説明

電池装置およびそれを備えた電子機器

【課題】 簡単な構造で、小型化を図ることができると共に、効率良く発電して蓄電することができる電池装置およびそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】 電池ケース16内に収納された発電部20が、平板状の電池基板23と対面する回転板24に、その回転中心部から放射状に形成された放射状部34を備えた第1電極32と、電荷保持体であるエレクトレット膜35とを配置する一方で、この第1電極32の放射状部34と対向するように電池基板23に形成された放射状部38を備えた第2電極36を電池基板23に配置した。従って、電池基板23に対して回転板24を一定間隔に保って回転させ、この回転板24の機械的な回転運動エネルギを効率良く電気エネルギに変換して電池部21の蓄電部に蓄電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電機能を有する電池装置およびそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電誘導を利用した小型の発電装置として、特許文献1に記載されているような発電装置が知られている。この発電装置は、電荷を保持する電荷保持部材であるエレクトレット電極が複数配列された固定基板と、複数の可動電極が設けられた可動基板とを、互いに対向させて配置し、この状態で外部振動を受けると、可動基板がその平面方向における任意の方向に移動し、エレクトレット電極と可動電極とが相対運動して、エレクトレット電極と可動電極との間の誘導電荷量を変化させることにより、発電するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−86190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の発電装置では、固定基板と可動基板との相対的な機械運動エネルギを電気エネルギに変換する構造であるから、外部振動を受けた際に、固定基板に対して可動基板をその平面方向における任意の方向に移動させるために、可動基板の4辺をそれぞればね部材などで保持する必要があるほか、固定基板に対して可動基板を一定間隔に保った状態で面方向に平行移動させるために、可動基板をガイドするためのガイド部材が必要となり、このため構造が複雑になり、小型化を図ることができないという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、小型化を図ることができると共に、効率良く発電して蓄電することができる電池装置およびそれを備えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、電池ケース内に発電部と電池部とを収納した電池装置であって、前記発電部は、平板状の基板と、この基板の平面に対面して回転する回転部材と、この回転部材に当該回転部材の回転中心部から放射状に形成された放射部を備えた第1電極と、この第1電極の放射部と対向するように前記平板状の基板上に形成された放射部を備えた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との一方に設けられた電荷保持体とを備えており、前記電池部は、前記第1電極と前記第2電極との相対的な回転により発生する電荷を蓄電する蓄電部を備えていることを特徴とする電池装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記回転部材が、小径の円形部と、この小径の円形部の外周部に当該円形部よりも大径でほぼ半円弧状に形成された半円弧部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電池装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記第1電極の前記放射部が、前記回転部材の前記半円弧部にほぼ半円弧状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記第1電極の前記放射部は、前記回転部材の前記小径の円形部に円形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の電池装置を機器ケース内に設けたことを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、外部振動によって回転部材が平板状の基板の平面に対面して回転する構成であるから、ガイド部材を用いずに、基板に対して回転部材を一定間隔に保って回転させることができると共に、回転部材に設けられた第1電極と基板に設けられた第2電極との一方に設けられた電荷保持体がその他方の電極に対して相対的に回転移動するので、回転部材の機械的な回転運動エネルギを効率良く電気エネルギに変換することができる。このため、簡単な構造で、小型化を図ることができると共に、効率良く発電して蓄電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明を適用した電子腕時計の実施形態1を示した拡大断面図である。
【図2】図1の電子腕時計に組み込まれた電池装置を示した拡大断面図である。
【図3】図2の電池装置における要部を示した拡大断面図である。
【図4】図2の電池装置における回転板を上方から見た拡大平面図である。
【図5】図2の電池装置における電池基板を下方から見た拡大底面図である。
【図6】図1の電子腕時計に組み込まれた電池装置の回路構成を示した図である。
【図7】実施形態1において電池基板に設けられた第2電極の変形例を示した拡大底面図である。
【図8】この発明を適用した電子腕時計の実施形態2において電池装置の要部を示した拡大断面図である。
【図9】図8の電池装置における回転板を示した拡大平面図である。
【図10】図8の電池装置における電池基板を示した拡大底面図である。
【図11】この発明を適用した電子腕時計の実施形態3において電池装置の要部を示した拡大断面図である。
【図12】図11の電池装置における回転板を示した拡大平面図である。
【図13】図11の電池装置における電池基板を示した拡大底面図である。
【図14】この発明を適用した電子腕時計の実施形態4において電池装置の要部を示した拡大断面図である。
【図15】図14の電池装置における回転板を示した拡大平面図である。
【図16】図14の電池装置における電池基板を示した拡大底面図である。
【図17】実施形態1〜4における回転板の変形例を示した拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、図1〜図6を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。
この電子腕時計は、図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、ケース本体2と、このケース本体2の上部外周に設けられたリング状のべゼル3とを備えている。
【0014】
この腕時計ケース1の上部開口部つまりべゼル3の上部開口部には、図1に示すように、時計ガラス4がパッキン4aを介して取り付けられており、腕時計ケース1の下部つまりケース本体2の下部には、裏蓋5が防水リング5aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1内には、時計モジュール6が設けられている。この時計モジュール6は、上部ハウジング7と下部ハウジング8とを備え、これらの間に回路基板9が設けられた構成になっている。
【0015】
この場合、上部ハウジング7の上面には、図1に示すように、文字板10が設けられている。この上部ハウジング7内には、時計ムーブメント(図示せず)が設けられている。この時計ムーブメントは、その指針軸11aが文字板10の上方に突出し、この突出した上端部に秒針、分針、時針などの指針11bが取り付けられ、この指針11bが文字板10の上方を運針することにより、時刻を指示するように構成されている。
【0016】
また、下部ハウジング8内には、図1に示すように、電池装置12を収納する電池収納部13が設けられていると共に、アンテナ14が設けられている。この下部ハウジング8の下面には、金属製の地板15が電池収納部13およびアンテナ14に対応する箇所を除いて設けられている。この地板15は、その周縁部に複数のフック部15aが設けられ、この複数のフック部15aが上部ハウジング7の側面に係止されることにより、上部ハウジング7を下部ハウジング8に対して固定するように構成されている。
【0017】
ところで、電池装置12は、図2に示すように、釦型の電池ケース16を備えている。この電池ケース16は、釦形状のケース本体17の上部に円形状の開口部17aが設けられ、この開口部17aに電極板18が絶縁部材19を介して設けられた構成になっている。ケース本体17は、導電性を有する金属板からなり、電池装置12全体の正極(+)に形成されている。電極板18は、導電性を有する金属板からなり、電池装置12全体の負極(―)に形成されている。
【0018】
この場合、電極板18は、図2に示すように、ケース本体17の開口部17aに挿入して外部に露出する電極頭部18aと、ケース本体17の開口部17aの縁部におけるケース本体17の内面に絶縁部材19を介して固定される取付鍔部18bとを備えている。これにより、電極板18は、ケース本体17に接触して導通することなく、本体ケース17に固定されている。
【0019】
この電池ケース16の内部には、図2に示すように、発電部20と電池部21とが収納されている。電池部21は、その内部に後述する蓄電部22(図6参照)を有する充電池またはコンデンサであり、下部側の外周面が正極(+)に形成され、上部側の表面が負極(−)に形成されている。この電池部21は、図2に示すように、電池ケース16内の底部に配置され、上部外周がケース本体17に設けられた突起部17bによって押え付けられ、この状態で下部側の外周面がケース本体17に接触して導通するように構成されている。
【0020】
一方、発電部20は、図2に示すように、電極板18の下面に設けられた平板状の電池基板23と、この電池基板23の平面に対面して回転する回転板24とを備えている。この場合、電池基板23は、接続部材25によってケース本体17と電気的に接続されている。これにより、電池ケース16の正極(+)であるケース本体17には、電池基板23と電池部21の正極(+)とがそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
回転板24は、導電性を有する金属からなり、図2に示すように、電池基板23の下側に位置し、その中心部がケース本体17の上部に設けられた電極板18に回転軸26によって回転自在に取り付けられている。すなわち、この回転軸26は、図2に示すように、回転板24の中心部に設けられた軸孔24aを通して、電極板18に埋め込まれたベアリング27に回転自在に取り付けられ、この状態でベアリング27の上方に突出した部分にナット18aが取り付けられることにより、電極板18に対して回転自在に取り付けられている。
【0022】
これにより、回転板24は、その中心部の軸孔24aに挿入された回転軸26にナット18aが螺着して締め付けられることにより、回転軸26の頭部26aとナット18aとによって回転板24の軸孔24aの縁部がベアリング27の内輪部に押し付けられ、これにより電池基板23の下面に対して常に一定間隔を保った状態で、回転軸26と共に回転するように構成されている。この場合、回転板24は、回転軸26とベアリング27とが導電性を有する金属で形成されていることにより、この回転軸26とベアリング27とを介して電池ケース16の負極(−)である電極板18と電気的に接続されている。
【0023】
また、回転軸26は、その頭部26aと電池部21の上面の負極(−)との間に板ばね状の接続部材28が設けられ、この板ばね状の接続部材28によって回転軸26が弾力的に押上げられた状態で、電池部21の負極(−)と電気的に接続されている。これにより、電池ケース16の負極(−)である電極板18には、回転板24と電池部21の負極(−)との両者が接続部材28、回転軸26、およびベアリング27をそれぞれ介して電気的に接続されている。
【0024】
ところで、この回転板24は、図4に示すように、小径の円形部30と、この小径の円形部30よりも大径でほぼ半円弧状に形成された半円弧部31とを備えている。小径の円形部30は、その中心部に回転軸26が挿入する軸孔24aが設けられている。半円弧部31は、その外周部に錘部31aが設けられた状態で、小径の円形部30の外周部に一体に形成されている。これにより、回転板24は、外部振動を受けると、半円弧部31の錘部31aによる慣性によって回転軸26を中心に回転するように構成されている。
【0025】
また、この回転板24の上面には、図2〜図4に示すように、第1電極32が絶縁膜33を介して設けられている。この場合、絶縁膜33は、図3および図4に示すように、回転板24の半円弧部31における上面のほぼ全域に設けられている。この絶縁膜33上に設けられた第1電極32は、回転板24の回転中心部である軸孔24aから放射状に形成された放射状部34を備えている。
【0026】
この放射状部34は、図3および図4に示すように、回転板24の半円弧部31に設けられた絶縁膜33上に多数の電極片34aが一定間隔で放射状に配列された構成になっている。すなわち、この放射状部34は、多数の電極片34aがほぼ一定の幅で放射方向に向けて細長く形成されていると共に、互いに隣接する各電極片34aが一定間隔の隙間をもって配列されている。また、この放射状部34は、多数の電極片34aがその内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜33の側方に導かれて回転板24と電気的に接続されている。
【0027】
これにより、第1電極32は、図2に示すように、回転板24、回転軸26、およびベアリング27をそれぞれ介して電池ケース16の負極(−)である電極板18と電気的に接続されている。また、この第1電極32の放射状部34における各電極片34a上には、図3に示すように、電荷保持体であるエレクトレット膜35が形成されている。このエレクトレット膜35は、半永久的な電荷をもつ絶縁体であり、フロロカーボン樹脂やアモルファスフッ素樹脂などの電荷保持材料からなっている。
【0028】
このエレクトレット膜として使用可能な電荷保持材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニルデンジフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、およびポリビニルフルオライド(PVF)のような高分子電荷保持材料、またはシリコン酸化物(SiO)およびシリコン窒化物(SiN)のような無機電荷保持材料である。
【0029】
一方、回転板24に対向する電池基板23の下面には、図2および図5に示すように、第2電極36が絶縁膜37を介して設けられている。この場合、絶縁膜37は、図3に示すように、回転板24の第1電極32が回転移動する移動軌跡上に対応する箇所に、第1電極32と同じ大きさの半円弧状に設けられており、この絶縁膜37の下面(図5では表面)には、第2電極36が設けられている。この第2電極36は、導電性を有する金属からなり、回転板24の回転中心部である回転軸26から放射状に形成された放射状部38を備えている。
【0030】
この放射状部38は、図5に示すように、電池基板23に設けられた絶縁膜37上に多数の電極片38aが一定間隔で放射状に配列された構成になっている。すなわち、この放射状部38は、第1電極32の放射状部34と同様、多数の電極片38aがほぼ一定の幅で放射方向に向けて細長く形成されていると共に、互いに隣接する各電極片38aが一定間隔の隙間をもって配列されている。
【0031】
また、この放射状部38は、多数の電極片38aがその内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜37の側方に導かれて、図3に示すように、電池基板23と電気的に接続されていると共に、この電池基板23および接続部材25をそれぞれ介して電池ケース16の正極(+)であるケース本体17と電気的に接続されている。
【0032】
これにより、この発電部20は、回転板24が回転して、回転板24に設けられた第1電極32が電池基板23に設けられた第2電極36に対して相対的に回転移動すると、第1電極32の多数の電極片34a上に形成されたエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとが相対的に移動して、第1電極32のエレクトレット膜35と第2電極36との間の誘導電荷量が変化することにより、発電するように構成されている。
すなわち、第1電極32のエレクトレット膜35と第2電極36とが相対的に移動すると、静電誘導によりエレクトレット膜35側の電荷が対向する第2電極36側に流れることにより、発電が行なわれる。
【0033】
次に、この電池装置12の回路構成について、図6に示された原理的な図を参照して説明する。
この電池装置12においては、第1電極32が第1、第2の各整流器40、41に接続され、第2電極36が第3、第4の各整流器42、43に接続されている。第1整流器40は電池部21の蓄電部22の正極(+)に接続され、第2整流器41は蓄電部22の負極(−)に接続され、第3整流器42は蓄電部22の正極(+)に接続され、第4整流器43は蓄電部22の負極(−)に接続された構成になっている。
【0034】
この場合、第1整流器40と第4整流器43とは、第1電極32が第2電極36に対して一方向(例えば、時計回り方向)に回転移動した際に、電荷を蓄電部22に蓄えるように電流の流れを整流するように構成されている。また、第2整流器41と第3整流器42とは、第1電極32が第2電極36に対して逆方向(例えば、反時計回り方向)に回転移動した際に、電荷を蓄電部22に蓄えるように電流の流れを整流するように構成されている。
【0035】
次に、この電子腕時計を腕に取り付けて使用する場合について説明する。
まず、腕を振って歩きながら電子腕時計を軽く振った場合には、その電子腕時計内の電池装置12における発電部20の回転板24が小径の円形部30の外周部に設けられた半円弧部31の錘部31aによる慣性によって回転する。このときには、半円弧部31の外周部に錘部31aが設けられているので、腕の振りに応じて回転板24に慣性力が発生し、この慣性力によって回転板24が電池基板23に対して一定間隔を保って回転する。
【0036】
このとき、回転板24は、必ずしも1回転(360°の角度回転)せず、腕の振りによる慣性力に応じた角度範囲で揺動する。このため、回転板24は例えば時計周りに所定の角度回転した後、反時計回りに所定の角度回転し、この動作を繰り返すことにより、発電を繰り返して電池部21の蓄電部22に蓄電する。このとき、回転板24が180°の角度範囲で回転する場合には、常に第1電極32の多数の電極片34a上に形成されたエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとが互いに対向した状態で相対的に移動するので、連続して発電する。
【0037】
すなわち、回転板24が時計周りに180°の角度範囲内における角度で回転するときに、第1電極32の多数の電極片34a上に形成されたエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとが相対的に移動して、第1電極32の多数のエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電して電荷を電池部21の蓄電部22に蓄える。
【0038】
また、回転板24が反時計周りに180°の角度範囲内における角度で回転するときにも、第1電極32の多数の電極片34a上に形成されたエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとが相対的に移動して、第1電極32の多数のエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電して電荷を電池部21の蓄電部22に蓄える。
【0039】
一方、電子腕時計が取り付けられた腕を曲げて上下方向に速く動かした場合には、電池装置12における発電部20の回転板24が小径の円形部30の外周部に設けられた半円弧部31の錘部31aによる慣性によって同じ方向(時計方向または反時計方向)に連続して回転する。
【0040】
このときには、多数のエレクトレット膜35を備えた第1電極32が半円弧部31に半円弧状に設けられており、多数の電極片38aを備えた第2電極36が電池基板23に半円弧状に設けられているので、回転板24が半回転(180°回転)するときに、第2電極36と第1電極32の一部とが必ず対向するが、次の半回転(180°〜360°の角度回転)のときには、第2電極36と第1電極32との対向する範囲が狭くなり、第1、第2の各電極32、36の両者が一瞬だけ対向しない位置がある。
【0041】
このため、第2電極36が第1電極32の一部に対向した状態で、回転板24が半回転するときには、第1電極32の多数の電極片34aに形成されたエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとが相対的に移動して、第1電極32の多数のエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電して電荷を電池部21の蓄電部22に蓄える。
【0042】
また、次の半回転(180°〜360°の角度回転)のときには、第2電極36と第1電極32との対向する範囲が狭くなるため、第1電極32の多数のエレクトレット膜35と第2電極36の多数の電極片38aとの間の誘導電荷量が変化する範囲が狭くなり、発電量が少なくなり、第1、第2の各電極32、36の両者が一瞬対向しないときには発電が途切れる。これにより、回転板24が連続して一方向に回転するときには、第1電極32と第2電極36とが全く対面しない一瞬を除いて、ほぼ連続して発電し、電荷を蓄電部22に蓄電する。
【0043】
このように、この電子腕時計の電池装置12によれば、電池ケース16内に収納された発電部20が、平板状の電池基板23と、この電池基板23の平面に対面して回転する回転板24と、この回転板24にその回転中心部から放射状に形成された放射状部34を備えた第1電極32と、この第1電極32の放射状部34と対向するように電池基板23に形成された放射状部38を備えた第2電極36と、第1電極32に設けられた電荷保持体であるエレクトレット膜35とを備えており、電池ケース16内に収納された電池部21が、第1電極32のエレクトレット膜35と第2電極36との相対的な回転により発生する電荷を蓄電する蓄電部22を備えているので、簡単な構造で、装置全体の小型化を図ることができると共に、効率良く発電して蓄電することができる。
【0044】
すなわち、この電池装置12によれば、外部振動によって発電部20の回転板24が電池基板23の平面に対面して回転する構成であるから、ガイド部材を用いずに、電池基板23に対して回転板24を回転軸26によって一定間隔に保って回転させることができる。また、回転板24に設けられた第1電極32上に電荷保持体であるエレクトレット膜35が形成され、この第1電極32のエレクトレット膜35と電池基板23に設けられた第2電極36とが相対的に回転移動するので、回転板24の機械的な回転運動エネルギを効率良く電気エネルギに変換することができる。このため、構造が簡単で、装置全体の小型化を図ることができると共に、効率良く発電して蓄電することができる。
【0045】
この場合、回転板24は、小径の円形部30と、この小径の円形部30の外周部にその円形部30よりも大径でほぼ半円弧状に形成された半円弧部31とを備えているので、回転軸26によって回転板24を電池基板23に対して一定の間隔で回転自在に取り付けることにより、外部振動を受けると、回転板24の半円弧部31に慣性が生じ、この慣性によって回転板24を電池基板23に対して一定間隔で回転させることができるので、外部振動に応じて回転板24を良好に回転させることができる。
【0046】
例えば、電子腕時計を腕に取り付けて歩きながら腕を振ると、電池装置12の発電部20における回転板24が、必ずしも1回転(360°の角度)せず、腕の振りによる慣性力に応じた角度範囲で揺動するので、回転板24が例えば時計周りに所定角度で回転した後、反時計回りに所定角度で回転し、この動作を繰り返すことにより、発電して電池部21の蓄電部22に蓄えることができる。また、電子腕時計が取り付けられた腕を曲げて上下方向に速く動かすと、回転板24がその慣性力によって同じ方向(時計方向または反時計方向)に連続回転するので、回転板24を連続させて回転させて発電することができ、その電荷を電池部21の蓄電部22に蓄えることができる。
【0047】
また、この電池装置12における第1電極32の放射状部24は、その多数の電極片34aが回転板24の半円弧部31にほぼ半円弧状に配列されており、第2電極36の放射状部38は、その多数の電極片38aが電池基板23にほぼ半円弧状に配列されていることにより、回転板24が、必ずしも1回転(360°の角度回転)せず、腕の振りによる慣性力に応じた角度(例えば180°の角度)範囲で揺動する際に、第2電極36の多数の電極片28aを常に第1電極32の多数の電極片34aに形成されたエレクトレット膜35に対向させた状態で相対的に移動させることができるので、連続して発電することができる。
【0048】
また、回転板24が腕の振りによる慣性力に応じて連続して回転する際には、第1電極32の放射状部24が回転板24の半円弧部31にほぼ半円弧状に形成されていることにより、回転板24が半回転(180°回転)するときに、第2電極36が第1電極32の一部に対向して発電することができ、次の半回転(180°〜360°の角度回転)のときに、第2電極36が第1電極32に対向する範囲が狭くなり、発電量が減少し、第1、第2の各電極30、26の両者が一瞬対向しないときに発電が途切れるが、このとき以外は発電を継続するので、回転板24が連続して回転するときには、ほぼ連続して発電を行なうことができる。
【0049】
さらに、この電池装置12によれば、電池部21が第1電極32と第2電極36との相対的な回転により発生する電荷を蓄電する蓄電部22を備えているので、回転板24の回転動作に応じて第1電極32のエレクトレット膜35と電池基板23に設けられた第2電極36との間に発生した電荷を良好に且つ確実に蓄電部22に蓄えることができ、これにより電子腕時計に良好に組み込んで使用することができる。
【0050】
また、この電池装置12によれば、回転板24が導電性を有する金属からなり、その回転中心部が、電極板18に設けられたベアリング27に回転自在に取り付けられた導電性の回転軸26に取り付けられており、電池部21は、その負極(−)が接続部材28によって回転軸26と電気的に接続されており、第1電極32と電池部21の蓄電部22とは、接続部材28、回転軸26、および回転板24をそれぞれ介して電気的に接続されており、第2電極36と蓄電部22とは、接続部材25、および電池基板23をそれぞれ介して電気的に接続されているので、簡単な構造で、回転板24が回転軸26の軸回りを360°以上の角度回転しても、第1電極22と蓄電部22とを確実に且つ良好に接続することができる。
【0051】
なお、上述した実施形態1では、電池基板23の下面に設けられた第2電極36の放射状部38を、第1電極32の放射状部34と同じ形状で同じ大きさの半円弧状に形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図7に示す変形例のように、電池基板23の下面に設けられる第2電極45の放射状部46を、第1電極32の放射状部34の回転移動軌跡上に対応する円形リング状に形成した構成にしても良い。
【0052】
この場合にも、放射状部46は、図7に示すように、電池基板23に設けられた絶縁膜37上に多数の電極片46aを一定間隔で放射状に配列した構成にすれば良い。このように構成すれば、回転板24の第1電極32が常に第2電極45に対応して回転移動するので、回転板24がどのように回転しても、常に連続して発電することできると共に、回転速度に応じて発電を安定させることができ、このため実施形態1よりも、より一層、効率良く発電することができる。
【0053】
(実施形態2)
次に、図8〜図10を参照して、この発明を適用した電子腕時計の実施形態2について説明する。なお、図1〜図6に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、電池装置50における発電部51の第1電極52と第2電極53とが実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0054】
すなわち、この電池装置50は、実施形態1と同様、電池ケース16内に発電部51と電池部21とを収納した構成になっている。この発電部51は、電池ケース16の電極板18に固定された電池基板23と、この電池基板23に対面して回転する回転板24とを備えている。この回転板24は、図9に示すように、小径の円形部30と、この小径の円形部30よりも大径でほぼ半円弧に形成された半円弧部31とを備え、回転軸26によって電池基板23に対して一定間隔を保った状態で、回転するように構成されている。
【0055】
また、この回転板24の上面には、図8および図9に示すように、第1電極52が絶縁膜54を介して設けられている。この場合、絶縁膜54は、回転板24の円形部30における上面のほぼ全域に円形状に設けられている。この絶縁膜54上に設けられた第1電極52は、回転板24の回転中心部である軸孔24aから放射状に形成された放射状部55を備えている。この放射状部55は、図9に示すように、回転板24の円形部30に設けられた絶縁膜54上に多数の電極片55aが一定間隔で放射状に配列された構成になっている。
【0056】
すなわち、この放射状部55は、多数の電極片55aがほぼ一定の幅で放射方向に向けて細長く形成されていると共に、互いに隣接する各電極片55aが一定間隔の隙間をもって配列されている。また、この放射状部55は、多数の電極片55aがその内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜54の側方に導かれて回転板24と電気的に接続されている。
【0057】
これにより、第1電極52は、実施形態1と同様、回転板24、回転軸26、およびベアリング27をそれぞれ介して電池ケース16の負極(−)である電極板18と電気的に接続されている。この場合にも、第1電極52の各電極片55a上には、実施形態1と同様、電荷保持体であるエレクトレット膜35が形成されている。このエレクトレット膜35は、実施形態1と同じ材料で形成されている。
【0058】
一方、回転板24に対向する電池基板23の下面には、図8および図10に示すように、第2電極53が絶縁膜56を介して設けられている。この絶縁膜56は、回転板24の第1電極52に対応する箇所に、第1電極52と同じ大きさの円形状に形成されており、この絶縁膜56の下面(図10では表面)には、第2電極53が設けられている。この第2電極53も、実施形態1と同様、導電性を有する金属からなり、回転板24の回転中心部である回転軸26から放射状に形成された円形状の放射状部57を備えている。
【0059】
この放射状部57は、図10に示すように、電池基板23に円形状に設けられた絶縁膜56に多数の電極片57aが一定間隔で放射状に配列された構成になっている。すなわち、この放射状57は、第1電極52の放射状部55と同様、多数の電極片57aがほぼ一定の幅で放射方向に向けて細長く形成されていると共に、互いに隣接する各電極片57aが一定間隔の隙間をもって配列されている。
【0060】
また、この放射状部57は、多数の電極片57aがその内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜56の側方に導かれて電池基板23と電気的に接続されていると共に、この電池基板23および接続部材25を介して電池ケース16の正極(+)であるケース本体17と電気的に接続されている。
【0061】
これにより、この電池装置50は、発電部51の回転板24が回転して、回転板24に設けられた第1電極52が電池基板23に設けられた第2電極53に対して相対的に回転移動すると、第1電極52の多数の電極片55aに形成されたエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとが相対的に移動して、第1電極52の多数のエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電するように構成されている。
【0062】
次に、この電子腕時計を腕に取り付けて使用する場合について説明する。
まず、腕を振って歩きながら電子腕時計を軽く振った場合には、実施形態1と同様、その電子腕時計内の電池装置50における発電部51の回転板24が腕の振りに応じて電池基板23に対して一定間隔を保って回転する。このとき、回転板24は、必ずしも1回転(360°の角度回転)せず、腕の振りによる慣性力に応じた角度範囲で揺動する。このため、回転板24は例えば時計周りに所定の角度回転した後、反時計回りに所定の角度回転し、この動作を繰り返すことにより、発電を繰り返して電池部21の蓄電部22に蓄電する。
【0063】
すなわち、回転板24が時計周りに所定角度回転するときには、第1電極52の多数の電極片55a上に形成されたエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとが相対的に移動して、第1電極52の多数のエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電を行ない、電池部21の蓄電部22に蓄電する。
【0064】
また、回転板24が反時計周りに所定の角度回転するときにも、第1電極52の多数の電極片55a上に形成されたエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとが相対的に移動して、第1電極52の多数のエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電を行ない、電池部21の蓄電部22に蓄電する。
【0065】
一方、電子腕時計が取り付けられた腕を曲げて上下方向に速く動かした場合には、発電部51の回転板24が小径の円形部30の外周部に設けられた半円弧部31の錘部31aによる慣性によって同じ方向(時計方向または反時計方向)に連続して回転する。このときには、第1電極52の多数のエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとが常に対向して相対的に回転移動する。
【0066】
すなわち、多数のエレクトレット膜35を備えた第1電極52は、回転板24の円形部30に円形状に設けられており、多数の電極片57aを備えた第2電極53は、電池基板23における第1電極52と対向する箇所に円形状に設けられているので、第1電極52の多数のエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとが常に対向して相対的に回転移動する。これにより、第1電極52の多数のエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとの間の誘導電荷量を変化させるので、連続して発電を行ない、電池部21の蓄電部22に蓄電する。
【0067】
このように、この電子腕時計の電池装置50によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、発電部51における第1電極52の放射状部55が回転板24の円形部30に円形状に形成され、第2電極53が電池基板23に第1電極52と対応して円形状に設けられているので、第1電極52の多数の電極片55aに形成されたエレクトレット膜35と第2電極53の多数の電極片57aとを常に対向させた状態で相対的に移動させることができ、これにより腕の振りによる回転板24の回転に応じて連続して発電を行うことができるので、実施形態1よりも、更に効率良く発電することができる。
【0068】
(実施形態3)
次に、図11〜図13を参照して、この発明を適用した電子腕時計の実施形態3について説明する。この場合には、図8〜図10に示された実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、電池装置60の発電部61における第1電極62と第2電極63とが実施形態2と異なる構成であり、これ以外は実施形態2と同じ構成になっている。
【0069】
すなわち、回転板24の上面には、図11および図12に示すように、第1電極62が絶縁膜64を介して設けられている。この絶縁膜64は、回転板24の円形部30および半円弧部31における上面のほぼ全域に設けられている。この絶縁膜64上に設けられた第1電極62は、回転板24の回転中心部である軸孔24aから放射状に形成された放射状部65を備えている。
【0070】
この放射状部65は、図12に示すように、回転板24の円形部30と半円弧部31とに亘って設けられた絶縁膜64上に多数の電極片65aが一定間隔で放射状に配列された構成になっている。すなわち、この放射状部65は、回転板24の円形部30に位置する部分の電極片65aが円形状に形成され、回転板24の半円弧部31に位置する部分の電極片65aが半円弧状に形成されている。
【0071】
この場合にも、放射状部65は、多数の電極片65aがほぼ一定の幅で放射方向に向けて細長く形成されていると共に、互いに隣接する各電極片65aが一定間隔の隙間をもって配列されている。また、この放射状部65は、多数の電極片65aがその内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜64の側方に導かれて回転板24と電気的に接続されている。
【0072】
これにより、第1電極62は、回転板24、回転軸26、およびベアリング27をそれぞれ介して電池ケース16の負極(−)である電池板18と電気的に接続されている。また、この第1電極62の放射状部65における各電極片65a上には、実施形態2と同様、電荷保持体であるエレクトレット膜35が形成されている。
【0073】
一方、回転板24に対向する電池基板23の下面(図13では表面)には、図11および図13に示すように、第2電極63が絶縁膜66を介して設けられている。この絶縁膜66は、回転板24の第1電極62が回転移動する回転移動軌跡上に対応する箇所、つまり回転板24の小径の円形部30に対応する箇所、および回転板24の半円弧部31の回転移動軌跡上に対応する箇所の両者に亘って、第1電極62とほぼ同じ形状で形成されている。
【0074】
この絶縁膜66の下面に設けられた第2電極63は、実施形態2と同様、回転板24の回転中心部である回転軸26から放射状に形成された放射状部67を備えている。この放射状部67は、図13に示すように、電池基板23に設けられた絶縁膜66に多数の電極片67aが一定間隔で放射状に配列された構成になっている。すなわち、この放射状部67は、回転板24の小径の円形部30に対応する部分の電極片67aと、回転板24の半円弧部31に対応する部分の電極片67aとを備えている。
【0075】
この場合、放射状部67は、図13に示すように、回転板24の半円弧部31に対応する部分の電極片67aが、第1電極62とほぼ同じ大きさの半円弧状に形成された構成になっている。また、この放射状部67も、実施形態2と同様、多数の電極片67aがその内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜66の側方に導かれて電池基板23と電気的に接続されていると共に、この電池基板23および接続部材25を介して電池ケース16の正極(+)であるケース本体17と電気的に接続されている。
【0076】
これにより、この電池装置60は、発電部61の回転板24が回転して、回転板24に設けられた第1電極62が電池基板23に設けられた第2電極63に対して相対的に回転移動すると、第1電極62の多数の電極片65aに形成されたエレクトレット膜35と第2電極63の多数の電極片67aとが相対的に移動して、第1電極62の多数のエレクトレット膜35と第2電極63の多数の電極片67aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電して、電池部21の蓄電部22に蓄電するように構成されている。
【0077】
このように、この電子腕時計の電池装置60においても、発電部61における第1電極62の放射状部65が回転板24の円形部30および半円弧部31に亘って形成されていることにより、第1電極62の多数の電極片65aに形成されたエレクトレット膜35を第2電極63の多数の電極片67aに常に対向させた状態で相対的に移動させることができ、これにより腕の振りによる回転板24の回転に応じて連続して発電を行うことができるので、実施形態1、2と同様、効率良く発電して電池部21の蓄電部22に蓄電することができる。
【0078】
すなわち、第1電極62は、その放射状部65の一部が回転板24の小径の円形部30に円形状に設けられており、第2電極63は、その放射状部67の一部が回転板24の小径の円形部30に対応して円形状に設けられているので、実施形態2と同様、効率良く発電して電池部21の蓄電部22に蓄電することができる。
【0079】
また、第1電極62は、その放射状部65における他の一部が回転板24の半円弧部31に半円弧状に設けられており、第2電極63は、その放射状部67における他の一部が回転板24の第1電極62の回転移動軌跡上に対応する箇所に、半円弧状に設けられているので、実施形態1と同様に発電して電池部21の蓄電部22に蓄電することができる。これにより、実施形態1、2よりも、更に効率良く発電することができると共に、電池部21の蓄電部22に良好に蓄電することができる。
【0080】
(実施形態4)
次に、図14〜図16を参照して、この発明を適用した電子腕時計の実施形態4について説明する。この場合には、図11〜図13に示された実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、電池装置70の発電部71における第1電極72と第2電極73とが実施形態3と少し異なる構成であり、これ以外は実施形態3と同じ構成になっている。
【0081】
すなわち、回転板24の上面には、実施形態3と同様、第1電極72が絶縁膜74を介して設けられている。この絶縁膜74も、回転板24の円形部30および半円弧部31における上面のほぼ全域に設けられている。この絶縁膜74上に設けられた第1電極72は、回転板24の回転中心部である軸孔24aから放射状に形成された第1、第2の各放射状部75、76を備えている。第1放射状部75は、図15に示すように、回転板24の円形部30に位置する絶縁膜74上に多数の電極片75aが一定間隔で放射状に配列された構成になっている。
【0082】
また、第2放射状部76は、図15に示すように、回転板24の半円弧部31に位置する絶縁膜74上に多数の電極片76aが第1放射状部75の電極片75aと異なる間隔で放射状に配列された構成になっている。すなわち、この第2放射状部76は、多数の電極片76aが第1放射状部75の電極片75aの間隔よりも広い間隔で形成されている。
【0083】
これら第1、第2の各放射状部75、76は、実施形態3と同様、各電極片75a、76aがその内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜74の側方に導かれて回転板24と電気的に接続されている。これにより、第1電極72は、回転板24、回転軸26、およびベアリング27をそれぞれ介して電池ケース16の負極(−)である出電極板18と電気的に接続されている。この場合にも、第1、第2の各放射状部75、76の各電極片75a、76a上には、実施形態3と同様、電荷保持体であるエレクトレット膜35がそれぞれ形成されている。
【0084】
一方、回転板24に対向する電池基板23の下面(図16では表面)には、図14および図16に示すように、第2電極73が絶縁膜77を介して設けられている。この絶縁膜77も、実施形態3と同様、回転板24の第1電極72が回転移動する回転移動軌跡上に対応する箇所、つまり回転板24の小径の円形部30に対応する箇所、および回転板24の半円弧部31の回転移動軌跡上に対応する箇所の両者に亘って、第1電極72とほぼ同じ形状で形成されている。
【0085】
この絶縁膜77の下面に設けられた第2電極73は、実施形態3と同様、回転板24の回転中心部である回転軸26から放射状に形成された第3、第4の各放射状部78、79を備えている。すなわち、第3放射状部78は、図16に示すように、第1電極72の第1放射状部75に対応して円形状に設けられており、第4放射状部79は、第1電極72の第2放射状部76の回転移動軌跡上に対応する箇所に半円弧状に設けられている。
【0086】
この場合、第3放射状部78は、図16に示すように、電池基板23に設けられた絶縁膜77に多数の電極片78aが第1電極72の第1放射状部75の各電極片75aと同じ間隔で放射状に配列された構成になっている。また、第4放射状部79は、図16に示すように、電池基板23に設けられた絶縁膜77に多数の電極片79aが第1電極72の第2放射状部76の各電極76aと同じ間隔で放射状に配列された構成になっている。
【0087】
すなわち、この第4放射状部79は、多数の電極片79aが第3放射状部78の電極片78aの間隔よりも広い間隔で形成されている。そして、第3、第4の各放射状部78、79の各電極片78a、79aは、実施形態3と同様、その内周端と外周端とにおいてすべて接続された状態で、絶縁膜77の側方に導かれて電池基板23と電気的に接続されていると共に、この電池基板23および接続部材25を介して電池ケース16の正極(+)であるケース本体17と電気的に接続されている。
【0088】
これにより、この電池装置70は、発電部71の回転板24が回転して、回転板24に設けられた第1電極72が電池基板23に設けられた第2電極73に対して相対的に回転移動すると、第1電極72における第1、第2の各放射状部75、76の各多数の電極片75a、76aに形成されたエレクトレット膜35が第2電極73における第3、第4の各放射状部78、79の各多数の電極片78a、79aに対して相対的に移動して、第1電極72における第1、第2の各放射状部75、76の各多数のエレクトレット膜35と第2電極73における第3、第4の各放射状部78、79の各多数の電極片78a、79aとの間の誘導電荷量が変化することにより、発電するように構成されている。
【0089】
このように、この電子腕時計の電池装置70においても、実施形態3と同様、第1電極72の第1、第2の各放射状部75、76が回転板24の円形部30および半円弧部31に亘って形成されていることにより、第1電極72における第1、第2の各放射状部75、76の多数の電極片75a、76aに形成されたエレクトレット膜35と、第2電極73における第3、第4の各放射状部78、79の多数の電極片78a、79aとを、相対的に移動させることができ、これにより実施形態3と同様、腕の振りによる回転板24の回転に応じて連続して発電をすることができると共に、電池部21の蓄電部22に蓄電することができる。
【0090】
すなわち、第1電極72は、その第1放射状部75が回転板24の小径の円形部30に円形状に設けられており、第2電極73は、その第3放射状部78が第1電極72の第1放射上部75に対応する電池基板23の個所に円形状に設けられているので、実施形態2と同様に発電することができると共に、電池部21の蓄電部22に蓄電することができる。
【0091】
また、第1電極72は、その第2放射状部76が回転板24の半円弧部31に半円弧状に設けられており、第2電極73は、その第4放射状部79が第1電極72の第2放射状部76の回転移動軌跡上に対応する電池基板23の箇所に半円弧状に設けられているので、実施形態1と同様に発電することができると共に、電池部21の蓄電部22に蓄電することができる。これにより、実施形態3と同様、実施形態1、2よりも、更に効率良く発電して電池部21の蓄電部22に蓄電することができる。
【0092】
この場合には、第1電極72の第1放射状部75における多数の電極片75aの間隔と、第2電極73の第3放射状部78における多数の電極片78aの間隔とが同じ間隔で対応しているので、所定の周波数で発電することができると共に、第1電極72の第2放射状部76における多数の電極片76aの間隔と、第2電極73の第4放射状部79における多数の電極片79aの間隔とが同じ間隔で、且つ第1、第3の各放射状部75、76の各電極片75a、76aの間隔と異なる間隔であるから、第1、第3の各放射状部75、76で発電した周波数と異なる周波数で発電することができる。
【0093】
なお、上述した実施形態1〜4およびその変形例では、回転板24が小径の円形部30と大径の半円弧部31とを備えた構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば図17に示す変形例のように、回転板80を円形の円板状に形成すると共に、その外周縁に錘部81を半円弧状に設けた構成にしても良い。このように構成すれば、回転板80に第1電極82を円形のリング状に連続させて形成することできるので、回転板80の第1電極82を常に第2電極36、45、53、63、73に対応させて回転移動させることができ、これにより回転板80がどのように回転しても、連続して発電することできると共に、回転速度に応じて発電を安定させることができる。
【0094】
また、上述した実施形態1〜4およびその各変形例では、第1電極32、52、62、72、82にエレクトレット膜35を設けた場合について述べたが、必ずしも第1電極32、52、62、72、82にエレクトレット膜35を設ける必要はなく、第1電極32、52、62、72、82に代えて第2電極36、45、53、63、73にエレクトレット膜35を設けた構成でも良い。このように構成しても、実施形態1〜4およびその各変形例と同様の作用効果がある。
【0095】
なおまた、上述した実施形態1〜4およびその各変形例では、電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計などの時計である必要はなく、例えば携帯電話機や歩数計などの各種の携帯型の電子機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 腕時計ケース
6 時計モジュール
12、50、60、70 電池装置
16 電池ケース
17 ケース本体
18 電極板
20 発電部
21 電池部
22 蓄電部
23 電池基板
24、80 回転板
26 回転軸
30 小径の円形部
31 大径の半円弧部
31a、81 錘部
32、52、62、72、82 第1電極
33、37、54、56、64、66、74、77 絶縁膜
34、55、65 第1電極の放射状部
34a、55a、65a 電極片
35 エレクトレット膜
36、45、53、63、73 第2電極
38、46、57、67 第2電極の放射状部
38a、46a、57a、67a 電極片
75、76 第1電極の第1、第2の各放射状部
75a、76a 電極片
78、79 第2電極の第3、第4の各放射状部
78a、79a 電極片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケース内に発電部と電池部とを収納した電池装置であって、
前記発電部は、
平板状の基板と、
この基板の平面に対面して回転する回転部材と、
この回転部材に当該回転部材の回転中心部から放射状に形成された放射部を備えた第1電極と、
この第1電極の放射部と対向するように前記平板状の基板上に形成された放射部を備えた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との一方に設けられた電荷保持体とを備えており、
前記電池部は、前記第1電極と前記第2電極との相対的な回転により発生する電荷を蓄電する蓄電部を備えていることを特徴とする電池装置。
【請求項2】
前記回転部材は、小径の円形部と、この小径の円形部の外周部に当該円形部よりも大径でほぼ半円弧状に形成された半円弧部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電池装置。
【請求項3】
前記第1電極の前記放射部は、前記回転部材の前記半円弧部にほぼ半円弧状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池装置。
【請求項4】
前記第1電極の前記放射部は、前記回転部材の前記小径の円形部に円形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電池装置を機器ケース内に設けたことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−279201(P2010−279201A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130715(P2009−130715)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】