説明

電源コードの取付け構造

【課題】 機器に備える電源コードが邪魔にならず、機器を部屋の壁面近くに置くことを可能にした電源コードの取付け構造に関するものである。
【解決手段】 枠体1には電源コード2が貫通する開口部3を設け、該開口部3は床面との間に所定間隔をあけた高所に配置し、電源コード2を固定するための係合部4は開口部3とは間隔をあけた枠体1内に設け、電源コード2はコードブッシュ5の係合溝5aと係合部4の係合孔4aとの係合によって係合部4に取付け、枠体1に設けた係止部1aがコードブッシュ5の側部に当接して電源コード2を固定する。枠体1内の係合部4から開口部3に向かって伸びる電源コード2は枠体1内の側面に沿って配置し、開口部3から枠体1外に引き出している。また、開口部3には傾斜案内部3aを設けており、電源コード2はこの傾斜案内部3aに沿って斜めに引き出して枠体1の側面に沿って配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、機器に備える電源コードの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用の交流電源を用いる電気機器は、電源コードが枠体背面の下部に設けた取付け孔から外部に引き出されており、この電源コードには、電源コードが引き抜かれたり、枠体内に押し込まれたりすることを防止するためにコードブッシュが設けてあり、電源コードはコードブッシュによって枠体内のベースに設けた取付け片に固定されている。
【特許文献1】実開平4−36776号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の機器は、枠体下部に取付けた電源コードのコードブッシュの一部が枠体の外方に突出し、電源コードはコードブッシュの端部から横向きに引き出されているため、機器を部屋に置いたときに枠体外に突出する電源コードのコードブッシュが邪魔になることがあった。
【0004】
また、機器は部屋の隅の壁面近くに置かれることが多いが、機器を壁面に近づけすぎると横方向に引き出された電源コードとコードブッシュが壁面に接触し、電源コードがコードブッシュ付近で折れ曲がってしまい、電源コードのコードブッシュ部分に負荷がかかり、電源コードの断線等の原因になることがある。
【0005】
また、部屋の壁面の下部には幅木とよばれる横板が取付けられており、この壁面の下部の幅木は室内に突出しており、枠体下部のベースに取付けた電源コードのコードブッシュが壁面下部の幅木と同じ高さに位置しているため、電源コードやコードブッシュが幅木にあたらないように機器を置くと、枠体背面と壁面との間に広い隙間があいてしまうものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決して室内の壁面に寄せて使用できる機器を提案するもので、枠体1内から外部に引き出した電源コード2を備える機器の電源コードの取付け構造において、枠体1には電源コード2が貫通する開口部3を設け、該開口部3は床面との間に所定間隔をあけた高所に配置すると共に、電源コード2を固定するための係合部4は開口部3とは間隔をあけた枠体1内に設け、枠体1内の係合部4から開口部3に向かって伸びる電源コード2は枠体1内の側面に沿って配置し、開口部3から枠体1外に伸びる電源コード2を枠体1の側面に沿って引き出し可能に設けたことを特徴とするものである。
【0007】
また、係合部4には係合孔4aを形成し、前記電源コード2には係合孔4aと嵌合する係合溝5aを備えたコードブッシュ5を取付け、コードブッシュ5の係合溝5aと係合孔4aの係合によって電源コード2を係合部4に取付けると共に、枠体1にはコードブッシュ5と対向する位置に係止部1aを形成し、該係止部1aがコードブッシュ5に当接して電源コード2を固定するから、簡単な構造で確実に電源コード2を取付けることができる。
【0008】
また、開口部3には枠体1内に向けて傾斜案内部3aを形成し、前記電源コード2は傾斜案内部3aに沿って配置して開口部3から斜めに引き出したから、電源コード2が開口部3部分で折れ曲がることはなく、電源コード2の破損を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明では電源コード2が貫通する開口部3を床面から所定間隔あけた高所に設けると共に、電源コード2の係合部4を枠体1内に設け、係合部4から開口部3に至る電源コード2を枠体1に沿って配置したものであり、開口部3からは電源コード2のみが引き出され、電源コード2は枠体1に沿って配置することができたものである。
【0010】
このため、機器を壁面に近づけたときに壁面下部に突出する幅木に枠体1の下部を接触させても、開口部3から枠体1に沿って引き出された電源コード2を枠体1と壁面との間にできる隙間に位置させることができ、枠体1を部屋の壁面に近づけても電源コード2が幅木と接触して折れ曲がることはないので、枠体1と壁面との間に大きな隙間をあけることなく設置できるものとなり、機器の設置スペースを少なくできた。
【0011】
また、この発明の電源コード2は、電源コード2のコードブッシュ5に設けた係合溝5aを枠体1内の係合部4の係合孔4aに係合し、枠体1にはコードブッシュ5に当接する係止部1aを設けて電源コード2を固定する構成としたから、部品点数や組立工程を増加することなく簡単な構造で確実に電源コード2の取付けができると共に、電源コード2のコードブッシュ5が枠体1内に位置しているから、機器の設置スペースを少なくできた。
【0012】
また、電源コード2が貫通する開口部3には枠体1内に向けて傾斜案内部3aを形成し、電源コード2をこの傾斜案内部3aに沿って斜めに引き出すことで、電源コード2の引き出しがスムーズに行われ、開口部3部分での電源コード2の折れ曲がりを防ぐことができるから、電源コード2の断線等の不良を発生させることはないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1bは電子部品を備えた機器のベース、1はベース1bの上に配置した機器の枠体であり、枠体1内のベース1bの上に各電子部品が設置されている。
【0014】
2は枠体1内に設置した電子部品に電源を供給するための電源コード、5は電源コード2を保護するために電源コード2に取付けたコードブッシュ、4は枠体1内に設けた電源コード2の係合部、3は枠体1の側面に設けた開口部であり、電源コード2はコードブッシュ5を介して枠体1内の係合部4に取付けられ、開口部3から枠体1外に引き出されており、コードブッシュ5は外力によって電源コード2が引き抜かれたり、押し込まれたりすることを防いでいる。
【0015】
Aは機器を使用する部屋の壁面、Bは壁面Aの下部の損傷や汚れを防ぐために壁面Aの下部に沿って設けた幅木であり、該幅木Bは壁面A下部の床面と接する部分に配置され、幅木Bは壁面Aよりも室内側に突出した構成となっている。
【0016】
ところで、従来の電気機器は電源コード2の係合部4が枠体1のベース1bに形成され、電源コード2のコードブッシュ5の一部が枠体1外に突出しており、この突出したコードブッシュ5の端から電源コード2が側方に引き出されているものが一般的な構造であった。
【0017】
このため従来では、電源コード2のコードブッシュ5と壁面A下部の幅木Bとが同じ高さに位置しており、機器を壁面Aに近づけたときに電源コード2やコードブッシュ5が壁面A下部の幅木Bと接触して電源コード2が折れ曲がってしまうものであり、電源コード2やコードブッシュ5と幅木Bとの接触を避けるために枠体1を幅木Bから離して設置しなければならず、枠体1と壁面Aとの間には広い隙間があいてしまうものであった。
【0018】
この発明はこの課題を解決するもので、枠体1の開口部3を床面から所定間隔あけた高所に配置したものであり、図2・3に示すように開口部3は壁面A下部の幅木Bより高所に位置している。電源コード2の係合部4は開口部3の高さに合わせて枠体1内の高所に配置しており、4bは枠体1のベース1bから上方に立ち上げた取付け片であり、係合部4は開口部3より上方の取付け片4bに形成している。
【0019】
電源コード2は枠体1内の係合部4にコードブッシュ5を介して取付けられ、電源コード2は枠体1の側面に沿って下方の開口部3に向かって伸びており、開口部3から枠体1外に引き出され、枠体1外に引き出された電源コード2は枠体1に沿って下方の床面に向けて配置している。
【0020】
このように、電源コード2のコードブッシュ5を枠体1内に位置させて、開口部3からは電源コード2のみを引き出した構造としたから、枠体1外に引き出された電源コード2は枠体1の背面に沿って配置することができたものであり、機器を壁面Aに近づけたときに、枠体1を壁面Aや幅木Bに接触させても電源コード2が折れ曲がることは無くなり、電源コード2の断線等の不良を発生させることはなくなった。
【0021】
また、機器を壁面Aに近づけるときは電源コード2を少しだけ持ち上げて幅木Bと接触しない位置に逃がしてやれば、枠体1が幅木Bと接触する位置まで近づけることができ、電源コード2は枠体1と壁面Aとの間の隙間に位置させることができ、更に電源コード2は隙間から容易に外側に引き出すことができるので、設置場所をとらない機器が提供できるものとなった。
【0022】
また、この発明の実施例を示す図4において、4aは係合部4に形成した係合孔、5aは電源コード2のコードブッシュ5に設けた係合溝であり、コードブッシュ5の係合溝5aを係合部4の係合孔4aに差込むことで、電源コード2を係合部4に取付けることができるものである。
【0023】
1aは枠体1内に向けて形成したL字状の折り曲げ片で構成する係止部であり、該係止部1aは係合部4に取付けた電源コード2のコードブッシュ5の側方に位置しており、枠体1を組み付けたときに係止部1aがコードブッシュ5の側部に当接して電源コード2を固定するものであり、係止部1aによって固定された電源コード2は係合部4から外れることはなく、また電源コード2のがたつきも防ぐことができる。
【0024】
この構成であれば、電源コード2の固定にネジ等の部品を必要としないから、部品点数や組立工程を増加することなく簡単な構成で電源コード2の取付け構造が実現できたものである。
【0025】
また、枠体1内に電源コード2のコードブッシュ5を設けても、電源コード2は枠体1の側面に沿って配置しているので、枠体1内の電源コード2の設置スペースは少なくでき、枠体1の形状が大きくなることはなく、コードブッシュ5が側方に突出する従来の機器に比べて機器が必要とする設置スペースを少なくすることができるものとなった。
【0026】
また、3aは開口部3の下部に設けた傾斜案内部であり、実施例の傾斜案内部3aは枠体1内の上方に向かって傾斜しており、係合部4から下方に伸びる電源コード2は傾斜案内部3aに沿って配置され、開口部3から斜め下方に向かって引き出すことができる。
【0027】
このように開口部3に傾斜案内部3aを設けることで、電源コード2を開口部3から引き出すときに電源コード2が折れ曲がることなく、スムーズに開口部3から引き出すことができるから、電源コード2の断線等による不良の発生を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明を実施する電源コードを備えた機器の要部断面図である。
【図2】この発明を実施する電源コードを備えた機器の設置状態を示す要部の側面図である。
【図3】この発明を実施する電源コードを備えた機器の設置状態を示す背面図である。
【図4】この発明を実施する電源コードを備えた機器の組付時の状態を示す要部の断面斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 枠体
1a 係止部
2 電源コード
3 開口部
3a 傾斜案内部
4 係合部
4a 係合孔
5 コードブッシュ
5a 係合溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体1内から外部に引き出した電源コード2を備える機器の電源コードの取付け構造において、
枠体1には電源コード2が貫通する開口部3を設け、該開口部3は床面との間に所定間隔をあけた高所に配置すると共に、
電源コード2を固定するための係合部4は開口部3とは間隔をあけた枠体1内に設け、枠体1内の係合部4から開口部3に向かって伸びる電源コード2は枠体1内の側面に沿って配置し、開口部3から枠体1外に伸びる電源コード2を枠体1の側面に沿って引き出し可能に設けたことを特徴とする機器の電源コードの取付け構造。
【請求項2】
前記係合部4には係合孔4aを形成し、前記電源コード2には係合孔4aと嵌合する係合溝5aを備えたコードブッシュ5を取付け、
コードブッシュ5の係合溝5aと係合孔4aの係合によって電源コード2を係合部4に取付けると共に、
枠体1にはコードブッシュ5と対向する位置に係止部1aを形成し、該係止部1aがコードブッシュ5に当接して電源コード2を固定することを特徴とする請求項1に記載した機器の電源コードの取付け構造。
【請求項3】
前記開口部3には枠体1内に向けて傾斜案内部3aを形成し、前記電源コード2は傾斜案内部3aに沿って配置して開口部3から斜めに引き出したことを特徴とする機器の電源コードの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−35795(P2007−35795A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214748(P2005−214748)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】