説明

電気絶縁材料粘着テープ

【課題】太陽電池モジュールを構成する電気絶縁システムにおいて、効果的な絶縁システム材料(端面シール粘・接着テープ)の使用により、環境調和型を基本とし、省資源、省エネルギー、リサイクル性、長期信頼性が向上した太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】耐熱性、耐水、耐湿、耐加水分解性、耐紫外線性などの耐候性、全面耐電圧、誘電率、誘電正接、体積抵抗率、表面抵抗値などの電気絶縁特性、機械的強度、太陽電池作製時の実装作業性などに優れた電気・電子絶縁粘着テープ7を太陽電池モジュールの端面に用いる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は新しい時代の電気・電子機器絶縁システムに関するものである。新しい時代の機器絶縁の技術開発動向として、1)環境調和型(エコロジー)、2)省資源・省エネルギー、3)小型軽量化、4)高性能化、5)信頼性の向上、6)安全性の確保などが強く要望されている。上記の技術動向に着目し、本発明は、耐候性、耐熱性、耐湿性、電気的特性、機械的特性、実装作業性等に優れた太陽電池の構成材料である、シリコンモジュールとアルミ枠の端面シール用の粘着テープを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池モジュールは、太陽電池サブモジュールの裏面に、封止樹脂、例えば硬化剤を配合したエチレン−酢酸ビニル共重合体等のシートを載置し、その上に更に保護フィルムを載置し、封止樹脂シートと保護フィルムとを太陽電池サブモジュールの裏面に対し加熱圧着することにより行われていた。加熱圧着は、気泡の混入を防止するため等の理由により、通常真空ラミネート法により行われている。この加熱圧着過程で、封止樹脂は軟化、溶融を経て硬化する。
【0003】
[0002]の方法で製作したシリコンモジュールは、端面を粘着テープ等でシール、封止後、アルミ枠を取り付けて完成する。
【0004】
太陽電池は屋外使用の静止電気機器であり、長期の耐候性、耐熱性、耐湿性、電気的特性、機械的特性の維持が要求される。10年以上使用の太陽電池劣化要因の分析結果から、シリコンモジュールの端面シール材から水分の浸透により各構成材料の剥離、導体部分の腐蝕等により、発電効率が著しく低下することが指摘されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐候性、耐熱性、耐湿性、電気的特性、機械的特性などの保護性と同時に封止性に優れた、太陽電池構成材料であるシリコンモジュールの端面シール封止用の電気絶縁性粘着テープを提供するものである。特には、太陽電池モジュールを作製する際に、モジュールの端面より進入する光、熱、水分による劣化を防止すると共に、電気的、機械的特性を有効に保持し、且つ、包含シート内での剥離、破壊の生じない電気絶縁性粘着テープおよび、このテープを用いた太陽電池モジュールを提供するものである。
【0006】
本発明は掛る課題を解決するために次の手段を採用するものである。
(1)アクリル系あるいは、ポリエチレン系発泡体シートの両面に粘着剤を配置した両面粘着テープにおいて、発泡体基材に耐熱性の電気絶縁用フィルムを含有させる。
(2)前述の発泡体基材に配置する電気絶縁用フィルムは発泡体基材の内部、片面、あるいは、両面の何れでもよい。本フィルムの配置により、耐湿熱性電気絶縁特性(絶縁破壊電圧、全面耐電圧、表面抵抗、体積抵抗、絶縁抵抗等)が付加される。
(3)本絶縁フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、フッ素系フィルムあるいは、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化チタンからなる群より選ばれた1種ないしは1種以上の無機粒子を耐熱フィルムに蒸着して得られた金属蒸着フィルムの使用も有効である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の粘着テープの実施態様を図1、および図2に、この粘着テープを用いた太陽電池モジュールの実施態様を図3に示す。図1および、図2に示された粘着テープにおいて、発泡体基材の内部、外面片面、外面の両面のいずれかに電気絶縁用耐熱フィルムを配置することにより、本粘着テープ全体の電気絶縁機能が付加される。
【0008】
本発明の粘着テープの耐熱フィルムとして、フッ素フィルム(ポリクロロトリフルオロエチレン)、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム等を使用することにより、水蒸気透過率を0.5g/m・d以下にすることができる。
【実施例】
【0009】
本発明を下記実施例により、さらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0010】
積水化学工業株式会社製アクリル発泡体シート厚さ1.0mmの片面に、東洋インキ製造株式会社製ポリウレタン・イソシアネート系接着剤、
主剤(AD−502) 1000g
硬化剤(CAT−RT85) 70g
酢酸エチル 302.5g
溶液を調整した。本接着剤をアクリル発泡体にDry付着厚さが10μmになるように塗工後、80℃〜100℃にて3分間乾燥後、SKC株式会社の低オリゴマー耐熱ポリエステルフィルム(商品名:SR55)50μmと積層、接着させた。
【実施例2】
【0011】
実施例1で作製した発泡シートと耐熱フィルムより構成する複合基材の両面に東洋インキ製造株式会社製アクリル系粘着剤オリバインBPS5977をDry厚さが25μmとなるよう塗工し、本発明品の粘着テープを得た。得られた粘着テープは、耐熱性、耐湿性、耐候性、且つ、電気絶縁性、端面シール性、接着耐久性の良好なものであった。
【実施例3】
【0012】
実施例1に記載の低オリゴマー耐熱ポリエステルフィルム50μmの代替として、ダイキン工業株式会社フッ素樹脂フィルム、ポリフロンPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ネオフロンPFA(テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ネオフロンFEP(テトラフルオロエチレン〜ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ネオフロンETFE(テトラフルオロエチレン〜エチレン共重合体)、ネオフロンPVDF(ポリビニリデンフルオライド)、ネオフロンPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)の厚さ25μmないしは50μmを実施例1に記載の方法でアクリル発泡シートに積層、着させた。
【0013】
実施例3,実施例4で作製した複合基材の両面を実施例2と同じ方法で粘着剤を塗工し、本発明の粘着テープを得た。得られた粘着テープは、耐熱性、耐湿性、耐候性、電気絶縁性、端面シール性、接着耐久性等が良好なものであった。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、太陽電池のシステムにおいて、太陽電池サブモジュールの端面シールテープに耐熱性、耐湿性、耐候性、電気絶縁性等が優れた耐熱フィルムを配置することを特徴とした粘着テープを使用することにより、新しい時代の環境調和型、高性能、高信頼性太陽電池絶縁システムを提供することができる。さらに、従来の絶縁システムと比較した場合、著しく作業時間を短縮し得る特徴があり、コストパフォーマンスも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】
【図2】本発明品(粘着テープ)の断面構造図である。
【図3】本発明の粘着テープを用いた太陽電池モジュールの断面構造図である。
【符号の説明】
1 粘着剤
2 耐熱フィルム
3 発泡体
4 剥離紙
5 フロントシート
6 PVモジュール
7 シールテープ
8 アルミ枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂発泡シートを基材とし、この基材の片面または、両面に粘着剤を塗工した粘着テープにおいて、合成樹脂発泡シートに耐熱性電気絶縁フィルムを含有したことを特徴とする、太陽電池モジュール用端面シール粘着テープ。
【請求項2】
前記耐熱性電気絶縁フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用端面シール粘着テープ。
【請求項3】
前記耐熱性電気絶縁フィルムが、ポリエチレンナフタレートフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用端面シール粘着テープ。
【請求項4】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムから、オリゴマー含有量が0.8重量%以下であることを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池モジュール用端面シール粘着テープ。
【請求項5】
前記耐熱性電気絶縁フィルムが、フッ素樹脂系フィルムPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン〜ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン〜エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用端面シール粘着テープ。
【請求項6】
前記耐熱性電気絶縁フィルムが、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用端面シール粘着テープ。
【請求項7】
前記シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムの水蒸気透過率が0.2g/m・d以下であることを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池モジュール用端面シール粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−1707(P2012−1707A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154307(P2010−154307)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(302000221)株式会社 デンギケン (8)
【Fターム(参考)】