説明

電気的構成要素を埋め込む方法

【課題】構成要素に不要な力がかかることなく、また箔を事前に経路誘導する必要なく、誘電的に構成要素を埋め込むことである。
【解決手段】少なくとも1つの構成要素を誘電体層106内に埋め込む方法を提供する。この方法はa)少なくとも1つの構成要素をキャリア上に配置および固定する工程、b)少なくとも1つの構成要素の周囲に液体誘電体を注型することにより、少なくとも1つの構成要素を完全に密閉する工程、c)液体誘電体を硬化させて固体誘電体層106を形成する工程、およびd)特に上部への積層により、別の層105、特に導電層117を適用する工程。また、液体誘電体ですべて形成された誘電体層106の使用であって、液体誘電体は、誘電体が処理されるまで固体に変換されない、液体誘電体ですべて形成された誘電体層の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添付の独立請求項のプリアンブルに基づいてプリント基板に電気的構成要素を埋め込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、プリント基板用の誘電体材料は、構造化箔または非構造化箔として存在することが知られている。その第1の場合、材料は、基板に搭載された構成要素の加熱、プレス、および密閉中、それら構成要素の周囲を流れる。第2の場合、箔は、構成要素上の凹部を通じて配置される。非常に薄い構成要素が使用される場合、構成要素は、箔内へ直接プレスされる。
【0003】
より厚い構成要素が使用される場合は、当該誘電体を事前に経路誘導しなければならない。さらに、構成要素を完全に密閉するには、通常、複数の誘電体箔を積層する必要がある。
【0004】
プレス中、材料が凹部に流れ込むと、構成要素を完全に取り囲んでしまい不利である。空洞の容積が非常に大きく材料の量だけでは空洞が完全に埋まらない場合は、液体材料が追加で流し込まれるため、箔材料から必要とされる材料はより少なくて済む。
【0005】
別の公知方法では、半導体工程(「スピンコーティング」)を使って、液体誘電体を平面的に適用する。この方法は、1つ以上のチップを埋め込む際にも使用される。ただし、比較的薄い20μm未満の厚さのみ可能である。これを超える厚さは、スクリーン印刷またはナイフコーティングでしか実現できないため、不可能である。
【0006】
米国特許公開第US2008/0123318 A1号では、プリント基板を組み立てる方法について説明している。その場合、凹部を有する基板が真空吸着板上に配置される。構成要素が凹部に挿入された後、その構成要素を固定するため、凹部の開いた空洞に接着剤が充填される。その後、真空吸着板が取り外されて、当該基板の正面側および背面側に金属膜が適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公開第US2008/0123318 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、先行技術の解決すべき問題は、構成要素に不要な力がかかることなく、また箔を事前に経路誘導する必要なく、誘電的に当該構成要素を埋め込むことに関する。さらに、この方法は、サイズおよび厚さの異なる構成要素の密閉も同時に可能にすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この問題は、添付の独立請求項の特徴を有する方法により解決される。また、この問題は、液体誘電体ですべて形成された誘電体層を使用することにより解決され、その場合、液体誘電体は、当該誘電体が処理されるまで固体に変換されない。
【0010】
本発明の好適で有利な実施形態は、付加的な請求項、添付の図面、および詳細な説明から明確に理解されるであろう。
【0011】
本発明は、少なくとも1つの構成要素を誘電体層に埋め込む方法を対象としている。
この方法は、以下の工程を有する。a)少なくとも1つの構成要素をキャリア上に配置および固定する工程、b)少なくとも1つの構成要素の周囲に液体誘電体を注型することにより、少なくとも1つの構成要素を完全に密閉する工程、c)液体誘電体を硬化させて固体誘電体層を形成する工程、およびd)特に上部への積層により、別の層、特に導電層を適用する工程。
【0012】
本発明に係る方法によれば、構成要素が誘電体層に有利に埋め込まれて、小型プリント基板の製造が可能になる。この方法を使うと、事前に経路誘導された箔の使用を排除することができる。さらに、箔の事前構成が省略されることにより、労力とコストが軽減される。さらに、埋め込みは特定の構成要素の体積に合わせてカスタマイズできるため、異なる厚さの箔を既製することが一切不要になる。そのため、当該方法は、特定の厚さの誘電体、特に箔の可用性にも依存しない。また、信頼性の高い工程を使って、サイズおよび厚さの異なる構成要素を同時に密閉することもできる。埋め込み工程において、構成要素は、キャリア内で注型される結果、体積が比較的小さくなる。したがって、当該方法では、電気的構造を容易に小型化することが可能になる。また、製造フォーマットも、先行技術に基づいたパッケージング工程を使用する場合より1桁から2桁大きなものにできる。
【0013】
特に誘電体の上には、さらに別の層を積層できる。積層には、接着剤を使って表面に膜状の層を適用する工程が伴う。当然ながら、他のコーティング方法、例えば、スクリーン印刷、亜鉛めっき、または蒸着もしくは陰極スパッタリングを使ったコーティングなどの真空めっき法も実施可能である。次に、例えば一般的なエッチング工程を使って、埋め込まれた構成要素に接触するためのトラックが形成されるよう追加層を構造化することができる。その目的のため、接触子は、例えば湿式化学工程またはイオンエッチング工程を使って露出される。
【0014】
有利なことに、構成要素を接続する接触トラックなど比較的小さい構造も作製でき、その場合、実現可能な接続部の数は光工程およびコーティングの質だけに依存する。
【0015】
埋め込みはプリント基板を製造する工程中に行われるため、「埋め込みコア」(embedded core、略称EDC)すなわち埋め込み構成要素を有したプリント基板コア、または逐次構築されるプリント基板の構造層ごとに一般にEDCを製造することが可能になる。この場合、「液体」とは、該当する物質の集合状態が固体でなく、さらに/または当該物質が流体であることを意味すると理解される。粘性物質も暗黙的に含まれる。特に、周囲注型工程において、物質は液体である。この場合、「硬化する」とは、当該物質の集合状態が液体から固体に移行することを意味する。硬化は、ラジカル開始剤を加え、pH値、時間、温度、輻射(UV、可視光、IR、X線、放射線)を変更し、特に温度を変更し、特に好ましくは温度を上昇させるなど、化学的または物理的なパルスを使って行う。周囲注型工程では、完成した製造フォーマットまたは製造パネルの上から誘電体が適用される。当該方法の工程a)〜d)に次いで、既知のプリント基板工程を使って構成要素を電気接続する工程e)などの追加工程が実施可能である。
【0016】
有利なことに、誘電体は、硬化状態において、最小の厚さ10μm、最大の厚さ1000μm、および好適な厚さ30〜250μmで形成される。この場合、「厚さ」とは、誘電体がキャリアの平面に垂直に延長する長さを意味するものと理解される。平面は、構成要素が固定されるキャリア面である。厚さにより、キャリアに搭載された構成要素を完全に密閉して、周囲の有害な影響から保護することができる。さらに、構成要素は、それに力が作用しないよう埋め込まれる。
【0017】
さらに、誘電体は、熱可塑性材料および/または熱硬化性プラスチックで形成される。当業者が使用できるいかなる熱可塑性材料および/または熱硬化性プラスチックも使用可能とみなされる。ただし、誘電体は、ポリイミドと、エポキシ樹脂と、ポリエステル樹脂と、ポリウレタンと、アミノ樹脂とからなる群から選択される元素で形成されることが好ましく、特にSun Chemical社製Sunflexなどのポリイミドで形成されることが好ましい。基本的に、誘電体は、プリント基板製造用の別の材料で作製することもできる。使用する材料により、プリント基板製造で知られている周囲環境および工程の影響を容易に克服できる。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、キャリアが少なくとも1つの導電層で形成される。特に有利なことに、キャリアは金属箔、特に薄い金属箔で形成され、または少なくとも1枚の金属箔を有する。その金属箔は、厚い金属シート上に一時的に固定される。その上にさらに別の導電層が積層され、誘電体が適用された後、キャリアは薄い金属箔から分離される。導電層として設計したキャリアは、構成要素を節約する態様で2つの機能を実施できる。キャリアは、構成要素が埋め込まれる時点で非構造化状態、すなわち構造化されていない状態であるため、工程が単純化される。
【0019】
あるいは、キャリアは、プリント基板のさらに別の層で形成された当該プリント基板構造と一体的な構成要素であってもよい。公知のプリント基板工程を使って構成要素を電気接続する方法の工程a)〜d)および付加的な工程e)は、必要な層の数に応じて反復可能である。プリント基板のさらに別の層としてのキャリアの設計上、順次構築されるプリント基板は、構造的に単純な態様で、追加キャリアを伴う製造工程の場合より少数の工程段階を使って、構成要素を節約しコストを削減する態様で製造することができる。
【0020】
さらに、付加的な層、特に付加的な導電層が、金属箔、熱可塑性ポリマー箔、または金属クラッド熱硬化性プラスチックからなる群から選択される元素で形成されると有利である。ただし、当業者が妥当とみなす他のいかなる導電層も原則として実施可能である。金属箔は、特に銅箔である。銅は、サブトラクティブ法を使って製造フォーマット全体の上から適用でき、または例えば先行技術で公知のガルバニック工程を使って犠牲層中に事前構成した空洞内に適用できる。サブトラクティブ法とは、構造化された導電性パターンを製造するため広く使用されている方法で、導電性箔の部分の一部除去または導電性クラッドの不要部分の選択的エッチングを伴う。銅箔は、適用後に構造化できる。本発明に係る設計、特に銅箔を使うと、埋め込まれた構成要素を、構造的に単純な態様で電気的に接触させることができる。また、そのような接触に必要な体積は、ワイヤーボンディング、はんだ付け、または接着剤接合などの先行技術に係る技術に必要な体積より明らかに小さい。
【0021】
また、少なくとも1つのさらに別の誘電体接着層を、第1の誘電体層上に設けることができる。この追加層は、導電層に面する側部に設置することが好ましく、その上の導電層の積層を支持するため使用される。例えば、積層工程の前に、接着作用で事前貼付が可能である。
【0022】
周囲注型は、当業者が使用可能とみなす種々のコーティング工程および印刷工程を使って実施できる。この周囲注型は、スクリーン印刷、ナイフコーティング、「カーテンコーティング」、即ち表面へのスプレー噴霧、積層工程、フレキソ印刷、またはエングレービングからなる群から選択される方法を使って行われる。この場合、スクリーン印刷またはナイフコーティングが好ましい。この方法を使うと、十分確立された技術を使用して、信頼性の高い結果を得ることができる。
【0023】
有利なことに、少なくとも1つの側部に少なくとも1つの電気接点または熱的接点を有した構成要素が使用される。この構成要素は、少なくとも1つの側部に複数の電気接点または熱的接点を有し、実用的である。上向きおよび/または下向き配向の電気接点または熱的接点、および/または側部上の電気接点または熱的接点を少なくとも1つ伴った少なくとも1つの構成要素がキャリア上に配置される結果、用途が有利に広がる。さらに、底部および/または頂部および/または側部に1つの電気接点を有し、さらに/または底部および/または頂部および/または側部に複数の電気接点を有する構成要素が、1つの構成要素層で組み合わされて提供される。そのため、タイプの異なる構成要素、すなわち頂部に電気接点または熱的接点を伴った構成要素、底部に電気接点または熱的接点を伴った構成要素、頂部および底部に電気接点または熱的接点を伴った構成要素、そして側部に電気接点または熱的接点を伴った構成要素をキャリア上に配置することができる。当該実施形態では、種々の構成要素を、種々の態様で、それらの個々の設計と独立して使用することができる。
【0024】
好適な開発態様によれば、上記方法は、工程a)前に初期工程を有し、その初期工程では、接着剤がキャリアに適用され、その上に構成要素が配置および固定される。その代替態様または追加態様として、初期工程では、接着剤を構成要素に適用し、その接着剤を使って構成要素をキャリアに接合することができる。その接着剤は、液体接着剤であっても、箔用接着剤であってもよく、好ましくは導電性または非導電性で、さらに/または特に好ましくは非構造化または構造化された態様でキャリアまたは構成要素に適用される。一般に、当業者が使用可能とみなす他のいかなる接着剤も実用可能である。
【0025】
本発明に従って埋め込まれた少なくとも1つの構成要素を、めっきしたブラインドビアホールまたは導電性接着剤により導電層に電気的に接触させると、機能的に一貫した設計が有利に実現できる。誘電体および追加層を通じたZ軸接続は、ドリルで穴あけすることにより、好ましくはプラズマまたはでレーザーで穴あけ加工することにより作製される。
【0026】
また、少なくとも1つの構成要素は、電気的構成要素および/または、特にIC(集積回路)、IPD(集積受動構成要素)、ASIC(特定用途向け集積回路)、またはフラット受動構成要素(flat passive components)からなる群から選択される構成要素により形成されるものである。当該構成要素は、アセンブリ(「スタック」)の一部であっても、この態様でパッケージに内設された抵抗、キャパシタ、インダクタなど別個の構成要素であってもよい。そのため、本発明に係る方法を使うと、多様な構成要素を埋め込むことができる。さらに、少なくとも1つの構成要素は、「熱的な構成要素」、すなわち放熱性の高い構成要素上に形成される。これらは、例えば、熱バイアスなどの熱的接点を使って熱を散逸させる電力増幅器であってよい。熱バイアスは、本願において、電気的機能を伴わない孔すなわち貫通孔であり、熱伝導材料として例えば銅で作製される。また、RFIDチップ(高周波識別チップ)など、電場を使って操作される構成要素を使用することも可能である。当該構成要素は、構造的な電気的コネクタまたは熱的コネクタを必要としない。
【0027】
本発明は、さらに、構成要素を誘電体層に埋め込む方法を対象としている。この方法は、以下の工程を有する。a)構成要素をキャリア上に配置および固定する工程、b)構成要素の周囲に液体誘電体を注型することにより、構成要素を完全に密閉する工程であって、誘電体は、i.硬化状態において、最小の厚さ10μmと、ii.最大の厚さ1000μmと、iii.好適な厚さ30〜250μmとの値を有する、工程、c)誘電体を硬化させて固体誘電体層を形成する工程、およびd)特に上部への積層により、別の層、特に導電層を適用する工程。また、修正された実施形態では、工程c)およびd)を同じ工程段階で実施できる。当該方法の工程a)〜d)に次いで、既知のプリント基板工程を使って構成要素を電気接続する工程e)などの追加工程が実施可能である。
【0028】
また、本発明は、液体誘電体ですべて形成された誘電体層の使用を対象としており、その場合、液体誘電体は、当該誘電体が処理されるまで固体に変換されない。
【発明の効果】
【0029】
液体誘電体および本明細書に記載の方法を使うと、いかなる構成要素体積についても、当該構成要素の埋め込み中、その損傷につながる強い力がかかることなく、確実に誘電体で密閉することができる。
【0030】
以下、本発明について、次の図面に示す実施形態を参照してさらに詳しく説明する。図面は、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】キャリアに面する接触子を有した構成要素を有するプリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスダウン」)。
【図1B】キャリアに面する接触子を有した構成要素を有するプリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスダウン」)。
【図1C】キャリアに面する接触子を有した構成要素を有するプリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスダウン」)。
【図1D】キャリアに面する接触子を有した構成要素を有するプリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスダウン」)。
【図1E】キャリアに面する接触子を有した構成要素を有するプリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスダウン」)。
【図2A】キャリアと反対側の面に接触子を有した構成要素を有する代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスアップ」)。
【図2B】キャリアと反対側の面に接触子を有した構成要素を有する代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスアップ」)。
【図2C】キャリアと反対側の面に接触子を有した構成要素を有する代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスアップ」)。
【図2D】キャリアと反対側の面に接触子を有した構成要素を有する代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスアップ」)。
【図2E】キャリアと反対側の面に接触子を有した構成要素を有する代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(「埋め込みコア−フェイスアップ」)。
【図3A】正面側および背面側に固定された構成要素を有する別の代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(埋め込み外層(概略))。
【図3B】正面側および背面側に固定された構成要素を有する別の代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(埋め込み外層(概略))。
【図3C】正面側および背面側に固定された構成要素を有する別の代替プリント基板コアの製造における種々の工程を示した図である(埋め込み外層(概略))。
【図4A】図3に示した代替プリント基板コアの製造における種々の工程を詳しく示した図である(埋め込み外層(詳細))。
【図4B】図3に示した代替プリント基板コアの製造における種々の工程を詳しく示した図である(埋め込み外層(詳細))。
【図4C】図3に示した代替プリント基板コアの製造における種々の工程を詳しく示した図である(埋め込み外層(詳細))。
【図4D】図3に示した代替プリント基板コアの製造における種々の工程を詳しく示した図である(埋め込み外層(詳細))。
【図4E】図3に示した代替プリント基板コアの製造における種々の工程を詳しく示した図である(埋め込み外層(詳細))。
【図4F】図3に示した代替プリント基板コアの製造における種々の工程を詳しく示した図である(埋め込み外層(詳細))。
【0032】
機能的に同一の要素または同様に作用する要素については、図中で同じ参照番号を使って示している。上記の図は、本発明の概略図であり、本発明の具体的なパラメータを示したものではない。また、個々の要素の寸法は、縮尺どおり図示したものではない。さらに、これらの図は単に典型的な本発明の実施形態を示したものであり、示した実施形態だけに本発明を限定することを目的としたものではない。
【0033】
図中の要素のうち詳述しないものについては、それに対応する要素を以前の図で説明している箇所に言及して不要な反復を避けている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1A〜1Eは、少なくとも1つの構成要素101を誘電体層106内に埋め込んでプリント基板コア107を製造する方法の一連の工程を示したものである。本実施形態では、4つの構成要素101が埋め込まれる。構成要素101は電気的構成要素で、IC、集積受動構成要素IPD、ASIC、またはフラット受動構成要素(flat passive components)であってよい。種々の構成要素101は埋め込まれるが、これはサイズの異なる構成要素101の図で明瞭に示されている。
【0035】
図1Aに示すように、キャリア103が使用される。キャリア103は、第1の導電層108により薄い金属箔109の形態で形成される。図1Bに示すように、工程a)前の初期工程段階で、導電性の非構造化箔接着剤の形態をした接着剤102がキャリア103に適用されるこの適用により、大きな表面積を有したキャリア103の側部である表面110全体すなわちキャリア103平面が被覆される。表面110は、キャリア103の4つの周縁表面111の1つではない。あるいは、構成要素101に接着剤を適用し、これをキャリア103に接合することもできる(図示せず)。
【0036】
図1Cは、構成要素101を示したもので、構成要素101は、上記方法の工程a)に基づいて接着剤102上に配置および固定することによりキャリア103上に配置および固定されている。各構成要素101は、少なくとも1つの側部112、113上または表面110に面した側部112上に、少なくとも1つの接触子114または複数の接触子114を有し、構成要素101が大きい場合は、表面110に垂直に延長する平面である側部113上に、少なくとも1つの接触子114または複数の接触子114を有する。これら1つ以上の接触子114は、特に電気接点である。したがって、構成要素101は、その底部および側部に接触子114を伴ってキャリア103上に配置されることになる。これら種々の構成要素101は、それぞれ異なる数の接触子114を有する。構成要素層には、底部および側部に接触子114を有する種々の構成要素101が混在する。
【0037】
あるいは、構成要素はその頂部に接触子を有してもよく(図2を参照)、これも同様に、構成要素層内で、底部および側部に接触子114を有する構成要素101と組み合わせることができる(図示せず)。
【0038】
図1Dは、上記方法の工程b)およびc)後の構造を示したものである。この場合、スクリーン印刷を使って構成要素101の周囲に液体誘電体104が注型されて、構成要素101が完全に密閉される。液体誘電体104は、熱可塑性材料またはポリイミドである。Sun Chemical社製のポリイミド、Sunflexは、この目的で特に効果的であることが実証されている。液体誘電体104は、構成要素101の周囲に注型された後、硬化して固体誘電体層106を形成する。これは、熱作用により達成される。硬化した状態において、当該誘電体は、表面110に垂直に150μmの厚さ115を有する。さらに、この誘電体は、実質的にキャリア103の長さ116全体に沿って表面110と平行に延長する。
【0039】
硬化後は、図1Eに示すように、上記方法の工程d)に基づいて別の層117すなわち導電層が積層される。この付加的な導電層は、金属箔または銅箔118の形態をしている。それに続く工程e)では、めっきしたブラインドビアホールにより、構成要素101が導電層106、117と、キャリア103と、銅箔118とに電気接続される(詳細は図示せず)。
【0040】
ここで説明する方法では、液体誘電体104ですべて形成された誘電体層106の使用を示しており、液体誘電体104は、当該誘電体が処理されるまで固体に変換されない。
【0041】
本方法の代替実施形態については、図2〜4に示した。本質的に同じ構成要素、特徴、および機能は、同じ参照番号を使って示している。ただし、図1および2に示した実施形態を区別するため、図1で使用されている個々の参照符号には文字が付加されている。図3および4で使用されている参照符号には、図1、3、および4で示した実施形態と区別するため100が加えられている。以下、主に図1に示した実施形態との違いに限定して説明を行う。同じ構成要素、特徴、および機能については、図1の実施形態に関する説明を参照する。
【0042】
図2に示す実施形態は、プリント基板のさらに別の層119aの形態をした第1の導電層108aによりプリント基板コア107aのキャリア103aが形成されるという点で、図1に示した実施形態と異なる。さらに、当該方法の工程a)において、構成要素101は構成要素101の接触子114が表面110と反対側の側部112aに配置されるよう、キャリア103a上に配置および固定される。そのため、構成要素101は、接触子114が上向きの状態でキャリア103a上に配置される(図2C〜2E)。
【0043】
図3および4は、さらに別の代替プリント基板コア207の製造について、基本的な図とより詳細な図を示したものである。キャリア203は、第1の導電層208として、金属箔209から構成された2つのグリッドにより形成され、分離層220により分離される。接着剤202は、各表面210上で、隣接したグリッドおよび分離層220から遠ざかる方向へ適用される(図4A)。図3Aに示すように、構成要素201は、工程a)に基づいてキャリア203および接着剤202の上に配置および固定される。これは図3Aに示したように、当該方法の工程b)およびc)の前に、双方の表面210上、すなわちキャリア203の正面側221および背面側222で行われる。
【0044】
図4に示すように、この工程は、複数の段階で行うこともできる。特にその場合は、構成要素201が正面側221に配置された後(図4B)、液体誘電体204が構成要素201の周囲に注型されることにより構成要素201が完全に密閉され、液体誘電体204が硬化して固体誘電体層206を形成する(図4C)。その後初めて、構成要素203が背面側222に配置され(図4D)、その周囲に液体誘電体204が注型されて硬化し、固体誘電体層207を形成する(図4E)。
【0045】
図3Cおよび4Fは、当該方法の工程d)後、すなわちさらに別の層205または導電層217が銅箔218の形態で積層された後のプリント基板コア207を示したものである。
【0046】
上記の教示に照らして、上述した例および実施例の様々な変更や変形が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。ここに開示されている例や実施例は、単に例示の目的で示されたものであり、他の代替の実施例は、ここに開示された特徴の一部または全部を含み得る。従って、そのような全ての変更や代替の実施例を本願発明の真の範囲内に包含し得ることを意図するものである。
【符号の説明】
【0047】
101 構成要素
102 接着剤
103 キャリア
104 液体誘電体
105 さらに別の導電層
106 誘電体層
107 プリント基板コア
108 第1の導電層
109 薄い金属箔
110 表面
111 周縁表面
112 側部
113 側部
114 接触子
115 厚さ
116 長さ
117 層
118 銅箔
119a さらに別の層
201 構成要素
202 接着剤
203 キャリア
204 液体誘電体
205 さらに別の導電層
206 誘電体層
207 プリント基板コア
208 第1の導電層
209 金属膜
210 表面
217 導電層
218 銅箔
220 分離層
221 正面側
222 背面側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの構成要素(101、201)を誘電体層(106、206)内に埋め込む方法であって、
a)前記少なくとも1つの構成要素(101、201)をキャリア(103、103a、203)上に配置および固定する工程と、
b)前記少なくとも1つの構成要素(101、201)の周囲に液体誘電体(104、204)を注型することにより、前記少なくとも1つの構成要素(101、201)を完全に密閉する工程と、
c)前記液体誘電体(104、204)を硬化させて固体誘電体層(106、206)を形成する工程と、
d)別の層(105、205)、特に導電層(117、217)を適用する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記誘電体が、硬化状態において、最小の厚さ10μm、最大の厚さ1000μm、および好適な厚さ(115、215)30〜250μmで形成されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法において、前記液体誘電体(104、204)が、熱可塑性材料および/または熱硬化性プラスチックおよび/またはポリイミドと、エポキシ樹脂と、ポリエステル樹脂と、ポリウレタンと、アミノ樹脂とからなる群から選択される元素で形成されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の方法において、キャリア(103、203)が、少なくとも1つの第1の導電層(108、208)、特に金属箔(109、209)により形成されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の方法において、キャリア(103a)が、少なくとも1つの導電層(108a)、特にプリント基板のさらに別の層(119a)により形成されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の方法において、さらに別の導電層(105、205)が、金属箔(109、209)、特に銅箔(118、218)、熱可塑性ポリマー箔、または金属クラッド熱硬化性プラスチックからなる群から選択される元素で形成されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも1つのさらに別の誘電体接着層が、前記第1の誘電体層の、前記導電層に面する側部に適用されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の方法において、周囲注型が、スクリーン印刷、ナイフコーティング、「カーテンコーティング」、積層工程、フレキソ印刷、またはエングレービングからなる群から選択される方法を使って行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも1つの側部(112、112a、113、212)に少なくとも1つの電気接点または熱的接点(114、214)を有した構成要素(101、201)が使用されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、頂部および/または底部および/または側方に少なくとも1つの電気接点または熱的接点(114、214)を有する少なくとも1つの構成要素(101、201)が、前記キャリア(103、203)上に配置されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9または10記載の方法において、底部および/または頂部および/または側部に1つの電気接点または熱的接点(114、214)を有し、さらに/または底部および/または頂部および/または側部に複数の電気接点(114、214)を有する構成要素(101、201)が、1つの構成要素層で組み合わされて提供されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の方法において、初期工程を工程a)前に有することを特徴とする方法であって、前記初期工程では、接着剤(102、202)が前記キャリア(103、203)に適用されてその上に前記構成要素(101、201)が配置および固定され、さらに/または前記接着剤(102、202)が構成要素(101、201)に適用され、その接着剤(102、202)を使って前記構成要素(101、201)が前記キャリア(103、203)に接合される、初期工程を工程a)前に有することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の方法において、前記少なくとも1つの構成要素(101、201)が、めっきしたブラインドビアホールまたは導電性接着剤により前記導電層(105、205、108、208)に電気的または熱的に接続されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の方法において、前記少なくとも1つの構成要素(101、201)は、電気的構成要素および/または、特にIC、IPD、ASIC、電力増幅器、RFID、またはフラット受動構成要素(flat passive components)からなる群から選択される構成要素により形成されることを特徴とする方法。
【請求項15】
液体誘電体ですべて形成された誘電体層の使用であって、前記液体誘電体は、当該誘電体が処理されるまで固体に変換されない、液体誘電体ですべて形成された誘電体層の使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【公開番号】特開2012−44163(P2012−44163A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162110(P2011−162110)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(511180237)ディコネックス アーゲー (1)
【Fターム(参考)】