説明

電気調理器

【課題】商用電源の中性線欠損や商用配線の誤配線等により、商用電源の電圧が異常に上昇した場合、調理手段が異常過熱を引き起こしてしまうという課題を有していた。
【解決手段】商用電源の電圧を測定する電圧検知手段14と、第1の閾値を設定する第1の閾値設定手段16と、第1の閾値より低く設定された第2の閾値を設定する第2の閾値設定手段18と、電圧検知手段の検知電圧値と第1の閾値を比較する第1の比較手段と、第1の比較手段の出力の入力の帰還により実現され電圧検知手段の検知電圧値と第2の閾値を比較する第2の比較手段19と、第1の比較手段における比較において電圧検知手段14における検知電圧値が第1の閾値以上となった場合に調理手段への通電を禁止し、第2の比較手段における比較において電圧検知手段における検知電圧値が第2の閾値以下となった場合に調理手段への通電を許可する通電禁止手段17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源を動力源とし、調理物の加熱等を行う電気調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気調理器は、調理物の温度等を検出し、調理手段の通電を制御していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された、従来の電気調理器(電気湯沸かし器)を示すものである。図3に示すように、水1と、水1を収容する容器2、容器2を加熱する加熱手段3と、容器2内の水1の水温を検知する水温検知手段4と、から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3362282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の構成では、商用電源の中性線欠損や商用配線の誤配線等により、商用電源の電圧が異常に上昇した場合、加熱手段3の発熱量が異常に増加してしまい、容器2に収容された水1が勢いよく噴出してしまうという課題を有していた。
【0006】
また、容器2に収容された水1が勢いよく噴出してから、使用者は、はじめて異常に気づくという課題も有していた。
【0007】
これら課題は、電気湯沸かし器に限らず、加熱手段や回転手段を持つ電気調理器については同様であり、商用電源の電圧が異常に上昇した場合、異常加熱や異常回転が発生し、かつその後、異常加熱や異常回転により引き起こされる異常現象や異常音で、はじめて使用者が、異常が発生していることに気づくという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、商用電源の中性線欠損や商用配線の誤配線等により、商用電源の電圧が異常に上昇した場合でも、調理手段の異常過熱や異常回転を防止すると同時に、使用者に商用電源の電圧が異常に上昇したことを、報知することのできる電気調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気調理器は、調理手段と、商用電源に接続され調理手段への通電を制御する通電制御手段と、商用電源の電圧を測定する電圧検知手段と、第1の閾値を設定する第1の閾値設定手段と、第1の閾値より低く設定された第2の閾値を設定する第2の閾値設定手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第1の閾値を比較する第1の比較手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第2の閾値を比較する第2の比較手段と、第1の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第1の閾値以上となった場合に調理手段への通電を禁止し、第2の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第2の閾値以下となった場合に調理手段への通電を許可する通電禁止手段と、計数手段と、通電禁止手段が通電を禁止するごとに計数手段に1を加算する加算手段と、第3の閾値を設定する第3の閾値設定手段と、計数手段の計数値と第3の閾値を比較する第3の比較手段と、第3の比較手段において計数手段の計数値が第3の閾値
に到達したことを報知する報知手段より構成したものである。
【0010】
これにより、商用電源の電圧が第1の閾値以上となった場合、調理手段への通電を禁止し、調理手段の異常過熱や異常回転を防止することができるとともに、計数手段が、上記による通電禁止の回数を計数し、その値が、第3の閾値以上となった時、報知手段により、使用者に対して、商用電源の電圧が異常に上昇したことを、知らせることができるものである。
【0011】
又、本発明の電気調理器は、商用電源の電圧を測定する電圧検知手段と、第1の閾値を設定する第1の閾値設定手段と、第1の閾値より低く設定された第2の閾値を設定する第2の閾値設定手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第1の閾値を比較する第1の比較手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第2の閾値を比較する第2の比較手段と、第1の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第1の閾値以上となった場合に調理手段への通電を禁止し、第2の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第2の閾値以下となった場合に調理手段への通電を許可する通電禁止手段と、通電禁止手段が調理手段への通電を禁止している累積時間を計時する計時手段と、第3の閾値を設定する第3の閾値設定手段と、計時手段の計時時間値と第3の閾値を比較する第3の比較手段と、第3の比較手段において計時手段の計時時間値が第3の閾値の到達したことを報知する報知手段より構成したものである。
【0012】
これにより、商用電源の電圧が第1の閾値以上となった場合、調理手段への通電を禁止し、調理手段の異常過熱や異常回転を防止することができるとともに、計時手段が、上記による通電禁止の累積時間値を計時し、その値が、第3の閾値以上となった時、報知手段により、使用者に対して、商用電源の電圧が異常に上昇したことを、知らせることができるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気調理器は、中性線欠損や誤配線により、商用電源の電圧が閾値以上となった場合、調理手段への通電を禁止することにより、調理手段の異常過熱や異常回転を防止することができるとともに、使用者に対して、商用電源の電圧が異常に上昇したことを、知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における電気調理器の一部をブロック図化したシステム構成図
【図2】本発明の実施の形態2における電気調理器の一部をブロック図化したシステム構成図
【図3】従来の電気調理器(電気湯沸かし器)の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、調理手段と、商用電源に接続され調理手段への通電を制御する通電制御手段と、商用電源の電圧を測定する電圧検知手段と、第1の閾値を設定する第1の閾値設定手段と、第1の閾値より低く設定された第2の閾値を設定する第2の閾値設定手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第1の閾値を比較する第1の比較手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第2の閾値を比較する第2の比較手段と、第1の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第1の閾値以上となった場合に調理手段への通電を禁止し、第2の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第2の閾値以下となった場合に調理手段への通電を許可する通電禁止手段と、計数手段と、通電禁止手段が通電を禁止するごとに計数手段に1を加算する加算手段と、第3の閾値を設定する第3の閾値設定手段と、計数手段の計数値と第3の閾値を比較する第3の比較手段と、第3の比較
手段において計数手段の計数値が第3の閾値に到達したことを報知する報知手段とで構成したものである。
【0016】
これによって、第1の比較手段における比較において、商用電源の電圧が第1の閾値以上となった場合に、通電禁止手段が調理手段への通電を禁止し、第2の比較手段における比較において商用電源の電圧が第1の閾値以下に設定されている第2の閾値以下となった場合に、通電禁止手段が調理手段への通電を許可することにより、商用電源の電圧が異常に上昇したことによる、調理手段の異常過熱や異常回転を防止することができるとともに、商用電源の電圧値が第1の閾値近傍で微変動を続けた場合でも、調理手段への頻繁な通電の禁止とその解除(チャタリング)が行われることはない。又、計数手段が通電禁止の回数を計数し、その値が、第3の閾値に到達した時、報知手段が、使用者に対して、商用電源の電圧が異常に上昇したことを、報知することができ、中性線欠損や誤配線により、商用電源の電圧が閾値以上となった場合、調理手段への通電を禁止することにより、調理手段の異常過熱や異常回転を防止することができるとともに、使用者に対して、商用電源の電圧が異常に上昇したことを、知らせることができる。
【0017】
第2の発明は、調理手段と、商用電源に接続され調理手段への通電を制御する通電制御手段と、商用電源の電圧を測定する電圧検知手段と、第1の閾値を設定する第1の閾値設定手段と、第1の閾値より低く設定された第2の閾値を設定する第2の閾値設定手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第1の閾値を比較する第1の比較手段と、電圧検知手段の検知電圧値と第2の閾値を比較する第2の比較手段と、第1の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第1の閾値以上となった場合に調理手段への通電を禁止し、第2の比較手段における比較において電圧検知手段の検知電圧値が第2の閾値以下となった場合に調理手段への通電を許可する通電禁止手段と、通電禁止手段が調理手段への通電を禁止している累積時間を計時する計時手段と、第3の閾値を設定する第3の閾値設定手段と、計時手段の計時時間値と第3の閾値を比較する第3の比較手段と、第3の比較手段において計時手段の計時時間値が第3の閾値に到達したことを報知する報知手段とで構成したものである。
【0018】
これによって、第1の比較手段における比較において、商用電源の電圧が第1の閾値以上となった場合に、通電禁止手段が調理手段への通電を禁止し、第2の比較手段における比較において商用電源の電圧が第1の閾値以下に設定されている第2の閾値以下となった場合に、通電禁止手段が調理手段への通電を許可することにより、商用電源の電圧が異常に上昇したことによる、調理手段の異常過熱や異常回転を防止することができるとともに、商用電源の電圧値が第1の閾値近傍で微変動を続けた場合でも、調理手段への頻繁な通電の禁止とその解除(チャタリング)が行われることはない。又、計時手段が通電禁止の累積時間を計時し、その値が、第3の閾値に到達した時、報知手段が、使用者に対して、商用電源の電圧が異常に上昇したことを、報知することができ、中性線欠損や誤配線により、商用電源の電圧が閾値以上となった場合、調理手段への通電を禁止することにより、調理手段の異常過熱や異常回転を防止することができるとともに、使用者に対して、商用電源の電圧が異常に上昇したことを、知らせることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態にについて、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気調理器の一部をブロック図化したシステム構成図である。
【0021】
図1において、調理手段(ここではヒータ)10は、第1のリレー接点111とその第
1のリレーコイル112、調理物の温度や利用者の操作に従いこの第1のリレーコイル112への通電を制御する第1のリレーコイル通電制御手段113により構成された、通電制御手段11により、通電を制御される。
【0022】
第1のダイオード121は、商用電源13を整流し、コンデンサ122は第1のダイオード121により整流された電流を平滑化する。
【0023】
電源回路12は、コンデンサ122により平滑化された電流より、回路各部分の電源となる直流電圧を作り出す。
【0024】
コンデンサ122に並列に接続された第1の抵抗141と第2の抵抗142の直列接続は、電圧検知手段14を構成し、その分圧値は、第1の比較手段(ここではコンパレータ)15のマイナス入力端子の入力に接続されている。
【0025】
電源回路12の出力間に接続された、第3の抵抗161と第4の抵抗162の直列接続は、第1の閾値設定手段16を構成し、その分圧値は第1の閾値として、第1の比較手段15のもう1つのプラス入力端子の入力に接続されている。
【0026】
通電禁止手段17は、第5の抵抗171、第6の抵抗172と、これらを介して、第1の比較手段15の出力により駆動されるトランジスタ173と、このトランジスタ173により通電を制御される第2のリレーコイル174と、このリレーコイル174により駆動され調理手段10への電流供給を制御するように接続されている第2のリレー接点175により構成されている。
【0027】
第2のダイオード181と第7の抵抗182の直列接続は、第3の抵抗161と第4の抵抗162の接続点から、第1の比較手段15の出力にむけて電流を導通させる方向に接続され、第1の比較手段15の出力を第1の閾値が入力されている入力端子(プラス入力端子)に帰還し、第1の比較手段15の出力に、ヒステリシス特性を持たせている。
【0028】
第2の閾値設定手段18は、上記第2のダイオード181と第7の抵抗182の直列接続と、それらにより、第1の閾値の入力される第1の比較手段15の入力(プラス入力端子)へ帰還し、第1の比較手段15の入力(プラス入力端子)の電圧レベルを変化させることにより、構成している。
【0029】
第2の比較手段19は、上記第2の閾値設定手段18を第1の比較手段15の入出力の帰還により実現したことにより、ハードウエア的には第1の比較手段15を共用し、実現している。
【0030】
加算手段21は、電圧検知手段14の検知電圧が、第1の閾値設定手段16によって決定される第1の閾値電圧を超過する時に、第1の比較手段15の出力が、HからLに変化するたびに、計数手段22の計数値に1を加算する。
【0031】
第3の比較手段24は、第3の閾値設定手段23により決定される第3の閾値と、計数手段22の計数値を比較する。その計数値が、第3の閾値に到達した場合、報知手段25が使用者に報知を行う。この報知手段25は、LEDや、ブザー等の、使用者の注意を引くものであれば、何であってもかまわない。
【0032】
以上のように構成された電気調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0033】
まず、商用電源13から供給された電流は、通電制御手段11を介して調理手段10に
供給されると同時に、第1のダイオード121により整流され、コンデンサ122により平滑されて、電源回路12に供給される。
【0034】
このとき、第1のコンデンサ122の電圧波形は半波整流波形となる。この半波整流波形において、ピーク値は商用電源13の電圧波形のピーク値とほぼ同じとなる。
【0035】
この半波整流波形は、電圧検知手段14を構成する第1の抵抗141と第2の抵抗142により分圧され、第1の比較手段15の入力(マイナス入力端子)に入力される。
【0036】
この波形は、第1の抵抗141と第2の抵抗142による半波整流波形の分圧波形であるので、その形状は半波整流波形と相似となり、そのピーク値は半波整流波形のピーク値に、第1の抵抗141と第2の抵抗142の分圧比を乗じたものとなる。
【0037】
商用電源13の電圧値が正常な場合、第1の比較手段15の入力(マイナス入力端)に入力される電圧波形は、そのピーク値でも、第1の比較手段15のもう一方の入力端子(プラス入力端子)に入力される第1の閾値より低く、第1の比較手段15の出力は“H”(Hi−z)となり、通電禁止手段17のトランジスタ173のベースには電圧が印加され、トランジスタ173は導通し、第2のリレーコイル174には電流が流れ、第2のリレー接点175は閉じて、調理手段10への通電は許可される。
【0038】
この時、第1の比較手段15の出力は“H”であるので、第2のダイオード181には逆電圧がかかるため、第2のダイオード181には電流が流れず、第3の抵抗161と第4の抵抗162の直列接続の分圧値により決定される、第1の閾値には影響を与えない。
【0039】
一方、商用電源13の電圧値が異常に上昇した場合、半波整流波形の電圧値が上昇し、第1の比較手段15の入力(マイナス入力端)に入力される電圧波形のピーク値は、第1の比較手段15のもう一方の入力端子(プラス入力端子)に入力される、第1の閾値より高くなり、第1の比較手段15の出力は“L”となる。
【0040】
すると、通電禁止手段17のトランジスタ173のベース電圧はほぼ0Vとなり、トランジスタ173はオフし、第2のリレーコイル174には電流が流れず、第2のリレー接点175は開いて、調理手段10への通電は禁止される。
【0041】
この時、一旦、第1の比較手段15の出力が“L”となると、第2のダイオード181のアノード側の電圧である第3の抵抗161と第4の抵抗162の分圧値より、第2のダイオード181のカソード側の電圧が低くなるため、第2のダイオード181には順方向の電圧が印加されて導通し、第3の抵抗161と第4の抵抗162の接続部より、第7の抵抗182と第2のダイオード181の直列接続を介して、Lが出力されている、第1の比較手段15の出力端子に電流が流れる。
【0042】
これは、見かけ上、第4の抵抗162に第7の抵抗182が並列に接続されたことになり、第3の抵抗161と第4の抵抗162の分圧値は低下する。(第2の閾値)
この、第1の比較手段15の出力から入力への、第7の抵抗182と第2のダイオード181の直列接続を介した帰還により、第1の比較手段15の入力にはヒステリシスがかかり、商用電源13の電圧値がそのヒステリシス相当分だけ余分に低下しないと、第1の比較手段15の出力は“H”に復帰することはできない(第2の比較手段19)。
【0043】
その間の通電禁止手段17は、調理手段10への通電を禁止したままとなり、第2のリレー接点175は開いたままで、調理手段10への通電は再開されない。
【0044】
これにより、商用電源13の電圧値が第1の閾値近傍で微変動を続けた場合でも、第1の閾値と第2の閾値間のヒステリシスによる通電禁止が続き、調理手段10への頻繁な通電禁止とその解除(チャタリング)が行われることはない。
【0045】
加算手段21は、第1の比較手段15の出力が、H→Lになるたびに、計数手段22に1を加算する。
【0046】
第3の比較手段24は、第3の閾値設定手段23により決定される第3の閾値と、計数手段22の計数値を比較し、その計数値が、第3の閾値に到達した場合には、報知手段25が使用者に報知を行う。
【0047】
通常、家庭向け製品の場合、第3の閾値は、1〜5回程度の設定を行う。第3の閾値を1回と設定した場合、商用電源13の電圧の異常な上昇検出すると、即、報知手段25が報知を行う。この、報知手段25の報知により、使用者は、商用電源13の電圧が異常に上昇したことを知ることができる。
【0048】
特に、炊飯器やパン焼き器等、シーケンスに基づいて調理が行われる調理機器の場合、その調理中に、商用電源13の電圧の異常上昇により調理が中断すると、食味を損ねることがあるが、その場合でも、使用者は、食味の悪化した原因が、調理中に商用電源の電圧が異常に上昇し、調理手段への通電が禁止されたためであることを知ることができる。
【0049】
第3の閾値設定手段23において、適切な第3の閾値を設定すれば、商用電源13から進入するノイズが電圧検知手段14に進入し、第1の比較手段15の出力を瞬間的にLに反転させることがあっても、その頻度が低ければ、計数手段22の計数結果が、第3の閾値に到達せず、報知手段25は報知を行うことはない。
【0050】
以上のように、本実施の形態においては、商用電源13の電圧値が異常上昇した場合、通電禁止手段17を構成する第2のリレー接点175が開き、調理手段10への通電が禁止されることにより、商用電源13の電圧が異常に上昇したことが原因となって発生する異常過熱や異常回転を防止することができる。
【0051】
又、本実施の形態においては、商用電源13の電圧値が第1の閾値近傍で微変動を続けた場合でも、第1の閾値と第2の閾値間のヒステリシスによる通電禁止が続き、調理手段10への頻繁な通電禁止とその解除が行われることはない。
【0052】
又、本実施の形態においては、商用電源13の電圧が異常に上昇したことを、使用者に知らすことができる。特に、炊飯器やパン焼き器等、シーケンスに基づいて調理が行われる調理機器の場合、その調理中に、商用電源13の電圧の異常上昇により調理が中断すると、食味を損ねることがあるが、その場合でも、使用者は、食味の悪化した原因が、調理中に商用電源の電圧が異常に上昇し、調理手段への通電が禁止されたためであることを、知ることができる。
【0053】
又、本実施の形態においては、商用電源13より進入するノイズがあっても、第3の閾値設定手段23において、適切な第3の閾値を設定することにより、ノイズの発生が頻繁でない限り、報知手段25の誤動作を無くすことができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、通電制御手段11を構成する第1のリレー(第1のリレーコイル112、第1のリレー接点111)と、通電禁止手段17を構成する第2のリレー(第2のリレーコイル174、第2のリレー接点175)は別構成としたが、共用することも可能である。
【0055】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における電気調理器の一部をブロック図化した、システム構成図である。実施の形態1と同一の構成要素については、説明を省略する。
【0056】
計時手段26は、第1の比較手段15の出力が、電圧検知手段14の検知電圧が、第1の閾値設定手段16によって決定される第1の閾値電圧を超過する時に、HからLに変化したあと、Lである間その累積時間を計時する。
【0057】
第3の比較手段24は、第3の閾値設定手段23により決定される第3の閾値と、計時手段26の計時時間値を比較する。
【0058】
その計時時間値が、第3の閾値に到達した場合、報知手段25が使用者に報知を行う。報知手段25が、LEDや、ブザー等の、使用者の注意を引くものであれば、何であってもかまわないのは、実施の形態1と同じである。
【0059】
以上のように構成された電気調理器について、以下、その動作、作用を説明する。
【0060】
実施の形態1と同一の動作については、説明を省略する。
【0061】
計時手段26は、第1の比較手段15の出力が、Lである間その累積時間の計時を続ける。
【0062】
第3の比較手段24は、第3の閾値設定手段23により決定される閾値と、計時手段26の計時時間値を比較し、その計時時間値が、第3の閾値に到達した場合には、報知手段25が使用者に報知を行う。
【0063】
通常、家庭向け製品の場合、第3の閾値は、3秒程度の設定を行う。第3の閾値を3秒と設定した場合、商用電源13の電圧の異常な上昇が3秒間継続すると、報知手段25が報知を行う。この報知手段25の報知により、使用者は、商用電源13の電圧が異常に上昇したことを知ることができる。
【0064】
特に、炊飯器やパン焼き器等、シーケンスに基づいて調理が行われる調理機器の場合、その調理中に、商用電源13の電圧の異常上昇により調理が中断すると、食味を損ねることがあるが、その場合でも、使用者は、食味の悪化した原因が、調理中に商用電源の電圧が異常に上昇し、調理手段への通電が禁止されたためであることを知ることができる。
【0065】
第3の閾値設定手段23において、適切な第3の閾値を設定すれば、商用電源13から進入するノイズが電圧検知手段14に進入し、第1の比較手段15の出力を瞬間的にLに反転させることがあっても、その頻度が低ければ、計数手段22の計数結果が、第3の閾値に到達せず、報知手段25は報知を行うことはない。
【0066】
以上のように、本実施の形態においては、商用電源13の電圧値が異常上昇した場合、通電禁止手段17を構成する第2のリレー接点175が開き、調理手段10への通電が禁止されることにより、商用電源13の電圧が異常に上昇したことが原因となって発生する異常過熱や異常回転を防止することができる。
【0067】
又、本実施の形態においては、商用電源13の電圧値が第1の閾値近傍で微変動を続けた場合でも、第1の閾値と第2の閾値間のヒステリシスによる通電禁止が続き、調理手段10への頻繁な通電禁止とその解除が行われることはない。
【0068】
又、本実施の形態においては、商用電源13の電圧が異常に上昇したことを、使用者に知らすことができる。特に、炊飯器やパン焼き器等、シーケンスに基づいて調理が行われる調理機器の場合、その調理中に、商用電源13の電圧の異常上昇により調理が中断すると、食味を損ねることがあるが、その場合でも、使用者は、食味の悪化した原因が、調理中に商用電源の電圧が異常に上昇し、調理手段への通電が禁止されたためであることを、知ることができる。
【0069】
第3の閾値設定手段23において、適切な第3の閾値を設定すれば、商用電源13から進入するノイズが電圧検知手段14に進入し、第1の比較手段15の出力を瞬間的にLに反転させることがあっても、その頻度が低ければ、計時手段26の計時時間値が、第3の閾値に到達せず、報知手段25は報知を行わない。
【0070】
以上のように、本実施の形態においては、商用電源13の電圧値が異常上昇した場合、通電禁止手段17を構成する第2のリレー接点175が開き、調理手段10への通電が禁止されることにより、商用電源13の電圧が異常に上昇したことが原因となって発生する異常過熱や異常回転を防止することができる。
【0071】
又、本実施の形態においては、商用電源13の電圧値が第1の閾値近傍で微変動を続けた場合でも、第1の閾値と第2の閾値間のヒステリシスによる通電禁止が続き、調理手段10への頻繁な通電禁止とその解除が行われることはない。
【0072】
又、本実施の形態においては、商用電源13の電圧が異常に上昇したことを、使用者に知らすことができる。特に、炊飯器やパン焼き器等、シーケンスに基づいて調理が行われる調理機器の場合、その調理中に、商用電源13の電圧の異常上昇により調理が中断すると、食味を損ねることがあるが、その場合でも、使用者は、食味の悪化した原因が、調理中に商用電源の電圧が異常に上昇し、調理手段への通電が禁止されたためであることを、知ることができる。
【0073】
又、本実施の形態においては、商用電源13より進入するノイズがあっても、第3の閾値設定手段23において、適切な第3の閾値を設定することにより、ノイズの発生が頻繁でない限り、報知手段25の誤動作を無くすことができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、通電制御手段11を構成する第1のリレー(第1のリレーコイル112、第1のリレー接点111)と、通電禁止手段17を構成する第2のリレー(第2のリレーコイル174、第2のリレー接点175)は別構成としたが、共用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる電気調理器は、商用電源の電圧値が中性線欠損や誤配線等により異常上昇した場合でも、調理手段への通電を停止することができ、調理手段の異常過熱や異常回転を防止し、安全性の向上をはかることが出来るとともに、使用者に商用電源の電圧値の異常上昇を、誤動作なく報知することができるものであり、調理器全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 調理手段
11 通電制御手段
12 電源回路
14 電圧検知手段
15 第1の比較手段
16 第1の閾値設定手段
17 通電禁止手段
18 第2の閾値設定手段
19 第2の比較手段
21 加算手段
22 計数手段
23 第3の閾値設定手段
24 第3の比較手段
25 報知手段
26 計時手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理手段と、商用電源に接続され調理手段への通電を制御する通電制御手段と、前記商用電源の電圧を測定する電圧検知手段と、第1の閾値を設定する第1の閾値設定手段と、第1の閾値より低く設定された第2の閾値を設定する第2の閾値設定手段と、前記電圧検知手段の検知電圧値と第1の閾値を比較する第1の比較手段と、前記電圧検知手段の検知電圧値と第2の閾値を比較する第2の比較手段と、前記第1の比較手段における比較において前記電圧検知手段の検知電圧値が第1の閾値以上となった場合に調理手段への通電を禁止し、前記第2の比較手段における比較において前記電圧検知手段の検知電圧値が第2の閾値以下となった場合に調理手段への通電を許可する通電禁止手段と、計数手段と、前記通電禁止手段が通電を禁止するごとに計数手段に1を加算する加算手段と、第3の閾値を設定する第3の閾値設定手段と、前記計数手段の計数値と第3の閾値を比較する第3の比較手段と、前記第3の比較手段において前記計数手段の計数値が第3の閾値に到達したことを報知する報知手段とで構成した電気調理器。
【請求項2】
調理手段と、商用電源に接続され調理手段への通電を制御する通電制御手段と、前記商用電源の電圧を測定する電圧検知手段と、第1の閾値を設定する第1の閾値設定手段と、第1の閾値より低く設定された第2の閾値を設定する第2の閾値設定手段と、前記電圧検知手段の検知電圧値と第1の閾値を比較する第1の比較手段と、前記電圧検知手段の検知電圧値と第2の閾値を比較する第2の比較手段と、前記第1の比較手段における比較において前記電圧検知手段の検知電圧値が第1の閾値以上となった場合に調理手段への通電を禁止し、前記第2の比較手段における比較において前記電圧検知手段の検知電圧値が第2の閾値以下となった場合に調理手段への通電を許可する通電禁止手段と、前記通電禁止手段が調理手段への通電を禁止している累積時間を計時する計時手段と、第3の閾値を設定する第3の閾値設定手段と、前記計時手段の計時時間値と第3の閾値を比較する第3の比較手段と、前記第3の比較手段において前記計時手段の計時時間値が第3の閾値に到達したことを報知する報知手段とで構成した電気調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate