説明

電池用電極シートの検査方法及び検査装置

【課題】電池用電極シートの欠陥位置を検知することが可能な電池用電極シートの検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】
電池用電極シートの検査方法及び検査装置は、電極層及び絶縁層の順に積層された電極シートの検査をする電池用電極シートの検査をする検査方法及び検査装置であって、上記電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加し、印加した上記検査用電圧に伴って上記電極シートに流れる電流の検知をすることができる。このため電池用電極シートの欠陥位置を検知することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、リチウム電池等の電池用電極シートの検査方法及び検査装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電池用電極シートの検査方法として、電極板上に形成された多孔性絶縁層に検査用電圧を印加しながら、この検査用電圧の印加に伴って流れる電流を測定し、予め設定した電流と比較して電極板の内部短絡につながる欠陥の判定をする検査方法が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、特許文献1には電池用電極シートの検査装置として、多孔性絶縁層を形成した電極板を電極板巻出し・取りロールにより走行させ、走行に同期して回転するローラーシャフトにもうけた検査電極により電極板を検査する検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−40362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の電池用電極シートの検査方法及び検査装置では、電極板の走行方向、言い換えると検査方向に対する垂直方向の欠陥位置を検知することができないという問題点がある。例えば、電極板が量産化される場合、電極板の欠陥位置を検知することができないことは電極板の歩留まりの悪化をまねくため、この問題点は深刻さを増す。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、電極シートの欠陥位置を検知することが可能な電池用電極シートの検査方法及び検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る電池用電極シートの検査方法は、電極層及び絶縁層の順に積層された電極シートの検査をする電池用電極シートの検査方法であって、上記電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加し、印加した上記検査用電圧に伴って上記電極シートに流れる電流の検知をする。
【0008】
ここに、電極シートは、電極層及び絶縁層がこの順番で積層されたシートを意味する。電極層は、活物質層を含む層をいう。電極層は、活物質層そのものであってもよく、集電体と活物質層が積層されたものでもよい。絶縁層は、例えば、セパレータ、多孔質シート、繊維質シート、固体電解質層等を挙げることができる。
【0009】
検査領域は、電極シートの検査をする領域を意味する。具体的には、電極シートにおいて、電極層及び絶縁層のうち少なくともいずれか1つが存在する領域を意味する。
【0010】
検査用電圧は、電極シートの積層方向の2点間の電位の差を意味する。
【0011】
本発明に係る電池用電極シートの検査方法は、その検査時には、電極シートの検査領域を分割して検査をする。具体的には、電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加する。そして、印加した検査用電圧に伴って電極シートに流れる電流の検知をする。
【0012】
検査領域の分割は、例えば、1つの検査装置を分割して測定する検査領域に応じて相対的に移動させること、及び複数の検査装置を分割して測定する検査領域毎に配置すること等を挙げることができる。
【0013】
検査用電圧の印加は、例えば、検査装置を電極シートに接触させて印加すること、及び電極シートに非接触で印加すること等を挙げることができる。接触の場合は、ロール等を用いることができる。非接触の場合は、不活性ガスを充満させたボックスの中で検査を行うことができる。不活性ガスを用いることで、非接触であっても電流を流すことができる。
【0014】
電流の検知は、例えば、電流の量、言い換えると電流値を検知すること、及び電流が流れたか流れていないかを検知すること等を挙げることができる。
【0015】
検査された電極シートは、電池として組み立てられる。ここで仮に、欠陥のある電極シートを電池として組み立てた場合、何らかの対策を施さなければ、電池の性能悪化や内部短絡等の問題を引き起こしかねない。また、電極シートの欠陥を検査するために、組み立て後の電池を検査することは効率が悪い。そして、単に電極シートの欠陥を検知するだけでは欠陥原因、例えば、設備の不具合等の特定が困難である。
【0016】
しかるに、本発明に係る電池用電極シートの検査方法によれば、電極シートの欠陥位置を検知することが可能となる。より具体的には、電極シートの検査領域を分割することで、電極シートの欠陥の検査方向及び検査方向の垂直方向の位置を検知することができる。言い換えると、二次元で電極シートのの欠陥位置を検知することができる。そのため、例えば、設備の不具合等の電極シートの欠陥原因を特定すること、及び欠陥部分のみ除去すること等が容易になり、電極シートを歩留まり良く生産することができる。
【0017】
本発明に係る電池用電極シートの検査方法の一態様では、上記電池用電極シートの検査方法は、上記検知をした電流の値から上記電極シートの欠陥位置の推定をする方法を更に含む。
【0018】
この態様によれば、検知をした電流の値から電極シートの欠陥位置を推定することができる。欠陥位置の推定は、例えば、複数の検査装置を用いる場合は、各検査装置にそれぞれ流れる電流値と各検査装置が検査した検査領域の位置とを対応させて欠陥位置を推定することができる。1つの検査装置を用いる場合は、検査装置に流れる電流値と検査装置が検査した検査領域の位置とを対応させて欠陥位置を推定することができる。
【0019】
本発明に係る電池用電極シートの検査方法の他の態様では、上記検査の方向は、上記電極シートの移送方向及び上記電極シートの長手方向のうち少なくともいずれか一方である。
【0020】
この態様によれば、検査の方向が電極シートの移送方向であることで効率よく電極シートの検査をすることができる。一方で検査の方向が電極シートの長手方向である場合も効率よく電極シートの検査をすることができる。そして、検査の方向が電極シートの移送方向かつ電極シートの長手方向である場合は、より効率よく電極シートの検査をすることができる。
【0021】
本発明に係る電池用電極シートの検査方法の他の態様では、上記絶縁層は、固体電解質層である。
【0022】
この態様によれば、固体電解質層を備えた電極シートの欠陥位置を検知することができる。
【0023】
上述した課題を解決するため、本発明に係る電池用電極シートの検査装置は、電極層及び絶縁層の順に積層された電極シートの検査をする電池用電極シートの検査装置であって、上記電極シートの前記絶縁層に配置され、上記電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加する、導電性の測定端子を有する第1の測定手段と、前記第1の測定手段に対して上記電極シートを挟んで上記電極層に配置される導電性の測定端子を有するの第2の測定手段と、上記第1の測定手段及び第2の測定手段が印加する検査用電圧に伴って前記電極シートに流れる電流の検知をする検知手段と、を備える。
【0024】
ここに、電極シートは、電極層及び絶縁層がこの順番で積層されたシートを意味する。電極層は、活物質層を含む層をいう。電極層は、活物質層そのものであってもよく、集電体と活物質層が積層されたものでもよい。絶縁層は、例えば、セパレータ、多孔質シート、繊維質シート、固体電解質層等を挙げることができる。
【0025】
検査領域は、電極シートの検査をする領域を意味する。具体的には、電極シートにおいて、電極層及び絶縁層のうち少なくともいずれか1つが存在する領域を意味する。
【0026】
検査用電圧は、電極シートの積層方向の2点間の電位の差を意味する。
【0027】
第1の測定手段は、上記電極シートの上記絶縁層に配置され、上記電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加し、導電性の測定端子を有するものを意味する。
【0028】
第2の測定手段は、上記第1の測定手段に対して上記電極シートを挟んで上記電極シートの積層方向に配置される導電性の測定端子を有するものを意味する。
【0029】
第1の測定手段及び第2の測定手段の導電性の測定端子は、電極シートに検査用電圧を印加し、印加した電圧よって電流が流れる部分を意味する。導電性の測定端子の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、銅、及びカーボン等を挙げることができる。
【0030】
検知手段は、広義には上記第1の測定手段及び第2の測定手段が印加する検査用電圧に伴って前記電極シートに流れる電流の検知をするものを意味する。例えば、電流計、熱電対、及びヒューズ等を挙げることができる。検知手段は、狭義には上記第1の測定手段及び第2の測定手段が印加する検査用電圧に伴って前記電極シートに流れる電流の検知をする電流計を意味する。
【0031】
第1の測定手段は、1つであってもよく、複数であってもよい。第1の測定手段が1つである場合の検査方法は、例えば、分割して検査する検査領域に応じて第1の測定手段を移動させる方法、分割して検査する検査領域に応じて電極シートを移動させる方法、及び分割して検査する検査領域に応じて第1の測定手段と電極シートを移動させる方法等を挙げることができる。第1の測定手段が複数である場合の検査方法は、例えば、分割して測定する検査領域毎に第1の測定手段を配置する方法等を挙げることができる。
【0032】
第2の測定手段は、1つであってもよく、複数であってもよい。第2の測定手段が単数である場合の検査方法は、例えば、分割して検査する検査領域に応じて移動する第1の測定手段と伴に第2の測定手段を移動させる方法、及び第2の測定手段を検査領域全面に配置し、検査領域毎に配置した複数の第1の測定手段と対向させる方法等を挙げることができる。第2の測定手段が複数である場合の検査方法は、例えば、分割して測定する検査領域毎に第2の測定手段を配置する方法等を挙げることができる。
【0033】
第1の測定手段及び第2の測定手段は、電極シートに接触をしても、非接触であってもよい。中でも電極シートに接触をすることが好ましい。電極シートに接触をすることで、電極シートに圧力が加わった状態の検査をすることができる。接触の場合は、例えば、ロール、及び平板等の使用を挙げることができる。非接触の場合は、例えば、不活性ガスを充満させたボックスの中での検査を挙げることができる。不活性ガスを用いることで、非接触であっても電流を流すことができる。
【0034】
以上のように構成された本発明に係る電池用電極シートの検査装置は、その検査時には、電極シートの検査領域を分割して検査をする。具体的には、電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加する。そして、印加した検査用電圧に伴って電極シートに流れる電流の検知をする。
【0035】
検査された電極シートは、電池として組み立てられる。ここで仮に、欠陥のある電極シートを電池として組み立てた場合、何らかの対策を施さなければ、電池の性能悪化や内部短絡等の問題を引き起こしかねない。また、電極シートの欠陥を検査するために、組み立て後の電池を検査することは効率が悪い。そして、単に電極シートの欠陥を検知するだけでは欠陥原因、例えば、設備の不具合等の特定が困難である。
【0036】
しかるに、本発明に係る電池用電極シートの検査装置によれば、電極シートの欠陥位置を検知することが可能となる。より具体的には、電極シートの検査領域を分割することで、電極シートの欠陥の検査方向及び検査方向の垂直方向の位置を検知することができる。言い換えると、二次元で電極シートのの欠陥位置を検知することができる。そのため、例えば、設備の不具合等の電極シートの欠陥原因を特定すること、及び欠陥部分のみ除去すること等が容易になり、電極シートを歩留まり良く生産することができる。
【0037】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の一態様では、上記電池用電極シートの検査装置は、上記検知手段が検知をした電流値から上記電極シートの欠陥位置の推定をする推定手段を更に備える。
【0038】
推定手段は、検知された電流値に基づいて欠陥位置を推定するものを意味する。推定手段は、例えば、プロセッサやメモリ等を含んで構成される装置である。
【0039】
この態様によれば、推定手段は、検知をした電流の値から電極シートの欠陥位置を推定することができる。推定手段による欠陥位置の推定方法は、例えば、複数の検査装置を用いる場合は、各検査装置にそれぞれ流れる電流値と各検査装置が検査した検査領域の位置とを対応させることを挙げることができる。1つの検査装置を用いる場合は、検査装置に流れる電流値と検査装置が検査した検査領域の位置とを対応させることを挙げることができる。
【0040】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の他の態様では、上記第1の測定手段は、上記電極シートの前記絶縁層に接触し、上記第2の測定手段は、上記電極シートの電極層に接触することを特徴とする。
【0041】
この態様によれば、第1の測定手段及び第2の測定手段が電極シートに接触することで、電極シートの欠陥位置を検知することが容易になる。例えば、電極シートに欠損がある場合、接触により欠損部分に活物質が侵入し第1の測定手段及び第2の測定手段に閉回路を構成しやすくなる。また、電極シートに異物がある場合、接触により異物が押され第1の測定手段及び第2の測定手段に閉回路を構成しやすくなる。
【0042】
なお、第1の測定手段及び第2の測定手段は電極シートを加圧するように接触していてもよい。
【0043】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の他の態様では、上記導電性の測定端子が分割して測定する前記検査領域毎に配置されるように、上記第1の測定手段をそれぞれ複数配置したことを特徴とする。
【0044】
この態様によれば、複数の第1の測定手段を配置することにより、典型的には、第1の測定手段を検査方向に対して垂直方向に移動させることなく検査することができる。また、電極シートを検査方向に対して垂直方向に移動させることなく検査することができる。従って、測定領域を分割して検査することが容易になる。
【0045】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の他の態様では、上記第1の測定手段は、上記電極シートの上記絶縁層に接触する導電性の外周面を有する第1のロールであり、上記第2の測定手段は、上記電極シートの上記電極層に接触する導電性の平板を有することを特徴とする。
【0046】
ここにロールとは、検査の方向に回転するものを意味する。平板とは、電極シートに接触する面が平面であるものを意味する。
【0047】
この態様によれば、第1の測定手段はロールであることから電極シートの絶縁層を効率よく検査することができる。例えば、電極シートの絶縁層に検査に必要のないずり応力を与えずに検査をすることができる。第2の測定手段は平板であることから安定して電極シートを支えることができる。
【0048】
なお、第1の測定手段及び第2の測定手段は電極シートを加圧するように接触していてもよい。
【0049】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の他の態様では、上記第1の測定手段は、上記電極シートの上記絶縁層に接触する導電性の外周面を有する第1のロールであり、上記第2の測定手段は、上記電極シートの上記電極層に接触する導電性の外周面を有する第2のロールであることを特徴とする。
【0050】
この態様によれば、電極シートは積層方向に第1のロール及び第2のロールにより挟まれて検査される。従って、電極シートを効率よく検査することができる。例えば、電極シートの絶縁層及び電極層に検査に必要のないずり応力を与えずに検査をすることができる。
【0051】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の他の態様では、上記導電性の外周面が分割して測定する前記検査領域毎に配置されるように、上記第1のロールをそれぞれ複数配置したことを特徴とする。
【0052】
この態様によれば、複数の第1のロールを配置することにより、典型的には、第1のロールを検査方向に対して垂直方向に移動させることなく検査することができる。また、電極シートを検査方向に対して垂直方向に移動させることなく検査することができる。従って、測定領域を分割して検査することが容易になる。
【0053】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の他の態様では、上記検査の方向は、上記電極シートの移送方向及び上記電極シートの長手方向のうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする。
【0054】
この態様によれば、検査の方向が電極シートの移送方向であることで効率よく電極シートの検査をすることができる。一方で検査の方向が電極シートの長手方向である場合も効率よく電極シートの検査をすることができる。そして、検査の方向が電極シートの移送方向かつ電極シートの長手方向である場合は、より効率よく電極シートの検査をすることができる。
【0055】
本発明に係る電池用電極シートの検査装置の他の態様では、上記絶縁層は、固体電解質層であることを特徴とする。
【0056】
この態様によれば、固体電解質層を備えた電極シートの欠陥位置を検知することができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明においては、電池用電極シートの欠陥位置を検知することが可能な検査方法及び検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1実施形態を概念的に表す斜視図である。
【図2】第1実施形態を概念的に表す側面図である。
【図3】第1実施形態の測定用平板を概念的に表す斜視図である。
【図4】第1実施形態のワニ口クリップを概念的に表す斜視図である。
【図5】第1実施形態の検査方法を概念的に表すフローチャートである。
【図6】第1実施形態の第1変形例を表す平面図である。
【図7】第1実施形態の第2変形例を表す斜視図である。
【図8】第1実施形態の第3変形例を表す側面図である。
【図9】第2実施形態を概念的に表す側面図である。
【図10】第3実施形態を概念的に表す側面図である。
【図11】第4実施形態を概念的に表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の電池用電極シートの検査方法及び検査装置について、詳細に説明する。
【0060】
以下、本発明の第1実施形態について、詳細に説明する。
【0061】
図1〜8を参照して、第1実形態に係る電池用電極シートの検査方法及び検査装置について説明する。図1は、検査装置1000の外観を示す斜視図であり、図2は、これを横から見た側面図の一部である。図3は、検査装置1000の測定用平板5の外観を表す斜視図である。図4は、検査装置1000のワニ口クリップ100の外観を表す斜視図である。図5は、第1実施形態の検査方法を概念的に表すフローチャートである。図6は、第1実施形態を表す図1を上から見たときと同趣旨の第1変形例の平面図である。図7は、1実施形態の第2変形例を表す斜視図である。図8は、1実施形態の第3変形例を表す図2と同趣旨の側面図である。
【0062】
図1及び図2において、検査装置1000は、測定用ロール85、電源90、測定用平板5、及び電流計130を備えた本発明に係る「検査装置」の一例である。なお、図1及び図2において、検査装置1000が検査をする電極シート45、及び電極シート45を巻き取る巻取りロール120が図示されている。
【0063】
図1及び図2が示すように、電極シート45は、絶縁層40、活物質層30、及び集電体20を備え、この順番で積層されている。
【0064】
絶縁層40は、例えば、セパレータ、多孔質シート、繊維質シート、固体電解質層等を挙げることができる。セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるのポリオレフィン系微多孔膜等を挙げることができる。
【0065】
固体電解質層に用いられる材料は、例えば、硫化物系固体電解質、及び酸化物系固体電解質等を挙げることができる。硫化物系固体電解質としては、硫黄成分を含有し、イオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、LiS−P、70LiS−30P、80LiS−20P、LiS−SiS、及びLiGe0.250.75等を挙げることができる。酸化物系固体電解質としては、例えば、LiPON、Li1+XAlTi2−X(PO、Li1+XAlGe2−X(PO、LiLaZr12、及びLiLaNb12等を挙げることができる。無機固体電解質10は1種類を単独で用いる、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
集電体20の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、銅、及びカーボン等を挙げることができる。正極の集電体は、SUS箔、及びアルミ箔であることが好ましく、アルミ箔であることがより好ましい。負極の集電体は、SUS箔、及び銅箔であることが好ましく、銅箔であることがより好ましい。
【0067】
活物質層30は、正極活物質層、及び負極活物質層を挙げることができる。
【0068】
正極活物質層に用いられる材料は、既存の各種リチウム電池に用いられる材料と同様のものを用いることができる。正極活物質としては、例えば、硫化物系活物質、及び酸化物系活物質等を挙げることができる。硫化物系活物質は、例えば、TiS、MoS、FeS、FeS、CuS、及びNiS等を挙げることができる。酸化物系活物質は、例えば、Bi、BiPb、CuO、V13、LiCoO、LiCrO、LiNiO、LiMn、LiNiMn、LiNiMnCoO、LiMgMn、LiNiGe、LiNiVO、LiCoVO、LiFePO、及びLiCoPO等を挙げることができる。正極活物質は、1種類を単独で用いる、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
正極活物質層は必要に応じて、導電化材料、イオン伝導性向上材料、及び結着材料等を有する。
【0070】
導電化材料は、例えば、カーボンファイバー、ケッチェンブラック、及びアセチレンブラック等を挙げることができる。導電化材料は、1種類を単独で用いる、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
イオン伝導材料は、既存の各種リチウム電池に用いられる材料と同様のものを用いることができる。イオン伝導材料としては、例えば、上述した硫化物系固体電解質、及び酸化物系固体電解質等を挙げることができる。イオン伝導材料は、1種類を単独で用いる、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
結着材料は、、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴム、及びエチレンプロピレンジエン等の合成ゴム、並びにポリフッ化ビニリデン等の高分子材料等を挙げることができる。結着材料は、1種類を単独で用いる、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
負極活物質層に用いられる材料は、既存の各種リチウム電池に用いられる材料と同様のものを用いることができる。負極活物質としては、例えば、炭素系材料、Li金属、Li合金、酸化物材料、窒化物材料等を挙げることができる。炭素系材料は、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、メソカーボンマイクロビーズ、高配向性グラファイト、ハードカーボン、及びソフトカーボン等を挙げることができる。Li合金は、例えば、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、及びHg等とLiとの合金を挙げることができる。酸化物材料としては、例えば、Nb、TiO、LiTi12、WO、及びFe等を挙げることができる。窒化物材料としては、例えば、Li3−XCoN、Li3−XNiN、Li3−XCuN等を挙げることができる。負極活物質は、1種類を単独で用いる、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
負極活物質層は必要に応じて、導電化材料、イオン伝導性向上材料、及び結着材料等を有する。導電化材料、イオン伝導性向上材料、及び結着材料等としては、上述した正極活物質層に用いられる材料と同様のものを用いることができる。
【0075】
巻取りロール120は、電極シート45を巻き取るロールであり、DR125は巻取りロールの回転方向を表す。巻取りロール120は、電極シート45を巻き取ることができるものであれば特に限定されるものではない。巻取りロール120は、1種類のロールを単独で用いる、又は2種類以上のロールを組み合わせて用いることができる。DR55は巻取りロール120によって巻き取られる電極シート45の移送方向を表す。図1において、DR55は電極シート45の長手方向でもある。なお、DR55に垂直で電極シート45に平行な方向が電極シート45の短手方向である。
【0076】
測定用ロール85は、電極シート45の絶縁層40に接触する導電性ロール70及び絶縁性ロール80を備え、ロールシャフト60によって動力が伝えられ回転する。DR65はロールシャフトの回転方向を表す。なお、測定用ロール85は、ロールシャフト60を固定して導電性ロール70及び絶縁性ロール80が自由に回転するように構成されてもよい。この際ロールシャフト60は導電性ロール70及び絶縁性ロール80の軸となる。導電性ロール70及び絶縁性ロール80は、連続した1つのロールであってもよいし、導電性ロール70と絶縁性ロール80とが別々に独立していてもよい。
【0077】
導電性ロール70とは、外周面に導電性の材料を有するものを意味する。導電性ロール70の外周面の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、アルミニウム、鉄、及び銅等を挙げることができる。
【0078】
絶縁性ロール80とは、外周面に絶縁性の材料を有するものを意味する。絶縁性ロール80の外周面の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、樹脂、セラミックス、及びゴム等を挙げることができる。
【0079】
図1において、測定用ロール85は電極シート45の検査領域を分割するように配置される。即ち、3本の測定用ロール85は導電性ロール70の回転方向が電極シート45の移送方向DR55に沿うように配置され、かつ導電性ロール70は段違いに配置される。したがって、測定用ロール85が検査する電極シート45の検査領域は3つに分割される。
【0080】
図3は測定用平板5の外観を表す斜視図である。測定用平板5は、電極シート45の集電体20に接触する導電性平板10及び絶縁性平板15を備える。測定用平板5の導電性平板10は、電極シート45を挟んで電極シート45の積層方向に導電性ロール70に対向して配置される。言い換えると、電極シート45は、導電性ロール70と導電性平板10に挟まれた状態である。また導電性平板10及び絶縁性平板15は移送方向に交互に配置される。
【0081】
導電性平板10とは、電極シート45に接触する面が平面であるものを意味する。導電性平板10の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、アルミニウム、鉄、及び銅等を挙げることができる。
【0082】
絶縁性平板15とは、電極シート45に接触する面が平面であるものを意味する。絶縁性平板15の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、樹脂、セラミックス、及びゴム等を挙げることができる。
【0083】
図4はワニ口クリップ100の外観を表す斜視図である。ワニ口クリップ100はロールシャフト60を挟み、測定用ロール85が回転してしていても検査用電圧を印加することができる。ワニ口クリップ100の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、アルミニウム、鉄、及び銅等を挙げることができる。なお、ワニ口クリップ100以外の態様であっても、測定用ロール85が回転している状態で検査用電圧を電極シート45に印加することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0084】
電源90及び電流計130は、既存の各種電源及び電流計と同様のものを用いることができる。電源90及び電流計130は図1及び図2において、測定用平板5の導電性平板10、電流計130、電源90、ワニ口クリップ100、及び測定用ロール85の導電性ロール70の順番で接続されている。電流計130と電源90の接続の順番は逆でもよい。
【0085】
以上のように構成された第1実形態の検査方法について図5を参照して、工程ごとに説明する。
【0086】
まず、第1電極シート巻取り工程では、巻取りロール120によって電極シート45が巻き取られる(ステップS10)。即ち、巻取りロール120はDR125の方向に回転し、電極シート45を巻き取る。
【0087】
次に、検査用電圧印加工程では、電極シート45に検査用電圧を印加する(ステップS20)。具体的には、電源90で発生させた検査用電圧を測定用ロール85及び測定用平板5によって、電極シート45に印加することにより行う。
【0088】
続けて、電極シート加圧工程では、測定用ロール85が電極シート45を加圧する(ステップS30)。ここで仮に、電極シートの絶縁層40に欠損等がある場合には、加圧により図1、及び図2に示されるように絶縁層の欠損部50に活物質層30の一部が入り込む。そうすると、測定用ロール85の導電性ロール70、絶縁層の欠損部50、活物質層30、集電体20、及び測定用平板5の導電性平板10を通じて電流が流れるようになる。絶縁層40の表面等に異物がある場合にも、加圧により測定用ロール85の導電性ロール70、異物、活物質層30、集電体20、及び測定用平板5の導電性平板10を通じて電流が流れるようになる。なお、ステップS20とS30は同時に行ってもよく、ステップS20とS30の順番が逆でもよい。
【0089】
そして、電流検知工程では、検査用電圧の印加に伴って流れる電流を検知する(ステップS40)。電流の検知は、電流計130によって行う。
【0090】
さらに、判定工程では、検知された電流値から電極シート45の絶縁層40に欠損や異物がないか判定する(ステップS50)。判定は、例えば、電流計130によって行うことや電流計130に接続された判定装置(図示せず)によって行うこと等を挙げることができる。判定方法は、例えば、あらかじめ設定された電流値と比較する方法や電流が流れたか流れていないかによって判定する方法等を挙げることができる。
【0091】
ここで、電極シート45に欠陥があると判定された場合は、欠陥位置推定工程で、検知をした電流の値から電極シート45の欠陥位置を推定する(ステップS60)。推定は、例えば、電流計130によって行うことや電流計130又は判定装置(図示せず)に接続された推定装置(図示せず)によって行うこと等を挙げることができる。推定方法は、例えば、電流計130が検知した電流値と測定用ロール85が検査した検査領域の位置とを対応させること、電流計130が検知した電流値と測定用ロール85の回転数とを対応させること等を挙げることができる。
【0092】
一方、電極シート45に欠陥がないと判定された場合、及びステップS60が終了したのちには、第2電極シート巻取り工程で、電極シートを巻取り終了する(ステップS70)。ステップS70においてもステップS10と同様に、巻取りロール120はDR125の方向に回転し、電極シート45を巻き取る。
【0093】
以下、本発明の第1実施形態の第1変形例について、詳細に説明する。
【0094】
図6は、第1実施形態を表す図1を上から見たときと同趣旨の第1変形例の平面図である。
【0095】
第1変形例において、測定用ロール86は導電性の外周面のみを有する。測定用ロール86は、ロールシャフトによって動力が伝えられ回転する。なお、測定用ロール86は、ロールシャフトを固定して自由に回転するように構成されてもよい。測定用ロール86は電極シート45の検査領域を分割するように配置される。即ち、図6において4本の測定用ロール86は回転方向が電極シート45の移送方向に沿うように配置され、かつ段違いに配置される。したがって、測定用ロール86が検査する電極シート45の検査領域は4つに分割される。
【0096】
以下、本発明の第1実施形態の第2変形例について、詳細に説明する。
【0097】
図7は、1実施形態の第2変形例を概念的に表す斜視図である。
【0098】
第2変形例において、ワニ口クリップ100は電流計130の換わりとなる熱電対110を有する。第2変形例においては、熱電対110の温度と電流値とを対応させて電流の検知を行う。即ち、熱電対110は図5のステップS40において用いることができる。
【0099】
熱電対110は、仮に、電極シートの欠陥によって、測定用ロール85、絶縁層の欠陥部、活物質層、集電体、及び測定用平板を通じて電流が流れた場合に、電流の流れる部分に生じる温度変化を検知することができる。そして、温度変化と電流値の変化とを対応させることにより電流の検知を行う。熱電対110は、温度を検知することができる部分であれば、配置する部分は限定されない。
【0100】
以下、本発明の第1実施形態の第3変形例について、詳細に説明する。
【0101】
図8は、1実施形態の第3変形例を概念的に表す斜視図である。
【0102】
第3変形例において、測定用ロール85は、測定用ロール85の本体に内蔵される電源91を有する。第3変形例では、電源91が測定用ロール85に内蔵されるので測定用ロール85の設置条件等の自由度が増し、様々な実施形態に対応可能となる。
【0103】
以下、本発明の第2実施形態について、詳細に説明する。
【0104】
図9を参照して、第2実形態に係る電池用電極シートの検査方法及び検査装置について説明する。図9は、第1実施形態の図2と同趣旨の側面図である。
【0105】
図9において、検査装置1100は、第1測定用ロール87、電源90、第2測定用ロール88、及び電流計130を備えた本発明に係る「検査装置」の一例である。なお、図9において、ワニ口クリップ100、ロールシャフト60、電源90、電流計130、及び電極シート45は第1実施形態と同様の態様である。電源90及び電流計130は図9において、第1測定用ロール87、ワニ口クリップ100、電源90、電流計130、ワニ口クリップ100、及び第2測定用ロール88の順番で接続されている。電源90と電流計130の順番は逆でもよい。
【0106】
第1測定用ロール87は、第1実施形態の測定用ロール85と同様の態様である。
【0107】
第2測定用ロール88は、電極シート45の集電体20に接触する導電性ロール71及び絶縁性ロール81を備え、ロールシャフト60によって動力が伝えられ回転する。なお、第2測定用ロール87は、ロールシャフト60を固定して導電性ロール71及び絶縁性ロール81が自由に回転するように構成されてもよい。この際ロールシャフト60は導電性ロール71及び絶縁性ロール81の軸となる。導電性ロール71及び絶縁性ロール81は、連続した1つのロールであってもよいし、導電性ロール71と絶縁性ロール81とが別々に独立していてもよい。
【0108】
導電性ロール71及び絶縁性ロール81は、第1実施形態の導電性ロール70及び絶縁性ロール80と同様の態様である。
【0109】
第1測定用ロール87の導電性ロール71は、電極シート45を挟んで電極シート45の積層方向に第2測定用ロールの導電性ロール71に対向して配置される。言い換えると、電極シート45は、第1測定用ロール87及び第2測定用ロール88の導電性ロール71に挟まれた状態である。
【0110】
第2実施形態では第1実施形態と同様に、第1測定用ロール87及び第2測定用ロール88は電極シート45の検査領域を分割するように配置される。即ち、第1測定用ロール87及び第2測定用ロール88は導電性ロール71の回転方向が電極シート45の移送方向に沿うように配置され、かつ導電性ロール71は段違いに配置される。したがって、第1測定用ロール87及び第2測定用ロール88が検査する電極シート45の検査領域は分割される。
【0111】
以上のように構成された第2実施形態の検査方法は第1実施形態の検査方法と同様の態様である。
【0112】
以下、本発明の第3実施形態について、詳細に説明する。
【0113】
図10を参照して、第3実形態に係る電池用電極シートの検査方法及び検査装置について説明する。図10は、第1実施形態の図2と同趣旨の側面図である。
【0114】
図10において、検査装置1200は、測定用ロール89、電源90、測定用平板6、及び電流計130を備えた本発明に係る「検査装置」の一例である。なお、図10において、電源90、電流計130、及び電極シート45は第1実施形態と同様の態様である。電源90及び電流計130は図10において、測定用ロール89、電源90、電流計130、及び測定用平板6の順番で接続されている。電源90と電流計130の順番は逆でもよい。
【0115】
測定用ロール89は、電極シート45の絶縁層40に接触する導電性ロール72を備え、絶縁層40上を回転しながら移動して検査を行う。DR135は測定用ロール89の検査方向を表す。測定用ロール89は第1実施形態と同様に動力が与えられて回転してもよいし、自由に回転するように構成されてもよい。導電性ロール72は、第1実施形態の導電性ロール70と同様の態様である。
【0116】
測定用平板6は、電極シート45の集電体20に接触する導電性平板11を備える。導電性平板11は、電極シート45を挟んで電極シート45の積層方向に導電性のロール70に対向して配置される。言い換えると、電極シート45は、導電性ロール72と導電性平板11に挟まれた状態である。導電性平板11は、第1実施形態の導電性平板10と同様の態様である。
【0117】
第3実施形態では、測定用ロール89が電極シート45の検査領域を分割するように電極シート45上を移動して検査を行う。即ち、測定用ロール89が1つである場合は、電極シート45上をDR135と平行に複数回検査する。測定用ロール89が複数ある場合は、導電性ロール72の回転方向がDR135に沿うように配置され、かつ導電性ロール72は段違いに配置される。したがって、測定用ロール89が検査する電極シート45の検査領域は分割される。
【0118】
以下、本発明の第4実施形態について、詳細に説明する。
【0119】
図11を参照して、第4実形態に係る電池用電極シートの検査方法及び検査装置について説明する。図11は、第1実施形態の図2と同趣旨の側面図である。
【0120】
図11において、検査装置1300は、加圧用ロール82、電源90、第1測定用平板7、第2測定用平板8、及び電流計130を備えた本発明に係る「検査装置」の一例である。なお、図10において、電源90、電流計130、及び電極シート45は第1実施形態と同様の態様である。電源90及び電流計130は図11において、第1測定用平板7、電源90、電流計130、及び第2測定用平板8の順番で接続されている。電源90と電流計130の順番は逆でもよい。
【0121】
第1測定用平板7は電極シート45の絶縁層40に接触し、第2測定用平板8は電極シート45の集電体20に接触する。第1測定用平板7及び第2測定用平板8は導電性である。第1測定用平板7は、電極シート45を挟んで電極シート45の積層方向に第2測定用平板8に対向して配置される。言い換えると、電極シート45は、第1測定用平板7と第2測定用平板8とに挟まれた状態である。第1測定用平板7及び第2測定用平板8とは、電極シート45に接触する面が平面であるものを意味する。第1測定用平板7及び第2測定用平板8の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、アルミニウム、鉄、及び銅等を挙げることができる。
【0122】
加圧用ロール82は、第1測定用平板7上を回転しながら移動して第1測定用平板7を介して電極シート45を加圧する。DR140は検査方向を表す。加圧用ロールは、電極シート45を加圧することができるものであれば特に限定されない。
【0123】
第4実施形態では、加圧用ロール82が電極シート45の検査領域を分割するように第1測定用平板7上を移動して検査を行う。即ち、加圧用ロール82は、第1測定用平板7上をDR135と平行に複数回検査する。
【0124】
以上のように構成された検査装置1300では、仮に、電極シートの絶縁層40に欠損等がある場合には、加圧用ロール82の加圧により図11に示されるように絶縁層の欠損部50に活物質層30の一部が入り込む。そうすると、第1測定用平板7、絶縁層の欠損部50、活物質層30、集電体20、及び第2測定用平板8を通じて電流が流れるようになる。絶縁層40の表面等に異物がある場合にも、加圧ロール82の加圧により第1測定用平板7、異物、活物質層30、集電体20、及び第2測定用平板8を通じて電流が流れるようになる。したがって、検査用電圧の印加に伴って流れる電流を検知することができる。
【0125】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
5、6…測定用平板
7…第1測定用平板
8…第2測定用平板
10、11…導電性平板
15…絶縁性平板
20…集電体
30…活物質層
40…絶縁層
45…電極シート
50…絶縁層の欠損部
60…ロールシャフト
70、71、72…導電性ロール
80、81…絶縁性ロール
82…加圧用ロール
85、86、89…測定用ロール
87…第1測定用ロール
88…第2測定用ロール
90、91…電源
100…ワニ口クリップ
110…熱電対
120…巻取りロール
130…電流計
1000、1100、1200、1300…検査装置
DR65…ロールシャフトの回転方向
DR55…電極シートの移送方向
DR125…巻取りロールの回転方向
DR135、DR140…検査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層及び絶縁層の順に積層された電極シートの検査をする電池用電極シートの検査方法であって、
前記電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加し、印加した前記検査用電圧に伴って前記電極シートに流れる電流の検知をすることを特徴とする、電池用電極シートの検査方法。
【請求項2】
前記電池用電極シートの検査方法は、前記検知をした電流値から前記電極シートの欠陥位置の推定をする方法を更に含むこと特徴とする、請求項1に記載の電池用電極シートの検査方法。
【請求項3】
前記検査の方向は、前記電極シートの移送方向及び前記電極シートの長手方向のうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池用電極シートの検査方法。
【請求項4】
前記絶縁層は、固体電解質層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池用電極シートの検査方法。
【請求項5】
電極層及び絶縁層の順に積層された電極シートの検査をする電池用電極シートの検査装置であって、
前記電極シートの前記絶縁層に配置され、前記電極シートの検査領域を分割して検査用電圧を印加する、導電性の測定端子を有する第1の測定手段と、
前記第1の測定手段に対して前記電極シートを挟んで前記電極層に配置される導電性の測定端子を有する第2の測定手段と、
前記第1の測定手段及び第2の測定手段が印加する検査用電圧に伴って前記電極シートに流れる電流の検知をする検知手段と、
を備えることを特徴とする、電池用電極シートの検査装置。
【請求項6】
前記電池用電極シートの検査装置は、前記検知手段が検知をした電流値から前記電極シートの欠陥位置の推定をする推定手段を更に備えることを特徴とする、請求項5に記載の電池用電極シートの検査装置。
【請求項7】
前記第1の測定手段は、前記電極シートの前記絶縁層に接触し、
前記第2の測定手段は、前記電極シートの前記電極層に接触することを特徴とする、請求項5又は6に記載の電池用電極シートの検査装置。
【請求項8】
前記導電性の測定端子が分割して測定する前記検査領域毎に配置されるように、前記第1の測定手段をそれぞれ複数配置したことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の電池用電極シートの検査装置。
【請求項9】
前記第1の測定手段の測定端子は、前記電極シートの前記絶縁層に接触する導電性の外周面を有する第1のロールであり、
前記第2の測定手段は、前記電極シートの前記電極層に接触する導電性の平板を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載の電池用電極シートの検査装置。
【請求項10】
前記第1の測定手段の測定端子は、前記電極シートの前記絶縁層に接触する導電性の外周面を有する第1のロールであり、
前記第2の測定手段の測定端子は、前記電極シートの前記電極層に接触する導電性の外周面を有する第2のロールであることを特徴とする、請求項5又は6に記載の電池用電極シートの検査装置。
【請求項11】
前記導電性の外周面が分割して測定する前記検査領域毎に配置されるように、前記第1のロールをそれぞれ複数配置したことを特徴とする、請求項9又は10に記載の電池用電極シートの検査装置。
【請求項12】
前記検査の方向は、前記電極シートの移送方向及び前記電極シートの長手方向のうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一項に記載の電池用電極シートの検査装置。
【請求項13】
前記絶縁層は、固体電解質層であることを特徴とする、請求項5〜12のいずれか一項に記載の電池用電極シートの検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−132855(P2012−132855A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286815(P2010−286815)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】