説明

電流センサ

【課題】当該電流センサを周辺物に固定する際の作業性が良く、且つ当該電流センサを周辺物に耐久性良く固定できる電流センサを提供する。
【解決手段】この電流センサ1Aは、測定対象の電線が挿通される電線挿通孔3aを有するセンサ本体3と、前記電線の周辺に在る周辺物に設けられ、センサ本体3が着脱自在に取り付けられる固定治具5とを備える。固定治具5は、センサ本体3が取り付けられた状態でセンサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸C方向に突出し前記電線が固定されるガイド部5aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサの電線挿通孔に測定対象の電線を挿通することにより、その電線に流れる電流の測定を可能とする電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電流センサを測定対象の電線の周辺に在る周辺物に固定する方法として、当該電流センサを両面テープや接着材により直接に周辺物に固定する案がある。
【0003】
この種の電流センサに関する先行技術文献として特許文献1,2がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−321309号公報
【特許文献2】特開2002−189038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の案では、両面テープを用いる場合では、十分な固定を確保できず、時間が経つとその固定が取れる場合があり、固定の耐久性に欠けるという欠点がある。
【0006】
また、接着材を用いる場合では、接着材が固化するまで手で当該電流センサを押さえておく必要があり、固定の作業性が悪いという欠点がある。
【0007】
また、電流センサの電線挿通孔内で測定対象の電線が自由に動けると、その自由動の際に電線から電流センサに衝撃が加わり電流センサが破損する虞があるので、電流センサに測定対象の電線が固定できる事が望ましい。尚、その固定の際には、測定精度上、電線の中心軸が電線挿通孔の中心軸に一致することが望ましい。
【0008】
そこで、この発明の課題は、第1に、当該電流センサを周辺物に固定する際の作業性が良く、且つ当該電流センサを周辺物に耐久性良く固定できる電流センサを提供すること、第2に、当該電流センサに測定対象の電線を固定できる電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、測定対象の電線が挿通される電線挿通孔を有するセンサ本体と、前記電線の周辺に在る周辺物に設けられ、前記センサ本体が着脱自在に取り付けられる固定治具と、を備えるものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記センサ本体の固定治具取付面に、係止爪が所定方向に沿って凸条形成され、前記固定治具のセンサ本体取付面に、前記係止爪と嵌合する係止溝が前記固定治具の側面で開放する様に凹条形成され、前記センサ本体の前記係止爪の側端部が前記固定治具の前記係止溝の前記側面での開放端部から嵌入されることにより、前記係止爪と前記係止溝とが係合状に嵌合して、前記センサ本体が前記固定治具に取り付けられるものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記センサ本体の前記係止爪は、前記センサ本体の固定治具取付面に、前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に沿って凸条形成されるものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記固定治具は、前記センサ本体が取り付けられた状態で前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に突出し前記電線が固定されるガイド部を有するものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記固定治具の前記ガイド部は、前記固定治具に前記センサ本体が取り付けられた状態で当該ガイド部の電線固定面と前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸との間隔が前記電線挿通孔の半径以内の距離となる様に、前記固定治具に形成されるものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記固定治具は、測定対象の電線の径または種類に応じて、前記ガイド部の電線固定面と前記電線挿通孔の中心軸との間隔が異なるものが用いられるものである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記センサ本体の固定治具取付面に、前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に直交する方向に沿って係止爪が凸条形成され、前記固定治具のセンサ本体取付面に、前記固定治具の前記ガイド部の伸長方向に直交する方向に沿って、前記係止爪と嵌合する係止溝が前記固定治具の側面で開放する様に凹条形成され、前記センサ本体の前記係止爪の側端部が前記固定治具の前記係止溝の前記側面での開放端部から嵌入されることにより、前記係止爪と前記係止溝とが係合状に嵌合して、前記センサ本体が前記固定治具に取り付けられるものである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記センサ本体の固定治具取付面に、前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に沿って係止爪が凸条形成され、前記固定治具のセンサ本体取付面に、前記固定治具の前記ガイド部の伸長方向に沿って、前記係止爪と嵌合する係止溝が前記固定治具の側面で開放する様に凹条形成され、前記センサ本体の前記係止爪の側端部が前記固定治具の前記係止溝の前記側面での開放端部から嵌入されることにより、前記係止爪と前記係止溝とが係合状に嵌合して、前記センサ本体が前記固定治具に取り付けられるものである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記固定治具の両側に前記ガイド部が形成されるものである。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記固定治具に、前記センサ本体についての前記係止溝の凹条形成方向の位置を位置決め固定する為の被係止部が形成され、前記センサ本体に、前記被係止部と係合する係止部が形成されるものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、センサ本体を周辺物に設けられた固定治具に着脱自在に取り付ける事により、センサ本体を周辺物に固定するので、その固定の際の作業性が良い。また、固定治具を用いてセンサ本体を周辺物に固定するので、センサ本体を周辺物に耐久性良く固定できる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、センサ本体の固定治具取付面に、係止爪が所定方向に沿って凸条形成され、他方、固定治具のセンサ本体取付面に、係止爪と嵌合する係止溝が固定治具の側面で開放する様に凹条形成され、そして、センサ本体の前記係止爪の側端部が固定治具の前記係止溝の前記側面での開放端から嵌入されることにより、前記係止爪と前記係止溝とが係合状に嵌合して、センサ本体が固定治具に取り付けられるので、簡単な作業で固定治具をセンサ本体に取り付けられると共に、固定治具とセンサ本体とを強固に結合でき、比較的大きな外力が掛かってもセンサ本体が固定治具から外れる事を防止できる。
【0021】
請求項3および請求項8に記載の発明によれば、センサ本体においてその電線挿通孔の中心軸方向とその係止爪の凸条形成方向とが一致するので、センサ本体の形成に用いる金型が複雑化することを防止でき、これにより金型に掛かるコストを低減できて、安価にセンサ本体を形成できる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、固定治具は、センサ本体の電線挿通孔の中心軸方向に沿って突出し測定対象の電線が固定されるガイド部を有するので、当該電流センサに測定対象の電線を固定できる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、固定治具のガイド部は、固定治具にセンサ本体が取り付けられた状態で当該ガイド部の電線固定面とセンサ本体の電線挿通孔の中心軸との間隔が電線挿通孔の半径以内の距離となる様に、固定治具に形成されるので、ガイド部の電線固定面と測定対象の電線との間に間隔が生じる事を防止でき、これにより、ガイド部に不要な応力が掛かること無く、ガイド部に測定対象の電線を固定できる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、固定治具は、測定対象の電線の径または種類に応じて、ガイド部の電線固定面と電線挿通孔の中心軸との間隔が異なるものが用いられるので、測定対象の電線の径または種類に応じて、測定対象の電線を、その中心軸が電線挿通孔の中心軸に一致する様にガイド部に固定でき、より測定精度の高い電流検出を行える。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、センサ本体の電線挿通孔の中心軸方向に直交する方向からセンサ本体を固定治具に嵌合させるので、センサ本体が固定治具に取り付けられた状態でセンサ本体の両側から電線挿通孔の中心軸方向に沿ってガイド部が突出する様に、且つ、それら各ガイド部の電線固定面と電線挿通孔の中心軸との間隔が電線挿通孔の半径以内の距離となる様に、固定治具にガイド部を形成できる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、固定治具の両側にガイド部が形成されるので、それら2つのガイド部での電線との固定により当該電流センサを測定対象の電線に強固に且つ安定性良く固定できる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、固定治具に、センサ本体についての係止溝の凹条形成方向の位置を位置決め固定する為の被係止部が形成され、他方、センサ本体に、前記被係止部と係合する係止部が形成されるので、センサ本体が固定治具に取り付けられた状態において、センサ本体が固定治具の係止溝の凹条形成方向に位置ズレすることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<実施の形態>
この実施の形態に係る電流センサ1Aは、例えば自動車等の車両内で用いられるものであり、図1の様に、測定対象の電線(例えばハーネス)が挿通される電線挿通孔3aを有するセンサ本体3と、前記電線の周辺に在る周辺物の表面に設けられ、センサ本体3aが着脱自在に取り付けられる固定治具5とを備えて構成される。ここでは、固定治具5は、センサ本体3が取り付けられた状態でセンサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸C方向に沿って突出し前記電線が固定されるガイド部5aを有する様に形成される。
【0029】
前記周辺物としては、前記電線の配策経路の周辺に在る物、例えば車両のボディ、バッテリ、バッテリトレイ、R/B(リレーボックス)、補器又は車室内の部位が該当する。
【0030】
この電流センサ1Aは、測定対象の電線が挿通される環状の磁気コアと、その磁気コアのギャップに生じる磁界の強さに応じたホール電圧を出力するホール素子とを内蔵し、測定対象の電線に流れる電流に応じたホール電圧を外部に出力する事により、測定対象の電線に流れる電流の測定を可能とするものである。
【0031】
センサ本体3は、例えばエンジニアプラスチック,PP,PBT(例えばガラスを30%含むPBT),PPS(例えばガラスを40%含むPPS)等の樹脂により形成される。このセンサ本体3は、回路部品(上記の磁気コアやホール素子等)を収容するケース部3bに、固定治具5を着脱自在に取り付ける為の取付部3cと、前記ホール素子の出力電圧を外部出力する為のコネクタ部3dとが一体形成されてなる。
【0032】
ケース部3bは、例えば、底面に貫通状に電線挿通孔3aとなる円筒が立設された例えば立方体状の上面開放の箱状の樹脂製のケースの内部に、その開放面(回路部品の取入面)から上記の磁気コアやホール素子等の回路部品を収容して樹脂を充填し、その樹脂により、その開放面(取入面)を封止して構成される。また、防水性を高めるために、更にその樹脂面の上に蓋を付けることがある。
【0033】
取付部3cは、ケース部3bにおける電線挿通孔3aの横側の側面(固定治具取付面)3e上に、例えば1対の係止爪3fと、係止部3gとが形成されてなる。
【0034】
各係止爪3fは、固定治具取付面3e上に電線挿通孔3aの中心軸C方向に直交する方向に沿って凸条形成されている。また、各係止爪3fは、互いに離間配置され互いに鏡像対象となる様に形成されている。ここでは、各係止爪3fは、例えば、固定治具取付面3eに垂直に立設した壁部の先端が互いの対向側に湾曲し、その先端が更に下方に湾曲した側面形状(断面形状)をしている。
【0035】
係止部3gは、固定治具取付面3eにおける係止爪3fの一端側に、例えば扁平な立方体状に突出形成されている。係止部3gにおける係止爪3f側の側面3hは、固定治具5側の後述の被係止部5eが係合し易くなる様に傾斜面状に形成され、他方、係止部3gにおける側面3hの反対側の側面3iは、前記被係止部5eが抜け難くなる様に垂直面状に形成されている。
【0036】
コネクタ部3dは、例えばケース部3bの裏面に突出形成され、そのコネクタ部3d内に、ケース部3bに収容された前記ホール素子の出力電圧を外部に出力する為の端子が配置される。
【0037】
固定治具5は、例えばエンジニアプラスチック,PP,PBT(例えばガラスを30%含むPBT),PPS(例えばガラスを40%含むPPS)等の樹脂により形成される。この固定治具5は、センサ本体3を着脱自在に取り付ける為の取付部5bを有し、その取付部5bにおける相対する両側面の各々に、測定対象の電線が固定されるガイド部5aが一体的に突出形成されてなる。
【0038】
取付部5bは、例えば立方体形のブロック体状に形成され、その上面5uが周辺物に固定される面をなし、その下面(センサ本体取付面)5c側に、センサ本体3の係止爪3fおよび係止部3gとそれぞれ係合する係止溝5dおよび被係止部5eが形成されてなる。
【0039】
尚、ここでは、取付部5bの上面5uは、後述の様に接着材により周辺物の表面に固定されるので、平坦に形成されているが、その上面5uにクランプ(例えば図4の様に、弾性部材により、その先端部5mが例えば円錐体形等の錐体形に形成され、その基端部5nがくびれる様に形成されたもの)5kを突出形成し、そのクランプ5kを周辺物Sに形成した係合孔Saに圧入して、クランプ5kと係合孔Saとを係合させる事により、固定治具5を周辺物Sに固定しても良い。
【0040】
係止溝5dは、その断面形状(側面形状)が係止爪3fの断面形状(側面形状)と同じ形状に形成されており、取付部5bのセンサ本体取付面5cに、ガイド部5aの伸長方向に直交する方向に沿って取付部5bの側面5hで開放する様に凹条形成されている。
【0041】
被係止部5eは、例えば、取付部5bの側面5hから当該側面側に突出形成されると共に取付部5bのセンサ本体取付面5cと平坦となる様に形成された板状部5fに、係止孔5gが形成されてなる。
【0042】
ガイド部5aは、例えば平坦で細長な板状に形成され、センサ本体3が固定治具5に取り付けられた状態でその電線固定面(裏面)5iとセンサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸Cとの間隔が電線挿通孔3aの半径以内の距離となる様に、固定治具5に形成されている。
【0043】
また、取付部5bの側面(ガイド部5aの形成面)とガイド部5aの基端側の表面とに渡って、ガイド部5aの付け根を補強する補強リブ部5jが形成されている。
【0044】
次に、この電流センサ1Aの周辺物への固定の仕方を説明する。この電流センサ1Aを周辺物に固定するには、予め周辺物の表面に固定治具5を固定しておく。即ち、接着材により固定治具の上面5uを周辺物の表面に接着して固定治具5を周辺物に固定しておく。
【0045】
そして、以下の様に、その固定治具5にセンサ本体3を取り付ける。即ち、センサ本体3の電線挿通孔3aに測定対象の電線を挿通させる。そして、その挿通状態で、図2の様に、センサ本体3の係止爪3fの側端部を固定治具5の係止溝5dの側面5hでの開放端部から係止溝5dに嵌入し、そのまま、係止爪3fの全体が係止溝5dに沿って嵌入する様にして、センサ本体3の係止爪3f全体を固定治具5の係止溝5dに沿って嵌合させる。これにより係止爪3fと係止溝5dとが係合し、この係合により、センサ本体3が固定治具5の下面(センサ本体取付面)5c内に固定(保持)されると共に、センサ本体3のついての係止溝5gの凹条形成方向(嵌合方向)に直交する方向の位置が所定位置に位置決め固定される。また、係止爪3fの全体が係止溝5dに嵌合した状態では、固定治具5の被係止部5eがセンサ本体3の係止部3gに係合し、この係合により、センサ本体3についての係止溝5dの凹条形成方向(嵌合方向)の位置が所定位置に位置決め固定される。この様にしてセンサ本体3が固定治具5に取り付けられる。
【0046】
そして、この取付状態では、図3の様に、固定治具5のガイド部5aの電線固定面5iとセンサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸Cとの間隔d1が電線挿通孔3aの半径d2以内の距離となる様に、各ガイド部5aがセンサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸C方向に沿って突出する。
【0047】
そして、固定治具5の各ガイド部5aに、センサ本体3の電線挿通孔3aに挿通された前記電線をテーピングまたはタイラップにより固定する。その際、ガイド部5aの電線固定面5iと電線挿通孔3aの中心軸Cとの間隔d1は、電線挿通孔3aの半径d2以内の距離であるので、ガイド部5aの電線固定面5iと当該電線との間には間隔が生じず、従ってガイド部5aに不要な応力が掛かること無くガイド部5aに電線が固定される。この様にして電流センサ1Aが周辺物に固定される。
【0048】
以上の様に構成された電流センサ1Aによれば、センサ本体3を周辺物に設けられた固定治具5に着脱自在に取り付ける事により、センサ本体3を周辺物に固定するので、その固定の際の作業性が良い。また、固定治具5を用いてセンサ本体3を周辺物に固定するので、センサ本体3を周辺物に耐久性良く固定できる。
【0049】
また、センサ本体3の固定治具取付面3eに、係止爪3fが所定方向に沿って凸条形成され、他方、固定治具5のセンサ本体取付面5cに、係止爪3fと嵌合する係止溝5dが固定治具5の側面5hで開放する様に凹条形成され、そして、センサ本体3の係止爪3fの側端部が固定治具5の係止溝5dの側面5hでの開放端部に嵌入されることにより、係止爪3fと係止溝5dとが係合状に嵌合して、センサ本体3が固定治具5に取り付けられるので、簡単な作業でセンサ本体3を固定治具5を取り付けられると共に、固定治具5とセンサ本体3とを強固に結合でき、比較的大きな外力が掛かってもセンサ本体3が固定治具5から外れる事を防止できる。
【0050】
また、固定治具5は、センサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸C方向に沿って突出して測定対象の電線が固定されるガイド部5aを有するので、当該電流センサ1Aに測定対象の電線を固定できる。
【0051】
また、固定治具5のガイド部5aは、固定治具5にセンサ本体3が取り付けられた状態で当該ガイド部5aの電線固定面5iとセンサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸Cとの間隔d1が電線挿通孔3aの半径d2以内の距離となる様に、固定治具5に形成されるので、ガイド部5aの電線固定面5iと測定対象の電線との間に間隔が生じる事を防止でき(即ちガイド部5aの電線固定面5i全体に隙間無く当該電線を沿わす事ができ)、これにより、ガイド部5aに不要な応力が掛かること無く、ガイド部5aに測定対象の電線を固定できる。
【0052】
また、センサ本体3の電線挿通孔3aの中心軸C方向に直交する方向からセンサ本体3を固定治具5に嵌合させるので、センサ本体3が固定治具5に取り付けられた状態でセンサ本体3の両側から電線挿通孔3aの中心軸C方向に沿ってガイド部5aが突出する様に、且つ、それら各ガイド部5aの電線固定面5iと電線挿通孔3aの中心軸Cとの間隔d1が電線挿通孔3aの半径d2以内の距離となる様に、固定治具5にガイド部5aを形成できる。
【0053】
また、固定治具5の両側にガイド部5aが形成されるので、それら2つのガイド部5aでの電線との固定により当該電流センサ1Aを測定対象の電線に強固に且つ安定性良く固定できる。
【0054】
また、固定治具5に、センサ本体3についての係止溝5dの凹条形成方向の位置を位置決め固定する為の被係止部5eが形成され、他方、センサ本体3に、被係止部5eと係合する係止部3gが形成されるので、センサ本体3が固定治具5に取り付けられた状態において、センサ本体3が固定治具5の係止溝5dの凹条形成方向に位置ズレすることを防止できる。
【0055】
また、測定対象の電線をセンサ本体3の電線挿通孔3aに挿通させて固定治具5のガイド部5aに固定するので、測定対象の電線の任意の部位で電流センサ1Aを固定できる。
【0056】
尚、この実施の形態において、更に、固定治具5として、測定対象の電線の径または種類に応じて、ガイド部5aの電線固定面5iと電線挿通孔3aの中心軸Cとの間隔d1が異なるものを用いてもよい。この様にすれば、測定対象の電線の径または種類に応じて、測定対象の電線を、その中心軸が電線挿通孔3aの中心軸Cに一致する様にガイド部5aに固定でき、より測定精度の高い電流検出を行える。
【0057】
また、固定治具5として測定対象の電線の径や種類に応じて異なるものが用いられるので、コストの掛かるセンサ本体3を汎用化でき、安価に、種々の径や種類の電線に対応できる電流センサを提供できる。
【0058】
尚、この実施の形態では、固定治具5を周辺物と別体として構成し、固定治具5を接着材やクランプにより予め周辺物に固定しておく場合で説明したが、例えば周辺物が樹脂で形成される物である場合には、固定治具5をその周辺物と一体形成しておいてもよい。この様にすれば、予め固定治具5を周辺物に固定しておく手間が省ける。
【0059】
尚、この実施の形態では、固定治具5の両側にガイド部5aが形成される場合で説明したが、固定治具5の片側だけにガイド部5aを形成してもよく、または、図5および図6の様に、固定治具5にガイド部5aを全く形成しない様にしてもよい。特に図5および図6の様に、固定治部5にガイド部5aを全く形成しない様にした場合は、上記の実施の形態と対応する部分について同様の効果を得る他、固定治具5の形状が単純化するので、固定治具5を周辺物と一体形成する場合に、その形成に用いる金型が複雑化する事を防止できる利点がある。尚、図5および図6において上記の実施の形態と対応する部分については同一符号が付されている。
【0060】
<変形例>
上記の実施の形態の電流センサ1Aでは、センサ本体3の係止爪3fが電線挿通孔3aの中心軸C方向に直交する方向に沿って凸条形成されたが、この変形例の電流センサ1Bでは、図7〜図9の様に、センサ本体3の係止爪3fが電線挿通孔3aの中心軸C方向に沿って凸条形成される。
【0061】
以下、上記の実施の形態と異なる部分について説明し、同じ部分の説明については同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
この変形例の電流センサ1Bでは、センサ本体3の各係止爪3fは、センサ本体3の固定治具取付面3eに、電線挿通孔3aの中心軸C方向に沿って凸条形成されている。センサ本体3の係止部3gは、上記の実施の形態と同様、固定治具取付面3eにおける係止爪3fの一端側に突起状に形成されている。
【0063】
また、固定治具5のガイド部5aは、固定治具5の取付部5bの一側の側面だけに突出形成されている。
【0064】
また、固定治具5の係止溝5dは、固定治具5のセンサ本体取付面5cに、ガイド部5aの伸長方向に沿って取付部5bの側面(ガイド部5aの形成面に相対する面)5h’で開放する様に凹条形成されている。固定治具5の被係止部5eは、上記の実施の形態と同様、固定治具5の取付部5bの側面5h’から当該側面側に突出形成されると共に取付部5bのセンサ本体取付面5cと平坦となる様に形成された板状部5fに、係止孔5gが形成されてなる。
【0065】
そして、この電流センサ1Bの周辺物への固定の仕方は、センサ本体3の係止爪3fの凸条形成方向および固定治具5の係止溝5dの凹条形成方向がそれぞれ上記の様に変更された点、およびガイド部5aの数が1つになった点を除いて、上記の実施の形態の場合と同様なので省略する。
【0066】
以上の様に構成された電流センサ1Bによれば、上記の実施の形態と同じ部分について同じ効果を奏する他、センサ本体3の固定治具取付面3eに電線挿通孔3aの中心軸C方向に沿って係止爪3fが凸条形成されるので、即ちセンサ本体3においてその電線挿通孔3aの中心軸C方向とその係止爪3fの凸条形成方向とが一致するので、センサ本体3の形成に用いる金型が複雑化することを防止でき、これにより金型に掛かるコストを低減できて、安価にセンサ本体3を形成できる。
【0067】
尚、この変形例では、固定治具5がガイド部5aを有する場合で説明したが、固定治具5がガイド部5aを有さない様にしても良い。特に、固定治部5がガイド部5aを有さない様にした場合は、この変形例と対応する部分について同様の効果を得る他、固定治具5の形状が単純化するので、固定治具5を周辺物と一体形成する場合に、その形成に用いる金型が複雑化する事を防止できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態に係る電流センサの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるセンサ本体の固定治具への取り付け方を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電流センサの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における固定治具を周辺物に固定する方法の変形例を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態における固定治具がガイド部を有さない場合の電流センサの分解斜視図である。
【図6】図5の電流センサにおけるセンサ本体の固定治具への取り付け方を示した図である。
【図7】変形例に係る電流センサの分解斜視図である。
【図8】変形例に係る電流センサの一側からの斜視図である。
【図9】変形例に係る電流センサの他側からの斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1A,1B 電流センサ
3 センサ本体
3a 電線挿通孔
3e 固定治具取付面
3f 係止爪
3g 係止部
5 固定治具
5a ガイド部
5c センサ本体取付面
5d 係止溝
5e 被係止部
5h 側面
5i 電線固定面
C 中心軸
d1 ガイド部の電線固定面と電線挿通孔の中心軸との間隔
d2 電線挿通孔の半径
S 周辺物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の電線が挿通される電線挿通孔を有するセンサ本体と、
前記電線の周辺に在る周辺物に設けられ、前記センサ本体が着脱自在に取り付けられる固定治具と、
を備えることを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記センサ本体の固定治具取付面に、係止爪が所定方向に沿って凸条形成され、
前記固定治具のセンサ本体取付面に、前記係止爪と嵌合する係止溝が前記固定治具の側面で開放する様に凹条形成され、
前記センサ本体の前記係止爪の側端部が前記固定治具の前記係止溝の前記側面での開放端部から嵌入されることにより、前記係止爪と前記係止溝とが係合状に嵌合して、前記センサ本体が前記固定治具に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記センサ本体の前記係止爪は、前記センサ本体の固定治具取付面に、前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に沿って凸条形成されることを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記固定治具は、前記センサ本体が取り付けられた状態で前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に突出し前記電線が固定されるガイド部を有することを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記固定治具の前記ガイド部は、前記固定治具に前記センサ本体が取り付けられた状態で当該ガイド部の電線固定面と前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸との間隔が前記電線挿通孔の半径以内の距離となる様に、前記固定治具に形成されることを特徴とする請求項4に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記固定治具は、測定対象の電線の径または種類に応じて、前記ガイド部の電線固定面と前記電線挿通孔の中心軸との間隔が異なるものが用いられることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の電流センサ。
【請求項7】
前記センサ本体の固定治具取付面に、前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に直交する方向に沿って係止爪が凸条形成され、
前記固定治具のセンサ本体取付面に、前記固定治具の前記ガイド部の伸長方向に直交する方向に沿って、前記係止爪と嵌合する係止溝が前記固定治具の側面で開放する様に凹条形成され、
前記センサ本体の前記係止爪の側端部が前記固定治具の前記係止溝の前記側面での開放端部から嵌入されることにより、前記係止爪と前記係止溝とが係合状に嵌合して、前記センサ本体が前記固定治具に取り付けられることを特徴とする請求項4〜請求項6の何れかに記載の電流センサ。
【請求項8】
前記センサ本体の固定治具取付面に、前記センサ本体の前記電線挿通孔の中心軸方向に沿って係止爪が凸条形成され、
前記固定治具のセンサ本体取付面に、前記固定治具の前記ガイド部の伸長方向に沿って、前記係止爪と嵌合する係止溝が前記固定治具の側面で開放する様に凹条形成され、
前記センサ本体の前記係止爪の側端部が前記固定治具の前記係止溝の前記側面での開放端部から嵌入されることにより、前記係止爪と前記係止溝とが係合状に嵌合して、前記センサ本体が前記固定治具に取り付けられることを特徴とする請求項4〜請求項6の何れかに記載の電流センサ。
【請求項9】
前記固定治具の両側に前記ガイド部が形成されることを特徴とする請求項4〜請求項7の何れかに記載の電流センサ。
【請求項10】
前記固定治具に、前記センサ本体についての前記係止溝の凹条形成方向の位置を位置決め固定する為の被係止部が形成され、
前記センサ本体に、前記被係止部と係合する係止部が形成されることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の電流センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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