説明

電気泳動表示装置、電気泳動表示装置の駆動方法、電子機器

【課題】 使用温度範囲外での使用を履歴として残し、修理、メンテナンスしやすい電気泳動表示装置等を提供する。
【解決手段】 電気泳動表示装置100であって、入力された基準信号120をカウントして時刻を計時し、時刻情報122を出力する計時カウンター2と、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画像を表示する表示部3と、表示部の使用環境温度を計測し、使用環境温度に基づく温度情報140を出力する温度検出部5と、外部入力を検出して、その結果を外部入力情報として出力する外部入力検出部4と、表示部を制御する制御部1と、を含み、制御部は、時刻情報に基づいて表示部に時刻表示をさせる通常表示制御と、温度情報に基づいて表示部に所与の使用環境温度表示をさせる温度情報表示制御と、外部入力情報に基づいて通常表示制御と温度情報表示制御とを切り替える制御と、を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置、電気泳動表示装置の駆動方法、電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源を切っても画像を保持できるメモリー性を有する表示パネルが開発され、電子時計等にも使用されている。メモリー性を有する表示パネルとしては、EPD(Electrophoretic Display)すなわち電気泳動表示装置や、メモリー性液晶表示装置等が知られている。例えば、電気泳動表示装置は、メモリー性という性質の他にも、視野角の広さ、コントラストの高さ、柔軟性などの優れた利点がある。
【0003】
しかし、特許文献1によると、電気泳動表示装置では温度の変動により分散液の抵抗等が変化し、印加電圧や残留電荷に影響を及ぼす。そのため、使用環境温度によっては、安定した表示状態が得られない可能性がある。特に、高温(例えば50℃以上)での使用は、表示部分にいわゆる焼き付きを生じさせる恐れがあり、焼き付きは電気泳動表示装置の品質を著しく劣化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−85097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため一般に、電気泳動表示装置には安定した表示性能を維持できる使用温度範囲(例えば−5℃〜50℃)が定められている。ユーザーは定められた使用温度範囲内での使用を求められる。
【0006】
しかし、例えばユーザーがうっかり電気泳動表示装置を暑い日に自動車内等に放置したような場合、電気泳動表示装置は使用温度範囲を越える高温にさらされる可能性がある。そして、後日にその電気泳動表示装置が品質劣化や故障を生じた場合、修理を行う者が使用温度範囲外の使用が原因なのか、他に原因があるのかを判別することは困難である。もし、原因を特定できれば、修理に要する時間が短縮され、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供することができる。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、使用温度範囲外での使用を履歴として残し、修理、メンテナンスしやすい電気泳動表示装置等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、電気泳動表示装置であって、入力された基準信号をカウントして時刻を計時し、時刻情報を出力する計時カウンターと、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画像を表示する表示部と、前記表示部の使用環境温度を計測し、前記使用環境温度に基づく温度情報を出力する温度検出部と、外部入力を検出して、その結果を外部入力情報として出力する外部入力検出部と、前記表示部を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記時刻情報に基づいて前記表示部に時刻表示をさせる通常表示制御と、前記温度情報に基づいて前記表示部に所与の使用環境温度表示をさせる温度情報表示制御と、前記外部入力情報に基づいて前記通常表示制御と前記温度情報表示制御とを切り替える制御と、を行う。
【0009】
本発明によれば、時刻表示をさせる通常表示制御だけでなく、使用環境温度表示をさせる温度情報表示制御を行う。使用環境温度に関する表示が行われるため、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを行うことを可能にする電気泳動表示装置を提供できる。
【0010】
(2)この電気泳動表示装置において、前記制御部は、前記温度情報表示制御においては、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上、及び所与の下限値以下、の少なくとも一方の温度が計測された時間の積算値を表示させてもよい。
【0011】
本発明によれば、上限値以上、及び下限値以下の少なくとも一方の温度が計測された時間の積算値が表示される。この積算時間に基づいて、例えば表示部に焼き付きなどの品質上の問題が生じる恐れを従来よりも正確に予測したり、メンテナンス時に交換するか否かを適切に判断したりできる。そして、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供することができる。ここで、上限値や下限値は予め決められた固定的な値でもよいし、設定や変更が可能な値であってもよい。
【0012】
(3)この電気泳動表示装置において、前記制御部は、前記温度情報表示制御においては、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上の温度が計測された回数、及び所与の下限値以下の温度が計測された回数、の少なくとも一方を表示させてもよい。
【0013】
本発明によれば、上限値以上の温度が計測された回数、及び下限値以下の温度が計測された回数の少なくとも一方が表示される。この表示された回数に基づいて、例えば表示部に焼き付きなどの品質上の問題が生じる恐れを従来よりも正確に予測したり、メンテナンス時に交換するか否かを適切に判断したりできる。そして、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供することができる。
【0014】
(4)この電気泳動表示装置において、前記制御部は、前記温度情報表示制御においては、前記所与の使用環境温度表示として、計測された温度の最高値、及び最低値、の少なくとも一方を表示させてもよい。
【0015】
本発明によれば、使用環境温度の最高値、及び最低値の少なくとも一方が表示される。この最高値又は最低値の表示は、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因の特定を容易にする。例えば、表示部に焼き付きなどの問題が万一生じた場合には、使用環境温度の最高値を調べることで、使用環境に問題があったか否かが分かる。このことにより、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供することができる。
【0016】
(5)本発明は、前記電気泳動表示装置を含む電子機器であってもよい。
【0017】
本発明によれば、使用環境温度に関する表示が行われるため、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを行うことを可能にする、電気泳動表示装置を含む電子機器を提供できる。
【0018】
(6)本発明は、入力された基準信号をカウントして時刻を計時し、時刻情報を出力する計時カウンターと、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画像を表示する表示部と、前記表示部の使用環境温度を計測し、前記使用環境温度に基づく温度情報を出力する温度検出部と、外部入力を検出して、その結果を外部入力情報として出力する外部入力検出部と、を含む電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記時刻情報に基づいて前記表示部に時刻表示をさせる通常表示工程と、前記温度情報に基づいて前記表示部に所与の使用環境温度表示をさせる温度情報表示工程と、前記外部入力情報に基づいて前記通常表示工程と前記温度情報表示工程とを切り替える工程と、を含む。
【0019】
本発明によれば、時刻表示をさせる通常表示工程だけでなく、使用環境温度表示をさせる温度情報表示工程を行う。使用環境温度に関する表示が行われるため、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを行うことを可能にする電気泳動表示装置を提供できる。
【0020】
(7)この電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記温度情報表示工程は、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上、及び所与の下限値以下、の少なくとも一方の温度が計測された時間の積算値を表示させてもよい。
【0021】
本発明によれば、上限値以上、及び下限値以下の少なくとも一方の温度が計測された時間の積算値が表示される。この積算時間に基づいて、例えば表示部に焼き付きなどの品質上の問題が生じる恐れを従来よりも正確に予測したり、メンテナンス時に部品交換すべきか否かを適切に判断したりできる。そして、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供することができる。
【0022】
(8)この電気泳動表示装置の駆動方法において、前記温度情報表示工程は、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上の温度が計測された回数、及び所与の下限値以下の温度が計測された回数、の少なくとも一方を表示させてもよい。
【0023】
本発明によれば、上限値以上の温度が計測された回数、及び下限値以下の温度が計測された回数の少なくとも一方が表示される。この表示された回数に基づいて、例えば表示部に焼き付きなどの品質上の問題が生じる恐れを従来よりも正確に予測したり、メンテナンス時に交換するか否かを適切に判断したりできる。そして、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供することができる。
【0024】
(9)この電気泳動表示装置の駆動方法において、前記温度情報表示工程は、前記所与の使用環境温度表示として、計測された温度の最高値、及び最低値、の少なくとも一方を表示させてもよい。
【0025】
本発明によれば、使用環境温度の最高値、及び最低値の少なくとも一方が表示される。この最高値又は最低値の表示は、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因の特定を容易にする。例えば、表示部に焼き付きなどの問題が万一生じた場合には、使用環境温度の最高値を調べることで、使用環境に問題があったか否かが分かる。このことにより、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態における電気泳動表示装置のブロック図。
【図2】第1実施形態における電気泳動表示装置の別のブロック図。
【図3】第1実施形態における電気泳動表示装置の画素の構成例を示す図。
【図4】図4(A)は電気泳動素子の構成例を示す図。図4(B)、図4(C)は電気泳動素子の動作の説明図。
【図5】第1実施形態における計時カウンターの構成例を示す図。
【図6】図6(A)は温度センサーが測定した温度の例を示す図。図6(B)は温度検出回路が検出する対象を示す図。図6(C)は積算処理回路が積算する対象を示す図。
【図7】図7(A)は第1実施形態における通常表示モードの表示例を示す図。図7(B)〜図7(C)は第1実施形態における温度情報表示モードの表示例を示す図。
【図8】第1実施形態におけるフローチャート。
【図9】図9(A)は電子機器の一例である腕時計の図、図9(B)は電子機器の一例である携帯端末機器の図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
【0028】
1.1.電気泳動表示装置の構成
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置100のブロック図である。
【0029】
電気泳動表示装置100は、制御部1、計時カウンター2、表示部(EPD)3、外部入力検出部4、温度検出部5を含む。
【0030】
計時カウンター2は、入力された基準信号120をカウントして時刻を計時し、時刻情報122を出力する。ここで、基準信号120は、例えば1Hzのクロックである。電気泳動表示装置100は、発振回路(図外)と、発振回路からの出力信号を分周して1Hzのクロックを生成する分周回路(図外)とを含んでいてもよい。
【0031】
表示部3は、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画像を表示する。ここで、画像とは図形のみならず、文字や数字、記号なども含めた広範な画像を意味する。本実施形態では、アクティブマトリックス駆動方式の電気泳動表示装置100であるとして、図形や文字、数字、記号などの様々な画像を自由に表示することが可能である。なお、本発明の駆動方式はアクティブマトリックス方式に限らず、セグメント方式であってもよい。
【0032】
外部入力検出部4は、外部入力44、46、47、48(以下、外部入力44等と表記する)を検出して、その結果を外部入力情報124、126、127、128(以下、外部入力情報124等と表記する)として出力する。なお、外部入力の数は任意であり、4つに限るものではない。
【0033】
温度検出部5は、表示部3が使用される環境の温度(使用環境温度)を測定して、温度情報140として出力する。温度情報140には、現在の使用環境温度、現在までの使用環境温度の履歴だけでなく、所与の温度条件を満たした時刻や積算時間などの情報が含まれていてもよい。
【0034】
温度検出部5は、温度センサー51、温度検出回路53、積算処理回路57、記憶手段59を含んでいてもよい。
【0035】
温度センサー51は表示部3の使用環境温度を測定し、測定した使用環境温度情報136を温度検出回路53に出力してもよい。なお、温度センサー51は例えば、表示部3の表面温度等を直接測定してもよいし、電気泳動表示装置100の周囲の温度を測定して、計算により間接的に表示部3の使用環境温度を求めてもよい。また、温度センサー51は常に表示部3の使用環境温度を測定してもよいし、1分毎、10分毎又は1時間毎など定期的に測定を行ってもよい。
【0036】
温度検出回路53は、例えば使用環境温度の測定を開始してからの最高値、最低値などを検出してもよいし、使用温度範囲(例えば−5℃〜50℃)外であるかを検出してもよい。そして、温度検出回路53は、現在の使用環境温度、更新があった場合の最高値や最低値、現在の使用環境温度が使用温度範囲外か否かの情報を含む検出温度情報138を、積算処理回路57に出力したり、記憶手段59に書き込んだりしてもよい。
【0037】
積算処理回路57は、計時カウンター2からの時刻情報122も受け取り、検出温度情報138に基づいて必要な時間を積算、計算又は取得して記憶手段59に書き込んでもよい。必要な時間とは、例えば、使用環境温度が使用温度範囲外となった時間の積算値であってもよいし、最高値や最低値が更新された日付や時間であってもよい。
【0038】
温度検出回路53、積算処理回路57によって記憶手段59に書き込まれたこれらの情報は、使用環境温度情報140として温度検出部5から制御部1に出力されてもよい。
【0039】
制御部1は、使用環境温度情報140、時刻情報122、外部入力情報124等に基づいて、表示部3を制御信号130によって制御する。制御部1は、外部入力情報124等に基づいて定められる表示モードを切り替えることで、表示部3に表示する画像を変更してもよい。また、制御部1は制御信号132によって計時カウンター2の値を変更したり、計時カウンター2がカウントすることを許可したり、停止したりしてもよい。
【0040】
本実施形態では、制御部1は少なくとも通常表示制御と温度情報表示制御とを行う。通常表示制御は、表示部3に時刻情報122に基づいて時刻表示を行う場合の制御である。温度情報表示制御は、例えばメンテナンスを行う者が外部入力44等によって、表示部3に使用環境温度情報140の内容を表示させる場合の制御である。
【0041】
制御部1は、表示制御回路10とコントローラー12を含んでいてもよい。ここで、表示制御回路10は、表示部3に所望の画像を表示させる制御信号130を出力する回路であってもよい。コントローラー12は、時刻情報122や外部入力情報124等に基づいて、計時カウンターを制御する制御信号132や表示制御回路10に対する内部信号134を出力する機能ブロックであってもよい。なお、コントローラー12はCPUであってもよい。
【0042】
図2は、本実施形態に係るアクティブマトリックス駆動方式の電気泳動表示装置100
のブロック図である。ここでは、計時カウンター2、外部入力検出部4、温度検出部5については記載を省略し、制御部1と表示部3との接続等について詳しく述べる。
【0043】
電気泳動表示装置100は、複数の画素40が配列された表示部3を含む。制御部1は表示部3を制御する。制御部1は、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、コントローラー12、共通電源変調回路64を含む。ここで、本実施形態では、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、共通電源変調回路64が表示制御回路10を構成する。
【0044】
走査線駆動回路61、データ線駆動回路62,共通電源変調回路64は、それぞれコントローラー12と接続されている。コントローラー12は、時刻情報122や使用環境温度情報140のみならず、図外から供給される時刻情報以外の画像信号や同期信号に基づいて、これらを総合的に制御する。なお、コントローラー12は、記憶部(図外)を含んでいてもよい。記憶部は、SRAM、DRAM、EEPROM、その他のメモリーであってもよいし、一部にROMを含んでもよい。記憶部は、表示部3に表示させる画像情報を記憶していてもよい。
【0045】
表示部3は、表示制御回路10(走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、共通電源変調回路64)からの制御信号に基づいて、例えば、時刻を10:08のように表示する。表示部3には、走査線駆動回路61から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。
【0046】
走査線駆動回路61は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)により各画素40に接続されている。走査線駆動回路61は、コントローラー12の制御に従って1行目からm行目までの走査線66を順次選択することで、画素40に設けられた駆動用TFT41(図3参照)のオンタイミングを規定する選択信号を供給する。
【0047】
データ線駆動回路62は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)により各画素40に接続されている。データ線駆動回路62は、コントローラー12の制御に従って、画素40のそれぞれに対応する1ビットの画像データを規定する画像信号を画素40に供給する。なお、本実施形態では、画素データ「0」を規定する場合には、ローレベルの画像信号を画素40に供給し、画像データ「1」を規定する場合には、ハイレベルの画像信号を画素40に供給するものとする。
【0048】
表示部3には、また、共通電源変調回路64から延びる低電位電源線49(Vss)、高電位電源線50(Vdd)、共通電極配線55(Vcom)、第1の制御線91(S)、第2の制御線92(S)が設けられており、それぞれの配線は画素40と接続されている。共通電源変調回路64は、コントローラー12の制御に従って上記配線のそれぞれに供給する各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス化、Hi−Z)を行う。
【0049】
1.2.画素部分の回路構成
図3は、図2の画素40の回路構成図である。
【0050】
画素40には、駆動用TFT(Thin Film Transistor)41と、ラッチ回路70と、スイッチ回路80が設けられている。画素40は、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成をとる。なお、図2と同じ配線には同じ番号を付しており、説明は省略する。また、全画素に共通の共通電極配線55については記載を省略している。
【0051】
駆動用TFT41は、N−MOSトランジスタからなる画素スイッチング素子である。駆動用TFT41のゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子はラッチ回路70のデータ入力端子に接続されている。ラッチ回路70は転送インバーター70tと帰還インバーター70fとを備えている。インバーター70t、70fには、低電位電源線49(Vss)と高電位電源線50(Vdd)から電源電圧が供給される。
【0052】
スイッチ回路80は、トランスミッションゲートTG1、TG2からなり、ラッチ回路70に記憶された画素データのレベルに応じて、画素電極35(図4(B)、図4(C)参照)に信号を出力する。図3のVaは、1つの画素40の画素電極へ供給される電位(信号)を意味する。ここで、本実施形態では、アクティブマトリックス駆動方式の電気泳動表示装置100を用いるため、電気泳動表示装置100の駆動電極は画素電極である。よって、画素電極という名称を用いて説明する。なお、駆動電極は画素電極ではなく、セグメント電極であってもよい。
【0053】
ラッチ回路70に画像データ「1」(ハイレベルの画像信号)が記憶されて、トランスミッションゲートTG1がオン状態となると、スイッチ回路80はVaとして電位Sを供給する。一方、ラッチ回路70に画像データ「0」(ローレベルの画像信号)が記憶されて、トランスミッションゲートTG2がオン状態となると、スイッチ回路80はVaとして電位Sを供給する。このような回路構成により、制御部1はそれぞれの画素40の画素電極に対して供給する電位(信号)を制御することが可能である。なお、画素40の回路構成は一例であり、図3に示すものに限られない。
【0054】
1.3.表示方式
本実施形態の電気泳動表示装置100は、二粒子系マイクロカプセル型の電気泳動方式であるとする。分散液は無色透明、泳動粒子は白色又は黒色であるとすると、電気泳動表示装置100は、白色又は黒色の2色を基本色として少なくとも2色を表示可能である。
【0055】
図4(A)は、本実施形態の電気泳動素子32の構成を示す図である。電気泳動素子32は素子基板30と対向基板31(図4(B)、図4(C)参照)との間に挟まれている。電気泳動素子32は、複数のマイクロカプセル20を配列して構成される。マイクロカプセル20は、例えば無色透明な分散液と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入している。本実施形態では、例えば白色粒子27は負に帯電しており、黒色粒子26は正に帯電しているとする。
【0056】
図4(B)は、電気泳動表示装置100の表示部3の部分断面図である。素子基板30と対向基板31は、マイクロカプセル20を配列してなる電気泳動素子32を狭持している。表示部3は、素子基板30の電気泳動素子32側に、複数の画素電極35が形成された駆動電極層350を含む。図4(B)では、画素電極35として画素電極35Aと画素電極35Bが示されている。画素電極35により、画素ごとに電位を供給することが可能である(例えば、Va、Vb)。ここで、画素電極35Aを有する画素を画素40Aとし、画素電極35Bを有する画素を画素40Bとする。画素40A、画素40Bは画素40(図2、図3参照)のうちの2つの画素である。
【0057】
一方、対向基板31は透明基板であり、表示部3において対向基板31側に画像表示がなされる。表示部3は、対向基板31の電気泳動素子32側に、平面形状の共通電極37が形成された共通電極層370を含む。なお、共通電極37は透明電極である。共通電極37は、画素電極35と異なり全画素に共通の電極であり、電位Vcomが供給される。
【0058】
共通電極層370と駆動電極層350との間に設けられた電気泳動表示層360に電気泳動素子32が配置されており、電気泳動表示層360が表示領域となる。共通電極37と画素電極(例えば、35A、35B)との間の電位差に応じて、画素毎に所望の表示色を表示させることができる。
【0059】
図4(B)では、共通電極側電位Vcomが画素40Aの画素電極の電位Vaよりも高電位である。このとき、負に帯電した白色粒子27が共通電極37側に引き寄せられ、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35A側に引き寄せられるため、画素40Aは白を表示していると視認される。
【0060】
図4(C)では、共通電極側電位Vcomが画素40Aの画素電極の電位Vaよりも低電位である。このときは逆に、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37側に引き寄せられ、負に帯電した白色粒子27が画素電極35A側に引き寄せられるため、画素40Aは黒を表示していると視認される。なお、図4(C)の構成は図4(B)と同様である。
【0061】
1.4.計時カウンター
図5は、第1実施形態における計時カウンター2の構成例を示す。
【0062】
本実施形態の計時カウンター2は、時刻情報122の構成要素である時刻情報122A〜122Fを出力する。ここで、時刻情報とは、年、月、日・週についての情報(カレンダー情報)も含めた総称として用いるとする。
【0063】
本実施形態の計時カウンター2は、具体的には、秒カウンター201、分カウンター202、時カウンター203、日・週カウンター204、月カウンター205、年カウンター206を含む。それぞれのカウンターが保持する時刻情報122A〜122Fは、時刻情報122として制御部1に出力される。
【0064】
また、制御部1は、時刻情報を補正する場合などに、カウンター値調整信号132A〜132Fによってカウンター201〜206のそれぞれの値を変更することができる。ここで、カウンター値調整信号132A〜132Fは、制御部1からの制御信号132を構成する信号である。カウンター値調整信号132A〜132Fは、カウンター201〜206の値を直接書き込む信号でもよいし、インクリメント又はデクリメントする信号であってもよい。また、カウンター201〜206を個別にリセットする、すなわち値を0にする信号であってもよい。
【0065】
カウンター201〜206は、それぞれ、秒桁上げ信号220、分桁上げ信号221、時桁上げ信号222、日・週桁上げ信号223、月桁上げ信号224、年桁上げ信号225によってインクリメントされる。本実施形態では、桁上げ信号221〜225は、正論理の信号であり、基準信号120と下位のカウンターからの桁上げ許可信号211〜215との論理積をとった信号である。なお、秒桁上げ信号220は、基準信号120と制御部1からのイネーブル信号132G(制御信号132を構成する信号の1つ)との論理積をとった信号である。よって、制御部1は、イネーブル信号132Gをローレベルとすることで、計時カウンター2の動作を停止させることができる。なお、計時カウンター2の構成は一例であり、図5に示すものに限られない。
【0066】
1.5.温度検出部
図6(A)は、温度センサー51が測定する使用環境温度の例を示す。縦軸は温度であり、−5℃(下限値)と50℃(上限値)は、それぞれ使用温度範囲の境界値の例である。例えば、使用環境温度が上限値(例えば、50℃)以上である場合には、電気泳動表示装置100は安定した表示性能を保証できない。使用環境温度が下限値(例えば、−5℃)以下である場合にも同様である。温度センサー51は、表示部3が使用される環境の温度を測定する。横軸は時間であり、温度センサー51は使用環境温度を、常に測定してもよいし、一定の間隔を空けて測定してもよいし、所与のイベントに連動して測定してもよい。
【0067】
図6(B)は、温度検出回路53が検出する対象を示す。縦軸、横軸の意味は図6(A)と同じである。温度検出回路53は、使用環境温度情報136が上限値以上の温度(530A)となった状態や下限値以下の温度(530B)となった状態、すなわち使用温度範囲外の状態を検出する。そして、履歴として残すために、使用温度範囲外の状態となったことを示す信号を検出温度情報138として積算処理回路57に出力する。
【0068】
また、本実施形態では、温度検出回路53は、使用環境温度の最大値、最小値が更新された場合に、新たな最大値(530C)、最小値(530D)を検出する。そして、更新時刻を履歴として残すために、最大値、最小値が更新されたことを示す信号を検出温度情報138として積算処理回路57に出力する。また、新たな最大値(530C)、最小値(530D)を記憶手段59に書き込む。図6(B)の例では、最大値は55℃であり、最小値は−13℃であることが、記憶手段59に書き込まれる。また、温度検出回路53は、現在の温度を積算処理回路57に出力し、記憶手段59に書き込んでもよい。
【0069】
図6(C)は、積算処理回路57が積算する対象を示す。縦軸、横軸の意味は図6(A)と同じである。本実施形態では、積算処理回路57は、検出温度情報138に基づいて、使用温度範囲外の使用環境温度で電気泳動表示装置100が使用された回数をカウントしたり、使用された場合の時間を積算したりする。例えば、表示部(EPD)3に品質の劣化があった場合、これらの情報は使用環境による劣化か製品の製造不良による劣化かを判断する材料となる。
【0070】
図6(C)の例では、電気泳動表示装置100は、570Aと570Bを積算した時間分、上限値以上の使用環境温度で使用されている。同じく、電気泳動表示装置100は、570Cと570Dを積算した時間分、下限値以下の使用環境温度で使用されている。また、電気泳動表示装置100は、上限値以上の使用環境温度で2回使用され(570A、570B)、下限値以下の使用環境温度で2回使用されている(570C、570D)。これらの積算時間と使用温度範囲外での使用回数は、記憶手段59に書き込まれる。
【0071】
また、積算処理回路57は、検出温度情報138に基づいて、新たな最大値(530C)、最小値(530D)が得られた日付の情報を記憶手段59に書き込む。つまり、温度検出回路53から最大値、最小値が更新されたことを示す信号(検出温度情報138)が送られたときの日付を記憶手段59に書き込む。この日付は、例えば電気泳動表示装置100がユーザーにより使用温度範囲外で使用されたのか、それとも製品の出荷・輸送中に使用温度範囲外の環境下にあったのかを判断する材料となる。
【0072】
このように、図6(B)又は図6(C)における必要なデータ(530A〜530D、570A〜570D)は記憶手段59に記憶され、使用環境温度情報140として制御部1に出力される。
【0073】
1.6.表示モード
図7(A)は、通常表示モードM1における電気泳動表示装置100の表示例を示す。通常表示モードM1とは、制御部1が通常表示制御を行う場合の表示モードである。表示モードが通常表示モードM1のときは、表示部3には計時カウンター2からの時刻情報122に基づく時刻表示が行われる。本実施形態では、表示モードとして温度情報表示モードM2も定められており、表示モードが温度情報表示モードM2のときは、図7(B)又は図7(C)のような表示(使用環境温度表示)が行われる。
【0074】
本実施形態では、電気泳動表示装置100は外部入力として操作ボタンA(44)、操作ボタンC(46)、操作ボタンD(47)、操作ボタンE(48)を備える。以下、これらの操作ボタンをそれぞれAボタン、Cボタン、Dボタン、Eボタンと表す。Aボタン、Cボタン、Dボタン、Eボタンは、図1の外部入力検出部4におけるスイッチ44、46、47、48にそれぞれ対応する。Aボタン、Cボタン、Dボタン、Eボタンが押されると、それぞれについて、外部入力情報124、126、127、128として制御部1に伝えられる。
【0075】
本実施形態では、通常表示モードM1から温度情報表示モードM2への移行は、例えばEボタンを押した後にDボタンを長押しすることで行われる(C1)。そして、Aボタンを押すか、一定の時間が経過する(例えば1分後)ことで、温度情報表示モードM2から通常表示モードM1へと戻る(C2)。なお、操作ボタンと表示モードの切り替えの対応はこの例に限らない。AボタンとEボタンの割り当てが逆でも、他の操作ボタンが用いられてもよい。本実施形態では、Dボタンを長押しするという操作を温度情報表示モードM2への移行条件とすることで、通常のボタン操作により誤って温度情報表示モードM2へ移行してしまうことを防止する。また、温度情報表示モードM2への移行方法を、ユーザーに対して開示しなくてもよい。
【0076】
図7(B)は、温度情報表示モードM2における電気泳動表示装置100の表示例を示す。温度情報表示モードM2とは、制御部1が温度情報表示制御を行う場合の表示モードである。図7(B)では特に上限値(例えば、50℃)以上の使用環境温度に関する情報が表示されている。例えば、電気泳動表示装置100の使用環境温度のうち最高温度とそれを検出した日が表示されてもよい(74A)。この最高温度の情報を含む使用環境温度表示は、例えば表示部3に焼き付きが生じているような場合に、その原因を探る手がかりを与える。
【0077】
また、電気泳動表示装置100がどの程度、上限値以上の使用環境温度で使用されてきたのかを知る積算時間情報、回数が表示されてもよい(76A)。積算時間は上限値以上の使用環境温度であった時間(例えば、図6(C)の570A、570B)を積算した時間である。この積算時間は、例えば表示部3に焼き付きなどの品質上の問題が生じる恐れを予測するのに用いることができる。そして、積算時間に基づいて、例えばメンテナンス時に表示部3を交換するか否かを判断してもよい。また、上限値以上の使用環境温度となった回数が多い場合には、ユーザーに対して注意を促すことができる。
【0078】
図7(C)は、温度情報表示モードM2における電気泳動表示装置100の別の表示例を示す。図7(C)では特に下限値(例えば、−5℃)以下の使用環境温度に関する情報が表示されている。例えば、電気泳動表示装置100の使用環境温度のうち最低温度とそれを検出した日が表示されてもよい(74B)。この最低温度の情報を含む使用環境温度表示は、例えば表示部3のコントラストが悪いとの理由で修理依頼がきた場合に、その原因が低温での使用にあるのか、機器の故障かを判断する材料を与える。
【0079】
また、電気泳動表示装置100がどの程度、下限値以下の使用環境温度で使用されてきたのかを知る積算時間情報、回数が表示されてもよい(76B)。積算時間は下限値以下の使用環境温度であった時間(例えば、図6(C)の570C、570D)を積算した時間である。このとき、下限値以下の使用環境温度となった回数も表示されてもよい。この積算時間および回数は、ユーザー以外の者が、電気泳動表示装置100が使用されている環境温度を知るための貴重なデータとなる。修理やメンテナンス時に、これらの情報に基づいて適切な修理、判断が可能になる。例えば、下限値以下の使用環境温度となる積算時間が長くかつ回数も多い場合には、表示部3のコントラストの低さや描画速度が遅さといった問題は、使用環境による可能性があるとの判断ができる。
【0080】
本実施形態では、温度情報表示モードM2として、図7(B)の表示と図7(C)の表示とをEボタンで相互に切り替えることができる(C3、C4)。これにより、上限値以上の使用環境温度、下限値以下の使用環境温度の両方についてのデータが取得可能である。また、図7(B)および図7(C)の表示では、現在の状態を把握するために現在温度が表示されてもよい。なお、表示部3の画面が十分大きい場合などには、Eボタンでの切り替えをすることなく、図7(B)および図7(C)の表示内容が一度に表示されてもよい。
【0081】
このように、電気泳動表示装置100が温度情報表示モードM2において使用環境温度に関する表示を行うことで、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供できる。
【0082】
1.7.駆動方法(フローチャート)
図8は、本実施形態に係る電気泳動表示装置100の駆動方法を説明するフローチャート図である。
【0083】
計時カウンター2は、基準信号120の入力があるか、つまり秒カウントがあるかを判断する(S1)。
【0084】
S1で秒カウントがなかった場合(S1N)は、温度情報表示モードM2への移行要求があるか、すなわちEボタンが押された後にDボタンが長押しされたかどうか、を判断する(S10)。
【0085】
温度情報表示モードM2への移行要求がある場合(S10Y)、表示モードは通常表示モードM1から温度情報表示モードM2へと変更される(S11)。
【0086】
温度情報表示モードM2への変更後、再びS1に戻る。温度情報表示モードM2への移行要求がなかった場合(S10N)にもS1に戻る。なお、移行要求があっても、Dボタンの長押しの完了後に温度情報表示モードM2への変更(S11)が行われるので、それまで(例えば、Eボタンを押しただけのとき)はS1に戻ることになる(S10N)。
【0087】
S1で秒カウントがあった場合(S1Y)は、通常表示モードM1か温度情報表示モードM2かが判断される(S2)。
【0088】
通常表示モードM1の場合(S2N)には、計時カウンター2をカウントアップし(S3)、更に分桁上げがあれば表示部3の時刻表示を更新する(S4Y、S5)。時刻を更新した後、再びS1に戻る。なお、分桁上げがない場合(S4N)にもS1に戻る。
【0089】
温度情報表示モードM2の場合(S2Y)には、図7(B)又は図7(C)に示された表示が行われる。ここで、高温情報表示とは、図7(B)の特に上限値(例えば、50℃)以上の使用環境温度に関する情報の表示を指す。低温情報表示とは、図7(C)の特に下限値(例えば、−5℃)以下の使用環境温度に関する情報の表示を指す。これらの表示はEボタンで相互に切り替えが可能であるため、まず、どちらの表示を要求しているかが判断される(S30)。
【0090】
高温情報表示が選択された場合には(S30Y)、図7(B)の高温情報表示が行われる(S32)。また、低温情報表示が選択された場合には(S30N)、図7(C)の低温情報表示が行われる(S34)。
【0091】
その後、通常表示モードM1への復帰要求があるか、すなわちAボタンが押されたか、又は温度情報表示モードM2における最後の操作から所定の時間(例えば、1分)が経過したか否かが判断される(S40)。復帰要求がない場合には、温度情報表示モードM2が継続されて(S40N)、再びS30に戻る。復帰要求がある場合(S40Y)には、計時カウンターの補正が行われる(S42)。そして、表示モードが温度情報表示モードM2から通常表示モードM1へと変更されて(S44)、S1に戻る。
【0092】
ここで、計時カウンターの補正(S42)は、高温情報表示S32又は低温情報表示S34を行った時間を、計時カウンター2に対して補正する処理である。例えば、コントローラー12(図1参照)は停止時間カウンター(図外)を含み、高温情報表示S32又は低温情報表示S34を行う間には停止時間カウンターを動作させ、その値に基づいて、制御信号132で計時カウンター2を補正してもよい。
【0093】
本実施形態に係る電気泳動表示装置100の駆動方法によって、使用環境温度に関する表示が行われるため、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供できる。
【0094】
2.適用例
本発明の適用例について図9(A)〜図9(B)を参照して説明する。前記の電気泳動表示装置100は、様々な電子機器に適用され得る。
【0095】
例えば、図9(A)は電子機器の1つである腕時計1000の正面図である。腕時計1000は、時計ケース1002と、時計ケース1002に連結された一対のバンド1003とを備える。時計ケース1002の正面には、電気泳動表示装置100からなる表示部1004が設けられ、表示部1004は例えば高温情報表示を行う。時計ケース1002の側面にはAボタン(1044)が設けられ、時計ケース1002の正面にはCボタン(1046)、Dボタン(1047)、Eボタン(1048)が設けられている。これらの操作ボタンは電気泳動表示装置100に対する外部入力として用いられる。
【0096】
また、例えば図9(B)は電子機器の1つである携帯端末機器1100の正面図である。携帯端末機器1100はケース1102の正面に、電気泳動表示装置100からなる表示部1104が設けられている。表示部1104は例えば高温情報表示を行う。ケース1102の正面にはAボタン(1144)、Cボタン(1146)、Dボタン(1147)、Eボタン(1148)が設けられている。これらの操作ボタンは電気泳動表示装置100に対する外部入力として用いられる。
【0097】
電気泳動表示装置100を含む電子機器は、使用環境温度に関する表示が行われるため、万一の故障や不具合等が生じた場合に、原因を特定する時間を早めることができ、ユーザーに対し良好なカスタマーサービスを提供できる。
【0098】
3.その他
前記の実施形態においては、電気泳動表示装置は、黒粒子および白粒子による白黒二粒子系の電気泳動が行われるものに限られず、青白等の一粒子系の電気泳動を行っても良く、また、白黒以外の組み合わせでも構わない。
【0099】
そして、電気泳動表示装置に限らず、メモリー性の表示手段に前記の駆動方法が適用されてもよい。例えば、ECD(Electrochromic Display=エレクトロクロミックディスプレイ)、強誘電性液晶ディスプレイ、コレステリック液晶ディスプレイ等である。
【0100】
さらに、前記の適用例では、腕時計に限らず、置き時計、掛け時計、懐中時計などの時計機能を有する機器に広く適用できる。
【0101】
これらの例示に限らず、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0102】
1…制御部、2…計時カウンター、3…表示部(EPD)、4…外部入力検出部、5…温度検出部、10…表示制御回路、12…コントローラー、20…マイクロカプセル、26…黒色粒子、27…白色粒子、30…素子基板、31…対向基板、32…電気泳動素子、35…画素電極(駆動電極)、35A…画素電極(駆動電極)、35B…画素電極(駆動電極)、37…共通電極、40…画素、40A…画素、40B…画素、41…駆動用TFT(Thin Film Transistor)、44…外部入力(操作ボタンA、Aボタン)、46…外部入力(操作ボタンC、Cボタン)、47…外部入力(操作ボタンD、Dボタン)、48…外部入力(操作ボタンE、Eボタン)、49…低電位電源線(Vss)、50…高電位電源線(Vdd)、51…温度センサー、53…温度検出回路、55…共通電極配線(Vcom)、57…積算処理回路、59…記憶手段、61…走査線駆動回路、62…データ線駆動回路、64…共通電源変調回路、66…走査線、68…データ線、70…ラッチ回路、74A…最高温度の表示、74B…最低温度の表示、76A…積算時間、76B…積算時間、80…スイッチ回路、91…第1のパルス信号線(S)、92…第2のパルス信号線(S)、100…電気泳動表示装置、120…基準信号、122…時刻情報(カレンダー情報)、122A〜122F…時刻情報(カレンダー情報)、124…外部入力情報、126…外部入力情報、127…外部入力情報、128…外部入力情報、130…制御信号、132…制御信号、132A〜132F…制御信号(カウンター値調整信号)、132G…制御信号(イネーブル信号)、134…内部信号、136…使用環境温度情報、138…検出温度情報、140…使用環境温度情報、201…秒カウンター、202…分カウンター、203…時カウンター、204…日・週カウンター、205…月カウンター、206…年カウンター、211…分桁上げ許可信号、212…時桁上げ許可信号、213…日・週桁上げ許可信号、214…月桁上げ許可信号、215…年桁上げ許可信号、220…秒桁上げ信号、221…分桁上げ信号、222…時桁上げ信号、223…日・週桁上げ信号、224…月桁上げ信号、225…年桁上げ信号、230…論理積回路、231…論理積回路、232…論理積回路、233…論理積回路、234…論理積回路、235…論理積回路、350…駆動電極層、360…電気泳動表示層、370…共通電極層、530A…上限値以上の温度、530B…下限値以下の温度、530C…最大値、530D…最小値、570A…上限値以上の時間、570B…上限値以上の時間、570C…下限値以下の時間、570D…下限値以下の時間、1000…腕時計、1002…時計ケース、1003…バンド、1004…表示部、1044…Aボタン、1046…Cボタン、1047…Dボタン、1048…Eボタン、1100…携帯端末機器、1102…ケース、1104…表示部、1144…Aボタン、1146…Cボタン、1147…Dボタン、1148…Eボタン、M1…通常表示モード、M2…温度情報表示モード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動表示装置であって、
入力された基準信号をカウントして時刻を計時し、時刻情報を出力する計時カウンターと、
一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画像を表示する表示部と、
前記表示部の使用環境温度を計測し、前記使用環境温度に基づく温度情報を出力する温度検出部と、
外部入力を検出して、その結果を外部入力情報として出力する外部入力検出部と、
前記表示部を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記時刻情報に基づいて前記表示部に時刻表示をさせる通常表示制御と、
前記温度情報に基づいて前記表示部に所与の使用環境温度表示をさせる温度情報表示制御と、
前記外部入力情報に基づいて前記通常表示制御と前記温度情報表示制御とを切り替える制御と、を行う、電気泳動表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気泳動表示装置において、
前記制御部は、
前記温度情報表示制御においては、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上、及び所与の下限値以下、の少なくとも一方の温度が計測された時間の積算値を表示させる、電気泳動表示装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の電気泳動表示装置において、
前記制御部は、
前記温度情報表示制御においては、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上の温度が計測された回数、及び所与の下限値以下の温度が計測された回数、の少なくとも一方を表示させる、電気泳動表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電気泳動表示装置において、
前記制御部は、
前記温度情報表示制御においては、前記所与の使用環境温度表示として、計測された温度の最高値、及び最低値、の少なくとも一方を表示させる、電気泳動表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電気泳動表示装置を含む電子機器。
【請求項6】
入力された基準信号をカウントして時刻を計時し、時刻情報を出力する計時カウンターと、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画像を表示する表示部と、前記表示部の使用環境温度を計測し、前記使用環境温度に基づく温度情報を出力する温度検出部と、外部入力を検出して、その結果を外部入力情報として出力する外部入力検出部と、を含む電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記時刻情報に基づいて前記表示部に時刻表示をさせる通常表示工程と、
前記温度情報に基づいて前記表示部に所与の使用環境温度表示をさせる温度情報表示工程と、
前記外部入力情報に基づいて前記通常表示工程と前記温度情報表示工程とを切り替える工程と、を含む、電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記温度情報表示工程は、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上、及び所与の下限値以下、の少なくとも一方の温度が計測された時間の積算値を表示させる、電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項6乃至7のいずれかに記載の電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記温度情報表示工程は、前記所与の使用環境温度表示として、所与の上限値以上の温度が計測された回数、及び所与の下限値以下の温度が計測された回数、の少なくとも一方を表示させる、電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記温度情報表示工程は、前記所与の使用環境温度表示として、計測された温度の最高値、及び最低値、の少なくとも一方を表示させる、電気泳動表示装置の駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−191498(P2011−191498A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57356(P2010−57356)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】