説明

電気電子機器収納用キャビネット

【課題】内部に収納した発熱機器を効率よく冷却することができ、キャビネットの小型化を図ることができる電気電子機器収納用キャビネットを提供する。
【解決手段】排気孔と吸気孔とを筐体10の上下に分離配置した発熱機器2を、上部換気孔8と下部換気孔9とを備えたキャビネット本体1の内部の背面側に配置する。発熱機器2の筐体10を跨ぐようにその前側及び左右両側に仕切板11を設け、キャビネット本体1の内部空間を上下に区画することにより、外気がキャビネット本体1と筺体10との間を通過することを防止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内部に発熱機器を収納した電気電子機器収納用キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器収納用キャビネットの内部には様々な機器が収納されるが、それらの機器の多くは通電により発熱する。これらの発熱機器は吸気孔と排気孔を備え、キャビネットの吸気用の換気孔から導入された外気は、発熱機器の吸気孔に入り内部の熱とともに排気孔から出て、最終的にキャビネットの排気用の換気孔からキャビネット外に排気される。このように発熱機器の内部に冷却空気を流す方式が、冷却効果を高めるために有効である。
【0003】
しかし、発熱機器の内部を通らずにキャビネットの吸気用の換気孔から入った外気がそのまま排気用の換気孔から出てしまう流れがあったり、また、発熱機器の排気孔から出た空気がもう一度発熱機器の吸気孔から吸い込まれる流れがあると、冷却効果が低下するおそれがある。そこで、特許文献1のように、吸気と排気が混ざらないように板を設け、風の回り込みを防ぐものがあった。
【0004】
しかしながら、発熱機器の端部に板を設けるので、発熱機器の配置位置によりキャビネットの小型化を阻害する要因になっていた。また、発熱機器のサイズに合わせて様々な大きさの板を用意しなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−176910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、内部に収納した発熱機器を効率よく冷却することができ、キャビネットの小型化を図ることができる電気電子機器収納用キャビネットを提供することを目的とするものである。また本発明の他の目的は、発熱機器のサイズが多少変化しても対応可能な電気電子機器収納用キャビネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、排気孔と吸気孔とを筐体の上下に分離配置した発熱機器を、上部換気孔と下部換気孔とを備えたキャビネット本体の内部の背面側に配置するとともに、前記発熱機器の筐体の前側及び左右両側に、該筐体を跨ぐように仕切板を設け、キャビネット本体の内部空間を上部換気孔側と下部換気孔側とに上下に区画したことを特徴とするものである。
【0008】
なお、仕切板が発熱機器の筐体と接する面に弾性部材を備えたものであることが好ましく、また仕切板が、略コ字状のものであることが好ましい。
【0009】
また仕切板が、キャビネット本体の両側板に設けた取付金具に着脱自在に取り付けられたものであることが好ましく、さらに左右両側の仕切板はキャビネット本体の両側板に取り付けられ、前側の仕切板はキャビネット本体の前面扉に取り付けられている構造とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気電子機器収納用キャビネットは、発熱機器の筐体の前側及び左右両側に該筐体を跨ぐように仕切板を設け、キャビネット本体の内部空間を上部換気孔側と下部換気孔側とに上下に区画したので、外気が発熱機器の筺体の内部を通らず、空気抵抗の少ないキャビネット本体と筺体との間を通過してしまうことを確実に防止することができる。このため冷却効率の低下を招くおそれがなく、キャビネット本体の小型化が可能となる。
【0011】
また請求項2のように、発熱機器の筐体と接する面に弾性部材を備えた仕切板を使用すれば、発熱機器の筐体サイズが多少変化してもシール性を確保することができ、発熱機器ごとに様々な仕切板を用意する必要がない。
【0012】
さらに請求項3以下のように仕切板の形状や取付方法を工夫すれば、仕切り板の取付作業を簡単に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の変形例を示す分解斜視図である。
【図5】要部の拡大斜視図である。
【図6】回転鎖錠片の機能を説明する拡大斜視図である。
【図7】回転鎖錠片の機能を説明する拡大斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示す全体斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1〜図7は本発明の第1の実施形態を示す図である。これらの図において、1はキャビネット本体、2はその背面側に配置された発熱機器である。キャビネット本体1は天板3、底板4、左右の側面板5、背面板6、前面扉7を備えている。左右の側面板5には上部換気孔8が設けられ、前面扉7には下部換気孔9が設けられている。上部換気孔8の外側にはファンを内蔵したダクト(図示せず)が設けられており、下部換気孔9からキャビネット本体1の内部に外気を吸引し、上部換気孔8から排出するようになっている。
【0015】
発熱機器2はこの実施形態では太陽光発電システムに用いられ、発電された直流を交流に変換する電力制御機器である。この発熱機器2の筐体10の上下には、排気孔と吸気孔(何れも図示せず)が分離配置されている。排気孔は筐体10の天面に、また吸気孔は底面に形成されており、通常は自然対流により空気を底面から吸引し、発熱機器2の内部を通過する間に加熱された高温の空気を天面の排気孔からキャビネット本体1の内部に排出するものである。
【0016】
なお、排気孔及び吸気孔は必ずしも天面及び底面に形成されていなくてもよく、例えば側面の上部及び下部等に分離配置したものであってもよい。
【0017】
外気が発熱機器2の内部を通らず、空気抵抗の少ないキャビネット本体1と筺体10との間を通過しないように、キャビネット本体1の内部空間が仕切板11によって上下に区画される。この実施形態では仕切板11は略コ字状のもので、発熱機器2の筐体10の中間高さの前側及び左右両側に、筐体10を跨ぐように設けられている。この仕切板11により、キャビネット本体1の内部空間は上部換気孔側と下部換気孔側とに区画されている。
【0018】
仕切板11が発熱機器2の筐体10と接する部分には、弾性部材であるゴム板12が設けられている。このゴム板12は薄板状であり、コーナー部に切り込み13を備えている。また仕切板11の前面側には、スポンジ状のパッキン14が設けられ、前面扉7との隙間を塞いでいる。このような構造とすることにより、発熱機器2の筐体サイズがメーカーにより異なる場合にも、共通の仕切板11によって確実なシールが可能となる。なお弾性部材やパッキン14の材質は適宜変更することができる。
【0019】
図5に示すように、仕切板11の左右後部の下面にはL字状の取付爪15が後ろ向きに突設されている。またキャビネット本体1の左右の側面板5には、平板状の取付金具16が取付けられている。この取付金具16には取付爪15の係合孔17が形成されているので、仕切板11の左右後部を平板状の取付金具16の上に載せ、取付爪15を係合孔17に係合させれば、仕切板11をキャビネット本体1の左右の側面板5に支持させることができる。なお取付金具16は図3に示されるダクトの取付ねじ18に共締めすることができる。
【0020】
なお、上記のように単に仕切板11の左右後部を平板状の取付金具16の上に載せただけでは、仕切板11を確実に固定することができない。そこでこの実施形態では、図6に示すように仕切板11の左右前部を断面コ字状に屈曲させてその内側に回転鎖錠片19を設け、図7に示すように回転鎖錠片19を垂直に回転させると取付金具16の鎖錠孔20に嵌り、仕切板11を手前側に引き出せない構造を採用している。なお取付金具16は図3、図4に示すように表裏を反転させた形状とすることもできる。
【0021】
組付けに際しては、まずキャビネット本体1の背面板6に発熱機器2を取付ける。次に仕切板11の取付爪15を取付金具16の上に載せ、取付爪15を係合孔17に係合させる。さらに仕切板11の回転鎖錠片19を回転させて取付金具16の鎖錠孔20に嵌め、仕切板11を脱落しないように鎖錠する。この結果、キャビネット本体1の内面と発熱機器2の筐体10との間の空間は上下に区画される。
【0022】
このように構成された本実施形態の電気電子機器収納用キャビネットにおいては、前面扉7の下部換気孔9から吸い込まれた外気は、発熱機器2の筐体の底面の吸気孔から筐体の内部に入り、高温の空気となって上部の排気孔からキャビネット内部に排出され、さらにキャビネット本体1の上部換気孔8からダクトに排出される。
【0023】
このとき、キャビネット本体1の内部空間は仕切板11により上部換気孔側と下部換気孔側とに区画されているので、外気はキャビネット本体1と筺体10との間を通過することなく、筺体10の中を通過して、上部換気孔8から確実に排出される。従って冷却効率が低下することがない。
【0024】
この仕切板11は、重量のある発熱機器2を装着した後で前面側からワンタッチで装着可能であって作業性がよく、しかも発熱機器2と接する部分にはゴム板12が設けられているので、メーカーによって異なる様々なサイズの発熱機器2に対応することができる。さらに本発明では仕切板11が発熱機器2を跨ぐように配置したので、仕切板11の取付位置を調節する必要がないうえ、仕切り板の上に発熱機器2を載せていた特許文献1の構造に比べて、キャビネット本体1の小型化が可能である。
【0025】
図8と図9は本発明の第2の実施形態を示す図である。この第2の実施形態では、仕切板11の前板部21を他の部分から分離して、キャビネット本体1の前面扉7の内側に取り付けたものである。前板部21は鋼材に弾性部材を貼付したものでもよく、あるいは弾性部材単体としてもよい。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と特に変わるところはない。このような構造とすることにより、キャビネットの扉7を開くのみで仕切板11を取り外せるので、発熱機器2のメンテナンス性が向上する。
【0026】
以上に説明したように、本発明の電気電子機器収納用キャビネットは、仕切板11によりキャビネット本体1の内部空間を上部換気孔側と下部換気孔側とに上下に区画したので、外気が発熱機器2の筺体10の中を通らず、キャビネット本体1と筺体10との間を通過してしまうことがない。このため外気が全て筺体10の中を通過し、内部に収納した発熱機器2を効率よく冷却することができ、キャビネットの小型化を図ることができる利点がある。
【符号の説明】
【0027】
1 キャビネット本体
2 発熱機器
3 天板
4 底板
5 側面板
6 背面板
7 前面扉
8 上部換気孔
9 下部換気孔
10 筐体
11 仕切板
12 ゴム板
13 切り込み
14 パッキン
15 取付爪
16 取付金具
17 係合孔
18 ダクトの取付ねじ
19 回転鎖錠片
20 鎖錠孔
21 前板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気孔と吸気孔とを筐体の上下に分離配置した発熱機器を、上部換気孔と下部換気孔とを備えたキャビネット本体の内部の背面側に配置するとともに、前記発熱機器の筐体の前側及び左右両側に、該筐体を跨ぐように仕切板を設け、キャビネット本体の内部空間を上部換気孔側と下部換気孔側とに上下に区画したことを特徴とする電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項2】
仕切板が、発熱機器の筐体と接する面に弾性部材を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項3】
仕切板が、略コ字状のものであることを特徴とする請求項1記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項4】
仕切板が、キャビネット本体の両側板に設けた取付金具に着脱自在に取り付けられたものであることを特徴とする請求項1〜3に何れかに記載の電気電子機器収納用キャビネット。
【請求項5】
左右両側の仕切板はキャビネット本体の両側板に取り付けられ、前側の仕切板はキャビネット本体の前面扉に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気電子機器収納用キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−38355(P2013−38355A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175577(P2011−175577)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】