電池パック
【課題】電池パックのケーシングへの熱伝導を低減して安全性を高める。
【解決手段】充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、二次電池39の保護回路を実装したパック基板74と、電池ホルダ70及びパック基板74を収納するケーシング31とを備え、電池ホルダ70の端面に、電池リード板80を保持した姿勢で表出させると共に、電池ホルダ70とケーシング31との接触面に、複数条の凹凸条78を設ける。これにより、凹凸条の凹凸によって電池ホルダの外面に表出された電池リード板とケーシングの内面との間を部分的に離間させた空気層を設け、断熱性を高め、電池パックの加熱を低減してユーザが手で触れやすくできる。
【解決手段】充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、二次電池39の保護回路を実装したパック基板74と、電池ホルダ70及びパック基板74を収納するケーシング31とを備え、電池ホルダ70の端面に、電池リード板80を保持した姿勢で表出させると共に、電池ホルダ70とケーシング31との接触面に、複数条の凹凸条78を設ける。これにより、凹凸条の凹凸によって電池ホルダの外面に表出された電池リード板とケーシングの内面との間を部分的に離間させた空気層を設け、断熱性を高め、電池パックの加熱を低減してユーザが手で触れやすくできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具等の電気機器に脱着自在に装着されて電力を供給する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電気機器は、充電できる電池を内蔵している電池パックを脱着自在に装着することで、コードレス方式として建築現場等において便利に使用できる。また、電気機器から電池パックを取り外し式とすることで、取り外した電池パックを充電して繰り返し使用できる。内蔵する電池パックの残容量が少なくなった電池パックは、充電器にセットして充電される。このような電池パックを充電する充電器として、ケースの上面に電池パックを脱着自在に装着する装着部を有し、この装着部に充電端子を表出して設けてなる充電器が実用化されている。この充電器は、装着部に装着される電池パックの外部端子を充電端子に接続し、充電端子から充電電力を出力して電池パックを充電する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−280679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックは、充電可能な二次電池セルをリード板で接続して、絶縁性のケーシングに収納している。電池パックを電気機器に接続して放電させると、リード板に大電流が通電するため、リード板が発熱することがある。一般に電池パックは小型化の要請のため、殆ど二次電池セルの外形に沿った形状となる。この結果、二次電池セルの端面は電池パックのケーシングと面する状態となり、さらに二次電池セルの端面同士をリード板で接続するため、リード板もケーシングと面する姿勢に配置されることとなる。この結果、リード板がケーシングの内面と接触することとなり、リード板の発熱がケーシングに熱伝導され、ケーシングが熱を持つ事態が生じる。このような場合に、ユーザが電池パック交換のため等、電池パックのケーシングに触れることが考えられるため、ケーシングが熱を持つことは好ましくない。
【0005】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、電池パックのケーシングへの熱伝導を低減して安全性を高めた電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電池パックによれば、充電可能な二次電池39を備える電池パックであって、充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、前記二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、前記二次電池39の保護回路を実装したパック基板74と、前記電池ホルダ70及びパック基板74を収納するケーシング31とを備え、前記電池ホルダ70の端面に、前記電池リード板80を保持した姿勢で表出させると共に、前記電池ホルダ70とケーシング31との接触面に、複数条の凹凸条78を設けることができる。これにより、凹凸条の凹凸によって電池ホルダの外面に表出された電池リード板とケーシングの内面との間を部分的に離間させた空気層を設け、断熱性を高め、電池パックの加熱を低減してユーザがケーシングを手で触れやすくできる。
【0007】
また、第2の側面に係る電池パックによれば、前記電池ホルダ70は、その端面で前記電池リード板80を表出させるための表出部71を形成しており、前記電池リード板80は前記表出部71内に配置されると共に、前記表出部71内に配置された前記電池リード板80と、前記ケーシング31の内面との間に隙間を設けることができる。これにより、二次電池の放電により電池リード板が発熱しても、隙間によってケーシングと直接接触させずリード空気層を介在させることができ、ケーシングの外側が電池リード板の熱で加熱される事態を低減できる。また、表出部の側方から電池リード板をスポット溶接等で接続することも可能となる。
【0008】
さらに、第3の側面に係る電池パックによれば、さらに前記電池リード板80と前記パック基板74とを配線するリード線を備えており、前記電池ホルダ70の上面に、前記リード線を案内するための案内ボス76を設けることができる。これにより、リード線を固定するための部材を別途設けることなく、簡単な構造でリード線を所望の姿勢に保持でき、組立後にリード線がケーシング内でフリーになる、いわゆるあばれる事態を回避できる。
【0009】
さらにまた、第4の側面に係る電池パックによれば、さらに前記二次電池39と前記パック基板74とを配線する出力リード板82と、前記パック基板74に接続された基板リード板とを備えており、前記基板リード板又は出力リード板82のいずれか一方のリード板が、部分的に切り込みを形成されており、該切り込み部分で折曲されてV字状の隙間を形成し、該隙間に他方のリード板を挟み込んでなり、さらに該挟み込み部分を半田付けすることができる。これにより、従来容易でなかったリード板同士の半田付けによる固定を容易に行えるという優れた利点が得られる。特に、リード板同士を仮固定するための特別な部材や構造も不要にでき、必要最小限のスペースでリード板同士の固定を行うことができる。
【0010】
さらにまた、第5の側面に係る電池パックによれば、前記基板リード板が、該電池パックを充電するための充電器の充電端子と接続するための外部接続端子33を兼用することができる。これにより、充電端子と出力リード板との半田付けを容易に行える。
【0011】
さらにまた、第6の側面に係る電池パックによれば、前記外部接続端子33を、前記出力リード板82と、出力リード線83とで前記二次電池39と接続することができる。これにより、リード板とリード線との組み合わせにより、ケーシング内で利用可能な限られた空間内で効率よく二次電池との配線を行うことができる。
【0012】
さらにまた、第7の側面に係る電池パックによれば、前記二次電池39が長手方向に延長された円筒形電池であり、さらに前記複数の円筒形電池が互いに平行に隣接して配置されてなり、前記電池リード板80が、前記リード線を固定するためのリード固定部81を形成しており、前記電池リード板80は、隣接する円筒形二次電池39同士の間の谷間部分に前記リード固定部81が位置する状態で、該二次電池39の端面に固定することができる。これにより、電池リード板のリード固定部にリード線を挿入する作業が、隣接する円筒形二次電池同士の谷間にリード線を案内することで極めて容易に行え、リード線の組み立て作業を省力化できる利点が得られる。
【0013】
さらにまた、第8の側面に係る電池パックによれば、さらに、前記二次電池39の温度を検出するための温度検出手段54を備えており、前記温度検出手段54が、前記ケーシング31内で並べて配置された複数の二次電池39の内、中間に位置する二次電池39同士の間に配置することができる。これにより、二次電池を並べた構成において温度が高くなる傾向にある中間部位の温度を検出して、二次電池の保護を図ることができる。
【0014】
さらにまた、第9の側面に係る電池パックによれば、前記温度検出手段54が、信号リード線84を介して前記パック基板74と接続されると共に、前記電池ホルダ70は、前記信号リード線84を通す温度検出挿入孔55を開口しており、前記電池ホルダ70の上面で、前記温度検出挿入孔55を開口した位置に、前記パック基板74を固定することができる。これにより、温度検出手段とパック基板との電気接続を短い距離に抑えると共に、パック基板で温度検出挿入孔を閉塞でき、電池ホルダに開口された温度検出挿入孔から異物が内部に侵入する事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電池パック100を示す斜視図である。
【図2】図1の電池パックを背面から見た斜視図である。
【図3】図1の電池パックの分解斜視図である。
【図4】図3の電池パックを背面から見た分解斜視図である。
【図5】図3の電池ホルダの平面図である。
【図6】図5の電池ホルダの半田付け前の状態を示す斜視図である。
【図7】図6の電池ホルダを背面から見た斜視図である。
【図8】図6の電池ホルダの分解斜視図である。
【図9】図8を下方から見た斜視図である。
【図10】電池ホルダの水平断面図である。
【図11】電池リード板を二次電池端面に固定する状態を示す要部拡大分解斜視図である。
【図12】図6の電池リード板にリード線を挿入する状態を示す拡大斜視図である。
【図13】外部接続端子を示す斜視図である。
【図14】図6の基板リード板に出力リード板を固定する状態を示す拡大斜視図である。
【図15】電池パックを電池パック用充電器に装着した状態を示す斜視図である。
【図16】図15の電池パック用充電器から電池パックを外した状態を示す斜視図である。
【図17】図15の電池パック用充電器のXVII−XVII線における縦断面図であ
【図18】図17の電池パック用充電器から電池パックを外した状態を示す縦断面図である。
【図19】図15のXIX−XIX線における横断面図である。
【図20】本発明の一実施例にかかる充電器に電池パックを接続した状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0017】
図1〜図14に、本発明の一実施の形態に係る電池パックを示す。これらの図において、図1は電池パック30を示す斜視図、図2は図1の電池パック30を背面から見た斜視図、図3は図1の電池パック30の分解斜視図、図4は図3の電池パック30を背面から見た分解斜視図、図5は図3の電池ホルダ70の平面図、図6は図5の電池ホルダ70の半田付け前の状態を示す斜視図、図7は図6の電池ホルダ70を背面から見た斜視図、図8は図6の電池ホルダ70の分解斜視図、図9は図8を下方から見た斜視図、図10は電池ホルダ70の水平断面図、図11は電池リード板80を二次電池39端面に固定する状態を示す要部拡大分解斜視図、図12は図6の電池リード板80にリード線を挿入する状態を示す拡大斜視図、図13は、外部接続端子33を示す斜視図、図14は図6の基板リード板に出力リード板82を固定する状態を示す拡大斜視図を、それぞれ示している。この例では、電池パック30を装着する電気機器として、電動工具に適用した例を説明する。これらの図に示す電池パック30は、充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、二次電池39の保護回路を実装したパック基板74と、二次電池39の温度を検出する温度検出手段54と、電池ホルダ70及びパック基板74を収納するケーシング31とを備える。
(ケーシング31)
【0018】
ケーシング31は、図1及び図2に示すように、外観を箱状に形成されており、隅部を面取りすると共に、表面に電気機器である電動工具や、充電器の接続端子3と接続するための外部電極を表出させている。また電池パック30を電動工具や充電器に装着する際に、装着状態を保持するための保持凸部37を備える。このケーシング31は、絶縁性と強度に優れた樹脂等により成型される。
【0019】
またケーシング31は、図3及び図4の分解斜視図に示すように上ケーシング31Aと下ケーシング31Bに二分割されている。ケーシング31の内部には収納空間を構成しており、ここに電池ホルダ70とパック基板74、及び保持凸部37を収納する。
(電池ホルダ70)
【0020】
電池ホルダ70は、図5及び図6、図7に示すように、二次電池39と、パック基板74と、電池リード板80と、各種リード線とを備えている。またこの電池ホルダ70は、図8の分解斜視図に示すように、下面に二次電池39を収納する電池収納空間と、上面にパック基板74を固定する基板固定部75とを設けている。二次電池39同士は、電池ホルダ70の端面に開口された表出部71から表出する二次電池39の端面同士を、電池リード板80で電気接続され、さらに電池ホルダ70に二次電池を収納した電池コアの出力を出力リード板82と、第二出力リード板82B及び出力リード線83とでパック基板74に接続している。また電池リード板80は、信号リード線84を介してパック基板74と接続されている。なお出力リード線83は高電圧線であるため、高電流に対応した太い導線が使用され、一方信号リード線84は信号線であるため、これよりも細い導線で足りる。
(充放電端子34)
【0021】
パック基板74には、電池コアの出力を、電動工具や充電器と接続するための充放電端子34を備えている。この例では、電池コアからの出力は、第二出力リード板82B及び出力リード線83と、出力リード板82を介して、パック基板74上の充放電端子34と接続されている。
(保護回路)
【0022】
さらにパック基板74上には、二次電池39の保護回路が実装されている。保護回路は、各電池リード板80と信号リード線84を介して接続されており、例えば各二次電池39の電池電圧を検出する。また保護回路は、電池温度を検出する温度検出手段54とも別途信号リード線84を介して接続されている。
(信号端子35)
【0023】
さらにパック基板74は、外部接続端子33として、充放電端子34に加え、保護回路の出力や電池情報等を出力する信号端子35も備えている。これら充放電端子34や信号端子35は、図1等に示すように、ケーシング31の表面から表出される。このため上ケーシング31Aには、図1〜図3に示すように縦溝38が形成されている。
(二次電池39)
【0024】
ケーシング31は、内部に二次電池39を内蔵できる形状に形成される。ここでは、二次電池として外装缶を長手方向に延長された円筒状とした円筒形二次電池を使用している。このケーシング31は、図3〜図8に示すようにケーシング31内に複数本の二次電池39を互いにほぼ平行姿勢で、同一平面上に横並びに隣接するように配置している。電池パック30に内蔵される二次電池39は、リチウムイオン電池である。ただ、二次電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、ポリマー電池等の充電できる他の全ての電池とすることもできる。複数の二次電池は、複数本を直列に接続して出力電圧を高くし、また複数本を並列に接続して出力電流を大きくできる。この例では、二次電池39をリチウムイオン電池とし、4本を直列に接続して出力電圧を14.4Vとしている。電池数を5本にして直列に接続すれば、出力電圧は18Vとなる。ただ電池パックは、内蔵する二次電池の本数や接続状態を特定しない。電池パックは、使用する電気機器の種類や用途に応じて内蔵する二次電池の本数と出力電圧を種々に設計できる。
(電池収納空間)
【0025】
電池ホルダ70の電池収納空間は、図8及び図9の斜視図に示すようにスペーサ壁72で仕切られ、隣接する二次電池39同士を電気的に隔離して収納する。スペーサ壁72は、複数枚が下方に向かって突出するように設けられており、下方から二次電池39をスペーサ壁72同士の間に収納する。図8〜図10の例では、3枚のスペーサ壁72を設けて4本の二次電池39を収納すると共に、両側は図6〜図9等に示すように、両端に位置する二次電池39の側面を上部分のみホルダ側壁73で被覆し、二次電池39の側面から下側にかけて表出させている。また電池ホルダ70の上方では、図8及び図9に示すように、円筒形二次電池39の側面に一致するように、各二次電池39の収納位置が湾曲されて形成されている。これによって電池収納空間は、断面視逆U字状に下方を開口しており、二次電池39を下方に開口された電池収納空間から挿入する。またスペーサ壁72は、隣接する二次電池39同士の間から下方に延びるように形成され、電池ホルダ70の上面側には突出させない。さらに電池ホルダ70の上面側には、パック基板74を固定するための基板固定部75が設けられている。
(スペーサ壁72)
【0026】
スペーサ壁72は、スペーサ壁72同士の間に二次電池39を収納した状態でこれを保持できるよう、二次電池39の直径とほぼ同じか、これよりも若干小さい幅に設けられる。電池ホルダ70は、絶縁性、断熱性に優れ、かつ可撓性を有するプラスチックなどの樹脂で形成されており、スペーサ壁72は電池ホルダ70に一体成型で設けられる。これにより、スペーサ壁72同士の間に二次電池39を挿入した状態で弾性変形して二次電池39の側面が押圧されて、抜け落ちないように保持される。同時に、隣接する二次電池39同士をスペーサ壁72で絶縁、断熱でき、例えばいずれかの二次電池が高温になった際でも隣接する二次電池に熱が伝搬する事態を低減できる。
(表出部71)
【0027】
さらに電池ホルダ70の端面には、電池収納空間に収納された二次電池39の端面を少なくとも部分的に表出させる表出部71を設けている。表出部71は、二次電池39の端面を表出させる一方で、二次電池39が抜け落ちないように端面よりも小さく形成される。図8〜図9等の例では、二次電池39端面の上部と側部とを部分的に覆い、かつ下方を開口させたコ字状に形成されている。この電池ホルダ70は、二次電池39を電池収納空間に収納した状態で、表出部71から表出される端面同士を電池リード板80で接続する。
(電池リード板80)
【0028】
電池リード板80は図8、図11の斜視図などに示すように、導電性に優れた平板状の金属板であり、表出部71に収納できる大きさに形成される。この電池リード板80はスポット溶接のため、溶接スリットを形成しており、電池収納空間に収納された状態で隣接する二次電池39の端面同士に固定される。
【0029】
従来、電池コアが組み立て作業中に電池ホルダから外れてしまう事態を防止するため、テープなどで二次電池を電池ホルダに束ねていた。これに対して本実施の形態では、電池リード板80で二次電池が固定されているため、このようなテープ等を利用した締結を不要にでき、組立時の作業効率を改善できる。また従来は、組立作業中に電池コア同士が接触して短絡する事態を回避するため、電池コアの端面に絶縁板を貼付していた。これに対して本実施の形態では、電池コアを電池ホルダ70で覆うことにより、組立作業中に隣接する電池コア同士の意図しない短絡を回避できる。
(信号リード線84と電池リード板80の固定構造)
【0030】
さらに電池リード板80は、信号リード線84を固定するためのリード固定部81を形成している。図11及び図12の例では、リード固定部81は電池リード板80上部のほぼ中央から突出して形成された孔である。この孔に信号リード線84を挿通して半田付けにより固定され、この信号リード線84を介して電池リード板80をパック基板74に接続している。特にこの例では、各二次電池39の電池電圧を検出して、パック基板74に送出している。
【0031】
このような孔は一般に小さいため、孔に信号リード線を通す作業は簡単でなく、手間がかかる。そこで本実施の形態では、図12に示すように、円筒形の二次電池39同士を隣接させた際に、二次電池39の側面同士が接する部分に生じる谷間に、リード固定部81である孔が位置するように配置している。この構成によって、信号リード線84を二次電池同士の谷間に置いた状態で、電池リード板80側に進めることによって、必然的に信号リード線84の先端が二次電池同士の谷間に案内され、そのままリード固定部81の孔に挿入でき、従来面倒であった信号リード線84の孔通し作業を大幅に省力化でき、組み立て作業効率の改善が図られる。
(基板固定部75)
【0032】
電池ホルダ70の上面には、パック基板74を固定するための基板固定部75が設けられる。基板固定部75は、図8の分解斜視図などに示すように、二次電池39を並べたほぼ中央に形成され、パック基板74を螺合するためのねじ穴を形成している。パック基板74は、パック基板74を貫通するねじ穴を中央に開口しており、ねじによって電池ホルダ70の上面に固定される。
(案内ボス76、案内リブ77)
【0033】
さらに電池ホルダ70の上面には、図5等に示すように、リード線を案内するための案内部材として、案内ボス76と案内リブ77を設けている。従来の組立方法では、リード線を使用する場合は半田付けの作業し易さ等を考慮して、リード線を本来必要な最短距離の長さよりも長めに用意していた。しかしながらこの場合、リード線を半田付けなどにより固定した後は、リード線が必要な長さ以上に余ることから完全に固定されず、動きやすくなる結果、組立後にケーシング内でリード線がフリーな、いわゆる暴れる状態となって、他の部材に当たったり、接触や擦れによって断線や短絡を生じる可能性があった。またこのような問題を回避するために、例えば結束バンドでリード線を締結する等、リード線を固定するための部材や構成を別途用意することも行われているが、手間もコストも余分にかかる。そこで本実施の形態では、リード線を案内するための案内部材として、案内ボス76と案内リブ77を設けている。案内ボス76は、円柱状に複数箇所に設けられて、この案内ボス76でリード線を折曲したり、巻き付けたり、間を通すなどして、リード線を規定する。また案内リブ77は、平行板を設けてこの間にリード板を挿入して案内する。また平行板同士の間には、必要に応じて開口部分を狭くする方向に突出させた突起を設けており、突起でリード線を押圧して、案内リブ77の間からリード線が抜け落ちないように保持する。これら案内ボス76や案内リブ77は、電池ホルダ70の上面に一体成型により形成できる。このように、複数の案内ボス76と案内リブ77を使ってリード線を所定の姿勢に保持することができ、従来のようにリード線を結束したりする手間を省いて、簡単な構造によりリード線を安定的に保持することができ、移動に起因する擦れや断線のおそれを低減して信頼性を高めることができる。
(温度検出手段54)
【0034】
さらに電池ホルダ70は、二次電池39の温度を検出するための温度検出手段54を固定している。温度検出手段54には、サーミスタなど、温度情報を電気信号として検出可能な温度センサが使用できる。この温度検出手段54は、図8などに示すように、複数の二次電池39の内、中間に位置する二次電池同士の間に固定されている。一般には温度検出手段は隅部の二次電池に固定されることが多いが、複数の二次電池を並べてケーシング内に収納する構成においては、内部ほど熱が籠もる傾向があるため、内部の方が隅部よりも温度が高くなると考えられる。そこで、少ない数の温度検出手段で二次電池の温度を効果的に検出するため、この例では中間の二次電池同士の間に温度検出手段を配置することで、最も高い二次電池の温度を検出でき、パック基板側に最も高い電池温度情報を送出することで、安全性を高めることができる。
(温度検出挿入孔55)
【0035】
図8の例では、電池ホルダ70の上面に温度検出挿入孔55が開口されており、温度検出挿入孔55の裏側で、二次電池39同士の間で、隣接する両方の二次電池と接するように温度検出手段54を配置すると共に、この温度検出手段54と接続された信号リード線84Bを温度検出挿入孔55から引き出して、パック基板74に送出する。またこの例では、温度検出挿入孔55を閉塞する位置にパック基板74を固定している。これによって開口部分をパック基板74で閉塞でき、温度検出挿入孔55を介して電池ホルダ70内部に埃などの異物や水が浸入する可能性を低減できる利点が得られる。また、温度検出手段54とパック基板74との電気接続距離を短くできるという効果も得られる。
(リード板同士の半田付け構造)
【0036】
パック基板74上には、基板リード板も固定される。図6、図7などの例では、基板リード板は電池パック30を充電する充電器の充電端子と接続するための外部接続端子33である。この外部接続端子33は、第二出力リード板82Bに接続された出力リード線83と、出力リード板82とにより、電池コアと接続されている。すなわち、4本の二次電池39を直列接続した電池コアの、端面に位置する各電池リード板80がそれぞれ正極、負極の出力となり、これの一方を第二出力リード板82Bを介して出力リード線83と、他方を出力リード板82と、それぞれ接続する。
(狭持片86)
【0037】
外部接続端子33の背面には、図7に示すように端子接続部33aを設けており、出力リード線83は端子接続部33aに開口された接続孔33bに挿入され、半田付けされる。一方、出力リード板82は、外部接続端子33と半田付けされる。具体的には、図13に示すように外部接続端子33の側面に、U字状の切り込みを形成し、かつ切り込みにより形成された狭持片86を、外側に折曲して逆V字状の隙間を形成する。この隙間に、図14に示すように出力リード板82の上端を挿入し、狭持片86で出力リード板82の一部を挟み込んで仮固定する。この状態で図3に示すように半田87で半田付けすることで、隙間部分に半田が流れ込み易くなり、金属板同士の半田付けを容易に行える。
【0038】
これにより、従来容易でなかったリード板同士の半田付けによる固定を容易に行えるという優れた利点が得られる。すなわち、従来リード板同士を半田付けしようとすれば、面同士の接触となるため、リード板同士を所定の姿勢に仮固定する必要が生じ、またこの状態で半田付けしようとしても、半田を思うように定在させることが容易でなく、またリード板自体の熱伝導が良いことも相俟って、半田の馴染みや濡れが悪く、十分な強度を得ることが難しかった。これに対して上記構成によれば、リード板に切り込みを設けて、隙間に他のリード板を挟み込むという極めて簡単な構造によって、リード板同士を仮固定でき、さらに接触面の隙間に半田が流れ込み易くして、極めて簡単でありながら効果的な金属板同士の半田付けが実現できる。また、リード板同士を仮固定するための特別な部材や構造も不要にでき、必要最小限のスペースでリード板同士の固定を行うことができる。特に、リード板から横方向への突出量も最低限に抑えることができるので、固定部分が大きくなることも回避できる。さらに端子一部品でリード板やリード線の半田付けに対応できるため、部品点数の低減にも寄与できる。
【0039】
なお上記の例では、外部接続端子33に狭持片86を形成して、ここで形成される隙間に出力リード板82を挟み込む構成としたが、この構成に限られず、例えば出力リード板側に狭持片を形成して、外部接続端子を隙間に挟み込む構成とすることも可能であることはいうまでもない。また上記の例では、外部接続端子を出力リード線と出力リード板の組み合わせにより電池コアと接続することで、ケーシング内で利用可能な限られた空間内で効率よく二次電池との配線を行っているが、例えば利用可能な空間や信号リード線との交差状態などに応じて、両方を第二出力リード板と出力リード線で接続したり、あるいは両方をリード線を使用することなく出力リード板のみで接続することも可能である。
(シート部材56)
【0040】
以上の電池ホルダ70は、図3の分解斜視図に示すように、ケーシング31内に収納される。電池ホルダ70と下ケーシング31Bとの間には、好ましくはシート部材56を介在させる。このシート部材56は、絶縁性と断熱性に優れた材質(例えばシリコーンなど)で形成される。またシート部材56にクッション性を持たせることで、外部からの衝撃を吸収、緩和できる効果も得られる。また電池ホルダとケーシング底面とのクリアランスの削減にも寄与できる。
(凹凸条78)
【0041】
さらに、電池ホルダ70の外面とケーシング31の内面との接触面には、複数条の凹凸条78を設けている。この凹凸条78は、図6、図7の斜視図に示すように、電池ホルダ70の端面で電池リード板80を表出させる表出部71以外の領域に、上下方向に延長されたスリット状に形成されている。この凹凸条78によって、図10の水平断面図に示すように、電池ホルダ70の表面は凹凸状にケーシング31内面と接触するため、凹部で空気層が形成される。この結果、電池ホルダ70とケーシング31との接触面積を減らすと共に、空気層の断熱効果によって、電池ホルダ70からケーシング31への熱伝導が抑制され、ケーシング31が熱くなる事態を低減できる。特に、図10に示すように凹凸条78を鉛直方向に延びるスリット状とすることで、ケーシング31内部の空気が熱により自然対流する効果が得られ、空気の移動によって熱が一箇所に留まる事態を低減して、断熱効果のみならず、ケーシング31内部での熱伝導効果も得られる。
(リード空気層)
【0042】
また、表出部71に電池リード板80を配置すると共に、表出部71内に配置された電池リード板80と、ケーシング31の内面との間に隙間を設けてリード空気層としている。ここでは、表出部71を構成する電池ホルダ70側面の厚さよりも、電池リード板80の厚さを薄くしている。これにより、二次電池39の放電により電池リード板80が発熱しても、リード空気層を介在させることで直接接触させず、断熱効果を高めてケーシング31の外側が電池リード板80の熱で加熱される事態を低減できる。
【0043】
このようにして、電池パックの放電時あるいは充電時の発熱によって、必要以上にケーシングが加熱されて熱くなる事態を回避し、ユーザが電池パックに手などで触れることを容易にする。さらに、ケーシングの内部で固定される電池ホルダとケーシングとの接触面積を、凹凸条と表出部によって低減し、いわば面よりも複数の点で保持する構造として、電池ホルダを浮かせた状態で保持し、例えば外部からの衝撃に対しても、電池ホルダに直接的な応力が伝導することを低減して二次電池への衝撃や圧力を緩和し、保護効果も得られる。
【0044】
なお、上記の例では凹凸条としてスリット状に形成したが、この例に限られず、電池ホルダの外面とケーシングの内面との間に空間を形成できる形状が適宜利用できる。例えば、円形や多角形などのドット状に凹凸条を形成してもよい。
(保持凸部37)
【0045】
保持凸部37は、図1〜図4に示すように部分的にケーシング31から表出させるようにして、ケーシング31内に可動自在に収納される。保持凸部37は、上面に操作部を有すると共に、下面に電池パック30の装着時の進行方向に面して傾斜させた傾斜面と、傾斜面から連続して形成された垂直面とを有する係止フック37bを設けている。この係止フック37bは操作部と一体成型されている。また装着部2には、この係止フック37bと対応する位置に保持凹部17を形成している。この保持凹部17も、傾斜面と一致する凹部傾斜面と、水直面と一致する凹部垂直面とを有している。
【0046】
この電池パック30を専用の充電器に装着する様子を、図15〜図19に示す。これらの図において、図15は電池パック30を電池パック用充電器100に装着した状態を示す斜視図、図16は図15の電池パック用充電器100から電池パック30を外した状態を示す斜視図、図17は図15の電池パック用充電器100のXVII−XVII線における縦断面図、図18は図17の電池パック用充電器100から電池パック30を外した状態を示す縦断面図、図19は図15のXIX−XIX線における横断面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、係止フック37bはコイルスプリング等の弾性部材57で下方に突出するよう付勢されている。この電池パック30は、装着部2に装着する際は、電池パック30をスライドさせる進行方向に沿って傾斜部が押圧されて収縮され、電池パック30の進行を許容する。電池パック30が所定位置まで進行されると、この位置に対応して形成された保持凹部17に係止フック37bが収納され、かつ弾性部材57で係止フック37bが押圧されて、垂直面が凹部垂直面と当接し係止状態となる。この状態では、電池パック30を装着部2から引き抜く方向に力が働いても、垂直面が凹部垂直面と当接することによって係止状態が維持され、電池パック30のスライドが妨げられる。そしてユーザが電池パック30を電池パック用充電器100から取り外す際には、保持凸部37の操作部を手で押し上げるように操作することで、係止フック37bと保持凹部17との係止状態が解除されて、電池パック30のスライドが許容され、取り外し可能な状態となる。電池パック30は、側面に設けたパックガイド60に装着ガイド50を挿入してスライドさせ、装着部2の奥まで押し込んだ状態で、電池パック30の外部接続端子33が電池パック用充電器100の接続端子3と接触され、さらに保持凸部37を保持凹部17に係止させて、電池パック用充電器100に装着される。
(装着ガイド50)
【0047】
電池パック30を装着部2の底面2Aに沿って正しい姿勢でスライドさせるために、ケース1の対向する側壁6には、装着ガイド50として、内面から突出するガイド凸部を突出させている。また、電池パック30のケーシング31の両側面には、パックガイド60として、このガイド凸部を案内するガイド溝を設けている。ガイド溝は、図19の横断面図に示すように、ガイド凸部を挿入できる凹状に形成される。ガイド凸部は、電池パック30を装着部2に装着するときに、電池パック30の両側面に設けたガイド溝に案内して、電池パック30を正しい姿勢で装着部2に案内できる。ガイド凸部は、電池パック30が挿入される側に位置して、側壁6に一体成形して設けることができる。ガイド凸部は、電池パック30の装着方向に延長して設けて、装着部2に装着される電池パック30をガイド凸部に沿ってスライドさせて、電池パック30の外部接続端子33を装着部2の接続端子3に正しい姿勢で接触できる。
【0048】
なお上述の例では、装着部2側にガイド凸部を設け、電池パック30側にガイド溝を設けた例を説明したが、この構成に限られるものでなく、例えば電池パック側にガイド凸部を、装着部側にガイド溝を、それぞれ設けてもよい。
(外部接続端子33)
【0049】
電池パック30は、上述の通り電気機器や充電器と接続するための外部接続端子33を複数備えている。例えば電池パック30を電池パック用充電器100に装着する場合、電池パック用充電器100の装着部2に配置される複数の接続端子3と、外部接続端子33とがそれぞれ接続される。複数の外部接続端子33は、電池パック30を電池パック用充電器100の装着部2に装着する状態で、装着部2の底面2Aと対向する底面であるセット面32に配置している。図の電池パック30は、ケーシング31の底面に段差凹部36を設けており、電池パック用充電器100の装着部2に突出する固定凸部9をこの段差凹部36に案内して装着部2の定位置にセットされるようにしている。
【0050】
さらに、図1〜図3の電池パック30は、セット面32に複数列の縦溝38を平行に設けると共に、この縦溝38の内側に弾性接点である外部接続端子33を設けている。弾性接点である外部接続端子33は、縦溝38に挿入される板状の接続端子3を両側から弾性的に押圧する状態で挟着して電気接続する。図の外部接続端子33は、両側に配置される充放電端子34と、これらの充放電端子34の間に配置される信号端子35とを備えている。両側の充放電端子34は、電池パック用充電器100の充電端子4に接続され、中間の信号端子35は、電池パック用充電器100の信号端子である非充電端子5に接続される。複数の信号端子35は、電池パック30に内蔵される複数の二次電池39の情報を外部に伝達するための端子である。この信号端子35は、例えば電池パック30に内蔵される二次電池39の異常信号や温度信号、識別信号等を出力する識別信号端子とできる。なおこの例では、充放電端子34と信号端子35とを共通化して、4つの外部接続端子33の製造の簡素化を図っている。
(充電回路20)
【0051】
電池パック用充電器100は、装着部2に装着された電池パック30を充電するための充電回路20を内蔵している。電池パック用充電器100の両側に配置される正負の充電端子4は、装着部2にセットされる電池パック30の正負の充放電端子34に接続されて、電池パック30に充電電力を供給する。正極側の充電端子4は、図20の回路図に示すように、充電回路20に接続されており、電池パック30に電力を供給して内蔵される二次電池39を充電する。図の電池パック用充電器100は、商用電源(図示せず)から供給される交流電源を整流回路22で直流に変換し、この直流の電圧を充電回路20で充電用の電圧に変換して充電端子4から出力する。この充電回路20は、例えば、整流回路22の出力側と正極側の充電端子4との間に接続しているスイッチング素子(図示せず)をON/OFFに制御するデューティを変化させて、電池パック30の充電に最適な充電電圧と充電電流に調整する。
【0052】
一対の充電端子4の間に配置される非充電端子5は、信号端子である。図に示す接続端子3は2個の信号端子を備えている。これらの信号端子は、電池パック30に内蔵される二次電池39の異常信号が入力される異常信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池39の温度信号が入力される温度信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池39の識別信号が入力される識別信号端子としている。ただ、信号端子は、これら以外の信号、例えば、電池の充電状態や、電池の種々の情報を伝達する信号端子とすることもできる。
【0053】
制御回路21は、異常信号端子に異常信号が入力されると、電池パック30の異常と判定して、充電回路20をオフに切り換えて充電を停止する。さらに、制御回路21は、温度信号端子に入力される温度信号から、電池パック30に内蔵される二次電池39の温度を検出する。この制御回路21は、電池温度が最高温度よりも高くなると、充電電流を遮断して充電を中断し、あるいは充電電流を少なくして、電池温度を低下させる。電池温度が設定温度よりも低くなると、正常な充電電流で充電する。
【0054】
さらに、制御回路21は、識別信号端子から入力される電池の識別信号から電池パック30を充電する最適な電圧と電流値を判別して充電端子4から出力する充電電圧と充電電流を変更する。この電池パック用充電器100は、電池パック30が装着されると、電池パック30の制御部40から出力される電池の識別信号を制御回路21で受信し、制御回路21が、入力された電池の識別信号から電池パック30のタイプを判別して、この電池パック30を充電するのに最適な電圧と電流値となるように充電回路20を制御する。この電池パック用充電器100は、電池パック30を充電する充電電圧と充電電流を、電池パック30から入力される電池の識別信号から判別して最適な電圧に切り換えて充電するので、一つの電池パック用充電器で出力電圧の異なる複数種の電池パックを充電できる。ただ、電池パック用充電器は、必ずしも出力電圧を切り換える必要はなく、一定の出力電圧で電池パックを充電することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る電池パックは、電動工具用電池パックや、アシスト自転車、電動バイク、携帯電話等の携帯機器用の電池パックとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…ケース
2…装着部;2A…底面
3…接続端子
4…充電端子
5…非充電端子
6…側壁
9…固定凸部
17…保持凹部
20…充電回路
21…制御回路
22…整流回路
30…電池パック
31…ケーシング;31A…上ケーシング;31B…下ケーシング
32…セット面
33…外部接続端子;33a…端子接続部;33b…接続孔
34…充放電端子
35…信号端子
36…段差凹部
37…保持凸部;37b…係止フック
38…縦溝
39…二次電池
40…制御部
41…充放電スイッチ
42…温度センサ
43…電流検出抵抗
50…装着ガイド
54…温度検出手段
55…温度検出挿入孔
56…シート部材
57…弾性部材
60…パックガイド
70…電池ホルダ
71…表出部
72…スペーサ壁
73…ホルダ側壁
74…パック基板
75…基板固定部
76…案内ボス
77…案内リブ
78…凹凸条
80…電池リード板
81…リード固定部
82…出力リード板;82B…第二出力リード板
83…出力リード線
84、84B…信号リード線
86…狭持片
87…半田
100…電池パック用充電器
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具等の電気機器に脱着自在に装着されて電力を供給する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電気機器は、充電できる電池を内蔵している電池パックを脱着自在に装着することで、コードレス方式として建築現場等において便利に使用できる。また、電気機器から電池パックを取り外し式とすることで、取り外した電池パックを充電して繰り返し使用できる。内蔵する電池パックの残容量が少なくなった電池パックは、充電器にセットして充電される。このような電池パックを充電する充電器として、ケースの上面に電池パックを脱着自在に装着する装着部を有し、この装着部に充電端子を表出して設けてなる充電器が実用化されている。この充電器は、装着部に装着される電池パックの外部端子を充電端子に接続し、充電端子から充電電力を出力して電池パックを充電する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−280679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックは、充電可能な二次電池セルをリード板で接続して、絶縁性のケーシングに収納している。電池パックを電気機器に接続して放電させると、リード板に大電流が通電するため、リード板が発熱することがある。一般に電池パックは小型化の要請のため、殆ど二次電池セルの外形に沿った形状となる。この結果、二次電池セルの端面は電池パックのケーシングと面する状態となり、さらに二次電池セルの端面同士をリード板で接続するため、リード板もケーシングと面する姿勢に配置されることとなる。この結果、リード板がケーシングの内面と接触することとなり、リード板の発熱がケーシングに熱伝導され、ケーシングが熱を持つ事態が生じる。このような場合に、ユーザが電池パック交換のため等、電池パックのケーシングに触れることが考えられるため、ケーシングが熱を持つことは好ましくない。
【0005】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、電池パックのケーシングへの熱伝導を低減して安全性を高めた電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電池パックによれば、充電可能な二次電池39を備える電池パックであって、充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、前記二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、前記二次電池39の保護回路を実装したパック基板74と、前記電池ホルダ70及びパック基板74を収納するケーシング31とを備え、前記電池ホルダ70の端面に、前記電池リード板80を保持した姿勢で表出させると共に、前記電池ホルダ70とケーシング31との接触面に、複数条の凹凸条78を設けることができる。これにより、凹凸条の凹凸によって電池ホルダの外面に表出された電池リード板とケーシングの内面との間を部分的に離間させた空気層を設け、断熱性を高め、電池パックの加熱を低減してユーザがケーシングを手で触れやすくできる。
【0007】
また、第2の側面に係る電池パックによれば、前記電池ホルダ70は、その端面で前記電池リード板80を表出させるための表出部71を形成しており、前記電池リード板80は前記表出部71内に配置されると共に、前記表出部71内に配置された前記電池リード板80と、前記ケーシング31の内面との間に隙間を設けることができる。これにより、二次電池の放電により電池リード板が発熱しても、隙間によってケーシングと直接接触させずリード空気層を介在させることができ、ケーシングの外側が電池リード板の熱で加熱される事態を低減できる。また、表出部の側方から電池リード板をスポット溶接等で接続することも可能となる。
【0008】
さらに、第3の側面に係る電池パックによれば、さらに前記電池リード板80と前記パック基板74とを配線するリード線を備えており、前記電池ホルダ70の上面に、前記リード線を案内するための案内ボス76を設けることができる。これにより、リード線を固定するための部材を別途設けることなく、簡単な構造でリード線を所望の姿勢に保持でき、組立後にリード線がケーシング内でフリーになる、いわゆるあばれる事態を回避できる。
【0009】
さらにまた、第4の側面に係る電池パックによれば、さらに前記二次電池39と前記パック基板74とを配線する出力リード板82と、前記パック基板74に接続された基板リード板とを備えており、前記基板リード板又は出力リード板82のいずれか一方のリード板が、部分的に切り込みを形成されており、該切り込み部分で折曲されてV字状の隙間を形成し、該隙間に他方のリード板を挟み込んでなり、さらに該挟み込み部分を半田付けすることができる。これにより、従来容易でなかったリード板同士の半田付けによる固定を容易に行えるという優れた利点が得られる。特に、リード板同士を仮固定するための特別な部材や構造も不要にでき、必要最小限のスペースでリード板同士の固定を行うことができる。
【0010】
さらにまた、第5の側面に係る電池パックによれば、前記基板リード板が、該電池パックを充電するための充電器の充電端子と接続するための外部接続端子33を兼用することができる。これにより、充電端子と出力リード板との半田付けを容易に行える。
【0011】
さらにまた、第6の側面に係る電池パックによれば、前記外部接続端子33を、前記出力リード板82と、出力リード線83とで前記二次電池39と接続することができる。これにより、リード板とリード線との組み合わせにより、ケーシング内で利用可能な限られた空間内で効率よく二次電池との配線を行うことができる。
【0012】
さらにまた、第7の側面に係る電池パックによれば、前記二次電池39が長手方向に延長された円筒形電池であり、さらに前記複数の円筒形電池が互いに平行に隣接して配置されてなり、前記電池リード板80が、前記リード線を固定するためのリード固定部81を形成しており、前記電池リード板80は、隣接する円筒形二次電池39同士の間の谷間部分に前記リード固定部81が位置する状態で、該二次電池39の端面に固定することができる。これにより、電池リード板のリード固定部にリード線を挿入する作業が、隣接する円筒形二次電池同士の谷間にリード線を案内することで極めて容易に行え、リード線の組み立て作業を省力化できる利点が得られる。
【0013】
さらにまた、第8の側面に係る電池パックによれば、さらに、前記二次電池39の温度を検出するための温度検出手段54を備えており、前記温度検出手段54が、前記ケーシング31内で並べて配置された複数の二次電池39の内、中間に位置する二次電池39同士の間に配置することができる。これにより、二次電池を並べた構成において温度が高くなる傾向にある中間部位の温度を検出して、二次電池の保護を図ることができる。
【0014】
さらにまた、第9の側面に係る電池パックによれば、前記温度検出手段54が、信号リード線84を介して前記パック基板74と接続されると共に、前記電池ホルダ70は、前記信号リード線84を通す温度検出挿入孔55を開口しており、前記電池ホルダ70の上面で、前記温度検出挿入孔55を開口した位置に、前記パック基板74を固定することができる。これにより、温度検出手段とパック基板との電気接続を短い距離に抑えると共に、パック基板で温度検出挿入孔を閉塞でき、電池ホルダに開口された温度検出挿入孔から異物が内部に侵入する事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電池パック100を示す斜視図である。
【図2】図1の電池パックを背面から見た斜視図である。
【図3】図1の電池パックの分解斜視図である。
【図4】図3の電池パックを背面から見た分解斜視図である。
【図5】図3の電池ホルダの平面図である。
【図6】図5の電池ホルダの半田付け前の状態を示す斜視図である。
【図7】図6の電池ホルダを背面から見た斜視図である。
【図8】図6の電池ホルダの分解斜視図である。
【図9】図8を下方から見た斜視図である。
【図10】電池ホルダの水平断面図である。
【図11】電池リード板を二次電池端面に固定する状態を示す要部拡大分解斜視図である。
【図12】図6の電池リード板にリード線を挿入する状態を示す拡大斜視図である。
【図13】外部接続端子を示す斜視図である。
【図14】図6の基板リード板に出力リード板を固定する状態を示す拡大斜視図である。
【図15】電池パックを電池パック用充電器に装着した状態を示す斜視図である。
【図16】図15の電池パック用充電器から電池パックを外した状態を示す斜視図である。
【図17】図15の電池パック用充電器のXVII−XVII線における縦断面図であ
【図18】図17の電池パック用充電器から電池パックを外した状態を示す縦断面図である。
【図19】図15のXIX−XIX線における横断面図である。
【図20】本発明の一実施例にかかる充電器に電池パックを接続した状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0017】
図1〜図14に、本発明の一実施の形態に係る電池パックを示す。これらの図において、図1は電池パック30を示す斜視図、図2は図1の電池パック30を背面から見た斜視図、図3は図1の電池パック30の分解斜視図、図4は図3の電池パック30を背面から見た分解斜視図、図5は図3の電池ホルダ70の平面図、図6は図5の電池ホルダ70の半田付け前の状態を示す斜視図、図7は図6の電池ホルダ70を背面から見た斜視図、図8は図6の電池ホルダ70の分解斜視図、図9は図8を下方から見た斜視図、図10は電池ホルダ70の水平断面図、図11は電池リード板80を二次電池39端面に固定する状態を示す要部拡大分解斜視図、図12は図6の電池リード板80にリード線を挿入する状態を示す拡大斜視図、図13は、外部接続端子33を示す斜視図、図14は図6の基板リード板に出力リード板82を固定する状態を示す拡大斜視図を、それぞれ示している。この例では、電池パック30を装着する電気機器として、電動工具に適用した例を説明する。これらの図に示す電池パック30は、充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、二次電池39の保護回路を実装したパック基板74と、二次電池39の温度を検出する温度検出手段54と、電池ホルダ70及びパック基板74を収納するケーシング31とを備える。
(ケーシング31)
【0018】
ケーシング31は、図1及び図2に示すように、外観を箱状に形成されており、隅部を面取りすると共に、表面に電気機器である電動工具や、充電器の接続端子3と接続するための外部電極を表出させている。また電池パック30を電動工具や充電器に装着する際に、装着状態を保持するための保持凸部37を備える。このケーシング31は、絶縁性と強度に優れた樹脂等により成型される。
【0019】
またケーシング31は、図3及び図4の分解斜視図に示すように上ケーシング31Aと下ケーシング31Bに二分割されている。ケーシング31の内部には収納空間を構成しており、ここに電池ホルダ70とパック基板74、及び保持凸部37を収納する。
(電池ホルダ70)
【0020】
電池ホルダ70は、図5及び図6、図7に示すように、二次電池39と、パック基板74と、電池リード板80と、各種リード線とを備えている。またこの電池ホルダ70は、図8の分解斜視図に示すように、下面に二次電池39を収納する電池収納空間と、上面にパック基板74を固定する基板固定部75とを設けている。二次電池39同士は、電池ホルダ70の端面に開口された表出部71から表出する二次電池39の端面同士を、電池リード板80で電気接続され、さらに電池ホルダ70に二次電池を収納した電池コアの出力を出力リード板82と、第二出力リード板82B及び出力リード線83とでパック基板74に接続している。また電池リード板80は、信号リード線84を介してパック基板74と接続されている。なお出力リード線83は高電圧線であるため、高電流に対応した太い導線が使用され、一方信号リード線84は信号線であるため、これよりも細い導線で足りる。
(充放電端子34)
【0021】
パック基板74には、電池コアの出力を、電動工具や充電器と接続するための充放電端子34を備えている。この例では、電池コアからの出力は、第二出力リード板82B及び出力リード線83と、出力リード板82を介して、パック基板74上の充放電端子34と接続されている。
(保護回路)
【0022】
さらにパック基板74上には、二次電池39の保護回路が実装されている。保護回路は、各電池リード板80と信号リード線84を介して接続されており、例えば各二次電池39の電池電圧を検出する。また保護回路は、電池温度を検出する温度検出手段54とも別途信号リード線84を介して接続されている。
(信号端子35)
【0023】
さらにパック基板74は、外部接続端子33として、充放電端子34に加え、保護回路の出力や電池情報等を出力する信号端子35も備えている。これら充放電端子34や信号端子35は、図1等に示すように、ケーシング31の表面から表出される。このため上ケーシング31Aには、図1〜図3に示すように縦溝38が形成されている。
(二次電池39)
【0024】
ケーシング31は、内部に二次電池39を内蔵できる形状に形成される。ここでは、二次電池として外装缶を長手方向に延長された円筒状とした円筒形二次電池を使用している。このケーシング31は、図3〜図8に示すようにケーシング31内に複数本の二次電池39を互いにほぼ平行姿勢で、同一平面上に横並びに隣接するように配置している。電池パック30に内蔵される二次電池39は、リチウムイオン電池である。ただ、二次電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、ポリマー電池等の充電できる他の全ての電池とすることもできる。複数の二次電池は、複数本を直列に接続して出力電圧を高くし、また複数本を並列に接続して出力電流を大きくできる。この例では、二次電池39をリチウムイオン電池とし、4本を直列に接続して出力電圧を14.4Vとしている。電池数を5本にして直列に接続すれば、出力電圧は18Vとなる。ただ電池パックは、内蔵する二次電池の本数や接続状態を特定しない。電池パックは、使用する電気機器の種類や用途に応じて内蔵する二次電池の本数と出力電圧を種々に設計できる。
(電池収納空間)
【0025】
電池ホルダ70の電池収納空間は、図8及び図9の斜視図に示すようにスペーサ壁72で仕切られ、隣接する二次電池39同士を電気的に隔離して収納する。スペーサ壁72は、複数枚が下方に向かって突出するように設けられており、下方から二次電池39をスペーサ壁72同士の間に収納する。図8〜図10の例では、3枚のスペーサ壁72を設けて4本の二次電池39を収納すると共に、両側は図6〜図9等に示すように、両端に位置する二次電池39の側面を上部分のみホルダ側壁73で被覆し、二次電池39の側面から下側にかけて表出させている。また電池ホルダ70の上方では、図8及び図9に示すように、円筒形二次電池39の側面に一致するように、各二次電池39の収納位置が湾曲されて形成されている。これによって電池収納空間は、断面視逆U字状に下方を開口しており、二次電池39を下方に開口された電池収納空間から挿入する。またスペーサ壁72は、隣接する二次電池39同士の間から下方に延びるように形成され、電池ホルダ70の上面側には突出させない。さらに電池ホルダ70の上面側には、パック基板74を固定するための基板固定部75が設けられている。
(スペーサ壁72)
【0026】
スペーサ壁72は、スペーサ壁72同士の間に二次電池39を収納した状態でこれを保持できるよう、二次電池39の直径とほぼ同じか、これよりも若干小さい幅に設けられる。電池ホルダ70は、絶縁性、断熱性に優れ、かつ可撓性を有するプラスチックなどの樹脂で形成されており、スペーサ壁72は電池ホルダ70に一体成型で設けられる。これにより、スペーサ壁72同士の間に二次電池39を挿入した状態で弾性変形して二次電池39の側面が押圧されて、抜け落ちないように保持される。同時に、隣接する二次電池39同士をスペーサ壁72で絶縁、断熱でき、例えばいずれかの二次電池が高温になった際でも隣接する二次電池に熱が伝搬する事態を低減できる。
(表出部71)
【0027】
さらに電池ホルダ70の端面には、電池収納空間に収納された二次電池39の端面を少なくとも部分的に表出させる表出部71を設けている。表出部71は、二次電池39の端面を表出させる一方で、二次電池39が抜け落ちないように端面よりも小さく形成される。図8〜図9等の例では、二次電池39端面の上部と側部とを部分的に覆い、かつ下方を開口させたコ字状に形成されている。この電池ホルダ70は、二次電池39を電池収納空間に収納した状態で、表出部71から表出される端面同士を電池リード板80で接続する。
(電池リード板80)
【0028】
電池リード板80は図8、図11の斜視図などに示すように、導電性に優れた平板状の金属板であり、表出部71に収納できる大きさに形成される。この電池リード板80はスポット溶接のため、溶接スリットを形成しており、電池収納空間に収納された状態で隣接する二次電池39の端面同士に固定される。
【0029】
従来、電池コアが組み立て作業中に電池ホルダから外れてしまう事態を防止するため、テープなどで二次電池を電池ホルダに束ねていた。これに対して本実施の形態では、電池リード板80で二次電池が固定されているため、このようなテープ等を利用した締結を不要にでき、組立時の作業効率を改善できる。また従来は、組立作業中に電池コア同士が接触して短絡する事態を回避するため、電池コアの端面に絶縁板を貼付していた。これに対して本実施の形態では、電池コアを電池ホルダ70で覆うことにより、組立作業中に隣接する電池コア同士の意図しない短絡を回避できる。
(信号リード線84と電池リード板80の固定構造)
【0030】
さらに電池リード板80は、信号リード線84を固定するためのリード固定部81を形成している。図11及び図12の例では、リード固定部81は電池リード板80上部のほぼ中央から突出して形成された孔である。この孔に信号リード線84を挿通して半田付けにより固定され、この信号リード線84を介して電池リード板80をパック基板74に接続している。特にこの例では、各二次電池39の電池電圧を検出して、パック基板74に送出している。
【0031】
このような孔は一般に小さいため、孔に信号リード線を通す作業は簡単でなく、手間がかかる。そこで本実施の形態では、図12に示すように、円筒形の二次電池39同士を隣接させた際に、二次電池39の側面同士が接する部分に生じる谷間に、リード固定部81である孔が位置するように配置している。この構成によって、信号リード線84を二次電池同士の谷間に置いた状態で、電池リード板80側に進めることによって、必然的に信号リード線84の先端が二次電池同士の谷間に案内され、そのままリード固定部81の孔に挿入でき、従来面倒であった信号リード線84の孔通し作業を大幅に省力化でき、組み立て作業効率の改善が図られる。
(基板固定部75)
【0032】
電池ホルダ70の上面には、パック基板74を固定するための基板固定部75が設けられる。基板固定部75は、図8の分解斜視図などに示すように、二次電池39を並べたほぼ中央に形成され、パック基板74を螺合するためのねじ穴を形成している。パック基板74は、パック基板74を貫通するねじ穴を中央に開口しており、ねじによって電池ホルダ70の上面に固定される。
(案内ボス76、案内リブ77)
【0033】
さらに電池ホルダ70の上面には、図5等に示すように、リード線を案内するための案内部材として、案内ボス76と案内リブ77を設けている。従来の組立方法では、リード線を使用する場合は半田付けの作業し易さ等を考慮して、リード線を本来必要な最短距離の長さよりも長めに用意していた。しかしながらこの場合、リード線を半田付けなどにより固定した後は、リード線が必要な長さ以上に余ることから完全に固定されず、動きやすくなる結果、組立後にケーシング内でリード線がフリーな、いわゆる暴れる状態となって、他の部材に当たったり、接触や擦れによって断線や短絡を生じる可能性があった。またこのような問題を回避するために、例えば結束バンドでリード線を締結する等、リード線を固定するための部材や構成を別途用意することも行われているが、手間もコストも余分にかかる。そこで本実施の形態では、リード線を案内するための案内部材として、案内ボス76と案内リブ77を設けている。案内ボス76は、円柱状に複数箇所に設けられて、この案内ボス76でリード線を折曲したり、巻き付けたり、間を通すなどして、リード線を規定する。また案内リブ77は、平行板を設けてこの間にリード板を挿入して案内する。また平行板同士の間には、必要に応じて開口部分を狭くする方向に突出させた突起を設けており、突起でリード線を押圧して、案内リブ77の間からリード線が抜け落ちないように保持する。これら案内ボス76や案内リブ77は、電池ホルダ70の上面に一体成型により形成できる。このように、複数の案内ボス76と案内リブ77を使ってリード線を所定の姿勢に保持することができ、従来のようにリード線を結束したりする手間を省いて、簡単な構造によりリード線を安定的に保持することができ、移動に起因する擦れや断線のおそれを低減して信頼性を高めることができる。
(温度検出手段54)
【0034】
さらに電池ホルダ70は、二次電池39の温度を検出するための温度検出手段54を固定している。温度検出手段54には、サーミスタなど、温度情報を電気信号として検出可能な温度センサが使用できる。この温度検出手段54は、図8などに示すように、複数の二次電池39の内、中間に位置する二次電池同士の間に固定されている。一般には温度検出手段は隅部の二次電池に固定されることが多いが、複数の二次電池を並べてケーシング内に収納する構成においては、内部ほど熱が籠もる傾向があるため、内部の方が隅部よりも温度が高くなると考えられる。そこで、少ない数の温度検出手段で二次電池の温度を効果的に検出するため、この例では中間の二次電池同士の間に温度検出手段を配置することで、最も高い二次電池の温度を検出でき、パック基板側に最も高い電池温度情報を送出することで、安全性を高めることができる。
(温度検出挿入孔55)
【0035】
図8の例では、電池ホルダ70の上面に温度検出挿入孔55が開口されており、温度検出挿入孔55の裏側で、二次電池39同士の間で、隣接する両方の二次電池と接するように温度検出手段54を配置すると共に、この温度検出手段54と接続された信号リード線84Bを温度検出挿入孔55から引き出して、パック基板74に送出する。またこの例では、温度検出挿入孔55を閉塞する位置にパック基板74を固定している。これによって開口部分をパック基板74で閉塞でき、温度検出挿入孔55を介して電池ホルダ70内部に埃などの異物や水が浸入する可能性を低減できる利点が得られる。また、温度検出手段54とパック基板74との電気接続距離を短くできるという効果も得られる。
(リード板同士の半田付け構造)
【0036】
パック基板74上には、基板リード板も固定される。図6、図7などの例では、基板リード板は電池パック30を充電する充電器の充電端子と接続するための外部接続端子33である。この外部接続端子33は、第二出力リード板82Bに接続された出力リード線83と、出力リード板82とにより、電池コアと接続されている。すなわち、4本の二次電池39を直列接続した電池コアの、端面に位置する各電池リード板80がそれぞれ正極、負極の出力となり、これの一方を第二出力リード板82Bを介して出力リード線83と、他方を出力リード板82と、それぞれ接続する。
(狭持片86)
【0037】
外部接続端子33の背面には、図7に示すように端子接続部33aを設けており、出力リード線83は端子接続部33aに開口された接続孔33bに挿入され、半田付けされる。一方、出力リード板82は、外部接続端子33と半田付けされる。具体的には、図13に示すように外部接続端子33の側面に、U字状の切り込みを形成し、かつ切り込みにより形成された狭持片86を、外側に折曲して逆V字状の隙間を形成する。この隙間に、図14に示すように出力リード板82の上端を挿入し、狭持片86で出力リード板82の一部を挟み込んで仮固定する。この状態で図3に示すように半田87で半田付けすることで、隙間部分に半田が流れ込み易くなり、金属板同士の半田付けを容易に行える。
【0038】
これにより、従来容易でなかったリード板同士の半田付けによる固定を容易に行えるという優れた利点が得られる。すなわち、従来リード板同士を半田付けしようとすれば、面同士の接触となるため、リード板同士を所定の姿勢に仮固定する必要が生じ、またこの状態で半田付けしようとしても、半田を思うように定在させることが容易でなく、またリード板自体の熱伝導が良いことも相俟って、半田の馴染みや濡れが悪く、十分な強度を得ることが難しかった。これに対して上記構成によれば、リード板に切り込みを設けて、隙間に他のリード板を挟み込むという極めて簡単な構造によって、リード板同士を仮固定でき、さらに接触面の隙間に半田が流れ込み易くして、極めて簡単でありながら効果的な金属板同士の半田付けが実現できる。また、リード板同士を仮固定するための特別な部材や構造も不要にでき、必要最小限のスペースでリード板同士の固定を行うことができる。特に、リード板から横方向への突出量も最低限に抑えることができるので、固定部分が大きくなることも回避できる。さらに端子一部品でリード板やリード線の半田付けに対応できるため、部品点数の低減にも寄与できる。
【0039】
なお上記の例では、外部接続端子33に狭持片86を形成して、ここで形成される隙間に出力リード板82を挟み込む構成としたが、この構成に限られず、例えば出力リード板側に狭持片を形成して、外部接続端子を隙間に挟み込む構成とすることも可能であることはいうまでもない。また上記の例では、外部接続端子を出力リード線と出力リード板の組み合わせにより電池コアと接続することで、ケーシング内で利用可能な限られた空間内で効率よく二次電池との配線を行っているが、例えば利用可能な空間や信号リード線との交差状態などに応じて、両方を第二出力リード板と出力リード線で接続したり、あるいは両方をリード線を使用することなく出力リード板のみで接続することも可能である。
(シート部材56)
【0040】
以上の電池ホルダ70は、図3の分解斜視図に示すように、ケーシング31内に収納される。電池ホルダ70と下ケーシング31Bとの間には、好ましくはシート部材56を介在させる。このシート部材56は、絶縁性と断熱性に優れた材質(例えばシリコーンなど)で形成される。またシート部材56にクッション性を持たせることで、外部からの衝撃を吸収、緩和できる効果も得られる。また電池ホルダとケーシング底面とのクリアランスの削減にも寄与できる。
(凹凸条78)
【0041】
さらに、電池ホルダ70の外面とケーシング31の内面との接触面には、複数条の凹凸条78を設けている。この凹凸条78は、図6、図7の斜視図に示すように、電池ホルダ70の端面で電池リード板80を表出させる表出部71以外の領域に、上下方向に延長されたスリット状に形成されている。この凹凸条78によって、図10の水平断面図に示すように、電池ホルダ70の表面は凹凸状にケーシング31内面と接触するため、凹部で空気層が形成される。この結果、電池ホルダ70とケーシング31との接触面積を減らすと共に、空気層の断熱効果によって、電池ホルダ70からケーシング31への熱伝導が抑制され、ケーシング31が熱くなる事態を低減できる。特に、図10に示すように凹凸条78を鉛直方向に延びるスリット状とすることで、ケーシング31内部の空気が熱により自然対流する効果が得られ、空気の移動によって熱が一箇所に留まる事態を低減して、断熱効果のみならず、ケーシング31内部での熱伝導効果も得られる。
(リード空気層)
【0042】
また、表出部71に電池リード板80を配置すると共に、表出部71内に配置された電池リード板80と、ケーシング31の内面との間に隙間を設けてリード空気層としている。ここでは、表出部71を構成する電池ホルダ70側面の厚さよりも、電池リード板80の厚さを薄くしている。これにより、二次電池39の放電により電池リード板80が発熱しても、リード空気層を介在させることで直接接触させず、断熱効果を高めてケーシング31の外側が電池リード板80の熱で加熱される事態を低減できる。
【0043】
このようにして、電池パックの放電時あるいは充電時の発熱によって、必要以上にケーシングが加熱されて熱くなる事態を回避し、ユーザが電池パックに手などで触れることを容易にする。さらに、ケーシングの内部で固定される電池ホルダとケーシングとの接触面積を、凹凸条と表出部によって低減し、いわば面よりも複数の点で保持する構造として、電池ホルダを浮かせた状態で保持し、例えば外部からの衝撃に対しても、電池ホルダに直接的な応力が伝導することを低減して二次電池への衝撃や圧力を緩和し、保護効果も得られる。
【0044】
なお、上記の例では凹凸条としてスリット状に形成したが、この例に限られず、電池ホルダの外面とケーシングの内面との間に空間を形成できる形状が適宜利用できる。例えば、円形や多角形などのドット状に凹凸条を形成してもよい。
(保持凸部37)
【0045】
保持凸部37は、図1〜図4に示すように部分的にケーシング31から表出させるようにして、ケーシング31内に可動自在に収納される。保持凸部37は、上面に操作部を有すると共に、下面に電池パック30の装着時の進行方向に面して傾斜させた傾斜面と、傾斜面から連続して形成された垂直面とを有する係止フック37bを設けている。この係止フック37bは操作部と一体成型されている。また装着部2には、この係止フック37bと対応する位置に保持凹部17を形成している。この保持凹部17も、傾斜面と一致する凹部傾斜面と、水直面と一致する凹部垂直面とを有している。
【0046】
この電池パック30を専用の充電器に装着する様子を、図15〜図19に示す。これらの図において、図15は電池パック30を電池パック用充電器100に装着した状態を示す斜視図、図16は図15の電池パック用充電器100から電池パック30を外した状態を示す斜視図、図17は図15の電池パック用充電器100のXVII−XVII線における縦断面図、図18は図17の電池パック用充電器100から電池パック30を外した状態を示す縦断面図、図19は図15のXIX−XIX線における横断面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、係止フック37bはコイルスプリング等の弾性部材57で下方に突出するよう付勢されている。この電池パック30は、装着部2に装着する際は、電池パック30をスライドさせる進行方向に沿って傾斜部が押圧されて収縮され、電池パック30の進行を許容する。電池パック30が所定位置まで進行されると、この位置に対応して形成された保持凹部17に係止フック37bが収納され、かつ弾性部材57で係止フック37bが押圧されて、垂直面が凹部垂直面と当接し係止状態となる。この状態では、電池パック30を装着部2から引き抜く方向に力が働いても、垂直面が凹部垂直面と当接することによって係止状態が維持され、電池パック30のスライドが妨げられる。そしてユーザが電池パック30を電池パック用充電器100から取り外す際には、保持凸部37の操作部を手で押し上げるように操作することで、係止フック37bと保持凹部17との係止状態が解除されて、電池パック30のスライドが許容され、取り外し可能な状態となる。電池パック30は、側面に設けたパックガイド60に装着ガイド50を挿入してスライドさせ、装着部2の奥まで押し込んだ状態で、電池パック30の外部接続端子33が電池パック用充電器100の接続端子3と接触され、さらに保持凸部37を保持凹部17に係止させて、電池パック用充電器100に装着される。
(装着ガイド50)
【0047】
電池パック30を装着部2の底面2Aに沿って正しい姿勢でスライドさせるために、ケース1の対向する側壁6には、装着ガイド50として、内面から突出するガイド凸部を突出させている。また、電池パック30のケーシング31の両側面には、パックガイド60として、このガイド凸部を案内するガイド溝を設けている。ガイド溝は、図19の横断面図に示すように、ガイド凸部を挿入できる凹状に形成される。ガイド凸部は、電池パック30を装着部2に装着するときに、電池パック30の両側面に設けたガイド溝に案内して、電池パック30を正しい姿勢で装着部2に案内できる。ガイド凸部は、電池パック30が挿入される側に位置して、側壁6に一体成形して設けることができる。ガイド凸部は、電池パック30の装着方向に延長して設けて、装着部2に装着される電池パック30をガイド凸部に沿ってスライドさせて、電池パック30の外部接続端子33を装着部2の接続端子3に正しい姿勢で接触できる。
【0048】
なお上述の例では、装着部2側にガイド凸部を設け、電池パック30側にガイド溝を設けた例を説明したが、この構成に限られるものでなく、例えば電池パック側にガイド凸部を、装着部側にガイド溝を、それぞれ設けてもよい。
(外部接続端子33)
【0049】
電池パック30は、上述の通り電気機器や充電器と接続するための外部接続端子33を複数備えている。例えば電池パック30を電池パック用充電器100に装着する場合、電池パック用充電器100の装着部2に配置される複数の接続端子3と、外部接続端子33とがそれぞれ接続される。複数の外部接続端子33は、電池パック30を電池パック用充電器100の装着部2に装着する状態で、装着部2の底面2Aと対向する底面であるセット面32に配置している。図の電池パック30は、ケーシング31の底面に段差凹部36を設けており、電池パック用充電器100の装着部2に突出する固定凸部9をこの段差凹部36に案内して装着部2の定位置にセットされるようにしている。
【0050】
さらに、図1〜図3の電池パック30は、セット面32に複数列の縦溝38を平行に設けると共に、この縦溝38の内側に弾性接点である外部接続端子33を設けている。弾性接点である外部接続端子33は、縦溝38に挿入される板状の接続端子3を両側から弾性的に押圧する状態で挟着して電気接続する。図の外部接続端子33は、両側に配置される充放電端子34と、これらの充放電端子34の間に配置される信号端子35とを備えている。両側の充放電端子34は、電池パック用充電器100の充電端子4に接続され、中間の信号端子35は、電池パック用充電器100の信号端子である非充電端子5に接続される。複数の信号端子35は、電池パック30に内蔵される複数の二次電池39の情報を外部に伝達するための端子である。この信号端子35は、例えば電池パック30に内蔵される二次電池39の異常信号や温度信号、識別信号等を出力する識別信号端子とできる。なおこの例では、充放電端子34と信号端子35とを共通化して、4つの外部接続端子33の製造の簡素化を図っている。
(充電回路20)
【0051】
電池パック用充電器100は、装着部2に装着された電池パック30を充電するための充電回路20を内蔵している。電池パック用充電器100の両側に配置される正負の充電端子4は、装着部2にセットされる電池パック30の正負の充放電端子34に接続されて、電池パック30に充電電力を供給する。正極側の充電端子4は、図20の回路図に示すように、充電回路20に接続されており、電池パック30に電力を供給して内蔵される二次電池39を充電する。図の電池パック用充電器100は、商用電源(図示せず)から供給される交流電源を整流回路22で直流に変換し、この直流の電圧を充電回路20で充電用の電圧に変換して充電端子4から出力する。この充電回路20は、例えば、整流回路22の出力側と正極側の充電端子4との間に接続しているスイッチング素子(図示せず)をON/OFFに制御するデューティを変化させて、電池パック30の充電に最適な充電電圧と充電電流に調整する。
【0052】
一対の充電端子4の間に配置される非充電端子5は、信号端子である。図に示す接続端子3は2個の信号端子を備えている。これらの信号端子は、電池パック30に内蔵される二次電池39の異常信号が入力される異常信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池39の温度信号が入力される温度信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池39の識別信号が入力される識別信号端子としている。ただ、信号端子は、これら以外の信号、例えば、電池の充電状態や、電池の種々の情報を伝達する信号端子とすることもできる。
【0053】
制御回路21は、異常信号端子に異常信号が入力されると、電池パック30の異常と判定して、充電回路20をオフに切り換えて充電を停止する。さらに、制御回路21は、温度信号端子に入力される温度信号から、電池パック30に内蔵される二次電池39の温度を検出する。この制御回路21は、電池温度が最高温度よりも高くなると、充電電流を遮断して充電を中断し、あるいは充電電流を少なくして、電池温度を低下させる。電池温度が設定温度よりも低くなると、正常な充電電流で充電する。
【0054】
さらに、制御回路21は、識別信号端子から入力される電池の識別信号から電池パック30を充電する最適な電圧と電流値を判別して充電端子4から出力する充電電圧と充電電流を変更する。この電池パック用充電器100は、電池パック30が装着されると、電池パック30の制御部40から出力される電池の識別信号を制御回路21で受信し、制御回路21が、入力された電池の識別信号から電池パック30のタイプを判別して、この電池パック30を充電するのに最適な電圧と電流値となるように充電回路20を制御する。この電池パック用充電器100は、電池パック30を充電する充電電圧と充電電流を、電池パック30から入力される電池の識別信号から判別して最適な電圧に切り換えて充電するので、一つの電池パック用充電器で出力電圧の異なる複数種の電池パックを充電できる。ただ、電池パック用充電器は、必ずしも出力電圧を切り換える必要はなく、一定の出力電圧で電池パックを充電することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る電池パックは、電動工具用電池パックや、アシスト自転車、電動バイク、携帯電話等の携帯機器用の電池パックとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…ケース
2…装着部;2A…底面
3…接続端子
4…充電端子
5…非充電端子
6…側壁
9…固定凸部
17…保持凹部
20…充電回路
21…制御回路
22…整流回路
30…電池パック
31…ケーシング;31A…上ケーシング;31B…下ケーシング
32…セット面
33…外部接続端子;33a…端子接続部;33b…接続孔
34…充放電端子
35…信号端子
36…段差凹部
37…保持凸部;37b…係止フック
38…縦溝
39…二次電池
40…制御部
41…充放電スイッチ
42…温度センサ
43…電流検出抵抗
50…装着ガイド
54…温度検出手段
55…温度検出挿入孔
56…シート部材
57…弾性部材
60…パックガイド
70…電池ホルダ
71…表出部
72…スペーサ壁
73…ホルダ側壁
74…パック基板
75…基板固定部
76…案内ボス
77…案内リブ
78…凹凸条
80…電池リード板
81…リード固定部
82…出力リード板;82B…第二出力リード板
83…出力リード線
84、84B…信号リード線
86…狭持片
87…半田
100…電池パック用充電器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な二次電池(39)を備える電池パックであって、
充電可能な複数の二次電池(39)を保持する電池ホルダ(70)と、
前記二次電池(39)同士を端面で接続する電池リード板(80)と、
前記二次電池(39)の保護回路を実装したパック基板(74)と、
前記電池ホルダ(70)及びパック基板(74)を収納するケーシングと、
を備え、
前記電池ホルダ(70)の端面に、前記電池リード板(80)を保持した姿勢で表出させると共に、
前記電池ホルダ(70)とケーシングとの接触面に、複数条の凹凸条(78)を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記電池ホルダ(70)は、その端面で前記電池リード板(80)を表出させるための表出部(71)を形成しており、
前記電池リード板(80)は前記表出部(71)内に配置されると共に、前記表出部(71)内に配置された前記電池リード板(80)と、前記ケーシングの内面との間に隙間を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池パックであって、さらに、
前記電池リード板(80)と前記パック基板(74)とを配線するリード線を備えており、
前記電池ホルダ(70)の上面に、前記リード線を案内するための案内ボス(76)を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電池パックであって、さらに、
前記二次電池(39)と前記パック基板(74)とを配線する出力リード板(82)と、
前記パック基板(74)に接続された基板リード板と、
を備えており、
前記基板リード板又は出力リード板(82)のいずれか一方のリード板が、部分的に切り込みを形成されており、該切り込み部分で折曲されてV字状の隙間を形成し、該隙間に他方のリード板を挟み込んでなり、さらに該挟み込み部分が半田付けされてなることを特徴とするパック電池。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パックであって、
前記基板リード板が、該電池パックを充電するための充電器の充電端子と接続するための外部接続端子(33)を兼用してなることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項5に記載の電池パックであって、
前記外部接続端子(33)を、前記出力リード板(82)と、出力リード線(83)とで前記二次電池(39)と接続してなることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記二次電池(39)が長手方向に延長された円筒形電池であり、
さらに前記複数の円筒形電池が互いに平行に隣接して配置されてなり、
前記電池リード板(80)が、前記リード線を固定するためのリード固定部(81)を形成しており、
前記電池リード板(80)は、隣接する円筒形二次電池(39)同士の間の谷間部分に前記リード固定部(81)が位置する状態で、該二次電池(39)の端面に固定されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の電池パックであって、さらに、
前記二次電池(39)の温度を検出するための温度検出手段(54)を備えており、
前記温度検出手段(54)が、前記ケーシング内で並べて配置された複数の二次電池(39)の内、中間に位置する二次電池(39)同士の間に配置されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項9】
請求項8に記載の電池パックであって、
前記温度検出手段(54)が、信号リード線(84)を介して前記パック基板(74)と接続されると共に、
前記電池ホルダ(70)は、前記信号リード線(84)を通す温度検出挿入孔(55)を開口しており、
前記電池ホルダ(70)の上面で、前記温度検出挿入孔(55)を開口した位置に、前記パック基板(74)が固定されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項1】
充電可能な二次電池(39)を備える電池パックであって、
充電可能な複数の二次電池(39)を保持する電池ホルダ(70)と、
前記二次電池(39)同士を端面で接続する電池リード板(80)と、
前記二次電池(39)の保護回路を実装したパック基板(74)と、
前記電池ホルダ(70)及びパック基板(74)を収納するケーシングと、
を備え、
前記電池ホルダ(70)の端面に、前記電池リード板(80)を保持した姿勢で表出させると共に、
前記電池ホルダ(70)とケーシングとの接触面に、複数条の凹凸条(78)を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記電池ホルダ(70)は、その端面で前記電池リード板(80)を表出させるための表出部(71)を形成しており、
前記電池リード板(80)は前記表出部(71)内に配置されると共に、前記表出部(71)内に配置された前記電池リード板(80)と、前記ケーシングの内面との間に隙間を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池パックであって、さらに、
前記電池リード板(80)と前記パック基板(74)とを配線するリード線を備えており、
前記電池ホルダ(70)の上面に、前記リード線を案内するための案内ボス(76)を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電池パックであって、さらに、
前記二次電池(39)と前記パック基板(74)とを配線する出力リード板(82)と、
前記パック基板(74)に接続された基板リード板と、
を備えており、
前記基板リード板又は出力リード板(82)のいずれか一方のリード板が、部分的に切り込みを形成されており、該切り込み部分で折曲されてV字状の隙間を形成し、該隙間に他方のリード板を挟み込んでなり、さらに該挟み込み部分が半田付けされてなることを特徴とするパック電池。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パックであって、
前記基板リード板が、該電池パックを充電するための充電器の充電端子と接続するための外部接続端子(33)を兼用してなることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項5に記載の電池パックであって、
前記外部接続端子(33)を、前記出力リード板(82)と、出力リード線(83)とで前記二次電池(39)と接続してなることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記二次電池(39)が長手方向に延長された円筒形電池であり、
さらに前記複数の円筒形電池が互いに平行に隣接して配置されてなり、
前記電池リード板(80)が、前記リード線を固定するためのリード固定部(81)を形成しており、
前記電池リード板(80)は、隣接する円筒形二次電池(39)同士の間の谷間部分に前記リード固定部(81)が位置する状態で、該二次電池(39)の端面に固定されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の電池パックであって、さらに、
前記二次電池(39)の温度を検出するための温度検出手段(54)を備えており、
前記温度検出手段(54)が、前記ケーシング内で並べて配置された複数の二次電池(39)の内、中間に位置する二次電池(39)同士の間に配置されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項9】
請求項8に記載の電池パックであって、
前記温度検出手段(54)が、信号リード線(84)を介して前記パック基板(74)と接続されると共に、
前記電池ホルダ(70)は、前記信号リード線(84)を通す温度検出挿入孔(55)を開口しており、
前記電池ホルダ(70)の上面で、前記温度検出挿入孔(55)を開口した位置に、前記パック基板(74)が固定されてなることを特徴とする電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−222459(P2011−222459A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93577(P2010−93577)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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