説明

電気装置の操作機構

【課題】操作つまみを簡単かつ正確に組み付けることができて組立作業性が良好な電気装置の操作機構を提供すること。
【解決手段】スイッチ素子2を実装した回路基板1を覆う上部ハウジング3と、スイッチ素子2のアクチュエータを駆動するための作動杆9を有して上部ハウジング3に揺動可能に取り付けられる操作つまみ5とを備え、支軸3cを軸穴5aにスナップ嵌合させることによって操作つまみ5が上部ハウジング3に連結される操作機構において、支軸3cの突出方向先端面に係合凸部3dを設けると共に、操作つまみ5に上端が軸穴5aに連通するガイド溝5bを設ける。操作つまみ5を組み付ける際に、ガイド溝5bに係合凸部3dを係合させることによって操作つまみ5を案内し、支軸3cが軸穴5a内へ嵌入する前に、係合凸部3dがガイド溝5bから離脱すると共に作動杆9がアクチュエータと係合するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみを揺動操作することにより、スイッチ素子等の電気部品のアクチュエータが駆動されるようになっている各種電気装置の操作機構に係り、特に、組立過程で操作つまみとアクチュエータとの位置合わせが目視により確認できない電気装置の操作機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車載用のパワーウィンドウ装置などでは、車両ドアの内側に配設された操作つまみを揺動操作することによって、操作つまみの下方に内蔵されたスイッチ素子をオン動作させるようにした操作機構が広く採用されている。従来より、この種の操作機構として、スイッチ素子が実装された回路基板を覆うハウジングに該スイッチ素子を臨出させる開口部を設け、この開口部内に操作つまみの作動杆を挿入してスイッチ素子のアクチュエータに係合させると共に、操作つまみを開口部の近傍でハウジングに揺動可能に軸支したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる構成において、作動杆は操作つまみの操作部から下向きに突設されており、開口部を蓋閉するように配置された操作つまみの操作部を揺動操作すると、開口部の下方で作動杆が傾動してスイッチ素子のアクチュエータを駆動するため、作動杆の傾倒方向に応じてスイッチ素子から所定の電気信号を出力させることができる。また、かかる構成においては、スイッチ素子が復帰ばねによってアクチュエータを初期位置へ自動復帰させるセルフリターン構造になっているため、操作つまみの操作部に対する揺動操作力が取り除かれると、傾倒姿勢の作動杆が復帰ばねの弾性力によって元の位置まで押し戻されるようになっている。
【0003】
このように概略構成された従来の操作機構を組み立てる際には、スイッチ素子を実装した回路基板を上下一対のハウジング内に位置決めして組み込んだ後、上側のハウジングに開設された開口部内に上方から操作つまみの作動杆を挿入していくことにより、作動杆の先端部をスイッチ素子のアクチュエータに係合させると共に、操作つまみの回動支点部を上側のハウジングにスナップ結合させることにより、操作つまみがハウジングに軸支された状態にしている。
【特許文献1】特開2630315号公報(第3−5頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の操作機構においては、操作つまみをハウジング組み付ける際に、ハウジングの開口部内へ操作つまみの作動杆を所定量挿入した段階で、この作動杆がスイッチ素子(電気部品)のアクチュエータとの係合位置に正確に配置されていなければならない。しかしながら、前述した従来の操作機構では、作動杆の挿入動作が開始されると、ハウジングの開口部内の様子が操作つまみの操作部に遮られて目視できないので、作動杆をアクチュエータに対して正確に位置合わせするためには専用の位置決め用治具が必要となる。その結果、組立作業者は位置決め用治具を使用しながら操作つまみを組み付けるという煩雑な作業を余儀なくされることになり、熟練も要求されることから、この操作つまみの組み付け作業が操作機構全体の組立作業性を損なう要因となっていた。特に、車載用パワーウィンドウ装置等の操作機構のように複数個の操作つまみが並設される場合には、位置決め用治具を使用した操作つまみの組み付け作業を複数回繰り返さねばならないので組立作業性はかなり悪くなってしまう。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作つまみを簡単かつ正確に組み付けることが可能な組立作業性に優れた電気装置の操作機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明では、アクチュエータおよび該アクチュエータを初期位置に自動復帰させる復帰ばねを有する電気部品と、この電気部品が実装された回路基板と、前記アクチュエータが配置される内部空間を臨む開口部を有して前記回路基板を覆うハウジングと、前記アクチュエータに係合する作動杆を有すると共に前記ハウジングに揺動可能に取り付けられて前記開口部を覆う操作つまみとを備え、前記ハウジングと前記操作つまみはいずれか一方に設けられた支軸を他方に設けられた軸穴にスナップ嵌合させることによって前記開口部の側方で連結されており、前記操作つまみを前記ハウジングに対して可動操作することによって前記作動杆が前記アクチュエータを駆動する電気装置の操作機構であって、前記ハウジングと前記操作つまみのうち、いずれか一方の部材に直線状に延びて一端が該部材の縁部に達する溝状またはスリット状のガイド部を設けると共に、いずれか他方の部材に前記ガイド部と係脱可能な係合凸部を設け、前記操作つまみを前記ハウジングに取り付ける組立過程で、前記ガイド部に前記係合凸部を係合させることによって前記操作つまみが所望の取付位置へ向かって案内されるようになし、かつ、前記支軸が前記軸穴にスナップ嵌合されたときに、前記係合凸部が前記ガイド部から離脱すると共に前記作動杆が前記アクチュエータと係合するように構成した。
【0007】
このように構成された電気装置の操作機構では、操作つまみをハウジングに取り付ける際に、ガイド部と係合凸部とを係合させた状態で操作つまみをハウジング側へ押し込んでいくと、この操作つまみが所望の取付位置へ向かって案内されるようになっているため、ハウジングの開口部内の様子が目視できなくても電気部品のアクチュエータに対して作動杆を正確に位置合わせすることができると共に、支軸と軸穴との位置ずれを回避できることから両者のスナップ嵌合が確実に行える。したがって、位置決め用治具を使用する必要がなくなって組立作業者の熟練も不要となり、操作つまみを簡単かつ正確にハウジングに組み付けることができて組立作業性が大幅に向上する。また、操作つまみの組み付けが完了した段階では、係合凸部がガイド部から離脱しているので、操作つまみの揺動操作時に係合凸部とガイド部とが干渉して動作不良を招来する虞はない。
【0008】
上記の構成において、軸穴を有する部材に設けられたガイド部の他端が該軸穴に連通していると共に、支軸を有する部材に設けられた係合凸部が該支軸の突出方向先端面に突設されていると、ガイド部から離脱した係合凸部を退避させておくための逃げスペースを別途設ける必要がなくなるため、構造を簡素化できて好ましい。ただし、ハウジングと操作つまみのうち、軸穴を有する部材に溝状のガイド部を該軸穴から離れた位置に設けると共に該ガイド部の他端に連通する凹段部を設け、かつ、支軸を有する部材に係合凸部を該支軸から離れた位置に設け、支軸が軸穴にスナップ嵌合されたときに、ガイド部から離脱した係合凸部を凹段部内へ逃がすように構成しても良い。
【0009】
また、上記の構成において、係合凸部がガイド部から離脱する前に作動杆がアクチュエータと係合するように構成してあると、係合凸部がガイド部から離脱した時点では作動杆とアクチュエータとの係合が確実なものとなっているため、操作つまみの組み付け不良を防止する効果が高まって好ましい。
【0010】
また、上記の構成において、電気部品がスイッチ素子である場合には、操作つまみの揺動操作に伴って傾動する作動杆によってスイッチ素子のアクチュエータが駆動されることになるので、操作つまみの可動領域の占有面積を抑えた小型化に好適なスイッチング操作機構が得られる。ただし、電気部品はスイッチ素子に特定されず可変抵抗器等であっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明による電気装置の操作機構は、操作つまみをハウジングに取り付ける際に、ガイド部と係合凸部とを係合させた状態で操作つまみをハウジング側へ押し込んでいくと、この操作つまみが所望の取付位置へ向かって案内されるようになっているため、ハウジングの開口部内の様子が目視できなくても電気部品のアクチュエータに対して作動杆を正確に位置合わせすることができると共に、支軸と軸穴との位置ずれを回避できることから両者のスナップ嵌合が確実に行える。したがって、位置決め用治具を使用する必要がなくなって組立作業者の熟練も不要となり、操作つまみを簡単かつ正確にハウジングに組み付けることができて組立作業性が大幅に向上する。また、操作つまみの組み付けが完了した段階では、係合凸部がガイド部から離脱しているので、操作つまみの揺動操作時に係合凸部とガイド部とが干渉して動作不良を招来する虞はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係るスイッチング操作機構の分解斜視図、図2は該操作機構の操作つまみ組立過程における縦断面図、図3は該操作機構の組立完了後の縦断面図、図4は該操作機構の操作つまみ組立作業を示す要部説明図である。
【0013】
これらの図に示すスイッチング操作機構は、例えば車載用パワーウィンドウ装置の操作スイッチとして使用されるものである。このスイッチング操作機構は、回路基板1上に実装されたスイッチ素子(電気部品)2と、互いに一体化されて外殻を形成する上部ハウジング3および下部ハウジング4と、上部ハウジング3に揺動可能に取り付けられた操作つまみ5と、下部ハウジング4の一側部に固設された外部接続端子6群とによって主に構成されている。スイッチ素子2を実装した回路基板1は上部ハウジング3と下部ハウジング4からなる外殻の内部空間に配置されており、外部接続端子6群を介して回路基板1が図示せぬ外部回路と電気的に接続されている。回路基板1を覆う上部ハウジング3にはスイッチ素子2の上面と対向する位置に開口部7が開設されており、この開口部7を画成している壁部3a,3bの各外壁面に断面円形の支軸3c(ただし壁部3b側の支軸3cは図示せず)が突設されている。また、これら支軸3cの突出方向先端面には上下方向へ延びる係合凸部3dが形成されている。操作つまみ5は、開口部7を蓋閉するように配置される操作部8と、この操作部8に垂設された作動杆9とを一体成形したモールド品であり、操作部8の相対向する一対の側壁8a,8bにそれぞれ軸穴5aおよびガイド溝5bが設けられている。そして、上部ハウジング3の壁部3a,3bに突設された支軸3cを対応する軸穴5aにスナップ嵌合させることにより、操作つまみ5は上部ハウジング3に回動自在に支持されて揺動操作可能となっている。
【0014】
図1に示すように、操作つまみ5の作動杆9は上部ハウジング3に覆われた内部空間でスイッチ素子2上に配置されており、非操作時には図3に示すように、作動杆9の先端部がスイッチ素子2の一対のアクチュエータ10,11間に挟み込まれている。操作つまみ5の軸穴5aは円形の貫通孔として形成されており、この軸穴5aの内径は支軸3cの外径と略同等に設定されている。操作つまみ5のガイド溝5bは上下方向へ直線状に延びており、その幅寸法は係合凸部3dの幅寸法と略同等に設定され、その深さ寸法は係合凸部3dの高さ寸法に比べて小さく(浅く)設定されている。また、ガイド溝5bの一端は側壁8aの下縁部まで達しており、ガイド溝5bの他端は軸穴5aに連通している。このように相対向する一対の側壁8a,8bに設けられた各ガイド溝5bは、操作つまみ5の組み付け作業時に各係合凸部3dを挿入して係合させつつ摺動させるためのものであり、両ガイド溝5bの位置や延伸方向が両係合凸部3dによって規定された状態で、操作つまみ5が所望の取付位置へ向かって案内されるようになっている。
【0015】
スイッチ素子2の構成について簡単に説明すると、このスイッチ素子2は筐体であるケース12に固定接点部材13群が配設されており、これら固定接点部材13群が回路基板1の配線パターンに半田付けされている。ケース12の内部には、摺動部10aや被押圧部10bを有すると共に上端面が円筒面状に形成されたアクチュエータ10と、このアクチュエータ10と同形状で摺動部11aや被押圧部11bを有するアクチュエータ11と、アクチュエータ10の摺動部10aが搭載される揺動可能な導体板14と、アクチュエータ11の摺動部11aが搭載される揺動可能な導体板(図示せず)と、摺動部10a,11aを下向きに弾性付勢してアクチュエータ10,11の復帰ばねとして機能する板ばね部材15とが収容されており、ケース12の上端部には金属板製のカバー部材16が取り付けられている。また、カバー部材16の上方にはアクチュエータ10,11の被押圧部10b,11bが相対向する起立姿勢で突出しており、これら被押圧部10b,11bの間に操作つまみ5の作動杆9の先端部が配置されるようになっている。なお、このスイッチ素子2は、導体板14(または図示せぬ導体板)が揺動してケース12内での姿勢を変化させると所定の固定接点部材13と接離し、これによって各種の電気信号が出力されるようになっている。
【0016】
また、回路基板1は下部ハウジング4の位置決めピン4aによって位置決めされており、上部ハウジング3と下部ハウジング4どうしも互いに位置決めされた状態で一体化されているので、回路基板1上の所定位置に実装されているスイッチ素子2と上部ハウジング3の係合凸部3dとの相対位置は高精度に規定されている。
【0017】
このように構成されたスイッチング操作機構を組み立てる際には、まず、スイッチ素子2を実装した回路基板1を下部ハウジング4に組み込んだ後、この下部ハウジング4の側面のスナップ爪4bを上部ハウジング3の側面の係止孔3eにスナップ嵌合させる。これにより両ハウジング3,4が一体化され、回路基板1を覆う上部ハウジング3の開口部7がスイッチ素子2の真上に位置する。そして、次なる操作つまみ5の組み付け作業で、作動杆9を上方から開口部7内へ挿入すると共に、操作つまみ5のガイド溝5bを上部ハウジング3の係合凸部3dに位置合わせして係合させ、そのまま操作つまみ5を下方へ押し込んで軸穴5a内に支軸3cをスナップ嵌合させる。
【0018】
かかる操作つまみ5の組み付け作業について詳しく説明すると、まず、開口部7内へ作動杆9を挿入してから、図4(a)に示すように、相対向する一対のガイド溝5b内へ対応する係合凸部3dが挿入されるように操作つまみ5と上部ハウジング3とを位置合わせする。この位置合わせ作業は、ガイド溝5bが側壁8a(または8b)の下縁部まで延びているため容易に行える。しかる後、操作つまみ5を下方へ押し込むと、係合凸部3dに位置決めされたガイド溝5b内をその延伸方向に沿って該係合凸部3dが相対的に摺動するため、操作つまみ5は上部ハウジング3との係合を保ったまま下方へ真っすぐに移動していき、これにより操作つまみ5を所望の取付位置へ向かって移動させることができる。なお、前述したように、ガイド溝5bの深さ寸法は係合凸部3dの高さ寸法に比べて浅く設定されているので、操作つまみ5の該移動に伴ってガイド溝5bの底面が係合凸部3dに押されることになり、それに伴って上部ハウジング3の壁部3a,3bを内側に撓ませつつ、および/または操作つまみ5の側壁8a,8bを外側に撓ませつつ、係合凸部3dがガイド溝5b内に挿入される。そして、操作つまみ5が下方へ所定量移動した時点で、作動杆9の先端部がアクチュエータ10,11の被押圧部10b,11b間に到達し、次いで係合凸部3dがガイド溝5b内から離脱して、壁部3a,3bの撓み力および/または側壁8a,8bの撓み力が開放され、図4(b)に示すように支軸3cが軸穴5a内にスナップ嵌合されると共に、作動杆9の先端部が被押圧部10b,11b間へ深く入り込み、操作つまみ5の組み付け作業が完了する。なお、スイッチ素子2のアクチュエータ10,11には板ばね部材15の弾性力が付与されているので、図2の状態から図3の状態へ移行するときには、作動杆9は弾性力に抗して被押圧部10b,11bを移動させつつ両者間へ圧入されることになり、それゆえ組み付け作業が完了すると、作動杆9は被押圧部10b,11bに弾性的に挟持された状態になってガタが発生しないようになっている。
【0019】
また、前述したようにスイッチ素子2と上部ハウジング3の係合凸部3dとの相対位置が高精度に規定されているため、アクチュエータ10,11と係合凸部3dとの相対位置は高精度に規定されており、かつ、アクチュエータ10,11の上端面が円筒面状に形成されて両者間に作動杆9の先端部が挿入しやすくなっていることから、上部ハウジング3に対する操作つまみ5の位置精度に多少のバラツキがあったとしても、係合凸部3dに案内されて組み付けられる操作つまみ5は作動杆9の先端部をアクチュエータ10,11の被押圧部10b,11bに確実に係合させることができる。なお、本実施形態例においては、回路基板1を下部ハウジング4に位置決めすると共に、この下部ハウジング4を係合凸部3dを設けた上部ハウジング3と位置決めしているが、上部ハウジング3に回路基板1を位置決めするようにしても良い。
【0020】
次に、このスイッチング操作機構の動作について簡単に説明する。図3に示す非操作状態において、支軸3cを回動中心として操作つまみ5を例えば図示時計回りに回転させる揺動操作を行うと、作動杆9が傾倒してその先端部が図示左方へ移動するため、被押圧部10bが作動杆9に押し込まれて図示左方へ傾き、それに伴いアクチュエータ10の摺動部10aが導体板14の傾斜面に沿って斜め上方へ摺動していく。その結果、板ばね部材15がアクチュエータ10に押し撓められると共に、摺動部10aが導体板14の揺動支点を乗り越えた時点で該導体板14が回転駆動されてケース12内で姿勢を変化させるため、導体板14と固定接点部材13群との導通関係が変化して所定の電気信号が出力される。また、この状態で操作つまみ5に対する揺動操作力が取り除かれると、板ばね部材15がアクチュエータ10を押し戻して摺動部10aは導体板14上を逆向きに摺動するので、導体板14が逆向きに回転駆動されて図3に示す元の姿勢に復帰すると共に、傾倒姿勢の作動杆9が被押圧部10bを介して板ばね部材15に付勢されて図3に示す元の位置まで押し戻されるようになっている。
【0021】
また、操作つまみ5を図3の反時計回りに回転させる揺動操作を行った場合には、作動杆9の先端部が被押圧部11bを押し込むため、アクチュエータ11の摺動部11aが図示せぬ導体板上を摺動することになるが、その動作は上記の動作と基本的に同じであるため説明は省略する。
【0022】
このように本実施形態例に係るスイッチング操作機構は、操作つまみ5の揺動操作に伴って傾動する作動杆9によりスイッチ素子2のアクチュエータ10,11が駆動されるというものなので、操作つまみ5の可動領域の占有面積を抑えた小型化に好適なスイッチング操作機構となっている。そして、このスイッチング操作機構の組立過程で操作つまみ5を上部ハウジング3に取り付ける際には、ガイド溝5bと係合凸部3dとを係合させた状態で操作つまみ5を下方へ押し込んでいけば、この操作つまみ5が所望の取付位置へ向かって案内されるようになっているため、開口部7内の様子が目視できなくてもスイッチ素子2のアクチュエータ10,11に対して作動杆9を正確に位置合わせすることができると共に、支軸3cと軸穴5aとの位置ずれを回避できることから両者3c,5aのスナップ嵌合が確実に行える。したがって、位置決め用治具を使用する必要がなくなって組立作業者の熟練も不要となり、操作つまみ5を簡単かつ正確に組み付けることができて組立作業性が大幅に向上する。しかも、操作つまみ5の組み付けが完了した段階では、係合凸部3dがガイド溝5bから離脱しているので、操作つまみ5の揺動操作時に係合凸部3dとガイド溝5bとが干渉して動作不良を招来する虞はない。
【0023】
また、本実施形態例では、ガイド溝5bの上端が軸穴5aに連通していると共に、係合凸部3dが支軸3cの突出方向先端面に突設されているため、ガイド溝5bから離脱した係合凸部3d用の逃げスペース、つまり組み付けが完了した操作つまみ5の動作が係合凸部3dによって阻害されないように該係合凸部3dを退避させておくためのスペースを別途設ける必要がない。それゆえ、極めて簡素な構造で組み付け時の操作つまみ5をガイドすることができ、スイッチング操作機構全体の小型化や低コスト化に好適である。
【0024】
また図2に示すように、本実施形態例では、操作つまみ5を上部ハウジング3に取り付ける際に、係合凸部3dがガイド溝5bから離脱する前に作動杆9がアクチュエータ10,11と係合するように構成してあるので、係合凸部3dがガイド溝5bから離脱した時点では、作動杆9とアクチュエータ10,11との係合が確実なものとなっており、それゆえ操作つまみ5の組み付け不良を防止する効果が高まっている。ただし、係合凸部3dがガイド溝5bから離脱した直後に作動杆9がアクチュエータ10,11と係合するように構成しても良い。
【0025】
なお、本実施形態例では、操作つまみ5を組み付ける際に作動杆9が確実に挿入できるようにするため、アクチュエータ10,11の上端面を円筒面状に形成しているが、該上端面を傾斜面等の他の形状にしても同様の効果を得ることはできる。また、凹凸関係を逆にし、ハウジング側に軸穴およびガイド溝を設け、操作つまみ側に支軸および係合凸部を設けることも可能であり、その場合、ガイド溝をハウジングの上端部に至るように設ければ良い。また、ガイド溝の代わりにスリット状のガイド部を設け、このガイド部を係合凸部と係合させることによって組み付け時の操作つまみを案内するようにしても良い。また、軸穴を貫通孔ではなく有底の丸穴状に形成することも可能である。さらに、支軸にガイド溝を設け、軸穴を設けた部材に係合凸部を設けることも可能である。
【0026】
また、上記実施形態例においては、ガイド溝5bの深さ寸法が係合凸部3dの高さ寸法に比べて浅く設定されているが、ガイド溝5bを係合凸部3dよりも深く設定することも可能である。このようにした場合には、操作つまみ5を上部ハウジング3に組み付ける際に、係合凸部3dはガイド溝5bの底面に接触せず、操作つまみ5の側壁8a,8bの内面が係合凸部3dの両側に位置する支軸3cの端面に当接しつつ同様に組み込まれるが、ガイド溝5bが係合凸部3dの高さ方向の逃げ部として機能するので、壁部3a,3bおよび/または側壁8a,8bの撓み量を小さくすることができ、よって操作つまみ5の組み付け作業がより一層容易になる。
【0027】
図5は本発明の第2実施形態例に係るスイッチング操作機構の要部を示す分解斜視図であり、図1〜図3と対応する部分に同一符号を付すことにより重複する説明は省略する。
【0028】
本実施形態例では、支軸3cが突設されている上部ハウジング3の相対向する壁部3a,3bに、該支軸3cから上方に離れて位置する一対の平行な係合凸部3dがそれぞれ設けられている(ただし壁部3a側の支軸3cおよび係合凸部3dは図示せず)と共に、軸穴5aが穿設されている操作つまみ5の相対向する側壁8a,8bに、該軸穴5aから離れて位置する一対のガイド溝5bと各ガイド溝5bの上端に連通する扇状の凹段部5cとがそれぞれ設けられている(ただし側壁8b側の軸穴5aとガイド溝5bおよび凹段部5cは図示せず)。凹段部5cは操作つまみ5の組み付け後における係合凸部3dの逃げ部となるものであり、各ガイド溝5bは操作つまみ5を上部ハウジング3へ組み付ける際に各係合凸部3dを挿入してガイドさせるためのものである。そして、支軸3cが操作つまみ5の側壁8a,8bに当接することによって壁部3a,3bまたは側壁8a,8bが撓むことになるが、係合凸部3dとガイド溝5bの寸法はこの撓みによってガイドが外れないように設定されている。このように一対の平行な係合凸部3dがそれぞれ対応するガイド溝5bと係合できるようにしてあると、組み付け時の操作つまみ5の姿勢が極めて安定したものとなるため、操作つまみ5の傾きを気にすることなく押し込んでも確実に所望の取付位置へ移動させることができる。また、支軸3cが軸穴5aにスナップ嵌合されて操作つまみ5の組み付けが完了する直前に、各係合凸部3dが各ガイド溝5bを離脱して凹段部5c内へ入り込むように構成されているため、操作つまみ5の揺動操作時に各係合凸部3dは扇状の凹段部5c内を移動することができ、該操作つまみ5の動作に悪影響を及ぼさないように配慮されている。
【0029】
なお、前述した第1実施形態例においては、操作つまみ5の組み付け時のガイド工程で支軸3cの高さの範囲に係合凸部3dとガイド溝5bをオーバーラップさせて係合することができるので、係合凸部3dの高さ寸法を大きくしなくても確実にガイドすることができる。これに対して第2実施形態例においては、壁部3a,3bまたは側壁8a,8bが撓んだ場合にも係合凸部3dとガイド溝5bのガイドが外れないように設定されているため、構造的に第1実施形態例に比べて係合凸部3dの高さ寸法を大きく(高く)し、ガイド溝5bの深さ寸法を大きく(深く)する必要がある。また、第2実施形態例においては、支軸3cから上方に離れた位置に係合凸部3dを設ける必要があるため、第1実施形態例に比べると寸法上の制約が大きくなるが、スナップ部分に突起を設けられない場合には有効となる。
【0030】
また、図5に示す第2実施形態例においても、凹凸関係を逆にし、ハウジング側に軸穴とガイド溝および凹段部を設け、操作つまみ側に支軸および係合凸部を設けても良い。
【0031】
また、本発明は、可変抵抗器等のスイッチ素子以外の電気部品のアクチュエータを作動杆で駆動する機構にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るスイッチング操作機構の分解斜視図である。
【図2】該操作機構の操作つまみ組立過程における縦断面図である。
【図3】該操作機構の組立完了後の縦断面図である。
【図4】該操作機構の操作つまみ組立作業を示す要部説明図
【図5】本発明の第2実施形態例に係るスイッチング操作機構の要部を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 回路基板
2 スイッチ素子
3 上部ハウジング
3c 支軸
3d 係合凸部
4 下部ハウジング
5 操作つまみ
5a 軸穴
5b ガイド溝(ガイド部)
5c 凹段部
7 開口部
8 操作部
9 作動杆
10,11 アクチュエータ
10b,11b 被押圧部
15 板ばね部材(復帰ばね)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータおよび該アクチュエータを初期位置に自動復帰させる復帰ばねを有する電気部品と、この電気部品が実装された回路基板と、前記アクチュエータが配置される内部空間を臨む開口部を有して前記回路基板を覆うハウジングと、前記アクチュエータに係合する作動杆を有すると共に前記ハウジングに揺動可能に取り付けられて前記開口部を覆う操作つまみとを備え、前記ハウジングと前記操作つまみはいずれか一方に設けられた支軸を他方に設けられた軸穴にスナップ嵌合させることによって前記開口部の側方で連結されており、前記操作つまみを前記ハウジングに対して可動操作することによって前記作動杆が前記アクチュエータを駆動する電気装置の操作機構であって、
前記ハウジングと前記操作つまみのうち、いずれか一方の部材に直線状に延びて一端が該部材の縁部に達する溝状またはスリット状のガイド部を設けると共に、いずれか他方の部材に前記ガイド部と係脱可能な係合凸部を設け、前記操作つまみを前記ハウジングに取り付ける組立過程で、前記ガイド部に前記係合凸部を係合させることによって前記操作つまみが所望の取付位置へ向かって案内されるようになし、かつ、前記支軸が前記軸穴にスナップ嵌合されたときに、前記係合凸部が前記ガイド部から離脱すると共に前記作動杆が前記アクチュエータと係合するように構成したことを特徴とする電気装置の操作機構。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記軸穴を有する部材に設けられた前記ガイド部の他端が該軸穴に連通していると共に、前記支軸を有する部材に設けられた前記係合凸部が該支軸の突出方向先端面に突設されていることを特徴とする電気装置の操作機構。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記ハウジングと前記操作つまみのうち、前記軸穴を有する部材に溝状の前記ガイド部を該軸穴から離れた位置に設けると共に該ガイド部の他端に連通する凹段部を設け、かつ、前記支軸を有する部材に前記係合凸部を該支軸から離れた位置に設け、前記支軸が前記軸穴にスナップ嵌合されたときに、前記ガイド部から離脱した前記係合凸部を前記凹段部内へ逃がすように構成したことを特徴とする電気装置の操作機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記係合凸部が前記ガイド部から離脱する前に前記作動杆が前記アクチュエータと係合するように構成したことを特徴とする電気装置の操作機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の記載において、前記電気部品がスイッチ素子であることを特徴とする電気装置の操作機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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