説明

電源制御装置

【課題】回路構成を簡素化することができ、小型化および低コスト化を図ることができる電源制御装置を得る。
【解決手段】交流電源1から第1直流電源電圧を生成する電力変換部100と、第1直流電源電圧から第1直流電源電圧よりも低い一定の低電圧の第2直流電源電圧を生成する直流電圧変換部200と、第1直流電源電圧の電圧値を設定すると共に、第1直流電源電圧が設定された電圧値になるように、電力変換部100の出力電圧安定化制御を行う電圧制御部300と、第2直流電源電圧が供給され、機器の他各構成部からの情報に基づいて、機器の動作モードを設定すると共に、前記動作モードおよび前記動作モードに基づく負荷状況に応じて、電圧制御部300を制御する主制御部400と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコン等の空気調和機(以下「空調機」という)においては、運転中における負荷変動により、ファンモータ等の制御回路用の電源電圧が不安定となる場合がある。このため、ファンモータの制御回路や主制御回路の電源電圧を安定化する定電圧回路を備えている。一方、運転待機中(ファンモータ停止中)においては、ファンモータの制御回路やその定電圧回路による電力消費を抑制するため、ファンモータの運転中にはファンモータの制御回路やその定電圧回路への電源供給を行い、運転待機中にはこれらの回路への電源供給を遮断するファンモータ制御回路用電源供給手段を備えている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−262086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、上述したように定電圧回路やファンモータ制御回路用電源供給手段等を設ける必要があるため、回路構成が複雑になり、占有面積の増大やコストの増加を招く、という問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回路構成を簡素化し、小型化および低コスト化を図ることを可能とする電源制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる電源制御装置は、機器を構成する一構成部であり、前記機器の各他構成部に供給する直流電源電圧を制御する電源制御装置において、交流電源から第1直流電源電圧を生成する電力変換部と、前記第1直流電源電圧から前記第1直流電源電圧よりも低い一定の低電圧の第2直流電源電圧を生成する直流電圧変換部と、前記第1直流電源電圧の電圧値を設定すると共に、前記第1直流電源電圧が設定した電圧値になるように、前記電力変換部の出力電圧安定化制御を行う電圧制御部と、前記第2直流電源電圧が供給され、前記各他構成部からの情報に基づいて、前記機器の動作モードを設定すると共に、前記動作モードおよび前記動作モードに基づく負荷状況に応じて、前記電圧制御部を制御する主制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回路構成を簡素化することができ、小型化および低コスト化を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施の形態にかかる電源制御装置を空調機の室内ユニットに適用した一例を示す図である。
【図2】図2は、主制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる電源制御装置について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる電源制御装置を空調機の室内ユニットに適用した一例を示す図である。なお、図1に示す電源制御装置が適用される空調機は、動作モードとして、通常の運転を行う運転モードと、空調機への運転要求の待ち受け状態である運転待機モードとを有している。
【0011】
図1に示すように、実施の形態にかかる電源制御装置は、商用交流電源1から空調機の室内ユニット各部および室外ユニット各部に供給する第1直流電源電圧を生成する電力変換部100と、第1直流電源電圧から第1直流電源電圧よりも低い一定の低電圧の第2直流電源電圧を生成する直流電圧変換部200と、第1直流電源電圧の電圧値を設定すると共に、第1直流電源電圧が設定した電圧値になるように、電力変換部100の出力電圧安定化制御を行う電圧制御部300と、第2直流電源電圧が供給され、空調機各部からの情報に基づいて、空調機の動作モードを設定すると共に、動作モードおよび動作モードに基づく負荷状況に応じて、電圧制御部300を制御する主制御部400とを備えている。
【0012】
電力変換部100は、交流商用電源1から交流電力が供給され、直流電力に変換するブリッジ整流回路2と、ブリッジ整流回路2の出力端子間に接続された平滑用電解コンデンサ5と、1次巻線3a、2次巻線3b、および補助巻線3cを含むスイッチングトランス3と、スイッチングトランス3の2次巻線3bおよび補助巻線3cから出力される電圧を制御する電源制御部4と、2次巻線3bの両端間に接続された整流ダイオード6および平滑用電解コンデンサ8からなる平滑回路500と、補助巻線3cの両端間に接続された整流ダイオード24および平滑用電解コンデンサ26からなる平滑回路600とを備えている。
【0013】
平滑回路500の出力端28には、直流電圧変換部200と、電圧制御部300と、駆動回路23により駆動される室外給電用リレー9および風向制御用ステッピングモータ10とが接続される。この出力端28から出力される第1直流電源電圧(ここでは、運転モードにおいて約12V)を、以下「2次直流電源電圧」という。また、平滑回路600の出力端25には、ファンモータ(F/M)27の制御回路29が接続される。この出力端25から出力される第1直流電源電圧(ここでは、運転モードにおいて約15V)を、以下「補助直流電源電圧」という。
【0014】
直流電圧変換部200は、低飽和型レギュレータ7を備え、2次直流電源電圧から2次直流電源電圧よりも低い一定の低電圧(ここでは、5V)の第2直流電源電圧を生成する。この第2直流電源電圧を、以下「制御直流電源電圧」という。この制御直流電源電圧は、主制御部400、リモコン受信回路21、本体運転スイッチ回路22等に供給される。
【0015】
電圧制御部300は、電流制限抵抗11と、フォトカプラ12と、シャントレギュレータ13と、電圧変更部700とを備えている。平滑回路500の出力端28は、電流制限抵抗11、フォトカプラ12の発光素子12a、および誤差増幅器であるシャントレギュレータ13を介して接地しており、2次直流電源電圧の電圧値に応じてフォトカプラ12の受光素子12bに電流が流れる。なお、この電流は、電源制御部4の帰還電流であり、電源制御部4は、この帰還電流に基づいて、電力変換部100の出力電圧安定化制御を行う。
【0016】
電圧変更部700は、運転待機モード時において2次直流電源電圧を分圧する分圧抵抗14および分圧抵抗15と、分圧抵抗15に並列に接続され、分圧抵抗16とトランジスタ18とからなる直列回路と、同様に分圧抵抗15に並列に接続され、分圧抵抗17とトランジスタ19とからなる直列回路とを備えている。これら各分圧抵抗14〜17の接続点は、シャントレギュレータ13の基準入力端子に接続される。
【0017】
主制御部400は、制御直流電源電圧が供給され、駆動回路23やファンモータ制御回路29等を制御するマイコン20を備えている。本実施の形態では、マイコン20は、例えば、図示しない検知部等からの温度や湿度等の検知情報や、リモコン受信回路21や本体運転スイッチ回路22等からの設定温度や設定湿度等の詳細な設定情報に基づいて、空調機の動作モードを設定すると共に、動作モードおよび動作モードに基づく負荷状況に応じて、電圧制御部300を制御する機能を有している。
【0018】
つぎに、実施の形態にかかる電源制御装置の動作について説明する。ここでは、まず、実施の形態にかかる電源制御装置が適用される空調機の動作モードと、各動作モードにおける2次直流電源電圧および補助直流電源電圧の制御概念について説明する。
【0019】
運転待機モードでは、商用交流電源1から交流電力が供給され、電源制御部4が起動した状態で、マイコン20がリモコン受信回路21あるいは本体運転スイッチ回路22からの運転要求を待っている待ち受け状態である動作モードである。この運転待機モードでは、室外給電用リレー9、風向制御用ステッピングモータ10、およびファンモータ27を停止させ、マイコン20、リモコン受信部21、および本体運転スイッチ回路22を動作させた状態とする。したがって、マイコン20は、室外給電用リレー9、風向制御用ステッピングモータ10、およびファンモータ27をオフに制御すると共に、電圧制御部300を制御して、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧をそれぞれ所定の動作電圧よりも低下させ、マイコン20自体は動作した状態を保つように、つまり、2次直流電源電圧が制御直流電源電圧よりも高い一定の低電圧となるように制御し、実質的に室外給電用リレー9、風向制御用ステッピングモータ10、およびファンモータ27の動作を停止させて消費電力を低減させる。
【0020】
一方、運転モードでは、マイコン20がリモコン受信回路21あるいは本体運転スイッチ回路22からの運転要求を受け付け、室外給電用リレー9、風向制御用ステッピングモータ10、およびファンモータ27をオンに制御すると共に、電圧制御部300を制御して、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧がそれぞれ所定の動作電圧となるように制御する。なお、例えば、設定温度と室温とがほぼ等しく、設定温度に室温を保つように運転する場合の運転モードを、以下「通常運転モード」という。この通常運転モードでは、マイコン20は、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧がそれぞれ室外給電用リレー9、風向制御用ステッピングモータ10、およびファンモータ27の所定の動作電圧となるように制御する。
【0021】
さらに、例えば、設定温度が室温よりも高い、あるいは低い場合に、室温を設定温度まで上昇あるいは下降させるように運転する場合には、通常運転モードよりも高負荷となる。このときの運転モードを、以下「高負荷運転モード」という。この高負荷運転モードでは、2次直流電源電圧の電圧降下が発生すると共に、2次巻線3bと補助巻線3cとの間のクロスレギュレーションが悪化し、補助直流電源電圧の電圧降下が発生する。したがって、マイコン20は、高負荷運転モードでは、これらの2次直流電源電圧および補助直流電源電圧の電圧降下を見込み、電圧制御部300を制御して、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧を上昇させ、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧の電圧降下を補うように制御する。
【0022】
つぎに、電圧制御部300による2次直流電源電圧および補助直流電源電圧の制御手法について説明する。本実施の形態では、電圧変更部700の各分圧抵抗14〜17の各抵抗値と、スイッチングトランス3の2次巻線3bおよび補助巻線3cの巻数比を適切に設定することにより、上述した各動作モード毎に2次直流電源電圧および補助直流電源電圧の電圧値を適切に制御可能とする。
【0023】
ここで、2次直流電源電圧をV1、補助直流電源電圧をV2、シャントレギュレータ13の基準入力端子電圧をVsとし、分圧抵抗14の抵抗値をr14、分圧抵抗15の抵抗値をr15、分圧抵抗16の抵抗値をr16、分圧抵抗17の抵抗値をr17とし、2次巻線3bの巻数をnb、補助巻線3cの巻数をncとすると、下記の各(1),(2)式が得られる。
【0024】
V1/Vs=(r14+(r15//r16//r17))
/(r15//r16//r17)…(1)
V2/V1=(1/nb)/(1/nc)…(2)
【0025】
シャントレギュレータ13の基準入力端子電圧Vsは不変であるので、上記した(1)式において、r16およびr17が無限大、つまり、各トランジスタ18,19がオフの状態で、2次直流電源電圧V1が最も小さくなる。したがって、運転待機モードでは、マイコン20は、各トランジスタ18,19をオフとして各分圧抵抗16,17を分圧抵抗15から切り離す。
【0026】
例えば、基準入力端子電圧Vsを2.5Vとし、2次直流電源電圧V1が基準入力端子電圧Vsの3倍の7.5Vとなるように設定する場合には、分圧抵抗14の抵抗値r14および分圧抵抗15の抵抗値r15の関係式は、下記の(3)式となる。
【0027】
V1/Vs=7.5V/2.5V=3/1
=(r14+r15)/r15…(3)
【0028】
一方、通常運転モードでは、2次直流電源電圧V1が所定の動作電圧(ここでは、例えば12.5V)となるように設定する。この場合には、マイコン20は、各トランジスタ18,19のうちの一方(ここでは、トランジスタ18)をオンとして、そのトランジスタ(ここでは、トランジスタ18)に接続された分圧抵抗(ここでは、分圧抵抗16)を分圧抵抗15に並列に接続し、他方(ここでは、トランジスタ19)をオフとして、そのトランジスタ(ここでは、トランジスタ18)に接続された分圧抵抗(ここでは、分圧抵抗17)を分圧抵抗15から切り離す。このとき、分圧抵抗14の抵抗値r14、分圧抵抗15の抵抗値r15、および分圧抵抗16の抵抗値r16の関係式は、下記の(4)式となる。
【0029】
V1/Vs=12.5V/2.5V=5/1
=(r14+(r15//r16))/(r15//r16)…(4)
【0030】
また、補助直流電源電圧V2が所定の動作電圧(ここでは、例えば14.5V)となるようにする場合には、2次巻線3bの巻数nbおよび補助巻線3cの巻数ncの関係式は、下記の(5)式となる。
【0031】
V2/V1=14.5V/12.5V≒15/13
=(1/nb)/(1/nc)…(5)
【0032】
ここで、上記(5)式を変形して運転待機モードにおける2次直流電源電圧を代入すると、下記のように運転待機モードにおける補助直流電源電圧V2が得られる。
V2=(15/13)×V1=(15/13)×7.5V≒8.7V
【0033】
また、高負荷運転モードでは、上述したように、2次直流電源電圧V1および補助直流電源電圧V2は、実際には負荷上昇に伴い電圧降下が発生する。このため、この電圧降下を実機による動作検証やシミュレーション等により求め、高負荷運転モードにおいて所定の動作電圧付近の電圧値に適正に補正されるように、2次直流電源電圧V1が所定の動作電圧(ここでは、例えば12.5V)よりも高い電圧(ここでは、13.1V)となるように設定する。この場合には、マイコン20は、各トランジスタ18,19のうちの一方(ここでは、トランジスタ18)をオフとして、そのトランジスタ(ここでは、トランジスタ18)に接続された分圧抵抗(ここでは、分圧抵抗16)を分圧抵抗15から切り離し、他方(ここでは、トランジスタ19)をオンとして、そのトランジスタ(ここでは、トランジスタ19)に接続された分圧抵抗(ここでは、分圧抵抗17)を分圧抵抗15に並列に接続する。このとき、分圧抵抗14の抵抗値r14、分圧抵抗15の抵抗値r15、および分圧抵抗17の抵抗値r17の関係式は、下記の(6)式となる。
【0034】
V1/Vs=13.1V/2.5V≒21/4
=(r14+(r15//r17))/(r15//r17)…(6)
【0035】
また、このとき、高負荷運転モードにおける補助直流電源電圧V2は、
V2=(15/13)×V1=(15/13)×13.1V≒15.1V
となる。
【0036】
したがって、上記した(3),(4),(6)の各式を満たすように、分圧抵抗14の抵抗値r14、分圧抵抗15の抵抗値r15、分圧抵抗16の抵抗値r16、分圧抵抗17の抵抗値r17を求めることにより、2次直流電源電圧V1がそれぞれの動作モード毎に設定した電圧値となり、上記した(5)式を満たすように、2次巻線3bの巻数nb、および補助巻線3cの巻数ncを求めることにより、補助直流電源電圧V2は、各動作モード毎に2次直流電源電圧V1に比例した電圧値となる。これにより、運転待機モードでは、2次直流電源電圧V1および補助直流電源電圧V2を所定の動作電圧よりも低下させることができ、高負荷運転モードでは、2次直流電源電圧V1および補助直流電源電圧V2を所定の動作電圧よりも高くなるように制御することができる。
【0037】
なお、高負荷運転モードでは、2次直流電源電圧V1および補助直流電源電圧V2は、上述したように、実際には負荷上昇に伴い電圧降下が発生するため、上記した値にはならず、所定の動作電圧付近の電圧値となる。
【0038】
つぎに、実施の形態にかかる電源制御装置における主制御部400の処理フローについて、図1および図2を参照して説明する。図2は、主制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0039】
空調機に電源が投入されると、商用交流電源1から供給された交流電圧は、ブリッジ整流回路2により全波整流され、平滑用電解コンデンサ5により平滑される。平滑された電圧が所定電圧以上になると、電源制御部4が起動し、スイッチングトランス3の2次巻線3bに2次電圧が発生する。そして、低飽和型レギュレータ7を介してマイコン20に電源が供給されると、マイコン20は、トランジスタ18,19、駆動回路23、およびファンモータ制御回路29がオフとなるように初期設定する(ステップST101)。
【0040】
つぎに、マイコン20は、リモコン受信回路21、あるいは本体運転スイッチ回路22からの運転要求信号が入力されたか否かを判定し(ステップST102)、運転要求信号が入力されていない場合は(ステップST102;No)、トランジスタ18,19、駆動回路23、およびファンモータ制御回路29をオフした状態を保ち、運転待機モードに移行し(ステップST103)、運転要求信号が入力されるまで、ステップST102およびステップST103の処理を繰り返す。
【0041】
運転要求信号が入力されると(ステップST102;Yes)、マイコン20は、リモコン受信回路21、あるいは本体運転スイッチ回路22からの設定温度や設定湿度等の詳細な設定情報および図示しない検出部からの温度や湿度等の検知情報に基づいて、高負荷状態であるか否かを判定する(ステップST104)。
【0042】
高負荷状態ではない場合において(ステップST104;No)、それまでの動作モードが運転待機モードであった場合には、マイコン20は、トランジスタ18、駆動回路23、およびファンモータ制御回路29をオフからオンに制御し、それまでの動作モードが高負荷運転モードであった場合には、トランジスタ18をオフからオンに、トランジスタ19をオンからオフに制御し、通常運転モードに移行する。なお、それまでの動作モードが通常運転モードであった場合には、通常運転モードを継続する(ステップST105)。
【0043】
高負荷状態である場合において(ステップST104;Yes)、それまでの動作モードが運転待機モードであった場合には、マイコン20は、トランジスタ19、駆動回路23、およびファンモータ制御回路29をオフからオンに制御し、それまでの動作モードが通常運転モードであった場合には、トランジスタ18をオンからオフに、トランジスタ19をオフからオンに制御し、高負荷運転モードに移行する。なお、それまでの動作モードが高負荷運転モードであった場合には、高負荷運転モードを継続する(ステップST106)。
【0044】
続いて、マイコン20は、リモコン受信回路21、あるいは本体運転スイッチ回路22からの停止要求信号が入力されたか否かを判定し(ステップST107)、停止要求信号が入力された場合は(ステップST107;No)、それまでの動作モードを継続し、停止要求信号が入力されるまで、ステップST104〜ステップST107の処理を繰り返す。
【0045】
停止要求信号が入力されると(ステップST107;Yes)、ステップST103の処理に戻り、トランジスタ18、トランジスタ19、駆動回路23、およびファンモータ制御回路29がオフに設定され、運転待機モードに移行する。以降、ステップST102〜ステップST107の処理を繰り返す。
【0046】
以上説明したように、実施の形態の電源制御装置によれば、高負荷運転モードでは、通常運転モードよりも2次直流電源電圧および補助直流電源電圧が高くなるように制御するようにしたので、実際にはその負荷上昇に伴い電圧降下が発生し、所定の動作電圧付近の電圧値に適正に補正されるので、ファンモータ制御回路等の電源電圧を安定化させる定電圧回路を別途設ける必要がない。したがって、回路構成を簡素化することができ、小型化および低コスト化を図ることができる。
【0047】
また、運転待機モードでは、室外給電用リレー、風向制御用ステッピングモータ、およびファンモータをオフに制御すると共に、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧をそれぞれ所定の動作電圧よりも低下させ、実質的に室外給電用リレー、風向制御用ステッピングモータ、およびファンモータの動作を停止させるようにしたので、運転待機モードにおける消費電力の削減のために、これらの回路への電源供給を遮断する回路を別途設ける必要がない。したがって、さらなる回路構成の簡素化、装置の小型化および低コスト化を図ることができると共に、運転待機モードにおける消費電力を削減することが可能となる。
【0048】
なお、上述した実施の形態では、空調機の運転モードを通常運転モードと高負荷運転モードとに分け、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧が通常運転モードと高負荷運転モードとの2段階となるように構成したが、さらに負荷状況に応じた3つ以上の運転モードに分け、2次直流電源電圧および補助直流電源電圧が3段階以上設定できる構成とすることも可能である。
【0049】
また、主制御部のマイコンは、運転モードでは所定の動作クロック周波数で動作するが、運転待機モードにおいて、マイコンの動作クロック周波数を低下させ、運転モードにおける所定の動作クロック周波数よりも低い動作クロック周波数で動作するようにすることも可能である。これにより、運転待機モードにおける消費電力をさらに削減することができる。
【0050】
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 商用交流電源
2 ブリッジ整流回路
3 スイッチングトランス
3a 1次巻線
3b 2次巻線
3c 補助巻線
4 電源制御部
5,8,26 平滑用電解コンデンサ
6,24 整流ダイオード
7 低飽和型レギュレータ
9 室外給電リレー
10 風向制御用ステッピングモータ
11 電流制限抵抗
12 フォトカプラ
13 シャントレギュレータ
14〜17 分圧抵抗
18,19 トランジスタ
20 マイクロコンピュータ(マイコン)
21 リモコン受信回路
22 本体運転スイッチ回路
23 駆動回路
25 出力端(補助直流電源電圧)
27 ファンモータ(F/M)
28 出力端(2次直流電源電圧)
29 ファンモータ制御回路
100 電力変換部
200 直流電圧変換部
300 電圧制御部
400 主制御部
500 平滑回路(2次直流電源電圧)
600 平滑回路(補助直流電源電圧)
700 電圧変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を構成する一構成部であり、前記機器の各他構成部に供給する直流電源電圧を制御する電源制御装置において、
交流電源から第1直流電源電圧を生成する電力変換部と、
前記第1直流電源電圧から前記第1直流電源電圧よりも低い一定の低電圧の第2直流電源電圧を生成する直流電圧変換部と、
前記第1直流電源電圧の電圧値を設定すると共に、前記第1直流電源電圧が設定した電圧値になるように、前記電力変換部の出力電圧安定化制御を行う電圧制御部と、
前記第2直流電源電圧が供給され、前記各他構成部からの情報に基づいて、前記機器の動作モードを設定すると共に、前記動作モードおよび前記動作モードに基づく負荷状況に応じて、前記電圧制御部を制御する主制御部と、
を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記主制御部は、前記負荷状況の変化に伴う前記第1直流電源電圧の電圧降下を見込み、前記第1直流電源電圧の電圧降下を補うように、前記電圧制御部を制御することを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記動作モードが前記機器に対する運転要求を待っている運転待機モードである場合に、前記第1直流電源電圧が前記第2直流電源電圧よりも高い一定の低電圧になるように、前記電圧制御部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記主制御部は、前記動作モードが前記運転要求に応じた運転モードである場合に、所定の動作クロック周波数で動作し、前記運転待機モードにおいて、前記所定の動作クロック周波数よりも低い動作クロック周波数で動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電源制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−165560(P2012−165560A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23935(P2011−23935)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】