説明

電池情報更新システム

【課題】車両に搭載される電池が交換される場合において、電池の充電状態を推定するための電池情報を交換後の電池の劣化度合いに応じて更新する。
【解決手段】車両2は、電池監視ユニット14の検出結果に基づいて電池13の劣化度合いを求め、その求めた電池の劣化度合いに基づいてメモリ16に記憶される電池情報を更新し、電池パック8が交換されると、交換前の電池パック8の電池ID及び電池情報を互いに対応付けた電池データをサーバ7へ送信させるとともに、交換後の電池パック8の電池IDが示される要求データをサーバ7へ送信させる。サーバ7は、受信した電池データに示される電池IDに対応するメモリ26内の電池データの電池情報を、車両2から送信される電池データに示される電池情報に更新し、受信した要求データに示される電池IDに対応する電池データをメモリ26から取り出し車両2へ送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の充電状態を推定するための電池情報を電池の劣化度合いに応じて更新する電池情報更新システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の二次電池を互いに直列に接続して高い電圧を出力する電池が実用化されている。この種の電池は、近年、例えば、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、又は電気自動車などの車両への実装において注目されている。
【0003】
また、電池の使用履歴や電池の状態などを示す情報を車両外部のサーバなどで解析し、その解析結果に基づいて電池の劣化度合いを求めるものがある(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
ところで、電池の充電状態を推定するための電池情報(例えば、電池の開放電圧と充電量とが互いに対応付けられたマップや電池の内部抵抗と充電量とが互いに対応付けられたマップなど)は、電池の充電状態を推定する電池ECU内のメモリなどに格納されており、通常は変更されることがない。
【0005】
しかしながら、電池の電圧や内部抵抗などは電池の劣化度合いに応じて変化するため、電池情報も電池の劣化度合いに応じて更新されることが望ましい。そして、更新後の電池情報は、車両を乗り換える際に同じ電池を使用する場合など電池が他の車両に移動される場合において、その移動先の車両に引き継がれて使用されることが望ましい。すなわち、車両に搭載される電池が交換される場合において、電池情報が交換後の電池の劣化度合いに応じて更新されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−022155号公報
【特許文献2】特開2007−024687号公報
【特許文献3】特開2010−111276号公報
【特許文献4】特開2008−083022号公報
【特許文献5】特開2010−172142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車両に搭載される電池が交換される場合において、電池の充電状態を推定するための電池情報を交換後の電池の劣化度合いに応じて更新することが可能な電池情報更新システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池情報更新システムは、車両と、サーバとの間でデータが送受信される電池情報更新システムである。
前記車両は、電池と、前記電池を識別するための識別情報が記憶される第1の記憶手段と、前記電池の充電状態を推定するための電池情報が記憶される第2の記憶手段と、前記電池の状態を検出する電池監視手段と、第1の通信手段と、前記電池監視手段の検出結果に基づいて前記電池の劣化度合いを求め、その求めた電池の劣化度合いに基づいて前記第2の記憶手段に記憶される電池情報を更新するとともに、前記電池が交換されると、交換前の前記電池の識別情報及び電池情報を互いに対応付けた電池データを前記第1の通信手段により前記サーバへ送信させつつ、交換後の前記電池の識別信号が示される要求データを前記第1の通信手段により前記サーバへ送信させ、前記要求データに対応する電池データを受信すると、前記第2の記憶手段に記憶されている電池情報を、前記受信した電池データに示される電池情報に更新する第1の制御手段とを備える。
【0009】
前記サーバは、複数の前記電池データが記憶される第3の記憶手段と、第2の通信手段と、前記車両から送信される電池データを受信すると、その電池データに示される識別情報に対応する前記第3の記憶手段内の電池データの電池情報を、前記車両から送信される電池データに示される電池情報に更新し、前記車両から送信される要求データを受信すると、その要求データに示される識別情報に対応する電池データを前記第3の記憶手段から取り出し前記第2の通信手段により前記車両へ送信させる第2の制御手段とを備える。
【0010】
このように、車両において、電池の劣化度合いに応じて車両の第2の記憶手段に記憶されている電池情報が更新される。また、電池が交換されると、交換前の電池に対応する電池データが車両からサーバへ送信され、その電池データに示される識別情報に対応するサーバの第3の記憶手段内の電池情報が、車両から送信された電池データの電池情報に更新される。また、電池が交換されると、交換後の電池の識別情報が示される要求データが車両からサーバへ送信され、その識別情報に対応する電池データがサーバから車両へ送信される。そして、要求データに対応する電池データがサーバから車両へ送信されると、車両の第2の記憶手段に記憶されている電池データの電池情報が、サーバから送信される電池データの電池情報に更新される。これにより、電池を交換する場合において、電池情報を交換後の電池の劣化度合いに応じて更新することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両に搭載される電池を交換する場合においても、電池の充電状態を推定するための電池情報を交換後の電池の劣化度合いに応じて更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の電池情報更新システムを示す図である。
【図2】電池情報の一例を示す図である。
【図3】電池データの一例を示す図である。
【図4】電池ECUの動作を示すフローチャートである。
【図5】電池ECUから充電スタンド経由でサーバへデータを送信する際のシーケンス図である。
【図6】電池ECUから無線局経由でサーバへデータを送信する際のシーケンス図である。
【図7】サーバから充電スタンド経由で電池ECUへデータを送信する際のシーケンス図である。
【図8】サーバから無線局経由で電池ECUへデータを送信する際のシーケンス図である。
【図9】電池情報管理部の動作を示すフローチャートである。
【図10】データベースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態の電池情報更新システムを示す図である。
図1に示す電池情報更新システム1は、車両2と、充電スタンド3と、無線局4と、サーバ5、7とを備え、車両2とサーバ7との間でデータが送受信される。車両2とサーバ7との間で送受信されるデータは、充電スタンド3、サーバ5、及びネットワーク6(インターネットや専用線網など)を経由する場合と、無線局4及びネットワーク6を経由する場合とがある。なお、本実施形態の電池情報更新システム1は、例えば、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、又はフォークリフトなどの車両に搭載されるものとする。
【0014】
車両2は、電池パック8と、電池ECU9(第1の制御手段)と、充電機10と、充電ECU11と、通信機12とを備える。なお、電池ECU9や充電ECU11は、例えば、プロセッサやメモリを含む構成により実現されるものとする。
【0015】
電池パック8は、ユーザにより着脱可能な構成であって、互いに直列接続される複数の二次電池からなる電池13と、電池13の状態を監視する電池監視ユニット14(電池監視手段)と、電池13を識別するための電池ID(識別情報)が記憶されるメモリ15(第1の記憶手段)とを備える。なお、電池13は、1つの二次電池から構成されてもよい。
【0016】
電池監視ユニット14は、電池13の各二次電池のそれぞれの電圧、電池13の各二次電池にそれぞれ流れる電流、及び電池13の周囲の温度などを検出する。
電池ECU9は、電池監視ユニット14により検出される電圧、電流、及び温度などに基づいて、電池13の各二次電池のそれぞれの開放電圧(OCV(Open Circuit Voltage))や内部抵抗(IR(Internal Registance))などを求め、それらOCVやIRなどに対応する各二次電池のそれぞれの充電量(SOC(State Of Charge))を、メモリ16(第2の記憶手段)に記憶される電池情報(電池プロファイル)から求める。なお、メモリ16は、電池ECU9の外部に設けられてもよい。
【0017】
図2(a)は、電池情報の一例を示す図である。
図2(a)に示す電池情報は、電池13内の1つの二次電池のOCV[V]とSOC[%]との対応関係を示すOCV−SOCマップである。図2(a)では、そのOCV−SOCマップをグラフ化したものを示しており、実線は電池パック8が使用される前のOCV−SOCマップ1(電池情報1)を示し、破線は電池パック8が使用されて劣化した後のOCV−SOCマップ2(電池情報2)を示している。図2(a)に示すOCV−SOCマップ1、2によれば、二次電池の劣化とともにOCVが上昇している。
【0018】
図2(b)は、電池情報の他の例を示す図である。
図2(b)に示す電池情報は、電池13内の1つ二次電池のIR[mohm]とSOC[%]との対応関係を示すIR−SOCマップである。図2(b)では、IR−SOCマップをグラフ化したものを示しており、実線は電池パック8が使用される前のIR−OCVマップ1(電池情報1)を示し、破線は電池パック8が使用されて劣化した後のIR−OCVマップ2(電池情報2)を示している。図2(b)に示すIR−SOCマップ1、2によれば、二次電池の劣化とともにIRが上昇している。
【0019】
また、図1に示す電池ECU9は、電池監視ユニット14により検出される電圧、電流、及び温度などに基づいて、メモリ16に記憶される電池情報を更新する。例えば、電池ECU9は、電池情報の更新時、電池13を開放状態にするとともに、電池監視ユニット14により検出される電圧、電流、及び温度などに基づいて、OCVとSOCとの対応関係を示すOCV−SOCマップ(例えば、OCV−SOCマップ2)を新たに作成し、メモリ16に記憶されているOCV−SOCマップ(例えば、OCV−SOCマップ1)を、その新たに作成したOCV−SOCマップに更新する。なお、電池ECU9は、電池情報の更新時に新たに作成した電池情報と、メモリ16に記憶されている電池情報との比較結果により、電池13の劣化度合いを求め、その求めた劣化度合いに基づいて、メモリ16に記憶される他の電池情報を更新してもよい。例えば、電池ECU9は、OCV−SOCマップ1、2の比較結果により求められる電池13の劣化度合いに基づいて、IR−SOCマップ1を、IR−SOCマップ2に更新してもよい。また、メモリ16に記憶される電池情報は、電池パック8の交換時に更新されてもよいし、定期的に更新されてもよいし、ユーザによる操作部の操作に基づく更新指示を他のECUから電池ECU9が受け取ったタイミングにおいて更新されてもよい。
【0020】
また、電池ECU9は、CAN(Controller Area Network)などの通信線を介して充電機10や通信機12とデータの送受信を行う。
図3は、電池データの構成例を示す図である。
【0021】
図3に示す電池データは、電池IDが格納されるID領域200と、電池パック8が交換された日付が格納されるDATE領域201と、OCV−SOCマップやIR−SOCマップなどの電池情報が格納されるDATA領域202とから構成される。
【0022】
また、図1に示す充電機10は、充電スタンド3から供給される交流又は直流の電力を充電用の直流の電力に変換して電池13を充電する。また、充電機10に備えられる通信機17(第1の通信手段)は、充電機10と充電スタンド3とを接続する充電ケーブルを介して電力線通信により充電スタンド3に備えられる通信機18とデータの送受信を行う。
【0023】
充電ECU11は、電池ECU9により求められるSOCなどに基づいて、充電機10の動作を制御する。例えば、ユーザから電池13を満充電にしたい旨の指示があり、現在のSOCが80%である場合、充電ECU11は、SOCがさらに20%上昇するように、充電機10の動作を制御する。
【0024】
通信機12(第1の通信手段)は、無線通信(DCM(Data Communication Module)など)により無線局4の通信機19とデータの送受信を行う。
無線局4の通信機20は、ネットワーク6を介してサーバ7に接続される通信機21(第2の通信手段)とデータの送受信を行う。
【0025】
サーバ5は、例えば、充電スタンド3が設置されるコンビニエンスストアやデパートなどの販売店に設置されるコンピュータであって、サーバ5に接続される通信機22は、充電スタンド3に備えられる通信機23とデータの送受信を行う。また、サーバ5に接続される通信機24は、ネットワーク6を介してサーバ7に接続される通信機21とデータの送受信を行う。
【0026】
サーバ7は、例えば、電池パック8に関する情報を管理する電池管理センタなどに設置されるコンピュータであって、サーバ7内の電池情報管理部25(CPUなど)(第2の制御手段)は、車両2から充電スタンド3又は無線局4を経由して送信される電池データに基づいて、メモリ26(第3の記憶手段)に記憶されているデータベースへ電池情報を新規登録したり、すでにデータベースに登録されている電池情報を更新したりする。また、電池情報管理部25は、車両2から充電スタンド3又は無線局4を経由して送信される要求データに基づいて、データベースから電池データを取り出し、その取り出した電池データを通信機21により車両2へ送信させる。
【0027】
図4は、電池ECU9の動作を示すフローチャートである。
まず、電池ECU9は、電池パック8が交換されたと判断すると(S1がYes)、電池IDと、電池パック8が交換された日付と、電池情報とを互いに対応付けて電池データを作成する(S2)。例えば、電池ECU9は、メモリ15に記憶されている電池IDが変更されると、電池パック8が交換されたと判断し、電池パック8が交換される前にメモリ15に記憶されていた電池IDと、現在の日付と、メモリ16に記憶されている電池情報とを互いに対応付けて電池データを作成する。
【0028】
次に、電池ECU9は、ユーザによる操作部の操作に基づく通信許可信号を他のECUから受け取ると(S3がYes)、充電ケーブルにより充電機10と充電スタンド3とが互いに接続されているか否かを判断する(S4)。例えば、電池ECU9は、充電機10と充電スタンド3との間で充電制御信号が送受信されている場合、充電ケーブルにより充電機10と充電スタンド3とが互いに接続されていると判断する。
【0029】
充電機10と充電スタンド3とが互いに接続されていると判断すると(S4がYes)、電池ECU9は、電池データを充電機10から充電スタンド3及びサーバ5を経由してサーバ7へ送信させる(S5)。すなわち、図5に示すように、電池データDATA(B)は、CANにより電池ECU9から充電機10の通信機17へ送信され、電力線通信により通信機17から充電スタンド3へ送信され、充電スタンド3からサーバ5へ送信され、サーバ5からネットワーク6を経由してサーバ7へ送信される。
【0030】
また、図4に示すフローチャートにおいて、充電機10と充電スタンド3とが互いに接続されていないと判断すると(S4がNo)、電池ECU9は、電池データを通信機12から無線局4を経由してサーバ7へ送信させる(S6)。すなわち、図6に示すように、電池データDATA(B)は、CANにより電池ECU9から通信機12へ送信され、無線通信により通信機12から無線局4へ送信され、無線局4からネットワーク6を経由してサーバ7へ送信される。
【0031】
次に、電池ECU9は、交換後の電池パック8のメモリ15に記憶されている電池IDを要求データに含めて要求データを作成し(S7)、その要求データをサーバ7に送信する(S8)。このとき、電池ECU9は、電池データを送信する際に確立された通信経路を使用して要求データを車両2からサーバ7へ送信させる。
【0032】
次に、電池ECU9は、要求データに対応する電池データをサーバ7から受信したか否かを判断する(S9)。例えば、電池ECU9は、サーバ7に送信した要求データの電池IDと、サーバ7から受信した電池データの電池IDとが一致することを確認すると、要求データに対応する電池データを受信したと判断する。また、このとき、サーバ7は、車両2からサーバ7へ電池データを送信する際に確立された通信経路を使用して電池データを車両2へ送信させる。すなわち、充電機10と充電スタンド3とが互いに接続されている場合、図7に示すように、電池データDATA(B)は、サーバ7からネットワーク6を経由してサーバ5へ送信され、サーバ5から充電スタンド3へ送信され、無線通信により充電スタンド3から充電機10の通信機17へ送信され、CANにより通信機17から電池ECU9へ送信される。一方、充電機10と充電スタンド3とが互いに接続されていない場合、図8に示すように、電池データDATA(B)は、サーバ7からネットワーク6を経由して無線局4へ送信され、無線通信により無線局4から通信機12に送信され、CANにより通信機12から電池ECU9へ送信される。
【0033】
そして、図4に示すフローチャートにおいて、要求データに対応する電池データを受信したと判断すると(S9がYes)、電池ECU9は、メモリ16に記憶されている電池情報を、受信した電池データに示される電池情報に更新し(S10)、S1に戻る。
【0034】
なお、図4に示すフローチャートにおいて、通信を許可するか否かを判断する処理(S3)を省略することにより、電池データを作成した後(S2)、すぐに、充電機10と充電スタンド3とが接続されているか否かを判断するS4に進むように構成してもよい。
【0035】
図9は、サーバ7の電池情報管理部25の動作を示すフローチャートである。
まず、電池情報管理部25は、車両2から電池データを受信すると(S11がYes)、その電池データに示される電池IDがデータベースにすでにあるか否かを判断する(S12)。
【0036】
電池IDがデータベースにまだないと判断すると(S12がNo)、電池情報管理部25は、その電池データをデータベースに新規登録した後(S13)、再び電池データ又は要求データを受信したか否かを判断する(S11又はS16)。例えば、図10に示すデータベースには、電池IDである「001」、電池パック8が交換された日付である「2010年4月」、及び電池情報である「OCV−SOCマップ1、IR−SOCマップ1」が互いに対応付けられた電池データと、電池IDである「002」、電池パック8が交換された日付である「2011年4月」、及び電池情報である「OCV−SOCマップ2、IR−SOCマップ2」が互いに対応付けられた電池データが登録されている。
【0037】
また、図9に示すフローチャートにおいて、電池IDがデータベースにすでにあると判断すると(S12がYes)、電池情報管理部25は、その電池IDに対応するデータベースの電池データの電池情報と、受信した電池データの電池情報とが一致するか否かを判断する(S14)。
【0038】
電池情報が一致していると判断すると(S14がYes)、電池情報管理部25は、再び電池データ又は要求データを受信したか否かを判断する(S11又はS16)。
一方、電池情報が一致していないと判断すると(S14がNo)、電池情報管理部25は、その電池IDに対応するデータベース内の電池データの電池情報を、受信した電池データの電池情報に書き換えて(S15)、再び電池データ又は要求データを受信したか否かを判断する(S11又はS16)。なお、電池情報管理部25は、電池情報が一致していないと判断すると、対応する電池データの複数の電池情報のうち、一致していない電池情報のみを書き換えてもよいし、全ての電池情報を書き換えてもよい。これにより、電池パック8が交換される際、交換前の電池パック8に対応するデータベースの電池情報を電池13の劣化度合いに応じて更新することができる。
【0039】
また、図9に示すフローチャートにおいて、電池情報管理部25は、車両2から要求データを受信すると(S11がNo、S16がYes)、その要求データに示される電池IDに対応する電池データをデータベースから取り出し、その取り出した電池データを、要求データを送信した車両2へ送信した後(S17)、再び電池データ又は要求データを受信したか否かを判断する(S11又はS16)。
【0040】
このように、本実施形態の電池情報更新システム1では、車両2において、電池13の劣化度合いに応じてメモリ16に記憶されている電池情報を更新している。
また、本実施形態の電池情報更新システム1では、車両2の電池パック8が交換されると、交換前の電池パック8に対応する電池データが車両2からサーバ7へ送信される。そして、車両2から送信される電池データに示される電池IDに対応するメモリ26内の電池データの電池情報が、車両2から送信された電池データに示される電池情報に更新される。
【0041】
また、本実施形態の電池情報更新システム1では、車両2の電池パック8が交換されると、交換後の電池パック8の電池IDが示される要求データが車両2からサーバ7へ送信され、その電池IDに対応する電池データがサーバ7から車両2へ送信される。そして、その電池データがサーバ7から車両2に送信されると、車両2のメモリ16に記憶されている電池データの電池情報が、サーバ7から送信される電池データの電池情報に更新される。
【0042】
これにより、車両2の電池パック8を交換する場合において、電池情報を交換後の電池パック8の電池13の劣化度合いに応じて更新することができる。例えば、車両2を乗り換える際に同じ電池パック8を使用する場合など電池パック8が他の車両2に移動される場合において、その移動先の車両2に更新後の電池情報を引き継ぐことができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、車両2とサーバ7との間でデータが送受信される際、車両2と充電スタンド3とが互いに接続されていれば、優先的に充電スタンド3を経由してデータが送受信される構成であるが、車両2と充電スタンド3とが接続されていたとしても、無線局4を経由してデータが送受信されるように構成してもよい。
【0044】
また、サーバ7のハードウェア構成としては、例えば、通信機21、電池情報管理部25、及びメモリ26の他に、記録部、記録媒体読取装置、及び入出力インタフェースなどを備えてもよい。
【0045】
記録部には、電池情報管理部25が実行するプログラムやデータが記録されている。また、ワークエリアなどとして使用される。例えば、ROM、RAM、ハードディスクドライブなどである。
【0046】
記録媒体読取装置は、電池情報管理部25の制御に従って記録媒体に対するデータのリード/ライトを制御する。そして、記録媒体に記録媒体読取装置の制御で書き込まれたデータを記録させたり、記録媒体に記録されたデータを読み取らせたりする。また、着脱可能な記録媒体は、コンピュータで読み取り可能なnon−transitory(非一時的)な記録媒体として、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)などがある。光ディスクには、Digital Versatile Disc(DVD)、DVD−RAM、Compact Disc Read Only Memory(CD−ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、Magneto-Optical disk(MO)などがある。なお、記録部もnon-transitory(非一時的)な記録媒体に含まれる。
【0047】
入出力インタフェースには、入出力装置が接続され、ユーザが入力した情報を受信し、バスを介して電池情報管理部25に送信する。また、電池情報管理部25からの命令に従ってディスプレイの画面上に操作情報などを表示する。入出力装置は、例えば、タッチパネルなどが考えられる。
【0048】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 電池情報更新システム
2 車両
3 充電スタンド
4 無線局
5 サーバ
6 ネットワーク
7 サーバ
8 電池パック
9 電池ECU
10 充電機
11 充電ECU
12 通信機
13 電池
14 電池監視ユニット
15 メモリ
16 メモリ
17〜24 通信機
25 電池情報管理部
26 メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、サーバとの間でデータが送受信される電池情報更新システムであって、
前記車両は、
電池と、
前記電池を識別するための識別情報が記憶される第1の記憶手段と、
前記電池の充電状態を推定するための電池情報が記憶される第2の記憶手段と、
前記電池の状態を検出する電池監視手段と、
第1の通信手段と、
前記電池監視手段の検出結果に基づいて前記電池の劣化度合いを求め、その求めた電池の劣化度合いに基づいて前記第2の記憶手段に記憶される電池情報を更新するとともに、前記電池が交換されると、交換前の前記電池の識別情報及び電池情報を互いに対応付けた電池データを前記第1の通信手段により前記サーバへ送信させつつ、交換後の前記電池の識別信号が示される要求データを前記第1の通信手段により前記サーバへ送信させ、前記要求データに対応する電池データを受信すると、前記第2の記憶手段に記憶されている電池情報を、前記受信した電池データに示される電池情報に更新する第1の制御手段と、
を備え、
前記サーバは、
複数の前記電池データが記憶される第3の記憶手段と、
第2の通信手段と、
前記車両から送信される電池データを受信すると、その電池データに示される識別情報に対応する前記第3の記憶手段内の電池データの電池情報を、前記車両から送信される電池データに示される電池情報に更新し、前記車両から送信される要求データを受信すると、その要求データに示される識別情報に対応する電池データを前記第3の記憶手段から取り出し前記第2の通信手段により前記車両へ送信させる第2の制御手段と、
を備える電池情報更新システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電池情報更新システムであって、
前記第2の制御手段は、前記車両から送信される電池データに示される識別情報に対応する電池データがまだ前記第3の記憶手段に記憶されていない場合、その電池データを前記第3の記憶手段に新規登録する
ことを特徴とする電池情報更新システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電池情報更新システムであって、
前記第2の制御手段は、前記車両から送信される電池データに示される識別情報に対応する前記第3の記憶手段内の電池データに示される複数の電池情報のうち、前記車両から送信される電池データに示される電池情報と一致しない電池情報のみ更新する
ことを特徴とする電池情報更新システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−24725(P2013−24725A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159769(P2011−159769)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】