説明

電気毛髪切断器を洗浄する装置及び方法、及びかかる装置を有するキット

本発明は、電気毛髪切断器の毛髪切断部を洗浄する洗浄装置に係る。当該洗浄装置は、中央受入れ範囲において電気毛髪切断器の毛髪切断部を受け入れる洗浄液容器を有し、毛髪切断部が洗浄液において少なくとも部分的に浸漬されるようにする。電気毛髪切断器は、容器の中央範囲の周囲における容器内で回転軸の周りを旋回する渦を形成する洗浄液流を生成することによって、洗浄される。液体流は、毛髪切断部から離れて残屑を効果的に取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気毛髪切断器の毛髪切断部を洗浄する方法、かかる方法において使用される装置、及び、かかる装置及び電気毛髪切断器を有するキットに係る。
【背景技術】
【0002】
シェーバ又はトリマ等である電気毛髪切断器は、一般的に、モータを収容する筐体を有し、該筐体は、電気シェーバを使用中に手で持てるよう設計される。通常はシェービングヘッドの形状における毛髪切断器の端部である毛髪切断部において、1つ又はそれより多いカッターは、例えば1つ又はそれより多いシェービングヘッドの形状、又は毛髪トリミングカッターの形状において、配置される。
【0003】
実際には、普及している電気シェーバの主な2つの種類は、フォイルシェーバ(foil shaver)及びロータリーシェーバである。フォイルシェーバは、薄く可撓性のあるメッシュスクリーンフォイルの形状における外部カッターを有し、その後方においてカッターは、相互的に(reciprocally)可動である。ロータリーシェーバは、各々が円形固定外部カッターブレードを有する1つ又はそれより多いシェービングヘッドを有し、その後方における周囲に分布された複数の可動カッターは、外部カッターブレードと同軸である軸の周囲に回転方向に可動である。稼働時には、外部カッターにおける開口を貫通する毛髪は、外部カッター、及び外部カッターに沿って動く内部カッターの協働によって切断される。
【0004】
EP 0 664 973(特許文献1)から、洗浄装置は、洗浄容器において下方に面するシェービングヘッドを有して電気シェーバを保持するホルダを有する、ことが既知である。洗浄中、ポンプは、洗浄液をリザーバから洗浄容器へと連続的にポンプする。容器の下部における出口ポートを介して、洗浄液のリターンフローは、リザーバに戻るよう流れる。シェーバからの残屑は、リザーバに戻るよう流れる洗浄液によって取り込まれる。洗浄液は、容器へと再度取り込まれる前にフィルタを通される。
【0005】
かかる洗浄装置の不利点は、残屑が効率的に除去されず、大量の残屑が装置に貼り付く傾向がある、ことである。残屑を含有する洗浄液は特に、液を排出した後、あるいは洗浄液からシェーバの浸漬部を持ち上げた後に電気シェーバの一部上に、また、シェーバ上で液体が跳ねてかかった部分上に、毛髪残屑を残す。
【特許文献1】EP 0 664 973
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、洗浄装置、及び、電気毛髪切断器の毛髪切断部をより効率的に洗浄する方法を与える、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1記載の洗浄装置を与えることによって達成される。本発明はまた、請求項7記載のキットにおいて実現され得る。更には、本発明は、請求項8に従った方法において実現され得る。
【0008】
洗浄容器内において中央受入れ範囲の周囲に旋回する(revolving)洗浄液流は、毛髪切断器の毛髪切断部から離れる毛髪残屑を取り込む。特には、毛髪切断部に沿って近接する比較的高い液体流速度は、容器を出入りする流れの高速循環(circulation)を求めることなく、達成される。
【0009】
本発明の特定の実施例は、従属請求項に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の更なる態様、効果、及び詳細は、本発明の実施例を参照する詳細の説明に記載される。複数の実施例は、図面に示される。
【0011】
図1乃至3中に示される本発明に従った洗浄装置4の実施例は、図示される種類の電気シェーバ1の毛髪切断部2から毛髪切断残屑を除去するよう、特に適切である。他の種類のシェーバ又は他の毛髪切断器を洗浄する本発明に従った洗浄装置、又はより多目的な設計を有する洗浄装置は、適宜に適合される形状を有する。
【0012】
洗浄装置4の容器5は、洗浄液13を保持するよう使用され、容器5の中央受入れ範囲において電気シェーバ1の毛髪切断部2を受け得る受入れ開口6を介して洗浄されるようシェーバ1に対してアクセス可能である。該容器4の中央受入れ範囲では、電気シェーバ1の毛髪切断部2は、洗浄装置が稼働可能な状態にある際に、洗浄液13において部分的に浸漬され得る。
【0013】
ポンプ9は、洗浄液流を生成するよう液体循環回路において配置され、また、容器5から液体を出すよう(矢印35)洗浄液出口ポート7の下流に、容器5へと液体を入れるよう(矢印36)洗浄液入口ポート8の上流に、位置付けられる。ポンプ9及び導管14は、容器及び回路を介して循環する液体循環流だけではなく、容器5内において中央受入れ範囲の周囲及び下方に旋回する液体流(矢印37,38)も生成するよう、液体流生成器を形成する。稼働時に、容器5内において旋回する液体流は、電気シェーバ1の毛髪切断部2から離れる毛髪残屑を効率的に取り込む。故に比較的高い流速がシェーバ1の毛髪切断部2に沿って(より特には、この例では、シェービングヘッドホルダ3に沿って)、達成され得るため、毛髪残屑が毛髪切断部2に対して粘着する傾向、もしくは、毛髪残屑が毛髪切断部2に近接して留まり、その後毛髪切断部2に貼り付くか、あるいはシェーバが液体から取り出される際又は液体が容器から排出される際にシェーバに貼り付く傾向は、特に効率的に妨げられる。旋回流は、出口7に対して回転軸の周囲に螺旋形になる(多少変形された)渦を形成する。該流は、軸流構成要素を有し、該流が基本的に螺旋形のパスをたどるようにする。
【0014】
稼働時には、洗浄液13は、洗浄液入口ポート8を介して容器5へとポンプされる。入口ポート8は、容器5の周囲に対して接線方向に向けられるため、液体13は容器5の円周壁に近接する接線方向において容器5に入り、容器5を介するだけではなく容器5内においても洗浄液の循環が引き起こされる。
【0015】
洗浄液入口ポート8は、容器5の上方部分へと開く。故に、容器5内において旋回する洗浄流は、毛髪切断部2が浸漬される容器5の上方部分において駆動される。故に、流速は、毛髪残屑が取り込まれる容器5の該部分において特に高い。
【0016】
望ましくは、シェーバ1のモータは、洗浄中にオンにされ、シェービングヘッドの稼働内部カッターを駆動する。シェーバが、回転型であり、且つ外部カッターの後方における内部空間と連通する流出開口を備えられる場合、回転式に固定外部切断表面に対して傾斜する切断表面の傾斜された向きと組み合わせられるシェーバ1の内部カッターの回転運動は、液体が、外部カッターにおける開口を介してシェービングヘッドへと、また出口を介してシェービングヘッドから、ポンプされるようにする。続いて、有利には、シェービングヘッドから排出される残屑は、素早く希薄され(diluted)、比較的高速でシェービングヘッドに沿って通る流れを有して取り込まれる。
【0017】
シェーバの毛髪切断部の浸漬された部分の周囲における更に均質な流れのパターンに対して、2つ又はそれより多い、円周方向に分布される洗浄液入口ポートは、容器の周囲に与えられ得る。
【0018】
シェーバの毛髪切断部の浸漬された部分の周囲における均質な流れのパターンに対して、また、必要とされる洗浄液の容積を最小限に抑えるよう有利であるには、容器5は、実質的に一定の幅、及び/又は、容器の側壁と毛髪切断部2又は少なくとも電気シェーバの毛髪切断部2の浸漬部分との間における形状(壁の最も近接する部分に対して垂直方向に断面で示される)を有する隙間を残すよう、形成される。
【0019】
洗浄液出口ポート7は、容器5の下部の中央範囲において位置付けられる。容器5の下方中央範囲において、洗浄液速度は最低限であり、このことは残屑の沈殿に対して望ましい。容器の該範囲から洗浄液を抽出することは、容器を出る比較的大部分の残屑を取り込むよう有利である。
【0020】
洗浄液を出る毛髪切断残屑をフィルタするフィルタ10は、洗浄液出口ポート7の下流の回路において位置決めされ、フィルタ空間の周囲に延在する。これによって、比較的小型の配置において比較的大きなフィルタ表面が与えられ得、毛髪残屑が、フィルタ10の内側に収集され、フィルタ10を取り除くことによって装置から容易に除去され得るため、フィルタされた毛髪残屑の除去は、容易にされる。フィルタは、例えば、平面図でみると円筒形又は三角形であり得る。稼働時には、液体は、フィルタ本体10へと軸方向に流入し、フィルタ10から半径方向に流出する(矢印35)。
【0021】
例えば、洗浄されるべき電気シェーバは、支持部12間において毛髪切断部を有して置かれ得る。支持部12は、筐体が支持部12によって境界される開口より幅広くなる位置において電気シェーバ1を支持し、洗浄位置における毛髪切断部2、シェービングヘッド3、及び洗浄液において浸漬される毛髪切断部2の一部と共に、電気シェーバ1を支持する。安定位置における電気シェーバ1を有して、電気シェーバ1の毛髪切断部2は、洗浄され得る。
【0022】
汚れの度合いに依存して、ポンプは、一定の期間稼働され得る。また、ポンプとタイマーとの組合せは、可能である。代替的又は追加的に、ポンプによって生成される流速は、例えばポンプに対して供給される動力を制御することによって、調整可能であり得る。
【0023】
洗浄工程後、電気シェーバ1は、乾燥するよう取り出され得、使用可能な状態にされる。
【0024】
しかしながら、本発明に従った実施例はまた、電気シェーバ1の使用に対して必要とされる格納、搭載、又は他の種類の機能の可能性等も与える洗浄システムにおいて、一体にされ得る。
【0025】
請求項に記載される本発明の構成内において、上述された例以外の多種の変形が想到され得る、ことは当業者にとって明らかである。例えば、洗浄装置24は、図4及び5中に示される。この実施例では、装置は、洗浄位置において電気シェーバ1を受け且つ保持するよう支持部を具備されない。ユーザは、洗浄中に洗浄液容器4において電気シェーバ1を手で保持しなければならない。シェーバ1の浸漬の深さは、中央支持部材30によって制限され、シェーバ1が容器25においてプロペラ29と接触することも防がれる。
【0026】
容器におけるプロペラ29は、スリーブ40によって境界される範囲の上方において配置される。スリーブ40において、フィルタ31は、懸架される。稼働時には、プロペラは、軸33の周囲に容器25における液体の流れ(矢印34)を駆動させ、容器25の垂直軸も形成する軸33の周囲の回転に対して懸架される。プロペラ29はまた、液体流をスリーブ40及びフィルタ31を介して下方向に駆動し、その後、液体流は、スリーブと容器の側壁との間における空間を介して戻る(矢印39)。プロペラ29の回転を駆動させるよう、プロペラ29は、モータ32に対して結合される。望ましくは、スイッチは、シェービング位置におけるシェーバ1の存在に応じてモータ32のスイッチをオンにするよう与えられる。スイッチは、例えば、支持部材30を介して稼働され得、洗浄液が洗浄位置において保持されるシェーバ1に応じて旋回を開始するようにさせる。
【0027】
稼働時に液体がフィルタ31を介して流れるため、残屑は、洗浄容器内において循環する洗浄液から出てフィルタされる。旋回流は、回転軸の周囲に旋回する渦を形成する。容器25の上方部分において、渦は、回転軸に対して平行である方向における実質的な流れの構成要素を有さない一方、容器の下方部分においては、流れは、主に下方向及び上方向に方向付けられる。スリーブの内側の液体の回転を制限するよう、主に軸方向に向けられるガイドバッフルは、スリーブ40の内側に与えられ得る。
【0028】
流体流が容器内において、また特には、プロペラ25及びフィルタスクリーン31が回転するところであるシェーバの毛髪切断部の下方における容器の一部において旋回する速度を高めるよう、平面図でみると、容器25が円形周囲を有することは有利である。続いて容器25は、矢印34で示される通り、容器25の側部に沿って洗浄液を均等に案内する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に従った洗浄装置及び毛髪切断器の一実施例の概略的な切断前面部である。
【図2】図1中の洗浄装置の概略的な切断側面図である。
【図3】図1中の線III−IIIに沿った断面の概略図である。
【図4】本発明に従った洗浄装置及び毛髪切断器の更なる一実施例の切断前面図である。
【図5】図4中の線V−Vに沿った断面の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気毛髪切断器の毛髪切断部を洗浄する洗浄装置であって:
・ 洗浄液を保持する洗浄液容器と;
・ 液体流生成器と、
を有し、
前記洗浄液容器は、中央受入れ範囲において前記電気毛髪切断器の前記毛髪切断部を受け入れるよう開口を有し、前記毛髪切断部が前記洗浄液において少なくとも部分的に浸漬されるようにし、
前記液体流生成器は、前記容器内において前記中央受け入れ範囲の周囲に旋回する洗浄液流を生成する、
装置。
【請求項2】
前記液体流生成器は、前記容器の少なくとも上方部分において前記旋回する洗浄液流を生成するよう適切であり且つ配置される、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記液体流生成器は、
・ 前記容器から出る液体流に対する、少なくとも1つの洗浄液出口ポートと;
・ 前記容器へと入る液体流に対する、少なくとも1つの洗浄液入口ポートと;
・ 前記少なくとも1つの洗浄液出口ポートから前記少なくとも1つの洗浄液入口ポートまで前記液体をポンプするポンプと、
を有し、
前記少なくとも1つの洗浄液入口ポートは、前記容器の周辺に対して接線方向に方向付けられ、前記液体が前記容器の円周壁に密接に沿って接線方向において前記容器に入る、
請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記容器は、中央範囲を有する下部を有し、
前記洗浄液出口ポートは、該中央範囲において位置付けられる、
請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記電気毛髪切断器の前記毛髪切断部を洗浄位置において支持する支持部を更に有する、
請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記容器は、平面図において、円形の周辺を有する、
請求項1記載の装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の洗浄装置と、毛髪切断部を有する電気毛髪切断器とを有するキットであって、
前記毛髪切断器の前記毛髪切断部が、液体における少なくとも部分的な浸漬に対して容器において受け入れられる際、実質的に一定の幅を有する隙間は、前記容器の側壁と、前記毛髪切断部又は前記毛髪切断部の少なくとも前記浸漬される部分との間に残される、
キット。
【請求項8】
電気毛髪切断器の毛髪切断部を洗浄する方法であって:
・ 洗浄液を有する容器を与える段階と;
・ 前記洗浄液において前記電気毛髪切断器の前記毛髪切断部を少なくとも部分的に浸漬させる段階と;
・ 前記毛髪切断部又は前記電気毛髪切断器の前記毛髪切断部の少なくとも前記浸漬される部分の周囲に前記容器内において旋回する洗浄液流を生成する段階と、
を有する方法。
【請求項9】
前記洗浄液を前記容器の下部の中央範囲におけるポートを介して前記容器から出るようポンプする段階と、前記洗浄液を前記容器の周辺に対して接線方向において前記容器へとポンプする段階とを更に有する、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記容器における前記洗浄液の流れは、渦を形成する、
請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−504299(P2009−504299A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526595(P2008−526595)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052803
【国際公開番号】WO2007/020590
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】