説明

電気錠システム

【課題】電気錠制御盤が商用電源から消費する電力を低減する。
【解決手段】電気錠システム1は、太陽光発電部2、2次電池部3、電気錠制御盤4、電気錠5で構築される。太陽光発電部2は、太陽光により発電する。2次電池部3は、太陽光発電部2が発電した電力を蓄電する。電気錠制御盤4は、電気錠5を施解錠制御するもので、2次電池部3を主電源として動作し、2次電池部3の電圧を監視して2次電池部3の電圧が予め設定された基準値以下に低下したときに、電源を商用電源に切り替えて動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば商業ビルや公共施設または一般住宅等の扉に採用され、錠前を電気的に施解錠制御する電気錠制御盤を備えた電気錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば商業ビルや公共施設または一般住宅等の扉には、不審者の侵入を回避するため、防犯性に富んだ電気錠システムが設けられている。この種の電気錠システムとしては様々な形態が提案されており、その基本的な動作は、施解錠指令があったときに、例えばモータやソレノイドなどの駆動手段に通電してデッドボルトを電気的に進退させ、錠の施解錠を行っている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
ところで、この種の従来の電気錠システムの一つとして、商用電源(AC100V)で動作する電気錠制御盤と、この電気錠制御盤からの通電制御により施解錠される電気錠とを組み合わせたものが知られている。
【特許文献1】特開平10−025935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した電気錠制御盤と電気錠とを組み合わせた従来の電気錠システムでは、電気錠制御盤が商用電源(AC100V)で動作しているため、常時、電力を消費している状態にあり、無駄に電力を消費していた。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、電気錠制御盤が商用電源から消費する電力を低減することができる電気錠システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の電気錠システムは、錠前を電気的に施解錠制御する電気錠制御盤を備えた電気錠システムにおいて、
太陽光により発電する太陽光発電部と、
該太陽光発電部が発電した電力を蓄電する2次電池部とを備え、
前記電気錠制御盤は、前記2次電池部を主電源として動作し、前記2次電池部の電圧を監視して該2次電池部の電圧が予め設定された基準値以下に低下したときに、電源を商用電源に切り替えて動作することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の電気錠システムは、請求項1の電気錠システムにおいて、
前記電気錠制御盤は、電源を前記2次電池部から前記商用電源に切り替えるにあたって、前記商用電源の電圧を検出し、該商用電源から所定の電圧検出が無いときには電源を前記2次電池部のまま保持することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の電気錠システムは、請求項1又は2の電気錠システムにおいて、
現在使用している動作電源が前記2次電池部か前記商用電源かを識別可能に表示する電源表示部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気錠システムによれば、電気錠制御盤は通常時に2次電池部を主電源として動作し、2次電池部の電圧が低下したときに商用電源に切り替わるので、電気錠制御盤が商用電源から消費する電力を低減して省エネルギー化を図ることができる。また、2次電池部から商用電源に切り替わる際、商用電源から所定の電圧検出が無ければ電源が2次電池部まま保持されるので、停電等によるシステムダウンを防止することができる。さらに、現在の動作電源、すなわち現在どの電源(2次電池部又は商用電源)で動作しているのかを利用者に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係る電気錠システムの概略構成図、図2は同電気錠システムの電気錠制御盤における電源表示部の一例を示す図、図3は同電気錠システムによる電源判定手順を説明するためのフローチャートである。
【0011】
本例の電気錠システム1は、例えば商業ビルや公共施設または一般住宅等の各種扉に採用され、図1に示すように、太陽光発電部2、2次電池部3、電気錠制御盤4、電気錠5を備えて概略構成される。
【0012】
太陽光発電部2は、システムが採用される建物の屋外に設置され、太陽電池を利用し、太陽光のエネルギーを直接的に電力に変換している。
【0013】
2次電池部3は、電気錠制御盤4の主電源として用いられ、例えばニッカド電池やニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの繰り返し充電・放電が行える再利用可能な電池を備え、太陽光発電部2が発電した電力を、不図示の充電器を介して充電している。
【0014】
電気錠制御盤4は、例えば室内の壁等に配設され、通常時に2次電池部3を主電源として動作し、商用電源(AC100V)を補助電源としており、所定の施解錠操作がなされたときに電気錠5を施解錠制御するもので、図1に示すように、電源判定部4a、制御盤電源部4b、電源表示部4c、電気錠制御部4dを備えている。
【0015】
電源判定部4aは、2次電池部3の電圧を監視し、検出した2次電池部3の電圧が予め設定された2次電池基準値以下に低下したときに、電源を商用電源に切り替えるべく制御盤電源部4bに電源切替信号を出力している。
【0016】
なお、電源判定部4aは、電源を2次電池部3から商用電源に切り替える際、商用電源の電圧も監視しており、商用電源から所定の電圧検出が無いとき(電圧が検出されないとき又は検出電圧が予め設定された商用電源基準値以下のとき)は、上述した電源切替信号を出力せず、電源を2次電池部3のまま保持している。
【0017】
また、電源判定部4aは、現在使用している動作電源の表示、商用電源への切り替え時に商用電源から電圧検出が無い旨を警告表示するべく、電源表示部4cに表示切替制御信号を出力している。
【0018】
制御盤電源部4bは、2次電池部3を主電源、商用電源を補助電源として、電気錠制御盤4の各部(電源判定部4a、電源表示部4c、電気錠制御部4d)に駆動電源を供給している。さらに説明すると、制御盤電源部4bは、通常時(2次電池部3の電圧が2次電池基準値より高いとき)に、2次電池部3から電圧が供給され、商用電源の電圧供給回路を遮断している。これに対し、2次電池部3の電圧が2次電池基準値以下で電源判定部4aから電源切替信号が入力されたときには、商用電源から電圧が供給され、2次電池部3の電圧供給回路を遮断している。
【0019】
電源表示部4cは、現在使用している動作電源(2次電池部3又は商用電源)の識別表示、商用電源への切り替え時に商用電源から所定の電圧検出が無い旨の警告表示を行っている。この電源表示部4は、図2に示すように、動作電源が2次電池のときに点灯する「2次電池電源」のランプA、動作電源が商用電源のときに点灯する「商用電源」のランプB、商用電源への切り替え時に商用電源から所定の電圧検出が無いときに点灯する「警告」のランプCで構成することができる。図2では、現在の動作電源が2次電池であることを識別表示するべく、「2次電池電源」のランプAが点灯(黒丸で表示)した例を示している。
【0020】
なお、電源表示部4cは、上述した3つの状態が識別表示できる構成であればよく、図2の3種類のランプA,B,Cの構成に限定されるものではない。例えば液晶パネルなどの表示装置で電源表示部4cを構成し、上述した3つの状態を文字表示により識別表示してもよい。
【0021】
電気錠制御部4dは、2次電池部(主電源)3又は商用電源(補助電源)を電源として動作するもので、施解錠操作時に、電気錠5の施解錠状態と扉の開閉状態に応じて電気錠5に駆動信号(解錠駆動信号又は施錠駆動信号)を出力して電気錠5を施解錠制御している。
【0022】
なお、上記施解錠操作は、例えば施錠ボタンや解錠ボタンを押下する操作だけでなく、利用者が所持する磁気カード,ICカード,非接触型ICカード等のカード状記憶媒体やIDキーや携帯電話等の携帯機器から情報(施解錠情報、暗証番号など)を不図示のリーダーが読み取って正当性を判別する操作なども含まれる。
【0023】
電気錠5は、電気錠制御部4Dからの駆動信号(解錠駆動信号又は施錠駆動信号)の通電により駆動するモータやソレノイド等の駆動装置を備えており、錠前の扉側の係止穴に対してデッドボルトを突出(施錠時)又は引き込む(解錠時)ことにより錠前を施解錠している。
【0024】
次に、上記構成の電気錠システム1における電気錠制御盤4の処理動作について図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0025】
まず、2次電池部3の電圧(2次電池電圧)を検出し(ST1)、その電圧のチェックを行い、2次電池電圧の検出がOKか否かを判別する(ST2)。すなわち、検出した2次電池電圧と予め設定された2次電池基準値とを比較し、検出した2次電池電圧が基準値より高ければOKと判別し、検出した2次電池電圧が基準値以下であればNGと判別する。そして、2次電池電圧の検出がOKと判別すると(ST2−Yes)、制御盤電源部4bに電圧を供給し(ST3)、商用電源の電圧供給回路を遮断する(ST4)。そして、現在使用している動作電源が2次電池部3であることを電源表示部4cに表示する。具体的には、図2に示す電源表示部4cにおいて、「2次電池電源」のランプAを点灯、「商用電源」のランプBを消灯、「警告」のランプCを消灯する(ST5,6,7)。
【0026】
また、ST2において、2次電池電圧の検出がOKでない(NG)と判別すると(ST2−No)、商用電源の電圧を検出し(ST8)、その電圧のチェックを行い、商用電源電圧の検出がOKか否かを判別する(ST9)。すなわち、商用電源電圧が検出できたらOKと判別し、商用電源電圧が検出できなければNGと判別する。又は商用電源電圧と予め設定された商用電源基準値とを比較し、検出した商用電源電圧が基準値より高ければOKと判別し、検出した商用電源電圧が基準値以下であればNGと判別する。そして、商用電源電圧の検出がOKでない(NG)と判別すると(ST9−No)、例えば停電等により電圧検出ができないと判断し、電源表示部4cに警告表示する。具体的には、図2に示す電源表示部4cの「警告」のランプCを点灯する(ST10)。
【0027】
これに対し、商用電源電圧の検出がOKと判別すると(ST9−Yes)、制御盤電源部4bに電圧を供給し(ST11)、2次電池部3の電圧供給回路を遮断する(ST12)。そして、現在使用している動作電源が商用電源であることを電源表示部4cに表示する。具体的には、図2に示す電源表示部4cにおいて、「商用電源」のランプBを点灯、「2次電池電源」のランプAを消灯、「警告」のランプCを消灯する(ST13,14,15)。
【0028】
このように、本例の電気錠システムでは、通常、電気錠制御盤4が2次電池部3を主電源として動作し、2次電池の電圧低下を検出した場合には、商用電源(補助電源)に切り替えて動作を行っている。そして、2次電池部3から商用電源に切り替わる際には、商用電源の電圧もチェックし、所定の電圧検出が無い場合は電源を商用電源に切り替えずに2次電池部3のまま保持し、電源表示部4cが警告表示する。すなわち、2次電池部3から商用電源への切り替わり時に、例えば停電等により電圧検出ができない場合は、警告表示によって利用者に告知し、システムが自動的にダウンするのを防止している。これにより、電気錠制御盤4の主電源を太陽光発電(2次電池)から得ることができ、電気錠制御盤4が商用電源から消費する電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る電気錠システムの概略構成図である。
【図2】本発明に係る電気錠システムの電気錠制御盤における電源表示部の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る電気錠システムによる電源判定手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1 電気錠システム
2 太陽光発電部
3 2次電池部
4 電気錠制御盤
4a 電源判定部
4b 制御盤電源部
4c 電源表示部
4d 電気錠制御部
5 電気錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠前を電気的に施解錠制御する電気錠制御盤を備えた電気錠システムにおいて、
太陽光により発電する太陽光発電部と、
該太陽光発電部が発電した電力を蓄電する2次電池部とを備え、
前記電気錠制御盤は、前記2次電池部を主電源として動作し、前記2次電池部の電圧を監視して該2次電池部の電圧が予め設定された基準値以下に低下したときに、電源を商用電源に切り替えて動作することを特徴とする電気錠システム。
【請求項2】
前記電気錠制御盤は、電源を前記2次電池部から前記商用電源に切り替えるにあたって、前記商用電源の電圧を検出し、該商用電源から所定の電圧検出が無いときには電源を前記2次電池部のまま保持することを特徴とする請求項1記載の電気錠システム。
【請求項3】
現在使用している動作電源が前記2次電池部か前記商用電源かを識別可能に表示する電源表示部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の電気錠システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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