説明

電池パック

【課題】全体を薄くすることに加えて外形をさらに小さくする。簡単に能率よく組み立てして、外装ケースを強靭な構造にする。
【解決手段】電池パックは、外周を四角形とする薄型電池2を外装ケース1に装着して表面に絶縁シート4を接着している。外装ケース1は、薄型電池2の表裏面を外部に表出させる開口部3があり、薄型電池2の三つの外周面をカバーする平行枠1bと連結枠1aとを一体的に成形して全体の形状をコ字状としている。平行枠1bと連結枠1aの厚さは、薄型電池2の厚さにほぼ等しく、あるいは薄くしている。連結枠1aは、電極窓7を開口して、出力端子8を外部に表出させている。薄型電池2の表裏面に接着している絶縁シート4は、外装ケース1でカバーされない薄型電池2のひとつの外周面に接着し、また平行枠1bの表面にも接着して、平行枠1bを薄型電池2に固定し、外装ケース1を薄型電池2の定位置に固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装ケースに薄型電池を固定している電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
薄型電池の電池パックは、種々の携帯用の電気機器に装着されて便利に使用される。とくに、携帯電話のように、全体を薄く設計する必要がある電気機器に最適な形状である。この形状の電池パックは、薄型電池を薄くしないかぎり、全体を薄くできないので、いかにして薄型電池を薄くできるかの研究がなされている。現在、極めて薄い薄型電池としてポリマー電池が開発されている。ポリマー電池は、アルミのラミネートフィルムを外装に使用するので全体を極めて薄くできる。さらに、外装缶に鉄やアルミニウムを使用するリチウムイオン二次電池の薄型電池も開発されている。
【0003】
現在開発されているポリマー電池やリチウムイオン二次電池等の薄型電池は、すでに相当に薄く設計されている。さらに、これらの薄型電池は、充電容量を減少させることなく、より薄くするための研究も行われている。また、薄型電池を内蔵する電池パックにおいても、全体を薄くするための設計が行われている。とくに、携帯用の電気機器のように、より薄くすることが要求される機器に装着される電池パックは、さらに薄く設計することが要求されている。このため、薄型電池の充電容量を減少させることなく、電池パックを薄く設計することは極めて重要であり、このことを実現できる電池パックが求められている。
【0004】
このことを実現することを目的として、本出願人は薄型電池の外周に、両面を開口部とする外装ケースを固定し、この外装ケースを絶縁シートで薄型電池に固定する電池パックを開発した(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−273174号公報
【0005】
この公報に記載する電池パックを図1の分解斜視図に示す。この電池パックは、プラスチックを四角形の枠形に成形している外装ケース31に、薄型電池32を装着して、薄型電池32の表面に絶縁シート34を接着している。さらに電池パックは、外装ケース31に、薄型電池32の表裏面を外部に表出させる開口部33を設けて、薄型電池32の両側面と両端面とをカバーする方形枠形に成形している。外装ケース31は、その厚さを薄型電池32の厚さに等しく、あるいは外装ケース31を薄型電池32よりも薄くしている。さらに、外装ケース31は、薄型電池32の表裏面に、第1ケース31Aと第2ケース31Bに分割している。第1ケース31Aと第2ケース31Bは、薄型電池32の側面をカバーする側面ケース部31aと、薄型電池32の端面をカバーする端部ケース部31bとで方形枠形に成形して、側面ケース部31aの外側コーナー部を湾曲面としている。第1ケース31Aと第2ケース31Bの側面ケース部31aの外側面の表面に絶縁シート34を接着して、第1ケース31Aと第2ケース31Bとを連結している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1に示す電池パックは、全体の厚さを薄型電池にほぼ等しくするまで薄くできる。しかしながら、この構造の電池パックは、薄型電池の外周に固定する外装ケースを厚さ方向に2分割するので、外装ケースの製造と組み立てに手間がかかり、しかも充分な強度とするのが難しい欠点があった。
【0007】
本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、全体を薄くすることに加えて外形をさらに小さくでき、簡単に能率よく組み立てして、外装ケースを強靭な構造にできる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池パックは、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
電池パックは、電池の厚さが幅よりも薄く、外周の形状を四角形とする薄型電池2を外装ケース1に装着して、薄型電池2の表面に絶縁シート4を接着している。外装ケース1は、薄型電池2の表裏面を外部に表出させる開口部3があって、外周を四角形とする薄型電池2の三つの外周面をカバーするように、平行枠1bと連結枠1aとを一体的に成形して全体の形状をコ字状に成形している。平行枠1bと連結枠1aの厚さは、薄型電池2の厚さにほぼ等しく、あるいは外装ケース1を薄型電池2よりも薄くしている。外装ケース1の連結枠1aは、電極窓7を開口して、この電極窓7から出力端子8を外部に表出させている。薄型電池2の表裏面に接着している絶縁シート4は、外装ケース1でカバーされない薄型電池2のひとつの外周面に接着され、また平行枠1bの表面にも接着して、絶縁シート4でもって平行枠1bを薄型電池2に固定し、外装ケース1を薄型電池2の定位置に固定している。
【0009】
本明細書において、外装ケース1の平行枠1bと連結枠1aの厚さが薄型電池2の厚さに「ほぼ等しい」とは、両者が完全に一致する状態のみでなく、電池パックを使用する状態においてその差が無視できる程度、たとえば、その差が1mm以下である状態を含むものとする。
【0010】
本発明の電池パックは、外装ケース1の連結枠1aと薄型電池2のひとつの外周面との間に、ホルダー5と回路基板6を配設することができる。この電池パックは、ホルダー5を嵌合構造で連結枠1aの定位置に連結することができる。さらに、この電池パックは、ホルダー5と連結枠1aの嵌合構造を、ホルダー5の両側に設けた嵌着凸部16と、連結枠1aに設けられて嵌着凸部16を案内する嵌着凹部17又は嵌着穴で構成することができる。
【0011】
本発明の電池パックは、絶縁シート4を、薄型電池2の外装ケース1でカバーされないひとつの外周面でU曲して、薄型電池2の表裏に接着することができる。
【0012】
また、本発明の電池パックは、外装ケース1を、繊維補強プラスチックでもって、平行枠1bと連結枠1aとを一体的に成形することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電池パックは、全体の厚さを薄型電池の厚さにほぼ等しい厚さとし、その外形を薄型電池の外形よりもわずかに大きい形状まで極減して、全体を極めてコンパクトにできる。それは、本発明の電池パックが、四角形の薄型電池の三つの外周面をコ字状の外装ケースでカバーし、この外装ケースを絶縁シートで薄型電池に固定しているからである。この構造の電池パックは、従来のように薄型電池の表裏面を外装ケースで被覆しないので、外装ケースに薄型電池を収納しながら、電池パック全体の厚さを薄型電池と同じにすることも可能である。
【0014】
さらに、本発明の電池パックは、従来の電池パックのように、薄型電池の外周に固定する外装ケースを厚さ方向に2分割することなく、平行枠と連結枠とを一体的に成形して外装ケースとするので、外装ケースの製造や組み立てを簡単かつ容易にできる特長がある。しかも、分割することなく一体的に成形される外装ケースは、充分な強度として強靭な構造にできる特長もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。
【0016】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0017】
図2ないし図5に示す電池パックは、薄型電池2の外周に外装ケース1を連結している。薄型電池2は、厚さ(t)が幅(W)よりも薄く、外周の形状を四角形とする二次電池である。本明細書において、薄型電池の外周とは、薄型電池の最大面である表裏面の外周を意味するものとする。また、薄型電池の表裏面とは、図5において上下方向である厚さ方向から見える面であって、図5において、幅(W)と長さ(L)とで構成される最大面とする。また、薄型電池の側面とは、薄型電池を幅方向から見たときに見える面であって、図5において、厚さ(t)と長さ(L)とで構成される面とする。すなわち、図5に示す薄型電池2において、側面は、右上と左下とに位置する二つの湾曲面2bである。さらに、薄型電池の端面とは、薄型電池を長さ方向から見たときに見える面であって、図5において、幅(W)と厚さ(t)とで構成される面とする。したがって、本明細書において、薄型電池の外周面とは、二つ側面と二つの端面からなる4つの面を意味するものとする。
【0018】
薄型電池2は、リチウムイオン電池、又はポリマー電池である。ポリマー電池はリチウムポリマー電池である。ただ、本発明は、薄型電池をリチウムイオン電池やポリマー電池に特定しない。薄型電池には、これ等の電池以外の電池、たとえばニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池とすることもできる。
【0019】
外装ケース1は、絶縁材を成形して製作される。外装ケース1の絶縁材は好ましくはプラスチックである。プラスチックは、ガラス繊維やカーボン繊維等の繊維を埋設して補強しているプラスチック、たとえばPPS(ポリフェニレンサルファイト)が適している。PPSは、極めて優れた強度を有する。また、PPSは、繊維で補強して衝撃強度も向上できる。さらに、PPSは、難燃性に優れているので、例えば、外装ケースの材質にPPSを使用した場合、板厚を0.4mmまで薄くしても、UL規格等で定められている難燃性に関する基準を満たすことができる。これに対して、ポリカーボネートでは、この基準を満たすためには、0.8mm以上の板厚が必要となる。したがって、PPSは、難燃性を保ちながら、外装ケースを薄くすることができ、その分、パック電池の小型化を図ることができる。ただし、外装ケースのプラスチックは、ポリカーボネート等のプラスチックも使用できるので、プラスチックをPPSには特定しない。
【0020】
図の外装ケース1は、薄型電池2の表裏面を外部に表出させる開口部3があって、外周を四角形とする薄型電池2の三つの外周面をカバーするコ字状としている。この外装ケース1は、薄型電池2の表裏面をカバーしない。外装ケース1は、両側にある一対の平行枠1bを連結枠1aで連結して、全体の形状をコ字状としている。平行枠1bと連結枠1aからなる外装ケース1は、全体をプラスチックで一体的に成形している。図の外装ケース1は、薄型電池2の両端面を平行枠1bでカバーし、薄型電池2の一方の側面を連結枠1aでカバーしている。図示しないが、本発明の電池パックは、平行枠で薄型電池の両側面をカバーして、連結枠で薄型電池の一方の端面をカバーすることもできる。
このように、薄型電池2の三つの外周面をカバーする形状の外装ケース1は、詳細には後述するが、電池電極や回路基板との配線部分を全てカバーすることができる。このため、これらの配線部分の安全性を確保した上で、連結枠1aと反対側の面を絶縁シート4のみで被覆する構成として、電池パックの小型化が可能となる。
【0021】
外装ケース1の平行枠1bと連結枠1aは、幅を薄型電池2の厚さにほぼ等しく、あるいは薄型電池2よりも薄くしている。この外装ケース1は、平行枠1bと連結枠1aの外形を、薄型電池2の表裏面に突出しない形状として、外装ケース1で電池パックを厚くしない。
【0022】
図の外装ケース1は、連結枠1aに電極窓7を開口して、電極窓7から出力端子8を外部に表出させている。図の電池パックは、出力端子8を回路基板6に固定して、連結枠1aの内面に出力端子8を配置している。回路基板6は、連結枠1aの内面に配置している。回路基板6を定位置に配置するために、回路基板6と薄型電池2との間にホルダー5を配置している。ホルダー5は、プラスチック等の絶縁材を一体的に成形したものである。ホルダー5は、回路基板6と薄型電池2との間に配設される。この電池パックは、連結枠1aを薄型電池2の側面に配置するが、連結枠を薄型電池の一方の端面に配置して、薄型電池の端面と連結枠との間に、ホルダーと回路基板とを配置することもできる。
【0023】
回路基板6は、出力端子8と保護回路(図示せず)を実装している。保護回路は、薄型電池2の過電流を保護する回路やPTC、あるいは薄型電池2の過充電や過放電を防止する回路である。図の電池パックは、温度ヒューズである保護素子11を一方の接続リード9に使用するが、温度ヒューズ等の保護素子を回路基板に実装して、回路基板の両端をリード板で薄型電池に連結することができる。また、電池パックは、保護素子を温度ヒューズに代わってPTCとし、一方の接続リードをPTCとして、回路基板を薄型電池に連結することもできる。
【0024】
ホルダー5は、回路基板6と薄型電池2とに挟着される。図に示すホルダー5は両側の縦リブ5Aの両端と中間を横リブ5Bで連結した形状に成形している。このホルダー5は、一方の面に回路基板6を連結して、他方の面を薄型電池2の側面に嵌合する形状に成形している。ホルダー5は、回路基板6を連結する側では、縦リブ5Aと横リブ5Bの当接縁を同一面に位置させている。ホルダー5の薄型電池2を連結する側は、薄型電池2の側面を嵌合する形状に成形している。
【0025】
薄型電池2は、両側面を所定の曲率半径で湾曲させる形状として、コーナーの面取りされた湾曲面2bとしている。湾曲面2bである薄型電池2の両側面は、中央を突出部としている。この形状の薄型電池2の表裏方向にずれないように、ホルダー5は薄型電池2との対向面を、薄型電池2の湾曲面2bを嵌合できる形状に成形している。すなわち、横リブ5Bの薄型電池2との当接縁を中央凹に湾曲させて、ここに薄型電池2の湾曲面2bを嵌合している。この形状のホルダー5は、薄型電池2の表裏方向にずれを阻止して、ホルダー5と薄型電池2を連結できる。
【0026】
図の電池パックは、回路基板6の両端を、接続リード9を介して薄型電池2の両端の正負の電極に連結している。この図の電池パックは、回路基板6の一端を薄型電池2の底部電極に接続する接続リード9をリード板10とし、回路基板6の他端を薄型電池2の凸部電極2aに接続する接続リード9を保護素子11としている。電池パックは、両方の接続リードをリード板として、回路基板に保護回路を実装することもできる。
【0027】
薄型電池2は、凸部電極2aの端面に絶縁板12を積層している。絶縁板12は、凸部電極2aを突出させる貫通孔12Aを設けている。絶縁板12は接着され、あるいは両面接着テープを介して薄型電池2の端面に固定されて、凸部電極2aに接続される接続リード9である保護素子11を薄型電池2の端面と絶縁する。接続リード9は、抵抗スポット溶接やレーザー溶接して薄型電池2の電極に接続される。また、抵抗スポット溶接やレーザー溶接し、あるいは半田付けして回路基板6に接続される。
【0028】
回路基板6とホルダー5は、嵌合構造で互いに定位置に連結される。図に示す電池パックの嵌合構造は、回路基板6の両側に設けた嵌合凹部13と、プラスチック製のホルダー5に一体的に成形された嵌合凸部14からなる。嵌合凸部14は、回路基板6をホルダー5の定位置に連結する状態で、回路基板6の嵌合凹部13に入れられる位置に設けている。この構造の回路基板6とホルダー5は、回路基板6の嵌合凹部13にホルダー5の嵌合凸部14を入れて、回路基板6とホルダー5とを定位置に連結する状態で、接続リード9を介して回路基板6を薄型電池2に連結する。回路基板6が薄型電池2に連結されると、ホルダー5は回路基板6と薄型電池2に挟着されて、定位置に固定される。
【0029】
以上のように、薄型電池2の湾曲面2bをホルダー5に嵌合してホルダー5を薄型電池2の定位置に連結し、さらに、ホルダー5と回路基板6とを嵌合構造で互いに定位置に連結して、接続リード9を介して回路基板6を薄型電池2に連結すると、回路基板6とホルダー5と薄型電池2は、互いに相対位置がずれないように連結される。
【0030】
薄型電池2とホルダー5と回路基板6を連結した電池の電池コア20に、外装ケース1が連結される。外装ケース1は、回路基板6とホルダー5を連結枠1aの内側に配置して、平行枠1bが薄型電池2の両端面をカバーするように電池コア20に連結される。外装ケース1は、図6に示すように、回路基板6とホルダー5を内部に連結するために、連結枠1aの両側に側壁15を一体的に成形して設けている。この側壁15の内側に回路基板6とホルダー5が収納される。
【0031】
外装ケース1は、連結枠1aとホルダー5を嵌合構造として互いに相対位置がずれないように、電池コア20の定位置に連結される。ホルダー5と連結枠1aの嵌合構造は、ホルダー5の両側に突出して設けている嵌着凸部16と、連結枠1aの側壁15に設けている嵌着凹部17からなる。嵌着凹部17は、ホルダー5を連結枠1aの定位置に配置する状態で、嵌着凸部16を入れる位置に設けている。図の嵌着凹部17は、連結枠1aに設けた嵌着穴である。嵌着凹部は、嵌着凸部を入れる凹部とすることもできる。また、図示しないが、図の嵌合構造とは反対に、連結枠の内面に突出して嵌着凸部を設け、この嵌着凸部を案内する嵌着凹部をホルダーに設けて、ホルダーと外装ケースとを定位置に連結することもできる。
【0032】
図に示す嵌合構造は、嵌着凸部16の外形を、連結枠1a側に先端がある矢印型として、嵌着凹部17の内形を、嵌着凸部16を案内する矢印型としている。この形状の嵌合構造は、嵌入凸部16の矢印の先端を嵌入凹部17に挿入していくにしたがって、嵌着凹部17の開口部が徐々に広げられ、あるいは押し上げられる状態に弾性変形し、嵌着凸部16の先端から最も幅の広いところを越えたときに弾性復帰して嵌着凸部16を抜けなくする。このように、矢印型の嵌着凸部16は、矢印の先端でスムーズに挿入しながら、矢印の幅広部の後端で確実に係止して、連結部を外れないようにしっかりと連結できる。図の嵌合形状は、嵌着凸部16と嵌着凹部17を矢印型としているが、嵌着凸部と嵌着凹部は、引き抜きできない他の全ての嵌着形状にできる。たとえば、嵌着凸部は、先端を傾斜面として後端を垂直面とするフック形状とし、嵌着凹部は、フック形状の嵌着凸部を嵌合できる形状として、引き抜きできないように連結できる。
【0033】
図の外装ケース1は、連結枠1aの側壁15の端縁部に嵌着凹部17を設けて、ホルダー5の縦リブ5Aの外側に突出するように嵌着凸部16を設けている。嵌着凹部17と嵌着凸部16は、両端部と中間に設けている。この構造の外装ケース1は、連結枠1aをホルダー5に嵌合構造で連結して、電池コア20の定位置に連結される。
【0034】
外装ケース1が連結された電池コア20は、ラベル等の絶縁シート4が付着される。絶縁シート4は、薄型電池2の表裏面と、外装ケース1とに接着される。図の電池パックは、絶縁シート4を、薄型電池2の外装ケース1でカバーされないひとつの外周面、図5において薄型電池2の右上に位置する側面でU曲して、薄型電池2の表裏に接着している。絶縁シート4は、外装ケース1を薄型電池2に連結する。したがって、絶縁シート4は、外装ケース1の平行枠1bの両側面と表面にも接着される。
【0035】
図7の断面図は、平行枠1bの断面図であって、絶縁シート4を接着する状態を示している。絶縁シート4は、図8の展開図に示すように、薄型電池2の上面に接着される絶縁シート4の両側に折曲片4Aを突出させている。折曲片4Aは、図7に示すように、直角に折曲されて平行枠1bの表面に接着され、さらに直角に折曲されて平行枠1bの側面から薄型電池2の裏面に接着される。裏面に接着された折曲片4Aの上に、薄型電池2の裏面に積層して、絶縁シート4を接着する。この状態で絶縁シート4が接着された薄型電池2は、裏面の両側で絶縁シート4が2層に積層される。このため、電池パックの厚さが両側でわずかに厚くなる。ただ、薄型電池2は充放電するときに中央がわずかに膨張して、実質的に厚くなる。このとき、薄型電池2の両側は膨れることがない。このため、薄型電池2の両側がわずかに厚くなっても、中央部分の膨れで吸収される。
【0036】
絶縁シート4は、外装ケース1の連結枠1aの両側にも接着される。連結枠1aは、図6の拡大断面図に示すように、絶縁シート4の接着部を、絶縁シート4の厚さに相当して低くしてなる段差面18としている。図5において段差面18の上方には、絶縁シート4の厚さに相当する高さの凸条19を設けて、凸条19と絶縁シート4の表面を同一面としている。
【0037】
絶縁シート4は、可撓性のあるプラスチックシートやラベルである。この絶縁シート4は、接着材を介して薄型電池2と外装ケース1に接着され、あるいは粘着層を介して接着される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の電池パックの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる電池パックの斜視図である。
【図3】図2に示す電池パックを上下反転した斜視図である。
【図4】図2に示す電池パックの分解斜視図である。
【図5】図4に示す電池パックの分解斜視図である。
【図6】図2に示す電池パックのA−A線断面図である。
【図7】図2に示す電池パックのB−B線断面図である。
【図8】絶縁シートの展開図である。
【符号の説明】
【0039】
1…外装ケース 1a…連結枠
1b…平行枠
2…薄型電池 2a…凸部電極
2b…湾曲面
3…開口部
4…絶縁シート 4A…折曲片
5…ホルダー 5A…縦リブ
5B…横リブ
6…回路基板
7…電極窓
8…出力端子
9…接続リード
10…リード板
11…保護素子
12…絶縁板 12A…貫通孔
13…嵌合凹部
14…嵌合凸部
15…側壁
16…嵌着凸部
17…嵌着凹部
18…段差面
19…凸条
20…電池コア
31…外装ケース 31A…第1ケース
31B…第2ケース
31a…側面ケース部
31b…端部ケース部
32…薄型電池
33…開口部
34…絶縁シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の厚さが幅よりも薄く、外周の形状を四角形とする薄型電池(2)を外装ケース(1)に装着して、薄型電池(2)の表面に絶縁シート(4)を接着してなる電池パックであって、
外装ケース(1)は、薄型電池(2)の表裏面を外部に表出させる開口部(3)があって、外周を四角形とする薄型電池(2)の三つの外周面をカバーするように、平行枠(1b)と連結枠(1a)とを一体的に成形して全体の形状をコ字状に成形しており、さらに、平行枠(1b)と連結枠(1a)の幅を薄型電池(2)の厚さにほぼ等しく、あるいは外装ケース(1)を薄型電池(2)よりも薄くしており、
外装ケース(1)の連結枠(1a)は電極窓(7)を開口して、この電極窓(7)から出力端子(8)を外部に表出させており、
さらに、薄型電池(2)の表裏面に接着している絶縁シート(4)を、外装ケース(1)でカバーされない薄型電池(2)のひとつの外周面に接着すると共に、平行枠(1b)の表面にも接着し、絶縁シート(4)でもって平行枠(1b)を薄型電池(2)に固定して薄型電池(2)の定位置に固定してなる電池パック。
【請求項2】
外装ケース(1)の連結枠(1a)と薄型電池(2)のひとつの外周面との間に、ホルダー(5)と回路基板(6)を配設しており、ホルダー(5)は嵌合構造で連結枠(1a)の定位置に連結されている請求項1に記載される電池パック。
【請求項3】
ホルダー(5)と連結枠(1a)の嵌合構造が、ホルダー(5)の両側に設けた嵌着凸部(16)と、連結枠(1a)に設けられて嵌着凸部(16)を案内する嵌着凹部(17)又は嵌着穴である請求項2に記載される電池パック。
【請求項4】
絶縁シート(4)を、薄型電池(2)の外装ケース(1)でカバーされないひとつの外周面でU曲して、薄型電池(2)の表裏に接着している請求項1に記載される電池パック。
【請求項5】
外装ケース(1)が繊維補強プラスチックで、平行枠(1b)と連結枠(1a)とを一体的に成形している請求項1に記載される電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−164558(P2006−164558A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349840(P2004−349840)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】