説明

電気的な機能ユニット及びその製造方法

本発明は電気的な機能ユニットと該機能ユニットを製造する方法とに関する。
本発明の電気的な機能ユニットは、
−相上下するセラミック層(2)の積層体から形成された部体(1)を有し、
−前記部体(1)が外からアプローチ可能な中空室(3)を有し、該中空室(3)の壁(8)に接触面(4)が配置されており、
−前記接触面(4)を接触させるための接触装置(5)を有し、該接触装置(5)が前記部体(1)の外部で接続可能であり、
−前記接触装置(5)が前記接触面(4)にばね力を作用させる接触ばね(53)を有している
ことを特徴としている。この機能ユニットは接触が内部から行なわれ、したがって所要スペースが小さいという利点を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相上下するセラミック層の積層体から形成された部体を有する電気的な機能ユニットに関する。
【0002】
印刷文献WO03/094252A2号によれば、相上下する圧電層とその間にある電極層とから成る積層体を有し、圧電層がセラミック材料を含み、電極層と焼結されている基体を備えたピエゾアクタが公知である。基体には電極層に対し垂直に孔が延在し、該孔内にピンが差込まれている。
【0003】
印刷文献JP03151677A号からは、冒頭に述べた形式の電気的な機能ユニットであって、圧電式アクタの内部の電極が弾性的なエレメントにより接触させられる形式のものが公知である。この場合には弾性的なエレメントは稼動に際してピエゾアクタの運動に追従することができる。
【0004】
本発明の課題は電気的な接触が親頼性のある形式で行なわれる電気的な機能ユニットを提供することである。
【0005】
本発明の課題は請求項1の機能ユニットによって解決された。機能ユニットの有利な構成と機能ユニットを製造する方法は請求項1以外の請求項の対象である。
【0006】
本発明によれば有利には相上下したセラミック層の積層体から形成された部体を有する電気的な機能ユニットが提供される。
【0007】
セラミック層は例えば圧電的な特性を有する層であることができる。この場合には電気的な機能ユニットはピエゾアクタであることができる。有利にはこの場合にはセラミック層の間にはさらに電極層が配置されていることができる。この電極層は外部へ接触させられることができ、誘電体が圧電的な材料で充たされたコンデンサに電圧をかけることができる。
【0008】
前記部体には外からアプローチ可能な中空室が設けられていることができる。この中空室は、接触面を配置することのできる壁を有している。接触面は有利には電気的な機能エレメントと導電的に接続されている。このような電気的な機能エレメントは例えば多層ピエゾアクタの電極層であることができる。
【0009】
さらに有利には、接触面の接触に適した接触装置が設けられている。さらにこの接触装置は前記部体の外から接続可能である。例えば接触線材が外部から接触装置にろう接されるか又は他の形式で導電的に固定されることができる。
【0010】
さらに、接触装置には接触面にばね力を作用させる接触ばねが設けられていることができる。
【0011】
この接触ばねによって接触装置と接触面との間に電気的な接触が与えられる。
【0012】
本発明は接触面の接触が前記部体の内部にて行なわれる構想が利用されている。これによって接触は有害な外部の影響、例えば機械的な影響から遮断される。その上、接触装置を前記部体の内部へ統合することによってスペースが節域される利点が達成される。
【0013】
さらに外部からの接触とは異って、別の必要なエレメントのために、例えば冷却装置のために前記部体の外側に場所が残されることになる。
【0014】
さらに接触が接触ばねを介して行なわれることで、例えば圧電式のアクタの長手方向の膨張もしくは接触に際して行なわれるような機械的な影響を接触が受けなくなる。
【0015】
特にここに記述した形式の接触は移動する構成部分、例えばピエゾスタックの場合に用いることが有利である。
【0016】
特に有利であるのは、接触装置が前記部体の中空室内で摺動可能に配置されていることである。これによって例えば機械的な外部又は内部の影響に反応するために接触装置は全体として移動させられることができる。例えば電気的な機能ユニットの多くの稼働時間後に電気的な接触がゆるんだ場合には接触装置を引出すことによって電気的な接触の簡単な保守を行なうことができる。
【0017】
有利には接触装置は前記中空室内へ差込まれている。電気的な機能ユニットのこの構成は前記部体を製造する段階と電気的な接触を形成する段階とが時間的にも場所的にも互いに離すことができるという利点を有する。これによって例えば電気的な接触装置のための材料として、前記部材もしくは電気的な機能ユニットを製造するために使用される方法段階と互換性を有している必要のない材料を使用することができるようになる。
【0018】
さらに接触装置は差込みのために滑動可能であると有利である。しかし、接触装置は必ず摺動可能である必要はない。むしろ、上記利点を達成するためには接触装置が一度前記部体内に押込まれ、次いで例えば前記部体に係止されてそこに留まるだけで十分である。接触装置はどの時点でも前記部体内でもしくは前記中空室内で摺動可能である必要はない。
【0019】
さらに単数は複数の接触ばねが設けられており、該接触ばねが接触面に対する電気的な接触を行ないかつ同時に、接触装置が前記部体の外で電気的に接続可能もしくは接触可能であるようにすることができる。
【0020】
機能ユニットの1実施形態では、接触面が前記部体の内部に配置された導電性の機能エレメントと接続されている。このような実施形態によって前記部体の内部にある電気的な機能エレメントは接触装置を用いて外から接触させられることができる。
【0021】
機能ユニットの他の実施形態においては、前記中空室の壁を少なくとも部分的に覆うカバーによって接触面が形成されている。カバーは有利には一貫して導電性の材料から成っているが、これは必ずしも必要ではない。カバーは接触装置に対する接触を与えるために予定した個所にて導電性であれば十分である。
【0022】
機能ユニットの別の実施形態においては、接触装置は前記中空室から突出する接続部分を有している。この接続部分は接触ばねと導電的に接続されている。さらに接続部分は外部から、例えば導電性の線材をクランプ結合するかろう付けすることにより先きへ接触可能である。外へ突出する接続部分により、ばね弾性的な電気的接触と外からの接触の可能性との間の機能的な分離が達成される。これは両方の機能のそれぞれが該機能を充たすエレメントの選択すべき形態に関しても、選択すべき材料に関しても最適化できるという利点を有している。
【0023】
しかしこれは、両方の機能が必ず別個のエレメントで実現されなければならないことを意味するものではない。接触ばねが同時に外側の接触に用いられている機能ユニットの実施形態も存在する。
【0024】
機能ユニットの1実施形態ではカバーは金属薄板によって形成されている。この金属薄板は例えば管の形を有することができ、前記部体における孔形状の中空室の壁を覆うことができる。
【0025】
機能ユニットの別の実施形態においては、カバーは金属を含有する焼付けパスタによって形成されている。この焼付けパスタは例えば孔の壁に塗布され、次いで適当な温度で壁表面に焼付けられることができる。
【0026】
機能ユニットの別の実施形態においては、導電性の接着剤の形態をしたカバーが設けられている。導電性の接着剤は例えば筆で中空室の壁に塗付けられることができる。
【0027】
機能ユニットの別の実施形態では、カバーを螺旋状に巻かれた線材によって形成することが提案されている。この場合には線材は丸線材であるか又は方形横断面を有する線材であることができる。
【0028】
機能ユニットの1実施形態では接触装置は長手方向にスリットの切られた、ばね弾性的な管によって形成されている。この実施形態は、接触面に対するばね弾性的な機能と外部から接触可能な機能とが唯一のエレメント、つまりばね弾性的な管で達成できるという利点を有する。これによって機能ユニットは特に簡単でかつコンパクトな構造を有することになる。
【0029】
機能ユニットの別の実施形態では、別個の接続部分が接触装置の部分であることが提案されている。この接続部分は例えば金属ピンであることができる。しかし、接続部分は互いに撚り合わされた線材によって形成されていることもできる。
【0030】
機能ユニットの別の実施形態では、曲げられたばね弾性的な薄板の形を有するばね部分が設けられている。
【0031】
別の実施形態では前記ばね部分は波形の壁を有する管によって形成されている。波形に経過する壁によってばね部分と接触面との間でばね力を発生させることができる。
【0032】
機能ユニットの別の実施形態では、前記ばね部分を管ブラシの剛毛によって形成することができる。特に考慮に値するのは例えば互いに撚り合わされた線材に固定されている金属性もしくは導電性の剛毛である。
【0033】
機能ユニットの別の実施形態では前記ばね部分はワイヤメッシュの形を有していることができる。
【0034】
機能ユニットの1実施形態では、多数の電気的な機能エレメントが設けられている。この場合、これらの機能エレメントはセラミック層の間に配置された導電性の電極層の形で形成されている。このような機能エレメントでは電気的な機能ユニットとして例えばピエゾを実現することができる。
【0035】
別の実施形態においては、カバーを前記中空室内に焼結することが提案されている。これによって有利な形式で前記部体とカバーとの間に固い機械的な結合が生じ、特に前記部体の接触もしくは膨張運動に際しカバーが離脱する惧れは低減される。
【0036】
機能ユニットの特別な実施形態では、機能ユニットが稼動に際して機械的な応力を生ぜしめる。この機械的な応力は例えば長手方向の膨張もしくは収縮であることができる。
【0037】
機能ユニットの他の実施形態では前記中空室は前記部体内に延在する孔の形に形成されている。この場合にはカバーは有利には、前記孔に適合させられた管の形を有していることができる。特殊な実施形態では機能ユニットの前記部体は互いに相上下して位置する複数のグリーンシートを一緒に焼結することで製造されている。この場合には管の長さと管の外径との適当な選択によって前記孔内への管の固定的な焼結を達成することができる。特別な実施形態では、管は孔内部へ向けられた、焼結収縮に基づく力によって前記孔内に保持されている。
【0038】
さらに、管の材料が電極層の材料と同じであると有利である。この場合には材料の多様性は減じられ、その上、多層構造エレメントの電極層に管を特に良導電的に取付けることが達成される。
【0039】
機能ユニットの特別な実施形態においては、管はスリットの切られた、多孔質であるか又は孔のあけられているか又はへこみを備えた管であることができる。
【0040】
さらに本発明によれば電気的な機能ユニットを製造するための方法であって、相上下
するセラミック製のグリーンシートから積層体が形成されている方法が提供されている。グリーンシートの間には電極層が配置されている。
【0041】
このように形成された積層体は孔を有している。
【0042】
孔内にはカバーが導入されている。
【0043】
カバーは例えば孔内に差込まれるか押込まれることができる。
【0044】
次いで積層体はカバーと一緒に焼結される。
【0045】
本発明の方法の特別な実施形態では、打抜かれた透し孔を備えたセラミック製のグリーンシートが準備される。
【0046】
次いでグリーンシートは透し孔が合同に重なるように相上下して積層される。相上下して積層された透し孔によって前記部体には孔が形成される。
【0047】
ここに記述した方法の別の変化実施例ではセラミック製のグリーンシートが相上下して積層されている。この場合、グリーンシートは有利には透し孔を有していない。次いでこのようにして形成されたグリーン積層体に孔があけられる。この孔にカバー、例えば管の形をしたカバーが差込まれる。
【0048】
本発明の方法の別の実施形態では、カバーとして管が使用され、この管の横方向の寸法、管長手方向に対して横方向に測った寸法が、セラミック製のグリーンシートの焼結の間の孔の収縮によって管が孔に保持されるように選択されている。
【0049】
これによって管外壁とセラミック材料との間の良好な機械的な結合もしくは管と内部電極との間の良好な電気的な接続が生じる。
【0050】
以下、電気的な機能ユニットを、実施例とそれに属する図とに基づき詳細に説明する。
【0051】
図1は機能ユニットの1例を概略的な横断面図で示した図である。
【0052】
図2は電極層が前記部体の内部に設けられている電気的な機能ユニットを概略的な横断面図で示した図である。
【0053】
図2Aは内部電極が孔の内側に結合された状態を示した図である。
【0054】
図3は接触装置と所属のカバーを示した図である。
【0055】
図4はカバーの別の実施例の斜視図はである。
【0056】
図5は接触ばねの斜視図である。
【0057】
図6は前記部体の孔内に配置された2つの接触ばねを示した図である。
【0058】
図7は付加的な接続部分と共に図6に示した配置を示した図である。
【0059】
図8は波形の管の形をした接触ばねを示した図である。
【0060】
図9は図8の接触ばねを接続部分とカバーと共に示した図である。
【0061】
図10はそれぞれ概略的な横断面図で波形の管の形をした接触ばねの3つの異なる実施形態を示した図である。この場合、同じエレメントもしくは同じ機能を発揮するエレメントは同じ符号で示されている。
【0062】
図11は接触ばねとしてワイヤメッシュが設けられた別の電気的な機能ユニットの概略的な横断面図である。
【0063】
図12は接触ばねとしてワイヤメッシュを有する機能ユニットの斜視図である。
【0064】
図13は接触ばねとして多数の剛毛が設けられている電気的な機能ユニットの概略的な横断面である。
【0065】
図14はそれぞれ導電性の剛毛によって接触されている2つの中空室を有する電気的な機能ユニットの斜視図である。
【0066】
図1には中空室3を備えた部体1が示されている。中空室は外からアプローチ可能でかつ図1の例では孔もしくは盲孔の形に構成されている。中空室3は孔形に制限されるものではなく、任意の種々の形を有することができる。又、中空室3は部体1を貫通する必要はない。ただ重要であることは中空室3が外からアプローチ可能であることである。
【0067】
部体1には中空室3の壁8の表面に接する電気的な接触面4が設けられている。有利には接触面4は電気的な機能エレメント6と導電的に接続されている。この機能エレメント6を外部から接触させることができるためには、接触装置5が設けられている。接触装置5は長手方向で中空室3内を延びかつ外からアプローチ可能な接続部分52から成っている。接続部分52は中空室3から突出している。さらに接触装置5の構成部分として接触ばね53が設けられている。この接触ばね53は中空室3の内部で緊縮され、それに相応して力を接続部分52もしくは中空室3の壁8に作用させる(両方の複矢印を参照)。したがって接触ばね53によっては、接触ばね53の内部から外方へ作用する押圧力が発生させられる。この押圧力によって接触面4と接続部分52との間には電気的な接触が与えられる。この場合、接触は一方では接触ばね53が接触面4に押圧力で接する個所で行なわれ、他方では接触ばね53が接続部分52と接続されている個所で行なわれる。
【0068】
図2は電気的な機能ユニットのための別の実施形態が示されている。部体1は相上下して位置するセラミック層2の積層体によって形成されている。若干の個所では2つのセラミック層2の間に第1種の電極層611又は第2種の電極層612が配置されている。このような配置によって例えば圧電式アクタを形成することができる。この場合には第1のポテンシャルには第1種のすべての電極層611がもたらされる。他のポテンシャルは第2種のすべての電極層612がもたらされる。これによって圧電層2は電界に晒され、その結果、この層の膨張と部体長手方向での部体の膨張とが発生する。
【0069】
電極層611,612の接触は例えば2つの中空室3によって行なわれることができる。例えば図2には接触のこのような形式の1つが示されている。部体1の長手方向には孔の形をした中空室3が設けられている。孔の壁8はカバー7を備えている。このカバー7は例えば導電性の金属製の管の形を有していることができる。カバー7の内面は接触面4を形成している。
【0070】
この場合には孔が部体1の全長に亙って延び、すべての第1種の電極層611が1つの接触装置によって接触させられ得るようになっている。
【0071】
カバー7は例えば中空室3内に焼結されていることができる。これによりカバー7と第1種の電極層611との間に良好な電気的な接触が生じる。第2種の電極層612はそれがカバー7に対し十分な間隔を有し、ここでの電気的な接触、ひいては両方の異なる電極の間の短絡が回避されるように構成されている。さらに中空室3内へのカバー7の焼結によってセラミック層2に対する、ひいては部体1に対するカバー7の良好な機械的な取付けが行なわれる。
【0072】
電極層611の接触を完全にするためには図2を適当な接触装置5で補完することも考えられる。
【0073】
カバー7は例えば管、例えば銅管の形に構成されていることができる。銅管は1.2mmの内径を有していることができる。銅管は部体1の寸法に応じてほぼ30mmの長さを有している。より多くのセラミック層2とそれに応じて電極層611,612が、例えばピエゾアクタの特に大きな変位に達成するために必要である場合には60mmの長さの銅管又はその上の長さを有する銅管も考えられる。有利にはカバー7の材料は、電極層611,612の材料に対応するように選択される。これに相応してカバー7のためにも同じ材料を使用することもできる。
【0074】
さらに図2においては電極層に電圧をかけた場合のアクタ長手方向のアクタの運動も示されている。アクタは電圧がかけられた場合に長手方向に膨張し、電圧が除去された場合には長手方向に収縮する。
【0075】
図2Aには電極層611を接触させるための別の変化実施例が示されている。この変化実施例ではカバー7が使用されていない。しかし、電極層611は中空室3の壁8まで達している。中空室3の壁8にて電極層611は露出した表面、ひいては接触面4を形成する。この接触面は適当な接触装置によって、例えば図1に示された接触装置によって接触させられることができる。
【0076】
図3には長手方向にスリットが切られた管の形をした接触装置5が示されている。このような管は適当に拡開させられることができる。したがってこの管はそれ自体管の形を有するカバー7内に差込まれた場合に、内から外へ作用する相応の弾性的な力をカバー7の内壁に作用させる。その限りにおいてはスリットの切られた管は接触ばね53を形成する。スリットの切られた管が完全にカバー7内にもしくはカバー7を形成する管に差込まれないことで、カバー7の外側に突出部が発生する。この突出部は部体1の外にも位置することができ、ひいては接触装置5の接続区分51を形成することができる。
【0077】
図3の接触装置5は長手方向スリット9を有している。
【0078】
さらに図3には、管の形をしたカバー7が示されている。この場合、管の横方向の寸法DAが同様に示されている。この横方向の寸法DAは円筒形の管の場合には管の外径に相応する。この外径は孔に対し、特に例えば図1にて示した孔直径Dに対して、孔の形をした中空室内にカバー7を焼結した場合にカバー7が焼結力によって孔内に保持されるように選択されている。例えば相上下して積層されたセラミック製のグリーンシートから成るグリーン部体には直径1.5mmの孔を形成することができる。外径1.4mmの管を選択した場合には前記部体を焼結したあとで管が孔内に固持されることができる。
【0079】
これは中空室の中央に作用する焼結収縮により行なうことができる。
【0080】
図4には螺旋状に巻かれた線材の形をしたカバー7が示されている。この線材は扁平線材10である。
【0081】
図4に示された螺旋体はカバー7の横方向の寸法DAと、螺旋体のリードHと、螺旋体の開口Aと、螺旋体の幅Bとによって特徴づけられている。この場合、幅Bは丸線材の場合には丸線材の直径に相当する。
【0082】
この場合には式:
B+A=H
が成立する。
【0083】
相上下して位置するセラミック製のグリーンシートから部体1を製作する場合には焼結に際して長手方向に、つまり積層方向に、例えば相対長さ変化L:LO=0.84が達成される。この場合にはLは焼結後の積層体の長さでLDは焼結前の積層体の長さである。螺旋体のパラメータを適当に選ぶことによって螺旋体の開口が焼結の間に閉じられ、同時に螺旋体が収縮に抵抗を示さないようにすることが達成される。何故ならば螺旋体は開口が閉鎖することにより焼結収縮に追従するからである。螺旋パラメータの適当な選択は、
【数1】

と同じ意味を持つ
【数2】

が確定されることにある。
【0084】
図5にはスリットの切られた管の形に形成された接触ばね53の別の実施形態が示されている。この場合には管の内部に向かって2つの舌片11が曲げ込まれている。この舌片11によってばね力が発生する。
【0085】
図6には図5に示した2つの接触ばねが、中空室3の壁8の良好な面状の接触を保証するために、円形の中空室3の内部にどのように配置される必要があるかが示されている。
【0086】
図7には接触装置5を完成するための後続の段階が示されている。両方の接触ばね53の間にはただ接続部分52が中央に差込まれている。これによって接触ばね53の舌片は外へ曲げられ、最終的には十分なばね力が発生し、接続部分52と壁8に配置された接触面との間に電気的な接触が与えられる。接触ばね53によって発生させられたばね力は原理的には図1に示されているのと同じように向けられる。
【0087】
図7に示された中空室3を形成する孔は横断面が円形であり、ほぼ1.2mmの直径Dを有している。外径DSが0.6から0.8mmである中央のピンの形をした接続ピン52を差込むことにより、接触ばね53の助けで、半径方向に向けられた十分な力を作用させることができる。
【0088】
図8には波形の管の形をした接触ばね53の別の実施形態が示されている。
【0089】
ここに記述した接触ばねに共通して当嵌まることは、接触ばねがばね弾性材料、例えばベリルリュームブロンズ、銅ブロンズ又は類似した適宜の導電材料から製作されていることである。
【0090】
ここに記述した接触ばねは中空室3の壁8と接続部分52もしくは接触ばね自体との間で作用する半径方向のばね弾性的な力を発生させる。
【0091】
図8における管の波形の表面により、同様に適合させられた幾何学的な形状で、つまり接触ばね53が差込まれる孔の適宜の直径で、半径方向のばね力の形成が実現される。
【0092】
これは例えば図9に示されている。図9には図3に相応して管の形をしたカバー7が示されている。このカバー7内には図8に示した接触ばね53が差込まれている。この場合、幾何学的な関係は接触ばね53の選択された表面が半径方向のばね力を発生させるように選択されている。さらなる接触のためには接触ばね53の中央領域に金属製の導電性のピンの形をした接続部分52が差込まれる。
【0093】
図10には横断面で図8の実施形態に従って構成された接触ばね53の3つの異なる変化実施例が示されている。図10を左から右へ見て、接触ばねは横断面で見て4等分又は6等分又は8等分対称的に形成されていることができる。接触ばね53の形状付与に応じて、カバー7に所定の寸法が与えられた状態で、接続部分52、つまり図9の中央ピン9の直径は、接触ばねの構成に適合させられなければならない。接続部分52の直径は左から右へ増大している。
【0094】
図11には電気的な機能ユニットの別の実施形態が示されている。この場合には接触ばね53としてワイヤメッシュが設けられている。図7,9及び10に相応して中空室3の中央には中央ピンの形の接続部分52が、接触を外へ引出すために設けられている。その他の点では図11の構成部分は図2に相応している。
【0095】
波形の管の形をした接触ばね53は波形薄板管と記載することもできる。
【0096】
接触部分13をからみ合わされた素線12と一緒に該素線12を圧縮して差込んだ場合には半径方向に向けられたばね力が発生し、これによって素線12もしくはからみ合わされた素線12は接触ばね53の機能を発揮する。
【0097】
図12には、接触装置が図11に相応して形成された構成エレメントが示されている。接触ばね53を形成するワイヤメッシュは図12から判るように、例えば導線を遮蔽するために使用される素線の形に構成されている。図12には2つの中空室3が示されており、第1の中空室はUtzeは完全に中空室へ押し込まれており、第2の中空室では該中空室3へ接触ばね53と接続部分52とが押込まれている過程が示されている。
【0098】
図11と図12とに示されたワイヤメッシュは個別の細い素線12を互いにからみ合わせることで製作することができる。
【0099】
図13は接触装置の別の実施例が示されている。この場合には接触ばね53は接続部分52に固定された多数の小さな剛毛13から形成されている。
【0100】
図13には接続部分52に固定された剛毛13の長さが、中空室3へ押込む場合に剛毛が変形されなければならず、半径方向に向けられたばね力が発揮されるように選ばれることが示されている。これによっては剛毛13は接触ばね53の働きを引受けることができる。剛毛13は有利には短い銅線から成っているが、炭素繊維から成っていることもできる。びんブラシの形式で接続部分52は互いに撚り合わされたワイヤから製作されていることができる。
【0101】
図14には圧電式の構成エレメントが斜視図で示されている。この場合には異なる極が2つの異なる中空室により、図13に示した配置で接触されている。積層体における左の孔はちょうど孔へ押込まれようとする接触装置5を示している。ピエゾスタックにおける右の孔は対応する孔へ完全に押込まれた接触装置5を示している。接続部分52は単に孔から突出している。この接続部分52を用いて別の接触が行なわれる。
【0102】
図示したいずれの実施例においても、ばね力は接触装置5が中空室もしくは孔へ押込まれることで発生する。たいていの場合には中央に接続部分52が設けられ、この接続部分52には接触ばね53で中空室3の壁8に対し間隔が与えられている。接触部分52を押込むことによってもしくは接続部分52と接触ばね53との全体を押込むことによって半径方向に向けられたばね力が発生し、このばね力で接続部分と接触面もしくはカバー7の内壁との間には電気的な接触が与えられる。
【0103】
ここに記載した電気的な機能ユニットの製造は例えば以下のように実施することができる。管、銅−圧電−セラミックの場合には、有利には銅又は銅合金から成る管がグリーン構成部分の孔もしくは円筒形の孔に挿入される。したがって管の挿入はグリーン構成部分の焼結の前に行なわれる。グリーン構成部分はピエゾエレクトロリックセラミックを含むセラミック層の積層とラミネートとによって製作される。
【0104】
グリーン構成部分における孔は、打抜かれたシートが相上下して積層されることで製作することができるが、グリーン部体を製作したあとで穿孔によって、フライス機械の上で又はレーザによって又はウォータジェットによって形成することもできる。次いでグリーン構成部分は脱炭素されかつ焼結される。これにより、焼結収縮によって良好な機械的な結合が管の外壁と構成部分のセラミック材料との間に発生する。同時に良好な電気的な結合が管と電極層との間に発生する。
【0105】
焼結が行なわれたあとで管の内部の中空室には接触装置が挿入される。この接触装置は種々の形式で構成されていることができる。しかし、好適な材料の組合せで良好な電気的な接触を、発生した圧着力で達成することが保証されていなければならない。さらに電気的な接触を発生させるばね力は100℃と150℃との間もしくは場合によっては180℃との間の運転温度でも維持されるようにしたい。
【0106】
運転中にはカバーを形成する管が破壊する可能性がある。しかし、これがピアゾセクタの機能を妨げることはない。何故ならば接触装置によっては、壊した管のどのセグメントも確実に接触させられるからである。
【0107】
ここに記載した内からの接触装置は、中空室もしくは孔の内壁の金属化が任意の壁厚さで製作でき、これによって高い機械的な強度と機械的な摩滅に対する強度が得られるという利点を有している。さらに内壁のカバーは後加工されることもできる。これによって数多くの種々の接触方法が可能になる。
【0108】
管材料の組織変化及び機械的な特性の変化及び事情によって管に発生する亀裂は本発明に従って製作された機能ユニットの機能に大きな影響は及ぼさない。管の付着はセラミック材料における焼結によってきわめて良好であるので、管が孔の内壁から遊離する前に管が個々のエレメントに破壊される公算は一層大きい。
【0109】
管の内部には圧電構成エレメントのために電流を供給するためとのエレメントと、場合によっては機械的な予負荷を発生させるためのエレメントが導入されることができる。
【0110】
この接触もしくは予負荷エレメントは焼結後にはじめて挿入されるので、ここでは材料の選択と接触の形式とに関し大きな自由度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】機能ユニットの1実施例の概略的な横断面図。
【図2】電極層が該当部体の内部に設けられている電気的な機能ユニットの横断面図。
【図2A】孔の内面における内部電極の接続を示した図。
【図3】接触装置と所属のカバーを示した図。
【図4】カバーの別の実施例の斜視図。
【図5】接触ばねの斜視図。
【図6】該当部体の1つの孔内に配置された2つの、図5による接触ばねを示した図。
【図7】図6の配置を付加的な接続部分と共に示した図。
【図8】波形の管の形をした接触ばねを示した図。
【図9】図8の接触ばねを接続部分とカバーと一緒に示した図。
【図10】波形の管の形をした接触ばねの3つの異なる実施形例の概略的な横断面を示した図。
【図11】接触ばねとしてワイヤメッシュが設けられている別の電気的な機能ユニットの概略的な横断面図。
【図12】接触ばねとしてワイヤメッシュを有する機能ユニットの斜視図。
【図13】接触ばねとして多数の剛毛が設けられている電気的な機能ユニットの1実施例の概略的な横断面図。
【図14】それぞれ導電性の剛毛によって接触させられている2つの中空室を有する電気的な機能ユニットの概略的な斜視図。
【符号の説明】
【0112】
1 部体
2 セラミック層
3 中空室
4 接触面
5 接触装置
6 電気的な機能エレメント
7 カバー
8 壁
9 長手方向スリット
10 線材
11 舌片
12 素線
13 剛毛
51 接続区分
52 接続部分
53 接触ばね
611,612 電極層
D 孔直径
DS ピン直径
DA 横方向の寸法
H 螺旋体のリード
A 螺旋体の開口
B 螺旋体の幅
L 焼結後のアクタの長さ
LO 焼結前のアクタの長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な機能ユニットであって、
−相上下するセラミック層(2)の積層体から形成された部体(1)を有し、
−前記部体(1)が外からアプローチ可能な中空室(3)を有し、該中空室(3)の壁(8)に接触面(4)が配置されており、
−前記接触面(4)を接触させるための接触装置(5)を有し、該接触装置(5)が前記部体(1)の外部で接続可能であり、
−前記接触装置(5)が前記接触面(4)にばね力を作用させる接触ばね(53)を有している
ことを特徴とする、電気的な機能ユニット。
【請求項2】
前記接触面(4)が前記部体(1)の内部に配置された電気的な機能エレメント(6)と接続されている、請求項1記載の電気的な機能ユニット。
【請求項3】
前記接触面(4)が前記中空室(3)の壁(8)を少なくとも部分的に覆うカバー(7)によって形成されている、請求項1又は2記載の電気的な機能ユニット。
【請求項4】
前記接触装置(5)が前記中空室(3)から突出する接続部分(52)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項5】
前記カバー(7)が金属薄板である、請求項3記載の電気的な機能ユニット。
【請求項6】
前記カバー(7)が金属を含有する焼付けパスタから形成されている、請求項3記載の電気的な機能ユニット。
【請求項7】
前記カバー(7)が導電接着剤から形成されている、請求項3記載の電気的な機能ユニット。
【請求項8】
前記カバー(7)が螺旋状に巻かれた線材(10)によって形成されている、請求項3記載の電気的な機能ユニット。
【請求項9】
前記接触装置(5)が長手方向にスリットが切られた、ばね弾性的な管によって形成されている請求項1から8までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項10】
前記接続部分(52)が金属ピンである、請求項4記載の電気的な機能ユニット。
【請求項11】
前記接続部分(52)が互いに撚り合わされた線材(10)から形成されている、請求項4記載の電気的な機能ユニット。
【請求項12】
前記接触ばね(53)が、曲げられたばね弾性的な薄板によって形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項13】
前記接触ばね(53)が波形の壁を有する管によって形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項14】
前記接触ばね(53)が管ブラシの剛毛(13)によって形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項15】
前記接触ばね(53)がワイヤメッシュによって形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項16】
前記機能エレメント(6)として多数の電極層(611,612)が前記部体(1)内に包含されている、請求項2記載の電気的な機能ユニット。
【請求項17】
前記カバー(7)が前記中空室(3)内で焼結されている、請求項3から16までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項18】
稼働中に機械的な応力を発生させる、請求項1から17までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項19】
前記中空室(3)が前記部体(1)内に延在する孔であって、前記カバー(7)が前記孔の形状に適合させられた管である、請求項3から18までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項20】
前記管が焼結収縮に基づく、孔内部に向けられた力で保持されている、請求項19記載の電気的な機能ユニット。
【請求項21】
前記管の材料が前記電極層(611,612)の材料と同じである、請求項16から20までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項22】
前記管がスリットが切られているか又は多孔質であるか又は孔があけられているか又はへこみが付けられている管である、請求項19から21までのいずれか1項記載の電気的な機能ユニット。
【請求項23】
電気的な機能ユニットを製造する方法であって、
(イ)相上下して位置するセラミック製のグリーンシートの積層体を形成し、その際、前記積層体が外部からアプローチ可能な孔を有していること、
(ロ)前記孔にカバー(7)を導入すること、
(ハ)前記積層体を前記カバーと一緒に焼結すること、
以上、(イ)、(ロ)、(ハ)の方法段階を有することを特徴とする、電気的な機能ユニットを製造する方法。
【請求項24】
前記方法段階を(イ)を、
(i)打抜かれた透し開口を備えた多数のセラミック製のグリーンシートを準備すること、
(ii)前記透し開口が合同に重なりあって、前記孔が形成されるように前記グリーンシートを互いに積層すること、
で実施する、請求項23記載の電気的な機能ユニットを製造する方法。
【請求項25】
前記孔を前記グリーンシートから成る積層体に穿孔する、請求項23記載の電気的な機能ユニットを製造する方法。
【請求項26】
焼結の間の前記孔の収縮によって該孔に保持されるように横方向の寸法が選択された管を前記カバー(7)として使用する、請求項23記載の電気的な機能ユニットを製造する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2007−535288(P2007−535288A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509875(P2007−509875)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000767
【国際公開番号】WO2005/104256
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】