説明

電源回路、及び照明装置

【課題】簡易な構成で確実に半導体発光素子の点灯及び消灯を行うことができる電源回路、及び照明装置を提供する。
【解決手段】電源回路は、直流電力生成手段(110、120)と、前記直流電力生成手段により供給される電源電圧を昇圧する昇圧手段(130)と、前記昇圧手段の動作を制御する昇圧制御手段(150)と、前記昇圧手段により昇圧した電圧を降圧する降圧手段(140)と、前記降圧手段の動作を制御し、前記半導体発光素子に流れる電流を制御する降圧制御手段(160)と、を具備する。電源回路は、前記降圧手段の出力から前記昇圧制御回路に電力を供給し、消灯信号が入力されると、前記降圧手段の動作を停止させて前記降圧手段からの出力を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、LED(発光ダイオード)などの半導体発光素子を点灯する電源回路、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体発光素子としてLED素子を備えるLED照明装置が実用化されている。LED照明装置は、電源回路とLED素子とを備える。電源回路は、商用電源から供給される電力に対して整流、昇圧、及び降圧を行う。これにより、電源回路は、LEDに流れる電流を制御する。発光素子は、電流が供給される場合、光を放射する。
【0003】
また、例えば特許文献1には、電力の昇圧を行う昇圧チョッパと、降圧を行う降圧チョッパとを備えるLED点灯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−234415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LED点灯装置は、消灯信号を受信する場合、半導体発光素子を消灯するように各部を制御する。半導体発光素子を消灯する方法は、降圧チョッパ(降圧回路)を停止する方法と、昇圧チョッパ(昇圧回路)を停止する方法とが考えられる。即ち、LED点灯装置は、半導体発光素子を消灯する場合、昇圧回路を制御する昇圧制御回路、または降圧回路を制御する降圧制御回路に消灯信号を送信することにより、昇圧制御回路、または降圧制御回路を停止させることにより、半導体発光素子の点灯が維持できないように出力を制御するものである。
【0006】
しかし、従来、昇圧制御回路の電力は、整流を行う整流回路の出力、または、昇圧回路の出力から受け取っている為、消灯信号に応じて降圧制御回路を停止させたとしても、昇圧制御回路の動作は継続する。これにより、半導体発光素子の点灯回路内に高圧の充電部が維持される。この結果、待機電力が増加したり、LED点灯装置の寿命を短くする、又は、高電圧による危険性などの問題がある。
【0007】
また、受信する消灯信号に応じて昇圧制御回路を停止させたとしても、商用電源から降圧回路へ電源が供給される経路は形成されたままである為、商用電源から供給される電力により半導体発光素子が誤点灯してしまう場合がある。
【0008】
また、受信する消灯信号に応じて降圧制御回路と昇圧制御回路との両方を停止させる場合、消灯信号を降圧制御回路と昇圧制御回路とに接続する必要がある。即ち、回路や部品等を追加する必要があり、装置の大型化及び複雑化を招くという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、簡易な構成で確実に半導体発光素子の消灯を行うことができる電源回路、及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の電源回路は、直流電力生成手段と;前記直流電力生成手段により供給される電源電圧を昇圧する昇圧手段と;前記昇圧手段の動作を制御する昇圧制御手段と;前記昇圧手段により昇圧した電圧を降圧する降圧手段と;前記降圧手段の動作を制御し、前記半導体発光素子に流れる電流を制御する降圧制御手段と;前記降圧手段の出力から前記昇圧制御回路に電力を供給する電力供給手段と;消灯信号が入力されると、前記降圧手段の動作を停止させて前記降圧手段からの出力を停止する消灯手段と;を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明及び以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0012】
半導体発光素子は、例えば、発光ダイオード、または有機EL素子などである。半導体発光素子は、異なる波長の光を放射する半導体発光素子が複数設けられるものであってもよい。
【0013】
本発明によれば、電源回路は、消灯手段から消灯信号が入力すると、降圧手段の動作が停止する。そして、降圧手段が停止して降圧手段からの出力が停止するので、半導体発光素子に電流が供給されなくなる為、半導体発光素子は消灯する。また、昇圧制御手段は、降圧手段の出力から電力を受けて動作する為、消灯信号が入力して降圧手段が停止すると、その動作を停止する。昇圧手段は、昇圧制御手段から制御信号が入力されない場合、動作を停止する。即ち、電源回路は、降圧手段を停止させることにより、昇圧手段を併せて停止させることができる。
【0014】
請求項2に記載の電源回路は、請求項1の記載において、前記直流電力生成手段により生成される直流電力を前記降圧手段に供給して前記降圧手段を始動させることにより、前記昇圧制御手段への電力の供給を開始する始動手段を具備することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、電源回路は、半導体発光素子を点灯する場合、直流電力生成手段が降圧手段のスイッチをONする。これにより、直流電力生成手段から出力される電流が降圧手段を介して半導体発光素子に流れる。これにより、半導体発光素子は点灯する。また、電源回路は、昇圧制御回路及び降圧制御回路に電力を供給し、動作を開始させることができる。
【0016】
請求項3に記載の照明装置は、半導体発光素子と、請求項1又は2に記載の電源回路と;前記電源回路が設けられる器具本体と、を具備することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、照明装置は、消灯信号が入力される場合、降圧手段を停止させることにより、半導体発光素子及び昇圧手段を停止させることができる。これにより、簡易な構成で確実に半導体発光素子の点灯及び消灯を行うことができる照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、電源回路は、消灯信号が入力される場合、降圧手段を停止させることにより、昇圧手段を併せて停止させることができるので、複雑な構成にすることなく確実に半導体発光素子を消灯することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、電源回路は、半導体発光素子を点灯する場合、直流電力生成手段により降圧手段をONすることにより、半導体発光素子、昇圧制御回路、及び降圧制御回路に電力を供給し、動作を開始させることができるので、複雑な構成にすることなく確実に半導体発光素子の点灯を開始することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2に記載の効果を有する照明装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置の構成例について説明する為の説明図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態に係る照明装置の構成例について説明する為の説明図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の実施形態に係る照明装置の構成例について説明する為の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る電源回路、及び照明装置について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置100の構成例について説明する為の説明図である。
照明装置100は、電力系統110、整流回路120、昇圧回路130、降圧回路140、昇圧制御回路150、降圧制御回路160、消灯回路170、半導体発光素子としてのLED180、及び始動回路190を備える。
【0024】
電力系統110は、商用電源などの交流電源である。なお、電力系統110は、交流電源に接続する接続端子であってもよい。
【0025】
整流回路120は、複数のダイオードにより構成される整流ブリッジを備える。整流回路120は、電力系統110から供給される交流電力を直流電力に整流する。
【0026】
昇圧回路130は、昇圧チョッパを備える。即ち、昇圧回路130は、リアクトルL1、トランジスタTr1、ダイオードD1、及びコンデンサC2を備える。トランジスタTr1及びコンデンサC2は、整流回路120と並列に接続される。リアクトルL1は、トランジスタTr1と整流回路120との間に接続される。ダイオードD1は、トランジスタTr1とコンデンサC2との間に接続される。昇圧回路130は、昇圧手段として機能する。
【0027】
降圧回路140は、降圧チョッパを備える。即ち、降圧回路140は、トランジスタTr2、ダイオードD2、リアクトルL2、及びコンデンサC3を備える。ダイオードD2及びコンデンサC3は、コンデンサC2と並列に接続される。トランジスタTr2は、コンデンサC2とダイオードD2との間に接続される。リアクトルL2は、ダイオードD2とコンデンサC3との間に接続される。降圧回路140は、降圧手段として機能する。
【0028】
昇圧制御回路150は、予め設定されるデューティ比に基づいて、トランジスタTr1のON/OFFを制御する為の制御信号を生成する。昇圧制御回路150は、生成した制御信号をトランジスタTr1に入力することにより、トランジスタTr1のON/OFFを制御する。これにより、昇圧回路130及び昇圧制御回路150は、コンデンサC2の両端に生じる電圧を制御する。即ち、昇圧回路130は、整流回路120の両端に生じる電圧を昇圧して出力する。
【0029】
昇圧制御回路150は、降圧回路140のリアクトルL2と磁気的に接続されるリアクトルL3により生成される電力を受け取って動作する。リアクトルL3は、リアクトルL2を電流が通過することにより発生する磁束を受けて電力を生成し、生成した電力を昇圧制御回路150に供給する。
【0030】
なお、昇圧制御回路150は、降圧回路140の内部、または降圧回路140の出力端子と電気的に接続することにより電力を受け取る構成であってもよい。この場合、昇圧制御回路150は、少なくとも、降圧回路140の動作に応じて電流がON/OFFする箇所から電力を受け取る。
【0031】
降圧制御回路160は、LED180に流れる電流の電流値を検出する。降圧制御回路160は、予め設定される電流値と検出した電流値とに基づいて、トランジスタTr2のON/OFFを制御する為の制御信号を生成する。降圧制御回路160は、生成した制御信号をトランジスタTr2に入力することにより、トランジスタTr2のON/OFFを制御する。これにより、降圧回路140及び降圧制御回路160は、コンデンサC3の両端に生じる電圧を制御する。即ち、降圧回路140は、コンデンサC3の両端に生じる電圧を制御することにより、LED180を流れる電流が一定の値になるように制御する。
【0032】
降圧制御回路160は、降圧回路140のリアクトルL2と磁気的に接続されるリアクトルL4により生成される電力を受け取って動作する。リアクトルL4は、リアクトルL2を電流が通過することにより発生する磁束を受けて電力を生成し、生成した電力を降圧制御回路160に供給する。
【0033】
なお、降圧制御回路160は、降圧回路140の内部、または降圧回路140の出力端子と電気的に接続することにより電力を受け取る構成であってもよい。この場合、降圧制御回路160は、少なくとも、降圧回路140の動作に応じて電流がON/OFFする箇所から電力を受け取る。
【0034】
消灯手段として機能する消灯回路170は、消灯信号を降圧制御回路160に入力することにより、降圧制御回路170の動作を停止させる。これにより、消灯回路170は、LED180を消灯させる。消灯回路170は、例えば、光を検出するフォトセンサを備え、フォトセンサにより検出する光が予め設定される所定値以上である場合、消灯信号を降圧制御回路160に入力する。フォトセンサは、例えば、光量を検出するセンサ、赤外線センサなどにより構成される。
【0035】
なお、消灯回路170は、他のセンサの検出結果に基づいて消灯信号を降圧制御回路160に入力する構成であってもよい。また、消灯回路170は、外部の操作部から信号を受け取る場合に他消灯信号を降圧制御回路160に入力する構成であってもよい。
【0036】
また、消灯回路170は、所定時間毎に消灯信号を降圧制御回路160に入力する構成であってもよい。これにより、例えば、照明装置100は、予め設定時間にLED180の点灯または消灯を制御することができる。また、消灯回路170は、LED180を点灯してから予め設定される所定時間経過後に消灯信号を降圧制御回路160に入力する構成であってもよい。また、上記の構成を適宜組み合わせてもよい。本実施形態における消灯制御手段は、消灯回路170と、消灯回路170の消灯信号が入力される降圧制御回路160と、により構成されている。
【0037】
LED180は、印加される電圧により流れる電流に応じて光を放射する。
【0038】
始動回路190は、降圧制御回路160と整流回路120の出力端子との間に接続される配線と降圧制御回路160とGNDとの間に接続される配線とを備える。また、始動回路190は、抵抗R1及び抵抗R2を備える。抵抗R1は、降圧制御回路160と整流回路120の出力端子との間に接続されている。抵抗R2は、降圧制御回路160とGNDとの間に接続されている。
【0039】
消灯回路170から消灯信号が降圧制御回路160に入力される場合、降圧制御回路160は、降圧回路140のトランジスタTr2をOFFする。これにより、リアクトルL2、及びコンデンサC3に電流が流れなくなる。この結果、LED180は消灯する。
【0040】
また、リアクトルL2を電流が流れない為、リアクトルL3から昇圧制御回路150に供給される電力が途絶える。また、リアクトルL4から降圧制御回路160に供給される電力が途絶える。
【0041】
昇圧制御回路150は、電源系統110から電力の供給を受けていない為、動作を停止する。昇圧回路130のトランジスタTr1は、昇圧制御回路150から信号が入力されない為OFFする。この為、昇圧回路130は、動作を停止する。
【0042】
上記したように、照明装置100の昇圧制御回路150は、降圧回路140のトランジスタTr2より後段から電力を受け取る。このように構成することにより、照明装置100は、降圧制御回路160から降圧回路140を停止させる場合、昇圧回路130の動作を併せて停止させることができる。また、消灯回路170から昇圧制御回路150と降圧制御回路160との両方を停止させる場合と比べて、回路の構成を簡易にすることができる。
【0043】
照明装置100を点灯させる場合、照明装置100は、電源系統110と整流回路120との間に設けられている図示しないスイッチをONする。これにより、商用電源から整流回路に交流電力が供給される。
【0044】
整流回路120は、交流電力を直流電力に変換する。整流回路120から出力される電圧は、始動回路190の抵抗R1、及び抵抗R2に印加される。抵抗R1、及び抵抗R2により分圧された電圧は、降圧回路140のトランジスタTr2のベースに印加される。トランジスタTr2は、ベースに印加される電圧により電流路をONする。
【0045】
これにより、整流回路120から出力される電流は、トランジスタTr2、リアクトルL2、及びLED180に流れる。
【0046】
また、リアクトルL2に電流が流れる為、リアクトルL3、及びリアクトルL4は、リアクトルL2により発生する磁束を受けて電力を生成する。これにより、昇圧制御回路150及び降圧制御回路160は、生成された電力を受け取って動作する。この結果、昇圧回路130、及び降圧回路140は通常の動作を開始するとともに、所定の電力をLED180に供給することができる。これにより、LED180が点灯する。
【0047】
なお、LED180は、照明装置100の電源回路と取り外し可能な状態で構成されていてもよい。この場合、照明装置100は、LEDまたは他の発光素子を取り付け可能な端子を備える。
【0048】
また、上記した実施形態では、降圧回路140として降圧チョッパを備える例について説明したが、この構成に限定されない。降圧回路140は、他の降圧素子により構成されていてもよい。
【0049】
図2は、本発明の他の実施形態に係る照明装置200の構成例について説明する為の説明図である。
照明装置200は、電力系統210、整流回路220、昇圧回路230、降圧回路240、昇圧制御回路250、降圧制御回路260、消灯回路270、半導体発光素子としてのLED280、及び始動回路290を備える。なお、電力系統210、整流回路220、昇圧回路230、消灯回路270、LED280、及び始動回路290は、図1に示す電力系統110、整流回路120、昇圧回路130、消灯回路170、LED180、及び始動回路190と同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0050】
降圧回路240は、フライバック回路からなり、トランス241、トランジスタTr3、ダイオードD3、及びコンデンサC3を備える。トランス241は、磁気的に接続されたリアクトルL5とリアクトルL6とを備える。リアクトルL5は、トランスの一次側(入力側)に接続されている。また、リアクトルL6は、トランスの二次側(出力側)に接続されている。
【0051】
トランジスタTr3は、リアクトルL5と直列に接続されている。また、昇圧回路230のコンデンサC2と、トランジスタTr3及びリアクトルL5とは、並列に接続されている。
【0052】
ダイオードD3は、リアクトルL6と直列に接続されている。また、コンデンサC3は、ダイオードD3及びリアクトルL6と並列に接続されている。
【0053】
リアクトルL5は、入力される電流に応じて磁束を発生させる。リアクトルL6は、リアクトルL5により発生した磁束を受けて電力を生成する。これにより、リアクトルL6は、二次側に電力を供給する。
【0054】
リアクトルL5とリアクトルL6とは、巻き線の数が異なる。リアクトルL5の巻き線の数とリアクトルL6の巻き線の数との比は、リアクトルL5の入力端子の電圧とリアクトルL6の出力端子に生じる電圧との比に相当する。例えば、リアクトルL5の巻き線の数をリアクトルL6の巻き線の数より多くすることにより、トランス241は、電圧を巻き線の数の比に応じて降圧することができる。これにより、トランス241は、昇圧回路230から出力される高電圧を低電圧に変換する。
【0055】
昇圧制御回路250は、予め設定されるデューティ比に基づいて、トランジスタTr1のON/OFFを制御する為の制御信号を生成する。昇圧制御回路250は、生成した制御信号をトランジスタTr1に入力することにより、トランジスタTr1のON/OFFを制御する。これにより、昇圧回路230及び昇圧制御回路250は、コンデンサC2の両端に生じる電圧を制御する。即ち、昇圧回路230は、整流回路220の両端に生じる電圧を昇圧して出力する。
【0056】
昇圧制御回路250は、降圧回路240のリアクトルL5と磁気的に接続されるリアクトルL7により生成される電力を受け取って動作する。リアクトルL7は、リアクトルL5を電流が通過することにより発生する磁束を受けて電力を生成し、生成した電力を昇圧制御回路250に供給する。
【0057】
なお、昇圧制御回路250は、降圧回路240の内部、または降圧回路240の出力端子と電気的に接続することにより電力を受け取る構成であってもよい。この場合、昇圧制御回路250は、少なくとも、降圧回路240の動作に応じて電流がON/OFFする箇所から電力を受け取る。
【0058】
降圧制御回路260は、LED280に流れる電流の電流値を検出する。降圧制御回路260は、予め設定される電流値と検出した電流値とに基づいて、トランジスタTr3のON/OFFを制御する為の制御信号を生成する。降圧制御回路260は、生成した制御信号をトランジスタTr3に入力することにより、トランジスタTr3のON/OFFを制御する。これにより、降圧回路240及び降圧制御回路260は、コンデンサC3の両端に生じる電圧を制御する。即ち、降圧回路240は、コンデンサC3の両端に生じる電圧を制御することにより、LED280を流れる電流が一定の値になるように制御する。
【0059】
降圧制御回路260は、降圧回路240のリアクトルL5と磁気的に接続されるリアクトルL8により生成される電力を受け取って動作する。リアクトルL8は、リアクトルL6を電流が通過することにより発生する磁束を受けて電力を生成し、生成した電力を降圧制御回路260に供給する。
【0060】
なお、降圧制御回路260は、降圧回路240の内部、または降圧回路240の出力端子と電気的に接続することにより電力を受け取る構成であってもよい。この場合、降圧制御回路260は、少なくとも、降圧回路240の動作に応じて電流がON/OFFする箇所から電力を受け取る。
【0061】
消灯手段として機能する消灯回路270から消灯信号が降圧制御回路260に入力される場合、降圧制御回路260は、降圧回路240のトランジスタTr3をOFFする。これにより、リアクトルL5に電流が流れなくなる。磁束が発生しない為、リアクトルL6から降圧回路240の二次側に供給される電力が途絶える。この結果、LED280は消灯する。
【0062】
また、リアクトルL5を電流が流れない為、リアクトルL7から昇圧制御回路250に供給される電力が途絶える。また、リアクトルL8から降圧制御回路260に供給される電力が途絶える。
【0063】
昇圧制御回路250は、電源系統210から電力の供給を受けていない為、動作を停止する。昇圧回路230のトランジスタTr1は、昇圧制御回路250から信号が入力されない為OFFする。この為、昇圧回路230は、動作を停止する。
【0064】
上記したように、照明装置200の昇圧制御回路250は、降圧回路240の二次側から電力を受け取る。このように構成することにより、照明装置200は、降圧制御回路260から降圧回路240を停止させる場合、昇圧回路230の動作を併せて停止させることができる。また、消灯回路270から昇圧制御回路250と降圧制御回路260との両方を停止させる場合と比べて、回路の構成を簡易にすることができる。
【0065】
照明装置200を点灯させる場合、照明装置200は、電源系統210と整流回路220との間に設けられている図示しないスイッチをONする。これにより、商用電源から整流回路に交流電力が供給される。
【0066】
整流回路220は、交流電力を直流電力に変換する。整流回路220から出力される電圧は、始動回路290の抵抗R1、及び抵抗R2に印加される。抵抗R1、及び抵抗R2により分圧された電圧は、降圧回路240のトランジスタTr3のベースに印加される。トランジスタTr3は、ベースに印加される電圧により電流路をONする。
【0067】
これにより、整流回路220から出力される電流は、リアクトルL5に流れる。リアクトルL6は、リアクトルL5を電流が流れることにより発生する磁束を受けて電力を生成し、降圧回路240の二次側に供給する。これにより、LED280が点灯する。
【0068】
また、リアクトルL7は、リアクトルL5を電流が流れることにより発生する磁束を受けて電力を生成し、電力を昇圧制御回路250に供給する。リアクトルL8は、リアクトルL5を電流が流れることにより発生する磁束を受けて電力を生成し、電力を降圧制御回路260に供給する。これにより、昇圧制御回路250及び降圧制御回路260は、動作する。この結果、昇圧回路230、及び降圧回路240は通常の動作を開始する。
【0069】
また、上記した実施形態では、消灯回路170は降圧制御回路160に消灯信号を入力することにより、降圧回路140の動作を停止させる構成について説明したが、この構成に限定されない。消灯回路170から出力する制御信号を用いて降圧回路140を停止させる構成であってもよい。
【0070】
図3は、本発明の他の実施形態に係る照明装置100の構成例について説明する為の説明図である。なお、図1に示す構成と同様の構成には同じ参照を付し、詳細な説明を省略する。
【0071】
図3に示す照明装置100は、トランジスタTr2のベースとトランジスタTr2のエミッタとの間にトランジスタTr4を備える。トランジスタTr2のベースは、トランジスタTr4のコレクタに接続されている。また、トランジスタTr4のエミッタは、トランジスタTr2のエミッタに接続されている。また、トランジスタTr4のベースは、消灯回路170に接続されている。
【0072】
消灯回路170は、消灯信号をトランジスタTr4のベースに出力する。トランジスタTr4は、消灯信号がベースに入力される場合、コレクターエミッタ間の電流路をONする。コレクターエミッタ間の電流路がONする場合、トランジスタTr2のベースが短絡する為、トランジスタTr2がOFFする。これにより、降圧制御回路160からトランジスタTr2に入力される制御信号が入力されない状態になる為、降圧回路140の動作が停止する。
【0073】
即ち、消灯回路170は、トランジスタTr4をONすることにより、トランジスタTr2をOFFし、降圧回路140を停止させることができる。これにより、消灯回路170は、降圧回路140と昇圧回路130とを併せて停止させることができる。この構成によると、消灯回路170により降圧回路140の動作を停止させることができる為、降圧制御回路160を簡易な構成にすることができる。
【0074】
なお、トランジスタTr4のエミッタは、トランジスタTr2のエミッタに接続されているとして説明したが、この構成に限定されない。トランジスタTr4のエミッタは、トランジスタTr2のベース以外であれば如何なる箇所に接続されていても良い。例えば、トランジスタTr4のエミッタは、GNDに接続されていても良い。
【0075】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100…照明装置、110…電力系統、120…整流回路、130…昇圧回路、140…降圧回路、150…昇圧制御回路、160…降圧制御回路、170…消灯回路、180…LED、190…始動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力生成手段と;
前記直流電力生成手段により供給される電源電圧を昇圧する昇圧手段と;
前記昇圧手段の動作を制御する昇圧制御手段と;
前記昇圧手段により昇圧した電圧を降圧する降圧手段と;
前記降圧手段の動作を制御し、前記半導体発光素子に流れる電流を制御する降圧制御手段と;
前記降圧手段の出力から前記昇圧制御手段に電力を供給する電力供給手段と;
消灯信号が入力されると、前記降圧手段の動作を停止させて前記降圧手段からの出力を停止する消灯手段と;
を具備することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記前記直流電力生成手段により生成される直流電力を前記降圧手段に供給して前記降圧手段を始動させることにより、前記昇圧制御手段への電力の供給を開始する始動手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
半導体発光素子と;
請求項1又は2に記載の電源回路と;
前記電源回路が設けられる器具本体と、
を具備することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−171017(P2011−171017A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31788(P2010−31788)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】