説明

電源システムおよび電池集合体の制御方法

【課題】単位重量当りのエネルギー密度が高い二次電池を用いつつ、発電機からの電流を全て充電電流として受け止めてもこの二次電池の変形を抑制できる、安全性の高い電源システムを構築する。
【解決手段】本発明の電源システムは、複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池および複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池とを並列に電気接続して構成される電池集合体と、発電機とを含み、第1の組電池の平均充電電圧V1を第2の組電池の平均充電電圧V2より小さくしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は素電池を複数個組み合わせた電池集合体からなる電源システム、およびこの電池集合体の制御方法に関し、より詳しくは二次電池である素電池を過充電させずに、電池集合体を電源として機能させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池、ならびにリチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池などの非水電解質二次電池は、鉛蓄電池より単位重量当りのエネルギー密度が高いので、車両や携帯機器などの移動体に具備する電源として注目されている。特に複数の非水電解質二次電池からなる素電池を直列に接続して、単位重量当りのエネルギー密度が高い電池集合体を構成し、鉛蓄電池に代えてセルスタータ電源(いわゆる、車両の駆動源ではない電源)として車両に搭載すれば、レース用途などにおいて有望と考えられる。
【0003】
車両用の電源は、始動時にセルスタータとして大電流で放電される一方で、車両の運転時に発電機(定電圧充電器)から送られる電流を受け入れて充電される。鉛蓄電池は比較的大電流での充放電に適した反応機構を有しているが、上述した二次電池は反応機構の関係上、大電流での充放電に適しているとは言い難い。具体的にはこれらの二次電池は、充電末期において各々以下のような弱点を有する。
【0004】
まずニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池の場合、充電末期に正極から酸素ガスが発生するのだが、雰囲気温度が高くなると正極から酸素ガスが発生する電圧(酸素過電圧)が低下する。仮に酸素過電圧がV1まで低下したn個のアルカリ蓄電池を定電圧充電器(定格充電電圧V2)が充電する際に、V2>nV1の関係を満たしてしまうと、充電が終了せずに酸素ガスが発生し続け、組電池を構成する個々の二次電池(素電池)が電池内圧上昇により変形する虞がある。
【0005】
次にリチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池などの非水電解質二次電池の場合、充電末期に非水電解質を含む電解液が分解しやすくなるのだが、雰囲気温度が高くなるとこの傾向が顕著化し、組電池を構成する素電池が電池内圧上昇により変形する虞がある。
【0006】
このような課題を解決するためには、特許文献1に示すように、電源として用いる組電池の充電が完了した時点で、さらなる電流を別の回路(側流回路)から通過させるのが有効と考えられる。
【特許文献1】特開平07−059266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車載技術として特許文献1を転用する場合、側流回路は以下の2つの態様として具現化できる。第1の態様は、車載された他の電動機器(ランプやカーステレオ、カークーラーなど)へ電流を供与する形で側流回路を構成する態様である。第2の態様は、単に電流を消費する抵抗体へ電流を供与する形で側流回路を構成する態様である。
【0008】
しかし第1の態様を採ると、定電圧充電器が上述した電動機器に過度の電流を供給してこれらの電動機器を故障させる虞がある。また第2の態様を採ると、抵抗体が電流を消費する際に発生する熱が上述した二次電池の雰囲気温度を高めることになるので、素電池が
変形する虞を解消できない。このように単位重量当りのエネルギー密度が高い二次電池を用いて無作為に電池集合体を構成しても、定電圧充電器と組み合わせるのは困難であった。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためのものであり、単位重量当りのエネルギー密度が高い二次電池を用いつつ、発電機からの電流を全て充電電流として受け止めてもこの二次電池の変形を抑制できる、安全性の高い電源システムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題に基づき、本発明の電源システムは、複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池および複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池とを並列に電気接続して構成される電池集合体と、この電池集合体を充電させることができる発電機とを含み、第1の組電池の平均充電電圧V1を第2の組電池の平均充電電圧V2より小さくしたことを特徴とする。
【0011】
また本発明の電池集合体の制御方法は、複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池および複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池とを並列に電気接続して構成される電池集合体の制御方法であって、第1の組電池の平均充電電圧V1は前記第2の組電池の平均充電電圧V2より小さく、第1の組電池の電圧を測定しつつこの電圧が上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする。
【0012】
セルスタータ電源のように、絶え間なく発電機からの充電電流を受け入れる必要がある場合、本発明の電源システムを採用すれば、発電機からの電流を全て充電電流として受け止めてもこの二次電池の変形を抑制できる。具体的には、2種の組電池(いずれも素電池を直列して構成される)を並列に電気接続して電池集合体を構成し、第1の組電池の平均充電電圧V1を前記第2の組電池の平均充電電圧V2より小さくすることで、平素は発電機からの充電電流を第1の組電池が主となって受け入れることができるようになる。なお、発電機から第1の組電池あるいは第2の組電池へは、常に充電電流が流れるわけではなく、例えばブレーキングなどの時には逆に第1の組電池および第2の組電池は車載機器に向けて放電し、再び発電機からの充電電流を受け入れられる状態となる。この形態であれば、過度な発熱を伴う抵抗体を用いないので、電池集合体(特に主電源である第1の組電池)の雰囲気温度を高めることはなく、したがって素電池が変形する虞もない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鉛蓄電池より単位重量当りのエネルギー密度が高い二次電池からなる電池集合体からなる電源システムを、安定して提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図を用いて説明する。
【0015】
第1の発明は、複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池および複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池とを並列に電気接続して構成される電池集合体と、この電池集合体を充電させることができる発電機とを含む電源システムであって、第1の組電池の平均充電電圧V1を第2の組電池の平均充電電圧V2より小さくしたことを特徴とする。また第2の発明は、第1の発明において、第1の組電池の電圧を測定し、この電圧が上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする。また第3の発明は、第2の発明において、素電池Aの電圧を個々に測定し、素電池Aの電圧のいずれかが上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする。また第4の発明は、第2の発明において、第1の組電池の電圧を測定しかつこの電圧が上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止する指令を発
する制御部と、制御部からの指令に基づいて第1の組電池の接続をOFFにするスイッチとを設けたことを特徴とする。また第5の発明は、第4の発明において、制御部が素電池Aの電圧を個々に測定し、かつ素電池Aの電圧のいずれかが上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止する指令を発することを特徴とする。
【0016】
図1は第1および第2の発明の電源システムを実用化した一例を示すブロック図である。電源システム5は、発電機1と、複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池2aおよび複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池2bとを並列に電気接続して構成される電池集合体と、第1の組電池2aの電圧を測定しつつこの電圧が上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止する指令を発する制御部3と、制御部からの指令に基づいて第1の組電池の接続をOFFにするスイッチ4とからなる。以降、発電機1として定電圧仕様のものを用い、かつ第1の組電池2aを構成する素電池Aとして非水電解質二次電池(具体的にはリチウムイオン二次電池)を用いた場合について詳述する。
【0017】
図2は正極活物質としてコバルト酸リチウムを用い、負極活物質として黒鉛を用いたリチウムイオン二次電池を、定電圧仕様の発電機で充電した場合の充電挙動を示す図である。図中、素電池1つ当りの定格電圧が3.8Vの場合をA、3.9Vの場合をB、4.0Vの場合をC、4.1Vの場合をD、4.2Vの場合をEと記した。
【0018】
発電機は、一定の電流で定格電圧に達するまでリチウムイオン二次電池を充電し、電流を減衰させながらリチウムイオン二次電池を定電圧充電する。例えば図2のように発電機の定格電圧がリチウムイオン二次電池1個当り3.9Vの場合、SOC(ここでは素電池1つ当りの定格電圧が3.9Vの充電容量を素電池1つ当りの定格電圧が4.2Vの充電容量で除した値)は73%となるが、発電機の定格電圧がリチウムイオン二次電池1個当り4.1Vの場合、SOCは91%となる。(表1)は図2を基にして、リチウムイオン二次電池1個当りの発電機の定格電圧とSOCとの関係を示したものである。
【0019】
【表1】

リチウムイオン二次電池は、充電後のSOCが100%近傍になると、非水電解質を含む電解液の成分(主にカーボネート)が分解しやすくなる。このような状態のリチウムイオン二次電池に対し、発電機1からさらに充電電流が供給されることを避けるため、充電後のSOCが100%近傍を示す電圧よりもやや低い領域に上限電圧Vaを設定しつつ、制御部3がリチウムイオン二次電池(素電池A)で構成される第1の組電池2aの電圧を逐次測定し、発電機1からの充電によって第1の組電池2aの電圧が上限電圧Vaに達したときに、制御部3の指令に基づきスイッチ4が第1の組電池2aの電気的接続をOFFにするようにしたものである。
【0020】
本発明の電源システムの具体的な動作について、さらに説明する。
【0021】
制御部3は第1の組電池2aの電圧を、逐次測定している。発電機1から第1の組電池2aおよび第2の組電池2bへは不定期に、充電電流が供給される。ただし第1の組電池2aの平均充電電圧V1は第2の組電池2bの平均充電電圧V2より小さいので、発電機1からの充電電流は優先的に第1の組電池2aに供給される。ここで第1の組電池2aが上限電圧Vaに達すると、制御部3からの指令に基づいてスイッチ4がOFFになり、発電機1からの充電電流は第2の組電池2bのみに供給される。なお、発電機1から第1の組電池2aあるいは第2の組電池2bへは、常に充電電流が流れるわけではなく、例えば
ブレーキングなどの時には逆に第1の組電池2aおよび第2の組電池2bは車載機器6に向けて放電し、再び発電機1からの充電電流を受け入れられる状態となる。充電電流はスイッチ4がOFFの時には第2の組電池2bに流れ、スイッチ4がONの時には優先的に第1の組電池2aへ流れるため、車載機器8に電流が過剰に供給されることはない。
【0022】
なお図1では、制御部3が第1の組電池2aの総電圧を測定する形態を示したが、制御部3が第1の組電池2aを構成する素電池Aの電圧を個々に測定し、かつ素電池Aのいずれかの電圧が上限電圧Vaに達した時に第1の組電池2aへの充電を停止する方が、素電池Aの容量が必ずしも一定でない(例えば正極活物質重量のばらつきや、温度履歴の差異による劣化度合のばらつきに起因する)ことを考慮すれば、図1の形態より好ましいといえる。
【0023】
第6の発明は、第1の発明において、平均充電電圧V1と平均充電電圧V2との比V2/V1が1.01以上1.18以下を満たすことを特徴とする。具体的には、比V2/V1が1.01未満の場合は、発電機1からの充電電流が第2の組電池2bに流れやすくなって第1の組電池2aが効率的に充電されなくなり、1.18を超える場合は第1の組電池2aが過充電になりやすいので、ともに好ましくない。
【0024】
平均充電電圧の求め方について記す。素電池がリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池の場合、充電終止電圧は正極や負極に用いる活物質の特質に応じて人為的に設定されるが、通常は4.2Vである。図2を参照すると、充電終止電圧を4.2VとしたEの充電容量は2550mAhである。この場合、充電容量が1275mAh(4.2V充電した場合の充電容量の半分)の時点の電圧(3.8V)が、非水電解質二次電池1セル当たりの平均充電電圧である。一方、素電池がニッケル水素蓄電池などのアルカリ蓄電池の場合、正極活物質である水酸化ニッケルの特質として、完全充電完了と同時に酸素過電圧によって充電電圧が低下する。この完全充電容量の半分の時点の電圧が、アルカリ蓄電池の平均充電電圧である。
【0025】
第1の組電池2aの平均充電電圧V1と第2の組電池2bの平均充電電圧V2との関係を上述のようにすることで、電源システムの構成を簡素化できる。例えば図1において、素電池Bをアルカリ蓄電池(具体的にはニッケル水素蓄電池、平均充電電圧は1セル当たり1.4V)とした場合、12個の素電池Bからなる第2の組電池2bの平均充電電圧V2は16.8Vとなり、4個のリチウムイオン二次電池(平均充電電圧は1セル当たり3.8V)からなる第1の組電池2aの平均充電電圧V1の値(15.2V)との比V2/V1は1.11となる。通常、発電機1は定電圧仕様なので、上述の態様のように第1の組電池2aの平均充電電圧V1を第2の組電池2bの平均充電電圧V2より小さくなるように構成することにより、一方の組電池を変圧するなどの煩雑な手段を用いることなく、簡便に本発明の電源システム7が構成できる。
【0026】
第7の発明は、第1の発明において、素電池Aとして非水電解質二次電池を用いたことを特徴とする。リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、アルカリ蓄電池などに比べてエネルギー密度が高いので、本発明の電源システムにおける充電電流の主たる受け入れ先として好ましい。一方で非水電解質二次電池は、高温環境下で電解液成分が分解するなどの課題をも有するので、発熱が著しい抵抗体に代えて第2の組電池を用いた本発明の主旨にも良く合致する。
【0027】
第8の発明は、第7の発明において、非水電解質二次電池の正極の活物質にコバルトを含むリチウム複合酸化物を用いたことを特徴とする。コバルト酸リチウムなどのコバルトを含むリチウム複合酸化物を正極の活物質に用いることで非水電解質二次電池の放電電圧が高くなり、エネルギー密度を高めやすくなる。
【0028】
第9の発明は、第7の発明において、第1の組電池2aにおいて制御部3が個々に測定する素電池Aの個数をnAとしたときに、上限電圧Vaを、4.05nAV以上4.15nAV以下としたことを特徴とする。素電池Aを示す図2および(表1)からも明らかなように、上限電圧Vaを4.05nAV未満に設定すると、第1の組電池2aの充電受入れ量が過少になるので好ましくなく、4.15nAVを超えて設定すると、素電池Aの過充電領域に近づくまで第1の組電池2aが充電されるので好ましくない。
【0029】
第10の発明は、第7の発明において、第1の組電池2aに、素電池Cとしてアルカリ蓄電池をさらに直列したことを特徴とする。第11の発明は、第10の発明において、素電池Cの容量を素電池Aの容量よりも大きくしたことを特徴とする。
【0030】
本発明の電源システム5において、素電池Aとして非水電解質二次電池を用いた場合、素電池Aが1セル当たり4.0V近傍となるように上限電圧Vaを設ける(すなわち、上限電圧Vaは4.0Vの整数倍である)のが好ましい。しかし一方で、発電機1として汎用の鉛蓄電池仕様のものを用いる場合、定格電圧は14.5Vであり、4.0Vの整数倍とはならず端数(2.5V)が生じる。そこで平均充電電圧が1.4V近傍であるアルカリ蓄電池(素電池C)を適宜、素電池Aと直列することにより、上述した端数に対応することが可能となる。具体的には、平均充電電圧が3.8Vであるリチウムイオン二次電池を素電池Aとして3個直列し、さらに平均充電電圧が1.4Vであるニッケル水素蓄電池を素電池Aとして2個直列した場合、第1の組電池2aの平均充電電圧V1は14.2Vとなる。ここで素電池Cであるニッケル水素蓄電池は充電電圧の平坦性が高いので、素電池Cの容量を素電池Aの容量よりも大きくすれば、ニッケル水素蓄電池の平坦な充電電圧を活用して、残る0.3V(発電機1の定格電圧である14.5Vから、第1の組電池2aの平均充電電圧V1である14.2Vを減じた値)を3個の素電池Aの充電に振り分けられるので、結果的に素電池A(リチウムイオン二次電池)は1セル当たり3.9V(SOC換算で73%)まで充電できるようになる。
【0031】
第12の発明は、第10の発明において、第1の組電池2aにおける素電池Aの個数をnA、素電池Cの個数をnCとしたときに、上限電圧Vaを、(4.05nA+1.4nC)V以上(4.15nA+1.4nC)V以下としたことを特徴とする。第10の発明に則れば、発電機1の定格電圧に合せて第1の組電池2aを好適に組み合わせることによって過不足なく充電が出来るようになる。すなわち、上限電圧Vaの範囲が好適な理由は第9の発明と同様ながら、第12の発明によって、第1の組電池2aを構成する素電池Aあるいは素電池Cの充電電圧が異常に大きくなった際に危険を回避できるようになる。また第12の発明は第10の発明の構成に基づくので、第1の組電池2aの電圧を個々に測定して制御しなくても、十分な安全性が確保できる。
【0032】
第13の発明は、第1の発明において、素電池Bとしてアルカリ蓄電池を用いたことを特徴とする。上述したように、アルカリ蓄電池は、正極活物質である水酸化ニッケルの特質として、完全充電完了と同時に温度上昇を伴うことで、酸素過電圧が低下して充電電圧が低下するので、自らを破壊するような高電圧に晒されることがないので、第2の組電池2bを構成するのに適している。
【0033】
第14の発明は、複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池と、複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池とを並列に電気接続して構成される電池集合体の制御方法であって、第1の組電池の平均充電電圧V1は第2の組電池の平均充電電圧V2より小さく、第1の組電池の電圧を測定しつつこの電圧が上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする。また第15の発明は、第14の発明において、第1の組電池の電圧を測定しかつこの電圧が上限電圧Vaに達したときに第1の
組電池への充電を停止する指令を発する制御部と、制御部からの指令に基づいて第1の組電池の接続をOFFにするスイッチとを用いて、第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする。また第16の発明は、第14〜15の発明において、素電池Aの電圧を個々に測定し、素電池Aの電圧のいずれかが上限電圧Vaに達したときに第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする。第14〜16の発明の構成および効果は、第1〜5の発明に述べたものと同様である。
【0034】
第17の発明は、第14の発明において、平均充電電圧V1と平均充電電圧V2との比V2/V1が、1.01以上1.18以下を満たすことを特徴とする。第17の発明の構成および効果は、第6の発明に述べたものと同様である。
【0035】
第18の発明は、第14の発明において、素電池Aとして非水電解質二次電池を用いたことを特徴とする。第18の発明の構成および効果は、第7の発明に述べたものと同様である。
【0036】
第19の発明は、第18の発明において、非水電解質二次電池の正極の活物質にコバルトを含むリチウム複合酸化物を用いたことを特徴とする。第19の発明の構成および効果は、第8の発明に述べたものと同様である。
【0037】
第20の発明は、第18の発明において、第1の組電池2aにおいて制御部3が個々に測定する素電池Aの個数をnAとしたときに、上限電圧Vaを、4.05nAV以上4.15nAV以下としたことを特徴とする。第20の発明の構成および効果は、第9の発明に述べたものと同様である。
【0038】
第21の発明は、第18の発明において、第1の組電池に素電池Cとしてアルカリ蓄電池をさらに直列したことを特徴とする。第22の発明は、第21の発明において、素電池Cの容量を素電池Aの容量よりも大きくしたことを特徴とする。第21〜22の発明の構成および効果は、第10〜11の発明に述べたものと同様である。
【0039】
第23の発明は、第21の発明において、第1の組電池における素電池Aの個数をnA、素電池Cの個数をnCとしたときに、上限電圧Vaを、(4.05nA+1.4nC)V以上(4.15nA+1.4nC)V以下としたことを特徴とする。第23の発明の構成および効果は、第12の発明に述べたものと同様である。
【0040】
第24の発明は、第14の発明において、素電池Bとしてアルカリ蓄電池を用いたことを特徴とする。第24の発明の構成および効果は、第13の発明に述べたものと同様である。
【0041】
なお素電池Aとしてリチウムイオン二次電池を用いた例を示したが、非水電解質二次電池の中でも電解液をゲル状にしたリチウムポリマー二次電池などを用いても、同様の結果が得られる。また素電池Aとしてニッケル水素蓄電池を用いた例を示したが、ニッケルカドミウム蓄電池などを用いても、同様の結果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の電源システムは、鉛蓄電池より単位重量当りのエネルギー密度が高い非水電解質二次電池からなる組電池を用いるので、レース用車両のセルスタータ電源として利用可能性が高く、その効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の電源システムを実用化した一例を示すブロック図
【図2】素電池の一例であるリチウムイオン二次電池の、常温における初期の充放電挙動を示す図
【符号の説明】
【0044】
1 発電機
2a 第1の組電池
2b 第2の組電池
3 制御部
4 スイッチ
5 電源システム
6 車載機器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池と、複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池とを並列に電気接続して構成される電池集合体と、
この電池集合体を充電させることができる発電機とを含む電源システムであって、
前記第1の組電池の平均充電電圧V1を前記第2の組電池の平均充電電圧V2より小さくしたことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記第1の組電池の電圧を測定し、この電圧が上限電圧Vaに達したときに前記第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする、請求項1記載の電源システム。
【請求項3】
前記素電池Aの電圧を個々に測定し、前記素電池Aの電圧のいずれかが上限電圧Vaに達したときに前記第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする、請求項2記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1の組電池の電圧を測定しかつこの電圧が上限電圧Vaに達したときに前記第1の組電池への充電を停止する指令を発する制御部と、
前記制御部からの指令に基づいて前記第1の組電池の接続をOFFにするスイッチと、
を設けたことを特徴とする、請求項2記載の電源システム。
【請求項5】
前記制御部が、前記素電池Aの電圧を個々に測定し、かつ前記素電池Aの電圧のいずれかが上限電圧Vaに達したときに前記第1の組電池への充電を停止する指令を発することを特徴とする、請求項4記載の電源システム。
【請求項6】
前記第1の組電池の平均充電電圧V1と前記第2の組電池の平均充電電圧V2との比V2/V1が1.01以上1.18以下を満たすことを特徴とする、請求項1記載の電源システム。
【請求項7】
前記素電池Aとして非水電解質二次電池を用いたことを特徴とする、請求項1記載の電源システム。
【請求項8】
前記非水電解質二次電池の正極の活物質にコバルトを含むリチウム複合酸化物を用いたことを特徴とする、請求項7記載の電源システム。
【請求項9】
前記第1の組電池において前記制御部が個々に測定する前記素電池Aの個数をnAとしたときに、前記上限電圧Vaを、4.05nAV以上4.15nAV以下としたことを特徴とする、請求項7記載の電源システム。
【請求項10】
前記第1の組電池に、素電池Cとしてアルカリ蓄電池をさらに直列したことを特徴とする、請求項7記載の電源システム。
【請求項11】
前記素電池Cの容量を、前記素電池Aの容量よりも大きくしたことを特徴とする、請求項10記載の電源システム。
【請求項12】
前記第1の組電池における前記素電池Aの個数をnA、前記素電池Cの個数をnCとしたときに、前記上限電圧Vaを、(4.05nA+1.4nC)V以上(4.15nA+1.4nC)V以下としたことを特徴とする、請求項10記載の電源システム。
【請求項13】
前記素電池Bとしてアルカリ蓄電池を用いたことを特徴とする、請求項1記載の電源システム。
【請求項14】
複数個の素電池Aを直列してなる第1の組電池と、複数個の素電池Bを直列してなる第2の組電池とを並列に電気接続して構成される電池集合体の制御方法であって、
前記第1の組電池の平均充電電圧V1は前記第2の組電池の平均充電電圧V2より小さく、
前記第1の組電池の電圧を測定し、この電圧が上限電圧Vaに達したときに前記第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする電池集合体の制御方法。
【請求項15】
前記第1の組電池の電圧を測定しかつこの電圧が上限電圧Vaに達したときに前記第1の組電池への充電を停止する指令を発する制御部と、
前記制御部からの指令に基づいて前記第1の組電池の接続をOFFにするスイッチと、
を用いて、前記第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする、請求項14記載の電池集合体の制御方法。
【請求項16】
前記素電池Aの電圧を個々に測定し、前記素電池Aの電圧のいずれかが上限電圧Vaに達したときに前記第1の組電池への充電を停止するようにしたことを特徴とする、請求項14〜15記載の電池集合体の制御方法。
【請求項17】
前記平均充電電圧V1と前記平均充電電圧V2との比V2/V1が1.01以上1.18以下を満たすことを特徴とする、請求項14記載の電池集合体の制御方法。
【請求項18】
前記素電池Aとして非水電解質二次電池を用いたことを特徴とする、請求項14記載の電池集合体の制御方法。
【請求項19】
前記非水電解質二次電池の正極の活物質にコバルトを含むリチウム複合酸化物を用いたことを特徴とする、請求項18記載の電池集合体の制御方法。
【請求項20】
前記第1の組電池において前記制御部が個々に測定する前記素電池Aの個数をnAとしたときに、前記上限電圧Vaを、4.05nAV以上4.15nAV以下としたことを特徴とする、請求項18記載の電池集合体の制御方法。
【請求項21】
前記第1の組電池に、素電池Cとしてアルカリ蓄電池をさらに直列したことを特徴とする、請求項18記載の電池集合体の制御方法。
【請求項22】
前記素電池Cの容量を、前記素電池Aの容量よりも大きくしたことを特徴とする、請求項21記載の電池集合体の制御方法。
【請求項23】
前記第1の組電池における前記素電池Aの個数をnA、前記素電池Cの個数をnCとしたときに、前記上限電圧Vaを、(4.05nA+1.4nC)V以上(4.15nA+1.4nC)V以下としたことを特徴とする、請求項21記載の電池集合体の制御方法。
【請求項24】
前記素電池Bとしてアルカリ蓄電池を用いたことを特徴とする、請求項14記載の電池集合体の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−80939(P2009−80939A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247046(P2007−247046)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】