説明

電気温水循環暖房システム

【課題】 温水循環暖房システムを、各個別の小型の室内放熱器毎に、対応する電気ヒーターユニットボックスを併設し、個々の室毎に対応出来る、小廻りの利く温水暖房システムを得る。

【解決手段】 1台の温水循環型の放熱器8に、1台の角筒状のヒーターユニットボックス1を対応配置し、ヒーターユニットボックス1は、空気分離圧力タンク2、循環ポンプ3、パイプヒーター4をボール弁6A,6B,6C、チーズ7を介して配管接続して温水循環機能をコンパクトに収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内暖房用として用いる電気温水循環暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内用温水暖房システムとしては各種タイプが提案されており、図7に示す従来例1、及び図8に示す従来例2がある。
従来例1(図7)は、非特許文献1に挙げた典型的な温水暖房システムであって、図7(A)は暖房システムの概略配置図、図7(B)は放熱器の正面図、図7(C)は放熱器の側面図である。
【0003】
即ち、従来例1(図7)は、圧力計、安全逃し弁、排水弁を備えたボイラーを、電気、灯油、ガス等で加熱し、温水ボイラーで温めた温水を、配管及び往き側ヘッダーを介して各居室内の放熱器に送水して室内暖房し、放熱器から配管及び戻り側ヘッダーを介して温水をボイラーに戻して再加熱するものであり、1つの温水循環機能部には、循環ポンプ、密閉膨張タンク、空気抜き弁、ヘッダー等を収め、各放熱器にも、空気抜き弁、サーモスタッドバルブ、温水出入弁を配置したものである。
【0004】
また、従来例2(図8)は、特許文献1として挙げたものであって、図8に示す如く、直線状の加熱用銅管の外周面に多数の放熱フィンを配置し、加熱用銅管内の加熱室にはシーズヒーターを、加熱用銅管のほぼ全長に亘って配置すると共に、加熱室内に水溶液を充填し、更に加熱室から膨張室用銅管を連設して膨張室を配置し、膨張室内にイナートガスを注入し、暖房器全体を小型化すると共に、放熱フィンを極めて短時間のうちに加熱し、放熱の初期立上りを早くした暖房器である。
【非特許文献1】森永エンジニアリング(株)のパンフレット(番号0402−5C−dB)「森永温水パネル暖房技術資料」の、「設計、施工、運転上の注意事項」の項、及び同パンフレットの「サーモパネル取扱方法」の項
【特許文献1】実開平6−18813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例1(図7)の温水循環暖房システムは、安全逃し弁、圧力計、排水用仕切弁、給水用仕切弁を備えた温水ボイラーと、安全逃し弁を備えた密閉膨張タンクと、往き用及び戻り用ヘッダーと、温水循環ポンプと、ボイラーと循環ポンプ間に設置した空気抜き弁を備えたエアセパレータと、給排水用の仕切弁を備えた放熱器群と、各機器及び弁類を接続した配管パイプから構成され、建物内に設けたボイラー室から、床下、壁内、天井内の配管で室内放熱器に接続しているため、次の問題がある。
【0006】
(イ).温水循環暖房システムが老朽化すると、金属パネル(放熱器)及び配管に錆が発生し、温水が循環しなくなったり、漏水事故が発生し、床、壁、天井を汚損するが、システムの復旧、修理は、埋設配管であるため、復旧は、時間と経費を必要とする。
(ロ).システム内の循環ポンプ等が故障するとシステム全体の暖房が停止し、機器の修理、取替等の際には、ボイラー本体の仕様変更等、配管変更作業が生じる。
(ハ).温水ボイラーから各放熱器への配管のため、配管経路中の放熱による熱損失が大となる。
(ニ).放熱器には、内部の空気抜き、メンテナンス用の給排水仕切弁等が付設し、サーモスタットが突出しているため、美観を損なう。
【0007】
従来例2(図8)の電気暖房器にあっては、暖房器の全体容積に比して放熱部の割合が小さく、シーズヒーター内の水溶液を温めるだけで、温水が循環しないため、温度の部分斑が生じ、且つ放熱量も少ない。
そして、暖房放熱は自然対流なので、放熱の部位による温度斑が生じ易い。
しかも、サーモスタットによる電源のオン、オフ操作も顕著となって、電気熱量に対する発熱効果が悪い。
本願発明は、従来例1,2の内在する課題を一挙に解決、又は改善するものであって、単独型の暖房器に於いて、放熱部と温水循環部とを分離して一対として使用するものであり、メンテナンス容易で、リフォームにも好適に採用出来る新規な電気温水循環暖房システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、図1及び図2に示す如く、1台の放熱器8に、1台の角筒状のヒーターユニットボックス1を対応配置した電気加温式温水循環型の暖房システムであって、放熱器8は、温水供給口8S及び温水排出口8Rを備えた温水循環型放熱器であり、ヒーターユニットボックス1は、空気分離圧力タンク2、循環ポンプ3、パイプヒーター4を、ボール弁6A,6B,6C、チーズ7を介して配管接続して温水循環機能を収納し、往き管S及び戻り管Rで放熱器8と接続したものである。
【0009】
この場合、新規な空気分離圧力タンク2は、従来例1(図7)に於ける、膨張タンクとエアセパレータとの機能を奏するものであり、容量は、暖房システム内を還流させる水の、常温時の量、加温時の量、及び分離空気量に基づいて決めれば良い。
また、ヒーターユニットボックス1を構成する循環ポンプ3、パイプヒーター4、ボール弁6A,6B,6C、チーズ7は、慣用品で準備出来、循環ポンプ3は、慣用の樹脂製電磁ポンプでも金属製循環ポンプでも良く、パイプヒーター4は、省エネルギー性に優れた、熱匠(株)製の、1kw発熱用SCヒーター(商品名)を暖房能力に応じて複数本採用し、配管用パイプは、耐久性、耐熱性、耐溶剤性に優れた、慣用のエチレン−プロピレンゴム製を採用すれば良い。
【0010】
また、ヒーターユニットボックス1は、従来例1(図7)の温水循環機能をパッケージとして詰め込んだものであるが、放熱器8の側面に縦配置しても、放熱器8の下部に横配置しても、即ち、縦配置使用も、横配置使用も可能なように構成したものであり、1kw〜3kw暖房システムにあっては、ヒーターユニットボックス1は、典型的には、幅L1が180mm、奥行きW1が160mm、高さh1が590mmの角筒形状の小型ボックスである。
また、放熱器8は、温水循環型であれば何れも採用可能であり、森永エンジニアリング(株)製の金属パネル(商品名:サーモパネル)や、特開2001−116475号の、プラスチック製放熱器が採用出来る。
【0011】
従って、本発明の暖房システムは、1台の放熱器8に1台のヒーターユニットボックス1が対応配置されるため、例え1台のヒーターユニットボックス1に故障が生じても、他の放熱器8は機能するため、家屋全室の暖房システムの機能不全は避けられ、居住部の暖房の、全て停止の事態は避けられる。
また、本発明の暖房システムにあっては、加熱部を内臓するヒーターユニットボックス1が放熱器8と隣接配置と出来るため、従来例1(図7)の加熱部(ボイラー)から放熱器への経路中の配管からの熱放散に伴う熱損失が無く、例えヒーターユニットボックス1内の管路から熱放散が生じても、室内への熱放散となり、実質上、暖房熱の熱損失は生じない。
【0012】
また、放熱器8が温水循環型であるため、放熱温度斑が生ずること無く暖房出来ると共に、各放熱器8自体も、それぞれのヒーターユニットボックスでの単独運転による加熱放熱であるため、熱損失を生じない、且つ、適宜必要暖房が出来る。
そして、放熱器8からは、従来例1(図7)の如き、サーモスタットバルブ、空気抜き、仕切弁の突出が無いので、安全で、意匠効果の優れた室内暖房システムを提供する。
しかも、床下、壁内、天井等の配管が無いため、必要部位への暖房システムの配置が、簡便、自在であり、例え、放熱器8又はヒーターユニットボックス1から漏水があっても、目視出来て、大きな汚損事故とならない。
また、リフォーム時の在来型暖房システムの更新に際しても、床下、壁内等の旧配管は放置したまま、既設の循環型放熱器に、ヒーターユニットボックス1を併置するだけで、本発明の、暖房システムに簡便に更新出来る。
【0013】
また、本発明にあっては、ヒーターユニットボックス1は、例えば図4、図5に示す如く、断面L型の、長尺の左側板1Lと右側板1Rとを接合した長尺の角筒部1Kと、角筒部1Kの両端に、着脱自在に嵌着する上蓋1U及び下蓋1Dとを含み、断面L型の左側板1Lが、一側辺LS1には、上下に、等間隔で複数個の電線挿入用孔H1を備え、他側辺LS2には、電線挿入用孔H1と対応する位置に、複数の空気流通孔H3を備えているのが好ましい。
【0014】
この場合、左側板1Lは、内面に機器等の支持材を取付けるものであり、右側板1Rは、角筒部1Kの蓋の役目を奏するものである。
また、電線挿入用孔H1は、壁面WS又は床面FSに予め埋設した電気配管ボックス9Aと、ヒーターユニットボックス内に収納する温度調整ユニットとの結線を適宜位置で実施可能とするものであり、人手の入る大きさであり、典型的には、幅60mm、高さ40mmの長円孔であり、100mm間隔で5ヶ所に配置したものである。
また、空気流通孔H3は、ヒーターユニットボックス1内の熱を外部に放散するものであって、ヒーターユニットボックス1に空気貫流路を形成するものであり、典型的には、幅20mm、高さ40mmの長円孔である。
尚、ヒーターユニットボックス1を、立設使用する際には、上蓋1Uに操作パネル9Eを配置し、横型として使用する際には、角筒部1Kの蓋機能を奏する右側板1Rに操作パネル9Eを配置すれば良い。
【0015】
従って、上蓋1U及び下蓋1Dを取外すことによって、角筒部1Kは断面L型の左側板1Lと右側板1Rとに分解出来、左側板(1L)のみに収納機器を固定出来るため、角筒部1Kの蓋部材としての右側板1Rを外すことにより、ヒーターユニットボックスのメンテナンスが簡便に実施出来る。
また、ヒーターユニットボックス1の各室内への配置も、電線挿入用孔H1を、直列形態で多段に配置したため、外部の電気配管ボックス9Aとの接続位置選定が可能となり、外見を損なわない形態での配置が可能である。
しかも、ヒーターユニットボックス1内も、電線挿入用孔H1及び空気流通孔H3を介して、外部の室内空気の貫流が可能であるため、ヒーターユニットボックス1内で加熱放散する熱は室内暖房に助力し、熱損失が実質上生じない室内暖房システムを提供する。
【0016】
また、ヒーターユニットボックス1は、図4に示す如く、断面L型の左側板1Lが、両端にコーナー辺1Aを屈曲延出すると共に、コーナー辺1Aの端部を断面L型のアンカー片1Cとし、断面L型の右側板1Rの両端には、左側板1Lのアンカー片1Cと接続用の当接アンカー片1Fを配置し、断面L型の、左側板1L及び右側板1Rの上下端適所にねじ孔H2を配置して、上蓋1U及び下蓋1Dのねじ孔H2と、左側板1L及び右側板1Rのねじ孔H2とをねじ螺合するのが好ましい。
【0017】
尚、左側板1L及び右側板1Rは、典型的には、1.2mm厚の鋼板であり、左側板1Lの内面には、それ自体慣用の支持部材を介して、ボール弁、チーズ、空気分離圧力タンク等の各必要機器を取付けるため、図4(A)に示す如く、左側板1Lの各辺LS1,LS2、及びコーナー辺1Aには、補強用のリブ突起1Gを配置するのが好ましい。
【0018】
従って、ヒーターユニットボックス1は、上蓋1U及び下蓋1Dと左側板1L及び右側板1Rとの嵌合、ねじ螺着によって、簡便に組立分離が可能となり、収納機器類は左側板1Lのみに取付けてあるため、点検、修理、取替等のメンテナンスも容易である。
そして、アンカー片1Cと当接アンカー片1Fの存在により、メンテナンス時に取外す右側板1Rの左側板1Lへの取付け作業性が向上すると共に、アンカー片1C及び当接アンカー片1Fは、ボックス1の補強リブ機能も奏する。
【0019】
また、ヒーターユニットボックス1内に配置する空気分離圧力タンク2は、図6に示す如く、下辺2D、前辺2F、後辺2B、上辺2T及び両側辺2L,2Rを含み、且つ上辺2Tが前側傾斜辺Sfで前辺2Fと、後側傾斜辺Sbで後辺2Bと連続する箱形状であって、前辺2Fの上下中央部には接続口J1を、後辺2B上下中央部には接続口J2を、上辺2Tの後部には接続口J3を備え、両側辺2L,2R間に亘って、後方に傾斜上昇する2枚の羽根板2A,2A´を、前側羽根板2Aが、下方で前辺の接続口J1の後方対応位置に、後側羽根板2A´が、上方で上辺接続口J3の下方対応位置に配置したものである
【0020】
この場合、空気分離圧力タンク2の容量は、循環暖房システム内に密閉した水量の常温(標準:15℃)時、及び温水(標準:80℃)時の膨張時水量、及び膨張時水量に伴うタンク2内の空気圧力から算出決定し、各接続口J1,J2,J3の位置は、常温時でも、ヒーターユニットボックス1の横使用時には、接続口J1及び接続口j2が水位面下となるように、ヒーターユニットボックス1の縦使用時には、接続口J3及び接続口J2が水位面下となるように決定すれば良い。
また、下方羽根板2Aと上方羽根板2A´とは、共に空気分離を助長するための制御乱流を生起するものであり、傾斜角30°とすれば、タンクの縦使用でも横使用でも、自然発生渦流を抑制し、分流作用によって空気分離を促進する制御乱流を発生させる機能を生ずる。
【0021】
そして、空気分離圧力タンク2は、小型化、プラスチック樹脂製で、空気抜き弁、安全逃し弁、を不要とする命題の下に、循環システム内の高圧時の爆発生起強度の約3倍の強度(安全率)とし、典型的には、0.6mm厚のプラスチック樹脂製であって、放熱器1kwに関しては、縦使用形態では、常温時に、水量0.19L(リットル)、システム内圧力0.01Mpa、80℃時に、水量0.26L、システム内圧力0.04Mpaとなり、横使用では、常温時に、水量0.28L、システム内圧力0.01Mpa、80℃時に、水量0.34L、システム内圧力0.04Mpaとなるものである。
尚、空気分離圧力タンク2は、半透明プラスチック製としておけば、外からの透視が可能となり、循環暖房システム内への水の充填時のタンク内への入水が目視出来、循環暖房システムの準備、メンテナンスに好都合である。
【0022】
従って、本発明の空気分離圧力タンク2は、縦使用時にも横使用時にも、2枚の羽根板2A,2A´がタンク2内への流入温水流を、空気分離に有効な制御乱流として、タンク内の流速の急激低下と相俟って、水中の空気泡を好適に上昇分離し、循環システム内での発生空気を、空気分離圧力タンク2内に安全に確保するため、循環システム内にあって、従来(図7)の安全逃し弁、空気抜き弁の配置の不要な空気分離圧力タンクを提供し、従来例1(図7)の放熱器を除く全循環システムの、1個のヒーターユニットボックス1内への収納、ヒーターユニットボックス1の縦使用又は横使用の汎用化、及びヒーターユニットボックス1の小型化を可能とする。
【0023】
また、本発明にあって、角筒状のヒーターユニットボックス1を、図2の如く、縦配置して使用する際には、空気分離圧力タンク2の前辺2Fを上側、後辺2Bを下側として配置し、上辺2Tの接続口J3にパイプヒーター4を接続し、後辺2Bの接続口J2に往き管Sを接続し、前辺2Fの接続口J1をキャップ2Cで閉止するのが好ましい。
この場合、接続口J3とパイプヒーター4間、接続口J2と往き管S間の経路接続は、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)パイプで接続すれば良い。
【0024】
従って、空気分離圧力タンク2は、図6(D)に示す如く、循環水が、常温時にはwLの水位に、80℃ではwLの水位になって、接続口J3からの流入水Finが接続口J2からの流出水Foutとなり、タンク2内では急速に流速が低下し、タンク2内で下方の羽根板2Aの、上方への流れF1、下方への流れF2、上方の羽根板2Aの、上方への流れF3、下方への流れF4となって、水中の空気泡は、キャップ2Cで閉止されたタンク上部の空気域Zaへと分離上昇し、放熱器8内には空気を含まない温水が循環給水出来る。
そのため、本発明の空気分離圧力タンク2は、図6(D)の如く、縦配置で使用しても、従来例1(図7)の、密閉膨張タンクとエアセパレータとの機能を発揮し、ヒーターユニットボックス1の小型化が可能となる。
【0025】
また、角筒状のヒーターユニットボックス1を横配置して使用する際には、空気分離圧力タンク2の上辺2Tを上側、下辺2Dを下側として配置し、前辺2Fの接続口J1にパイプヒーター4を接続し、後辺2Bの接続口J2に往き管Sを接続し、上辺の接続口J3をキャップ2Cで閉止するのが好ましい。
この場合、接続口J1とパイプヒーター4、及び接続口J2と往き間Sとの接続は、エチレン−プロピレンゴム管で接続すれば良い。
そして、上辺2Tの接続口J3をキャップ2Cで空密閉止するため、タンク2の接続口J3の下方域は空気域Zaとなる。
【0026】
従って、空気分離圧力タンク2は、図6(C)に示す如く、循環水が常温(15℃)時には、wLの水位に、80℃ではwLの水位になって、パイプヒーター4からの循環流入水Finが接続口J1からタンク2内に流入し、流速の低下した流入水は、前側羽根板2Aで上側流れF1及び下側流れF2に分流されて流水中の空気泡は分離上昇し、後側羽根板2Aでも、上側流れF3と下側流れF4とに分流され、流水から発生する空気泡をタンク上部の空気域Zaに分離上昇させながら、循環流出水Foutとなって後辺の接続口J2から往き管Sに供給される。
【0027】
そして、上辺2Tの接続口J3はキャップ2Cで閉止し、タンク2の上部の空気域Zaは循環水の加熱膨張最大圧力が爆発臨界値以下(標準:1/3爆発圧力値)に設定されているため、空気分離圧力タンク2は、図6(C)の如く、横配置で使用しても、従来例1(図7)の、密閉膨張タンクとエアセパレータとの機能を発揮し、ヒーターユニットボックス1の小型化が可能となる。
【0028】
また、本発明にあっては、例えば図2に示す如く、空気分離圧力タンク2にあっては、キャップ2Cに換えて、更に、空気分離圧力タンク2と同一構造の補助タンク2´を接続し、補助タンク2´の連結した接続口以外の他の2個の接続口をキャップ2Cで閉止するのが好ましい。
この場合、空気分離圧力タンク2を、図2の如く、縦配置で使用する際には、前辺2Fの接続口J1を補助タンク2´と接続し、横配置で使用する際には、上辺2Tの接続口J3を補助タンク2´と接続することとなる。
【0029】
そして、補助タンク2´は、空気分離圧力タンク2の空気域Zaと接続するため、空気分離圧力タンク2の空気域Zaの内容積の拡大を達成する。
従って、空気分離圧力タンク2に補助タンク2´を接続したヒーターユニットボックス1は、空気分離圧力タンク2の爆発の心配の全く存在しない温水循環システムを提供するばかりか、例えば、1kwから3kw等への、システム内充填水量の増大を伴う発熱容量の増大にも、ヒーターユニットボックス1を何ら変更することなく対処可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の暖房システムは、1台の放熱器8に1台のヒーターユニットボックス1が対応配置されるため、例え1台のヒーターユニットボックス1に故障が生じても、他のヒーターユニットボックス1及び対応放熱器8が機能するため、家屋全室の暖房システムの機能不全は避けられ、居住部の暖房の、全て停止の事態は避けられる。
【0031】
また、加熱部(パイプヒーター)を内臓するヒーターユニットボックス1は、放熱器8と隣接配置と出来るため、加熱部から放熱器への温水循環経路上での熱の放出損失は無く、ヒーターユニットボックス1内で生ずる熱放出も、室内加熱機能を奏するため、実質上、暖房熱の熱損失が生じない室内暖房システムとなる。
【0032】
また、放熱器8が温水循環型であるため、放熱温度斑の生じない放熱暖房となり、各放熱器自体も、それぞれのヒーターユニットボックス1での別個独立の運転による加熱放熱となるため、必要暖房の運転が自在に調整出来る。
また、リフォーム時の、既設の循環型暖房システムの更新に際しても、床下、壁内等の旧配管は放置したまま、既設の温水循環放熱器に本発明のヒーターユニットボックス1を対応併置するだけで、本発明の暖房システムに簡便に更新出来る。
【0033】
また、従来の温水循環暖房システム(図7)での、膨張タンク、エアセパレータ、安全逃し弁、及び水抜き弁の機能を奏する、新規な空気分離圧力タンク2を開発して採用したため、ヒーターユニットボックス1は、小型化、軽量化が可能となり、放熱器8も、温水循環型でさえあれば、慣用の金属製放熱器にも、軽量で腐蝕の怖れが無く、且つ火傷の怖れも無いプラスチック製放熱器にも対応可能であり、新築建物はもとより、既存建物の暖房システム改修にも、適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
〔ヒーターユニットボックス匡体(図4、図5)〕
ヒーターユニットボックス1は、電気温水循環暖房システムの、ヒーター、循環ポンプ等を含む温水暖房機能を収納したものであって、放熱器に隣接して、縦配置、又は横配置可能としたものであり、本体の匡体(ボックス)1と、収納する各種機器から成るものである。
図4は、匡体1の分解斜視図であって、(A)は左側板1Lを、(B)は右側板1Rを、(C)は上蓋1Uを、(D)は下蓋1Dを示す図であり、図5(A)は、匡体に組み立てた斜視図であり、図5(B)は、図5(A)のB−B線断面図である。
【0035】
ヒーターユニットボックスの匡体は、1.2mm厚の鋼板を押圧金型で加工した、左側板1L、右側板1Rを角筒形態に組んで、上蓋1Uと下蓋1Dとで両端を嵌合止着するものであって、図5(A)の組立て形態では、幅L1が180mm、奥行きW1が160mm、高さh1が590mmの角筒体である。
左側板1Lは、図4(A)に示す如く、断面L型で、内面に各種機器を固定収納する板材であり、高さh11が550mmで、匡体の幅L1(180mm)となる一側辺LS1側には、上下に、等間隔(100mm間隔)で、長さ60mm、高さ40mmの横長の電線挿入用孔H1を5ヶ所穿設し、匡体の奥行きW1となる他側辺LS2には、幅20mm、高さ40mmの縦長の空気流通孔H3を、電線挿入用孔H1の対応位置に5ヶ所穿設する。
【0036】
そして、図4(A)に示す如く、一側辺LS1及び他側辺LS2の端部から小幅W11(標準:35mm)のコーナー辺1Aを屈曲延出し、コーナー辺1Aの端部には、更に、断面L型のアンカー片1Cを、図5(D)に示す如く、内方に小寸d12(標準:7mm)落ち込ませて延出する。
この場合、アンカー片1Cの上下端は小寸d11(標準:10mm)切落としておく。
そして、各コーナー辺の上下端、及び左側板1Lのコーナー部の上下端には、ねじ孔H2を穿設しておく。
また、電線挿入用孔H1を配置した一側辺LS1は、収納機能を担持するため、適所(標準:各コーナーからL11(40mm)位置の2ヵ所)に、上下に亘る補強リブ1Gを、小寸d15(標準:6mm)の半円突起の形態で形成しておく。
【0037】
右側板1Rは、左側板1Lと整合一体化して匡体を形成するものであり、左側板1Lの内面に配置した各種機能機器のメンテナンス時に、取外す蓋板であり、図4(B)に示す如く、断面L型の一側辺RS1と他側辺RS2との屈曲コーナー部を、幅L10(標準:86mm)の傾斜辺1R´として、平滑面に形成し、一側辺RS1の端部及び他側辺RS2の端部は、図4(B)、図5(D)に示す如く、内方に屈曲して、小寸d12(標準:7mm)突出した当接アンカー片1Fを形成し、一側辺RS1及び他側辺RS2の端部の上下にはねじ孔H2を穿設しておく。
【0038】
上蓋1Uは、下蓋1Dと対向同形状物であり、左側板1Lと右側板1Rとで形成する匡体1の角筒部の上端に嵌合係止するものであって、図4(C)に示す如く、天板1Tは、奥行きW1が160mm、幅L1が180mmで、右側板1Rの対向部では、折曲げ部EPから長さW10(標準:85mm)の位置から、右側板1Rの傾斜辺1R´に対向する長さL10(標準:86mm)の傾斜辺TSを備えた、矩形の一辺を傾斜辺TSとした変形5角形板であって、各辺は、天板1Tから下方へ直角折曲形態の、高さh10(20mm)の立上り片1Pを一体的に備えている。
【0039】
即ち、上蓋1Uは、天板1Tと立上り片1Pとの箱蓋形態であり、立上り片1Pの出隅部以外には、立上り片1Pの内面に、突出長d10(10mm)の当接係止片1Vを当接固定し、各当接係止片1Vには、左側板1L及び右側板1Rのねじ孔H2に対応するねじ孔H2を配置しておく。
また、下蓋1Dは、上蓋と面対称の固形状物であって、天板1Tと同形の底板1Bの周囲に、高さh10が20mmの立上り片1Pを配置し、立上り片1Pの出隅部以外には、立上り片1Pの内面に当接係止片1Vを、高さd10(10mm)突出形態に固定し、当接係止片1Vの、左側板1L及び右側板1Rの下端のねじ孔H2の対応位置に、ねじ孔H2を配置したものである。
【0040】
即ち、匡体の組立ては、下蓋1D及び上蓋1Uの各立上り片1Pの端縁が、左側板1L及び右側板1Rの上下端縁と衝き合せ形態で、各当接係止片1Vが、左側板1L及び右側板1Rの内面に当接してねじ固定すれば良く、匡体1は、各立上り片1Pと、左側板1L及び右側板1Rとのねじ固定手段で、解体、及び組立てが自在であって、外面を形成する各鋼板が面一に衝き合せで形成出来るものである。
【0041】
〔空気分離圧力タンク2(図6)〕
図6(A)は、空気分離圧力タンク2の全体斜視図であって、図6(B)は、(A)の矢印B視前面図、図6(C)は、(A)のC−C線縦断面図、図6(D)は、空気分離圧力タンク2の縦配置状態説明図である。
空気分離圧力タンク2は、ヒーターユニットボックス1の温水循環経路内に配置して、従来例1(図7)の膨張タンク、エアセパレータ、水抜き弁、及び安全逃し弁を不要とする新規なタンクであり、1kw暖房用タンクの実施例に就いて説明する。
【0042】
空気分離圧力タンク2は、一般肉厚0.6mmの半透明プラスチック樹脂成形品であり、構造は、図6(C)に示す如く、下部が、長さ(L2)140mm、高さ(h3)55mm、幅(W2)が50mmの箱型形状であり、上部は、上辺2Tの幅(W3)が38mm、長さ(L3)が70mm、高さ(h4)が30mmの裁頭角錐形状で、対向する前辺2F、後辺2Bには、下端から上方30mm(d5)で、幅W2の中央位置に、上辺2Tには、幅W3の中央で、後辺2Bより55mm(L5)の位置に、おのおの、外径13mmで肉厚0.5mmの接続口J1,J2,J3を配置したものである。
【0043】
そして、各接続口J1,J2,J3は、ゴムパイプ5A、又はゴムキャップ2Cの取付けを確実とするため、幅が1mmで突出高さが0.5mmの突起2Gを、6mm間隔で2ヵ所配置する。
また、図6(C)に示す如く、タンク2内には、左側辺2Lと右側辺2Rとに、差し渡し状に前側羽根板2Aと後側羽根板2A´とを配置する。
【0044】
前側の羽根板2Aは、幅W5が35mm、厚さ6mmで、後方に30°傾斜上昇する形態に、且つ、前端が、前辺2Fから距離(L6)25mmで、下辺2Dから高さ(h5)が20mmに配置し、後側羽根板2A´は、幅W6が30mm、厚さ6mmで後方に30°傾斜上昇する形態に、前端が、後辺2Bから距離(L5)55mmで、下辺2Dから高さ(h6)が35mmで配置し、タンク2内の容量を0.5Lとしたものである。
【0045】
従って、該空気分離圧力タンク2は、横使用時は、図6(C)の如く、常温(15℃)水の状態の水位wL、水容量0.28L、空気量(空間容積)0.22Lで、前辺接続口J1から流入水Finが流速0.885m/sで流入し、前側羽根板2A下側で、流速0.118m/sの遅い流れF2となり、羽根板2Aの上側の流れF1は、下側流れF2より更に低い流速となり、水と空気は分離して、空気は上部空気域Zaに至る。
【0046】
また、前側羽根板2Aで未分離の空気は、後側の羽根板2A´の下側の流れF4が0.06m/sと低速であり、循環水は、2枚の羽根板2A,2A´がF1,F2,F3,F3の低速流に分流撹拌することで、水中の空気を完全に分離する。
尚、高温(80℃)で膨張した循環水の水位はwLに至り、上辺の接続口J3をゴムキャップ2Cで閉止して運転するため、空気域Zaは、許容圧力下の圧力空気となる。
【0047】
また、タンク2は、縦使用時は、図6(D)の如く、前辺2Fを上側にして配置し、上辺2Tの接続口J3から流入水Finが流入して後辺2Bの接続口J2から流出水Foutとなり、常温時、即ち運転開始時の水位はwLであって、内容量0.5Lのタンク2は、水容量0.19L、空間容積(空気量)0.31Lで、暖房加熱温度80℃に達すれば、水位はwLに至る。
そして、0.885m/sの流入水Finは、タンク2内で急激に流速低下を生じて後側羽根板2A´に当り、羽根板2A´に上昇案内される流れF1が前側羽根板2Aの表流F3、裏流F4となり、下降流F2と共に、低流速での撹拌分流とすることによって空気を分離し、分離空気は、空気域Zaの圧力空気(標準:0.04Mpa以下)となる。
【0048】
〔循環ポンプ3(図3)〕
循環ポンプ3は、慣用ポンプで、ヒーターユニットボックス1の下蓋1Dに配置出来るものであれば良く、放熱器8がプラスチック製の場合は、慣用の樹脂製電磁ポンプを採用する。
樹脂製電磁ポンプは、安価、且つ軽量で、運搬取付け作業性も良く、騒音も38db以下と静かである、三相電気(株)製の、商品番号PMD−141B(単相100V用)、又は商品番号PMD−142BSG(単相200V用)を採用すれば良い。
【0049】
〔パイプヒーター4(図2)〕
パイプヒーター4は、ステンレスパイプに絶縁層、導電層、断熱絶縁層を溶射形成し、30w/cmの高電力密度で、熱効率95%の省エネルギー型である、熱匠(株)製のSCヒーター(商品名)を採用すれば良い。
1本が1kwの該パイプヒーター4は、外径が15.88mm、長さが280mmで肉厚2mmのパイプ形状で、両端の外周をサンドブラスト処理で粗面としたものであり、また、暖房能力3kwとする場合には、3本採用すれば良い。
そして、肉厚20mmの保温材をパイプ外周に被覆すれば、発熱効果が向上する。
【0050】
〔配管用パイプ5A(図2)〕
配管用パイプ5Aは、ヒーターユニットボックス1内の流水経路を形成するもので、耐久性、耐熱性、耐寒性、耐溶剤性に優れ、軽量、且つ可撓性がある、慣用の、肉厚が3mmで内径14mmのエチレン−プロピレンゴム(EPDM)のゴムパイプを採用する。
【0051】
〔ボール弁6A,6B,6C(図2)〕
ボール弁6A,6B,6Cは、ヒーターユニットボックス1内に配置する水経路の開閉弁であって、円筒部に径3mmの開閉用孔を備え、該孔に六角レンチを挿入して弁の開閉を行うもので、長さ29.5mmのパイプ形状で、一方の端部に径12mmのねじ部を備える、バロフイック社(デンマーク)のザルホ型ボール弁を採用する。
【0052】
〔チーズ7(図2、図3)〕
チーズ7は、ヒーターユニットボックス1内での水経路の接続に用いるもので、T字形状で、三方より配管を接続することが出来る継手金具であり、径26mmで長さが46mmの、円筒部の長さ方向中央から、継ぎ口が直交して9mm突出した、慣用のT型チーズ7を採用する。
【0053】
〔ヒーターユニットボックス内への機器の組込み(図2、図3)〕
ヒーターユニットボックス1内への機器類の組込みは、組立工場内で行うもので、例えば、図2に示す、縦型ヒーターユニットボックス1の場合は、左側板1Lと下蓋1Dとを、左側板1Lの下端と下蓋1Dの立上り片1Pとを上下に衝き合せて、当接係止片1Vと左側板1L下端とをねじ孔H2を介してねじ固定し、下蓋1Dの底板1Bに、3mm厚、50mm幅の平鋼板の架台11を載置敷設し、循環ポンプ3のスタンド3Sを架台11にボルト固定して循環ポンプ3を配置する。
【0054】
そして、補強リブ1Gを備えた左側板1Lの内面に、厚さ1.6mmの鋼板を折曲げた、慣用のハット型鋼(図示せず)を、適宜長さ、適宜高さで固定し、該ハット型鋼から鋼製支持材(図示せず)を持ち出して、空気分離圧力タンク2、補助タンク2´、及び3列のパイプヒーター4を支持固定し、ゴムパイプ5A及びホースバンド5Bを用いて、循環ポンプ3の回転継ぎ部3Fとパイプヒーター4とを接続し、パイプヒーター4間も接続し、図1(B)に示す如く、ヒーターユニットボックス1内には、戻り管Rから循環ポンプ3→パイプヒーター4→空気分離圧力タンク2→往き管Sの流入経路を形成する。
【0055】
この場合、空気分離圧力タンク(主タンク)2及び補助タンク2´は、共に同一タンクであって、図2(A),(B)に示す如く、上辺2Tが側面となる縦型に固定し、主タンク2の上側に位置する前辺2Fの接続口J1を、補助タンク2´の上側に位置する接続口J1と連通し、補助タンク2´の下側に位置する接続口J2、及び側面に位置する上辺2Tの接続口J3は、ゴムキャップ2Cで閉止して、補助タンク2´は、単に、主タンク2の空気域Zaに連通する、密閉空気域、即ち、付加拡大空気域Zaとする。
【0056】
次いで、機器等の隙間を利用して、パイプヒーター4、循環ポンプ3、サーモスタット(図示せず)、温度センサー(図示せず)の電線を配線して、プリント基板(図示せず)、及び上蓋1Uに嵌め込んだ操作パネル9Bに接続する。
そして、一体化した左側板1Lと下蓋1Dに、上蓋1U及び右側板1Rをねじ固定すれば、ヒーターユニットボックス1と成る。
勿論、出荷前には、工場内で、往き管(サプライ管)S及び戻り管(リターン管)Rの端部を継手金具で連結し、図3(C)の如く、ボール弁6Bを閉止し、ボール弁6Aから水を流入し、通電して循環ポンプ3及びパイプヒーター4を作動し、ボール弁6Aから排水して、システム内の空気抜きを行い、温水を上昇させて空気分離圧力タンク2、補助タンク2´に負荷を与えて、漏水、及び機器類の異常ナシ、を確認のうえ、出荷する。
【0057】
〔ヒーターユニットボックス1の取付け(図1、図2、図3)〕
放熱器8を壁面WSに固定金具で取付けし、縦型ヒーターユニットボックス1の右側板1Rを、ねじの取外しによって取外し、往き管(サプライ管)S及び戻り管(リターン管)Rを、放熱器8下方の継ぎ部8Jと接続し、左側板1Lに穿孔する5ヶ所の電線挿入用孔H1の適宜孔を介して、ヒーターユニットボックス1内の電源用電線と、壁面WSに埋設した電気ボックス9Aから引出した電線とを結線する。
【0058】
そして、補強リブ1Gを備えた左側板1Lを壁面WS側として、ヒーターユニットボックス1を固定する。
この場合、ヒーターユニットボックス1の電線は、ヒーターユニットボックス1内、若しくは、壁面の電気ボックス9A内に隠蔽される形態となり、電線コードを引掛けることなく、電線挿入用孔H1の位置選定も自在であるため、ヒーターユニットボックス1は、作業性良く、且つ外観良く敷設出来る。
【0059】
そして、図3(A),(C)に示す如く、ボール弁6Bを閉止し、ボール弁6A,6Cを開放して、ボール弁6Aに水道の蛇口(ア)を、ホース(ウ)で接続し、ボール弁6Cに短尺のホース(エ)を取付け、1m立ち上げてホース(エ)の先端をバケツ(イ)内に挿入する。
次いで、水道蛇口を開放して、ボール弁6Aから水道水を流入し、ボール弁6Cから水が、所定水圧の下に、バケツ(イ)内に流出したら、ボール弁6A,6C及び水道の蛇口(ア)を閉止し、ボール弁6Bを開放する。
これにより、システム内圧力は0.01Mpaで安定し、放熱器8及びヒーターユニットボックス1内の、水経路中の機器類の空気は、水の流入によって排出され、温水循環暖房システム内に必要水量が充填出来る。
次いで、電源をオンにして水を循環させ、循環ポンプ3から異音が発生しなければ、システム内の空気は適正に除去されたことが確認出来る。
【0060】
〔その他〕
ヒーターユニットボックス1を、放熱器8の下面等、横長方向に配置する場合は、ヒーターユニットボックス1は、実施例(図1、図2)と同一機材で構成するが、横配置であるため、空気分離圧力タンク2及び補助タンク2´は、横配置、即ち下辺2Dが下側、上辺2Tが上側になるように配置すれば良い。
そして、ヒーターユニットボックス1は、角筒形態の傾斜辺1R´、即ち右側板1Rの傾斜辺が前面となるように配置し、傾斜辺1R´に操作パネル9Bを配置すれば、外観上も、操作上も好ましい。
【0061】
この場合、空気分離圧力タンク2は、図6(D)に示す形態となって、前辺2Fの接続口J1にパイプヒーター4経由の加熱水が流入し、後辺2Bの接続口J2から流出し、上辺2Tの接続口J3には補助タンク2´を接続すれば良い。
従って、角筒状のヒーターユニットボックス1を横方向に載置しても、空気分離圧力タンク2内での、前側羽根板2A及び後側羽根板2A´による循環温水の分流による制御乱流の発生により、空気分離作用、及び分離気泡の上部空気域Zaへの空気収納の作用を生じ、ヒーターユニットボックス1は、縦配置と同効機能を奏し、発明の所期の目的が達成出来る。
【0062】
尚、実施例では、空気分離圧力タンク2には、同一構造の補助タンク2´を付加併設したが、補助タンク2´は、単に空気分離圧力タンク2の空気域Zaを拡大するものであり、実施例サイズの空気分離圧力タンク2は、使用水量及び水の加熱膨張による空気域Zaの空気圧上昇面から、1個使用で3kw暖房システムに耐える設計としてあり、従って、3kw以下の暖房システムにあっては、補助タンク2´は省略出来る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】放熱器にヒーターユニットボックスを併置した説明図であって、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は水流系統図である。
【図2】縦型ヒーターユニットボックス内部の説明図であって、(A)は前面図、(B)は側面図、(C)は上面図である。
【図3】空気分離圧力タンクと補助タンクとの関係説明図であって、(A)は正面視図、(B)は側面視図、(C)は水充填説明図である。
【図4】ヒーターユニットボックスの匡体分解斜視図であって、(A)は左側板1Lを、(B)は右側板1Rを、(C)は上蓋1Uを、(D)は下蓋1Dを示す図であり、(E)は(C)図の部分拡大図である。
【図5】ヒーターユニットボックスの説明図であって、(A)は匡体の組立て状態斜視図、(B)は(A)図のB−B線断面図、(C)は(A)図のC部拡大図、(D)は(B)図のD部拡大図、(E)は(B)図のE部拡大図である。
【図6】空気分離圧力タンクの説明図であって、(A)は、全体斜視図、(B)は、(A)図の矢印B視前面図、(C)は、(A)図のC−C線縦断面図、(D)は縦型使用状態図である。
【図7】従来例1の説明図であって、(A)はシステム系統図、(B)は使用する放熱器の正面図、(C)は放熱器の側面図である。
【図8】従来例2の電気温水暖房器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 ヒーターユニットボックス(匡体、ボックス)
1A コーナー辺
1B 底板
1C アンカー片
1D 下蓋
1F 当接アンカー片
1G 補強リブ
1K 角筒部
1L 左側板
1P 立上り片
1R 右側板
1R´,TS 傾斜辺
1T 天板
1U 上蓋
1V 当接係止片(止着片)
2 空気分離圧力タンク(圧力タンク、主タンク、タンク)
2´ 補助タンク
2A 前側羽根板(下方羽根板、羽根板)
2A´ 後側羽根板(上方羽根板、羽根板)
2B 後辺
2C キャップ
2D 下辺
2F 前辺
2G 突起
2L 左側辺(側辺)
2R 右側辺(側辺)
2T 上辺
3 循環ポンプ
3F 回転継ぎ部
3J 継ぎ部
3S スタンド
4 パイプヒーター
5A ゴムパイプ(パイプ)
5B ホースバンド
6A,6B,6C ボール弁
7 チーズ
8 放熱器
8A 横パイプ
8B 縦パイプ
8J 継ぎ部
8R 温水排出口
8S 温水供給口
9A 電気ボックス(電気配管ボックス)
9B 表示パネル(操作パネル)
11 架台
a,a1,a2,a3 空気流
EP 折曲げ部
FS 床面
H1 電線挿入用孔
H2 ねじ孔
H3 空気流通孔
J1,J2,J3 接続口
R 戻り管(リターン管)
S 往き管(サプライ管)
w 水流
WS 壁面
wL,wL 水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台の放熱器(8)に、1台の角筒状のヒーターユニットボックス(1)を対応配置した電気加温式温水循環型の暖房システムであって、放熱器(8)は、温水供給口(8S)及び温水排出口(8R)を備えた温水循環型放熱器であり、ヒーターユニットボックス(1)は、空気分離圧力タンク(2)、循環ポンプ(3)、パイプヒーター(4)を、ボール弁(6A,6B,6C)、チーズ(7)を介して配管接続して温水循環機能を収納し、往き管(S)及び戻り管(R)で放熱器(8)と接続した、電気温水循環暖房システム。
【請求項2】
ヒーターユニットボックス(1)は、断面L型の、長尺の左側板(1L)と右側板(1R)とを接合した長尺の角筒部(1K)と、角筒部(1K)の両端に、着脱自在に嵌着する上蓋(1U)及び下蓋(1D)とを含み、断面L型の左側板(1L)が、一側辺(LS1)には、上下に、等間隔で複数個の電線挿入用孔(H1)を備え、他側辺(LS2)には、電線挿入用孔(H1)と対応する位置に、複数の空気流通孔(H3)を備えている、請求項1の電気温水循環暖房システム。
【請求項3】
ヒーターユニットボックス(1)は、断面L型の左側板(1L)が、両端にコーナー辺(1A)を屈曲延出すると共に、コーナー辺(1A)の端部を断面L型のアンカー片(1C)とし、断面L型の右側板(1R)の両端には、左側板(1L)のアンカー片(1C)と接続用の当接アンカー片(1F)を配置し、断面L型の、左側板(1L)及び右側板(1R)の上下端適所にねじ孔(H2)を配置して、上蓋(1U)及び下蓋(1D)のねじ孔(H2)と、左側板(1L)及び右側板(1R)のねじ孔(H2)とをねじ螺合した、請求項2の電気温水循環暖房システム。
【請求項4】
空気分離圧力タンク(2)は、下辺(2D)、前辺(2F)、後辺(2B)、上辺(2T)及び両側辺(2L,2R)を含み、且つ上辺(2T)が前側傾斜辺(Sf)で前辺(2F)と、後側傾斜辺(Sb)で後辺(2B)と連続する箱形状であって、前辺(2F)の上下中央部には接続口(J1)を、後辺(2B)上下中央部には接続口(J2)を、上辺(2T)の後部には接続口(J3)を備え、両側辺(2L,2R)間に亘って、後方に傾斜上昇する2枚の羽根板(2A,2A´)を、前側羽根板(2A)が、下方で前辺の接続口(J1)の後方対応位置に、後側羽根板(2A´)が、上方で上辺接続口(J3)の下方対応位置に配置したものである、請求項1、又は2、又は3の電気温水循環暖房システム。
【請求項5】
角筒状のヒーターユニットボックス(1)を縦配置して使用する際には、空気分離圧力タンク(2)の前辺(2F)を上側、後辺(2B)を下側として配置し、上辺(2T)の接続口(J3)にパイプヒーター(4)を接続し、後辺(2B)の接続口(J2)に往き管(S)を接続し、前辺(2F)の接続口(J1)をキャップ(2C)で閉止する、請求項4の電気温水循環暖房システム。
【請求項6】
角筒状のヒーターユニットボックス(1)を横配置して使用する際には、空気分離圧力タンク(2)の上辺(2T)を上側、下辺(2D)を下側として配置し、前辺(2F)の接続口(J1)にパイプヒーター(4)を接続し、後辺(2B)の接続口(J2)に往き管(S)を接続し、上辺の接続口(J3)をキャップ(2C)で閉止する、請求項4の電気温水循環暖房システム。
【請求項7】
キャップ(2C)に換えて、更に、空気分離圧力タンク(2)と同一構造の補助タンク(2´)を接続し、補助タンク(2´)の連結した接続口以外の他の2個の接続口をキャップ(2C)で閉止する、請求項5又は6の電気温水循環暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−174733(P2009−174733A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11441(P2008−11441)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(396027108)株式会社テスク (68)
【出願人】(304017753)株式会社ユニ (7)
【Fターム(参考)】