説明

電池用電極の製造方法及び電池用電極

【課題】電池の電極において、箔状電極板と活物質層との間に導電体層を配置する場合においても、活物質層の端縁位置を精度良く検出できるようにする。
【解決手段】導電性を有する箔状電極板22上における、前記箔状電極板22の表面を露出させる未塗工部3aの形成位置以外の領域に、導電体層21と活物質層23とを順次に重ねて積層させて、電池の電極を作製する際に、活物質層23の形成領域における未塗工部3aの存在側の端縁部の少なくとも一部において、上層側の活物質層23の端縁が、下層側の導電体層21の端縁よりも未塗工部3a側に位置する状態で導電体層21と活物質層23とを積層し、それを検出対称として、光学的位置検出手段にて活物質層23の存在位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性を有する箔状電極板上における、前記箔状電極板の表面を露出させる未塗工部の形成位置以外の領域に、導電体層と活物質層とを順次に重ねて積層させて、電池の電極を作製する電池用電極の製造方法、及び、電池用電極に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる電池用電極は、電池の主要部分である発電要素を構成するものであり、発電要素においては、正極側及び負極側の夫々について箔状電極板の上に活物質層を積層して電極とし、正極側の電極と負極側の電極とを、セパレータを挟んだ状態で、交互に重ねた構成とする場合が多い。
この電池用の電極においては、箔状電極板に活物質を積層する際、箔状電極板と活物質との材料の選択によっては、両者の密着性を必ずしも十分には確保できない場合もある。
このような場合、下記特許文献1に記載のように、箔状電極板と活物質層との間に、両者の密着性を改善して、接触抵抗を低減するための導電体層(いわゆる、アンダーコート層)を配置する構成とすることが考えられている。
箔状電極板と活物質層との間に導電体層を配置することで、活物質層の接着強度が向上し、電池容量や寿命特性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−60060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、箔状電極板と活物質層との間に、密着性向上のための導電体層を配置する場合、電極の製造工程において弊害が発生する場合がある。
すなわち、箔状電極板への導電体層の形成態様としては、導電体層の形成目的を考慮して、上層側の活物質層の形成領域には確実に導電体層が存在するように設定され、通常、導電体層の形成領域を活物質層の形成領域よりも広くして、導電体層の形成領域に活物質層の形成領域が完全に含まれるように設定している。
従って、箔状電極板上において、活物質層を形成していない未塗工部と、活物質層の形成領域との境界部においては、下層側の導電体部分が露出している領域が存在することになる。
【0005】
電極の製造工程においては、活物質層の形成位置を検出して、その検出位置情報に基づいて何らかの処理を施す工程があり、活物質層の形成位置の検出には、活物質層の端縁位置を光学的位置検出手段にて検出する場合が多い。
光学的位置検出手段にて活物質層の端縁位置を検出しようとするとき、正確に位置検出するためには、活物質層の端縁位置の両側で反射光の状態が明確に変化する必要がある。
一般に、基材となる箔状電極板と活物質層とでは、それらからの反射光の状態に明確な差異があるが、活物質層と導電体層とでは、通常、それらは同系色となる場合が多く、それらからの反射光の状態が類似して、明確な区別がつきにくいものとなる。
このため、上述のように、箔状電極板上において、活物質層を形成していない未塗工部と、活物質層の形成領域との境界部においては、下層側の導電体部分が露出している領域が存在すると、活物質層の形成領域と導電体部分の露出領域との境界位置は、上記のような光学的位置検出手段によっては、正確な位置の特定が困難となり、検出結果に誤差を含んでしまうことになる。
この活物質層の端縁位置の検出誤差は、その位置情報を利用した工程において、処理精度の低下をもたらし、ひいては電池性能の低下を招くことになってしまう。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電池の電極において、箔状電極板と活物質層との間に導電体層を配置する場合においても、活物質層の端縁位置を精度良く検出できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の第1の発明は、導電性を有する箔状電極板上における、前記箔状電極板の表面を露出させる未塗工部の形成位置以外の領域に、導電体層と活物質層とを順次に重ねて積層させて、電池の電極を作製する電池用電極の製造方法において、前記活物質層の形成領域における前記未塗工部の存在側の端縁部の少なくとも一部において、上層側の前記活物質層の端縁が、下層側の前記導電体層の端縁よりも前記未塗工部側に位置する活物質層はみ出し部を形成する工程と、前記活物質層はみ出し部において、光学的位置検出手段にて前記活物質層の存在位置を特定する工程とを有する。
【0007】
すなわち、箔状電極板上での、導電体層と活物質層との積層形態として、上層側の活物質層の端縁が、下層側の導電体層の端縁よりも未塗工部側に位置して、活物質層が導電体層よりも未塗工部側にはみ出す状態で積層する。
これによって、上記のように活物質層等を配置した領域では、下層側の導電体層が露出していないので、光学的位置検出手段による導電体層と活物質層との弁別が困難な状況であっても、活物質層の端縁位置を精度良く検出できる。
活物質層における導電体層の形成領域からはみ出した部分には、箔状電極板との間に導電体層が存在しないのであるが、導電体層が存在しないからと言って、その部分が電池動作に全く寄与しない訳ではなく、多少電池容量等を低下させるに留まる。
しかも、活物質層における導電体層の形成領域からのはみ出し部分は、大面積にする必要はなく、必要最小限の面積で良いので、活物質層全体から見た電池容量の低下はわずかなものである。
【0008】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記活物質層はみ出し部において、前記活物質層の端縁と前記導電体層の端縁との距離が2mm以下に設定されている。
すなわち、導電体層からの活物質層のはみ出し幅を、2mm以下に設定することで、活物質層と箔状電極板との接着強度の低下を十分に抑制できることを実験により確認できた。
【0009】
又、本出願の第3の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加えて、正極側の前記箔状電極板に形成した前記活物質層はみ出し部における前記活物質層の端縁位置を前記光学的位置検出手段にて検出し、その検出した位置情報に基づいて、正極側の前記箔状電極板上における前記活物質層と前記未塗工部との境界部分の上に、前記箔状電極板よりも電気抵抗の大きい短絡防止層を形成する。
すなわち、正極側電極と負極側電極とを対向配置して発電要素を構成する場合、通常、負極側の活物質層の形成領域を、正極側の活物質層の形成領域よりも大面積として、高価な正極活物質が有効に電池動作に寄与できるように設計する。又、リチウムイオン電池の場合では、負極側の活物質層の形成領域を、正極側の活物質層の形成領域よりも大面積とすることで、充電時に負極側の活物質層の形成されていない箇所にLi電析が発生してしまうのを防止できる。
これは、正極側電極において正極活物質層が形成されていない部分が負極側電極と対向していることを意味している。
このような状態で、異物の侵入等によって、正極活物質層が形成されていない部分と負極側部分とが接触してしまうと、その接触部分の電気抵抗の低さによって大きな短絡電流が流れてしまうことになる。
そこで、正極側の箔状電極板において、正極活物質層が形成されていない部分のうちの負極側電極と対向する部分に電気抵抗の大きい短絡防止層を形成して、大電流が流れる短絡事故を防止する。
この短絡防止層は、正極活物質層の端縁に沿って精度良く配置する必要があり、上述のように、正極活物質層の端縁位置を精度良く検出し、その検出情報を利用して、短絡防止層を形成することが特に有効となる。
【0010】
又、本出願の第4の発明は、上記第1〜第3のいずれか発明の構成に加えて、前記活物質層はみ出し部における前記活物質層の端縁位置を前記光学的位置検出手段にて検出し、その検出した位置情報に基づいて、前記導電体層及び前記活物質層を積層した状態の前記箔状電極板の切断位置を設定する。
すなわち、電極の製造工程においては、箔状電極板に活物質層等を積層した後に、複数に切断分離することで、複数の電極をまとめて作製することがよく行われている。
このような製造工程を採用する場合、切断分離する際の活物質層の面積が精度良く設定されている必要があり、この切断によって活物質層の面積がばらつくと、電池容量のばらつきを招くことになる。
このような場合に、活物質層の端縁位置を精度良く検出し、その検出情報を利用して、切断位置を設定することが特に有効となる。
【0011】
又、本出願の第5の発明は、上記第1〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、前記箔状電極板は長尺帯状に形成され、前記導電体層及び前記活物質層は、前記箔状電極板の幅方向端部に前記未塗工部が位置する状態で、前記箔状電極板の長手方向に延びる帯状に形成され、前記活物質層と前記未塗工部との境界部分の略全長に亘る範囲が前記活物質層はみ出し部として設定されている。
【0012】
すなわち、長尺帯状の箔状電極板上に、それの長手方向に延びる状態で導電体層及び活物質層を帯状に形成する場合において、箔状電極板の長手方向に延びる活物質層と未塗工部との境界部分の略全長に亘って、活物質層の端縁を精度良く検出できる。
これによって、長尺帯状の電極に対する各種の処理を精度良く行うことが可能となる。
【0013】
又、本出願の第6の発明は、導電性を有する箔状電極板上における、前記箔状電極板の表面を露出させる未塗工部の形成位置以外の領域に、導電体層と活物質層とが順次に重ねて積層された電池用電極において、前記活物質層の形成領域における前記未塗工部の存在側の端縁部の少なくとも一部において、上層側の前記活物質層の端縁が、下層側の前記導電体層の端縁よりも前記未塗工部側に位置する活物質層はみ出し部が形成されている。
【0014】
すなわち、箔状電極板上での、導電体層と活物質層との積層形態として、上層側の活物質層の端縁が、下層側の導電体層の端縁よりも未塗工部側に位置して、活物質層が導電体層よりも未塗工部側にはみ出す状態で積層する。
これによって、上記のように活物質層等を配置した領域では、下層側の導電体層が露出していないので、光学的位置検出手段にて活物質層の端縁位置を精度良く検出できる。
【0015】
又、本出願の第7の発明は、上記第6の発明の構成に加えて、前記活物質層はみ出し部において、前記活物質層の端縁と前記導電体層の端縁との距離が2mm以下に設定されている。
すなわち、導電体層からの活物質層のはみ出し幅を、2mm以下に設定することで、正極活物質層と箔状正極板との接着強度の低下を十分に抑制することができる。
【0016】
又、本出願の第8の発明は、上記第6又は第7の発明に構成に加えて、正極側の前記箔状電極板における前記活物質層と前記未塗工部との境界部分の上に、前記箔状電極板よりも電気抵抗の大きい短絡防止層が形成されている。
正極側の箔状電極板において活物質層と未塗工部との境界部分の上に、正極側の箔状電極板よりも電気抵抗の大きい短絡防止層を備えることで、異物等の侵入によって正極側電極と負極側電極とが接触したときに、大きな短絡電流が流れるのを防止する構成とする場合において、正極活物質層の端縁位置を精度良く検出し、その検出情報を利用して、精度良く短絡防止層を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記第1の発明によれば、電池の電極において、箔状電極板と活物質層との間に導電体層を配置する場合においても、上層側の活物質層の端縁が、下層側の導電体層の端縁よりも未塗工部側に位置して、活物質層が導電体層よりも未塗工部側にはみ出す状態で積層することで、活物質層の端縁位置を精度良く検出できるものとなる。
又、上記第2の発明によれば、導電体層から活物質層がはみ出す構成とした場合でも、活物質層と箔状電極板との接着強度の低下を十分に抑制できる。
又、上記第3の発明によれば、正極活物質層の端縁位置を精度良く検出して、短絡防止層を精度良く形成することができる。
又、上記第4の発明によれば、活物質層の端縁位置を精度良く検出し、その検出情報を利用して、電極を切断することで、電池容量のばらつきを抑制することができる。
又、上記第5の発明によれば、箔状電極板の長手方向の略全長に亘って活物質層の端縁を精度良く検出できるので、長尺帯状の電極に対する各種の処理を精度良く行うことが可能となる。
【0018】
又、本出願の第6の発明によれば、箔状電極板と活物質層との間に導電体層を配置する場合においても、活物質層の端縁位置を精度良く検出できるものとなる。
又、本出願の第7の発明によれば、活物質層が導電体層よりも未塗工部側にはみ出す状態で積層する場合でも、活物質層と箔状電極板との接着強度の低下を十分に抑制することができる。
又、本出願の第8の発明によれば、正極活物質層の端縁位置を精度良く検出して、短絡防止層を精度良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態にかかる要部拡大断面図
【図2】本発明の実施の形態にかかる電極箔の製造過程を示す図
【図3】本発明の実施の形態にかかる電極箔の製造過程を示す図
【図4】本発明の実施の形態にかかる電極箔の製造過程を示す図
【図5】本発明の実施の形態にかかる電極箔の製造過程を示す図
【図6】本発明の実施の形態にかかる電極箔に対するプレス加工工程の概略説明図
【図7】本発明の実施の形態にかかる電極箔に対するプレス加工を示す図
【図8】本発明の実施の形態にかかる発電要素の構成を示す斜視図
【図9】本発明の実施の形態にかかる実験データを示すグラフ
【図10】本発明の実施の形態にかかる実験データを示すグラフ
【図11】本発明の実施の形態にかかる電池の内部構造を示す斜視図
【図12】本発明の実施の形態にかかる電池の外観斜視図
【図13】本発明の別実施形態にかかる電極箔の製造過程を示す図
【図14】剥離強度の測定方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電池用正極側電極の製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、電池として二次電池の1例である非水電解液二次電池(より具体的にはリチウムイオン電池)を例示して、その製造方法を説明する。
【0021】
〔非水電解液二次電池RBの構成〕
図12の斜視図に示すように、本実施の形態の非水電解液二次電池RBは、有底筒状(より具体的には有底矩形筒状)の缶体1の開放面に蓋部2を被せて溶接して構成した電池筐体BC(以下において、単に「筐体BC」と称する)を有している。蓋部2は、短冊状の長方形の板材にて形成され、それの筐体BC外方側となる面に正極の電極端子である端子ボルト5と負極の電極端子である端子ボルト7とが取り付けられている。
缶体1は蓋部2の形状に合わせて扁平形状の直方体であり、従って、筐体BC全体としても扁平な略直方体形状を有している。
【0022】
筐体BCの内方側には、図11において2点鎖線で示す発電要素3と集電体4,6とが電解液に浸される状態で収納配置されている。図11は、缶体1を除いた状態で、下方側から見上げた斜視図として、筐体BCの内方側を示している。
集電体4,6は、発電要素3と端子ボルト5,7とを電気的に接続するための部材であり、何れも導電体にて形成されている。
集電体4と集電体6とは、略同一形状のものが対称に配置される関係となっているが、材質が異なる。正極側の集電体4はアルミニウムにて形成され、負極側の集電体6は銅にて形成されている。
【0023】
集電体4,6は、上記の金属材料からなる幅狭の略矩形板状部材を、所定の形状に屈曲形成して構成しており、端子ボルト5,7の配置面である蓋部2の表面に沿って延びる形状の部分と、蓋部2の長手方向端部付近で下方側(端子ボルト5,7の存在側と反対側)へ90度屈曲して、蓋部2の筐体BC内方側の面の法線方向に延びる部分とが連なる略L字状の屈曲形状を有している。集電体4,6の縦姿勢部分において、更に発電要素3側に屈曲させて、発電要素3と接続するための接続部4a,6aが形成されている。
略L字状の集電体4,6は、蓋部2と、その蓋部2の長手方向の端部に直交姿勢で連なる缶体1の幅狭の側面とに沿う姿勢で配置されている。
【0024】
発電要素3は、詳しくは後述するが、何れも導電性を有する材料で長尺帯状の形状に形成された正極側の箔状電極板(以下において、「箔状正極板」と称する)及び負極側の箔状電極板(以下において、「箔状負極板」と称する)の夫々に活物質を塗布して正極側電極及び負極側電極を作製し、それらを同じく長尺のセパレータを挟んで積層状態で巻回した、いわゆる巻回型の発電要素として構成されている。
発電要素3は、上記のように巻回した状態で、正極側電極の未塗工部3a(正極活物質が塗布されずに箔状正極板が露出している部分)が側方(箔状正極板の長手方向と直交する方向)に突出し、負極側電極の未塗工部3b(負極活物質が塗布されずに箔状負極板が露出している部分)が反対側の側方(箔状負極板の長手方向と直交する方向)に突出している。
本実施の形態の発電要素3は、扁平形状に正極側電極及び負極側電極等を巻回して、扁平形状の筐体BCに適合させている。
発電要素3の缶体1内での配置姿勢は、正極側電極等の巻回軸心が蓋部2の長手方向と平行となる姿勢としており、図11に概略的に示すように、正極側電極の未塗工部3aの位置に集電体4の接続部4aが入り込み、負極側電極の未塗工部3bの位置に集電体6の接続部6aが入り込む位置関係としている。
正極側電極の未塗工部3aは束ねられた状態で集電体4の接続部4aに溶接され、負極側電極の未塗工部3bは束ねられた状態で集電体6の接続部6aに溶接され、集電体4,6で発電要素3を支持している。
【0025】
上述のように金属製(具体的には、アルミニウム製)の蓋部2に取り付けられている正極側の端子ボルト5は正極側の集電体4に電気的に接続され、負極側の端子ボルト7は負極側の集電体6に電気的に接続されている。
正極側の集電体4は、端子ボルト5の頭部側に一体形成されているリベット8を経て端子ボルト5に電気的に接続され、リベット8は、集電体4,集電体4及びリベット8と蓋部2との間の電気的絶縁のための下部ガスケット12,蓋部2,リベット8を含む端子ボルト5と蓋部2との間の電気的絶縁のための上部ガスケット11を貫通した状態で、筐体BC内方側端部でかしめられ、これによって集電体4を蓋部2に固定している。
負極側も同様の構成であり、負極側の集電体6は、端子ボルト7の頭部側に一体形成されているリベット15を経て端子ボルト7に電気的に接続され、リベット15は、集電体6,集電体6及びリベット15と蓋部2との間の電気的絶縁のための下部ガスケット18,蓋部2,リベット15を含む端子ボルト7と蓋部2との間の電気的絶縁のための上部ガスケット17を貫通した状態で、筐体BC内方側端部でかしめられ、これによって集電体6を蓋部2に固定している。
上部ガスケット11,17及び下部ガスケット12,18は、蓋部2と蓋部2を貫通するリベット8,15との間の気密シールの機能も果たしている。
【0026】
〔非水電解液二次電池RBの製造工程〕
次に、上記構成の二次電池RBの製造工程を、発電要素3の電極板の製造工程を主体に説明する。
〔正極側電極の製造工程〕
先ず、発電要素3の正極側電極の製造工程について説明する。
正極側電極は、上述のように、箔状正極板に正極活物質を塗布して作製しており、本実施の形態では、耐酸化性に優れるアルミニウム箔を箔状正極板として用いる。本実施の形態では、このアルミニウム箔は、幅が160mmの長尺帯状に形成しており、アルミニウム箔の厚さは12μm〜25μmで良いが、15μmの厚さとすることが好適である。アルミニウム箔以外では、チタン,ステンレス鋼,ニッケル及び導電性高分子等を箔状に形成して箔状正極板として用いることができる。
上記の箔状正極板に塗布する正極活物質は、本実施の形態では、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を使用しており、それとの関係で、箔状正極板と正極活物質層との間に、正極活物質層の付着強度を向上させて接触抵抗の低減等を図るための導電体層(いわゆる、「アンダーコート層」)を塗布しており、導電体層と正極活物質層とを順次に重ねて積層させている。
本実施の形態では、この導電体層を形成するための塗布剤として、アセチレンブラック10重量%,グリセル化キトサン4.5重量%,ピロリメット酸4.5重量%及びNMP(N−メチル−2−ピロリドン)81重量%を混合してスラリー状としたものを使用しており、この塗布剤を箔状正極板の表裏両面に塗布する。
【0027】
図2(a)に、箔状正極板であるアルミニウム箔22の表面に導電体層21を形成した状態を、平面視で示す。
図2(a)において、矢印Bは長尺帯状のアルミニウム箔22の幅方向を示しており、その幅方向両端部に上記の未塗工部3aとなるエリアが設定されている。導電体層21は、その未塗工部3aの形成位置以外の幅方向中央領域において、アルミニウム箔22の長手方向(図2(a)において、矢印Aで示す方向)に延びる帯状に形成されている。幅方向両端部の導電体層21が形成されない部分の幅(アルミニウム箔22の幅方向での長さ)は、本実施の形態では、夫々10mmに設定している。
尚、図2(b)は、後工程での処理状態との対比のために、図2(a)において2点鎖線Dで囲んで概略的な位置を示す部分の拡大図を示すものである。
アルミニウム箔22は長尺帯状であり、ロール状に巻き取られた状態のアルミニウム箔22を、アルミニウム箔22の長手方向(図2(a)において、矢印Aで示す方向)に送り搬送して、搬送されるアルミニウム箔22上に、グラビアコートにより導電体層21を塗布する。導電体層21の塗布厚は、本実施の形態では、乾燥後に導電体層21の厚さが1μm〜2μmとなるように設定している。
本実施の形態では、2条分の正極側電極を同時処理で作製する。すなわち、アルミニウム箔22は、幅方向(図2(a)において、矢印Bで示す方向)の長さが、正極側電極の幅の2倍の幅であり、正極側電極の製造工程の最終工程で、図2において1点鎖線Cで示す幅方向中央位置で切断して、2条分の正極側電極に分離する。
導電体層21の塗布位置は、アルミニウム箔22の幅方向(矢印Bで示す方向)端縁位置を光学的に検出して、その位置情報に基づいて、アルミニウム箔22の幅方向中央位置と、導電体層21の塗布幅の中央位置とが一致するように、高精度に制御されている。
導電体層21は、塗布後に乾燥処理される。
以上の導電体層21の塗布工程を、アルミニウム箔22の反対側の面でも繰り返す。
【0028】
導電体層21が塗布され、更に、乾燥された後、次に、導電体層21の上に塗り重ねる状態で活物質層と短絡防止層とを塗布する。
本実施の形態では、上述のように、正極活物質としてリン酸鉄リチウム(LiFePO)を使用している。
短絡防止層は、発電要素3として組み立てたときに、正極側電極において、正極活物質が塗布されていない部分のうち、負極側電極の負極活物質層と対向する部分に塗布形成することで、正極側電極の未塗工部3aと負極側電極とが対向してしまうことのないようにするためのものである。短絡防止層を備えることによって、異物等の侵入によってセパレータが破られたような場合でも、負極活物質層と箔状正極板とが接触して発熱等の事象が発生してしまことを防止できる。
この短絡防止層は正極活物質層の塗布後に塗布するのであるが、正極活物質層の塗布と短絡防止層の塗布とを一連に行い、正極活物質層が乾燥していない状態で短絡防止層を塗布している。このようにすることで、短絡防止層の剥離強度を高めることができる。
【0029】
先ず、正極活物質層の塗布について説明する。
正極活物質層は、マイクロサイズ粒子のLiFePOの粉体87重量%と、導電助剤であるアセチレンブラック5重量%と、結着剤であるポリフッ化ビリニデン(PVDF)8重量%との混合物に、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を加えてペースト状とした正極合剤ペーストを、導電体層21が塗布されたアルミニウム箔22の表裏両面に塗布して、導電体層21とアルミニウム箔22の積層構造を形成する。
尚、上記のマイクロサイズ粒子のLiFePOは、D50(メディアン径)が20μmのものを使用しており、全てのLiFePO粒子は、層厚が約1nmのカーボンコート層で被覆されている。LiFePO粒子の粒子径には、このカーボンコート層も含めている。
塗布の工程は、導電体層21の塗布工程と同様であり、導電体層21を形成したアルミニウム箔22を、それの長手方向に送り搬送して、搬送されるアルミニウム箔22の導電体層21の上に上記のペーストをダイコートにより塗布することで、アルミニウム箔22の長手方向に延びる帯状の正極活物質層23を形成し、図3(a)に示す状態とする。
正極活物質層23は、図3(a)に示すように、アルミニウム箔22の長手方向(図3(a)において、矢印Aで示す方向)に延びる帯状に塗布している。正極活物質層23の塗布厚は、40μm〜130μmで良く、本実施の形態では130μmとしている。
正極活物質層23の塗布位置は、アルミニウム箔22の幅方向(図3(a)において、矢印Bで示す方向)端縁位置あるいは導電体層21の幅方向端縁位置を光学的に検出して、その位置情報に基づいて、アルミニウム箔22や導電体層21の幅方向中央位置と、正極活物質層23の塗布幅の中央位置とが一致するように高精度に制御されている。
【0030】
正極活物質層23の塗布幅(図3(a)において、矢印Bで示す方向での塗布幅)は、アルミニウム箔22の幅方向両端部に未塗工部3aとなるアルミニウム箔22の露出領域が位置する状態で、導電体層21を完全に覆う塗布幅に設定している。
図3(a)における2点鎖線Dで囲む領域付近を拡大したものを、図2(b)と対応させて、図3(b)に示している。
図2(b)における導電体層21の端縁を、図3(b)において破線Eで示しており、上層側の正極活物質層23の幅方向(矢印Bで示す方向)の端縁は、破線Eで示す下層側の導電体層21の端縁よりも、未塗工部3aとなるアルミニウム箔22が露出する領域側に位置して、正極活物質層23が導電体層21からはみ出している。
説明の便宜上、この正極活物質層23が導電体層21の形成位置からアルミニウム箔22の露出領域側へはみ出している部分を「活物質層はみ出し部」と称する場合がある。
本実施の形態では、アルミニウム箔22の長手方向において、導電体層21及び正極活物質層23の塗布範囲の全長に亘って、正極活物質層23が導電体層21からはみ出しており、正極活物質層と未塗工部との境界部分の略全長に亘る範囲が前記活物質層はみ出し部として設定されている。
アルミニウム箔22の幅方向(矢印Bで示す方向)における、正極活物質層23の端縁位置と導電体層21の端縁位置(破線Eで示す位置)との距離W(図3(b)参照)は、2mm以下となるように、正極活物質層23の塗布幅を設定している。
【0031】
正極活物質層23の塗布後、同一の搬送経路において、引き続いて短絡防止層の塗布を行う。
短絡防止層は、電気的絶縁部材の微粒子を結着剤と混合し、更に、それを適宜の液体と混合してペースト状として、正極活物質層23が塗布されたアルミニウム箔22の表裏両面に塗布する。
上記の電気的絶縁部材の微粒子としては、Al,SiO,ZrO,TiO,MgO等の無機粒子の他、ポリイミド粉末等の有機粒子を用いることができる。これらのうち、安定性や取り扱いの容易さ等から、Alを使用するのが好ましく、特に、箔状正極板との密着性や接合強度等の観点からγ型アルミナ粒子が好ましい。
上記微粒子の粒径は、一次粒径の中央値で1nm〜2000nmのものが使用できるが、箔状正極板と密着性や接合強度の観点からは、1nm〜200nmのものを使用するのが好ましく、1nm〜20nmであることが更に好ましい。
電気的絶縁部材の微粒子と混合する結着剤としては、ポリフッ化ビリニデン(PVDF),ポリイミド,ポリアミドイミド等を用いることができるが、箔状正極板との密着性や接合強度の観点からは、PVDFを用いることが好ましい。
本実施の形態では、粒径5nm,比表面積96m/g,タップ密度0.04g/cm3のγ型アルミナ粒子2.1kgを、結着剤であるPVDFを12%含有したNMP溶液21.39g(PVDF量として2.567kg)をNMP6.0kgに溶解した液に混合し、均一に分散させて、スラリー状の短絡防止剤ペーストとした。
短絡防止層24の構成材料としては、上述のような電気的絶縁部材である必要は必ずしもないが、十分に電気抵抗が高いことが必要であり、少なくともアルミニウム箔22よりも電気抵抗の大きくなければ意味がない。
【0032】
塗布の工程は、正極活物質層23等の塗布工程と同様であり、正極活物質層23等が塗布された状態で送り搬送されているアルミニウム箔22に対して、ダイコートにより短絡防止層24を塗布し、図4(a)に示す状態とする。
図4(b)は、図2(b)及び図3(b)と対応させて、図4(a)において2点鎖線Dで示す領域付近を拡大して示している。
短絡防止層24の塗布位置は、アルミニウム箔22の幅方向(図4(a)において、矢印Bで示す方向)における正極活物質層23の両端位置において、正極活物質層23の端縁に重なると共に、正極活物質層23の端縁からアルミニウム箔22の露出部分側へ設定幅の範囲に亘る状態で、アルミニウム箔22の長手方向(図4(a)において、矢印Aで示す方向)に延びる帯状に塗布している。
【0033】
正極活物質層23と短絡防止層24との境界付近を、アルミニウム箔22の長手方向視の拡大断面図として示す図1に示すように、短絡防止層24は、正極活物質層23と未塗工部3aとの境界部分の上に形成し、正極活物質層23の端縁付近の傾斜部分と重なる位置から、アルミニウム箔22の露出領域に拡がる状態で塗布されている。又、短絡防止層24の塗布厚さは、3μm〜15μmとしており、短絡防止層24が正極活物質層23の塗布部分よりも高くならないようにしている。
このように、短絡防止層24を、正極活物質層23の端縁付近における傾斜部分から塗布しているのは、正極活物質層23と短絡防止層24との接合強度を強くするためであり、又、短絡防止層24の高さを、正極活物質層23の高さよりも低くしているのは、短絡防止層24では、金属酸化物の微粒子を確実に結着させるために結着材の使用量が多めになっており、正極活物質層23の上に乗った状態で塗布されると、後述のプレス加工処理において、プレス用のロールから離れにくくなるからである。尚、図1においては、正極活物質層23及び短絡防止層24をアルミニウム箔22の表裏両面に塗布した状態で示しており、又、各層の厚さは、必ずしも正確な比率で描いたものではない。
【0034】
アルミニウム箔22の幅方向(図1等において、矢印Bで示す方向)での短絡防止層24の塗布幅は、正極側電極と負極側電極とを巻回したときに、正極側電極において、負極側電極の負極活物質層の塗布部分と対向する領域のうちの正極活物質層23が塗布されていない領域を覆う幅に設定されている。
すなわち、負極側電極の負極活物質層の塗布幅は、上述の正極活物質層23よりも若干幅広に設定されており、正極活物質層23の塗布幅と負極活物質層の塗布幅の差の部分を上記短絡防止層24で埋める関係としている。
短絡防止層24の塗布位置は、アルミニウム箔22の幅方向における正極活物質層23の端縁位置を、撮像装置等の光学センサを用いた光学的位置検出手段にて検出して、その検出情報に基づいて正極活物質層23の存在位置を特定し、短絡防止層24の端縁が、正極活物質層23の端縁の傾斜部分に重なるように(図1参照)、高精度に制御されている。
【0035】
この光学的位置検出手段としては、例えば、撮像装置にて正極活物質層23の端縁位置付近を撮像し、その撮像画像における、アルミニウム箔22の幅方向での色変化情報から正極活物質層23の端縁位置を特定すれば良い。
このようにして検出した正極活物質層23の端縁位置の検出情報に基づいて、アルミニウム箔22の幅方向での、短絡防止層24の塗布位置あるいはアルミニウム箔22の搬送位置を制御することで、短絡防止層24を精度良く塗布することができる。
このように短絡防止層24の形成位置を制御する関係で、光学的位置検出手段は、正極活物質層23の端縁位置を、短絡防止層24の塗布の全長に亘って連続的に検出しており、上述のように、正極活物質層23と未塗工部3aとの境界部分の略全長に亘る範囲を上記活物質層はみ出し部として設定している。
アルミニウム箔22に正極活物質層23及び短絡防止層24が塗布された後、乾燥処理され、更に、アルミニウム箔22の反対側の面にも、上記工程により正極活物質層23及び短絡防止層24が塗布され、乾燥処理される。
【0036】
以上の工程によって、アルミニウム箔22の表裏両面に、導電体層21,正極活物質層23及び短絡防止層24が形成された後、プレス加工処理を行う。
このプレス加工処理には、正極側電極の湾曲抑制のためのプレス加工と、正極活物質層23の高密度化等のためのプレス加工とがあり、送り搬送されるアルミニウム箔22(正極活物質層23等が塗布されたもの)に対して、順次に加工処理される。
プレス加工処理は、図6に概略的に示すプレス加工装置PMにて行う。
プレス加工装置PMは、正極活物質層23等を塗布したアルミニウム箔22のロール31からアルミニウム箔22を引き出し、所定のテンションを付加して搬送駆動する搬送系32と、正極活物質層23等を塗布したアルミニウム箔22のうち、幅方向両端部のアルミニウム箔22が露出している部分を延伸するための間欠ロールプレス装置33と、正極活物質層23の塗布領域全体を延伸するための主ロールプレス装置34とが備えられて構成されている。
【0037】
間欠ロールプレス装置33は、図7の斜視図に概略的に示すように、アルミニウム箔22の搬送経路を挟んで、一対の圧着ローラ35,36が備えられ、図示を省略するモータによって一対の圧着ローラ35,36が回転駆動されている。
一対の圧着ローラ35,36のうちの一方の圧着ローラ35には、それの周面の幅方向両端部において、低い段差を有して台地状に突出する凸部35aが、設定間隔をおいて周方向に並ぶ状態で形成されている。
凸部35aの形状は、圧着ローラ35の周面の法線方向視で略矩形形状に形成しており、より具体的には、内方側の角部を丸めた長方形形状としている。
圧着ローラ35における凸部35aの形成位置は、正極活物質層23等が塗布形成されたアルミニウム箔22における幅方向両端部に対応する位置に設定され、凸部35aは、幅方向両端部のアルミニウム箔22の露出部分のみを押圧する。
正極活物質層23の未塗布部分を、圧着ローラ35の凸部35aで押圧し、予め延伸しておくことで、正極側電極の湾曲を抑制するのであるが、詳しくは後述する。
【0038】
間欠ロールプレス装置33における各部の具体的な大きさとしては、圧着ローラ35は、直径が118mmの円柱形状のローラに高さが1mmの凸部35aが形成されている。
圧着ローラ35における、周方向での凸部35aの並び間隔(ピッチ)は、15mm〜50mmに設定すれば、所望の延伸効果が得られ、30mm程度に設定することで特に良好な結果が得られた。
一対の圧着ローラ35,36は、挟持搬送物に対して所定の圧力をかけてプレス加工するのであるが、本実施の形態では、100kgf/cm以上の線圧をかけるように設定している。
【0039】
主ロールプレス装置34は、本実施の形態では、直径が300mmのプレス用ローラを使用し、正極活物質層23の塗布形成部分に対して、200kgf/cmの線圧をかけて押圧する。
間欠ロールプレス装置33による線圧と主ロールプレス装置34による線圧との関係は、間欠ロールプレス装置33による線圧が、主ロールプレス装置34による線圧の少なくとも30%以上となるように設定することで、湾曲が発生しないことを確認できた。
本実施の形態では、上記搬送系32,間欠ロールプレス装置33及び主ロールプレス装置34は、正極活物質層23等を塗布形成したアルミニウム箔22を、分速20m以上の速度で搬送駆動している。
搬送系32によって、アルミニウム箔22にかけられるテンションは、10N〜60N程度で良いが、20N〜30Nとすることが好ましい。
【0040】
正極活物質層23等を塗布形成したアルミニウム箔22は、ロール31から引き出されて、間欠ロールプレス装置33及び主ロールプレス装置34を通過してプレス加工処理されることで、図5において平面視で示すように、圧着ローラ35の凸部35aに対応する加圧痕25が形成される。本実施の形態では、上記のプレス加工処理によって、130μmの厚さであった正極活物質層23は片側80μmの厚さまで圧縮され、又、正極活物質層23の未塗布部分において間欠ロールプレス装置33でプレス加工された部分には、元の厚さの95%まで圧延された加圧痕25が形成される。
間欠ロールプレス装置33でのプレス加工処理無しに、主ロールプレス装置34にてアルミニウム箔22における正極活物質層23の塗布形成部分をプレス加工すると、強い圧力がかかる正極活物質層23の塗布形成部分は長手方向に延びるが、アルミニウム箔22の露出部分はそれほど強い圧力は作用せず、長手方向での延びが小さくなる。
具体例としては、正極活物質層23の塗布形成部分におけるプレス加工前後の長手方向での伸び率が0.346%のときに、アルミニウム箔22の露出部分におけるプレス加工前後の長手方向での伸び率が0.031%となり、伸び率で10倍以上の開きがある。
この延びの差に対してなにも対策を施さず、正極活物質層23等を塗布形成したアルミニウム箔22を上記のプレス加工処理後に、図5において1点鎖線Cで示す位置で切断すると、正極活物質層23の塗布側が凸となる姿勢で弓なりに湾曲してしまうことになる。
これに対して、上述のように、間欠ロールプレス装置33にてアルミニウム箔22の露出部分をプレス処理して延伸させることで、正極活物質層23の塗布形成部分における長手方向の延びと、アルミニウム箔22の露出部分における長手方向の延びとがバランスし、図5において1点鎖線Cで示す位置で切断したときの湾曲が十分に抑制される。
【0041】
上記のようにして、プレス加工処理が完了すると、次に、正極活物質層23を塗布したアルミニウム箔22を、長手方向に切断処理する。
切断位置は、図5において1点鎖線Cで示す位置であり、1点鎖線Cで示す位置で切断することによって、全く同一形状の2条分の正極側電極を得る。
この切断処理は、図6で示す装置と同様にして、プレス加工処理後のアルミニウム箔22(正極活物質層23等を塗布したもの)を送り搬送しながら、1点鎖線Cで示す位置に例えばカッタの刃等をあてて切断する。
1点鎖線Cの位置は、幅方向での正極活物質層23の塗布範囲の中央であり、カッタ等による切断位置の設定は、アルミニウム箔22の幅方向での正極活物質層23の幅方向両端の端縁位置を、撮像装置等の光学センサを用いた光学的位置検出手段にて検出し、両端縁位置の中心を切断するように制御する。
この光学的位置検出手段としては、短絡防止層24の塗布の場合と同様に、例えば、撮像装置にて正極活物質層23の端縁位置付近を撮像し、その撮像画像における、アルミニウム箔22の幅方向での色変化情報から正極活物質層23の端縁位置を特定すれば良い。
このようにして検出した正極活物質層23の端縁位置の検出情報に基づいて、アルミニウム箔22の幅方向での、カッタ等の位置あるいはアルミニウム箔22の搬送位置を制御することで、正極活物質層23を塗布したアルミニウム箔22を精度良く切断することができる。もちろん、正極活物質層23の幅方向両端の端縁位置のうち一方のみを光学的に検出し、その検出位置から正極活物質層23の塗布幅の1/2だけ離れた位置を切断位置として特定するようにしても良い。
以上のようにアルミニウム箔22の切断位置を制御する関係で、光学的位置検出手段は、正極活物質層23の端縁位置を、アルミニウム箔22の全長に亘って連続的に検出しており、上述のように、正極活物質層23と未塗工部3aとの境界部分の略全長に亘る範囲を上記活物質層はみ出し部として設定している。
【0042】
〔負極側電極の製造工程〕
次に、発電要素3の負極側電極の製造工程について説明する。
負極側電極についても、正極側電極の場合と同様に2条分の負極側電極を同時処理で作製し、負極側電極の製造工程の最終工程として、幅方向に2条分が連なったものを幅方向中央位置で切断して、2条の負極側電極に分離する。
負極側電極は、上述のように、箔状負極板に負極活物質を塗布して作製しており、本実施の形態では、還元場において安定で導電性に優れた銅箔を箔状負極板として用いる。この銅箔は、幅が170mmの長尺帯状に形成されたものであり、厚さは7μm〜15μmで良いが、本実施の形態では10μmの厚さとしている。銅箔以外では、ニッケル,鉄,ステンレス鋼,チタン,アルミニウム,焼成炭素,導電性高分子,導電性ガラス及びAl−Cd合金等や、接着性,導電性及び耐酸化性の向上のために銅等の表面をカーボン,ニッケル,チタンあるいは銀等で処理したものを箔状に形成して箔状正極板として用いることができる。これらのうちでは、ニッケル箔,鉄箔及びこれらを一部に含む合金箔も、還元場において安定で導電性に優れている。
上記の箔状負極板に塗布する負極活物質は、本実施の形態では、グラファイトを使用しているが、グラファイト以外にも、Liイオンを吸蔵及び放出する各種の材料を用いることができる。例えば、スピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム,リチウム金属,リチウム含有合金(例えば、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ及びリチウム−ガリウム等),ウッド合金,無定型炭素,繊維状炭素,石油ピッチ系炭素及び石炭コークス系炭素等を用いることができる。
更に、炭素材料にはスズ酸化物やケイ素酸化物等の金属酸化物の他、リンやホウ素を添加して改質を行うことも可能である。又、グラファイトとリチウム金属あるいはリチウム含有合金等とを併用することや、電気化学的に還元することによって炭素材料に予めリチウムを挿入するようにしても良い。
【0043】
上記の負極活物質については、グラファイト94重量%と結着剤であるPVDF6重量%とからなる混合物にNMPを加えてペースト状として負極合剤ペーストとし、銅箔の表裏両面に塗布する。
本実施の形態の負極側電極では、正極側電極における導電体層21及び短絡防止層24に相当する層の塗布形成は行わないが、上記負極活物質のペーストの塗布方法自体は正極活物質の塗布工程と同様であり、長手方向に送り搬送される銅箔上に、上記の負極活物質のペーストをダイコートにより塗布する。
負極活物質層は、40μm〜60μmの層厚で、銅箔の長手方向に延びる帯状に塗布している。又、正極と負極の容量は、正極の容量を100としたときの負極の容量が140となるように調整した。
負極活物質層の塗布位置は、銅箔の幅方向端縁位置を光学的に検出して、その位置情報に基づいて、銅箔の幅方向中央位置と、負極活物質層の塗布幅の中央位置とが一致するように高精度に制御されている。
負極活物質層の塗布領域の両側に位置する幅(銅箔の幅方向での長さ)が10mmの領域は、未塗工部3bとなる。
銅箔に負極活物質層が塗布された後、乾燥処理され、更に、銅箔の反対側の面にも、上記工程により負極活物質層が塗布され、乾燥処理される。
【0044】
以上の工程によって、銅箔の表裏両面に負極活物質層が形成された後、正極側電極の場合と同様に、プレス加工処理を行う。
負極側電極についてのプレス加工処理も、正極側電極の場合のプレス加工処理と同様であり、負極側電極の湾曲抑制のためのプレス加工と、負極活物質層の高密度化等のためのプレス加工とがある。
プレス加工処理に使用する装置も正極側電極の場合と同様であり、図6に概略的に示すプレス加工装置PMにて、一連に送り搬送される負極活物質層を塗布形成した銅箔に対して、負極側電極の湾曲抑制のためのプレス加工と、負極活物質層の高密度化等のためのプレス加工とを順次に行う。
【0045】
負極側電極のプレス加工処理では、間欠ロールプレス装置33において、例えば10μmの銅箔に対しては、0.03μmの加圧痕を形成するように設定し、主ロールプレス装置34では、40μm〜60μmの負極活物質層を24μm〜37μmの厚さに圧縮するように設定している。
負極側電極においても、間欠ロールプレス装置33にて銅箔の露出部分をプレス処理して延伸させることで、主ロールプレス装置34の押圧による負極活物質層の塗布形成部分における長手方向の延びと、銅箔の露出部分における長手方向の延びとがバランスし、負極側電極の湾曲が十分に抑制される。
【0046】
上記のようにして、プレス加工処理が完了すると、次に、負極活物質層を塗布形成した銅箔を、長手方向に切断処理する。
この工程も正極側電極と同様であり、銅箔(負極活物質層を塗布したもの)を送り搬送しながら、負極活物質層の塗布範囲の幅方向中央位置で切断する。
この切断は、負極活物質層の幅方向両端の端縁位置を光学的に検出し、両端縁位置の中心を、カッタ等によって切断すれば良い。
【0047】
〔発電要素3の組立〕
発電要素3は、上述のようにして作製した正極側電極41と負極側電極42とを、セパレータ43を挟んだ状態で、扁平な板状の巻回軸周りに所定の長さ分を巻回し、図8に概略的に示す状態とする。図8は、巻回後に取り外される上記巻回軸を除いた状態で示している。
セパレータ43としては、ポリオレフィン系,ポリエステル系,ポリアクリロニトリル系,ポリフェニレンサルファイド系,ポリイミド系あるいはフッ素樹脂系等の微孔膜や不織布を用いることができる。セパレータ43の濡れ性が悪い場合には、界面活性剤等による処理を施しても良い。
【0048】
〔二次電池RBの組立〕
上記のようにして組み立てた発電要素3は、蓋部2側の組品に溶接により組み付ける。
蓋部2側の組品は、正極側では、端子ボルト5の頭部側のリベット8を、上部ガスケット11,蓋部2,下部ガスケット12及び集電体4を貫通させて蓋部2に組み付け、リベット8の筐体BC内方側の端部をかしめて固定する。
負極側でも、端子ボルト7の頭部側のリベット15を、上部ガスケット17,蓋部2,下部ガスケット18及び集電体6を貫通させて蓋部2に組み付け、リベット15の筐体BC内方側の端部をかしめて固定する。
発電要素3は、正極側電極41の未塗工部3a(アルミニウム箔が露出している部分)を集電体4の接続部4aと超音波溶接等によって溶接し、負極側電極42の未塗工部3b(銅箔が露出している部分)を集電体6の接続部6aと超音波溶接等によって溶接する。
発電要素3を組み付けると、この蓋部2側の組品を缶体1に挿入して、蓋部2の端縁と缶体1の開口端とをレーザ溶接にて溶接する。
その後、電解液の注液や初期充電等の工程を経て二次電池RBが完成する。電解液としては、本実施の形態では、エチレンカーボネイト(EC)とジメチルカーボネイト(DMC)とメチルエチルカーボネイト(MEC)との体積比30:40:30の混合溶媒にLiPF(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/L(リットル)の割合で溶解したものを用いた。
尚、上述した正極側電極及び負極側電極の作製から電池組み立てに至る全ての工程は、露点−50℃以下のドライルームで行っている。
【0049】
〔二次電池RBの評価〕
次に、上記工程における作製条件を変化させて製作した二次電池RBの評価について説明する。
ここでの二次電池RBの評価としては、二次電池RB間の電池容量のばらつきと、正極側電極における正極活物質層23の剥離強度との2項目について評価している。
先ず、二次電池RB間の電池容量のばらつきについて説明する。
上記工程では、箔状正極板であるアルミニウム箔22上において、導電体層21の上に正極活物質層23を塗布する際、図3(b)に示すように、正極活物質層23の幅方向(矢印Bで示す方向)の端縁は、破線Eで示す導電体層21の端縁から、アルミニウム箔22が露出する領域へ、距離「W」で示す分だけはみ出している。
これは、導電体層21を露出させないためのものであり、導電体層21を露出させてしまうと、二次電池RBの電池容量のばらつきの原因となる。
上述のような2条分の正極側電極を一体に作製する二次電池RBの製造工程においては、2条分が連なった状態の正極側電極を各条に切断分離する際に、切断後の正極活物質層23の塗布幅を各条で極力一致させて、容量ばらつきを十分に抑制する必要がある。
正極側電極の切断作業において、アルミニウム箔22の幅方向(図5等において、矢印Bにて示す方向)の端縁位置を検出して、その検出情報に基づいて切断位置を設定したのでは、アルミニウム箔22上への正極活物質層23の塗布位置の誤差(上記幅方向での誤差)が、二次電池RBの電池容量のばらつきの要因となってしまう。
【0050】
このため、上記の二次電池RBの製造工程では、切断位置の設定の基準を、アルミニウム箔22の幅方向端縁位置ではなく、正極活物質層23の幅方向端縁位置としている。
尚、正極活物質層23の幅方向端縁位置には、短絡防止層24が塗布されているが、この短絡防止層24は実質的に透明とみなすことができ、正極活物質層23の幅方向端縁位置の検出にはほとんど影響を与えない。
このように正極活物質層23の幅方向端縁位置を基準とする場合において、導電体層21と正極活物質層23とは同系色であることがほとんどであり、両者を光学的に精度良く弁別することは困難である。
このため、導電体層21が露出していると、導電体層21の幅方向端縁位置を正極活物質層23の端縁位置であると誤検出する等して、正極活物質層23の幅方向端縁位置を精度良く検出することができず、正極側電極を各条に切断分離した際の、各条における正極活物質層23の面積のばらつきが大となって、二次電池RBの電池容量をばらつかせてしまう。
このような、正極側電極における導電体層21の端縁と正極活物質層23の端縁との位置関係が、二次電池RBの電池容量のばらつき度合いに与える影響を実験によって評価した。
その評価実験の結果を表1に示す。
表1に実験結果を示す二次電池RBは、正極活物質層23の塗布幅を90mmとして、5Ahの容量の二次電池RBとして作製したものである。
【0051】
【表1】

【0052】
表1において「はみ出し量」としているものは、図3(b)における距離「W」の値であり、「はみ出し量」を負の値で示しているものは、正極活物質層23の幅方向端縁位置が、導電体層21の幅方向端縁位置よりも引退し、導電体層21が露出している幅の値であることを示している。
表1において「容量ばらつき」として示す値が、各「はみ出し量」に対する二次電池RBの容量ばらつきを示すものであり、図5において1点鎖線Cで示す位置で切断分離して生成された2条の正極側電極の夫々で二次電池RBを作製し、両者の電池容量の差をとったものである。この電池容量は、5Aで定電流充電を行った後、4.2Vで定電圧充電を1.5時間行い、その後、2.5Vに達するまで5Aで定電流放電を行って、その時の積算電流値から求めた。
表1における「はみ出し量」と「容量ばらつき」との関係をグラフ化したものが、図9である。
図9のグラフから明らかなように、「はみ出し量」が負の値、すなわち、導電体層21が露出している状態では、容量ばらつきが大きくなっているのに比べて、「はみ出し量」が「0」より大きい領域、すなわち、導電体層21が正極活物質層23によって完全に覆われている状態では、容量ばらつきが小さい値で一定となっている。
【0053】
次に、正極活物質層23の剥離強度の評価について説明する。
上述のように、正極活物質層23が導電体層21を完全に覆うことで、二次電池RBの電池容量のばらつきを抑制できるのであるが、その反面、導電体層21の塗布領域からはみ出した正極活物質層23は、アルミニウム箔22との間に導電体層21が存在しないために、アルミニウム箔22との密着性が問題となる。
そこで、正極活物質層23のアルミニウム箔22との密着性を、正極活物質層23の剥離強度として評価し、上記の「はみ出し量」に対して、正極活物質層23の剥離強度がどのように変化するかを測定した。
【0054】
上記の剥離強度は、完成した正極側電極を5.0cm×3.5cm程度の寸法に裁断し、幅18mmのテープを、正極側電極とテープとの接着部分の長さが3cm程度になるように、短絡防止層24付近の上に張り付けた後、その貼り付けたテープを引きはがして、引きはがしに要する力をフォースゲージにて測定した。貼り付けたテープの引きはがし方は、図14に示すように、正極側電極41に貼り付けたテープ51の先端51a側を折り返して、その先端51aをフォースゲージの先端部分で挟んで矢印Fの方向に引っ張り、剥離強度を得た。
この剥離強度の測定結果を、表1の「剥離強度」欄に、各「はみ出し量」に対する値として示している。
【0055】
表1の「はみ出し量」と「剥離強度」との関係をグラフ化したものを、図10に示す。
対応する「はみ出し量」が「0」以下の値となっている領域での「剥離強度」のデータは、導電体層21の上に乗っている正極活物質層23の端縁部に短絡防止層24を形成し、その短絡防止層24を引きはがすことによる剥離強度を測定しているので、測定した剥離強度は、十分に大きな値で一定となっている。
これに対して、対応する「はみ出し量」が「0」より大きな値となっている領域での「剥離強度」のデータは、「はみ出し量」が1.0mm以下では、正極活物質層23が導電体層21の上に乗っているのと同等の値を示し、「はみ出し量」が1.0mmを超えると「剥離強度」が徐々に低下して、「はみ出し量」が2.0mm以下の範囲までは、ある程度の「剥離強度」を確保していることを示している。
「はみ出し量」が2.0mmを超える領域では「剥離強度」は一定の値となり、実際の正極活物質層23の剥離強度が、測定のバックグラウンド(正極活物質層23以外の部分に起因する引きはがしに要する力)に埋もれてしまう程度に低下している。
以上の「剥離強度」の評価結果から、上述の製造工程では、正極活物質層23の端縁位置と導電体層21の端縁位置との間隔(図3(b)において「W」で示す距離)が、2mm以下となるように、正極活物質層23の塗布幅を設定しているが、正極活物質層23の端縁位置と導電体層21の端縁位置との間隔が1mm以下となるように、正極活物質層23の塗布幅を設定することが、より好ましいものと言える。
【0056】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、正極側電極を2条分について一括して製作する場合を例示しているが、例えば、図13に示すように、4条分について一括して導電体層21及び正極活物質層23等の形成を行い、最終工程において1点鎖線Cの位置で4条に切断分離するように構成しても良いし、更に多くの条数で作製しても良い。尚、図13においては、図5における各要素と対応するものには、図5と同一の符号を付している。
(2)上記実施の形態では、アルミニウム箔22の長手方向において、正極活物質層23と未塗工部3aとの境界部分の略全長に亘る範囲を上記活物質層はみ出し部として設定しているが、必ずしも全長である必要はなく、正極活物質層23の端縁位置を検出する必要のある部分だけでも良い。
(3)上記実施の形態では、光学的位置検出手段として、撮像装置にて正極活物質層23と未塗工部3aとの境界部分を撮像して、その撮像情報から正極活物質層23の端縁位置を検出する場合を例示しているが、例えば、ビーム光を正極活物質層23と未塗工部3aとの境界部分で走査して、その反射光を検出した光センサの検出情報に基づいて、反射光量の変化から正極活物質層23の端縁位置を検出する等、光学的位置検出手段の具体構成は、種々に変更可能である。
【0057】
(4)上記実施の形態では、プレス加工処理として、正極側電極の湾曲抑制のためのプレス加工と、正極活物質層の高密度化等のためのプレス加工とを、順次に行った場合を例示しているが、2種類のプレス加工処理の間に、電極をロール状に巻き取る工程を設けても良い。又、正極活物質層の高密度化等のためのプレス加工を行った後に、正極側電極の湾曲抑制のためのプレス加工を行っても良い。
(5)上記実施の形態では、導電体層21を箔状正極板(正極側の箔状電極板)に形成する場合を例示して説明しているが、負極側電極42においても、箔状負極板(負極側の箔状電極板)と負極活物質との材質等の関係で、箔状負極板と負極活物質層との間に導電体層を配置する場合に、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
3a 未塗工部
21 導電体層
22 箔状電極板
23 活物質層
24 短絡防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する箔状電極板上における、前記箔状電極板の表面を露出させる未塗工部の形成位置以外の領域に、導電体層と活物質層とを順次に重ねて積層させて、電池の電極を作製する電池用電極の製造方法であって、
前記活物質層の形成領域における前記未塗工部の存在側の端縁部の少なくとも一部において、上層側の前記活物質層の端縁が、下層側の前記導電体層の端縁よりも前記未塗工部側に位置する活物質層はみ出し部を形成する工程と、
前記活物質層はみ出し部において、光学的位置検出手段にて前記活物質層の存在位置を特定する工程とを有する電池用電極の製造方法。
【請求項2】
前記活物質層はみ出し部において、前記活物質層の端縁と前記導電体層の端縁との距離が2mm以下に設定されている請求項1記載の電池用電極の製造方法。
【請求項3】
正極側の前記箔状電極板に形成した前記活物質層はみ出し部における前記活物質層の端縁位置を前記光学的位置検出手段にて検出し、
その検出した位置情報に基づいて、正極側の前記箔状電極板上における前記活物質層と前記未塗工部との境界部分の上に、前記箔状電極板よりも電気抵抗の大きい短絡防止層を形成する請求項1又は2記載の電池用電極の製造方法。
【請求項4】
前記活物質層はみ出し部における前記活物質層の端縁位置を前記光学的位置検出手段にて検出し、
その検出した位置情報に基づいて、前記導電体層及び前記活物質層を積層した状態の前記箔状電極板の切断位置を設定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用電極の製造方法。
【請求項5】
前記箔状電極板は長尺帯状に形成され、前記導電体層及び前記活物質層は、前記箔状電極板の幅方向端部に前記未塗工部が位置する状態で、前記箔状電極板の長手方向に延びる帯状に形成され、
前記活物質層と前記未塗工部との境界部分の略全長に亘る範囲が前記活物質層はみ出し部として設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池用電極の製造方法。
【請求項6】
導電性を有する箔状電極板上における、前記箔状電極板の表面を露出させる未塗工部の形成位置以外の領域に、導電体層と活物質層とが順次に重ねて積層された電池用電極であって、
前記活物質層の形成領域における前記未塗工部の存在側の端縁部の少なくとも一部において、上層側の前記活物質層の端縁が、下層側の前記導電体層の端縁よりも前記未塗工部側に位置する活物質層はみ出し部が形成されている電池用電極。
【請求項7】
前記活物質層はみ出し部において、前記活物質層の端縁と前記導電体層の端縁との距離が2mm以下に設定されている請求項6記載の電池用電極。
【請求項8】
正極側の前記箔状電極板における前記活物質層と前記未塗工部との境界部分の上に、前記箔状電極板よりも電気抵抗の大きい短絡防止層が形成されている請求項6又は7記載の電池用電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−51035(P2013−51035A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186750(P2011−186750)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】