説明

電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、及び電子機器

【課題】画素内のラッチ回路の劣化を防止し、優れた信頼性を得ることができる電気泳動表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、複数のラッチ回路に一の画像に対応する正画像信号を保持させた状態で、画素電極に第1の制御線又は第2の制御線の電位を入力し、画素の電気泳動素子を駆動する第1のステップS101と、上記一の画像の反転画像に対応する反転画像信号を複数のラッチ回路に所定期間保持させる第2のステップS102と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の電気泳動表示装置として、画素内にスイッチング用トランジスタとラッチ回路(SRAM;Static Random Access Memory)とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1記載の表示装置は、マイクロカプセルが配列された電気泳動素子を備えた第2基板に対して、電気泳動素子を挟持するように画素電極が形成された第1基板を接着した構成を採用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−84314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、TFT(薄膜トランジスタ)には、DCバイアスの印加により閾値シフトやオン電流の低下、オフ電流の上昇などの劣化を生じる問題があり、これらの閾値シフト等が温度により加速されることも知られている(BT(Bias-Temperature)ストレス劣化)。電気泳動表示装置の画素に設けられたラッチ回路において、回路を構成するTFTの閾値シフト等が過度に進行した場合には、ラッチ回路への画像信号の書き込みに失敗し、表示に不具合を生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、画素内のラッチ回路の劣化を防止し、優れた信頼性を得ることができる電気泳動表示装置の駆動方法、及び電気泳動表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素と前記画素に接続された第1の制御線及び第2の制御線とを有する表示部を備えており、前記画素ごとに、画素電極と、画素スイッチング素子と、前記画素電極と前記画素スイッチング素子との間に接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力に基づいて前記画素電極と前記第1及び第2の制御線との接続をスイッチングするスイッチ回路と、を有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記表示部の複数の前記ラッチ回路に一の画像に対応する正画像信号を保持させた状態で、前記画素電極に前記第1の制御線又は前記第2の制御線の電位を入力し、前記画素の前記電気泳動素子を駆動する第1のステップと、前記一の画像の反転画像に対応する反転画像信号を複数の前記ラッチ回路に所定期間保持させる第2のステップと、を有することを特徴とする。
【0007】
この駆動方法によれば、第1のステップにおいてラッチ回路を構成するトランジスタに印加されるDCバイアスにより生じるBTストレス劣化を、第2のステップにおいて上記DCバイアスとは逆の極性のDCバイアスを印加することで回復させることができる。これにより、ラッチ回路の劣化を防止することができ、優れた信頼性を得ることができる。
【0008】
前記第1のステップにおいて前記ラッチ回路に前記正画像信号を保持させる期間と、前記第2のステップにおいて前記ラッチ回路に前記反転画像信号を保持させる期間とが同等の長さである方法としてもよい。
この駆動方法によれば、第1のステップにおけるDCバイアス印加期間と、第2のステップにおけるDCバイアス期間とを同等の長さとすることができるので、BTストレス劣化を短時間でより確実に効率良く回復させることができる。
【0009】
前記第2のステップにおいて、前記電気泳動素子を駆動しない方法としてもよい。
この駆動方法によれば、表示部の状態を維持したままで第2のステップを実行し、BTストレス劣化を回復させることができる。
【0010】
前記第2のステップにおいて、前記第1の制御線に入力される電位が前記第1のステップで前記第2の制御線に入力される電位である一方、前記第2の制御線に入力される電位が前記第1のステップで前記第1の制御線に入力される電位である方法としてもよい。
この駆動方法によれば、第1のステップと第2のステップとで表示部に表示させる画像を一致させることができるため、第2のステップを画像表示動作中に実行することができる。
【0011】
前記電気泳動表示装置が、前記表示部の温度を測定する温度測定部を備えており、前記温度測定部により計測された温度に基づいて、前記第2のステップの実行又はスキップを選択する方法としてもよい。
この駆動方法によれば、表示部の温度に基づいて第2のステップの実行、非実行を選択するので、BTストレス劣化が生じない比較的低温の環境では第2のステップが実行されないようにすることができる。これにより、第2のステップの実行に伴う操作性の低下などを回避することができる一方、BTストレス劣化が生じやすい高温環境では確実にBTストレス劣化を回復させることが可能となる。
【0012】
前記ラッチ回路の電源を遮断する際に、前記ラッチ回路の電源端子に基準電位を入力した後、前記電源端子を電気的に切断する方法としてもよい。
この駆動方法によれば、ラッチ回路の電源を遮断する前に、ラッチ回路のトランジスタから電荷を除去し、DCバイアスが印加されない状態にすることができる。これにより、残留電荷によるDCバイアスによってBTストレス劣化が生じるのを防止することができる。
【0013】
本発明の電気泳動表示装置は、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素と前記画素に接続された第1の制御線及び第2の制御線とを有する表示部を備えており、前記画素ごとに、画素電極と、画素スイッチング素子と、前記画素電極と前記画素スイッチング素子との間に接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力に基づいて前記画素電極と前記第1及び第2の制御線との接続をスイッチングするスイッチ回路と、を有し、前記表示部を制御する制御部を備えた電気泳動表示装置であって、前記制御部は、前記表示部の複数の前記ラッチ回路に一の画像に対応する正画像信号を保持させた状態で、前記画素電極に前記第1の制御線又は第2の制御線の電位を入力し、前記画素の前記電気泳動素子を駆動する第1の動作と、前記一の画像の反転画像に対応する反転画像信号を複数の前記ラッチ回路に所定期間保持させる第2の動作と、を実行することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1の動作においてラッチ回路を構成するトランジスタに印加されるDCバイアスにより生じるBTストレス劣化を、第2の動作において上記DCバイアスとは逆の極性のDCバイアスを印加することで回復させることができる。これにより、ラッチ回路の劣化を防止することができ、優れた信頼性を得ることができる。
【0015】
前記第1の動作において前記ラッチ回路に前記正画像信号を保持させる期間と、前記第2の動作において前記ラッチ回路に前記反転画像信号を保持させる期間とが同等の長さである構成としてもよい。
この構成によれば、第1の動作におけるDCバイアス印加期間と、第2の動作におけるDCバイアス期間とを同等の長さとすることができるので、BTストレス劣化を短時間でより確実に効率良く回復させることができる電気泳動表示装置となる。
【0016】
前記制御部は、前記第2の動作において前記電気泳動素子を駆動しないこととしてもよい。
この構成によれば、表示部の状態を維持したままで第2の動作を実行し、BTストレス劣化を回復させることができる電気泳動表示層となる。
【0017】
前記制御部は、前記第1の動作において前記第1の制御線に第1の電位、前記第2の制御線に第2の電位を入力し、前記第2の動作において前記第1の制御線に前記第2の電位、前記第2の制御線に前記第1の電位を入力することとしてもよい。
この構成によれば、第1の動作と第2の動作とで表示部に表示させる画像を一致させることができるため、画像表示動作中に第2の動作を実行することができる。
【0018】
前記表示部の温度を測定する温度測定部を備えており、前記制御部は、前記温度測定部により計測された温度に基づいて、前記第2の動作の実行又はスキップを選択することとしてもよい。
この構成によれば、表示部の温度に基づいて第2の動作の実行、非実行を選択するので、BTストレス劣化が生じない比較的低温の環境では第2の動作が実行されないようにすることができる。これにより、第2の動作の実行に伴う操作性の低下などを回避することができる一方、BTストレス劣化が生じやすい高温環境では確実にBTストレス劣化を回復させることが可能となる。
【0019】
前記制御部は、前記ラッチ回路の電源を遮断する際に、前記ラッチ回路の電源端子に基準電位を入力した後、前記電源端子を電気的に切断することとしてもよい。
この構成によれば、ラッチ回路の電源を遮断する前に、ラッチ回路のトランジスタから電荷を除去し、DCバイアスが印加されない状態にすることができる。これにより、残留電荷によるDCバイアスによってBTストレス劣化が生じるのを防止することができる。
【0020】
本発明の電子機器は、上記の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、信頼性に優れた表示手段を具備した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。
【図2】画素の回路構成図。
【図3】電気泳動表示装置及びマイクロカプセルの断面図。
【図4】電気泳動素子の動作説明図。
【図5】コントローラー(制御部)の詳細を示すブロック図。
【図6】第1実施形態の駆動方法を示すフローチャート。
【図7】図6に対応するタイミングチャート。
【図8】画像データと表示部の状態遷移を示す説明図。
【図9】ラッチ回路におけるBTストレス劣化の説明図。
【図10】第2の実施形態の駆動方法を示すフローチャート。
【図11】図10に対応するタイミングチャート。
【図12】電子機器の具体例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図である。
電気泳動表示装置100は、複数の画素40がマトリクス状に配列された表示部5を備えている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、コントローラー(制御部)63、及び共通電源変調回路64が配置されている。走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、及び共通電源変調回路64は、それぞれコントローラー63と接続されている。コントローラー63は、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、これらを総合的に制御する。
【0024】
表示部5には走査線駆動回路61から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。
【0025】
走査線駆動回路61は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)を介して各々の画素40に接続されており、コントローラー63の制御のもと、1行目からm行目までの走査線66を順次選択し、画素40に設けられた選択トランジスタ41(図2参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。
【0026】
データ線駆動回路62は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)を介して各々の画素40に接続されており、コントローラー63の制御のもと、画素40の各々に対応する1ビットの画素データを規定する画像信号を画素40に供給する。
なお、本実施形態では、画素データ「0」を規定する場合にはローレベル(L)の画像信号を画素40に供給し、画素データ「1」を規定する場合はハイレベル(H)の画像信号を画素40に供給するものとする。
【0027】
表示部5にはまた、共通電源変調回路64から延びる低電位電源線49、高電位電源線50、及び共通電極配線55が設けられており、それぞれの配線は画素40と接続されている。共通電源変調回路64は、コントローラー63の制御のもと、上記の配線の各々に供給すべき各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス(Hi−Z)化)を行う。
【0028】
図2は、画素40の回路構成図である。
画素40には、TFT(Thin Film Transistor)からなる選択トランジスタ41(画素スイッチング素子)と、ラッチ回路(メモリ回路)70と、スイッチ回路80と、電気泳動素子32と、画素電極35と、共通電極37とが設けられている。画素40には、走査線66と、データ線68と、低電位電源線49と、高電位電源線50と、第1の制御線91と、第2の制御線92と、が接続されている。画素40は、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成である。
【0029】
選択トランジスタ41は、N−MOSトランジスタ(Negative Metal Oxide Semiconductor Transistor)からなる画素スイッチング素子である。選択トランジスタ41のゲートは走査線66に接続され、ソースはデータ線68に接続され、ドレインはラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
【0030】
ラッチ回路70は、転送インバータ70tと帰還インバータ70fとを備えている。転送インバータ70t及び帰還インバータ70fはいずれもC−MOSインバータである。転送インバータ70tと帰還インバータ70fとは、互いの入力端子に他方の出力端子が接続されたループ構造を成しており、それぞれのインバータには、高電位電源端子PHを介して接続された高電位電源線50と、低電位電源端子PLを介して接続された低電位電源線49とから電源電圧が供給される。
【0031】
転送インバータ70tは、それぞれのドレインをデータ出力端子N2に接続されたP−MOSトランジスタ71(Positive Metal Oxide Semiconductor Transistor)とN−MOSトランジスタ72とを有している。P−MOSトランジスタ71のソースは高電位電源端子PHに接続され、N−MOSトランジスタ72のソースは低電位電源端子PLに接続されている。P−MOSトランジスタ71及びN−MOSトランジスタ72のゲート(転送インバータ70tの入力端子)は、データ入力端子N1(帰還インバータ70fの出力端子)と接続されている。
【0032】
帰還インバータ70fは、それぞれのドレインをデータ入力端子N1に接続されたP−MOSトランジスタ73とN−MOSトランジスタ74とを有している。P−MOSトランジスタ73及びN−MOSトランジスタ74のゲート(帰還インバータ70fの入力端子)は、データ出力端子N2(転送インバータ70tの出力端子)と接続されている。
【0033】
スイッチ回路80は、第1のトランスミッションゲートTG1と、第2のトランスミッションゲートTG2とを備えて構成されている。
第1のトランスミッションゲートTG1は、P−MOSトランジスタ81とN−MOSトランジスタ82とからなる。P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のソースは第1の制御線91に接続され、P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のドレインは画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ81のゲートは、ラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続され、N−MOSトランジスタ82のゲートは、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続されている。
【0034】
第2のトランスミッションゲートTG2は、P−MOSトランジスタ83とN−MOSトランジスタ84とからなる。P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のソースは第2の制御線92に接続され、P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のドレインは、画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ83のゲートは、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続され、N−MOSトランジスタ84のゲートは、ラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。また、画素電極35と共通電極37との間に電気泳動素子32が挟持されている。
【0035】
以上の構成を備えた画素40において、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶され、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力された場合、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91を介して供給される電位S1が画素電極35に入力される。
一方、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶され、データ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力された場合、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となり、第2の制御線92を介して供給される電位S2が画素電極35に入力される。
そして、画素電極35に入力された電位S1、S2と、共通電極配線55(図1)を介して共通電極37に入力された電位Vcomとの電位差に基づいて電気泳動素子32が駆動されることで、画素40が入力された画像信号に応じた階調で表示される。
【0036】
次に、図3(a)は、表示部5における電気泳動表示装置100の部分断面図である。
電気泳動表示装置100は、素子基板(第1基板)30と対向基板(第2基板)31との間に、複数のマイクロカプセル20を配列してなる電気泳動素子32を挟持した構成を備えている。
【0037】
表示部5において、素子基板30の電気泳動素子32側には、図1や図2に示した走査線66、データ線68、選択トランジスタ41、ラッチ回路70などが形成された回路層34が設けられており、回路層34上に複数の画素電極35が配列形成されている。
素子基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。画素電極35は、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al(アルミニウム)、ITO(インジウム・スズ酸化物)などにより形成された電気泳動素子32に電圧を印加する電極である。
【0038】
一方、対向基板31の電気泳動素子32側には複数の画素電極35と対向する平面形状の共通電極37が形成されており、共通電極37上に電気泳動素子32が設けられている。
対向基板31はガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、画素電極35とともに電気泳動素子32に電圧を印加する電極であり、MgAg(マグネシウム銀)、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
そして、電気泳動素子32と画素電極35とが、接着剤層33を介して接着されることで、素子基板30と対向基板31とが接合されている。
【0039】
なお、電気泳動素子32は、あらかじめ対向基板31側に形成され、接着剤層33までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。製造工程において、電気泳動シートは接着剤層33の表面に保護用の離型シートが貼り付けられた状態で取り扱われる。そして、別途製造された素子基板30(画素電極35や各種回路などが形成されている)に対して、離型シートを剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部5を形成する。このため、接着剤層33は画素電極35側のみに存在することになる。
【0040】
図3(b)は、マイクロカプセル20の模式断面図である。マイクロカプセル20は、例えば50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、図3(a)に示すように共通電極37と画素電極35とに挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
【0041】
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアゴムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
【0042】
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26及び白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部5に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
【0043】
図4は、電気泳動素子の動作説明図である。図4(a)は、画素40を白表示する場合、図4(b)は、画素40を黒表示する場合をそれぞれ示している。
図4(a)に示す白表示の場合には、共通電極37が相対的に高電位、画素電極35が相対的に低電位に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子27が共通電極37に引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35に引き寄せられる。その結果、表示面側となる共通電極37側からこの画素を見ると、白色(W)が認識される。
図4(b)に示す黒表示の場合、共通電極37が相対的に低電位、画素電極35が相対的に高電位に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37に引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子27が画素電極35に引き寄せられる。その結果、共通電極37側からこの画素を見ると黒色(B)が認識される。
【0044】
図5は、電気泳動表示装置100に備えられたコントローラー63の詳細を示すブロック図である。
コントローラー63は、CPU(Central Processing Unit)としての制御回路161と、メモリ162(記憶部)と、データバッファ164と、フレームメモリ165と、画像信号生成回路166と、を備えている。コントローラー63は、表示部5に接続された温度センサー6(温度測定部)と、駆動回路69(走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、共通電源変調回路64)と、に接続されている。
【0045】
制御回路161は、クロック信号CLK、水平同期信号Hsync、垂直同期信号Vsync等の制御信号(タイミングパルス)を生成し、制御回路161の周辺に配置された各回路にこれらの制御信号を供給する。制御回路161は、メモリ162、データバッファ164、画像信号生成回路166、及び温度センサー6に接続されている。
【0046】
メモリ162は、制御回路161から読み書き可能であり、かつ画像信号生成回路166から少なくとも書き込み可能に構成された記憶部である。メモリ162は、制御回路161において実行されるプログラムや、各回路の動作制御に必要な設定値(モード設定値やボリューム値)等を記憶しており、例えば、動作モードごとの駆動シーケンスの設定値をLUT(Look Up Table)として記憶している。また本実施形態の場合、メモリ162は、画像信号生成回路166から供給されるフレームメモリのコピーを記憶する領域を複数備えており、電気泳動表示装置の表示履歴を保存可能に構成されている。
【0047】
データバッファ164は、コントローラー63における上位装置とのインタフェース部であり、上位装置から入力される画像データDを保持するとともに、制御回路161に対して画像データDを送信する。
【0048】
フレームメモリ165は、表示部5の画素40の配列に対応するメモリ空間を有する読み書き自在のメモリである。画像信号生成回路166は、制御回路161から供給される画像データDを、制御信号に従って表示部5の画素配列に対応させて展開することで画像信号に変換し、フレームメモリ165に書き込む。フレームメモリ165に書き込まれた画像信号は、画像信号生成回路166を介して駆動回路69(データ線駆動回路62)に送信される。
データ線駆動回路62は、画像信号生成回路166を介して供給される制御信号に基づいてフレームメモリ165から送信される画像信号を一ライン分ずつラッチする。そして、走査線駆動回路61による走査線66の順次選択動作に同期して、ラッチした画像信号をデータ線68に供給する。
【0049】
温度センサー6は、温度に応じて抵抗値や容量値などの電気量が変化するセンサーであり、検出した温度を制御回路161に対して送信する。温度センサー6としては、例えばサーミスターや熱電対などを用いることができる。温度センサー6から制御回路161に入力される信号はアナログ検出信号であるから、このアナログ検出信号を符号化された温度情報としてのデータにAD変換するADコンバータを、コントローラー63又は制御回路161に内蔵していることが好ましい。
【0050】
温度センサー6は、電気泳動表示装置100に1個又は複数個備えられ、図1及び図3に示した表示部5の温度を測定可能な位置に設けられる。
例えば、図3(a)に示した素子基板30の背面に温度センサー6を取り付けることができる。また、表示部5の平面積が大きい場合などには、表示部5の中央付近と周縁部の2ヶ所以上に温度センサー6を取り付けてもよい。複数の温度センサー6を取り付ける場合に制御回路161で取得する温度情報としては、複数の温度センサー6で測定された複数の温度の単純平均値又は加重平均値であってもよいし、複数の温度の最高値であってもよい。
【0051】
[駆動方法]
次に、図6から図8を参照して本実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
図6は、電気泳動表示装置100の駆動方法を示すフローチャートである。図7は、図6のフローチャートに対応するタイミングチャートである。図8は、本実施形態の駆動方法における画像データと表示部の状態遷移を示す説明図である。
【0052】
図6には、図8に示すように、表示部5に文字「A」を表示させる場合のフローが示されている。図7には、共通電極37の電位Vcom、第1の制御線91の電位S1、第2の制御線92の電位S2、高電位電源線50の電位Vddが示されている。
【0053】
図6に示すように、本実施形態に係る駆動方法は、第1のステップS101と、温度判定ステップST15と、第2のステップS102とを含む。
図8(s)には、第1のステップS101において表示部5に転送される画像データD1と、第2のステップS102において転送される画像データD2とが示されている。図8(b)には、第1のステップS101及び第2のステップS102のそれぞれの実行結果に対応する表示部5の表示状態が示されている。
【0054】
第1のステップS101は、正画像信号転送ステップST11と、画像表示ステップST12とを含む。正画像信号転送ステップST11以前の表示部5では、各回路は電源オフ状態である。
まず、正画像信号転送ステップST11に移行すると、走査線駆動回路61やデータ線駆動回路62、共通電源変調回路64に電力が供給され、各回路に接続された配線が電位供給可能な状態となる。また、画素40のラッチ回路70にも高電位電源線50及び低電位電源線49を介して電力が供給され、画像信号を記憶可能な状態となる。
【0055】
なお、本実施形態では、データ線68におけるローレベル(L)の電位と、低電位電源線49のローレベル電位VLとがいずれもグランド電位GND(0V)であるとして説明する。また、図7に示す電位VHは、画像表示用のハイレベル電位VH(例えば15V)であり、電位VMは、画像信号入力用のハイレベル電位VM(例えば5V)である。
【0056】
電気泳動表示装置100の各回路が電源オン状態とされたならば、次に、各々の画素40のラッチ回路70に画像信号が入力される。すなわち、走査線66に選択信号であるハイレベル(H;例えば7V)のパルスが入力され、かかる走査線66に接続された選択トランジスタ41がオン状態とされてデータ線68とラッチ回路70とが接続される。これにより、データ線68を介して供給される画像信号がラッチ回路70のデータ入力端子N1に入力される。
【0057】
第1のステップS101において画素40に転送される画像信号は、図8(a)に示す画像データD1(白地の背景に黒の文字「A」が記された画像)に対応する画像信号(正画像信号)である。図8において、白色の領域は画素データ「0」(ローレベルの画像信号に対応)が配置された領域であり、黒色の領域は画素データ「1」(ハイレベルの画像信号に対応)が配置された領域である。
【0058】
図2に示す画素40において、選択トランジスタ41を介してデータ線68からラッチ回路70にハイレベル(例えば5V)の画像信号が入力されると、データ入力端子N1の電位は画像信号入力用のハイレベル電位、データ出力端子N2の電位はローレベル電位(グランド電位)となる。その結果、この画素40では、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となり、第2の制御線92と画素電極35とが電気的に接続される。
【0059】
一方、選択トランジスタ41を介してデータ線68からラッチ回路70にローレベル(グランド電位)の画像信号が入力されると、データ入力端子N1はローレベル電位(グランド電位)、データ出力端子N2の電位は画像信号入力用のハイレベル電位VM(例えば5V)となる。その結果、この画素40では、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91と画素電極35とが電気的に接続される。
【0060】
このようにして表示部5の画素40に画像データD1に基づく正画像信号が入力されたならば、正画像信号転送ステップST11を終了し、画像表示ステップST12に移行する。
本実施形態の画像表示ステップST12では、図7に示すように、第1の画像表示ステップST12Aと、第2の画像表示ステップST12Bとが順に実行される。
【0061】
まず、第1の画像表示ステップST12Aに移行すると、高電位電源線50の電位Vddが、画像信号入力用のハイレベル電位から画像表示用のハイレベル電位VH(例えば15V)に引き上げられる。低電位電源線49の電位Vssはローレベル電位(グランド電位)である。
【0062】
そして、第1の画像表示ステップST12Aでは、共通電極37にハイレベル電位VHと、グランド電位GNDとを所定周期で繰り返す矩形波(例えばパルス幅20ms)が入力される。また、第1の制御線91にハイレベル電位VHが入力され、第2の制御線92にはグランド電位GNDが入力される。
【0063】
上記の電位入力により、ラッチ回路70にローレベルの画像信号(画素データ「0」)を保持している画素40では、第1のトランスミッションゲートTG1を介して画素電極35に第1の制御線91の電位S1(ハイレベル電位VH)が入力される。これにより、この画素40では、共通電極37がグランド電位GNDである期間に電気泳動素子32に電圧が印加され、画素40が黒表示動作する(図4(b))。なお、この画素40では、共通電極37がハイレベル電位VHである期間には電気泳動素子32は駆動されない。
【0064】
一方、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号(画素データ「1」)を保持している画素40では、第2のトランスミッションゲートTG2を介して画素電極35に第2の制御線92の電位S2(グランド電位GND)が入力される。これにより、この画素40では、共通電極37がハイレベル電位VHである期間に電気泳動素子32に電圧が印加され、画素40が白表示動作する(図4(a))。なお、この画素40では、共通電極37がグランド電位GNDである期間には電気泳動素子32は駆動されない。
【0065】
次に、第2の画像表示ステップST12Bでは、図7に示すように、共通電極37に対して第1の画像表示ステップST12Aとはパルス幅の異なる矩形状のパルスが入力される。第2の画像表示ステップST12Bにおいて共通電極37に入力されるパルスのパルス幅は例えば200msであり、第1の画像表示ステップST12Aにおいて共通電極37に入力される矩形波(例えばパルス幅20ms)の周期の10倍程度の幅を有するパルスとされる。
【0066】
一方、第2の画像表示ステップST12Bでは、共通電極37に入力されるパルス数が、第1の画像表示ステップST12Aで入力されるパルス数よりも少なく設定されている。具体的には、第1の画像表示ステップST12Aにおけるパルス数が30パルス(ハイレベル電位VHの期間とグランド電位の期間をいずれも1パルスとしてカウント)であるのに対して、第2の画像表示ステップST12Bでは4パルスである。
【0067】
第2の画像表示ステップST12Bにおける画素40の動作は第1の画像表示ステップST12Aと同様であり、ラッチ回路70にローレベルの画像信号を保持している画素40は黒表示動作し、ハイレベルの画像信号を保持している画素40は白表示動作する。
【0068】
以上の第1の画像表示ステップST12A及び第2の画像表示ステップST12Bを順次実行することで、図8(b)に示した画像(正画像)を表示部5に表示させることができる。
【0069】
本実施形態の駆動方法では、上記のように、画像表示ステップST12を、幅の狭いパルスを共通電極37に入力する第1の画像表示ステップST12Aと、幅の広いパルスを共通電極37に入力する第2の画像表示ステップST12Bとを順次実行することで、高品位の画像表示を可能にしている。すなわち、第1の画像表示ステップST12Aでは、表示部5の黒表示が進行する期間と白表示が進行する期間が短い時間(20ms)で切り替わるため、図8(b)に示す画像を表示部5に滑らかに出現させることができる。一方、第2の画像表示ステップST12Bでは、黒表示又は白表示が進行する期間が長いため、電気泳動素子32中の電気泳動粒子(黒色粒子26、白色粒子27)を電極の近傍に十分に移動させることができ、これによりコントラストを高め、明瞭な表示を得ることができる。
【0070】
なお、第1の画像表示ステップST12Aにおいて共通電極37に入力されるパルスのパルス幅と、第2の画像表示ステップST12Bにおいて共通電極37に入力されるパルスのパルス幅との比率は、上記に例示した10倍に限らず、数倍〜数十倍の範囲で設定を変更することが可能である。また、共通電極37に入力するパルス数についても、第1の画像表示ステップST12A及び第2の画像表示ステップST12Bのそれぞれで任意に設定することが可能である。
【0071】
表示部5に画像が表示されたならば、温度判定ステップST15に移行する。温度判定ステップST15において、制御回路161は、温度センサー6の出力から温度情報を取得し、現在の環境温度(表示部5の温度)として保持するとともに、この温度情報を、メモリ162の環境温度用の記憶領域(図示略)に記憶させる。
【0072】
次に、制御回路161は、メモリ162に記憶されている環境温度の設定値を読み出す。メモリ162に保持されている環境温度の設定値は、例えば、50℃〜65℃程度の高温環境に分類される温度である。
その後、制御回路161は、測定された環境温度と、上記の設定値を比較する。そして、測定された環境温度が設定値以上である場合には、第2のステップS102に移行する。一方、測定された環境温度が設定値未満である場合には、処理を終了する(エンド)。
【0073】
以下、第2のステップS102に移行した場合について説明する。
本実施形態の第2のステップS102では、図6に示すように、反転画像信号転送ステップST21と、ウェイトステップST22とが順次実行される。
【0074】
まず、反転画像信号転送ステップST21では、図7に示すように、共通電極37、第1の制御線91、及び第2の制御線92がいずれもハイインピーダンス状態とされる。これにより、すべての画素40の画素電極35と共通電極37とがハイインピーダンス状態となり、電気泳動素子32には電圧が印加されない状態となる。一方、高電位電源線50の電位Vddは、画像信号入力用のハイレベル電位VM(例えば5V)とされるため、ラッチ回路70は電源オン状態のまま保持される。
【0075】
そして、上記のように各電極の電位が設定された後、図8(a)右側に示す画像データD2(画像データD1の反転画像)に基づく反転画像信号が表示部5の画素40に転送される。画像信号の転送動作は、第1のステップS101における正画像信号転送ステップST11と同様である。この反転画像信号転送ステップST21により、画素40のラッチ回路70に保持されていた画像信号が反転される。
【0076】
上記の反転画像信号の入力が終了したならば、ウェイトステップST22に移行する。本実施形態の場合、ウェイトステップST22は、図7に示すように、第1のウェイトステップST22Aと、第2のウェイトステップST22Bとからなる。第1のウェイトステップST22Aは、第1のステップS101における第1の画像表示ステップST12Aと同じ長さの時間に設定され、第2のウェイトステップST22Bは、第1のステップS101における第2の画像表示ステップST12Bと同じ長さの時間に設定される。
【0077】
第1のウェイトステップST22A及び第2のウェイトステップST22Bでは、共通電極37、第1の制御線91、及び第2の制御線92がいずれもハイインピーダンス状態とされ、高電位電源線50の電位Vddが、画像表示用のハイレベル電位VHに設定される。共通電極37、第1の制御線91、及び第2の制御線92がいずれもハイインピーダンス状態であることから、ウェイトステップST22の全期間にわたって、電気泳動素子32が駆動されることはなく、表示部5の状態は変化しない。
【0078】
上記のような電位状態及び期間の長さに設定された第1のウェイトステップST22A及び第2のウェイトステップST22Bを実行することで、ラッチ回路70を構成するMOSトランジスタのBT(Bias-Temperature)ストレス劣化の進行を抑えることができる。以下、図9を参照してさらに詳細に説明する。
【0079】
図9は、ラッチ回路におけるBTストレス劣化の説明図である。図9(a)はハイレベルの画像信号を保持した状態のラッチ回路を示す図であり、図9(b)はローレベルの画像信号を保持した状態のラッチ回路を示す図である。
【0080】
図9(a)に示すように、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号が保持されている状態では、P−MOSトランジスタ73において、ソースがハイレベル(ハイレベル電位VH)、ゲートがローレベル(グランド電位GND)であり、ソース−ゲート間にDCバイアスが印加される(「−BT」と表示)。一方、P−MOSトランジスタ71では、ドレインがローレベル、ゲートがハイレベルであり、ゲート−ドレイン間にDCバイアスが印加される(「+BT」と表示)。同様に、N−MOSトランジスタ72,74においても、それぞれ「+BT」「−BT」のDCバイアスが印加される。
【0081】
これに対して、図9(b)に示すラッチ回路70にローレベルの画像信号が保持されている状態では、P−MOSトランジスタ73及びN−MOSトランジスタ74に「+BT」、P−MOSトランジスタ71及びN−MOSトランジスタ72に「+BT」のDCバイアスが印加され、図9(a)とは全く逆の状態となる。
【0082】
ここで、TFTのBTストレス劣化には可逆性があり、一方向のDCバイアス印加により生じたBTストレス劣化は、逆方向のDCバイアス印加によって回復することが知られている。
そこで本実施形態の駆動方法では、第1のステップS101においてラッチ回路70のTFTに印加されたDCバイアスとは逆のDCバイアスを、第2のステップS102においてラッチ回路70のTFTに印加することで、第1のステップS101で生じたBTバイアス劣化を第2のステップS102で回復させるようにした。
【0083】
特に本実施形態の場合、高電位電源線50の電位Vddを画像表示ステップST12とウェイトステップST22とで一致させているため、画像表示ステップST12において任意のラッチ回路70のTFTに印加されるDCバイアスの大きさと、ウェイトステップST22におけるDCバイアスの大きさとがほぼ同等となる。
また、第1の画像表示ステップST12Aの期間の長さと第1のウェイトステップST22Aの期間の長さとを一致させ、第2の画像表示ステップST12Bの期間の長さと第2のウェイトステップST22Bの期間の長さを一致させているため、画像表示ステップST12とウェイトステップST22とでDCバイアスの印加期間も同等となる。
以上から、本実施形態の駆動方法によれば、第1のステップS101において生じたBTストレス劣化を、第2のステップS102においてほぼ確実に回復させることができ、長期間にわたって優れた信頼性を得ることが可能である。
【0084】
また本実施形態では、図7に示す第2のウェイトステップST22Bの終了時刻t以降、高電位電源線50の電位Vddを電気的に切断することでラッチ回路70への通電を停止しているが、この時刻tにおける電源遮断の際に、電位Vddをハイレベル電位VHからグランド電位GNDに遷移させた後で、ハイインピーダンス状態に移行させている。
このような電源遮断方法とすることで、高電位電源線50はその電荷が除去された状態に保持されるため、残留電荷によりラッチ回路70のTFTにDCバイアスが印加されるのを回避することができ、BTストレス劣化の発生を効果的に抑制することができる。
【0085】
また本実施形態では、第1のステップS101と第2のステップS102との間に温度判定ステップST15を設け、高温環境においてのみ第2のステップS102が実行されるようにしている。TFTのBTストレス劣化は、高温環境において顕在化しやすい一方、常温ではほとんど問題にならないのが一般的である。そこで、比較的低い温度環境では第2のステップS102の実行を不要とすることで、電力消費を抑えることができる。
【0086】
また、第2のステップS102の実行中には、異なる画像データへの表示更新ができないという制限があるが、上記のように比較的低い温度環境で第2のステップS102を実行しないようにすれば、操作性への影響を少なくすることができる。
ただし、第2のステップS102の実行中であっても、第1の制御線91、第2の制御線92の電位の制御によって表示画像のリフレッシュや反転、全面消去などは可能であるから、例えば、表示画像の更新に先立って行われる画像消去動作において、第2のステップS102が実行されるようにしてもよい。
【0087】
なお、ラッチ回路70のTFTに対して、少なくとも第1のステップS101とは逆向きのDCバイアスを印加すれば、過度に低い印加電圧であったり、過度に短い印加時間である場合を除いて、BTストレス劣化を回復させる作用を得ることが可能である。したがって、ウェイトステップST22においてTFTに印加するDCバイアスの電圧や期間の条件は、必ずしも画像表示ステップST12においてTFTに印加されるDCバイアスの条件に対応させなくてもよい。
【0088】
例えば、上記実施形態ではウェイトステップST22において高電位電源線50の電位Vddをハイレベル電位VHとしているが、ハイレベル電位VHよりも低い画像信号入力用のハイレベル電位VMとしてもよく、ハイレベル電位VHよりも高い電位(例えば30V等)としてもよい。また、ウェイトステップST22の期間の長さについても、画像表示ステップST12の期間の長さに対して長くしても短くしてもよい。
【0089】
一方、BTストレス劣化を最大限に回復させるためには、第1のステップS101におけるDCバイアスの印加電圧V1と印加時間T1の積V1・T1と、第2のステップS102におけるDCバイアスの印加電圧V2と印加時間T2の積V2・T2とを、一致させることが好ましい。この場合に、V1・T1=V2・T2なる式を満たす範囲であれば、印加電圧V2及び印加時間T2を適宜変更してもよいのはもちろんである。
【0090】
また本実施形態では、第1のステップS101の直後に第2のステップS102を実行することとしたが、第1のステップS101と第2のステップS102の実行タイミングは、これに限定されない。例えば、第1のステップS101の直前に第2のステップS102を実行してもよい。
【0091】
また、第1のステップS101と第2のステップS102とを連続して行わない構成としてもよい。つまり、複数回の第1のステップS101を実行した後に、各々の第1のステップS101に対応する第2のステップS102を一括して実行することもできる。本実施形態の場合、図5に示したように、画像信号生成回路166からメモリ162にフレームメモリのコピーを書き込むことができるため、例えば、第1のステップS101を100フレームにわたって実行したときのフレームメモリ165の履歴を、メモリ162に記憶させておくことができる。
【0092】
そして、例えば、所定時間以上画像の書き換えが発生しないときや電源オフシーケンスの実行時などの電気泳動表示装置100がアイドル状態となるタイミングで、上記100フレームの第1のステップS101によって生じたBTストレス劣化を回復させるための複数の第2のステップS102を連続実行することもできる。具体的には、メモリ162に保持されているフレームメモリの履歴の画像データを読み出して反転画像データを作製し、これを表示部5の画素40に転送し、所定期間ウェイト状態を維持する動作を、上記各画像データについて順次実行する。
なお、このように複数の第1のステップS101に対応する複数の第2のステップS102を実行するに際しては、上記複数の第2のステップS102のうちの一部ずつを間欠的に実行してもよい。
【0093】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、第1実施形態に係る電気泳動表示装置と共通の構成要素には同一の符号を付すこととし、それらの詳細な説明も省略する。
【0094】
図10は、第2の実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法を示すフローチャートである。図11は、図10に対応するタイミングチャートである。
図10に示すように、本実施形態の駆動方法は、第1のステップS101と第2のステップS102とを有する。第1のステップS201は、正画像信号転送ステップST11と正画像駆動ステップST13とを順次実行するステップである。第2のステップS202は、反転画像信号転送ステップST21と、反転画像駆動ステップST23とを順次実行するステップである。
【0095】
まず、第1のステップS201の正画像信号転送ステップST11では、第1実施形態と同様に、例えば図8(a)に示した画像データD1に対応する画像信号が表示部5の画素40に転送され、各々の画素40のラッチ回路70に画像信号が保持される。その後、正画像駆動ステップST13に移行する。
【0096】
次に、正画像駆動ステップST13に移行すると、図11に示すように、第1実施形態における第1の画像表示ステップST12Aと同様に、高電位電源線50の電位Vddが、画像信号入力用のハイレベル電位VM(例えば5V)から画像表示用のハイレベル電位VH(例えば15V)に引き上げられる。そして、共通電極37にハイレベル電位VHと、グランド電位GNDとを所定周期で繰り返す矩形波(例えばパルス幅20ms)が入力される。また、第1の制御線91にハイレベル電位VHが入力され、第2の制御線92にはグランド電位GNDが入力される。
【0097】
上記の電位入力により、ラッチ回路70にローレベルの画像信号(画素データ「0」)を保持している画素40が黒表示動作し、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号(画素データ「1」)を保持している画素40が白表示動作する。これにより、図8(b)に示した画像が表示部5に表示される。
なお、本実施形態の場合には、第1実施形態に係る第2の画像表示ステップST12Bに相当する画像表示ステップは実行されない。
【0098】
上記の電位入力が所定期間(図11では共通電極37に18パルス入力される期間)だけ実行されたならば、第2のステップS202の反転画像信号転送ステップST21に移行する。
反転画像信号転送ステップST21では、第1実施形態と同様に、図8(a)右側に示す画像データD2に対応する画像信号が表示部5の画素40に転送され、各々の画素40のラッチ回路70に画像信号が保持される。その後、反転画像駆動ステップST23に移行する。
【0099】
反転画像駆動ステップST23に移行すると、正画像駆動ステップST13とは異なり、第1の制御線91にグランド電位GNDが入力され、第2の制御線92にはハイレベル電位VHが入力される。
高電位電源線50の電位Vddが、画像信号入力用のハイレベル電位VM(例えば5V)から画像表示用のハイレベル電位VH(例えば15V)に引き上げられ、共通電極37にハイレベル電位VHと、グランド電位GNDとを所定周期で繰り返す矩形波(例えばパルス幅20ms)が入力される点は正画像駆動ステップST13と同様である。
【0100】
このように、第2のステップS202では、画素40に反転画像信号を入力し、かつ第1の制御線91、第2の制御線92に入力する電位を入れ替えている。そのため、第2のステップS202では、ラッチ回路70にローレベルの画像信号(画素データ「0」;画像データD2における黒色の領域)を保持している画素40が白表示動作し、ラッチ回路70にハイレベルの画像信号(画素データ「1」;画像データD2における白色の領域)を保持している画素40が黒表示動作する。これにより、第2のステップS202においても、図8(b)に示した白背景に黒色の文字が表示された画像が表示部5に表示されることになる。
【0101】
以上の第2実施形態に係る駆動方法では、第2のステップS202において、表示部5の画素40に反転画像信号を入力するとともに、第1の制御線91と第2の制御線92の電位を入れ替えて入力することで、表示部5に第1のステップS201と同一の画像の表示動作がなされるようにした。これにより、画像データに基づく画像を表示する動作中に、ラッチ回路70のTFTに作用するDCバイアスを反転させることができるため、第1のステップS201においてTFTに生じたBTストレス劣化を、第2のステップS202を実行することにより回復させることが可能である。
【0102】
本実施形態において、反転画像駆動ステップST23の期間の長さは、正画像駆動ステップST13の期間の長さと同等とすることが好ましい。これにより、BTストレス劣化の回復を効率良く行うことができる。ただし、反転画像駆動ステップST23において、高電位電源線50の電位Vddをハイレベル電位VH以外の電位とした場合にはこの限りではなく、ラッチ回路70のTFTに印加されるDCバイアスの電圧に応じて反転画像駆動ステップST23の期間の長さを調整すればよい。
【0103】
なお、本実施形態においても、第1のステップS201と第2のステップS202との間に、温度判定ステップST15を設け、環境温度に基づいて第2のステップS202の実行を切り替える駆動方法としてもよいのはもちろんである。
【0104】
(電子機器)
図12は、本発明の電気泳動表示装置100を適用した電子機器の具体例を示す斜視図である。
図12(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、上記実施形態の電気泳動表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。
図12(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、上記実施形態の電気泳動表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
図12(c)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、上記実施形態の電気泳動表示装置によって構成された表示部1202を備えている。
【0105】
以上の電子ブック1000、腕時計1100及び電子ペーパー1200は、先の実施形態に係る電気泳動表示装置を採用したことで、信頼性に優れた表示手段を備えた電子機器となる。
なお、上記電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。また本発明の電気泳動表示装置を適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。
【符号の説明】
【0106】
100 電気泳動表示装置、5 表示部、6 温度センサー(温度測定部)、32 電気泳動素子、35 画素電極、37 共通電極、40 画素、41 選択トランジスタ(画素スイッチング素子)、50 高電位電源線、61 走査線駆動回路、62 データ線駆動回路、63 コントローラー(制御部)、64 共通電源変調回路、70 ラッチ回路、80 スイッチ回路、91 第1の制御線、92 第2の制御線、S101,S201 第1のステップ、S102,S202 第2のステップ、ST11 正画像信号転送ステップ、ST12 画像表示ステップ、ST12A 第1の画像表示ステップ、ST12B 第2の画像表示ステップ、ST13 正画像駆動ステップ、ST15 温度判定ステップ、ST21 反転画像信号転送ステップ、ST22 ウェイトステップ、ST22A 第1のウェイトステップ、ST22B 第2のウェイトステップ、ST23 反転画像駆動ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素と前記画素に接続された第1の制御線及び第2の制御線とを有する表示部を備えており、前記画素ごとに、画素電極と、画素スイッチング素子と、前記画素電極と前記画素スイッチング素子との間に接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力に基づいて前記画素電極と前記第1及び第2の制御線との接続をスイッチングするスイッチ回路と、を有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記表示部の複数の前記ラッチ回路に一の画像に対応する正画像信号を保持させた状態で、前記画素電極に前記第1の制御線又は前記第2の制御線の電位を入力し、前記画素の前記電気泳動素子を駆動する第1のステップと、
前記一の画像の反転画像に対応する反転画像信号を複数の前記ラッチ回路に所定期間保持させる第2のステップと、
を有することを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記第1のステップにおいて前記ラッチ回路に前記正画像信号を保持させる期間と、前記第2のステップにおいて前記ラッチ回路に前記反転画像信号を保持させる期間とが同等の長さであることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記第2のステップにおいて、前記電気泳動素子を駆動しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第2のステップにおいて、前記第1の制御線に入力される電位が前記第1のステップで前記第2の制御線に入力される電位である一方、前記第2の制御線に入力される電位が前記第1のステップで前記第1の制御線に入力される電位であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記電気泳動表示装置が、前記表示部の温度を測定する温度測定部を備えており、
前記温度測定部により計測された温度に基づいて、前記第2のステップの実行又はスキップを選択することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記ラッチ回路の電源を遮断する際に、前記ラッチ回路の電源端子に基準電位を入力した後、前記電源端子を電気的に切断することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素と前記画素に接続された第1の制御線及び第2の制御線とを有する表示部を備えており、前記画素ごとに、画素電極と、画素スイッチング素子と、前記画素電極と前記画素スイッチング素子との間に接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力に基づいて前記画素電極と前記第1及び第2の制御線との接続をスイッチングするスイッチ回路と、を有し、前記表示部を制御する制御部を備えた電気泳動表示装置であって、
前記制御部は、
前記表示部の複数の前記ラッチ回路に一の画像に対応する正画像信号を保持させた状態で、前記画素電極に前記第1の制御線又は第2の制御線の電位を入力し、前記画素の前記電気泳動素子を駆動する第1の動作と、
前記一の画像の反転画像に対応する反転画像信号を複数の前記ラッチ回路に所定期間保持させる第2の動作と、
を実行することを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項8】
前記第1の動作において前記ラッチ回路に前記正画像信号を保持させる期間と、前記第2の動作において前記ラッチ回路に前記反転画像信号を保持させる期間とが同等の長さであることを特徴とする請求項7に記載の電気泳動表示装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2の動作において前記電気泳動素子を駆動しないことを特徴とする請求項7又は8に記載の電気泳動表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1の動作において前記第1の制御線に第1の電位、前記第2の制御線に第2の電位を入力し、
前記第2の動作において前記第1の制御線に前記第2の電位、前記第2の制御線に前記第1の電位を入力することを特徴とする請求項7又は8に記載の電気泳動表示装置。
【請求項11】
前記表示部の温度を測定する温度測定部を備えており、
前記制御部は、前記温度測定部により計測された温度に基づいて、前記第2の動作の実行又はスキップを選択することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記ラッチ回路の電源を遮断する際に、前記ラッチ回路の電源端子に基準電位を入力した後、前記電源端子を電気的に切断することを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−257593(P2011−257593A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131893(P2010−131893)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】