説明

電波修正時計

【課題】運針による重負荷を軽減することができる。
【解決手段】受信禁止モードにおいて、受信禁止モードを表示するとともに、受信許可モードにおいて、電池充電量を表示する。充電量表示は、第1の所定位置901dを指示することによって、電池充電量がフル状態であることを表示し、第2の所定位置901aを指示することによって、電池充電量が空状態であることを表示し、第3の所定位置707を指示することによって、受信禁止モードを表示し、第1の所定位置901d、第2の所定位置901a、第3の所定位置707の順にならべて配置するとともに、第2の所定位置901aと第3の所定位置707との間の距離が、第1の所定距離901dと第3の所定位置707との間の距離より短いこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、標準電波を受信し、受信した標準電波に基づいて時刻を修正する電波修正時計に関し、特に、所定の時刻に定時受信をおこなうとともに、操作者の操作による強制受信および操作者の操作によらない自動受信をおこなう電波修正時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、標準電波を受信し、受信した標準電波に基づいて時刻を修正する電波修正時計は、時刻の正確さと時刻修正操作が不要であるという利点から、既に市民権を得て、広く普及してきている。特に、多機能のスポーツ用時計にも電波修正機能が搭載されてきていることから、潜水用時計、いわゆるダイバーウォッチにも、電波修正機能を搭載させたいとの要望も多い。
【0003】
また、時刻の正確さと、修正操作不要という利点から、鉄道や航空機などの公共交通機関の運転手(パイロット)用の時計としても採用したいとの要望が強い。
【0004】
ところで、電波修正時計は、通常、標準電波を毎日決められた時刻に受信する定時受信機能を含む、操作者からの操作指示なしに自動的に実行する自動受信機能と、操作者からの操作指示に基づいて強制的に標準電波を受信する強制受信機能とを備えている。
【0005】
そして、受信と指針駆動という大きな消費電流をともなう2つの動作が同時におこなわれることによる電池の電圧降下を防止するため、およびステップモータを駆動させることにより発生する磁界が受信電波のノイズとなり、標準電波の受信が乱されることを防止するため、標準電波の受信中は、指針表示装置の運針を停止するのが一般的であった(たとえば下記特許文献1参照。)。同様に、液晶表示器の動作にともない生ずるノイズの影響により受信障害が発生することを防止するため、液晶表示器(LCD)の表示をOFFにするものがあった(たとえば下記特許文献2参照。)。
【0006】
また、従来技術として、ダイバーウォッチではなくタイムレコーダにおいて、受信禁止時間帯における強制受信操作時に、何らかの反応を示すものが存在する(たとえば下記特許文献3参照。)。
【0007】
また、従来技術として、水深計測中は、機能選択スイッチによる機能選択を禁止するものが存在する(たとえば下記特許文献4参照。)。また、従来技術として、カメラに内蔵された電波時刻時計において、海外において現地時刻と異なる時刻に修正されることを防止するために表示時刻の修正を禁止する修正禁止モードを備えたものが存在する(たとえば下記特許文献5参照。)。
【0008】
さらに、電波修正時計において、電源電圧、発電量等が低下して計時機能が停止した後再び電源電圧、発電量等が復帰すると、標準電波の受信を自動的に開始させるものが存在する(下記特許文献6参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平5−81786号公報
【特許文献2】特開2001−27681号公報
【特許文献3】特開2005−346488号公報
【特許文献4】特開昭62−71890号公報
【特許文献5】特開2003−294876号公報
【特許文献6】国際公開97/21153号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ダイバーウォッチには、ISO規格により、潜水中(ダイビング中)には計時機能と時刻表示機能を継続することが義務づけられている。このため、潜水中は指針表示装置の運針を止めることができない。したがって、潜水中に上記定時受信が開始されたり、操作者が誤って強制受信の操作をしてしまうことによって、指針表示装置の運針が停止してしまい、時刻表示機能を継続することができなくなる場合が考えられる。そうなると、上記ISO規格を順守することができないだけでなく、潜水中の操作者に多大な不安感を与えてしまうという問題点があった。
【0011】
この問題点を回避するには、受信中も指針を駆動して運針を継続させる必要があるが、そうすると、指針駆動による電圧降下およびノイズによって標準電波の受信成功率を低下させ、通常使用時における時刻精度が低下してしまうという問題点があった。そのため、ダイバーウォッチに電波修正機能を搭載したものを実現することができなかった。
【0012】
また公共交通機関の運転手用として用いる場合も同様に、運転中は常に時刻を表示している必要があるため、標準電波の受信中は時刻表示ができず、運転手が現在時刻などの各種時刻が確認できないことによる安全な運行に支障をきたすおそれがあるという問題点があった。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、時刻表示が必要なときは常に運針をおこなわせて、時刻確認が確実にできる電波修正時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電波修正時計は、時刻を計時する計時手段と、時刻情報を含む標準電波を受信する受信手段と、前記計時手段によって計時されている計時時刻を前記標準電波に基づいて修正する時刻修正手段と、前記標準電波の受信を許可する受信許可モードと前記標準電波の受信を禁止する受信禁止モードとの切り替えを制御するモード制御手段と、を備え、前記モード制御手段が、前記受信手段に対して、前記受信許可モードでは受信許可信号を出力するとともに、前記受信禁止モードでは受信禁止信号を出力し、前記受信手段が、前記受信禁止信号が入力されたときは、前記受信許可信号が入力されるまで前記標準電波の受信処理を実行しないことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記モード制御手段が、前記受信禁止モードから前記受信許可モードへ移行するときに、前記受信手段に対して、前記標準電波の受信処理を開始する自動受信信号を出力し、前記受信手段が、前記自動受信信号が入力されたときは、前記標準電波の受信を開始することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記モード制御手段が、第1の所定時間に関する情報を記憶する記憶手段を備え、前記受信禁止モードの継続時間を計時し、前記受信禁止モードから前記受信許可モードへ移行するときに、前記受信手段に対して、前記継続時間が前記第1の所定時間以上の場合は前記自動受信信号を出力するとともに、前記継続時間が第1の所定時間未満の場合は前記自動受信信号を出力しないことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、操作者が操作可能な外部操作入力部材を備え、前記記憶手段に記憶された第1の所定時間の設定または変更を前記
外部操作入力部材の操作によっておこなうことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、操作者が操作可能な外部操作入力部材を備え、前記自動受信信号の出力制御を外部操作入力部材の操作によっておこなうことを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記モード制御手段が、第2の所定時間に関する情報を記憶する記憶手段を備え、前記受信禁止モードの継続時間を計時し、前記継続時間が前記第2の所定時間になった場合に、前記受信禁止モードから前記受信許可モードに切り替えることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、操作者が操作可能な外部操作入力部材を備え、前記記憶手段に記憶された第2の所定時間の設定または変更を前記外部操作入力部材の操作によっておこなうことを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、操作者が操作可能な外部操作入力部材を備え、前記受信禁止モードから前記受信許可モードへの切り替え制御を外部操作入力部材の操作によっておこなうことを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記モード制御手段が、第1の所定時刻および第2の所定時刻に関する情報を記憶する記憶手段を備え、前記第1の所定時刻になった場合に、前記受信禁止モードへ切り替えるとともに、前記第2の所定時刻になった場合に、前記受信許可モードへ切り替えることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記受信禁止モードが、受信禁止制御にかかる諸条件が異なる複数のモードからなり、前記モード制御手段が、前記複数の受信禁止モードを記憶する記憶手段を備え、前記複数の受信禁止モードの中のいずれか一つのモードの諸条件に基づいて、前記受信手段に対して、前記受信許可信号または前記受信禁止信号を出力するとともに、前記標準電波の受信処理を開始する自動受信信号を出力することを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記諸条件が、前記受信禁止モードから前記受信許可モードへ移行するときに、前記受信手段に対して、前記標準電波の受信処理を開始する自動受信信号の出力の有無、前記受信禁止モードから前記受信許可モードへ移行するときに、前記受信手段に対して、前記受信禁止モードの継続時間が第1の所定時間以上の場合は前記自動受信信号を出力するとともに、前記継続時間が第1の所定時間未満の場合は前記自動受信信号を出力しないとした場合の、当該第1の所定時間、前記受信禁止モードの継続時間が第2の所定時間になった場合に、前記受信禁止モードから前記受信許可モードへの切り替えの有無、前記第2の所定時間、第1の所定時刻になった場合の前記受信禁止モードへの切り替えの有無、前記第1の所定時刻、第2の所定時刻になった場合に、前記受信許可モードへの切り替えの有無、および、前記第2の所定時刻、少なくとも一つからなり、前記モード制御手段が、前記複数の受信禁止モードの中のいずれか一つのモードの諸条件に基づいて、前記受信手段に対して、前記受信許可信号または前記受信禁止信号の出力の制御をするとともに、前記自動受信信号の出力の制御をおこない、前記受信手段が、前記受信禁止信号が入力されたときは、前記受信許可信号が入力されるまで前記標準電波の受信処理を実行せず、前記自動受信信号が入力されたときは、前記標準電波の受信を開始することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、操作者が操作可能な外部操作入力部材を備え、前記受信禁止モードの変更制御を外部操作入力部材の操作によって
おこなうことを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記計時手段によって計時される時刻を表示する表示手段を備え、前記表示手段によって、前記受信禁止モードであることを表示することを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記表示手段が、日および曜の少なくともいずれかを含む暦を表示する暦表示手段を含み、前記暦表示手段によって、前記受信禁止モードであることを表示することを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記表示手段が、電池の充電量を表示する充電量表示手段を含み、前記充電量表示手段によって、前記受信禁止モードであることを表示することを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記表示手段が、受信した地域または受信局を表示する受信地域表示手段を含み、前記受信地域表示手段によって、前記受信禁止モードであることを表示することを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる電波修正時計は、時刻を計時する計時手段と、時刻情報を含む電波を受信する受信手段と、前記計時手段によって計時されている計時時刻を前記時刻情報を含む電波に基づいて修正する時刻修正手段と、前記時刻情報を含む電波の受信を許可する受信許可モードと前記時刻情報を含む電波の受信を禁止する受信禁止モードとの切り替えを制御するモード制御手段と、を備え、前記モード制御手段は、前記受信手段に対して、前記受信許可モードでは受信許可信号を出力するとともに、前記受信禁止モードでは受信禁止信号を出力し、前記受信手段は、前記受信禁止信号が入力されたときは、前記受信許可信号が入力されるまで前記時刻情報を含む電波の受信処理を実行しない電波修正時計において、前記計時手段によって計時される通常時刻を示す通常指針からなる第1の表示手段と、前記第1の表示手段とは異なる第2の表示手段と、を備え、前記第2の表示手段は、前記受信禁止モードにおいて、前記受信禁止モードを表示する受信禁止モード表示手段を含み、前記受信許可モードにおいて、電池充電量を表示する充電量表示手段を含み、前記充電量表示手段は、第1の所定位置を指示することによって、前記電池充電量がフル状態であることを表示し、第2の所定位置を指示することによって、前記電池充電量が空状態であることを表示し、第3の所定位置を指示することによって、前記受信禁止モードを表示し、前記第1の所定位置、前記第2の所定位置、前記第3の所定位置の順にならべて配置するとともに、周回方向において、前記第2の所定位置と前記第3の所定位置との間の距離が、前記第1の所定位置と前記第3の所定位置との間の距離より短いことを特徴とする。
【0031】
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記第1の所定位置、前記第2の所定位置、前記第3の所定位置は、反時計回りの方向に順にならべて配置されることを特徴とする。
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記受信禁止モード表示手段は、前記受信禁止モードが潜水中に使用することを示す表示を兼用することを特徴とする。
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記第2の表示手段が、指針部材を用いることを特徴とする。
また、この発明にかかる電波修正時計は、上記発明において、前記表示手段の左半分の領域内において前記受信禁止モードであることを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、時刻表示が必要なときには、確実に標準電波の受信を禁止することで、時刻表示が必要なときは常に運針をおこなわせて、時刻確認が確実にできる電波修正時計が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計のハードウエア構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の機能的構成を示す説明図である。
【図3】受信禁止モードデータテーブルの構成の一例を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の動作の内容を示すフローチャート(その1)である。
【図5】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の動作の内容を示すフローチャート(その2)である。
【図6】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の動作の内容を示すフローチャート(その3)である。
【図7】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の外観の一例を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の外観の別の一例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の外観の別の一例を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の外観の別の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に添付図面を参照して、この発明による電波修正時計の実施の形態を詳細に説明する。
【0035】
(電波修正時計の構成)
図1は、この発明の実施の形態にかかる電波修正時計のハードウエア構成を示す説明図である。図1において、電波修正時計本体には、マイコンIC100と、RAM101と、ROM102と、モータ駆動回路103と、モータ104(104a、104b、104c)と、輪列105(105a、105b、105c)と、基準信号発生部106と、カウンタ部107と、アンテナ108と、同調回路109と、受信回路110と、スイッチ部111と、スイッチ制御回路112と、ソーラセル113と、二次電池114と、充電制御回路115と、を備える。
【0036】
マイコンIC100は、電波修正時計本体の全体を制御するほか、各種の構成部、回路を個別に演算制御する。RAM101は、時刻情報あるいはカレンダー情報を含む計時データなどの各種データを記憶している。また、ROM102は、各種の制御プログラムを記憶している。
【0037】
モータ駆動回路103は、独立した3つのモータ104(104a、104b、104c)を駆動し、輪列105(105a、105b、105c)を介して、それぞれの指針および日板を別個独立に駆動する。モータ104は3つに限らず、電波修正時計の機能な
どに応じて4つ以上であってもよい。また、逆にモータ104は2つであってもよい。すなわち、時刻表示用モータと、それとは別に駆動可能なモータを最低1つ有していればよい。
【0038】
3つのモータ104のうち、1つ目のモータ104aは、後述する図7に示す分針701、時針702および秒針703を駆動する。2つ目のモータ104bは、図7に示す曜表示および受信禁止モード表示を構成するモード針704(または後述する図8に示すモード針804)を駆動する。3つ目のモータ104cは、図7に示す日表示705を構成する図示を省略する日板を駆動する。どのモータがなにを駆動するかについては、これに限定するものではない。
【0039】
基準信号発生部106は、たとえば発振回路から構成され、計時処理の基準となる所定の周波数を有する信号を発生する。また、カウンタ部107は、基準信号発生部106から発生される所定の周波数を有する信号をマイコンIC100に対して出力する。
【0040】
同調回路109は、アンテナ108と同調をとり、たとえばコンデンサの容量を切り替えるなどによって、60kHz(米国)、77.5kHz(独国)、40kHz、60kHz(日本)などの周波数にアンテナ108を同調する。また、受信回路110は、アンテナ108によって受信された信号から標準電波を検出し、マイコンIC100に対して出力する。
【0041】
スイッチ部111は、操作者の操作指示を入力する。具体的には、図7に示すりゅうず711、操作ボタン712,713などによって構成される。スイッチ制御回路112は、スイッチ部111からの信号に基づいて、操作者からの操作指示に関する入力をマイコンIC100に送信する。
【0042】
充電制御回路115は、ソーラセル113によって受光された光を電力に変換し、二次電池114に蓄積する。また、充電制御回路115は、二次電池114の電圧(値)を検出する電圧検出機能、ソーラセル113が発電状態か非発電状態かを検出する発電検出機能などを備える。そして、これらの機能によって検出結果に関する信号をマイコンIC100に対して出力する。
【0043】
さらに、電波修正時計は、図示を省略する液晶駆動回路と、LEDと、LED駆動回路と、アラームと、アラーム駆動回路と、を備えていてもよい。液晶駆動回路は、液晶画面を駆動して各種情報を表示させる。また、LED駆動回路は、LEDを駆動してバックライトとして液晶画面を照明したり、警告光を出力したりする。LEDの代わりに、EL(Electroluminescence)、ランプなどを用いてもよい。またアラーム駆動回路は、アラームが搭載する図示を省略する圧電素子を駆動して、アラーム(ブザー)を出力する。その際、アラーム駆動回路は、告知の種類によって、音の種類、高さ、音量などを変えて出力する。
【0044】
図2は、この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の機能的構成を示す説明図である。図2において、電波修正時計は、モード制御部200と表示部201と、計時部202と、時刻修正部203と、受信部204と、外部操作入力部材205とを含む構成となっている。
【0045】
またモード制御部200は、モード切替部210、受信許可信号出力部211、受信禁止信号出力部212、自動受信信号出力部213、受信禁止モード継続時間計測タイマー214、受信禁止モードデータテーブル215などの各構成要素からなる。
【0046】
計時部202は、現在時刻(具体的にはたとえばUTC、日本時間などの現地時間にかかる時刻)を計時し、計時した現在時刻を表示部201へ出力する。計時部202は、具体的には、たとえば図1に示した基準信号発生部106およびカウンタ部107によってその機能を実現することができる。
【0047】
表示部201は、計時部202によって計時されている時刻(以下「計時時刻」という)に基づいて、現在時刻を表示する。具体的には、たとえば図1に示したモータ駆動回路103、モータ104、輪列105と各指針(図7に示した符号701〜704を参照)などによって表示機能を実現する。この表示機能によって、たとえば図8にあっては、指針701〜703によって時刻が「午前10時9分35秒」であり、モード針704および曜表示706によって「SUN(日曜日)」であることがわかり、日表示705によって「27日」であることがわかる。
【0048】
また表示部201は、上述の液晶駆動回路、LED駆動回路、LED、アラーム駆動回路、アラームなどによって時刻表示に関する表示機能(たとえばデジタル表示)や各種の告知(たとえばカレンダー表示など)に関する表示機能などを実現するようにしてもよい。
【0049】
表示部201は、電池の充電量を表示する充電量表示手段(たとえば後述する図9に示す充電量インジケーター901など)を含み、その充電量表示手段によって、受信禁止モードであることを表示するようにしてもよい。また表示部201は、受信した地域または受信局を表示する受信地域表示手段(たとえば後述する図10に示す受信局表示1001)を含み、その受信地域表示手段によって、受信禁止モードであることを表示するようにしてもよい。
【0050】
受信部204は、時刻情報を含む標準電波を受信する。受信部204は、具体的には、たとえば図1に示した受信回路110などによってその機能を実現する。すなわち受信部204は、たとえば増幅部、フィルタ部、検波部、AD変換部、ゲインコントロール部などを含む構成となっている。これらの各構成部は公知の技術によって実現可能であるので、その説明は省略する。
【0051】
時刻修正部203は、計時部202によって計時されている計時時刻を標準電波に基づいて修正する。したがって、受信部204が標準電波の受信に失敗した場合は、計時時刻の修正はおこなわない。時刻修正部203は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。
【0052】
モード切替部210は、標準電波の受信を許可する受信許可モードと標準電波の受信を禁止する受信禁止モードとの切り替えを制御する。モード切替部210は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。
【0053】
受信許可信号出力部211は、モード切替部210におけるモードの切り替え制御にともない、受信許可モードでは受信許可信号を受信部204に対して出力する。また受信禁止信号出力部212は、モード切替部210におけるモードの切り替え制御にともない、受信禁止モードでは受信禁止信号を受信部204に対して出力する。受信許可信号出力部211および受信禁止信号出力部212は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。
【0054】
受信禁止モード継続時間計測タイマー214は、受信許可モードから受信禁止モードへと切り替わったときからの継続時間を計測する。受信禁止モード継続時間計測タイマー213は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、カウンタ部107から出力される所定の周波数を有する信号を用いて、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。
【0055】
受信禁止モードデータテーブル215は、受信禁止制御にかかる諸条件が異なる複数の受信禁止モードを記憶する。受信禁止モードデータテーブル215、具体的には、たとえば図1に示したRAM101、ROM102等によってその機能を実現する。受信禁止モードデータテーブル215の内容については、後述する(図3を参照)。
【0056】
自動受信信号出力部213は、モード切替部210が受信禁止モードから受信許可モードへ移行するときに、受信部204に対して、標準電波の受信処理を開始する自動受信信号を出力する。そして、受信部204は、自動受信信号出力部213からの自動受信信号が入力されたときは、標準電波の受信を開始する。自動受信信号出力部213は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。
【0057】
またモード制御部200は、所定時間(自動受信実行時間)に関する情報を受信禁止モードデータテーブル215に記憶する。そして、モード制御部200は、受信禁止モード継続時間計測タイマー214によって受信禁止モードの継続時間を計時し、モード切替部210を制御して、受信禁止モードから受信許可モードへ移行するときに、継続時間が上記所定時間(自動受信実行時間)以上の場合は、受信許可信号出力部211から受信部204に対して自動受信信号を出力するとともに、継続時間が上記所定時間未満の場合は自動受信信号を受信部204に対して出力しないようにする。
【0058】
このように、前回の時刻修正からの時間が所定時間よりも短いために現在時刻の誤差が少ないと想定される場合には、あえて自動受信処理を実行しないことで、消費電力を抑えるとともに、自動受信処理の間、現在時刻が表示されたことによる不具合などを解消することができる。
【0059】
また外部操作入力部材205からの入力信号がモード切替部210へ入力されることによって、モード制御部200における自動受信信号の出力制御を外部操作入力部材205の操作によっておこなうことができる。
【0060】
またモード制御部200は、オートリターン機能を備えていてもよい。すなわち、モード制御部200は、受信禁止モードデータテーブル215に所定時間(受信禁止モード最長時間)に関する情報を記憶する。そして、モード制御部200は、受信禁止モード継続時間計測タイマー214によって受信禁止モードの継続時間を計時し、継続時間が上記所定時間(受信禁止モード最長時間)になった場合に、標準電波の受信禁止モードから受信許可モードに切り替えることができる。
【0061】
このように、標準電波の受信禁止モードが設定された後、操作者がその受信禁止モードの解除操作を忘れてしまうと、標準電波の受信処理が実行されず、現在時刻の誤差が大きくなってしまい、電波修正時計としての特徴を発揮することができなくなるといった問題点があった。オートリターン機能はその問題点を解消することができる。
【0062】
また外部操作入力部材205からの入力信号がモード切替部210へ入力されることによって、モード切替部210における受信禁止モードから受信許可モードへの切り替え制御を外部操作入力部材205の操作によっておこなうことができる。
【0063】
またモード制御部200は、受信禁止モードデータテーブル215に所定時刻(禁止開始時刻および禁止終了時刻)に関する情報を記憶する。そして、禁止開始時刻になった場合に、受信禁止モードへ切り替えるとともに、禁止終了時刻になった場合に、受信許可モードへ切り替えることができる。これによって、標準電波の受信によって時刻が表示されないことが操作者にとって支障をきたす時間帯、たとえば電車、バスなどの運転手の運転時間などにおいて受信処理を確実に禁止することができる。
【0064】
(受信禁止モードデータテーブルの構成)
つぎに、受信禁止モードデータテーブルの構成について説明する。図3は、受信禁止モードデータテーブルの構成の一例を示す説明図である。図3において、各受信禁止モード(モード1、モード2、モード3、モード4、...)は、それぞれ、「自動受信」、「自動受信実行時間」、「オートリターン」、「受信禁止モード最長時間」、「強制受信」、「禁止開始時刻」、「禁止終了時刻」の各項目についてのデータが登録されている。
【0065】
「自動受信」の項目には「有」または「無」を登録する。「有」の場合は、受信禁止モードから受信許可モードに移行した際に、標準電波の自動受信処理(および自動受信処理によって受信された標準電波に基づく時刻修正処理)を実行する。「無」の場合は、受信禁止モードから受信許可モードに移行した際には自動受信をおこなわない。したがって、受信禁止モードから受信許可モードに移行した後、つぎの定時受信時刻において標準電波の自動受信をおこなう。このように、受信禁止モードによって標準電波の受信がなされず、正確な時刻との誤差が生じていることが想定されるが、自動受信を選択する(「有」にする)ことによって、その誤差を自動的に修正することができる。
【0066】
「自動受信実行時間」の項目には具体的な時間を登録する。受信禁止モードから受信許可モードへ移行の際、上記「自動受信」の項目が「有」の場合に、受信禁止モードの継続時間と、「自動受信実行時間」の項目に登録された時間とを比較し、受信禁止モードの継続時間の方が長い場合にのみ、自動受信処理を実行する。また受信禁止モードデータテーブル215に記憶された「自動受信実行時間」の設定または変更は、外部操作入力部材の操作によっておこなうことができる。
【0067】
「オートリターン」の項目には「有」または「無」を登録する。「有」の場合は、「受信禁止モード最長時間」に登録された時間が経過後、操作者による何らの操作なしに、受信禁止モードが解除される。
【0068】
「強制受信」の項目には「許可」または「禁止」を登録する。「許可」の場合は、受信禁止モードにおいても、操作者の外部操作入力部材205からの強制受信要求信号が入力されれば、標準電波の受信処理を実行する。一方、「禁止」の場合は、受信禁止モード中は、強制受信要求信号が入力されても、その信号を無視し、標準電波の受信処理は実行しない。
【0069】
「禁止開始時刻」、「禁止終了時刻」の項目には具体的な時刻を登録する。登録は、時刻のみ(具体的には「PM10:00」など)であってもよく、日付を含んでいてもよい(具体的には「2月27日AM8:00」など)。通常は、「禁止開始時刻」と「禁止終了時刻」とをセットにして登録するが、いずれか一方のみの登録であってもよい。「禁止開始時刻」と「禁止終了時刻」とをセットで登録した場合は、禁止開始時刻になった場合に、受信許可モードから受信禁止モードへ移行し、禁止終了時刻になった場合に、受信禁止モードから受信許可モードへ移行する。
【0070】
「禁止開始時刻」の項目にのみ時刻が登録され、「禁止終了時刻」の項目に時刻が登録
されていない場合は、禁止開始時刻になったときに、受信許可モードであれば、受信許可モードから受信禁止モードへ移行する。
【0071】
「禁止終了時刻」の項目にのみ時刻が登録され、「禁止開始時刻」の項目に時刻が登録されていない場合は、禁止終了時刻になったときに、受信禁止モードであれば、受信禁止モードから受信許可モードへ移行する。
【0072】
図3に示したモード1は、たとえば潜水モードの一例である。すなわちモード1では、自動受信、オートリターン、禁止開始時刻、禁止終了時刻も無しであり、強制受信も禁止している。このように、モード1は、一旦、操作者が受信禁止モードを選択した場合に、再び操作者からの受信許可モードの解除指示がない限り、受信禁止モードを維持することで、潜水中の受信禁止を確実にする。これにより、潜水中に現在時刻が表示されないことを防止し、潜水中の安全を担保することができる。
【0073】
またモード2は、たとえば外部操作による通常の受信禁止モードの一例である。すなわちモード2では、自動受信が「有」であり、自動受信実行時間は「2日」であり、受信禁止モードへ移行してから「24時間」経過後に受信許可モードへ移行するオートリターンが「有」であり、さらに、受信禁止モード中の強制受信を「許可」しているため、操作者の意志による標準電波の受信処理を実行する。
【0074】
自動受信実行時間を「2日」にした理由としては、たとえば、通常の電子時計は15秒/月の精度に調整されている場合が多く、2日以内なら1秒未満の誤差しか生じないため、自動受信をする必要性が低いからである。2日以上なら1秒以上の誤差が発生している可能性があり、自動受信の必要性が生じる。たたし自動受信実行時間は「2日」に限定されるものではない。
【0075】
またモード3は、たとえば深夜労働者用モードの一例である。すなわちモード3では、禁止開始時刻と禁止終了時刻を労働時刻に合わせて登録している点が特徴であり、さらに、自動受信が「有」であり、自動受信実行時間は「2日」であり、強制受信も「許可」しているが、オートリターンは「無」である。これによって、通常深夜におこなわれる定時受信を禁止し、業務中に時刻が表示されないという事態を回避することができる。
【0076】
またモード4は、たとえば電車、バスなどの運転手用モードの一例である。すなわちモード4では、禁止開始時刻と禁止終了時刻を運転開始時刻から運転終了時刻に合わせている。そして、その間の一切の受信を禁止している。これによって、運転中は常に現在時刻を表示することができ、受信処理が実行されることによって現在時刻が表示されずに運転業務に支障をきたすことを確実に防止することができる。
【0077】
さらに、図示は省略するが、他の受信禁止モードへ移行する条件としては、たとえば水感知、深度、高度、照度、温度などが挙げられる。水感知は水を感知した場合に受信禁止モードへ移行する。また深度は水中において所定の深度に達したことが計測された場合に受信禁止モードに移行する。いずれも、海面付近では電波が受信できてしまうことから、潜水中の安全を確保するために有用である。
【0078】
また高度は、所定の高度に達したことが計測された場合に受信禁止モードに移行する。登山などで健康状態となる脈拍計測に時刻表示が用いられる場合があり、その際に時刻表示の運針が標準電波の受信によって停止することを回避することができる。
【0079】
また照度は、所定の明るさである場合は受信禁止モードへ移行する。これによって、夜中でも周囲が明るい場合、すなわち就寝せず活動中であると想定できる場合には、受信禁
止モードへ移行し、受信による時刻停止する事態を回避することで、常に時刻表示がなされている状態を提供することができる。
【0080】
また温度は、所定の温度以下になった場合には受信禁止モードへ移行する。低温時は電圧が低下して受信が不安定になるので、受信動作を禁止する。これによって、不安定な動作を回避し、時計の各機能を有効に保護することができる。
【0081】
このように、受信禁止モードは、受信禁止制御にかかる諸条件が異なる複数のモードを備えることができる。モード制御部200は、受信禁止モードデータテーブル215に複数の受信禁止モードを記憶し、複数の受信禁止モードの中のいずれか一つのモードの諸条件に基づいて、受信部204に対して、受信許可信号出力部211から受信許可信号または受信禁止信号出力部212から受信禁止信号を出力するとともに、標準電波の受信処理を開始する自動受信信号を自動受信信号出力部213からそれぞれ出力することができる。
【0082】
(電波修正時計の動作内容)
つぎに、電波修正時計の動作内容の一例について説明する。図4〜6は、それぞれこの発明の実施の形態にかかる電波修正時計の動作の内容を示すフローチャートである。図4において、受信部204は、自動受信信号がモード制御部200(自動受信信号出力部213)から入力されたか否かを判断する(ステップS401)。
【0083】
ここで、自動受信信号が入力された場合(ステップS401:Yes)は、ステップS403へ移行する。一方、自動受信信号が入力されていない場合(ステップS401:No)は、つぎに強制受信の指示が外部操作入力部材205からあったか否かを判断する(ステップS402)。ここで、強制受信の指示があった場合(ステップS402:Yes)は、ステップS403へ移行する。一方、強制受信の指示がなかった場合(ステップS402:No)は、ステップS401へ戻る。
【0084】
つぎに。受信部204は、モード制御部200から入力されている信号を判断する(ステップS403)。すなわち、受信許可信号出力部211から受信許可信号が入力されているのか、あるいは受信禁止信号出力部212から受信禁止信号が出力されているのかを判断する。
【0085】
ここで、入力されている信号が受信許可信号である場合(ステップS403:受信許可信号)は、標準電波の受信処理を実行する(ステップS404)。さらに時刻修正部203は、受信された標準電波に基づいて時刻修正処理を実行し(ステップS405)、一連の処理を終了し、ステップS401へ戻る。
【0086】
一方、ステップS403において、入力されている信号が受信禁止信号である場合(ステップS403:受信禁止信号)は、標準電波の受信ができないので、何もせずに、一連の処理を終了し、再びステップS401へ戻る。
【0087】
図5および図6のフローチャートは、モード制御部200の処理手順を示している。図5において、まず、モード制御部200は、受信許可信号を受信許可信号出力部211から受信部204へ出力する(ステップS501)。通常はこの状態を維持し、つぎに、図3に示した受信禁止モードデータテーブル215に登録された禁止開始時刻になったか否かを判断する(ステップS502)。同時に禁止開始時刻が設定されているか(受信禁止モードデータテーブル215に登録されているか)否かも判断する。すなわち、禁止開始時刻が設定されていない場合には、禁止開始時刻にはなっていないと判断する。ここで、禁止開始時刻になった場合(ステップS502:Yes)は、ステップS504へ移行す
る。
【0088】
一方、ステップS502において、禁止開始時刻になっていない(あるいは禁止開始時刻が設定されていない)場合(ステップS502:No)は、つぎに、禁止モードの設定指示が外部操作入力部材205からあったか否かを判断する(ステップS503)。ここで、禁止モードの設定指示があった場合(ステップS503:Yes)は、ステップS504へ移行する。一方、禁止モードの設定指示がなかった場合(ステップS503:No)は、ステップS501へ移行する。
【0089】
つぎに、禁止開始時刻になったとき(ステップS502:Yes)、あるいは禁止モード設定指示があったとき(ステップS503:Yes)から計測タイマーを始動する(ステップS504)とともに、受信禁止信号出力部212から受信部204へ受信禁止信号を出力する(ステップS505)。
【0090】
その後、禁止モード解除指示が外部操作入力部材205からあったか否かを判断する(ステップS506)。ここで禁止モード解除指示があった場合(ステップS506:Yes)は、図6(自動受信信号出力処理)のステップS601へ移行する。一方、禁止モード解除指示がなかった場合(ステップS506:No)は、つぎに、強制受信の指示が外部操作入力部材205からあったか否かを判断する(ステップS507)。ここで強制受信の指示がなかった場合(ステップS507:No)は、ステップS509へ移行する。
【0091】
一方、ステップS507において、強制受信の指示があった場合(ステップS507:Yes)は、図3に示した受信禁止モードデータテーブル215を参照し、強制受信が許可されているか否かを判断する(ステップS508)。ここで、強制受信が許可されている場合(ステップS508:Yes)は、図6のステップS601へ移行する。一方、許可されていない(禁止されている)場合(ステップS508:No)は、強制受信の指示は無効であると判断し、その指示を無視して、ステップS509へ移行する。
【0092】
つぎに、図3に示した受信禁止モードデータテーブル215に登録された禁止終了時刻になったか否かを判断する(ステップS509)。禁止終了時刻が設定されているか(受信禁止モードデータテーブル215に登録されているか)否かも判断する。すなわち、禁止終了時刻が設定されていない場合には、このステップは常に「No」となる。ここで、禁止終了時刻になった場合(ステップS509:Yes)は、図6のステップS601へ移行する。一方、禁止終了時刻になっていない場合(ステップS509:No)は、ステップS510へ移行する。
【0093】
つぎに、図3に示した受信禁止モードデータテーブル215に登録された受信禁止モード最長時間が経過したか否かを判断する(ステップS510)。ここで、受信禁止モード最長時間を未だ経過していない場合(ステップS510:No)は、ステップS505へ戻る。以後、ステップS505〜S510の各工程を繰り返す。一方、受信禁止モード最長時間が経過した場合(ステップS510:Yes)は、図6のステップS601へ移行する。
【0094】
図6のフローチャートにおいて、受信禁止モードから受信許可モードへ移行する際(図5に示したステップS506:Yes、ステップS508:Yes、ステップS509:Yes、ステップS510:Yes)に、受信禁止モードデータテーブル215を参照し、自動受信の設定があるか否かを判断する(ステップS601)。ここで、自動受信の設定がない(「無」)場合(ステップS601:No)は、何もせずに、図5のステップS501へ戻り、その後受信許可モードへと移行する。
【0095】
ステップS601において、自動受信の設定がある(「有」)場合(ステップS601:Yes)は、つぎに、自動受信実行時間の設定があるか否かを判断する(ステップS602)。ここで、自動受信実行時間の設定がない場合(ステップS602:No)は、ステップS604へ移行し、自動受信信号を自動受信信号出力部213から受信部204へ出力し(ステップS604)、その後、図5に示したステップS501へ戻る。そして受信部204では、自動受信処理が実行されることになる。
【0096】
ステップS602において、自動受信実行時間の設定がある場合(ステップS602:Yes)は、つぎに、設定された時間が経過しているか否かを判断する(ステップS603)。ここで、未だ設定された時間が経過していない場合(ステップS603:No)は、何もせずに、図5のステップS501へ戻り、その後受信許可モードへと移行する。これによって、自動受信が設定されていたとしても、無用な受信処理(前回の受信処理から短い時間しか経過していない場合など)の実行がされることはない。一方、設定された時間が経過している場合(ステップS603:Yes)は、ステップS604へ移行し、自動受信信号を自動受信信号出力部213から受信部204へ出力し(ステップS604)、その後、図5に示したステップS501へ戻る。
【0097】
(電波修正時計の外観)
図7〜図10は、この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の外観の一例を示す説明図である。図7〜図10において、電波修正時計は、本体700と、本体700をたとえば腕に装着するための図示を省略するバンド(一部のみ表示し、全体の表示は省略する。)とから構成される、腕時計型の電波修正時計(ダイバーウォッチ)である。また、本体700の外周には、りゅうず711および複数の操作ボタン712,713を備えている。
【0098】
本体700の表示部分には、通常時刻を示す通常指針(分針701、時針702、秒針703)と、モード針704(図8にあっては符号804、図9にあっては符号904、図10にあっては符号1004)と、日表示705、曜表示706、受信禁止モード(ダイブ)表示707と、前回受信成功表示708と、受信中表示709と、前回受信失敗表示710とを備える。
【0099】
通常指針は、秒針703が秒周期で回転、すなわち60秒で1回転(1周)する。分針701が分周期で回転、すなわち60分で1回転(1周)する。時針702が時周期で回転、すなわち12時間で1回転(1周)する。これらの指針(秒針703、分針701、時針702)によって通常時刻を表示する。
【0100】
また秒針703は、標準電波の受信モードに移行する際に、前回受信成功表示708と、受信中表示709と、前回受信失敗表示710をそれぞれ示す。前回受信成功表示708は、6秒位置に配置した受信良好度高(「H」)、9秒位置に配置した受信良好度中(「M」)、12秒位置に配置した受信良好度低(「L」)を秒針703が指し示すことによって、前回の受信成功の状況を通知する。同様に、秒針703が、55秒位置に配置した前回受信失敗表示(「NO」)710を指し示すことによって、前回は標準電波の受信に失敗していることを通知する。
【0101】
その後、標準電波の受信が開始されると秒針703は、0秒位置に配置した受信中表示(「RX」)709へ移行し、標準電波の受信が終了するまでその位置で停止し終了した後、通常の秒表示へ移行する。したがって、受信に失敗した場合は、受信中表示709へは移行せず、通常の表示へ移行する。
【0102】
日表示705は、表示板の所定の位置(たとえば15秒位置)に設けられた窓部に、表
示板の下側に設けられた日板が回転することによって、日板に示された所定の数字(日付)が窓部を通して表示される。図7〜図10では、「27」の数字が表示され、本日が27日であることを通知する。日表示705の窓部は、20秒位置などその他の位置でもよい。ただし、表示部の右半分、すなわち1秒位置から29秒位置の間であることが望ましい。
【0103】
モード針704、804は、曜表示706のいずれかを指し示している状態では、その曜日を示している。曜表示706は、図7では日表示705の内側に表示しており、図8では日表示705の同一円上に表示している。それにともなって、モード針704,804の長さが異なる。
【0104】
また、受信禁止モード(ダイブ)表示707は、45秒位置付近に配置している。受信禁止モードに移行した際には、モード針704,804は曜表示706の指し示しを止め、正転方向(逆転方向でもよい)に回動して、受信禁止モード(ダイブ)表示707を指し示す。これによって、受信禁止モードであることを通知する。ただしその間は曜日の表示をすることはできない。
【0105】
受信禁止モード(ダイブ)表示707は、45秒位置付近に限定されるものではない。ただし、表示部の左半分、すなわち31秒位置から59秒位置の間であることが望ましい。それは、日表示705、曜表示706と離れた位置に配置することによって、モード針704,804が受信禁止モード(ダイブ)表示707を指し示していることを目立たせ、より確実に通知することができるなどの理由からである。
【0106】
このように、表示部201は、計時部202によって計時される時刻を表示し、表示部201によって、受信禁止モードであることを表示することができる。また、表示部201は、日、曜日の少なくとも一つを含む暦を表示する暦表示手段(たとえばモード針704,804)を含み、この暦表示手段によって、受信禁止モードであることを表示することができる。
【0107】
暦表示手段で受信禁止モードを表示することの利点としては、以下のことが考えられる。すなわち、受信禁止モードの表示は専用の表示手段を用いるのが最もよいのであるが、指針や駆動用輪列およびモータが増えて時計が大型化してしまう。そこで、表示部201で受信禁止モードの表示も兼用することが好ましい。しかしながら、時刻を表示する時、分、秒の指針を用いて現在時刻を表示しながらあわせて禁止モードを表示することは極めて困難である。したがって、暦表示手段を受信禁止モードの表示に兼用することで、時刻表示を停止させることなく受信禁止モードの表示をおこなうことが可能となる。
【0108】
なお、図7、図8では、モード針704,804は他の指針と同軸上に設けられているが、これには限定されず、他の指針とは異なる軸を中心に回動するように構成されていてもよい。
【0109】
図9において、電波修正時計の本体700には、充電量表示(インジケーター)901が設けられている。充電量インジケーター901は、モード針904が示す位置によって、二次電池114の充電量(残量)を表示することができる。具体的には、充電量インジケーター901の「レベル0」901aの位置をモード針904が示している場合は、充電量が空状態であり、充電が必要な状態であることがわかる。
【0110】
同様に、充電量インジケーター901の「レベル1」901bの位置をモード針904が示している場合は、充電量が不足状態であることがわかる。また、充電量インジケーター901の「レベル2」901cの位置をモード針904が示している場合は、充電量が
十分状態であることがわかる。充電量インジケーター901の「レベル3」901dの位置をモード針904が示している場合は、充電量がフル状態であることがわかる。モード針904は、通常状態においては充電がされると右回りに回動し、反対に電力が消費されると左回りに回動することで充電量を表示する。
【0111】
図9における電波修正時計にあっては、上記充電量表示をおこなうモード針904を用いて、受信禁止モードを表示する。具体的には、受信禁止モードに移行した場合には、モード針904は右回りまたは左回りに回動し、45秒の位置に設けられている受信禁止モード(ダイブ)表示707の位置を示す。これによって、受信禁止モードに移行したことがわかる。
【0112】
その間は、モード針904が受信禁止モード(ダイブ)表示707を指し示しているので、モード針904による充電量表示はできないが、たとえば充電不十分でも秒針703を1秒運針することで時刻表示は継続しておこなうことができるので、操作者に違和感を与えることはない。
【0113】
また、操作者の操作によって受信禁止モードへ移行する際、通常、操作者はモード針904が充電量表示901から受信禁止モード(ダイブ)表示707へ回動して移行するのを確認する。そのとき、操作者は充電量表示901によって充電量が十分であるかを必然的に確認することができる。それによって、充電不足状態で潜水して、潜水中に機能停止してしまうことを未然に防止できる。
【0114】
また、上記機能停止による潜水中の危険を回避するため、充電量が所定量以下である場合に、操作者の操作による受信禁止モード(ダイブモード)への移行を禁止するようにしてもよい。そうすることによって、操作者が受信禁止モード(ダイブモード)へ移行する操作をおこなっても、モード針904が充電量表示901から受信禁止モード(ダイブ)表示707へ回動せずに、充電量表示901にとどまっているので、それによって、操作者は容易に充電不足により移行できないことを認識することができる。
【0115】
また、充電量が低下して受信禁止となった状態を明示することができる。このように、充電不足時に受信禁止モード表示をすることによって、より一層、その状態では潜水中の機能が使用不可能であることを操作者に明確に示すことができる。
【0116】
なお、図9では、モード針904は他の指針と同軸上に設けられているが、これには限定されず、他の指針とは異なる軸を中心に回動するように構成されていてもよい。
【0117】
図10において、電波修正時計の本体700には、受信局表示1001と、受信禁止モード(OFF)表示1002とが設けられている。受信局表示1001には、ヨーロッパ(主にドイツ、イギリス)における標準電波を受信したことを示す「EUR」、日本における標準電波を受信したことを示す「JPN」、中国における標準電波を受信したことを示す「CHN」、米国における標準電波を受信したことを示す「USA」がそれぞれ表示されている。モード針1004は、受信局表示1001のいずれかの表示を指し示すことによって、どこの受信局の標準電波を受信しているかを操作者に容易に知らせることができる。
【0118】
図10における電波修正時計にあっては、上記受信局表示をおこなうモード針1004を用いて、受信禁止モードを表示する。具体的には、受信禁止モードに移行した場合には、モード針1004は右回りまたは左回りに回動し、受信局表示1001とは左右対称の位置に設けられている受信禁止モード(OFF)表示1001の位置を示す。これによって、受信禁止モードに移行したことがわかる。
【0119】
その間は、モード針1004が受信禁止モード(OFF)表示1001を指し示しているので、モード針1004による受信局表示はできないが、そもそも受信禁止モードに移行したのであるから、その時点で受信局がどこであるかを操作者に知らしめる必要性は低い。したがって、操作者に対して違和感を与えることはない。
【0120】
また、受信局を表示するモード針1004を用いて、受信禁止モード(OFF)表示をおこなうことによって、標準電波が送信されていない地域(たとえば南半球など)では、受信局表示1001に表示された国(地域)にはいないことを確認できるとともに、受信禁止モードにして不要な電波受信による電流消費を防止することができる。
【0121】
なお、図10では、モード針1004は他の指針とは異なる軸を中心に回動するように構成されているが、これには限定されず、他の指針と同軸上に設けるようにしてもよい。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態では、時刻を計時する計時部202と、時刻情報を含む標準電波を受信する受信部204と、計時部202によって計時されている計時時刻を標準電波に基づいて修正する時刻修正部203と、標準電波の受信を許可する受信許可モードと標準電波の受信を禁止する受信禁止モードとの切り替えを制御するモード制御部200と、を備え、モード制御部200は、受信部204に対して、受信許可モードでは受信許可信号を出力するとともに、受信禁止モードでは受信禁止信号を出力し、受信部204は、受信禁止信号が入力されたときは、受信許可信号を受信するまで前記標準電波の受信処理を実行しないので、モードの切り替えによって、時刻表示が必要なときには、確実に標準電波の受信を禁止するとともに、時刻表示が必要でないときに、標準電波の受信処理および時刻修正処理を確実におこなうことができる。
【0123】
なお、上記実施の形態においては、腕時計について説明したが、この電波修正時計には、腕時計、懐中時計、掛け時計、置き時計などのすべての種類の時計が含まれる。また、指針式表示機能を備えている、カメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータなどの携帯可能な情報端末装置、さらには、家庭電化製品や自動車を含む電子機器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
以上のように、本発明は、電波修正時計に有用であり、特に、潜水(ダイバー)機能を有するダイバーウォッチにもちいる電波修正時計に適している。
【符号の説明】
【0125】
100 マイコンIC
101 RAM
102 ROM
103 モータ駆動回路
104(104a〜104c) モータ
106 基準信号発生部
107 カウンタ部
110 受信回路
111 スイッチ部
200 モード制御部
201 表示部
202 計時部
203 時刻修正部
204 受信部
205 外部操作入力部材
210 モード切替部
211 受信許可信号出力部
212 受信禁止信号出力部
213 自動受信信号出力部
214 受信禁止モード継続時間計測タイマー
215 受信禁止モードデータテーブル
700 電波修正時計(本体)
701 分針
702 時針
703 秒針
704,804,904,1004 モード針
705 日表示
706 曜表示
707 受信禁止モード(ダイブ)表示
708 前回受信成功表示
709 受信中表示
710 前回受信失敗表示
711 りゅうず
712,713 操作ボタン
901(901a,901b,901c,901d) 充電量表示(インジケーター)1001 受信局表示
1002 受信禁止モード(OFF)表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を計時する計時手段と、
時刻情報を含む電波を受信する受信手段と、
前記計時手段によって計時されている計時時刻を前記時刻情報を含む電波に基づいて修正する時刻修正手段と、
前記時刻情報を含む電波の受信を許可する受信許可モードと前記時刻情報を含む電波の受信を禁止する受信禁止モードとの切り替えを制御するモード制御手段と、
を備え、
前記モード制御手段は、前記受信手段に対して、前記受信許可モードでは受信許可信号を出力するとともに、前記受信禁止モードでは受信禁止信号を出力し、
前記受信手段は、前記受信禁止信号が入力されたときは、前記受信許可信号が入力されるまで前記時刻情報を含む電波の受信処理を実行しない電波修正時計において、
前記計時手段によって計時される通常時刻を示す通常指針からなる第1の表示手段と、
前記第1の表示手段とは異なる第2の表示手段と、
を備え、
前記第2の表示手段は、
前記受信禁止モードにおいて、前記受信禁止モードを表示する受信禁止モード表示手段を含み、
前記受信許可モードにおいて、電池充電量を表示する充電量表示手段を含み、
前記充電量表示手段は、第1の所定位置を指示することによって、前記電池充電量がフル状態であることを表示し、第2の所定位置を指示することによって、前記電池充電量が空状態であることを表示し、第3の所定位置を指示することによって、前記受信禁止モードを表示し、
前記第1の所定位置、前記第2の所定位置、前記第3の所定位置の順にならべて配置するとともに、
周回方向において、前記第2の所定位置と前記第3の所定位置との間の距離が、前記第1の所定位置と前記第3の所定位置との間の距離より短いことを特徴とする電波修正時計。
【請求項2】
前記第1の所定位置、前記第2の所定位置、前記第3の所定位置は、反時計回りの方向に順にならべて配置されることを特徴とする請求項1に記載の電波修正時計。
【請求項3】
前記受信禁止モード表示手段は、前記受信禁止モードが潜水中に使用することを示す表示を兼用することを特徴とする請求項1または2に記載の電波修正時計。
【請求項4】
前記第2の表示手段は、指針部材を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電波修正時計。
【請求項5】
前記受信禁止モード表示手段が、時計の表示領域の左半分の領域内に存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電波修正時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−92535(P2013−92535A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6765(P2013−6765)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2007−325481(P2007−325481)の分割
【原出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】