電気機械部品監視システム及び方法
【課題】発電機巻線端部の弛みについて、発電機の運転中止を要求する粉塵の目視検査、多数の位置への配置を要求し、運動のみ検出するファイバ結合加速度計、又は多数の設置を要求するカメラ撮影によらずに健全性監視を行なう。
【解決手段】電気機械部品監視システム(20、100)が、光ファイバ・ケーブル(26、107)を通して光信号を与える光源(22、101)と、電気機械部品(46)に又は電気機械部品(109)から一定の離隔距離に配置されて、電気機械部品(46、109)の状態を表わす応答光信号を得る光ファイバ・センシング部品(30、106)とを含んでいる。このシステムはさらに、光ファイバ・センシング部品(30、106)からの応答光信号を受信して電気信号へ変換する光検出器(32、104)を含んでいる。また、電気信号を解析することにより電気機械部品(46、109)に付着した汚れに関する情報を決定する処理回路(38、105)がシステムに設けられている。
【解決手段】電気機械部品監視システム(20、100)が、光ファイバ・ケーブル(26、107)を通して光信号を与える光源(22、101)と、電気機械部品(46)に又は電気機械部品(109)から一定の離隔距離に配置されて、電気機械部品(46、109)の状態を表わす応答光信号を得る光ファイバ・センシング部品(30、106)とを含んでいる。このシステムはさらに、光ファイバ・センシング部品(30、106)からの応答光信号を受信して電気信号へ変換する光検出器(32、104)を含んでいる。また、電気信号を解析することにより電気機械部品(46、109)に付着した汚れに関する情報を決定する処理回路(38、105)がシステムに設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、電気機械部品の健全性を監視するシステム及び方法に関し、さらに具体的には、回転機械の巻線端部部品を監視する光ファイバ方式のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン又はガス・タービンによって駆動される発電機のような回転機械は、数千アンペアの電流を固定子巻線に流す能力を有する。固定子巻線は一般的には、固定子鉄心の対応するスロットに固定された伝導棒と、固定子鉄心を越えて延在しており伝導棒の間に接続を設ける巻線端部とを含んでいる。巻線端部部品は電気力学的な力及び機械的な力を受けて、巻線端部の変位を誘発する。
【0003】
弛んだ状態の巻線端部部品は電磁力のため互いに擦れ合って、巻回している絶縁材の摩耗を招く。このようにして、ガラス、マイカ、樹脂、及び塗料のような粉塵(ダスト)が巻線端部部品に蓄積して発電機油と混じり合い、当該巻線端部及び他の巻線端部部品の近傍にグリースを形成する場合がある。グリースは通常、褐色から暗色まで様々な色を有し、この色は粉塵と発電機油ミストとの混合比によって決まる。幾つかの状況では、巻線端部を清掃したり、巻線端部の損傷した絶縁保護層を交換したりするために、予定外の発電機の停止が必要とされる。予定外の停止は、電力システムの利用可能性を低下させ、不必要な保守費用を増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電機巻線端部の弛みは主として、粉塵の存在の目視検査によって診断される。しかしながら、目視検査は、発電機の運転を停止することを必要とする。代替的な検査方法は、全体的な巻線端部の移動を、典型的には巻線端部の多数の位置に位置するファイバ結合加速度計を用いることにより監視することを含んでいる。しかしながら、ファイバ結合加速度計は、粉塵監視の作用性を提供するものではなく、また多数の位置(典型的には6箇所)に配置されなければならない。もう一つの可能性のある検査方法は、カメラ撮影法に基づくものであるが、全ての巻線端部位置に接近することは困難である。
【0005】
従って、上述の問題の1又は複数に対処する改良型の電気機械部品監視システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、電気機械部品監視システムが提供される。このシステムは、光ファイバ・ケーブルを通して光信号を与える光源と、電気機械部品に又は電気機械部品から一定の離隔距離に配置されて、電気機械部品の状態を表わす応答光信号を得る光ファイバ・センシング部品とを含んでいる。また、光ファイバ・センシング部品からの応答光信号を受信して電気信号へ変換する光検出器がシステムに設けられている。このシステムはまた、電気信号を解析することにより電気機械部品に付着した汚れに関する情報を決定する処理回路を含んでいる。
【0007】
本発明のもう一つの実施形態によれば、電気機械部品の監視の方法が提供される。この方法は、電気機械に光信号を与えるステップと、電気機械部品に又は電気機械部品から一定の離隔距離に配置された光ファイバ・センシング部品からの反射光信号を測定するステップとを含んでいる。この方法はまた、反射光信号を解析することにより電気機械部品に付着した汚れに関する情報を決定するステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のこれらの特徴、観点及び利点、並びに他の特徴、観点及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとさらに十分に理解されよう。図面全体にわたり、類似の参照符号は類似の部材を表わす。
【図1】本発明の一実施形態による光ファイバ波長多重化方法による巻線端部健全性監視システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュールの概略図である。
【図3】本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュールの波長シフトに関する伝送変化のグラフ図である。
【図4】本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュールの波長シフトのグラフ図である。
【図5】ファイバ格子方式のセンシング・モジュールから測定される伝送損失の変化のグラフ図である。
【図6】本発明の一実施形態によるもう一つの光ファイバ方式巻線端部健全性監視システムの概略図である。
【図7】巻線端部部品からのファイバ・センシング・プローブの離隔距離に対する反射信号振幅の変化のプロットである。
【図8】本発明の一実施形態による3種の光ファイバ・プローブ構造の概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による様々な媒体からの反射信号のグラフ図である。
【図10】本発明の一実施形態による様々な媒体からの繰り返し型反射信号のグラフ図である。
【図11】移動表面からの典型的な変位のグラフ図である。
【図12】本発明の一実施形態による移動表面に対する動的応答の周波数応答図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の様々な実施形態の要素を提示するときに、単数不定冠詞、定冠詞、「該」、「前記」等の用語は、当該要素の1又は複数が存在することを意味するものとする。また「備えている」、「含んでいる」及び「有している」等の用語は内包的であるものとし、また所載の要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味するものとする。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による巻線端部部品監視システム20の概略図である。一般的には、監視システム20は、光カプラ又は光サーキュレータ24と光学的に連絡している波長可変型光源又は広帯域光源のような光源22を含んでいる。光カプラ24は、光源22から伝送された光を受け取って、光ファイバ・ケーブル26を通じて光の一部を伝送する。光ファイバ・ケーブル26を通過する光は、発電機又はモータのような電気機械の巻線端部部品46に取り付けられたファイバ・センシング・モジュール30に入る。一実施形態では、発電機は、水素冷却発電機又は空冷発電機を含み得る。図1に示す実施形態では、ファイバ・センシング・モジュール30は、温度センサとなる短周期ファイバ・ブラッグ格子(FBG)31と、油性汚れ検出センサとなる長周期格子(LPG)33とを含んでいる。また、もう一つの実施形態では、複数のファイバ・センシング・モジュール30をカスケード接続して様々な部品位置に設置してもよい。油性汚れは、発電機油、及び粉塵と油との混合物(グリース)を含み得る。油性汚れはさらに、ホット・スポットで燃焼したポリマー粒子から誘発される粒子又は摩耗した巻線絶縁由来の粒子を含み得る。一実施形態では、典型的な周期が約0.5ミクロンの短周期ファイバ・ブラッグ格子(FBG)31、及び典型的な周期が100ミクロン〜600ミクロンの長周期格子(LPG)33が、グラス・ファイバの板又は任意の電気的絶縁材の板35の上にパッケージ化されており、次いでこの板が巻線端部部品46に固着される。
【0011】
ファイバ・センシング・モジュール30によって反射された光の一部が光ファイバ・ケーブル26を通って光検出器32によって受光される。一実施形態では、波長多重化方法を用いて、各々のファイバ格子の中心波長によって多数の反射信号又は送信信号を授受することができる。FBG31の中心波長はブラッグ共振波長であって、発電機内部温度と下式によって与えられる線形関係を有する。
【0012】
λ=2・n・Λ (1)
Δλ(t)=κ・ΔT (2)
式中、nはファイバ芯線(図2に示す)の実効屈折率であり、Λは周期であり、κは約10pm/℃〜12pm/℃の値を有する温度感度である。LPG33についても同様に、共振波長は下式によって与えられる。
【0013】
λ=[ncore−nclad,i]Λ (3)
式中ncoreはファイバ芯線の実効屈折率であり、nclad,iはファイバ・クラッドの第iのクラッド・モードの屈折率である。発電機の内部温度の変化による相対的な波長シフトは下式によって与えられる。
【0014】
Δλ=ζ・ΔT (4)
式中、ζはLPG33の温度感度であり、値は約50pm/℃〜80pm/℃である。このように、環境温度が変化するときに、式(2)及び式(4)は油性汚れからの波長シフトの変化を決定する助けとなる。
【0015】
nsによって与えられる周囲媒体屈折率が変化するときに、得られる波長シフトは下式によって近似的に算出され得る。
【0016】
Δλ(t)≒η[{1/SQRT(|n2clad−n2core|)}
−{1/SQRT(|n2clad−n2s|)}] (5)
式中、η=(u2λ3oΛ/8π3r・nclad)である。ここでuはファイバ材料内における正規化された弾性場振幅(elastic field amplitude)、rはファイバの半径、λoは中心波長であり、典型的には約1550nmである。尚、LPG33の透過プロファイルもまた外部媒体の屈折率と共に変化することを特記しておく。
【0017】
このように、光検出器32によって検出される反射光信号の振幅は、巻線端部部品46の状態又は光ファイバ・センシング・モジュール30に付着した油性汚れに依存する。例えば、屈折率は、油性表面では非油性表面と比較して異なる場合がある。光検出器32によって発生される変換後の光信号(又は「電気信号」)はデータ取得ユニット38へ送信される。光源22及び光検出器32は、発電機の内部に位置していても外部に位置していてもよい。一実施形態では、無線インタフェイス40が電気信号をデータ取得ユニット38へ送信し、データ取得ユニット38はこれらの電気信号を用いて発電機巻線端部34の健全性を監視する。もう一つの実施形態では、イーサネット(商標)・ケーブルを用いて電気信号をデータ取得ユニット38へ送信することができ、データ取得ユニット38はこれらの電気信号を用いて発電機巻線端部34の健全性を解析する。一実施形態では、データ取得ユニット38は油性汚れの存在を検出する。もう一つの実施形態では、データ取得ユニット38は、下式によって与えられるFBGの反射ピーク・パワー波長に基づいて巻線端部での動歪み成分の存在を検出する。
【0018】
f=FFT(Δλ(t)) (6)
ここで、120Hzにおける巻線端部基本モード及びさらに高次のモードが同時に検出され得る。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュール30を示す。センシング・モジュール30は、中心ファイバ芯線50と、短周期ファイバ・ブラッグ格子(FBG)52と、長周期格子(LPG)54と、ファイバ・クラッド56とを含んでいる。一実施形態では、中心ファイバ芯線50は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)又はフッ素(F)を共添加したシリカを含み、約5ミクロン〜約9ミクロンにわたる径を有する。加えて、10ミクロン〜20ミクロン厚みのポリイミド被覆層を用いて格子域を保護することができる。FBG52は、発電機内部部品の基準温度及び変化を決定するために実時間で用いられ、これによりセンサ基準変化を補正するのに用いられ得る。FBGは、約0.3nmという狭い帯域幅を有し、LPGは10nm〜20nmの伝送ディップを有する。一実施形態では、各々のセンシング・モジュールは、15mm長さのLPG及び5mm長さのFBGを刻印し、両者の間に10mmの離隔を設けることにより設計される。LPG構造54は、長手軸51に沿ってピッチ・サイズが約100ミクロン〜約600ミクロンの変調を有する。LPG構造54は、基本モード・エネルギをアポダイゼーション又はブレーズ付き屈折率変調プロファイルによってファイバ・クラッド56のモードに実効的に分散するように構成されている。一実施形態では、順方向に導かれる波が伝播して、周囲媒体の屈折率がファイバ・クラッドの屈折率と異なるときに部分エネルギがファイバ・クラッド56又は外部の周囲媒体に結合される。ファイバ・クラッド56はファイバ芯線50の周りに円周方向に配設されて、一実施形態では、純シリカ又はフッ素添加シリカを含んでおり、外径は約125ミクロンである。
【0020】
図3は、波長シフトに関する図1の光ファイバ・センシング・モジュールの伝送応答のグラフ60を示す。横軸62は波長シフトをナノメートル単位で表わし、縦軸64は伝送応答の振幅をデシベルミリワット(dBm)単位で表わす。プロット66は、空気での光ファイバ・センサの伝送応答についてのものであり、プロット68は発電機油での光ファイバ・センサの伝送応答についてのものである。両プロット66及び68ともそれぞれFBG構造及びLPG構造のため2箇所のディップを有し、プロット66では応答70、72、プロット68では74、76に位置している。ファイバ・クラッドの屈折率は近似的に1.46に近く、発電機油の屈折率は約1.6であるので、LPG伝送スペクトルは顕著にシフトするが、FBG伝送スペクトルは外部の屈折率変化に対するFBGの不感のため全くシフトを有しない。
【0021】
図4は、本発明の一実施形態による巻線端部部品に取り付けられた光ファイバ・センシング・モジュールの波長シフトのプロット80を示す。プロット80は、図1に記載される光ファイバ・センシング・モジュール30についてのものである。プロット80から、巻線端部健全性監視センサとして、センサ応答波長シフトの大きさは約1534nmから約1560nmまで増大することが分かる。LPGセンサの中心波長は、当該センサの表面が空気に包囲されているときには1534nmに位置しているが、1560nmまでシフトすると発電機巻線端部部品における発電機油の存在を示す。このように、発電機油は屈折率がファイバ・クラッドの屈折率よりも高いため約26nmの波長上昇シフトを誘発する。対照的に、流体又は油の屈折率が相対的に低いとファイバ・センサの下降シフトを誘発し得る。この波長シフト応答によって、油ミスト、並びに時間依存型のグリース形成及び蓄積を定量的に解析するのに十分な感度を提供することが可能である。
【0022】
図5は、巻線端部部品に取り付けられた光ファイバ・センシング・モジュールの伝送振幅のプロット90を示す。プロット90から、伝送振幅が約−29dBmから約−36dBmに低下していることが分かる。約7dBmの失われた伝送振幅は、発電機巻線端部部品の周りの空気のような高屈折率流体又は水性物質の存在を示す。このように、空気から発電機油までのファイバ・センサ伝送応答は、ファイバ・クラッドを包囲する媒体の屈折率がn=約1(空気)からn=約1.6(油)まで変化するときに約7dBmである。波長シフト及び伝送損失の両方を組み合わせることにより、油、グリース、及び水性混合物の他の粒子及び油からの正確な決定を行なうことができる。さらに、FBGの反射ピーク波長を、式(6)に記載するような高速フーリエ変換によって巻線端部動歪み解析に用いることができる。
【0023】
図6は、本発明の一実施形態によるもう一つの光ファイバ反射方式の巻線端部部品監視システム100を示す。方式100は、レーザ発生源101と、第一の光スプリッタ102と、光カプラ103と、光検出器アレイ104とを含んでいる。このシステムはさらに光を複数のファイバ・センシング・プローブ106を通して巻線端部部品109の多数の点まで通過させる多数の光ファイバ・ケーブル107を含んでいる。システム100はまた、ディジタルからアナログへの変換器及びデータ取得モジュールを有する処理回路105を含んでいる。一実施形態では、単一の光ファイバ・ケーブルについて、レーザ発生源101からファイバ・バンドルへの直接的な光結合を、FC/UPC又はSMA905コネクタを用いることにより実現することができる。第二の光スプリッタ108を用いると、一つの光源からの光を多数のファイバ107に分割して、巻線端部部品109の多数の点を照射することができる。第一の光スプリッタ102は、レーザ発生源からの光信号を二つの信号に分割して、一方の信号を光検出器アレイ104に対する参照信号とし、他方の信号を光カプラ103を通して第二の光スプリッタ108へ送る。一実施形態では、時分割多重化、波長多重化、又は光学的スイッチング方法を用いて、多数の反射信号を得ることができる。もう一つの実施形態では、2本の光ビームの分割比は1/99から5/95にわたる。第二の光スプリッタ108は長さが1×Nであり、Nはセンシング・プローブの数である。第二の光スプリッタは、光信号を等分に分割してN個の分割光信号とし、各々の分割光が各々のファイバ・センシング・プローブへ送られ、次いで巻線端部部品109からの各々の反射信号が光検出器アレイ104へ送り返される。光検出器104によって発生される変換後の光信号(又は「電気信号」)は処理回路105へ送信される。これらの電気信号は、ドリフト及び光源劣化を抑えるために第一の光スプリッタからの参照信号によってディジタル信号へ変換される。
【0024】
一実施形態では、処理回路105は、粉塵、油及びグリースのような油性の汚れ及び非油性の汚れの存在を検出し、また電気信号値を処理回路105のメモリに記憶されている動的変位データと比較することにより巻線端部部品における運動の存在を検出する。多数の点での巻線端部の健全性は、同時に監視されることも個別に監視されることもできる。もう一つの実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ106は汚れに対する感受性を有し又は粉塵、発電機油、粉塵と油との混合物(グリース)を識別すると共に、温度、圧力、及び水素冷却ガス流の変化に不感になるように作用性を設定され得る。一実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ106は、外部の媒体の屈折率が変化すると光放射が呼応して反射の大きさを変調させるように化学的に感受性のある表面を設けて作製されることにより作用性を設定される。
【0025】
所与の条件及び部品109からのケーブルの距離について、所与の振幅の電気信号が期待されることを示すテーブルを構築することができる。例えば、ファイバ・センシング・プローブの作用性及びケーブルと巻線端部部品との間の距離に基づく一実施形態では、電気信号の振幅が3.8Vである場合には油の存在を示すことができ、電気信号の振幅が4Vである場合には空気の存在を示す。記憶されるデータは、既知の汚れ状態によって実時間動作に先立って実行される電気信号の較正実験から得られる。次いで、処理回路105は、実時間動作時の汚れ関連パラメータの存在を表示する。もう一つの実施形態では、単に電気信号のプロットを表示し、次いで汚れの存在を電気信号の振幅から手動で識別する。汚れが存在しないときには反射率は一定のままであるが、反射率は外部の媒体の屈折率変化に依存して増減する。運動検出は、図11及び図12に関して後にあらためて詳述するように、健全性を監視する必要がある場合に巻線端部区画の区域からデータを得ることにより実現され得る。
【0026】
図7は、プローブ先端と巻線端部部品との間の距離D(横軸)に関する反射信号の振幅の変化(縦軸)のプロット110を示す。巻線端部部品の運動を監視しているときに、巻線端部部品から一定の距離(「離隔距離」)の変位不感位置にファイバ・センシング・プローブを配置すると有用である。一定の離隔距離doにおいて最大反射信号振幅Roが生じ、この距離を「作用点」距離と定義する。プロットから、異なる離隔距離を選択することにより信号の振幅を変化させ得ることが分かる。最大信号振幅では、信号は微小な距離変化に対する感受性を有さず、あらゆる信号変化を感知材料の反射性又は吸収性の変化に帰すことができる。このように、一実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ106は、発電機巻線端部から作用点距離に等しい一定の離隔距離に設定されて、巻線端部部品109からの光散乱信号を受け取って、汚れの存在を決定する。
【0027】
図8は、本発明の各実施形態による巻線端部部品を監視するのに用いられ得る3種の異なる形式のファイバ・センシング・プローブ180、200、及び220を示す。ファイバ・センシング・プローブ180、200、及び220の各々が、巻線端部部品184との間で光信号を送受する光ファイバ・ケーブル182と、プローブ筐体186、206、及び226とをそれぞれ含んでいる。次いで、反射光信号が解析されて、巻線端部部品184での汚れ又は運動の存在を決定する。圧力封止フィードスルー188を用いて、光ファイバ・ケーブル182に対するプローブ筐体186、206及び226の適正な封止を保つことができる。プローブ筐体186、206、及び226の全てが、被測定部品から一定の離隔距離に配置されている透過窓190、210及び230を含んでおり、プローブ筐体206及び226は、レンズ208及び228をそれぞれ含んでいる。ファイバ・センシング・プローブ180は、プローブ筐体186の内部にレンズを有しない。ファイバ・プローブ180の出力は発散性ビームであって、このビームを主に用いて窓表面190に付着した汚れを測定すると、この汚れが被測定部品にも付着している汚れを示す。反射特性及び光学的特性に依存して、検出される反射率を用いて窓表面の中心域での油、油と粉塵との混合物、又は粉塵を識別することができる。この場合には、ファイバ・プローブに適当な支持構造を設けて、粉塵、グリース、又は粒子を最も蓄積し易い位置の近くに設置する。
【0028】
センシング・プローブ200の光学レンズ208は、巻線端部部品表面の何らかの区域を監視するのに用いられるコリメートされたビームを出力する。コリメートされたビームの一つの利点は、センシング・プローブ200が表面184からさらに長距離に配置され得ることである。センシング・プローブ220の光学レンズ228は発電機部品表面に集束ビームを出力し、巻線端部の弛み及び運動の検出に主に用いられる。また、汚れ及び運動の両方の検出について作用点距離に平凸光学レンズを設定することも可能である。一実施形態では、離隔距離Dは、巻線端部部品表面からの信号対雑音比を評価することにより決定され得る。一実施形態では、離隔距離範囲は、例えば0.1メートルから0.5メートルであってよい。プローブ220の離隔距離Dは、動的変位又は運動にさらに感度の高い光学レンズの焦点距離によって決定される。もう一つの実施形態では、集束ビーム型プローブの離隔距離は、コリメート型プローブの離隔距離よりも小さい。さらに特定的な実施形態では、集束ビーム型プローブの光学レンズと被測定部品との間の距離は、作用点距離の2分の1すなわちdo/2である。ファイバ・センシング・プローブの筐体は例示する目的で図示されている。幾つかの実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ180、200、及び220を異なる形式のパッケージングと共に用いてよい。
【0029】
図8の実施形態では、光ファイバ・ケーブル182は、支持構造又は誘電性材料のフェルールによって包囲される光入射及び光反射用の複数の光ファイバを含み得る。一実施形態では、誘電性材料フェルールは、プラスチック製フェルール、シリコン製モノコイル、又はポリビニルクロリド(PVC)製モノコイルを含んでいる。広く用いられているファイバ・ケーブル同軸プローブ構成は、レーザ送達のための1本の中心ファイバと、中心ファイバを包囲する反射光捕捉のための6本のファイバとを有する。もう一つのH型プローブ構成では、入射ファイバがプローブ空間の2分の1を占め、受信ファイバがプローブ空間の残り2分の1を占める。ファイバ・センシング・プローブ180、200及び220は、化学的に感受性のある窓ガラスを用いることにより、粉塵、油、及び粉塵と油との混合物(グリース)のような汚れを識別すると共に、温度、圧力、及び水素冷却ガス流には不感になるように作用性を設定され得る。一実施形態では、入射光源は471nm、532nm、及び671nmのレーザ・ビームを交互に又は同時に放出し得るRGBレーザを含み得る。次いで、これらの波長からの反射信号の差分を用いて、粉塵、油、及び粉塵と油との混合物(グリース)のような汚れを識別することができる。もう一つの実施形態では、光源は、単一周波数光源又は多波長広帯域光源を含んでいる。
【0030】
図9は、巻線端部部品に付着した油、粉塵、及び油/粉塵混合物についての光ファイバ・プローブ応答のプロット120を示す。横軸122は時間による測定系列を表わし、縦軸124は光検出器信号からの反射率又は電気信号をボルト単位で表わす。前述のように、電気信号を評価するのに用いられる値を実験的に予め得て、汚れの存在を決定することができる。付着した汚れの存在を測定したい巻線端部部品は、最初は清浄な窓表面を含んでいた。従って、プロット120は、汚れが存在しないことを基準として示す約4Vの反射信号を示す。発電機油の油滴が窓表面に与えられると、反射信号振幅は約3.79Vに低下して、巻線端部に付着した油の存在を示す。信号損失は、油による拡散した散乱に帰され得る。同様に、粉塵がさらに窓表面に付着すると、反射信号振幅は3.54Vまで低下して、油と粉塵との混合物の存在を示す。約140秒に、反射信号振幅は5.740Vに跳ね上がり、巻線端部に付着した著しい粉塵の存在を示す。このように、反射信号は、粉塵、油、及び、油/粉塵混合物から有意差を示すことが分かる。プロット120に示すデータは、同じスポットにおいて様々な汚れ状態を手動で変化させることにより採取された。尚、ここでの信号振幅は相対的なものであって、光学的反射率測定には正規化を用い得ることを特記しておく。正規化後の信号は、例えば発電機油、油ミスト、粉塵、及びグリースについて較正されたものであり得る。
【0031】
図10は、油、油ミスト、粉塵、及び油/粉塵混合物のような様々な媒体からのファイバ・センシング・プローブの繰り返し型反射信号のプロット130を示す。プロット130から、粉塵及び空気、又は油及び空気、さらには空気及び油/粉塵混合物の繰り返し型サイクルの場合であっても、ファイバ・センシング・プローブは高速に、また正確に応答することが分かる。
【0032】
図11は、10ミクロンという典型的な変位を有する移動表面からの動的変位測定データ150を示す。巻線端部部品に運動が存在するときに、反射信号はAC成分を有し、前述のように、反射信号のFFTを実行して、運動の存在を決定することができる。動的変位データ150は、健全性を監視する必要がある巻線端部区画の区域から実際の運動をミクロン単位で表わす。巻線端部区画からの微小な変位信号は反射した「DC」電気信号に「AC」成分を加える。次いで、巻線端部の動的挙動は、電気信号の高速フーリエ変換(FFT)を取ることにより算出される。代替的には、ピーク間の動的変位を、時間波形の部分の最大値と最小値との間の差として算出することができる。算出された巻線運動はさらに、発電機の巻線端部の弛み状態に相関付けされ得る。
【0033】
図12は、電気信号のFFTプロット160を示す。プロット160は電気信号のFFTから決定される周波数成分を示し、120Hzを第一の移動モードとして、500Hzまでの幾つかの高次モードを明瞭に看取することができる(またこれらのモードは発電機環境に典型的に存在する)。この運動検出の例では、前述のように、運動センシング解析に用いられるファイバ・センシング・プローブを作用点距離の2分の1に配置することができる。
【0034】
所載の監視システムの利点の一つは、発電機又はモータのような電気機械の巻線端部の健全性を、一つの光ファイバ・センシング・システムによって油、粉塵、グリース、及び運動を同時に監視することにより決定し得ることである。このシステムのもう一つの利点は、水素ガス、圧力、温度、及び流量の変化に不感である健全性監視を可能にすることである。この監視システムのさらにもう一つの利点は、発電機圧力容器の内部又は外部の何れにも配置され得ることである。また、本書に開示される実施形態は発電機巻線端部について記載しているが、本発明の各実施形態は他の任意の電気機械部品を監視するのに用いられ得る。幾つかの実施形態では、応用に依存して、ファイバ・センシング・プローブを金属から製造してもよいしセラミック材料から製造してもよい。プローブ筐体の窓板を動的圧力検出のためのダイヤフラムとして用いることができる。さらに、窓板に化学的に活性な層を載置して用いると、湿分、毒性ガス及び腐食検出を行なうことができる。
【0035】
本書では発明の幾つかの特徴のみを図示して説明したが、当業者には多くの改変及び変形が想到されよう。従って、特許請求の範囲は、発明の要旨に含まれるような全ての改変及び変形を網羅するものと理解されたい。
【符号の説明】
【0036】
20:巻線端部部品監視システム
22:光源
24:光カプラ
26:光ファイバ・ケーブル
30:ファイバ・センシング・モジュール
31:短周期ファイバ・ブラッグ格子
32:光検出器
33:長周期格子
35:電気絶縁板
38:データ取得ユニット
40:無線インタフェイス
46:巻線端部部品
50:中心ファイバ芯線
51:長手軸
52:短周期ファイバ・ブラッグ格子
54:長周期格子
56:ファイバ・クラッド
60:光ファイバ・センシング・モジュールの伝送応答のグラフ
62:横軸(波長シフト(nm))
64:縦軸(伝送応答振幅(dBm))
66:空気での光ファイバ・センサの伝送応答
68:発電機油での光ファイバ・センサの伝送応答
70、72、74、76:ディップ
80:光ファイバ・センシング・モジュールの波長シフトのプロット
90:巻線端部部品に取り付けられた光ファイバ・センシング・モジュールの伝送振幅のプロット
100:光ファイバ反射方式の巻線端部部品監視システム
101:レーザ発生源
102:第一の光スプリッタ
103:光カプラ
104:光検出器アレイ
105:処理回路
106:ファイバ・センシング・プローブ
107:光ファイバ・ケーブル
108:第二の光スプリッタ
109:巻線端部部品
110:プローブ先端と巻線端部部品との間の距離D(横軸)に関する反射信号振幅の変化(縦軸)のプロット
120:巻線端部部品に付着した油、粉塵、及び油/粉塵混合物についての光ファイバ・プローブ応答のプロット
122:横軸(時間による測定系列)
124:縦軸(光検出器信号からの反射率又は電気信号(V))
130:油、油ミスト、粉塵、及び油/粉塵混合物のような様々な媒体からのファイバ・センシング・プローブの繰り返し型反射信号のプロット
150:10μの変位を有する移動表面からの動的変位測定データ
160:電気信号のFFTプロット
180、200、220:ファイバ・センシング・プローブ
182:光ファイバ・ケーブル
184:巻線端部部品
186、206、226:プローブ筐体
188:圧力封止フィードスルー
190、210、230:透過窓
208、228:レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、電気機械部品の健全性を監視するシステム及び方法に関し、さらに具体的には、回転機械の巻線端部部品を監視する光ファイバ方式のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン又はガス・タービンによって駆動される発電機のような回転機械は、数千アンペアの電流を固定子巻線に流す能力を有する。固定子巻線は一般的には、固定子鉄心の対応するスロットに固定された伝導棒と、固定子鉄心を越えて延在しており伝導棒の間に接続を設ける巻線端部とを含んでいる。巻線端部部品は電気力学的な力及び機械的な力を受けて、巻線端部の変位を誘発する。
【0003】
弛んだ状態の巻線端部部品は電磁力のため互いに擦れ合って、巻回している絶縁材の摩耗を招く。このようにして、ガラス、マイカ、樹脂、及び塗料のような粉塵(ダスト)が巻線端部部品に蓄積して発電機油と混じり合い、当該巻線端部及び他の巻線端部部品の近傍にグリースを形成する場合がある。グリースは通常、褐色から暗色まで様々な色を有し、この色は粉塵と発電機油ミストとの混合比によって決まる。幾つかの状況では、巻線端部を清掃したり、巻線端部の損傷した絶縁保護層を交換したりするために、予定外の発電機の停止が必要とされる。予定外の停止は、電力システムの利用可能性を低下させ、不必要な保守費用を増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電機巻線端部の弛みは主として、粉塵の存在の目視検査によって診断される。しかしながら、目視検査は、発電機の運転を停止することを必要とする。代替的な検査方法は、全体的な巻線端部の移動を、典型的には巻線端部の多数の位置に位置するファイバ結合加速度計を用いることにより監視することを含んでいる。しかしながら、ファイバ結合加速度計は、粉塵監視の作用性を提供するものではなく、また多数の位置(典型的には6箇所)に配置されなければならない。もう一つの可能性のある検査方法は、カメラ撮影法に基づくものであるが、全ての巻線端部位置に接近することは困難である。
【0005】
従って、上述の問題の1又は複数に対処する改良型の電気機械部品監視システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、電気機械部品監視システムが提供される。このシステムは、光ファイバ・ケーブルを通して光信号を与える光源と、電気機械部品に又は電気機械部品から一定の離隔距離に配置されて、電気機械部品の状態を表わす応答光信号を得る光ファイバ・センシング部品とを含んでいる。また、光ファイバ・センシング部品からの応答光信号を受信して電気信号へ変換する光検出器がシステムに設けられている。このシステムはまた、電気信号を解析することにより電気機械部品に付着した汚れに関する情報を決定する処理回路を含んでいる。
【0007】
本発明のもう一つの実施形態によれば、電気機械部品の監視の方法が提供される。この方法は、電気機械に光信号を与えるステップと、電気機械部品に又は電気機械部品から一定の離隔距離に配置された光ファイバ・センシング部品からの反射光信号を測定するステップとを含んでいる。この方法はまた、反射光信号を解析することにより電気機械部品に付着した汚れに関する情報を決定するステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のこれらの特徴、観点及び利点、並びに他の特徴、観点及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとさらに十分に理解されよう。図面全体にわたり、類似の参照符号は類似の部材を表わす。
【図1】本発明の一実施形態による光ファイバ波長多重化方法による巻線端部健全性監視システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュールの概略図である。
【図3】本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュールの波長シフトに関する伝送変化のグラフ図である。
【図4】本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュールの波長シフトのグラフ図である。
【図5】ファイバ格子方式のセンシング・モジュールから測定される伝送損失の変化のグラフ図である。
【図6】本発明の一実施形態によるもう一つの光ファイバ方式巻線端部健全性監視システムの概略図である。
【図7】巻線端部部品からのファイバ・センシング・プローブの離隔距離に対する反射信号振幅の変化のプロットである。
【図8】本発明の一実施形態による3種の光ファイバ・プローブ構造の概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による様々な媒体からの反射信号のグラフ図である。
【図10】本発明の一実施形態による様々な媒体からの繰り返し型反射信号のグラフ図である。
【図11】移動表面からの典型的な変位のグラフ図である。
【図12】本発明の一実施形態による移動表面に対する動的応答の周波数応答図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の様々な実施形態の要素を提示するときに、単数不定冠詞、定冠詞、「該」、「前記」等の用語は、当該要素の1又は複数が存在することを意味するものとする。また「備えている」、「含んでいる」及び「有している」等の用語は内包的であるものとし、また所載の要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味するものとする。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による巻線端部部品監視システム20の概略図である。一般的には、監視システム20は、光カプラ又は光サーキュレータ24と光学的に連絡している波長可変型光源又は広帯域光源のような光源22を含んでいる。光カプラ24は、光源22から伝送された光を受け取って、光ファイバ・ケーブル26を通じて光の一部を伝送する。光ファイバ・ケーブル26を通過する光は、発電機又はモータのような電気機械の巻線端部部品46に取り付けられたファイバ・センシング・モジュール30に入る。一実施形態では、発電機は、水素冷却発電機又は空冷発電機を含み得る。図1に示す実施形態では、ファイバ・センシング・モジュール30は、温度センサとなる短周期ファイバ・ブラッグ格子(FBG)31と、油性汚れ検出センサとなる長周期格子(LPG)33とを含んでいる。また、もう一つの実施形態では、複数のファイバ・センシング・モジュール30をカスケード接続して様々な部品位置に設置してもよい。油性汚れは、発電機油、及び粉塵と油との混合物(グリース)を含み得る。油性汚れはさらに、ホット・スポットで燃焼したポリマー粒子から誘発される粒子又は摩耗した巻線絶縁由来の粒子を含み得る。一実施形態では、典型的な周期が約0.5ミクロンの短周期ファイバ・ブラッグ格子(FBG)31、及び典型的な周期が100ミクロン〜600ミクロンの長周期格子(LPG)33が、グラス・ファイバの板又は任意の電気的絶縁材の板35の上にパッケージ化されており、次いでこの板が巻線端部部品46に固着される。
【0011】
ファイバ・センシング・モジュール30によって反射された光の一部が光ファイバ・ケーブル26を通って光検出器32によって受光される。一実施形態では、波長多重化方法を用いて、各々のファイバ格子の中心波長によって多数の反射信号又は送信信号を授受することができる。FBG31の中心波長はブラッグ共振波長であって、発電機内部温度と下式によって与えられる線形関係を有する。
【0012】
λ=2・n・Λ (1)
Δλ(t)=κ・ΔT (2)
式中、nはファイバ芯線(図2に示す)の実効屈折率であり、Λは周期であり、κは約10pm/℃〜12pm/℃の値を有する温度感度である。LPG33についても同様に、共振波長は下式によって与えられる。
【0013】
λ=[ncore−nclad,i]Λ (3)
式中ncoreはファイバ芯線の実効屈折率であり、nclad,iはファイバ・クラッドの第iのクラッド・モードの屈折率である。発電機の内部温度の変化による相対的な波長シフトは下式によって与えられる。
【0014】
Δλ=ζ・ΔT (4)
式中、ζはLPG33の温度感度であり、値は約50pm/℃〜80pm/℃である。このように、環境温度が変化するときに、式(2)及び式(4)は油性汚れからの波長シフトの変化を決定する助けとなる。
【0015】
nsによって与えられる周囲媒体屈折率が変化するときに、得られる波長シフトは下式によって近似的に算出され得る。
【0016】
Δλ(t)≒η[{1/SQRT(|n2clad−n2core|)}
−{1/SQRT(|n2clad−n2s|)}] (5)
式中、η=(u2λ3oΛ/8π3r・nclad)である。ここでuはファイバ材料内における正規化された弾性場振幅(elastic field amplitude)、rはファイバの半径、λoは中心波長であり、典型的には約1550nmである。尚、LPG33の透過プロファイルもまた外部媒体の屈折率と共に変化することを特記しておく。
【0017】
このように、光検出器32によって検出される反射光信号の振幅は、巻線端部部品46の状態又は光ファイバ・センシング・モジュール30に付着した油性汚れに依存する。例えば、屈折率は、油性表面では非油性表面と比較して異なる場合がある。光検出器32によって発生される変換後の光信号(又は「電気信号」)はデータ取得ユニット38へ送信される。光源22及び光検出器32は、発電機の内部に位置していても外部に位置していてもよい。一実施形態では、無線インタフェイス40が電気信号をデータ取得ユニット38へ送信し、データ取得ユニット38はこれらの電気信号を用いて発電機巻線端部34の健全性を監視する。もう一つの実施形態では、イーサネット(商標)・ケーブルを用いて電気信号をデータ取得ユニット38へ送信することができ、データ取得ユニット38はこれらの電気信号を用いて発電機巻線端部34の健全性を解析する。一実施形態では、データ取得ユニット38は油性汚れの存在を検出する。もう一つの実施形態では、データ取得ユニット38は、下式によって与えられるFBGの反射ピーク・パワー波長に基づいて巻線端部での動歪み成分の存在を検出する。
【0018】
f=FFT(Δλ(t)) (6)
ここで、120Hzにおける巻線端部基本モード及びさらに高次のモードが同時に検出され得る。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態によるファイバ格子方式のセンシング・モジュール30を示す。センシング・モジュール30は、中心ファイバ芯線50と、短周期ファイバ・ブラッグ格子(FBG)52と、長周期格子(LPG)54と、ファイバ・クラッド56とを含んでいる。一実施形態では、中心ファイバ芯線50は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)又はフッ素(F)を共添加したシリカを含み、約5ミクロン〜約9ミクロンにわたる径を有する。加えて、10ミクロン〜20ミクロン厚みのポリイミド被覆層を用いて格子域を保護することができる。FBG52は、発電機内部部品の基準温度及び変化を決定するために実時間で用いられ、これによりセンサ基準変化を補正するのに用いられ得る。FBGは、約0.3nmという狭い帯域幅を有し、LPGは10nm〜20nmの伝送ディップを有する。一実施形態では、各々のセンシング・モジュールは、15mm長さのLPG及び5mm長さのFBGを刻印し、両者の間に10mmの離隔を設けることにより設計される。LPG構造54は、長手軸51に沿ってピッチ・サイズが約100ミクロン〜約600ミクロンの変調を有する。LPG構造54は、基本モード・エネルギをアポダイゼーション又はブレーズ付き屈折率変調プロファイルによってファイバ・クラッド56のモードに実効的に分散するように構成されている。一実施形態では、順方向に導かれる波が伝播して、周囲媒体の屈折率がファイバ・クラッドの屈折率と異なるときに部分エネルギがファイバ・クラッド56又は外部の周囲媒体に結合される。ファイバ・クラッド56はファイバ芯線50の周りに円周方向に配設されて、一実施形態では、純シリカ又はフッ素添加シリカを含んでおり、外径は約125ミクロンである。
【0020】
図3は、波長シフトに関する図1の光ファイバ・センシング・モジュールの伝送応答のグラフ60を示す。横軸62は波長シフトをナノメートル単位で表わし、縦軸64は伝送応答の振幅をデシベルミリワット(dBm)単位で表わす。プロット66は、空気での光ファイバ・センサの伝送応答についてのものであり、プロット68は発電機油での光ファイバ・センサの伝送応答についてのものである。両プロット66及び68ともそれぞれFBG構造及びLPG構造のため2箇所のディップを有し、プロット66では応答70、72、プロット68では74、76に位置している。ファイバ・クラッドの屈折率は近似的に1.46に近く、発電機油の屈折率は約1.6であるので、LPG伝送スペクトルは顕著にシフトするが、FBG伝送スペクトルは外部の屈折率変化に対するFBGの不感のため全くシフトを有しない。
【0021】
図4は、本発明の一実施形態による巻線端部部品に取り付けられた光ファイバ・センシング・モジュールの波長シフトのプロット80を示す。プロット80は、図1に記載される光ファイバ・センシング・モジュール30についてのものである。プロット80から、巻線端部健全性監視センサとして、センサ応答波長シフトの大きさは約1534nmから約1560nmまで増大することが分かる。LPGセンサの中心波長は、当該センサの表面が空気に包囲されているときには1534nmに位置しているが、1560nmまでシフトすると発電機巻線端部部品における発電機油の存在を示す。このように、発電機油は屈折率がファイバ・クラッドの屈折率よりも高いため約26nmの波長上昇シフトを誘発する。対照的に、流体又は油の屈折率が相対的に低いとファイバ・センサの下降シフトを誘発し得る。この波長シフト応答によって、油ミスト、並びに時間依存型のグリース形成及び蓄積を定量的に解析するのに十分な感度を提供することが可能である。
【0022】
図5は、巻線端部部品に取り付けられた光ファイバ・センシング・モジュールの伝送振幅のプロット90を示す。プロット90から、伝送振幅が約−29dBmから約−36dBmに低下していることが分かる。約7dBmの失われた伝送振幅は、発電機巻線端部部品の周りの空気のような高屈折率流体又は水性物質の存在を示す。このように、空気から発電機油までのファイバ・センサ伝送応答は、ファイバ・クラッドを包囲する媒体の屈折率がn=約1(空気)からn=約1.6(油)まで変化するときに約7dBmである。波長シフト及び伝送損失の両方を組み合わせることにより、油、グリース、及び水性混合物の他の粒子及び油からの正確な決定を行なうことができる。さらに、FBGの反射ピーク波長を、式(6)に記載するような高速フーリエ変換によって巻線端部動歪み解析に用いることができる。
【0023】
図6は、本発明の一実施形態によるもう一つの光ファイバ反射方式の巻線端部部品監視システム100を示す。方式100は、レーザ発生源101と、第一の光スプリッタ102と、光カプラ103と、光検出器アレイ104とを含んでいる。このシステムはさらに光を複数のファイバ・センシング・プローブ106を通して巻線端部部品109の多数の点まで通過させる多数の光ファイバ・ケーブル107を含んでいる。システム100はまた、ディジタルからアナログへの変換器及びデータ取得モジュールを有する処理回路105を含んでいる。一実施形態では、単一の光ファイバ・ケーブルについて、レーザ発生源101からファイバ・バンドルへの直接的な光結合を、FC/UPC又はSMA905コネクタを用いることにより実現することができる。第二の光スプリッタ108を用いると、一つの光源からの光を多数のファイバ107に分割して、巻線端部部品109の多数の点を照射することができる。第一の光スプリッタ102は、レーザ発生源からの光信号を二つの信号に分割して、一方の信号を光検出器アレイ104に対する参照信号とし、他方の信号を光カプラ103を通して第二の光スプリッタ108へ送る。一実施形態では、時分割多重化、波長多重化、又は光学的スイッチング方法を用いて、多数の反射信号を得ることができる。もう一つの実施形態では、2本の光ビームの分割比は1/99から5/95にわたる。第二の光スプリッタ108は長さが1×Nであり、Nはセンシング・プローブの数である。第二の光スプリッタは、光信号を等分に分割してN個の分割光信号とし、各々の分割光が各々のファイバ・センシング・プローブへ送られ、次いで巻線端部部品109からの各々の反射信号が光検出器アレイ104へ送り返される。光検出器104によって発生される変換後の光信号(又は「電気信号」)は処理回路105へ送信される。これらの電気信号は、ドリフト及び光源劣化を抑えるために第一の光スプリッタからの参照信号によってディジタル信号へ変換される。
【0024】
一実施形態では、処理回路105は、粉塵、油及びグリースのような油性の汚れ及び非油性の汚れの存在を検出し、また電気信号値を処理回路105のメモリに記憶されている動的変位データと比較することにより巻線端部部品における運動の存在を検出する。多数の点での巻線端部の健全性は、同時に監視されることも個別に監視されることもできる。もう一つの実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ106は汚れに対する感受性を有し又は粉塵、発電機油、粉塵と油との混合物(グリース)を識別すると共に、温度、圧力、及び水素冷却ガス流の変化に不感になるように作用性を設定され得る。一実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ106は、外部の媒体の屈折率が変化すると光放射が呼応して反射の大きさを変調させるように化学的に感受性のある表面を設けて作製されることにより作用性を設定される。
【0025】
所与の条件及び部品109からのケーブルの距離について、所与の振幅の電気信号が期待されることを示すテーブルを構築することができる。例えば、ファイバ・センシング・プローブの作用性及びケーブルと巻線端部部品との間の距離に基づく一実施形態では、電気信号の振幅が3.8Vである場合には油の存在を示すことができ、電気信号の振幅が4Vである場合には空気の存在を示す。記憶されるデータは、既知の汚れ状態によって実時間動作に先立って実行される電気信号の較正実験から得られる。次いで、処理回路105は、実時間動作時の汚れ関連パラメータの存在を表示する。もう一つの実施形態では、単に電気信号のプロットを表示し、次いで汚れの存在を電気信号の振幅から手動で識別する。汚れが存在しないときには反射率は一定のままであるが、反射率は外部の媒体の屈折率変化に依存して増減する。運動検出は、図11及び図12に関して後にあらためて詳述するように、健全性を監視する必要がある場合に巻線端部区画の区域からデータを得ることにより実現され得る。
【0026】
図7は、プローブ先端と巻線端部部品との間の距離D(横軸)に関する反射信号の振幅の変化(縦軸)のプロット110を示す。巻線端部部品の運動を監視しているときに、巻線端部部品から一定の距離(「離隔距離」)の変位不感位置にファイバ・センシング・プローブを配置すると有用である。一定の離隔距離doにおいて最大反射信号振幅Roが生じ、この距離を「作用点」距離と定義する。プロットから、異なる離隔距離を選択することにより信号の振幅を変化させ得ることが分かる。最大信号振幅では、信号は微小な距離変化に対する感受性を有さず、あらゆる信号変化を感知材料の反射性又は吸収性の変化に帰すことができる。このように、一実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ106は、発電機巻線端部から作用点距離に等しい一定の離隔距離に設定されて、巻線端部部品109からの光散乱信号を受け取って、汚れの存在を決定する。
【0027】
図8は、本発明の各実施形態による巻線端部部品を監視するのに用いられ得る3種の異なる形式のファイバ・センシング・プローブ180、200、及び220を示す。ファイバ・センシング・プローブ180、200、及び220の各々が、巻線端部部品184との間で光信号を送受する光ファイバ・ケーブル182と、プローブ筐体186、206、及び226とをそれぞれ含んでいる。次いで、反射光信号が解析されて、巻線端部部品184での汚れ又は運動の存在を決定する。圧力封止フィードスルー188を用いて、光ファイバ・ケーブル182に対するプローブ筐体186、206及び226の適正な封止を保つことができる。プローブ筐体186、206、及び226の全てが、被測定部品から一定の離隔距離に配置されている透過窓190、210及び230を含んでおり、プローブ筐体206及び226は、レンズ208及び228をそれぞれ含んでいる。ファイバ・センシング・プローブ180は、プローブ筐体186の内部にレンズを有しない。ファイバ・プローブ180の出力は発散性ビームであって、このビームを主に用いて窓表面190に付着した汚れを測定すると、この汚れが被測定部品にも付着している汚れを示す。反射特性及び光学的特性に依存して、検出される反射率を用いて窓表面の中心域での油、油と粉塵との混合物、又は粉塵を識別することができる。この場合には、ファイバ・プローブに適当な支持構造を設けて、粉塵、グリース、又は粒子を最も蓄積し易い位置の近くに設置する。
【0028】
センシング・プローブ200の光学レンズ208は、巻線端部部品表面の何らかの区域を監視するのに用いられるコリメートされたビームを出力する。コリメートされたビームの一つの利点は、センシング・プローブ200が表面184からさらに長距離に配置され得ることである。センシング・プローブ220の光学レンズ228は発電機部品表面に集束ビームを出力し、巻線端部の弛み及び運動の検出に主に用いられる。また、汚れ及び運動の両方の検出について作用点距離に平凸光学レンズを設定することも可能である。一実施形態では、離隔距離Dは、巻線端部部品表面からの信号対雑音比を評価することにより決定され得る。一実施形態では、離隔距離範囲は、例えば0.1メートルから0.5メートルであってよい。プローブ220の離隔距離Dは、動的変位又は運動にさらに感度の高い光学レンズの焦点距離によって決定される。もう一つの実施形態では、集束ビーム型プローブの離隔距離は、コリメート型プローブの離隔距離よりも小さい。さらに特定的な実施形態では、集束ビーム型プローブの光学レンズと被測定部品との間の距離は、作用点距離の2分の1すなわちdo/2である。ファイバ・センシング・プローブの筐体は例示する目的で図示されている。幾つかの実施形態では、ファイバ・センシング・プローブ180、200、及び220を異なる形式のパッケージングと共に用いてよい。
【0029】
図8の実施形態では、光ファイバ・ケーブル182は、支持構造又は誘電性材料のフェルールによって包囲される光入射及び光反射用の複数の光ファイバを含み得る。一実施形態では、誘電性材料フェルールは、プラスチック製フェルール、シリコン製モノコイル、又はポリビニルクロリド(PVC)製モノコイルを含んでいる。広く用いられているファイバ・ケーブル同軸プローブ構成は、レーザ送達のための1本の中心ファイバと、中心ファイバを包囲する反射光捕捉のための6本のファイバとを有する。もう一つのH型プローブ構成では、入射ファイバがプローブ空間の2分の1を占め、受信ファイバがプローブ空間の残り2分の1を占める。ファイバ・センシング・プローブ180、200及び220は、化学的に感受性のある窓ガラスを用いることにより、粉塵、油、及び粉塵と油との混合物(グリース)のような汚れを識別すると共に、温度、圧力、及び水素冷却ガス流には不感になるように作用性を設定され得る。一実施形態では、入射光源は471nm、532nm、及び671nmのレーザ・ビームを交互に又は同時に放出し得るRGBレーザを含み得る。次いで、これらの波長からの反射信号の差分を用いて、粉塵、油、及び粉塵と油との混合物(グリース)のような汚れを識別することができる。もう一つの実施形態では、光源は、単一周波数光源又は多波長広帯域光源を含んでいる。
【0030】
図9は、巻線端部部品に付着した油、粉塵、及び油/粉塵混合物についての光ファイバ・プローブ応答のプロット120を示す。横軸122は時間による測定系列を表わし、縦軸124は光検出器信号からの反射率又は電気信号をボルト単位で表わす。前述のように、電気信号を評価するのに用いられる値を実験的に予め得て、汚れの存在を決定することができる。付着した汚れの存在を測定したい巻線端部部品は、最初は清浄な窓表面を含んでいた。従って、プロット120は、汚れが存在しないことを基準として示す約4Vの反射信号を示す。発電機油の油滴が窓表面に与えられると、反射信号振幅は約3.79Vに低下して、巻線端部に付着した油の存在を示す。信号損失は、油による拡散した散乱に帰され得る。同様に、粉塵がさらに窓表面に付着すると、反射信号振幅は3.54Vまで低下して、油と粉塵との混合物の存在を示す。約140秒に、反射信号振幅は5.740Vに跳ね上がり、巻線端部に付着した著しい粉塵の存在を示す。このように、反射信号は、粉塵、油、及び、油/粉塵混合物から有意差を示すことが分かる。プロット120に示すデータは、同じスポットにおいて様々な汚れ状態を手動で変化させることにより採取された。尚、ここでの信号振幅は相対的なものであって、光学的反射率測定には正規化を用い得ることを特記しておく。正規化後の信号は、例えば発電機油、油ミスト、粉塵、及びグリースについて較正されたものであり得る。
【0031】
図10は、油、油ミスト、粉塵、及び油/粉塵混合物のような様々な媒体からのファイバ・センシング・プローブの繰り返し型反射信号のプロット130を示す。プロット130から、粉塵及び空気、又は油及び空気、さらには空気及び油/粉塵混合物の繰り返し型サイクルの場合であっても、ファイバ・センシング・プローブは高速に、また正確に応答することが分かる。
【0032】
図11は、10ミクロンという典型的な変位を有する移動表面からの動的変位測定データ150を示す。巻線端部部品に運動が存在するときに、反射信号はAC成分を有し、前述のように、反射信号のFFTを実行して、運動の存在を決定することができる。動的変位データ150は、健全性を監視する必要がある巻線端部区画の区域から実際の運動をミクロン単位で表わす。巻線端部区画からの微小な変位信号は反射した「DC」電気信号に「AC」成分を加える。次いで、巻線端部の動的挙動は、電気信号の高速フーリエ変換(FFT)を取ることにより算出される。代替的には、ピーク間の動的変位を、時間波形の部分の最大値と最小値との間の差として算出することができる。算出された巻線運動はさらに、発電機の巻線端部の弛み状態に相関付けされ得る。
【0033】
図12は、電気信号のFFTプロット160を示す。プロット160は電気信号のFFTから決定される周波数成分を示し、120Hzを第一の移動モードとして、500Hzまでの幾つかの高次モードを明瞭に看取することができる(またこれらのモードは発電機環境に典型的に存在する)。この運動検出の例では、前述のように、運動センシング解析に用いられるファイバ・センシング・プローブを作用点距離の2分の1に配置することができる。
【0034】
所載の監視システムの利点の一つは、発電機又はモータのような電気機械の巻線端部の健全性を、一つの光ファイバ・センシング・システムによって油、粉塵、グリース、及び運動を同時に監視することにより決定し得ることである。このシステムのもう一つの利点は、水素ガス、圧力、温度、及び流量の変化に不感である健全性監視を可能にすることである。この監視システムのさらにもう一つの利点は、発電機圧力容器の内部又は外部の何れにも配置され得ることである。また、本書に開示される実施形態は発電機巻線端部について記載しているが、本発明の各実施形態は他の任意の電気機械部品を監視するのに用いられ得る。幾つかの実施形態では、応用に依存して、ファイバ・センシング・プローブを金属から製造してもよいしセラミック材料から製造してもよい。プローブ筐体の窓板を動的圧力検出のためのダイヤフラムとして用いることができる。さらに、窓板に化学的に活性な層を載置して用いると、湿分、毒性ガス及び腐食検出を行なうことができる。
【0035】
本書では発明の幾つかの特徴のみを図示して説明したが、当業者には多くの改変及び変形が想到されよう。従って、特許請求の範囲は、発明の要旨に含まれるような全ての改変及び変形を網羅するものと理解されたい。
【符号の説明】
【0036】
20:巻線端部部品監視システム
22:光源
24:光カプラ
26:光ファイバ・ケーブル
30:ファイバ・センシング・モジュール
31:短周期ファイバ・ブラッグ格子
32:光検出器
33:長周期格子
35:電気絶縁板
38:データ取得ユニット
40:無線インタフェイス
46:巻線端部部品
50:中心ファイバ芯線
51:長手軸
52:短周期ファイバ・ブラッグ格子
54:長周期格子
56:ファイバ・クラッド
60:光ファイバ・センシング・モジュールの伝送応答のグラフ
62:横軸(波長シフト(nm))
64:縦軸(伝送応答振幅(dBm))
66:空気での光ファイバ・センサの伝送応答
68:発電機油での光ファイバ・センサの伝送応答
70、72、74、76:ディップ
80:光ファイバ・センシング・モジュールの波長シフトのプロット
90:巻線端部部品に取り付けられた光ファイバ・センシング・モジュールの伝送振幅のプロット
100:光ファイバ反射方式の巻線端部部品監視システム
101:レーザ発生源
102:第一の光スプリッタ
103:光カプラ
104:光検出器アレイ
105:処理回路
106:ファイバ・センシング・プローブ
107:光ファイバ・ケーブル
108:第二の光スプリッタ
109:巻線端部部品
110:プローブ先端と巻線端部部品との間の距離D(横軸)に関する反射信号振幅の変化(縦軸)のプロット
120:巻線端部部品に付着した油、粉塵、及び油/粉塵混合物についての光ファイバ・プローブ応答のプロット
122:横軸(時間による測定系列)
124:縦軸(光検出器信号からの反射率又は電気信号(V))
130:油、油ミスト、粉塵、及び油/粉塵混合物のような様々な媒体からのファイバ・センシング・プローブの繰り返し型反射信号のプロット
150:10μの変位を有する移動表面からの動的変位測定データ
160:電気信号のFFTプロット
180、200、220:ファイバ・センシング・プローブ
182:光ファイバ・ケーブル
184:巻線端部部品
186、206、226:プローブ筐体
188:圧力封止フィードスルー
190、210、230:透過窓
208、228:レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ・ケーブル(26、107)を通して光信号を与える光源(22、101)と、
電気機械部品(46)に又は該電気機械部品(109)から一定の離隔距離に配置されて、当該電気機械部品(46、109)の状態を表わす応答光信号を得る光ファイバ・センシング部品(30、106)と、
該光ファイバ・センシング部品(30、106)からの前記応答光信号を受信して電気信号へ変換する光検出器(32、104)と、
前記電気信号を解析することにより前記電気機械部品(46、109)に付着した汚れに関する情報を決定するように構成されている処理回路(38、105)と
を備えた電気機械部品監視システム(20、100)。
【請求項2】
前記処理回路は、前記電気信号を解析することにより前記電気機械部品の運動に関する情報をさらに決定するように構成されている、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記処理回路は、前記光ファイバ・センシング・モジュールの伝送損失の大きさ及び中心波長シフトに基づいて前記電気機械部品での汚れ及び運動に関する情報を決定する、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記光ファイバ・センシング部品が前記電気機械部品に配置されているときに、前記光ファイバ・センシング部品は長周期格子構造を含んでおり、周囲媒体の屈折率変化に応答する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
前記光ファイバ・センシング部品が電気機械部品から一定の離隔距離に配置されているときに、前記光ファイバ・センシング部品は汚れに対する感受性を有する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項6】
前記離隔距離は、汚れに関する情報を決定するために前記電気機械部品からの作用点距離を含んでいる、請求項5に記載の監視システム。
【請求項7】
汚れに対する感受性のある前記光ファイバ・センシング部品は、第一の離隔距離に位置する第一の光ファイバ・センシング部品を含んでいる、請求項5に記載の監視システム。
【請求項8】
運動に対する感受性を有し、前記第一の離隔距離のものよりも前記電気機械部品から小さい距離に位置する光学レンズを含む第二の光ファイバ・センシング部品をさらに含んでいる請求項5に記載の監視システム。
【請求項9】
前記処理回路は、前記第二の光ファイバ・センシング部品からの前記応答光信号の高速フーリエ変換(FFT)を求めることにより前記運動に関する情報を決定する、請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
電気機械部品(46、109)の監視(20、100)の方法であって、
前記電気機械に光信号を与える(22、101)ステップと、
前記電気機械部品(46、109)に又は前記電気機械部品(46、109)から一定の離隔距離に配置された光ファイバ・センシング部品(30、106)からの反射光信号を測定する(32、104)ステップと、
前記反射光信号を解析することにより前記電気機械部品(46、109)に付着した汚れに関する情報を決定する(38、105)ステップと
を備えた方法。
【請求項1】
光ファイバ・ケーブル(26、107)を通して光信号を与える光源(22、101)と、
電気機械部品(46)に又は該電気機械部品(109)から一定の離隔距離に配置されて、当該電気機械部品(46、109)の状態を表わす応答光信号を得る光ファイバ・センシング部品(30、106)と、
該光ファイバ・センシング部品(30、106)からの前記応答光信号を受信して電気信号へ変換する光検出器(32、104)と、
前記電気信号を解析することにより前記電気機械部品(46、109)に付着した汚れに関する情報を決定するように構成されている処理回路(38、105)と
を備えた電気機械部品監視システム(20、100)。
【請求項2】
前記処理回路は、前記電気信号を解析することにより前記電気機械部品の運動に関する情報をさらに決定するように構成されている、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記処理回路は、前記光ファイバ・センシング・モジュールの伝送損失の大きさ及び中心波長シフトに基づいて前記電気機械部品での汚れ及び運動に関する情報を決定する、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記光ファイバ・センシング部品が前記電気機械部品に配置されているときに、前記光ファイバ・センシング部品は長周期格子構造を含んでおり、周囲媒体の屈折率変化に応答する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
前記光ファイバ・センシング部品が電気機械部品から一定の離隔距離に配置されているときに、前記光ファイバ・センシング部品は汚れに対する感受性を有する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項6】
前記離隔距離は、汚れに関する情報を決定するために前記電気機械部品からの作用点距離を含んでいる、請求項5に記載の監視システム。
【請求項7】
汚れに対する感受性のある前記光ファイバ・センシング部品は、第一の離隔距離に位置する第一の光ファイバ・センシング部品を含んでいる、請求項5に記載の監視システム。
【請求項8】
運動に対する感受性を有し、前記第一の離隔距離のものよりも前記電気機械部品から小さい距離に位置する光学レンズを含む第二の光ファイバ・センシング部品をさらに含んでいる請求項5に記載の監視システム。
【請求項9】
前記処理回路は、前記第二の光ファイバ・センシング部品からの前記応答光信号の高速フーリエ変換(FFT)を求めることにより前記運動に関する情報を決定する、請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
電気機械部品(46、109)の監視(20、100)の方法であって、
前記電気機械に光信号を与える(22、101)ステップと、
前記電気機械部品(46、109)に又は前記電気機械部品(46、109)から一定の離隔距離に配置された光ファイバ・センシング部品(30、106)からの反射光信号を測定する(32、104)ステップと、
前記反射光信号を解析することにより前記電気機械部品(46、109)に付着した汚れに関する情報を決定する(38、105)ステップと
を備えた方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−73257(P2012−73257A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212232(P2011−212232)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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