説明

電気車両用充電装置

【課題】巻取作業が繁雑になることを抑えつつ巻き取られた状態における充電ケーブルの弛みを低減する。
【解決手段】巻胴体41は、一端に半環状のフランジ41Aを有し且つ他端に半円形状のフランジ41Bを有する半円筒形に形成され、フランジ41A,41Bを下に向けるようにして、本体1における収納空間の奥の壁12に上下方向に移動自在に取り付けられる。巻取部4に巻き取られた充電ケーブル2に弛みが生じている場合、ボルト42を緩めて巻胴体41を下方に移動すれば、巻取部4の外周面の外径が拡大されて充電ケーブル2の弛みを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などの電気車両に充電するための電気車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気車両用充電装置として、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1記載の従来例は、外装を兼ねる筐体を有し、筐体には正面に開口し且つ背後壁までの深さを有する収容空間が形成されている。この収容空間には、2個の巻取ドラムが回動自在に収容されている。これらの巻取ドラムには充電ケーブルの基端が固定されている。充電ケーブルは、それぞれ巻取ドラムに巻取られ、先端には電気車両(電気自動車)の充電インレットと挿抜自在に接続される充電コネクタが設けられている。
【0003】
かかる従来例では、充電ケーブルの余長分が巻取ドラムに巻き取られているので、充電ケーブルの余長分を地面(あるいは床)に這わすことで美観を損なう虞がないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−266509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記従来例では、巻取ドラムに巻き取られた充電ケーブルが弛んでしまい、その結果、美観が損なわれたり、充電ケーブルに巻癖がつくといった不具合の生じる虞がある。そして、充電ケーブルが弛まないように巻取ドラムに巻き取るには充電ケーブルにテンション(張力)をかける必要があり、巻取作業に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、巻取作業が繁雑になることを抑えつつ巻き取られた状態における充電ケーブルの弛みを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気車両用充電装置は、先端に充電コネクタが設けられた充電ケーブルと、当該充電ケーブルを巻き取る巻取部とを備え、前記巻取部は、前記充電ケーブルが外周面に沿って巻回され且つ前記外周面の外径が拡縮自在である巻胴部を有することを特徴とする。
【0008】
この電気車両用充電装置において、前記巻胴部は複数の巻胴体からなり、当該複数の巻胴体が互いの距離を拡縮する方向に移動自在であることが好ましい。
【0009】
この電気車両用充電装置において、前記巻胴部は、前記充電ケーブルに接触する外周面の少なくとも一部が曲面形状に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気車両用充電装置は、巻取作業が繁雑になることを抑えつつ巻き取られた状態における充電ケーブルの弛みを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示し、(a)は巻取部が縮小された状態の一部省略した斜視図、(b)は巻取部が拡大された状態の一部省略した斜視図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上の要部の断面図である。
【図4】同上の別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、特許文献1記載の従来例と同じく、電気自動車に充電するための電気車両用充電装置(充電スタンド)に本発明の技術思想を適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、建物の壁などに取り付けられる電気車両用充電装置(いわゆる充電ボックス)などに本発明の技術思想を適用することも可能である。
【0013】
本実施形態の電気車両用充電装置(以下、充電スタンドと呼ぶ。)は、図2に示すように本体1、充電ケーブル2、充電コネクタ3、巻取部4などを備える。本体1は、前面下部が開口した角筒状に形成されている。本体1の開口部10は、扉11によって開閉自在に閉塞される。そして、本体1における開口部10の奥に収納空間が形成されている。なお、本体1及び扉11は鋼板などの金属板を加工して形成される。
【0014】
本体1内における開口部10よりも上の部分には、図示しない漏電ブレーカや充電コントローラなどが収納される。なお、充電コントローラは、充電ケーブル2に含まれる通信線を介して電気自動車と通信し、電気自動車からの指示に応じて充電ケーブル2を介した給電の入/切などを行うものである。
【0015】
充電ケーブル2は、一対の電源線と接地線及び前記通信線を含む4心タイプの電気ケーブルからなり、後端が充電コントローラを介して漏電ブレーカに接続され、先端に充電コネクタ3が接続されている。充電コネクタ3は、電気自動車の車体に設けられている差込口(充電インレット)に挿抜自在に差込接続される。
【0016】
巻取部4は、充電ケーブル2が外周面に沿って巻回され且つ外周面の外径が拡縮自在である巻胴部を有している。本実施形態における巻胴部は2つの巻胴体40,41からなり、これら2つの巻胴体40,41が互いの距離を拡縮する方向に移動自在に構成されている。
【0017】
一方の巻胴体40は、両端に半環状のフランジ40Aを有する半円筒形に形成され、フランジ40Aを上に向けるようにして、本体1における収納空間の奥の壁12に固定される。他方の巻胴体41は、一端に半環状のフランジ41Aを有し且つ他端に半円形状のフランジ41Bを有する半円筒形に形成され、フランジ41A,41Bを下に向けるようにして、本体1における収納空間の奥の壁12に上下方向に移動自在に取り付けられる。図1及び図3に示すように、長手方向を上下方向とする溝13が本体1の壁12に設けられている。そして、巻胴体41のフランジ41Bの中央部に挿通孔(図示せず)が貫通しており、この挿通孔に挿通されたボルト42の先端が溝13に挿通され、壁12の裏側においてボルト42の先端に溝13よりも幅広である平板状のナット43が螺合している(図3参照)。
【0018】
而して、ボルト42が締め付けられていない状態では、溝13に沿って巻胴体41を自由に移動させることができ、ボルト42が締め付けられるとフランジ41B及びナット43で壁12が挟持されて巻胴体41の移動が規制される。つまり、一方の巻胴体40が壁12における溝13の上端よりも上に固定されているので、巻胴体41が溝13に沿って上下に移動することで巻胴部40,41の距離が拡縮され、その結果、巻取部4の外周面の外径が拡縮されることになる。
【0019】
上述のように構成される巻取部4は、以下のようにして使用される。まず、充電ケーブル2が巻き取られていない場合、図1(a)に示すように巻胴体41が溝13の上端近くに移動させられている。これにより、巻取部4の外周面に充電ケーブル2を巻き回す巻取作業が容易になる。ただし、予め巻かれた状態の充電ケーブル2が巻取部4の外周面に載せ掛けられる場合もあるが、この場合であっても載せ掛ける作業が容易になるという利点がある。
【0020】
ここで、図1(a)に示すように巻取部4に巻き取られた充電ケーブル2に弛みが生じている場合、ボルト42を緩めて巻胴体41を下方に移動すれば、巻取部4の外周面の外径が拡大されて充電ケーブル2の弛みを低減することができる(図1(b)参照)。一方、巻胴体41を上方に移動すれば、弛みが生じていないために充電ケーブル2を巻取部4から容易に取り外すことができる。このように本実施形態によれば、巻取作業が繁雑になることを抑えつつ巻き取られた状態における充電ケーブル2の弛みを低減することができる。
【0021】
また、充電ケーブル2と接する巻取部4(巻胴体40,41)の外周面が曲面形状に形成されているので、巻取部4の外周面の外径が拡大されて充電ケーブル2にテンションがかかった状態において充電ケーブル2の被覆に傷が付くことを防止できる。ただし、本実施形態では巻取部4の外周面全体が曲面形状に形成されているが、外周面の一部のみが曲面形状に形成されていても構わない。例えば、巻胴体40,41が角筒状に形成された場合、角の部分のみが曲面形状に形成されていればよい。
【0022】
さらに、本実施形態では下側の巻胴体41が移動自在とされているが、上側の巻胴体40が移動自在であってもよく、あるいは2つの巻胴体40,41が双方とも移動自在であっても構わない。また、巻胴体40,41の移動方向も上下方向に限定されず、例えば、移動方向が左右方向や斜め方向であっても構わない。
【0023】
なお、本実施形態では2つの巻胴体40,41で巻取部4が構成されているが、蛇腹構造のような拡縮構造を有する1つの巻胴体で巻取部4が構成されてもよい。また、本実施形態では巻取部4が本体1内に設けられているが、図4に示すように本体1の外側(前面、背面若しくは左右何れかの側面)に巻取部4が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 本体
2 充電ケーブル
3 充電コネクタ
4 巻取部
40 巻胴体(巻胴部)
41 巻胴体(巻胴部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に充電コネクタが設けられた充電ケーブルと、当該充電ケーブルを巻き取る巻取部とを備え、前記巻取部は、前記充電ケーブルが外周面に沿って巻回され且つ前記外周面の外径が拡縮自在である巻胴部を有することを特徴とする電気車両用充電装置。
【請求項2】
前記巻胴部は複数の巻胴体からなり、当該複数の巻胴体が互いの距離を拡縮する方向に移動自在であることを特徴とする請求項1記載の電気車両用充電装置。
【請求項3】
前記巻胴部は、前記充電ケーブルに接触する外周面の少なくとも一部が曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気車両用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−43717(P2013−43717A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180723(P2011−180723)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】