説明

電池用電極板および電池

【課題】 工程上で剥れも無く、電池としてのサイクル特性に優れた電池用電極板を提供することを目的とする。
【解決手段】 集電体10の表面に少なくとも活物質11と結着剤12からなる合剤層を形成して構成される電池用電極板において、上記結着剤12としてカルボキシ変性ゴムを用い、分散剤として塩基を用いたことにより、このカルボキシ変性ゴムのプロトンが引き抜かれて−に帯電され静電反発により、活物質間および活物質11と集電体10間に分散して配列されていることを特徴とする電池用電極板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用極板および電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ)、デジタルカメラ、携帯電話、携帯情報端末、ノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そして、これらの電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
電池は、基本的には、正極、負極、正極と負極とを絶縁するセパレータ、及び正極と負極との間でイオンの移動を可能にするための電解液で構成されている。正極及び負極は、金属箔などからなる集電体の表面に、各種の活物質などからなる合剤層が塗布あるいは塗工されてなるものである。例えば、リチウム系二次電池においては、正極として、コバルト酸リチウム等を含む活物質がアルミニウム箔よりなる集電体に塗工されて合剤層を形成したものが用いられている。一方、負極としては、難黒鉛化カーボン等を含む炭素質材料からなる活物質が銅箔よりなる集電体に塗工されて合剤層を形成したものが用いられている。そして、電解液としては、非水溶媒の中にリチウム系化合物を溶質として溶解したものが用いられている。
【0003】
このようなリチウム系二次電池においては、正極板はコバルト酸リチウム等の正極活物質を導電材、結着剤を適当な溶媒に分散させてスラリー状のペーストを得た後、アルミニウム箔などからなる集電体に塗工して厚膜を形成させて正極活物質合剤層を形成して得ていた。
【0004】
一方、負極板は、充電時に正極活物質から脱離されたリチウムイオンなどを吸蔵できる炭素質材料などを負極活物質として用い、これら負極活物質と結着剤などを適当な溶媒に分散させてスラリー状のペーストを得た後、銅箔などからなる集電体に塗工して厚膜を形成させて負極活物質合剤層を形成して得ていた。
【0005】
得られた正極板、負極板は電流端子であるリードを取付け、セパレータを介して捲回または積層して構成した電極群をケースに入れ、非水電解質を注入封口することにより非水電解質二次電池が組み立てられる。
【0006】
上記のように、活物質を集電体に塗工して合剤層を形成する塗工型電極板において、活物質を調製するための結着剤には、電解液に対して化学的に安定であること、電解液に溶出しないこと、電解液を反応吸収し膨潤しないこと、集電体に適度な厚みで塗工できることなどが求められる。さらに、塗工、塗膜乾燥された活物質合剤層は、その後の圧延、切断、捲回などの工程や、電池の組立工程において、合剤層の剥離、脱落、ひび割れなどが生じないように、集電体との密着性に優れていることが求められる。この結着剤は電池容量に寄与しないので、体積的に少ないほどよい。また、結着剤は活物質の反応部分を被覆してしまうので、大電流充放電特性が悪くなる。充放電特性が下がれば、二次電池のサイクル寿命も低下する。
【0007】
しかし、電池性能を低下させないために結着剤の量を少量に抑えた場合には、切断工程で合剤層の剥離、脱落の頻度が増えてしまい、歩留まりが低下する。
【0008】
そのような中で剥離強度を高める目的で、結着剤に関する様々な提案がなされている。
【0009】
例えば、活物質として炭素材料を用いたリチウム二次電池用負極板に、不飽和結合部分の30〜90%に水素添加されたアクリロニトリルブタジエンゴムを用い、かつ当該アクリロニトリルブタジエンゴムは、ブタジエンの含有量が20重量%以上であり、ゲル含有量が60%以上であることを特徴とするバインダーにより負極活物質が結着されている二次電池用負極板が開示されている(例えば、特許文献1参照)
また、電極活物質粉末とゴム系結着剤と溶媒40〜70vol%とを混練した活物質ペーストを電極集電体に塗布した後、前記電極集電体に塗布された活物質ペーストをその溶媒量が35vol%まで減少するのに要する時間が0.5〜2.5分間となるように溶媒の蒸発速度を制御しながら乾燥することすることで、結着剤のマイグレーションを抑制し、剥離強度を高めた電極板の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−111268号公報
【特許文献2】特開平11−31503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1では結着剤単体の強度は向上するが、結着剤自体が凝集しているため、活物質−活物質、活物質―集電体を結合する接続点が少ないため、剥離強度が確保できないという課題を有していた。さらに特許文献2でも同様に、結着剤のマイグレーションは抑制されるが、結着剤自体が凝集しているため、活物質−活物質、活物質―集電体を結合する接続点が少ないため、剥離強度が確保できないという課題を有していた。
【0012】
上記従来の課題を解決するために本発明の電池用電極板は活物質間および活物質と集電体間に結着剤が凝集されずに分散配置されて結合接続点が多く、剥離強度の優れたものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の電池用電極板は、集電体の表面に少なくとも活物質と結着剤からなる合剤層を形成して構成される電池用極板において、上記結着剤としてカルボキシ変性ゴムを用い、分散剤として塩基を用いたことにより、このカルボキシ変性ゴムのプロトンが引き抜かれて−に帯電され静電反発し、活物質間および活物質と集電体間に分散して配列されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によると、結着剤であるカルボキシ変性ゴムが活物質間および活物質と集電体間に分散しているため、結着剤自体が凝集していた従来の電池用電極板と比較して、活物質間および活物質と集電体間を結合する接続点が飛躍的に増加するため、剥離強度が向上することが可能になり、少量の結着剤でも剥離強度を維持できるため、サイクル特性が向上した電池用電極板および電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるサイクル特性試験験に用いた試験用リチウム二次電池の断面摸式図
【図2】本発明の第1の実施形態におけるは電池用電極板の断面模式図
【図3】従来の電池用電極板の断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は上記のように、結着剤としてカルボキシ変性ゴムを用い、分散剤として塩基を
用いたことにより、少量の結着剤で電池用電極板の剥離強度を維持し、良好なサイクル特性が得られることを見出したものである。
【0017】
また、その際、前記塩基として、有機塩または無機塩のいずれかを用いており、前記有機塩基として、アミノメチルプロパノール、L−アルギニン、アンモニア水、ジエタノールアミン、炭酸グアニジン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノエタノールアミンよりなる群から選択される一種以上、前記有機塩基として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化エチルアンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ユウロピウム、水酸化タリウムよりなる群から選択される一種以上で構成されている。
【0018】
前記塩基の含有量を活物質に対して0.0001以上1重量以下であると、剥離強度とサイクル特性が両立できる点で好ましい。0.0001以下の場合は、塩基が少ないため結着剤が帯電せず結着剤が分散できなくなるので、剥離強度が維持できなくなるので好ましくなく、1重量部以上ではアルカリが強くなり過ぎて、塗料に流動性を与えるカルボキシメチルセルロースが加水分解により劣化し、塗料の沈降が発生と剥離強度の低下が発生するため好ましくない。
【0019】
また、その際、前記カルボキシ変性ゴムとして、ブタジエンを含むカルボキシ変性ゴムを用いたており、前記カルボキシ変性ブタジエンゴムとして、エチレン、イソプレン、スチレン、及びビニルピリジンよりなる群から選択される一種以上からなり、ブタジエンとの共重合体が基本骨格とし、共重合体がカルボキシ変性されたもので構成されている。
【0020】
前記カルボキシ変性ゴムの含有量を活物質に対して0.1以上5.0重量以下であると、剥離強度とサイクル特性が両立できる点で好ましい。0.1以下の場合は、カルボキシ変性ゴムの含有量が少ないため、剥離強度が維持できなくなるので好ましくなく、5.0重量以上ではサイクル特性が劣化するため好ましくない。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明におけるリチウム二次電池の断面模式図を示すものである。図1に示すように、1は正極板である。2は上記製法に従って作成した負極板である。更に、3は正極板1と負極板2を離間するセパレータ、4は正極リード、5は負極リード、6は正極外部端子、7は電池缶、8は封口板、9は絶縁パッキングである。
【0022】
正極板1及び負極板2は、セパレータ3を介して渦巻き状に巻き取られた状態で、電池缶7内に収容され、電池缶7内には非水系電解液が注液されている。正極板1は正極リード4を介して正極外部端子6に接続され、負極板2は負極リード5を介して負極外部端子を兼ねる電池缶7に接続された構造をしている。
【0023】
上記正極板1は次のようにして作製した。800℃で熱処理したリチウム含有二酸化コバルトLiCoO2を正極材料とし、この正極材料LiCoO2と、導電剤としてのカーボン粉末と、結着剤としてのフッ素樹脂粉末とを、100:2:2の重量比で混合し、この混合物をアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、150℃で熱処理して正極板1となした。
【0024】
非水系電解液としては、エチレンカーボネートと、1,2−ジメトキシエタンとを体積比1:1で混合し、これにヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6 を1MOL/L の
割合で溶解して用いた。
【0025】
セパレータ3としては、厚さ20μmのリチウムイオン透過性のポリプロピレン製の微多孔膜(ヘキストセラニーズ社製セルカード)を用いた。
【0026】
図2は本発明における電池用電極板の断面模式図を示すものである。
【0027】
図2に示すように、10は集電体である。11は活物資である。更に、12は活物質間および活物質11と集電体10間を結合させる結着剤である。上記結着剤12としてカルボキシ変性ゴムを用い、分散剤として塩基を用いたことにより、このカルボキシ変性ゴムのプロトンが引き抜かれて−に帯電され静電反発により、活物質間および活物質11と集電体10間に分散して配列されている電池用電極板13を形成する。
【0028】
図3は従来における電池用電極板の断面模式図を示すものである。
【0029】
図3に示すように、結着剤表面の電荷が中性のため、結着剤12同士が凝集し、活物質間および活物質11と集電体10間に凝集して存在している電池用電極板13を形成する。
【0030】
(実施例1)
(i)負極板2の作製
天然黒鉛粉末を100重量部と、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴム1重量部と、塩基であるアミノメチルプロパノール0.01重量部と、スラリー安定剤としてのカルボキシメチルセルロース1重量部を、適量の水を加えて混練し負極活物質スラリーを調整し、このスラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、150℃で8時間減圧乾燥し、負極板2となした。
【0031】
(ii)負極板2の剥離強度試験法
負極板2の表面(活物質層)に粘着テープを張り付け、負極集電体から剥がすと負極集電体と塗膜の界面から剥離出来る。テープ長さの半分を剥がし、そこで180℃反転させた。負極集電体露出部分と粘着テープを引張ったときの引張荷重を測定した。30N/m以上を良品とした。
【0032】
(iii)サイクル特性試験法
電池電圧4.1Vに達するまで1.25Aで充電し、更に電池電圧4.1Vを保持したままで充電電流値を徐々に20mAまで減じる方法で充電した後、電池電圧が2.75Vに達するまで1.25Aの電流値で放電するサイクルを、25℃で500回繰り返すという条件でサイクル特性試験を行った。この充放電サイクルにおける初回放電容量に対する500サイクル後の放電容量の比率をサイクル特性値とした。60%以上で良品とした。
以上のように評価した結果を(表1)に示す。
【0033】
(実施例2)
塩基であるアミノメチルプロパノールの重量部を1とした以外は、実施例1と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例1と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0034】
(実施例3)
塩基であるアミノメチルプロパノールの重量部を0.0001とした以外は、実施例1と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例1と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0035】
(実施例4)
結着剤であるカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの重量部を0.1とした以外は、実施例1と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例1と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0036】
(実施例5)
結着剤であるカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの重量部を5とした以外は、実施例1と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例1と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0037】
(実施例6)
結着剤であるカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの重量部を5とした以外は、実施例2と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例2と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0038】
(実施例7)
結着剤であるカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの重量部を0.1とした以外は、実施例3と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例3と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0039】
(実施例8)
塩基である水酸化ナトリウムの重量部を0.01とした以外は、実施例1と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例1と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0040】
(比較例1)
塩基である水酸化ナトリウムの重量部を0とした以外は、実施例1と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例1と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0041】
(比較例2)
塩基であるアミノメチルプロパノールの重量部を0.00001とした以外は、実施例4と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例4と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0042】
(比較例3)
塩基であるアミノメチルプロパノールの重量部を0.00001とした以外は、実施例5と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例4と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0043】
(比較例4)
結着剤であるカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの重量部を1.5とした以外は、実施例5と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例5と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0044】
(比較例5)
結着剤であるカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの重量部を0.05とした以外は、実施例5と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例5と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0045】
(比較例6)
結着剤であるカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムの重量部を6とした以外は、実施
例5と同様に負極板2と電池を作成し、さらに実施例5と同様に評価した。結果を(表1)に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
(負極板2の剥離強度の評価)
まず、実施例1〜8、比較例1〜6について、剥離強度の評価を行った。
実施例1と比較例1を対比すると、実施例1の剥離強度が高かった。これは、カルボキシ変性ゴムを塩基により−に帯電され静電反発により、活物質間および活物質と集電体間に分散して、活物質−活物質、活物質―集電体を結合する接続点が増加し、剥離強度が向上していると考えられる。なお測定終了後、実施例1の評価資料の測定側の剥離面を観察し、結着剤が活物質間および活物質と集電体間に分散していることを確認した。
また、実施例3、実施例7と比較例2、比較例3を対比すると、比較例2と比較例3はいずれも実施例3より劣っていた。このことから塩基の添加量は、0.0001部以上でないと結着剤が分散しないため、剥離強度が向上しないことが分かる。
また、実施例2、実施例6と比較例4を対比すると、比較例4の剥離強度が低かった。このことから塩基の添加量が1部以下でないとアルカリが高いため、カルボキシメチルセルロースが加水分解されることで剥離強度が低下することが分かる。
また実施例4と比較例5を対比すると、比較例5の剥離強度が低かった。このことから、結着剤の重量部が0.1部以上でないと剥離強度が維持できないことが分かった。
【0048】
また、実施例8では、無機の塩基を用いた場合でも剥離強度が向上することが分かった。
以上の結果より、塩基の量は0.0001部以上1部以下であることが望ましく、結着剤の量は0.1部以上であることが望ましいことが分かった。
(サイクル特性の評価)
まず、実施例1〜8、比較例1〜6について、サイクル特性の評価を行った。
【0049】
実施例5と比較例6を対比すると、比較例6のサイクル特性が低かった。このことから、結着剤の重量部が5部以下でないとサイクル特性が劣化することが分かった。
【0050】
以上の結果より、結着剤の量は5部以下であることが望ましいことが分かった。
【0051】
なお、負極板で説明しているが、正極でも同様の効果を得ることができる。なお、有機塩基として、アミノメチルプロパノールで説明しているが、L−アルギニン、アンモニア水、ジエタノールアミン、炭酸グアニジン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノエタノールアミンでも同様の効果を得ることができる。なお、無機塩基として、水酸化リチウムで説明しているが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化エチルアンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ユウロピウム、水酸化タリウムでも同様の効果を得ることができる。なお、カルボキシ変性ゴムとして、スチレンブタジエンゴムを使用しているが、エチレン、イソプレン、及びビニルピリジンよりなる群から選択される一種以上からなり、ブタジエンとの共重合体が基本骨格とし、共重合体がカルボキシ変性されたものでも同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明にかかる電池用電極板は、少量の結着剤で高い剥離強度が可能になるので、工程上の剥れも無く、サイクル特性優れた電池として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 正極板
2 負極板
3 セパレータ
4 正極リード
5 負極リード
6 正極外部端子
7 電池缶
8 封口板
9 パッキン
10 集電体
11 活物質
12 結着剤
13 電池用電極板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体の表面に少なくとも活物質と結着剤からなる合剤層を形成して構成される電池用極板において、上記結着剤としてカルボキシ変性ゴムを用い、分散剤として塩基を用いたことを特徴とする電池用電極板。
【請求項2】
前記塩基として、有機塩基または無機塩基のいずれかを用いた請求項1に記載の電池用電極板。
【請求項3】
前記有機塩基として、アミノメチルプロパノール、L−アルギニン、アンモニア水、ジエタノールアミン、炭酸グアニジン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノエタノールアミンよりなる群から選択される一種以上で構成した請求項2に記載の電池用電極板。
【請求項4】
前記有機塩基として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化エチルアンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ユウロピウム、水酸化タリウムよりなる群から選択される一種以上で構成した請求項2に記載の電池用電極板。
【請求項5】
前記塩基の含有量を活物質に対して0.0001〜1重量%とした請求項1に記載の電池用電極板。
【請求項6】
前記カルボキシ変性ゴムとして、ブタジエンを含むカルボキシ変性ゴムを用いた請求項1に記載の電池用電極板。
【請求項7】
前記カルボキシ変性ブタジエンゴムとして、エチレン、イソプレン、スチレン、及びビニルピリジンよりなる群から選択される一種以上からなり、ブタジエンとの共重合体が基本骨格とし、共重合体がカルボキシ変性されたもので構成された請求項6に記載の電池用電極板。
【請求項8】
前記カルボキシ変性ゴムの含有量を活物質に対して0.1〜5.0重量%とした請求項1に記載の電池用電極板。
【請求項9】
集電体の表面に少なくとも活物質と結着剤とを含む合剤を形成した正極板および負極板をセパレータを介して巻回または積層してなる電極群を電解液とともに電池外装体に封入してなる電池において、上記正極板または負極板の少なくともいずれか一方に請求項1〜8のいずれか1つに記載の電池用電極板を用いたことを特徴とする電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−89528(P2013−89528A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230494(P2011−230494)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】