2】特開2001−209543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の空気調和機は、フラッシュマイコンが実装されているプリント基板上にフラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタを設けているため、製品完成後フラッシュマイコンが内蔵しているフラッシュメモリにデータの書き込みが必要となった際には、フラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタにフラッシュマイコン書き込み用ライターを接続することができるレベルまで製品を分解して、フラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタにフラッシュマイコン書き込み用ライターを接続し、フラッシュマイコンが内蔵しているフラッシュメモリにプログラムデータなどのデータの書き込みを行わなければならなかった。
【0007】
そのため、フラッシュマイコンが内蔵しているフラッシュメモリにデータを書き込む作業に多くの時間と労力を費やすことになっていた。また、製品完成後フラッシュマイコンが内蔵しているフラッシュメモリにデータの書き込みが必要となった際には、フラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタにフラッシュマイコン書き込み用ライターを接続することができるレベルまで製品を分解するため、製品を分解することによる二次不良(成型物の破損、配線の断線、ネジの取り付け忘れ等)が発生するおそれがあった。
【0008】
なお、特許文献1では、メンテナンス時に作業者がフレームをケース本体から引き出すと、電気部品突出機構によってフレーム内のアクセス電気部品(各種コネクタ)がフレームの側方に自動的に突出する構造の電気機器が開示されている。特許文献1で開示されている電気機器のアクセス電気部品(各種コネクタ)をフラッシュマイコン書き込み用ポートまたはコネクタとした場合、製品完成後フラッシュマイコンが内蔵しているフラッシュメモリへのデータの書き込みが必要となった際に製品を分解する必要がないため、製品を分解することによる二次不良(成型物の破損、配線の断線、ネジの取り付け忘れ等)が発生するおそれはなくなる。しかしながら、誤って作業者の手がアクセス電気部品(各種コネクタ)に触れた場合に、静電気などによりフラッシュマイコンが破損するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを内蔵した不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータを備える電気機器であって、不揮発性メモリの書き込みが容易であり、尚かつ、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータの破損を防止することができる電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る電気機器においては、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを内蔵した不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータと、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータが実装されているプリント基板と、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ライターと接続するための不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタと、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータと前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタとの電気的接続/遮断を切り替えるスイッチとを備え、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタが、前記プリント基板外に設けられ、且つ、前記プリント基板又は前記プリント基板を格納している電装ボックスを電気機器本体から取り出さずに前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタと前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ライターとの接続が可能な場所に配置され、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータが、書き込みモードのときに前記スイッチをオンにし、前記書き込みモード以外のときに前記スイッチをオフにする構成としている。
【0011】
このような構成によると、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタが、前記プリント基板外に設けられ、且つ、前記プリント基板又は前記プリント基板を格納している電装ボックスを電気機器本体から取り出さずに前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタと前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ライターとの接続が可能な場所に配置されているので、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータが実装されているプリント基板に不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタが実装されている従来の構成に比べて、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタとライターとの接続が容易になり、不揮発性メモリの書き込みが容易になる。
【0012】
また、このような構成によると、前記書き込みモード以外のときには、前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータと前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタとが電気的遮断されるので、使用者の手が前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタに触れても静電気などにより前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータが破損するおそれはない。
【0013】
また、前記書き込みモードになり前記スイッチがオンになった後、書き込みが正常に終了すると、前記書き込みモードを終了して前記スイッチをオフにすることが望ましい。これにより、書き込みの正常終了後は自動的に前記書き込みモードが終了するので、前記書き込みモードの解除忘れなどがなくなり、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータの破損をより確実に防止することができる。
【0014】
また、前記書き込みモードになり前記スイッチがオンになった後、前記スイッチがオフからオンに切り替わってからの経過時間が所定値に達すると、書き込みが正常に終了しているか否かにかかわらず、前記書き込みモードを終了して前記スイッチをオフにすることが望ましい。これにより、前記スイッチがオフからオンに切り替わってからの経過時間が所定値に達すると、必ず自動的に前記書き込みモードが終了するので、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータの破損をより確実に防止することができる。
【0015】
本発明に係る電気機器としては、例えば、空気調和機や洗濯機などの家電製品が挙げられるが、家電製品以外の電気機器にも適用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電気機器は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを内蔵した不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータを備える電気機器であって、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタが、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータが実装されているプリント基板外に設けられ、且つ、プリント基板又はプリント基板を格納している電装ボックスを電気機器本体から取り出さずに不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタと不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ライターとの接続が可能な場所に配置され、さらに、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータと不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタとの電気的接続/遮断を切り替えるスイッチを備えているので、不揮発性メモリの書き込みが容易であり、尚かつ、不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータの破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る電気機器として、ここでは室内機と室外機を分離した分離型であって、室内機に一つのフラッシュマイコンが組み込まれ、室外機に一つのフラッシュマイコンが組み込まれている空気調和機を例に挙げて説明する。
【0018】
本発明に係る空気調和機の概略構成例を図1に示す。図1に示す空気調和機は室内機2と室外機3とに分離されている。
【0019】
まず、室内機2について説明する。室内機2は、AC−DCコンバータ4と、ルーバー駆動用ステッピングモータ駆動回路5と、ルーバー駆動用ステッピングモータ6と、内部ファン駆動用モータ駆動回路7と、内部ファン駆動用モータ8と、換気ファン駆動用モータ駆動回路9と、換気ファン駆動用モータ10と、DC−DCコンバータ11と、フラッシュマイコン12と、リモコン信号受信回路13と、応急運転スイッチ14と、温度センサ15と、スイッチ16と、フラッシュマイコン書き込み用コネクタ17と、報知部18とを有している。
【0020】
AC−DCコンバータ4は、商用交流電源1から出力される交流電圧を直流電圧に変換して、ルーバー駆動用ステッピングモータ駆動回路5と、内部ファン駆動用モータ駆動回路7と、換気ファン駆動用モータ駆動回路9と、DC−DCコンバータ11とに供給している。ルーバー駆動用ステッピングモータ駆動回路5はフラッシュマイコン12の指示に従ってルーバー駆動用ステッピングモータ6を駆動し、内部ファン駆動用モータ駆動回路7はフラッシュマイコン12の指示に従って内部ファン駆動用モータ8を駆動し、換気ファン駆動用モータ駆動回路9はフラッシュマイコン12の指示に従って換気ファン駆動用モータ10を駆動する。なお、ルーバー駆動用ステッピングモータ駆動回路5、内部ファン駆動用モータ駆動回路7、及び換気ファン駆動用モータ駆動回路9はそれぞれフォトカプラによってフラッシュマイコン12から絶縁されている。DC−DCコンバータ11は入力電圧を降圧してフラッシュマイコン12の電源電圧を生成し、フラッシュマイコン12に供給する。なお、DC−DCコンバータ11の入力側と出力側とは例えばDC−DCコンバータ11内部に設けられる絶縁トランス(不図示)により絶縁されている。フラッシュマイコン12は、リモコン送信機(不図示)から出力されるリモコン信号(赤外線信号)を受信して電気信号に変換するリモコン信号受信回路13の出力信号、応急運転スイッチ14の出力信号、温度センサ15の出力信号、及び室外機3のフラッシュマイコン25から出力される通信信号に応じて、室内機2の運転制御および室外機3のフラッシュメモリ25への通信信号出力を行う。また、フラッシュマイコン12は、スイッチ16を介してフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17に接続されており、スイッチ16及び報知部18を制御する。
【0021】
続いて、室外機3について説明する。室外機3は、AC−DCコンバータ19と、圧縮機駆動用モータ駆動回路20と、圧縮機駆動用モータ21と、室外ファン駆動用モータ駆動回路22と、室外ファン駆動用モータ23と、DC−DCコンバータ24と、フラッシュマイコン25と、温度センサ26と、スイッチ27と、フラッシュマイコン書き込み用コネクタ28と、報知部29とを有している。
【0022】
AC−DCコンバータ19は、室内機2を経由して供給される商用交流電源1の出力電圧を直流電圧に変換して、圧縮機駆動用モータ駆動回路20と、室外ファン駆動用モータ駆動回路22と、DC−DCコンバータ24とに供給している。圧縮機駆動用モータ駆動回路20はフラッシュマイコン25の指示に従って圧縮機駆動用モータ21を駆動し、室外ファン駆動用モータ駆動回路22はフラッシュマイコン25の指示に従って室外ファン駆動用モータ23を駆動する。なお、圧縮機駆動用モータ駆動回路20及び室外ファン駆動用モータ駆動回路22はそれぞれフォトカプラによってフラッシュマイコン25から絶縁されている。DC−DCコンバータ24は入力電圧を降圧してフラッシュマイコン25の電源電圧を生成し、フラッシュマイコン25に供給する。なお、DC−DCコンバータ24の入力側と出力側とは例えばDC−DCコンバータ24内部に設けられる絶縁トランス(不図示)により絶縁されている。フラッシュマイコン25は、温度センサ26の出力信号及び室内機2のフラッシュマイコン12から出力される通信信号に応じて、室外機3の運転制御および室内機2のフラッシュメモリ12への通信信号出力を行う。また、フラッシュマイコン25は、スイッチ27を介してフラッシュマイコン書き込み用コネクタ28に接続されており、スイッチ27及び報知部29を制御する。また、フラッシュマイコン12とフラッシュマイコン25とが通信線によって電気的に接続されることが無いようにするためのフォトカプラが室外機3側に設けられている。
【0023】
次に、室内機2でのフラッシュマイコン12、スイッチ16、及びフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17の配置について図2を参照して説明する。
【0024】
フラッシュマイコン12及びスイッチ16は、AC−DCコンバータ4(図2において不図示)やDC−DCコンバータ(図2において不図示)などとともに、プリント基板30に実装されている。スイッチ16は複数のスイッチ素子(例えばトランジスタ)からなるアレイであり、各スイッチ素子はフラッシュマイコン12によってON/OFF制御される。
【0025】
フラッシュマイコン12は、プリント配線31、スイッチ16、プリント基板10に実装されているコネクタ32、そのコネクタ32にコネクタ接続されるコネクタ33、及びケーブル34を介して、フラッシュマイコン書き込み用コネクタ17に接続されている。プリント基板30は電装ボックス内に格納される。また、フラッシュマイコン書き込み用コネクタ17は、プリント基板30外であって、プリント基板30或いはプリント基板30を格納している電装ボックスを室内機本体から取り出さずにフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17と、フラッシュマイコンにデータを書き込むためのフラッシュマイコン書き込み用ライター35(以下単にライター35と呼ぶ)との接続が可能な場所(例えば、室内機本体の筐体下面部や前面パネルを開いた状態で露出する部位)に配置する。これにより、フラッシュマイコン12が内蔵しているフラッシュメモリにデータを書き込むことが製品完成後も容易になる。また、プリント基板30或いはプリント基板30を格納している電装ボックスを室内機本体から取り出す必要がなくなるので、製品を分解することによる二次不良(成型物の破損、配線の断線、ネジの取り付け忘れ等)が発生するおそれがなくなる。なお、図2に示す配置の代わりに、プリント基板10に実装されているコネクタ32と、そのコネクタ32にコネクタ接続されるコネクタ33とを廃止し、ケーブル34を半田36によりプリント配線31に直接接続する図3に示す配置にしてもよい。また、見栄えを良くする観点から、フラッシュマイコン書き込み用コネクタ17を覆うカバーを設け、例えばネジ1本の取り外しにより当該カバーの取り外しができるようにしてもよい。
【0026】
また、室外機3でのフラッシュマイコン25、スイッチ27、及びフラッシュマイコン書き込み用コネクタ28の配置も、室内機2でのフラッシュマイコン12、スイッチ16、及びフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17の配置と同様にする。フラッシュマイコン25及びスイッチ27とともにAC−DCコンバータ19やDC−DCコンバータ24などを搭載しているプリント基板或いは当該プリント基板を格納している電装ボックスを室外機本体から取り出さずにフラッシュマイコン書き込み用コネクタ28とライター35との接続が可能な場所としては、例えば、室内機2と室外機3とを接続する電源コードの室外機側一端が接続されている端子板周辺が挙げられる。
【0027】
次に、フラッシュマイコン12が行うスイッチ16及び報知部18の制御動作について図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0028】
図1に示す空気調和機が商用交流電源1に接続され、フラッシュマイコン12が立ち上がると、図4に示すフローチャート動作が開始される。図4に示すフローチャート動作の開始時点において、フラッシュマイコン12はスイッチ16をオフにしている。
【0029】
フラッシュマイコン12は、フラッシュマイコン書き込みモードへの移行を指示する信号が有るか否かを判定しており(ステップS10)、フラッシュマイコン書き込みモードへの移行を指示する信号が有れば(ステップS10のYES)、フラッシュマイコン書き込みモードに移行する。フラッシュマイコン書き込みモードへの移行を指示する信号は、リモコン送信機に特定のボタン操作がなされたときにリモコン信号受信回路13が出力する信号、または、応急運転スイッチ14に特定の操作(例えば、リモコン送信機を紛失した場合でも運転が行えるように、応急運転スイッチ14が単打されると自動運転が開始され、故障時のメンテナンスを容易にするために、応急運転スイッチ14が所定時間長押しされると自己診断モードに移行する設定である場合、これらの操作と区別可能なように応急運転スイッチ14を所定回数連打する操作とする)がなされたときに応急運転スイッチ14が出力する信号である。
【0030】
フラッシュマイコン書き込みモードへの移行を指示する信号を生成するためのリモコン送信機に対する特定のボタン操作又は応急運転スイッチ14に対する特定の操作は、フラッシュマイコン書き込み用コネクタ17とライター35との接続が完了した後に行うとよい。
【0031】
フラッシュマイコン書き込みモード移行後のステップS20において、フラッシュマイコン12は、フラッシュマイコン書き込みモードへの移行を指示する信号を通信信号としてフラッシュマイコン25に出力し、その後ステップS30に移行する。
【0032】
ステップS30において、フラッシュマイコン12は、スイッチ16をオフからオンに切り替え、その後ステップS40に移行する。
【0033】
ステップS40において、フラッシュマイコン12は、スイッチ16をオフからオンに切り替えてからの経過時間(スイッチオン時間)の計時を開始し、その後ステップS50に移行する。
【0034】
ステップS50において、フラッシュマイコン12は、内蔵しているフラッシュメモリに、ライター35から送られてくるプログラムデータなどのデータを書き込むことができる状態に移行する。続くステップS60において、フラッシュマイコン12は、データの書き込みが正常に終了したか否かを判定する(ステップS60)。
【0035】
データの書き込みが正常に終了した場合(ステップ60のYES)、フラッシュマイコン12は、書き込みが正常に終了したことを知らせる報知(例えば、音や光)を報知部18に行わせ(ステップS70)、その後ステップS90に移行する。
【0036】
一方、データの書き込みが正常に終了していない場合(ステップS60のNO)、フラッシュマイコン12は、スイッチオン時間が所定値に到達していなければ(ステップS80のNO)、ステップS50に戻ってデータの書き込みが正常に終了したか否かの判定を継続して行い、スイッチオン時間が所定値に到達していれば(ステップS80のYES)、直ちにステップS90に移行する。なお、この所定値は、正常に書き込みが行われるために要する時間よりも長い時間に設定しておく必要がある。より好ましくは、フラッシュマイコン12が内蔵しているフラッシュメモリの全容量にデータを書き込む場合に要する時間よりも長い時間とするとよい。さらに好ましくは、応急運転スイッチ14を押してからライター35とフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17とを接続する可能性や一時的な通信途絶の可能性も考慮して、所定値を決定するとよい。
【0037】
ステップS90において、フラッシュマイコン12は、フラッシュマイコン書き込みモードを終了し、スイッチ16をオンからオフに切り替え、その後ステップS10に戻る。
【0038】
上記制御動作により、通常は、スイッチ16がオフであり、フラッシュマイコン12とフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17とが電気的に遮断されているので、使用者の手がフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17に触れても静電気などによりフラッシュマイコン12が破損するおそれはない。そして、上記制御動作により、フラッシュマイコン書き込みモードの際には、スイッチ16がオンであり、フラッシュマイコン12とフラッシュマイコン書き込み用コネクタ17とが電気的に接続されているので、フラッシュマイコン12が内蔵しているフラッシュメモリにプログラムデータなどのデータの書き込みを行うことが可能となる。
【0039】
フラッシュマイコン25が行うスイッチ27及び報知部29の制御動作についても図4に示すフローチャートとほぼ同様であるが、フラッシュマイコン12、スイッチ12、報知部18がそれぞれフラッシュマイコン25、スイッチ27、報知部29となる点、フラッシュマイコン書き込みモードへの移行を指示する信号がフラッシュマイコン12から送られてくる通信信号である点、ステップS20の動作を行わない点が相違している。
【0040】
なお、上述した実施形態においてはフラッシュマイコン書き込み用コネクタを用いたが、フラッシュマイコン書き込み用コネクタの代わりにフラッシュマイコン書き込み用ポートを用いてもよい。また、上述した実施形態では、室内機に組み込まれるフラッシュマイコン、室外機に組み込まれるフラッシュマイコンの双方に関して、フラッシュメモリが内蔵しているフラッシュメモリにデータを書き込むことが容易であり、尚かつ、フラッシュマイコンの破損を防止することができる構成としたが、室内機に組み込まれるフラッシュマイコン、室外機に組み込まれるフラッシュマイコンのいずれか一方のみに関して、フラッシュメモリが内蔵しているフラッシュメモリにデータを書き込むことが容易であり、尚かつ、フラッシュマイコンの破損を防止することができる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】は、本発明に係る空気調和機の概略構成例を示す図である。
【図2】は、室内機でのフラッシュマイコン、スイッチ、及びフラッシュマイコン書き込み用コネクタの配置例を示す図である。
【図3】は、室内機でのフラッシュマイコン、スイッチ、及びフラッシュマイコン書き込み用コネクタの他の配置例を示す図である。
【図4】は、室内機に組み込まれるフラッシュマイコンが行うスイッチ及び報知部の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 商用交流電源
2 室内機
3 室外機
4、19 AC−DCコンバータ
5 ルーバー駆動用ステッピングモータ駆動回路
6 ルーバー駆動用ステッピングモータ
7 内部ファン駆動用モータ駆動回路
8 内部ファン駆動用モータ
9 換気ファン駆動用モータ駆動回路
10 換気ファン駆動用モータ
11、24 DC−DCコンバータ
12、25 フラッシュマイコン
13 リモコン信号受信回路
14 応急運転スイッチ
15、26 温度センサ
16、27 スイッチ
17、28 フラッシュマイコン書き込み用コネクタ
18、29 報知部
20 圧縮機駆動用モータ駆動回路
21 圧縮機駆動用モータ
22 室外ファン駆動用モータ駆動回路
23 室外ファン駆動用モータ
30 プリント基板
31 プリント配線
32、33 コネクタ
34 ケーブル
35 ライター
36 半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを内蔵した不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータと、
前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータが実装されているプリント基板と、
不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ライターと接続するための不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタと、
前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータと前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタとの電気的接続/遮断を切り替えるスイッチとを備え、
前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタが、前記プリント基板外に設けられ、且つ、前記プリント基板又は前記プリント基板を格納している電装ボックスを電気機器本体から取り出さずに前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ポート又はコネクタと前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータ書き込み用ライターとの接続が可能な場所に配置され、
前記不揮発性メモリ内蔵マイクロコンピュータが、書き込みモードのときに前記スイッチをオンにし、前記書き込みモード以外のときに前記スイッチをオフにすることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記書き込みモードになり前記スイッチがオンになった後、書き込みが正常に終了すると、前記書き込みモードを終了して前記スイッチをオフにする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記書き込みモードになり前記スイッチがオンになった後、前記スイッチがオフからオンに切り替わってからの経過時間が所定値に達すると、書き込みが正常に終了しているか否かにかかわらず、前記書き込みモードを終了して前記スイッチをオフにする請求項1または請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
空気調和機である請求項1〜3のいずれかに記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−110034(P2009−110034A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278302(P2007−278302)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】