説明

電源リップル低減回路及びこれを備えた高周波機器

【課題】DC電源ラインの電源電圧を低下させることなくDC電源ラインのリップル電圧を低減することができる電源リップル低減回路を提供する。
【解決手段】DC電源ラインLN1の電源電圧に含まれるリップル電圧を抽出する抽出手段(直流阻止用コンデンサC3)と、前記抽出手段によって抽出されたリップル電圧を反転増幅する反転増幅手段(分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器、及び、直流阻止用コンデンサC5)とを備え、前記反転増幅手段によって反転増幅されたリップル電圧をDC電源ラインLN1に戻すことによってDC電源ラインLN1のリップル電圧を低減する電源リップル低減回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC電源ラインのリップル電圧を低減する電源リップル低減回路及びこれを備えた高周波機器に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的周波数の高いリップル電圧(例えば、MHzオーダーのリップル電圧)がDC電源ラインに発生する場合、高周波阻止用コイルをDC電源ラインに挿入することで、リップル電圧を低減することができる。
【0003】
これに対して、比較的周波数の低いリップル電圧(例えば、数kHz〜数十kHzオーダーのリップル電圧)がDC電源ラインに発生する場合、高周波阻止用コイルをDC電源ラインに挿入してもリップル電圧を十分に低減することができないので、ローパスフィルターをDC電源ラインに挿入してリップル電圧を低減するリップル対策が通常採用される(例えば特許文献1参照)。なお、リップルフィルターとして用いられるローパスフィルターは、特許文献1のようにRCフィルターの場合もあるが、LCフィルターがより一般的である。
【0004】
また、比較的周波数の低いリップル電圧(例えば、数kHz〜数十kHzオーダーのリップル電圧)がDC電源ラインに発生する場合、図6に示すようなアクティブリップルフィルターをDC電源ラインに挿入してリップル電圧を低減するリップル対策が採用されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−259780号公報(段落0004、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ローパスフィルターをDC電源ラインに挿入してリップル電圧を低減するリップル対策を採用した場合、ローパスフィルターで電圧降下(RCフィルターの場合は抵抗による電圧降下、LCフィルターの場合はインダクタの抵抗成分による電圧降下)が発生し、ローパスフィルター通過後のDC電源ラインの電源電圧が低下してしまう。特に電源電圧の設定値が小さい場合、このローパスフィルターにおいて発生する電圧降下の影響が大きくなり、最悪の場合、低下した電源電圧を利用する回路が誤動作したり動作不能になったりする不具合が起こる。
【0007】
また、ローパスフィルターによって比較的周波数の低いリップル電圧(例えば、数kHz〜数十kHzオーダーのリップル電圧)を低減するためには、ローパスフィルターの回路素子(抵抗とコンデンサ、或いは、インダクタとコンデンサ)の回路定数を大きくしてローパスフィルターの遮断周波数をリップル電圧の周波数より低くしておく必要がある。ローパスフィルターの回路素子(抵抗とコンデンサ、或いは、インダクタとコンデンサ)の回路定数を大きくする場合、ローパスフィルターが大型化してしまうという問題が発生する。また、大容量のコンデンサは寿命が短いという問題もある。
【0008】
一方、アクティブリップルフィルターをDC電源ラインに挿入してリップル電圧を低減するリップル対策を採用した場合、アクティブ素子で電圧降下(図6ではNPNトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧による電圧降下)が発生し、アクティブリップルフィルター通過後のDC電源ラインの電源電圧が低下してしまう。特に電源電圧の設定値が小さい場合、このアクティブリップルフィルターにおいて発生する電圧降下の影響が大きくなり、最悪の場合、低下した電源電圧を利用する回路が誤動作したり動作不能になったりする不具合が起こる。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、DC電源ラインの電源電圧を低下させることなくDC電源ラインのリップル電圧を低減することができる電源リップル低減回路及びこれを備えた高周波機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る電源リップル低減回路は、DC電源ラインの電源電圧に含まれるリップル電圧を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出されたリップル電圧を反転増幅する反転増幅手段とを備え、前記反転増幅手段によって反転増幅されたリップル電圧を前記DC電源ラインに戻すことによって前記DC電源ラインのリップル電圧を低減する構成としている。なお、前記反転増幅手段における反転増幅の利得は任意である。すなわち、前記反転増幅手段における反転増幅の利得は、1であっても、1以外であってもよい。
【0011】
このような構成によると、前記DC電源ラインで発生しているリップル電圧と前記DC電源ラインに戻される電圧(前記反転増幅手段によって反転増幅されたリップル電圧)とが互いに打ち消し合うことにより、前記DC電源ラインのリップル電圧を低減することができる。
【0012】
また、このような構成によると、本発明に係る電源リップル低減回路の構成部品を、前記DC電源ライン上に設ける必要がないので、前記DC電源ラインの電源電圧を低下させずに、前記DC電源ラインのリップル電圧を低減することができる。
【0013】
また、上記構成の電源リップル低減回路において、前記反転増幅手段の出力側と前記DC電源ラインとの間に電流増幅手段を設けてもよい。なお、前記電流増幅手段における電流増幅の利得は1より大きくする。このような構成にすると、前記反転増幅手段のドライブ能力(電流出力能力)が十分では無い場合であっても、前記DC電源ラインのリップル電圧を効果的に低減することができる。
【0014】
また、上記いずれかの構成の電源リップル低減回路において、ダミー負荷と、前記DC電源ラインから前記ダミー負荷への電流供給のON/OFFを切り換える切換手段とを備え、前記切換手段が、前記抽出手段によって抽出されたリップル電圧が正の所定値以上である期間、前記DC電源ラインから前記ダミー負荷への電流供給をONにするようにしてもよい。このような構成にすると、リップル電圧による電源電圧の上昇を抑制することができる。
【0015】
上記目的を達成するために本発明に係る高周波機器は、ノイズ源となる回路と、前記ノイズ源となる回路のノイズによるリップル電圧が発生するDC電源ラインと、前記DC電源ラインのリップル電圧を低減する上記いずれかの構成の電源リップル低減回路とを備える構成とする。
【0016】
なお、上記構成の高周波機器において、前記DC電源ラインの電源電圧が、高周波信号を処理する高周波信号処理回路に供給され、前記高周波信号処理回路が動作する構成である場合に、本発明の効果が顕著に現れる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、DC電源ラインの電源電圧を低下させることなくDC電源ラインのリップル電圧を低減することができる電源リップル低減回路及びこれを備えた高周波機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る高周波機器の概略構成を示す図である。
【図6】アクティブリップルフィルターの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0020】
<本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路>
本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を図1に示す。図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路は、直流阻止用コンデンサC3及びC5と、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とを備えている。なお、本実施形態においては、直流阻止用コンデンサC3が、請求項に記載している抽出手段に相当し、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器、及び、直流阻止用コンデンサC5が、請求項に記載している反転増幅手段に相当する。
【0021】
直流阻止用コンデンサC3の一端がDC電源ラインLN1に接続されており、直流阻止用コンデンサC3の他端が抵抗R4を介して演算増幅器OP1の反転入力端子に接続されている。また、分圧抵抗R2の一端もDC電源ラインLN1に接続されており、分圧抵抗R2の他端は分圧抵抗R3の一端、コンデンサC4の一端、及び演算増幅器OP1の非反転入力端子に接続されている。そして、分圧抵抗R3の他端およびコンデンサC4の他端がグランド電位に接続されている。
【0022】
さらに、演算増幅器OP1の反転入力端子と出力端子とが抵抗R5を介して接続されており、演算増幅器OP1の出力端子が直流阻止用コンデンサC5を介してDC電源ラインLN1に接続されている。
【0023】
以上のような構成の図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路は、次のように動作する。
【0024】
DC電源ラインLN1の電源電圧Vdの直流成分が直流阻止用コンデンサC3によってカットされ、DC電源ラインLN1の電源電圧Vdに含まれているリップル電圧Vrが直流阻止用コンデンサC3の他端に現れる。
【0025】
コンデンサC1及びC2と抵抗R1とからなるローパスフィルターがDC電源ラインLN1に挿入されており、当該ローパスフィルター通過後の電源電圧が演算増幅器OP1に供給され、演算増幅器OP1が動作する。そして、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器は、直流阻止用コンデンサC3の他端に現れるリップル電圧Vrを反転増幅したものに、分圧抵抗R2と分圧抵抗R3との接続点電圧Vcに比例したオフセット電圧が付加されている出力電圧Voを出力する(下記(1)式参照)。分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器の反転増幅の利得(R5/R4)は、演算増幅器OP1のスルーレートやドライブ能力(電流出力能力)などを考慮して、適切な値に設定する。すなわち、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器の反転増幅の利得(R5/R4)は、1であっても、1以外であってもよい。例えば、演算増幅器OP1のドライブ能力(電流出力能力)が不足している場合、ドライブ能力不足に起因して演算増幅器OP1の出力電圧が低下するので、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器の反転増幅の利得(R5/R4)を1より大きな値に設定することが考えられる。
【数1】

【0026】
分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器から出力される出力電圧Voの直流成分(オフセット電圧)が直流阻止用コンデンサC5によってカットされ、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される増幅器から出力される出力電圧Voの交流成分(−R5・Vr/R4)のみがDC電源ラインLN1に戻される。そして、DC電源ラインLN1で発生しているリップル電圧VrとDC電源ラインLN1に戻される交流電圧(−R5・Vr/R4)とが互いに打ち消し合うことで、DC電源ラインLN1のリップル電圧が低減される。
【0027】
なお、DC電源ラインLN1で発生しているリップル電圧VrとDC電源ラインLN1に戻される交流電圧(−R5・Vr/R4)とが完全に相殺されるように、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路での信号伝達遅延時間が設定されていること、すなわち、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路での信号伝達遅延時間がDC電源ラインLN1で発生しているリップル電圧Vrの周期の整数倍であることが望ましい。しかしながら、たとえ図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路での信号伝達遅延時間がDC電源ラインLN1で発生しているリップル電圧Vrの周期の整数倍からずれていても、DC電源ラインLN1で発生しているリップル電圧VrとDC電源ラインLN1に戻される交流電圧(−R5・Vr/R4)とが互いに打ち消し合うことにより、DC電源ラインLN1のリップル電圧が低減されてさえすればよい。
【0028】
また、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路は、DC電源ラインLN1の電源電圧Vdを低下させない点で、従来からリップル対策に用いられているローパスフィルターやアクティブリップルフィルターに比べて優れている。
【0029】
<本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路>
本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を図2に示す。なお、図2において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図2に示す本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路は、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路に演算増幅器OP2を追加した構成である。なお、追加した演算増幅器OP2は、反転入力端子と出力端子とを直接接続するので、請求項に記載している電流増幅手段に相当する。
【0030】
コンデンサC1及びC2と抵抗R1とからなるローパスフィルター通過後の電源電圧が、演算増幅器OP1だけでなく演算増幅器OP2にも供給されている。また、演算増幅器OP2は、反転入力端子と出力端子とが直接接続されており、バッファアンプとして動作する。
【0031】
リップル電圧Vrの発生原因であるノイズのレベルが大きく、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される差動増幅器のドライブ能力(電流出力能力)が十分では無い場合に、本実施形態の構成を採用するとよい。
【0032】
図2に示す本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路は、電流出力能力の点を除いて、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路と同様であるので、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路と同様の効果を奏する。
【0033】
<本発明の第3実施形態に係る電源リップル低減回路>
本発明の第3実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を図3に示す。なお、図3において図2と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図3に示す本発明の第3実施形態に係る電源リップル低減回路は、図2に示す本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路に演算増幅器OP3を追加した構成である。なお、追加した演算増幅器OP3は、反転入力端子と出力端子とを直接接続するので、請求項に記載している電流増幅手段に相当する。
【0034】
コンデンサC1及びC2と抵抗R1とからなるローパスフィルター通過後の電源電圧が、演算増幅器OP1及びOP2だけでなく演算増幅器OP3にも供給されている。また、演算増幅器OP3は、反転入力端子と出力端子とが直接接続されており、バッファアンプとして動作する。
【0035】
リップル電圧Vrの発生原因であるノイズのレベルが大きく、分圧抵抗R2及びR3と、コンデンサC4と、抵抗R4及びR5と、演算増幅器OP1とによって構成される差動増幅器のドライブ能力(電流出力能力)及び演算増幅器OP2によって構成されるバッファアンプのドライブ能力(電流出力能力)が十分では無い場合に、本実施形態の構成を採用するとよい。
【0036】
図3に示す本発明の第3実施形態に係る電源リップル低減回路は、電流出力能力の点を除いて、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路及び図2に示す本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路と同様であるので、図1に示す本発明の第1実施形態に係る電源リップル低減回路及び図2に示す本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路と同様の効果を奏する。
【0037】
<本発明の第4実施形態に係る電源リップル低減回路>
本発明の第4実施形態に係る電源リップル低減回路の構成を図4に示す。なお、図4において図2と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図4に示す本発明の第4実施形態に係る電源リップル低減回路は、図2に示す本発明の第2実施形態に係る電源リップル低減回路に、ダミー負荷である抵抗R6と、DC電源ラインLN1からダミー負荷への電流供給のON/OFFを切り換える切換手段であるPNPトランジスタQ1とを追加した構成である。
【0038】
抵抗R6の一端がDC電源ラインLN1に接続されており、抵抗R6の他端がPNPトランジスタQ1のエミッタに接続される。また、PNPトランジスタQ1のベースが演算増幅器OP1の出力端子に接続され、PNPトランジスタQ1のコレクタがグランド電位に接続されている。
【0039】
このような構成によると、リップル電圧Vrが正の所定値以上である期間、PNPトランジスタQ1がオン状態になり、DC電源ラインLN1から抵抗R6に電流が引き抜かれるので、正の所定値以上のリップル電圧Vrを抑制することができる。したがって、上述した本発明の第1〜3実施形態に係る電源リップル低減回路によるリップル電圧の低減では不十分であり、リップル電圧による電源電圧の上昇を抑制したい場合に、本実施形態の構成を採用するとよい。
【0040】
<本発明の一実施形態に係る高周波機器>
本発明の一実施形態に係る高周波機器の概略構成を図5に示す。図5に示す本発明の一実施形態に係る高周波機器は、電源プラグ1と、電源回路2と、ファン駆動回路3と、冷却ファン4と、高周波信号処理回路5と、本発明に係る電源リップル低減回路6と、DC電源ラインLN1とを備えている。
【0041】
電源プラグ1が商用電源コンセント(不図示)に差し込まれると、電源回路2に商用交流電圧が入力される。電源回路2は、入力された商用交流電圧を所定の直流電圧に変換し、その変換した所定の直流電圧をDC電源ラインLN1に出力する。
【0042】
DC電源ラインLN1の電源電圧Vdがファン駆動回路3及び高周波信号処理回路5に供給され、ファン駆動回路3及び高周波信号処理回路5が動作する。ファン駆動回路3は、冷却ファン4に内蔵されているモーターを所定の回転速度で回転させる。これにより、冷却ファン4が回転して高周波信号処理回路5の少なくとも一部を空冷する。このとき、ファン駆動回路3において、所定の回転速度に対応する比較的周波数の低いノイズ(例えば、数kHz〜数十kHzオーダーのノイズ)が発生し、当該ノイズによるリップル電圧Vrが電源回路2から出力される所定の直流電圧に重畳する。したがって、DC電源ラインLN1の電源電圧Vdは、電源回路2から出力される所定の直流電圧にリップル電圧Vrが重畳した電圧となる。しかしながら、本発明に係る電源リップル低減回路6によってDC電源ラインLN1のリップル電圧が低減される。
【0043】
なお、図5に示す構成では電源系統が単一であったが、電源系統が複数あり、ノイズ源と高周波信号処理回路とを別々の電源系統にする構成の高周波機器も存在する。電源系統が複数あり、ノイズ源と高周波信号処理回路とを別々の電源系統にする構成の高周波機器においても、ノイズ源が接続される電源系統から高周波信号処理回路が接続される電源系統にノイズが回り込むおそれがあるため、電源系統が単一である高周波機器に適用する場合ほど本発明の効果が顕著には現れないが、高周波信号処理回路が接続される電源系統に本発明に係る電源リップル低減回路を設けるようにしてもよい。
【0044】
<変形例等>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0045】
例えば、上述した第4実施形態で用いているPNPトランジスタQ1を他の切換手段に置換してもよい。
【0046】
また、例えば、上述した第1〜第4実施形態において、DC電源ラインLN1に挿入されている、コンデンサC1及びC2と抵抗R1とからなるローパスフィルターを取り除いてもよい。
【0047】
また、例えば、上述した実施形態では、各演算増幅器を片側電源で駆動させたが、各演算増幅器を両側電源で駆動させ各演算増幅器の出力オフセット電圧をゼロにして直流阻止用コンデンサC5を取り除くようにしてもよい。
【0048】
また、上述した各実施形態の内容は、矛盾がない限り、任意に組み合わせて実施することが可能である。例えば、図4に示す本発明の第4実施形態に係る電源リップル低減回路から、演算増幅器OP2を取り除いてもよいし、図4に示す本発明の第4実施形態に係る電源リップル低減回路に、図3に示すように演算増幅器OP2の後段に演算増幅器OP3を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 電源プラグ
2 電源回路
3 ファン駆動回路
4 冷却ファン
5 高周波信号処理回路
6 本発明に係る電源リップル低減回路
C1、C2、C4 コンデンサ
C3、C5 直流阻止用コンデンサ
LN1 DC電源ライン
OP1 演算増幅器
Q1 PNPトランジスタ
R1、R4、R5、R6 抵抗
R2、R3 分圧抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC電源ラインの電源電圧に含まれるリップル電圧を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたリップル電圧を反転増幅する反転増幅手段とを備え、
前記反転増幅手段によって反転増幅されたリップル電圧を前記DC電源ラインに戻すことによって前記DC電源ラインのリップル電圧を低減することを特徴とする電源リップル低減回路。
【請求項2】
前記反転増幅手段の出力側と前記DC電源ラインとの間に電流増幅手段を設けることを特徴とする請求項1に記載の電源リップル低減回路。
【請求項3】
ダミー負荷と、
前記DC電源ラインから前記ダミー負荷への電流供給のON/OFFを切り換える切換手段とを備え、
前記切換手段が、前記抽出手段によって抽出されたリップル電圧が正の所定値以上である期間、前記DC電源ラインから前記ダミー負荷への電流供給をONにすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源リップル低減回路。
【請求項4】
ノイズ源となる回路と、
前記ノイズ源となる回路のノイズによるリップル電圧が発生するDC電源ラインと、
前記DC電源ラインのリップル電圧を低減する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源リップル低減回路とを備えることを特徴とする高周波機器。
【請求項5】
前記DC電源ラインの電源電圧が、高周波信号を処理する高周波信号処理回路に供給され、前記高周波信号処理回路が動作することを特徴とする請求項4に記載の高周波機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−229224(P2011−229224A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94739(P2010−94739)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】