電源回路及び電源システム
【課題】ZVSによる動作が可能な電源回路等を提供すること。
【解決手段】本発明の一形態の電源回路は、電源電位ノードと出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルL1と、出力電位ノードと直流電源11の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチS1と、出力電位ノードと接地電位ノードとの間に第1のスイッチS1と並列に接続された第1のコンデンサC3と、電源電位ノードと出力電位ノードとの間に第1のリアクトルL1と並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトルL2及び第2のスイッチS2と、出力電位ノードと接地電位ノードとの間に第1のスイッチS1及び第1のコンデンサC3と並列に接続された第2のコンデンサC2と、第1のスイッチS1の両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、第1のスイッチS1の状態変化を禁止させるように構成されたスイッチ制御回路と、を備える。
【解決手段】本発明の一形態の電源回路は、電源電位ノードと出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルL1と、出力電位ノードと直流電源11の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチS1と、出力電位ノードと接地電位ノードとの間に第1のスイッチS1と並列に接続された第1のコンデンサC3と、電源電位ノードと出力電位ノードとの間に第1のリアクトルL1と並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトルL2及び第2のスイッチS2と、出力電位ノードと接地電位ノードとの間に第1のスイッチS1及び第1のコンデンサC3と並列に接続された第2のコンデンサC2と、第1のスイッチS1の両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、第1のスイッチS1の状態変化を禁止させるように構成されたスイッチ制御回路と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及び電源システムに関し、特に、より適切なタイミングでソフトスイッチングを行うことが可能な電源回路及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧変換器として、直流(DC)電圧を昇圧または降圧するための電源回路であるDC−DCコンバータが知られている。DC−DCコンバータは、パーソナルコンピュータ、AV機器、携帯電話機、及び電源システム等の電気回路を含む電気機器に広く用いられている。近年では、燃料電池自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の電源システムにDC−DCコンバータが用いられる例もある。
【0003】
DC−DCコンバータは、例えば、トランジスタ等のスイッチング素子、リアクトル(コイル)、コンデンサ、及びダイオード等の電子部品を組み合わせて構成することができる。DC−DCコンバータには、スイッチング素子のソフトスイッチングによる動作を実現する共振型コンバータと呼ばれるものがある。共振型コンバータにおけるソフトスイッチングは、電流共振現象等を利用して、電圧及び電流の少なくとも一方をゼロとした状態でスイッチング素子を動作させることを可能にし、スイッチング素子の動作時における電力損失の低減を図るものである。従来の電流共振型DC−DCコンバータは、例えば特開2006−340476号公報(特許文献1)または国際公開第2006/098376号パンフレット(特許文献2)などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−340476号公報
【特許文献2】国際公開第2006/098376号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のDC−DCコンバータでは、スイッチング素子をソフトスイッチングにより動作させる際に、リアクトルやコンデンサなどの電子部品の特性がばらつくことを十分に考慮していなかった。そのため、当該電子部品の特性のばらつきにより、適切なZVS(Zero Voltage Switching:ゼロボルトスイッチング)ができず、電力損失を生じることがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決する電源回路等を提供することを一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題等を解決するために、本発明の一形態である電源回路は、直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、前記第1のスイッチの両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチの状態変化を禁止させるように構成されたスイッチ制御回路と、を備える。
【0008】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧が減少状態であると判定した場合には、第1のスイッチの状態変化が起こらないようにする。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。
【0009】
また、本発明の一形態である電源回路は、直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、前記第1のスイッチの両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されたスイッチ制御回路と、を備える構成としてもよい。
【0010】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、第1のスイッチの状態変化が起こるようにする。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。また、第1のスイッチの両端の電圧が増加状態である場合に第1のスイッチを導通状態から非導通状態へと変化させたとしても、その時点以降において第1のスイッチの両端の電圧が減少することはないことを考慮すると、やはり無駄な電力の損失を抑制することができる。
【0011】
また、上記電源回路において、前記第2のコンデンサの両端の電圧を測定する第2の電圧測定部をさらに備え、前記スイッチ制御回路は、前記第2の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0012】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧を直接測定することなく、当該第1のスイッチの両端の電圧と同様に変化する第2のコンデンサの両端の電圧の測定結果に基づいて第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0013】
また、上記電源回路において、前記第1のスイッチの両端の電圧を測定する第1の電圧測定部をさらに備え、前記スイッチ制御回路は、前記第1の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0014】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧を直接測定しながら、当該測定結果に基づいて第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0015】
また、上記電源回路において、前記第1のリアクトルに流れる電流と前記第2のリアクトルに流れる電流とを測定する電流測定部をさらに備え、前記スイッチ制御回路は、前記第2のリアクトルに流れる電流が、前記第1のリアクトルに流れる電流より低くなる前に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されていることが好ましい。
【0016】
第1のリアクトルを流れる電流が第2のリアクトルを流れる電流より高くなると、第2のコンデンサに再度電荷の蓄積が始まり、第2のコンデンサの両端の電圧が高くなり始める。第2のコンデンサの両端の電圧が高くなると、第1のスイッチの両端の電圧も同様に高くなる。第1のスイッチの電圧が高くなった状態で、第1のスイッチを非導通状態から導通状態に変化させると、ZVSによる動作ではないために電力の損失が生じる。
【0017】
上記構成の電源回路によれば、第2のリアクトルに流れる電流が第1のリアクトルに流れる電流より低くなる前に、第1のスイッチを非導通状態から導通状態へと変化させる。これによって、第1のスイッチの両端の電圧が上昇することで電源回路がZVSによる動作でなくなることを回避することができる。すなわち、第2のコンデンサに電荷が蓄積されることにより第1のスイッチの両端の電圧が上昇し、電源回路がZVSによる動作でなくなることを防止することができる。
【0018】
また、上記電源回路において、前記第2のリアクトル及び前記第2のスイッチのいずれか一方並びに前記第2のコンデンサが接続された第1ノードにカソードが接続され、前記出力電位ノードにアノードが接続された第1のダイオードをさらに備えることが好ましい。
【0019】
また、上記電源回路において、前記第2のリアクトルにアノードが接続され、前記第2のスイッチにカソードが接続された第2のダイオードをさらに備えることが好ましい。
【0020】
かかる構成の電源回路によれば、第2のリアクトルに電源電位ノードから出力電位ノードに向かう方向に意図せず電流が逆流することにより、第2のコンデンサに電荷が蓄積されることを防止することができる。
【0021】
また、本発明によれば、上記いずれかの電源回路と直流電源とを備える電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る電源システム及び当該電源システムを搭載した車両の構成例を示す模式図。
【図2】実施形態に係る電源回路の構成例を示す図。
【図3】実施形態に係る電源回路の動作時における各部の信号波形を重ねて表示した図。
【図4】実施形態に係る電源回路の動作時における各部の信号波形を並べて表示した図。
【図5】実施形態に係る電源回路の第1の動作状態を示す図。
【図6】実施形態に係る電源回路の第2の動作状態を示す図。
【図7】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第1の波形図。
【図8】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第2の波形図。
【図9】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第3の波形図。
【図10】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第4の波形図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る一実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下の実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付してその説明を省略する。
1.定義
2.電源システムを搭載した車両の構成例
3.電源回路の構成例
4.電源回路の動作例
5.電源回路の制御の一例
6.まとめ
7.補足
【0024】
<1.定義>
まず、本明細書における用語を以下のとおり定義する。
【0025】
「ソフトスイッチング」:電圧及び電流の少なくとも一方をゼロとした状態でスイッチング素子を動作させることを可能にし、スイッチング素子の動作時における電力損失の低減を図るものであり、ZVS(ゼロボルトスイッチング)とZCS(ゼロカレントスイッチング)を含む。
【0026】
<2.電源システムを搭載した車両の構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る電源システム10及び当該電源システム10を搭載した車両1の構成例を模式的に示す図である。
【0027】
電源システム10は、例示的に、燃料電池(FC)11を有する燃料電池システムであり、車両1は、燃料電池システム10を駆動電力の供給源とする電気機器の一例としての燃料電池自動車である。なお、車両1は、電気自動車やハイブリッド自動車を含んでもよい。
【0028】
<車両1>
車両1は、駆動輪2を駆動するモータ16、電子制御ユニット(ECU)20、及びアクセルペダルの開度を検出するアクセルペダルセンサ21等を備えて構成される。アクセルペダルセンサ21は、ECU20に電気的に接続されており、例えば、ECU20は、検出したアクセスペダルの開度に応じてモータ16(駆動輪2)の回転速度を制御可能に構成される。
【0029】
<燃料電池システム10>
燃料電池システム10は、前記燃料電池(FC)11のほか、非限定的な一例として、FC昇圧コンバータ12、バッテリ13、バッテリ昇圧コンバータ14、及びインバータ15等を備える。
【0030】
<燃料電池(FC)11>
FC11は、電気化学反応を利用して発電する装置である。FC11には、固体高分子型、燐酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、またはアルカリ電解質型等の種々のタイプの燃料電池を適用可能である。FC11が発電した電力は、車両1の駆動輪2を駆動するモータ16の駆動電力や、バッテリ13の充電に用いられる。
【0031】
<バッテリ13>
バッテリ13は、充放電可能な二次電池であり、リチウムイオン、ニッケル水素、またはニッケルカドミウム等の種々のタイプの二次電池を適用可能である。バッテリ13は、車両1やFC11の運転時に使用される種々の電気機器に電力を供給することができる。ここでいう電気機器には、例えば、車両1の照明機器、空調機器、油圧ポンプ、FC11の燃料ガスや改質原料を供給するポンプ、または改質器の温度を調整するヒータ等が含まれる。
【0032】
これらのFC11及びバッテリ13は、図1に例示するように、インバータ15に対して電気的に並列に接続されている。
【0033】
<FC昇圧コンバータ12>
FC11からインバータ15に至る電気経路には、FC昇圧コンバータ12が設けられている。FC昇圧コンバータ12は、入力の直流(DC)電圧を昇圧するDC−DCコンバータであり、FC11で発生したDC電圧を変換可能な範囲で所定のDC電圧に変換(例えば昇圧)して、インバータ15に印加することができる。このようにFC11の電圧をFC昇圧コンバータによって昇圧することにより、FC11の出力電圧が低くても、モータ16の駆動に要する高い電圧を確保することが可能となる。
【0034】
<バッテリ昇圧コンバータ14>
一方、バッテリ13からインバータ15に至る電気経路には、バッテリ昇圧コンバータ14が、FC昇圧コンバータ12とインバータ15との間の電気経路に対して並列に接続されている。当該バッテリ昇圧コンバータ14も、DC−DCコンバータであり、バッテリ13又はインバータ15から印加されたDC電圧を変換可能な範囲で所定のDC電圧に変換することができる。
【0035】
バッテリ昇圧コンバータ14には、昇圧及び降圧の双方を可能な昇降圧型のコンバータを適用でき、例えば、バッテリ13からの入力DC電圧を変換(昇圧)してインバータ15側に出力する一方、FC11又はモータ16からの入力DC電圧を変換(降圧)してバッテリ13に出力することが可能である。これにより、バッテリ13の充放電が可能となる。
【0036】
また、バッテリ昇圧コンバータ14は、出力電圧が制御されることで、インバータ15の端子電圧を制御することが可能である。当該制御は、インバータ15に対して並列に接続されたFC11及びバッテリ13の各電源の相対的な出力電圧差を制御して、両者の電力を適切に使い分けることを可能にする。
【0037】
<インバータ15>
インバータ15は、FC11からFC昇圧コンバータ12を介して、また、バッテリ13からバッテリ昇圧コンバータ14を介して、DC電圧の入力を受け、当該入力DC電圧を交流(AC)電圧に変換し、これをモータ16の駆動電圧として供給する。その際、ECU20は、要求動力に応じたAC電圧がモータ16に供給されるよう、インバータ15のスイッチング動作を制御する。
【0038】
<電子制御ユニット(ECU)20>
ECU20は、既述の制御のほか、車両1及び燃料電池システム10の動作(運転)を統括的に制御する。ECU20は、例示的に、演算処理装置の一例としてのCPU、記憶装置の一例としてのRAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータとして実現できる。ECU20は、モータ16や燃料電池システム10の各要素、種々のセンサ群と電気的に接続され、各種センサ値の受信、演算処理、指令(制御信号)の送信等を適宜に実施する。センサ群には、アクセルペダルセンサ21のほか、例示的に、バッテリ13の充電状態(SOC:State Of Charge)を検出するSOCセンサ、及び車速(モータ16の回転数)を検出する車速センサ等が含まれ得る。また、ECU20はFC昇圧コンバータ12におけるスイッチング動作などを制御可能に構成されている。
【0039】
<3.電源回路の構成例>
次に、本実施形態における電源回路の一例であるFC昇圧コンバータ12について説明する。図2は、当該FC昇圧コンバータ12の具体的な構成例を示す図である。図2に示すFC昇圧コンバータ12は、主回路12a及び補助回路12bを備え、直流電源としてのFC11から電圧を入力され、インバータ15(モータ16)側へ電圧を出力するよう構成される。
【0040】
<主回路12a>
主回路12aは、メインスイッチS1及び逆並列ダイオードD4を含むスイッチ回路、リアクトル(コイル)L1、出力ダイオードD5、入力コンデンサC1、及び出力コンデンサC3を備える。主回路12aにおいて、リアクトルL1は、FC11の高電位側に接続された電源電位ノードと、負荷であるインバータ15(モータ16)に接続された出力電圧ノードとの間に接続される。出力ダイオードD5は、リアクトルL1と直列に接続され、そのアノードはリアクトルL1に、カソードは出力電位ノードに接続される。メインスイッチS1は、出力ダイオードD5のアノード及びリアクトルL1の接続点と、FC11の低電位側に接続された接地電位(GND)との間に接続される。また、出力ダイオードD5のアノードとFC11の低電位側に接続された接地電位との間には、メインスイッチS1と並列に逆並列ダイオードD4が接続される。ここで、逆並列ダイオードD4のアノードは接地電位側に、カソードは出力ダイオードD5のアノードに接続される。入力コンデンサC1は、電源電位ノードと接地電位ノードとの間に接続される。当該入力コンデンサC1は、その両端に印加される入力電圧(電源電圧)を平滑化してリプルを低減する。出力コンデンサC3は、出力電位ノードと接地電位ノードとの間に接続される。当該出力コンデンサC3は、電源回路12からの出力電圧を平滑化して変動を低減する。
【0041】
上記のような構成の主回路12aは、メインスイッチS1のスイッチングにより導通状態及び非導通状態が周期的に変化されることにより、リアクトルL1に流れる電流量に応じたリアクトルL1の電気エネルギーの蓄積及び解放を周期的に繰り返す。リアクトルL1から解放された電気エネルギーは、FC11の出力電圧に重畳されて、負荷であるモータ16(インバータ15)側に出力ダイオードD5経由で出力される。これにより、主回路12aは、FC11から入力された直流電圧VLを所定の出力電圧VHに昇圧する。
【0042】
メインスイッチS1には、非限定的な一例として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を適用可能である。この場合、メインスイッチS1の一方の電極(例えばコレクタ)がリアクトルL1と出力ダイオードD5との間の電気経路に並列接続されるとともに、他方の電極(例えばエミッタ)が、FC11の低電位側(接地電位ノード)に接続される。そして、メインスイッチS1のゲート電極にパルス幅変調(PWM)信号等のスイッチ制御信号(ゲート電圧)が与えられることで、メインスイッチS1の導通状態及び非導通状態が制御される。また、スイッチ制御信号のデューティ比を制御することで、出力ダイオードD5へ向かう方向にリアクトルL1に流れる平均的な電流量を制御して、昇圧コンバータ12の昇圧度を変化させることができる。スイッチ制御信号は、例えばECU20に含まれるスイッチ制御回路等によって生成される。
【0043】
<補助回路12b>
補助回路12bは、回生ダイオードD3、リアクトル(コイル)L2、スナバ逆流防止ダイオードD2、補助スイッチS2及び逆並列ダイオードD1を含むスイッチ回路、並びに共振コンデンサC2を備える。補助回路12bにおいて、出力ダイオードD5のアノード及びリアクトルL1の接続点と入力電圧ノードとの間には、回生ダイオードD3、リアクトルL2、スナバ逆流防止ダイオードD2、及び補助スイッチS2が、順に、直列に接続される。また、逆並列ダイオードD1は、補助スイッチS2と並列に接続され、カソードがスナバ逆流防止ダイオードD2のカソードに、アノードが電源電位ノードに接続される。回生ダイオードD3は、アノードが出力ダイオードD5のアノードとリアクトルL1との接続点に、カソードがリアクトルL2及び共振コンデンサC2のそれぞれの一方の電極と接続される。スナバ逆流防止ダイオードD2は、アノードがリアクトルL2と、カソードが補助スイッチS2の一方の電極及び逆並列ダイオードD1のカソードと接続される。共振コンデンサC2は、回生ダイオードD3のカソード及びリアクトルL2の一方の電極と接地電位ノードとの間に接続される。なお、リアクトルL2、及び補助スイッチS2と逆並列ダイオードD1とを含むスイッチ回路の接続位置とは、互いに入れ替えてもよい。
【0044】
上記のような構成の補助回路12bは、補助スイッチS2を導通状態にすることで、リアクトルL2及び共振コンデンサC2によるLC共振現象が発生する。当該LC共振現象を利用することで、メインスイッチS1及び補助スイッチS2のソフトスイッチングを実現することができる。
【0045】
<4.電源回路の動作例>
上記のとおり構成された電源回路としてのFC昇圧コンバータ12において、ソフトスイッチング動作に基づく昇圧動作の1サイクルは、例えば以下のようにモード1〜モード6の状態遷移で表すことができる。以下、図3乃至図6を参照しながら具体的に説明する。
【0046】
<初期状態>
メインスイッチS1及び補助スイッチS2がともに非導通状態の初期状態では、図3中に点線で示す経路で電流が通流し、インバータ15(モータ16)側に電力が供給される。
【0047】
<モード1>
図3に示すように、初期状態から、メインスイッチS1は非導通状態のまま、補助スイッチS2が非導通状態から導通状態へと変化すると、出力ダイオードD5に蓄積していた電荷が回生ダイオードD3、リアクトルL2、及び補助スイッチS2を経由して入力コンデンサC1へ流れて消滅させられる(ソフトターンオフ)。一方、FC11側からリアクトルL1及び出力ダイオードD5を経由して流れていた電流が、補助回路12b側に徐々に移行していく。図3中の矢印100はその様子を表現している。これにより、補助回路12bには、図3に示すように、リアクトルL1、回生ダイオードD3、リアクトルL2、スナバ逆流防止ダイオードD2、及び補助スイッチS2の経路で電流200が還流する。
【0048】
ここで、図4は、実施形態に係る電源回路の動作時における各部の信号波形を示す波形図である。図4では、リアクトルL2に流れる電流を示すL2電流、回生ダイオードD3に流れる電流を示すD3電流、リアクトルL1に流れる電流を示すL1電流、メインスイッチS1に流れる電流を示すS1電流、共振コンデンサC2に流れる電流を示すC2電流、及び共振コンデンサC2に流れる電圧を示すC2電圧の波形がそれぞれ示されている。
【0049】
図5は、図4に示した各部の電流または電圧の波形を、それぞれ縦に並べて表示した波形図である。
【0050】
図4及び図5に示すように、モード1の期間(時間T0〜T1の期間)において、リアクトルL2及び補助スイッチS2に流れる電流(L2電流)は、リアクトルL2の両端電圧(VH−VL)とリアクトルL2のインダクタンス値とに応じて増加する。
【0051】
<モード2>
その後、例えば図6中に実線300で示すように、共振コンデンサC2に蓄積されていた電荷がリアクトルL2側へ徐々に放電され、電流がリアクトルL2、補助スイッチS2及び入力コンデンサC1の経路で通流する。これにより、リアクトルL2及び共振コンデンサC2によるLC共振現象が発生し、共振コンデンサC2の両端電圧が正弦波状に正から零へ徐々に減少する(図4及び図5の時間T1〜T2参照)。補助スイッチS2がONとなる瞬間(図4及び図5の時間T1)において、補助スイッチS2は零電流なのでソフトスイッチングでターンオンすることになる。
【0052】
<モード3>
共振コンデンサC2の電荷がすべて放電されて共振コンデンサC2の電圧が零となった後(図4及び図5の時間T2参照)、リアクトルL2に流れるL2電流がリアクトルL1に流れるL1電流よりも低くなる前のタイミング(例えば図4及び図5の時間T3参照)でメインスイッチS1をONする。すると、補助回路12bを還流していた電流がメインスイッチS1を通流し始め、メインスイッチS1に流れるS1電流が、一度低下した後、徐々に増加していく。なお、メインスイッチS1をONするタイミングは、リアクトルL2に流れるL2電流がリアクトルL1に流れるL1電流よりも低くなる前のタイミングであればよいので、図4に示す時間T2から時間T4の範囲の任意のタイミングを選択可能である。
【0053】
<モード4>
この時、メインスイッチS1は、零電流及び零電圧からのターンオンとなる。メインスイッチS1が導通状態であることにより、メインスイッチS1、FC11、及びリアクトルL1の経路で電流が通流し、リアクトルL1に電気エネルギーが徐々に蓄積されていく。このとき、補助回路12bには電流は流れないので、共振コンデンサC2に対する充電は行なわれず、共振コンデンサC2の電圧は零電圧のままである(図4及び図5参照)。
【0054】
<モード5>
その後、メインスイッチS1及び補助スイッチS2をともに非導通状態にする。両スイッチS1及びS2は、同時に非導通状態にしてもよいし、補助スイッチS2を先に非導通状態にしてもよい。この時、共振コンデンサC2の電圧が零であるから、補助スイッチS2は、零電流及び零電圧からのターンオフ、メインスイッチS1は、零電圧からのターンオフとなる。メインスイッチS1が非導通状態になることにより、リアクトルL1に流れていた電流は、回生ダイオードD3、共振コンデンサC2、FC11、及びリアクトルL1の経路で流れ始め、共振コンデンサC2への充電が始まる。共振コンデンサC2への充電により、メインスイッチS1が非導通状態になる時の電圧上昇速度が抑制され、テール電流が存在する領域での損失を低減することが可能となる。
【0055】
<モード6>
共振コンデンサC2が出力電圧VHと同電圧になるまで充電されると、出力ダイオードD5が導通し、リアクトルL1にそれまでに蓄積された電気エネルギーがインバータ15(モータ16)側へ供給される。その後、補助スイッチS2が再度導通状態となり、モード1から次のサイクルが開始する。
【0056】
<5.電源回路の制御の一例>
次に、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12における、メインスイッチS1及び補助スイッチS2の制御について、図7乃至図10を参照し具体例を挙げながら説明する。ここで、本実施形態の特徴のひとつは、メインスイッチS1の電圧が零になっている状態で、メインスイッチS1を導通状態から非導通状態へと変化させ、FC昇圧コンバータ12がZVSによる動作をするように制御する点である。なお、当該メインスイッチS1及び補助スイッチS2の状態変化は、ECU20に含まれるスイッチ制御回路によって制御される。
【0057】
図7は、メインスイッチS1におけるZVSが行われているFC昇圧コンバータ12の動作例における、メインスイッチS1のゲート電圧(S1ゲート電圧)、補助スイッチS2のゲート電圧(S2ゲート電圧)、及びメインスイッチS1の両端の電圧(S1電圧)の時間変化を示す波形の概念図である。なお、本実施形態では一例として、メインスイッチS1及び補助スイッチS2はそれぞれ電圧がHiであれば導通状態となり、Loであれば非導通状態となるものとする。
【0058】
図7に示すように、時間T1において補助スイッチS2がHiになり導通状態になる。このとき、メインスイッチS1はLoであり非導通状態である。補助スイッチS2が導通状態になると、メインスイッチS1の両端に印加される電圧は徐々に減少し、時間T2において零となる。つまり、メインスイッチS1をZVSにより動作させるためには、メインスイッチS1の両端の電圧が零になる時間T2以降にメインスイッチS1を導通させる必要がある。ここで、メインスイッチS1のゲート電圧及び補助スイッチS2のゲート電圧を制御するスイッチ制御回路は所定のクロックにより動作しているため、スイッチ制御回路は時間T11〜T19のいずれかのタイミングでメインスイッチS1のゲート電圧及び補助スイッチS2のゲート電圧を変化させることができる。上記のように、時間T1〜T2の間にメインスイッチS1を導通させるとZVSによる動作にならないため、スイッチ制御回路は、この時間T1〜T2においてメインスイッチS1のゲート電圧を変化させず、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させることを禁止する。そして、スイッチ制御回路は、時間T2以降のタイミングである、例えば時間T14でメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。
【0059】
このとき、スイッチ制御回路は、いくつかの方法により、メインスイッチS1の両端の電圧の状態を検出することができる。第1の方法は、メインスイッチS1の両端の電圧を測定する第1の電圧測定部を設ける方法である。第2の方法は、メインスイッチS1の両端の電圧が零になる状態では、共振コンデンサC2の両端の電圧も零となることを利用し、共振コンデンサC2の両端の電圧を測定する第2の電圧測定部を設ける方法である。スイッチ制御回路は、この第1の電圧測定部または第2の電圧測定部の測定結果に基づいて、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であるか否かを判定する。そして、スイッチ制御回路は、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であると判定した場合はメインスイッチS1の状態変化を禁止し、不変状態または増加状態であると判定した場合はメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。なお、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であるか否かは、メインスイッチS1の両端の電圧または共振コンデンサC2の両端の電圧の時間変化を測定し、その電圧の傾きがプラスかマイナスかによって判定するなどの方法を用いることができる。このようにスイッチ制御回路がメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御することにより、上記のようにFC昇圧コンバータ12をZVSにより動作させることが可能となる。
【0060】
ここで、仮にメインスイッチS1におけるZVSが適切に行われない場合、FC昇圧コンバータ12の各部における電圧の波形は図8のようになる。図8に示す例では、メインスイッチS1は、その両端の電圧が未だ零にならず、減少中である時間T13において非導通状態から導通状態へと変化している。このようにメインスイッチS1が非導通状態から導通状態へと変化するとZVSによる動作が適切に行われず、消費電力が高くなってしまう。
【0061】
次に、スイッチ制御回路がメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させるタイミングが遅くなった例について、図9を参照しながら説明する。
【0062】
FC昇圧コンバータ12において、リアクトルL1の電流及びリアクトルL2の電流は図4及び図5に示すように変化する。ここで、メインスイッチS1が非導通状態のままリアクトルL1の電流がリアクトルL2の電流よりも低くなると、共振コンデンサC2への充電が開始され、共振コンデンサC2の両端の電圧が上昇を始める。図9はこの状態を示す各部の波形図である。図9において、波線はメインスイッチS1が非導通状態から導通状態へと変化させられなかった場合のメインスイッチS1の両端の電圧を示す。また、時間T3はリアクトルL1の電流及びリアクトルL2の電流が同じ値になったタイミングである。図9では、スイッチ制御回路は時間T18においてメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させており、時間T3から上昇を開始したメインスイッチS1の両端の電圧が、時間T18から減少し始めていることが分かる。
【0063】
そこで、本実施形態におけるFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL1に流れる電流及びリアクトルL2に流れる電流を測定可能な電流測定部を設け、それぞれの電流を測定する。そして、スイッチ制御回路は、当該電流測定部の測定結果に基づいて、リアクトルL2に流れる電流がリアクトルL1に流れる電流よりも低くなる前に、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。
【0064】
ここで、仮にリアクトルL2の電流がリアクトルL1の電流よりも低くなるまでメインスイッチS1が非導通状態のままであった場合、それ以降のタイミングでリアクトルL2の電流が上昇することなどでメインスイッチS1の両端の電圧が零になることはない。よって、リアクトルL2の電流がリアクトルL1の電流よりも低い状態であったとしてもメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。そして、次回、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させるタイミングで、前回のタイミングよりも早いタイミングでメインスイッチS1の状態を変化させる。具体的には、図9に示すように時間T18でメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させた場合、次回は図10に示すように時間T17でメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。
【0065】
このように制御することで、あるタイミングではメインスイッチS1の両端の電圧が上昇しているタイミングでメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させたとしても、次回のタイミングではメインスイッチS1の両端の電圧が上昇する前のタイミングでメインスイッチS1の状態を変化させることができる。
【0066】
<6.まとめ>
上記実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL1、メインスイッチS1、出力コンデンサC3、リアクトルL2、補助スイッチS2、共振コンデンサC2、及びECU20に含まれるスイッチ制御回路を備える。そして、スイッチ制御回路は、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、当該メインスイッチS1の状態変化を禁止させるように構成されている。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。
【0067】
また、上記実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12のスイッチ制御回路は、メインスイッチS1の両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されてもよい。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、共振コンデンサC2の両端の電圧を測定する第2の電圧測定部をさらに備え、スイッチ制御回路は、当該第2の電圧測定部の測定結果に基づいてメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されている。これによれば、メインスイッチS1の両端の電圧と同様に変化する共振コンデンサC2の両端の電圧の測定結果に基づいて、メインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0069】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、メインスイッチS1の両端の電圧を測定する第1の電圧測定部をさらに備え、スイッチ制御回路は、当該第1の電圧測定部の測定結果に基づいてメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されている。これによれば、メインスイッチS1の両端の電圧を直接測定しながら、当該測定結果に基づいてメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0070】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL1に流れる電流とリアクトルL2に流れる電流とを測定する電流測定部をさらに備える。そして、スイッチ制御回路は、リアクトルL2に流れる電流が、リアクトルL1に流れる電流より低くなる前に、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されている。これによれば、メインスイッチS1の両端の電圧が上昇することで電源回路がZVSによる動作でなくなることを回避することができる。
【0071】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL2にアノードが接続され、補助スイッチS2にカソードが接続されたスナバ逆流防止ダイオードD2をさらに備える。これによれば、リアクトルL2に電源電位ノードから出力電位ノードに向かう方向に意図せず電流が逆流することにより、共振コンデンサC2に電荷が蓄積されることを防止することができる。
【0072】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12、直流電源としてのFC11を備える電源システムに用いることが可能である。また、この電源システムは、図1に示すように車両などに搭載することが可能である。
【0073】
<7.補足>
上記実施形態では、メインスイッチS1及び補助スイッチS2は、いずれも電圧がHiのときに導通状態となり、Loのときに非導通状態となる例を挙げたが、これに限るものではない。すなわち、これらのスイッチは、電圧がLoのときに導通状態となり、Hiのときに非導通状態になるものでもよい。また、それぞれのスイッチにおいて電圧と導通・非導通状態が逆になっていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
C1……入力コンデンサ
C2……共振コンデンサ
C3……出力コンデンサ
D1……逆並列ダイオード
D2……スナバ逆流防止ダイオード
D3……回生ダイオード
D4……逆並列ダイオード
D5……出力ダイオード
L1……リアクトル
L2……リアクトル
S1……メインスイッチ
S2……補助スイッチ
T0〜T3・T11〜T19……時間
10……電源システム(燃料電池システム)
12……電源回路(昇圧コンバータ)
12a……主回路
12b……補助回路
13……バッテリ
14……バッテリ昇圧コンバータ
15……インバータ
16……モータ
21……アクセルペダルセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及び電源システムに関し、特に、より適切なタイミングでソフトスイッチングを行うことが可能な電源回路及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧変換器として、直流(DC)電圧を昇圧または降圧するための電源回路であるDC−DCコンバータが知られている。DC−DCコンバータは、パーソナルコンピュータ、AV機器、携帯電話機、及び電源システム等の電気回路を含む電気機器に広く用いられている。近年では、燃料電池自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の電源システムにDC−DCコンバータが用いられる例もある。
【0003】
DC−DCコンバータは、例えば、トランジスタ等のスイッチング素子、リアクトル(コイル)、コンデンサ、及びダイオード等の電子部品を組み合わせて構成することができる。DC−DCコンバータには、スイッチング素子のソフトスイッチングによる動作を実現する共振型コンバータと呼ばれるものがある。共振型コンバータにおけるソフトスイッチングは、電流共振現象等を利用して、電圧及び電流の少なくとも一方をゼロとした状態でスイッチング素子を動作させることを可能にし、スイッチング素子の動作時における電力損失の低減を図るものである。従来の電流共振型DC−DCコンバータは、例えば特開2006−340476号公報(特許文献1)または国際公開第2006/098376号パンフレット(特許文献2)などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−340476号公報
【特許文献2】国際公開第2006/098376号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のDC−DCコンバータでは、スイッチング素子をソフトスイッチングにより動作させる際に、リアクトルやコンデンサなどの電子部品の特性がばらつくことを十分に考慮していなかった。そのため、当該電子部品の特性のばらつきにより、適切なZVS(Zero Voltage Switching:ゼロボルトスイッチング)ができず、電力損失を生じることがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決する電源回路等を提供することを一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題等を解決するために、本発明の一形態である電源回路は、直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、前記第1のスイッチの両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチの状態変化を禁止させるように構成されたスイッチ制御回路と、を備える。
【0008】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧が減少状態であると判定した場合には、第1のスイッチの状態変化が起こらないようにする。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。
【0009】
また、本発明の一形態である電源回路は、直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、前記第1のスイッチの両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されたスイッチ制御回路と、を備える構成としてもよい。
【0010】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、第1のスイッチの状態変化が起こるようにする。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。また、第1のスイッチの両端の電圧が増加状態である場合に第1のスイッチを導通状態から非導通状態へと変化させたとしても、その時点以降において第1のスイッチの両端の電圧が減少することはないことを考慮すると、やはり無駄な電力の損失を抑制することができる。
【0011】
また、上記電源回路において、前記第2のコンデンサの両端の電圧を測定する第2の電圧測定部をさらに備え、前記スイッチ制御回路は、前記第2の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0012】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧を直接測定することなく、当該第1のスイッチの両端の電圧と同様に変化する第2のコンデンサの両端の電圧の測定結果に基づいて第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0013】
また、上記電源回路において、前記第1のスイッチの両端の電圧を測定する第1の電圧測定部をさらに備え、前記スイッチ制御回路は、前記第1の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0014】
かかる構成の電源回路によれば、第1のスイッチの両端の電圧を直接測定しながら、当該測定結果に基づいて第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0015】
また、上記電源回路において、前記第1のリアクトルに流れる電流と前記第2のリアクトルに流れる電流とを測定する電流測定部をさらに備え、前記スイッチ制御回路は、前記第2のリアクトルに流れる電流が、前記第1のリアクトルに流れる電流より低くなる前に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されていることが好ましい。
【0016】
第1のリアクトルを流れる電流が第2のリアクトルを流れる電流より高くなると、第2のコンデンサに再度電荷の蓄積が始まり、第2のコンデンサの両端の電圧が高くなり始める。第2のコンデンサの両端の電圧が高くなると、第1のスイッチの両端の電圧も同様に高くなる。第1のスイッチの電圧が高くなった状態で、第1のスイッチを非導通状態から導通状態に変化させると、ZVSによる動作ではないために電力の損失が生じる。
【0017】
上記構成の電源回路によれば、第2のリアクトルに流れる電流が第1のリアクトルに流れる電流より低くなる前に、第1のスイッチを非導通状態から導通状態へと変化させる。これによって、第1のスイッチの両端の電圧が上昇することで電源回路がZVSによる動作でなくなることを回避することができる。すなわち、第2のコンデンサに電荷が蓄積されることにより第1のスイッチの両端の電圧が上昇し、電源回路がZVSによる動作でなくなることを防止することができる。
【0018】
また、上記電源回路において、前記第2のリアクトル及び前記第2のスイッチのいずれか一方並びに前記第2のコンデンサが接続された第1ノードにカソードが接続され、前記出力電位ノードにアノードが接続された第1のダイオードをさらに備えることが好ましい。
【0019】
また、上記電源回路において、前記第2のリアクトルにアノードが接続され、前記第2のスイッチにカソードが接続された第2のダイオードをさらに備えることが好ましい。
【0020】
かかる構成の電源回路によれば、第2のリアクトルに電源電位ノードから出力電位ノードに向かう方向に意図せず電流が逆流することにより、第2のコンデンサに電荷が蓄積されることを防止することができる。
【0021】
また、本発明によれば、上記いずれかの電源回路と直流電源とを備える電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る電源システム及び当該電源システムを搭載した車両の構成例を示す模式図。
【図2】実施形態に係る電源回路の構成例を示す図。
【図3】実施形態に係る電源回路の動作時における各部の信号波形を重ねて表示した図。
【図4】実施形態に係る電源回路の動作時における各部の信号波形を並べて表示した図。
【図5】実施形態に係る電源回路の第1の動作状態を示す図。
【図6】実施形態に係る電源回路の第2の動作状態を示す図。
【図7】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第1の波形図。
【図8】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第2の波形図。
【図9】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第3の波形図。
【図10】実施形態に係る電源回路のスイッチングの制御に関する第4の波形図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る一実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下の実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付してその説明を省略する。
1.定義
2.電源システムを搭載した車両の構成例
3.電源回路の構成例
4.電源回路の動作例
5.電源回路の制御の一例
6.まとめ
7.補足
【0024】
<1.定義>
まず、本明細書における用語を以下のとおり定義する。
【0025】
「ソフトスイッチング」:電圧及び電流の少なくとも一方をゼロとした状態でスイッチング素子を動作させることを可能にし、スイッチング素子の動作時における電力損失の低減を図るものであり、ZVS(ゼロボルトスイッチング)とZCS(ゼロカレントスイッチング)を含む。
【0026】
<2.電源システムを搭載した車両の構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る電源システム10及び当該電源システム10を搭載した車両1の構成例を模式的に示す図である。
【0027】
電源システム10は、例示的に、燃料電池(FC)11を有する燃料電池システムであり、車両1は、燃料電池システム10を駆動電力の供給源とする電気機器の一例としての燃料電池自動車である。なお、車両1は、電気自動車やハイブリッド自動車を含んでもよい。
【0028】
<車両1>
車両1は、駆動輪2を駆動するモータ16、電子制御ユニット(ECU)20、及びアクセルペダルの開度を検出するアクセルペダルセンサ21等を備えて構成される。アクセルペダルセンサ21は、ECU20に電気的に接続されており、例えば、ECU20は、検出したアクセスペダルの開度に応じてモータ16(駆動輪2)の回転速度を制御可能に構成される。
【0029】
<燃料電池システム10>
燃料電池システム10は、前記燃料電池(FC)11のほか、非限定的な一例として、FC昇圧コンバータ12、バッテリ13、バッテリ昇圧コンバータ14、及びインバータ15等を備える。
【0030】
<燃料電池(FC)11>
FC11は、電気化学反応を利用して発電する装置である。FC11には、固体高分子型、燐酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、またはアルカリ電解質型等の種々のタイプの燃料電池を適用可能である。FC11が発電した電力は、車両1の駆動輪2を駆動するモータ16の駆動電力や、バッテリ13の充電に用いられる。
【0031】
<バッテリ13>
バッテリ13は、充放電可能な二次電池であり、リチウムイオン、ニッケル水素、またはニッケルカドミウム等の種々のタイプの二次電池を適用可能である。バッテリ13は、車両1やFC11の運転時に使用される種々の電気機器に電力を供給することができる。ここでいう電気機器には、例えば、車両1の照明機器、空調機器、油圧ポンプ、FC11の燃料ガスや改質原料を供給するポンプ、または改質器の温度を調整するヒータ等が含まれる。
【0032】
これらのFC11及びバッテリ13は、図1に例示するように、インバータ15に対して電気的に並列に接続されている。
【0033】
<FC昇圧コンバータ12>
FC11からインバータ15に至る電気経路には、FC昇圧コンバータ12が設けられている。FC昇圧コンバータ12は、入力の直流(DC)電圧を昇圧するDC−DCコンバータであり、FC11で発生したDC電圧を変換可能な範囲で所定のDC電圧に変換(例えば昇圧)して、インバータ15に印加することができる。このようにFC11の電圧をFC昇圧コンバータによって昇圧することにより、FC11の出力電圧が低くても、モータ16の駆動に要する高い電圧を確保することが可能となる。
【0034】
<バッテリ昇圧コンバータ14>
一方、バッテリ13からインバータ15に至る電気経路には、バッテリ昇圧コンバータ14が、FC昇圧コンバータ12とインバータ15との間の電気経路に対して並列に接続されている。当該バッテリ昇圧コンバータ14も、DC−DCコンバータであり、バッテリ13又はインバータ15から印加されたDC電圧を変換可能な範囲で所定のDC電圧に変換することができる。
【0035】
バッテリ昇圧コンバータ14には、昇圧及び降圧の双方を可能な昇降圧型のコンバータを適用でき、例えば、バッテリ13からの入力DC電圧を変換(昇圧)してインバータ15側に出力する一方、FC11又はモータ16からの入力DC電圧を変換(降圧)してバッテリ13に出力することが可能である。これにより、バッテリ13の充放電が可能となる。
【0036】
また、バッテリ昇圧コンバータ14は、出力電圧が制御されることで、インバータ15の端子電圧を制御することが可能である。当該制御は、インバータ15に対して並列に接続されたFC11及びバッテリ13の各電源の相対的な出力電圧差を制御して、両者の電力を適切に使い分けることを可能にする。
【0037】
<インバータ15>
インバータ15は、FC11からFC昇圧コンバータ12を介して、また、バッテリ13からバッテリ昇圧コンバータ14を介して、DC電圧の入力を受け、当該入力DC電圧を交流(AC)電圧に変換し、これをモータ16の駆動電圧として供給する。その際、ECU20は、要求動力に応じたAC電圧がモータ16に供給されるよう、インバータ15のスイッチング動作を制御する。
【0038】
<電子制御ユニット(ECU)20>
ECU20は、既述の制御のほか、車両1及び燃料電池システム10の動作(運転)を統括的に制御する。ECU20は、例示的に、演算処理装置の一例としてのCPU、記憶装置の一例としてのRAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータとして実現できる。ECU20は、モータ16や燃料電池システム10の各要素、種々のセンサ群と電気的に接続され、各種センサ値の受信、演算処理、指令(制御信号)の送信等を適宜に実施する。センサ群には、アクセルペダルセンサ21のほか、例示的に、バッテリ13の充電状態(SOC:State Of Charge)を検出するSOCセンサ、及び車速(モータ16の回転数)を検出する車速センサ等が含まれ得る。また、ECU20はFC昇圧コンバータ12におけるスイッチング動作などを制御可能に構成されている。
【0039】
<3.電源回路の構成例>
次に、本実施形態における電源回路の一例であるFC昇圧コンバータ12について説明する。図2は、当該FC昇圧コンバータ12の具体的な構成例を示す図である。図2に示すFC昇圧コンバータ12は、主回路12a及び補助回路12bを備え、直流電源としてのFC11から電圧を入力され、インバータ15(モータ16)側へ電圧を出力するよう構成される。
【0040】
<主回路12a>
主回路12aは、メインスイッチS1及び逆並列ダイオードD4を含むスイッチ回路、リアクトル(コイル)L1、出力ダイオードD5、入力コンデンサC1、及び出力コンデンサC3を備える。主回路12aにおいて、リアクトルL1は、FC11の高電位側に接続された電源電位ノードと、負荷であるインバータ15(モータ16)に接続された出力電圧ノードとの間に接続される。出力ダイオードD5は、リアクトルL1と直列に接続され、そのアノードはリアクトルL1に、カソードは出力電位ノードに接続される。メインスイッチS1は、出力ダイオードD5のアノード及びリアクトルL1の接続点と、FC11の低電位側に接続された接地電位(GND)との間に接続される。また、出力ダイオードD5のアノードとFC11の低電位側に接続された接地電位との間には、メインスイッチS1と並列に逆並列ダイオードD4が接続される。ここで、逆並列ダイオードD4のアノードは接地電位側に、カソードは出力ダイオードD5のアノードに接続される。入力コンデンサC1は、電源電位ノードと接地電位ノードとの間に接続される。当該入力コンデンサC1は、その両端に印加される入力電圧(電源電圧)を平滑化してリプルを低減する。出力コンデンサC3は、出力電位ノードと接地電位ノードとの間に接続される。当該出力コンデンサC3は、電源回路12からの出力電圧を平滑化して変動を低減する。
【0041】
上記のような構成の主回路12aは、メインスイッチS1のスイッチングにより導通状態及び非導通状態が周期的に変化されることにより、リアクトルL1に流れる電流量に応じたリアクトルL1の電気エネルギーの蓄積及び解放を周期的に繰り返す。リアクトルL1から解放された電気エネルギーは、FC11の出力電圧に重畳されて、負荷であるモータ16(インバータ15)側に出力ダイオードD5経由で出力される。これにより、主回路12aは、FC11から入力された直流電圧VLを所定の出力電圧VHに昇圧する。
【0042】
メインスイッチS1には、非限定的な一例として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を適用可能である。この場合、メインスイッチS1の一方の電極(例えばコレクタ)がリアクトルL1と出力ダイオードD5との間の電気経路に並列接続されるとともに、他方の電極(例えばエミッタ)が、FC11の低電位側(接地電位ノード)に接続される。そして、メインスイッチS1のゲート電極にパルス幅変調(PWM)信号等のスイッチ制御信号(ゲート電圧)が与えられることで、メインスイッチS1の導通状態及び非導通状態が制御される。また、スイッチ制御信号のデューティ比を制御することで、出力ダイオードD5へ向かう方向にリアクトルL1に流れる平均的な電流量を制御して、昇圧コンバータ12の昇圧度を変化させることができる。スイッチ制御信号は、例えばECU20に含まれるスイッチ制御回路等によって生成される。
【0043】
<補助回路12b>
補助回路12bは、回生ダイオードD3、リアクトル(コイル)L2、スナバ逆流防止ダイオードD2、補助スイッチS2及び逆並列ダイオードD1を含むスイッチ回路、並びに共振コンデンサC2を備える。補助回路12bにおいて、出力ダイオードD5のアノード及びリアクトルL1の接続点と入力電圧ノードとの間には、回生ダイオードD3、リアクトルL2、スナバ逆流防止ダイオードD2、及び補助スイッチS2が、順に、直列に接続される。また、逆並列ダイオードD1は、補助スイッチS2と並列に接続され、カソードがスナバ逆流防止ダイオードD2のカソードに、アノードが電源電位ノードに接続される。回生ダイオードD3は、アノードが出力ダイオードD5のアノードとリアクトルL1との接続点に、カソードがリアクトルL2及び共振コンデンサC2のそれぞれの一方の電極と接続される。スナバ逆流防止ダイオードD2は、アノードがリアクトルL2と、カソードが補助スイッチS2の一方の電極及び逆並列ダイオードD1のカソードと接続される。共振コンデンサC2は、回生ダイオードD3のカソード及びリアクトルL2の一方の電極と接地電位ノードとの間に接続される。なお、リアクトルL2、及び補助スイッチS2と逆並列ダイオードD1とを含むスイッチ回路の接続位置とは、互いに入れ替えてもよい。
【0044】
上記のような構成の補助回路12bは、補助スイッチS2を導通状態にすることで、リアクトルL2及び共振コンデンサC2によるLC共振現象が発生する。当該LC共振現象を利用することで、メインスイッチS1及び補助スイッチS2のソフトスイッチングを実現することができる。
【0045】
<4.電源回路の動作例>
上記のとおり構成された電源回路としてのFC昇圧コンバータ12において、ソフトスイッチング動作に基づく昇圧動作の1サイクルは、例えば以下のようにモード1〜モード6の状態遷移で表すことができる。以下、図3乃至図6を参照しながら具体的に説明する。
【0046】
<初期状態>
メインスイッチS1及び補助スイッチS2がともに非導通状態の初期状態では、図3中に点線で示す経路で電流が通流し、インバータ15(モータ16)側に電力が供給される。
【0047】
<モード1>
図3に示すように、初期状態から、メインスイッチS1は非導通状態のまま、補助スイッチS2が非導通状態から導通状態へと変化すると、出力ダイオードD5に蓄積していた電荷が回生ダイオードD3、リアクトルL2、及び補助スイッチS2を経由して入力コンデンサC1へ流れて消滅させられる(ソフトターンオフ)。一方、FC11側からリアクトルL1及び出力ダイオードD5を経由して流れていた電流が、補助回路12b側に徐々に移行していく。図3中の矢印100はその様子を表現している。これにより、補助回路12bには、図3に示すように、リアクトルL1、回生ダイオードD3、リアクトルL2、スナバ逆流防止ダイオードD2、及び補助スイッチS2の経路で電流200が還流する。
【0048】
ここで、図4は、実施形態に係る電源回路の動作時における各部の信号波形を示す波形図である。図4では、リアクトルL2に流れる電流を示すL2電流、回生ダイオードD3に流れる電流を示すD3電流、リアクトルL1に流れる電流を示すL1電流、メインスイッチS1に流れる電流を示すS1電流、共振コンデンサC2に流れる電流を示すC2電流、及び共振コンデンサC2に流れる電圧を示すC2電圧の波形がそれぞれ示されている。
【0049】
図5は、図4に示した各部の電流または電圧の波形を、それぞれ縦に並べて表示した波形図である。
【0050】
図4及び図5に示すように、モード1の期間(時間T0〜T1の期間)において、リアクトルL2及び補助スイッチS2に流れる電流(L2電流)は、リアクトルL2の両端電圧(VH−VL)とリアクトルL2のインダクタンス値とに応じて増加する。
【0051】
<モード2>
その後、例えば図6中に実線300で示すように、共振コンデンサC2に蓄積されていた電荷がリアクトルL2側へ徐々に放電され、電流がリアクトルL2、補助スイッチS2及び入力コンデンサC1の経路で通流する。これにより、リアクトルL2及び共振コンデンサC2によるLC共振現象が発生し、共振コンデンサC2の両端電圧が正弦波状に正から零へ徐々に減少する(図4及び図5の時間T1〜T2参照)。補助スイッチS2がONとなる瞬間(図4及び図5の時間T1)において、補助スイッチS2は零電流なのでソフトスイッチングでターンオンすることになる。
【0052】
<モード3>
共振コンデンサC2の電荷がすべて放電されて共振コンデンサC2の電圧が零となった後(図4及び図5の時間T2参照)、リアクトルL2に流れるL2電流がリアクトルL1に流れるL1電流よりも低くなる前のタイミング(例えば図4及び図5の時間T3参照)でメインスイッチS1をONする。すると、補助回路12bを還流していた電流がメインスイッチS1を通流し始め、メインスイッチS1に流れるS1電流が、一度低下した後、徐々に増加していく。なお、メインスイッチS1をONするタイミングは、リアクトルL2に流れるL2電流がリアクトルL1に流れるL1電流よりも低くなる前のタイミングであればよいので、図4に示す時間T2から時間T4の範囲の任意のタイミングを選択可能である。
【0053】
<モード4>
この時、メインスイッチS1は、零電流及び零電圧からのターンオンとなる。メインスイッチS1が導通状態であることにより、メインスイッチS1、FC11、及びリアクトルL1の経路で電流が通流し、リアクトルL1に電気エネルギーが徐々に蓄積されていく。このとき、補助回路12bには電流は流れないので、共振コンデンサC2に対する充電は行なわれず、共振コンデンサC2の電圧は零電圧のままである(図4及び図5参照)。
【0054】
<モード5>
その後、メインスイッチS1及び補助スイッチS2をともに非導通状態にする。両スイッチS1及びS2は、同時に非導通状態にしてもよいし、補助スイッチS2を先に非導通状態にしてもよい。この時、共振コンデンサC2の電圧が零であるから、補助スイッチS2は、零電流及び零電圧からのターンオフ、メインスイッチS1は、零電圧からのターンオフとなる。メインスイッチS1が非導通状態になることにより、リアクトルL1に流れていた電流は、回生ダイオードD3、共振コンデンサC2、FC11、及びリアクトルL1の経路で流れ始め、共振コンデンサC2への充電が始まる。共振コンデンサC2への充電により、メインスイッチS1が非導通状態になる時の電圧上昇速度が抑制され、テール電流が存在する領域での損失を低減することが可能となる。
【0055】
<モード6>
共振コンデンサC2が出力電圧VHと同電圧になるまで充電されると、出力ダイオードD5が導通し、リアクトルL1にそれまでに蓄積された電気エネルギーがインバータ15(モータ16)側へ供給される。その後、補助スイッチS2が再度導通状態となり、モード1から次のサイクルが開始する。
【0056】
<5.電源回路の制御の一例>
次に、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12における、メインスイッチS1及び補助スイッチS2の制御について、図7乃至図10を参照し具体例を挙げながら説明する。ここで、本実施形態の特徴のひとつは、メインスイッチS1の電圧が零になっている状態で、メインスイッチS1を導通状態から非導通状態へと変化させ、FC昇圧コンバータ12がZVSによる動作をするように制御する点である。なお、当該メインスイッチS1及び補助スイッチS2の状態変化は、ECU20に含まれるスイッチ制御回路によって制御される。
【0057】
図7は、メインスイッチS1におけるZVSが行われているFC昇圧コンバータ12の動作例における、メインスイッチS1のゲート電圧(S1ゲート電圧)、補助スイッチS2のゲート電圧(S2ゲート電圧)、及びメインスイッチS1の両端の電圧(S1電圧)の時間変化を示す波形の概念図である。なお、本実施形態では一例として、メインスイッチS1及び補助スイッチS2はそれぞれ電圧がHiであれば導通状態となり、Loであれば非導通状態となるものとする。
【0058】
図7に示すように、時間T1において補助スイッチS2がHiになり導通状態になる。このとき、メインスイッチS1はLoであり非導通状態である。補助スイッチS2が導通状態になると、メインスイッチS1の両端に印加される電圧は徐々に減少し、時間T2において零となる。つまり、メインスイッチS1をZVSにより動作させるためには、メインスイッチS1の両端の電圧が零になる時間T2以降にメインスイッチS1を導通させる必要がある。ここで、メインスイッチS1のゲート電圧及び補助スイッチS2のゲート電圧を制御するスイッチ制御回路は所定のクロックにより動作しているため、スイッチ制御回路は時間T11〜T19のいずれかのタイミングでメインスイッチS1のゲート電圧及び補助スイッチS2のゲート電圧を変化させることができる。上記のように、時間T1〜T2の間にメインスイッチS1を導通させるとZVSによる動作にならないため、スイッチ制御回路は、この時間T1〜T2においてメインスイッチS1のゲート電圧を変化させず、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させることを禁止する。そして、スイッチ制御回路は、時間T2以降のタイミングである、例えば時間T14でメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。
【0059】
このとき、スイッチ制御回路は、いくつかの方法により、メインスイッチS1の両端の電圧の状態を検出することができる。第1の方法は、メインスイッチS1の両端の電圧を測定する第1の電圧測定部を設ける方法である。第2の方法は、メインスイッチS1の両端の電圧が零になる状態では、共振コンデンサC2の両端の電圧も零となることを利用し、共振コンデンサC2の両端の電圧を測定する第2の電圧測定部を設ける方法である。スイッチ制御回路は、この第1の電圧測定部または第2の電圧測定部の測定結果に基づいて、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であるか否かを判定する。そして、スイッチ制御回路は、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であると判定した場合はメインスイッチS1の状態変化を禁止し、不変状態または増加状態であると判定した場合はメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。なお、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であるか否かは、メインスイッチS1の両端の電圧または共振コンデンサC2の両端の電圧の時間変化を測定し、その電圧の傾きがプラスかマイナスかによって判定するなどの方法を用いることができる。このようにスイッチ制御回路がメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御することにより、上記のようにFC昇圧コンバータ12をZVSにより動作させることが可能となる。
【0060】
ここで、仮にメインスイッチS1におけるZVSが適切に行われない場合、FC昇圧コンバータ12の各部における電圧の波形は図8のようになる。図8に示す例では、メインスイッチS1は、その両端の電圧が未だ零にならず、減少中である時間T13において非導通状態から導通状態へと変化している。このようにメインスイッチS1が非導通状態から導通状態へと変化するとZVSによる動作が適切に行われず、消費電力が高くなってしまう。
【0061】
次に、スイッチ制御回路がメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させるタイミングが遅くなった例について、図9を参照しながら説明する。
【0062】
FC昇圧コンバータ12において、リアクトルL1の電流及びリアクトルL2の電流は図4及び図5に示すように変化する。ここで、メインスイッチS1が非導通状態のままリアクトルL1の電流がリアクトルL2の電流よりも低くなると、共振コンデンサC2への充電が開始され、共振コンデンサC2の両端の電圧が上昇を始める。図9はこの状態を示す各部の波形図である。図9において、波線はメインスイッチS1が非導通状態から導通状態へと変化させられなかった場合のメインスイッチS1の両端の電圧を示す。また、時間T3はリアクトルL1の電流及びリアクトルL2の電流が同じ値になったタイミングである。図9では、スイッチ制御回路は時間T18においてメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させており、時間T3から上昇を開始したメインスイッチS1の両端の電圧が、時間T18から減少し始めていることが分かる。
【0063】
そこで、本実施形態におけるFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL1に流れる電流及びリアクトルL2に流れる電流を測定可能な電流測定部を設け、それぞれの電流を測定する。そして、スイッチ制御回路は、当該電流測定部の測定結果に基づいて、リアクトルL2に流れる電流がリアクトルL1に流れる電流よりも低くなる前に、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。
【0064】
ここで、仮にリアクトルL2の電流がリアクトルL1の電流よりも低くなるまでメインスイッチS1が非導通状態のままであった場合、それ以降のタイミングでリアクトルL2の電流が上昇することなどでメインスイッチS1の両端の電圧が零になることはない。よって、リアクトルL2の電流がリアクトルL1の電流よりも低い状態であったとしてもメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。そして、次回、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させるタイミングで、前回のタイミングよりも早いタイミングでメインスイッチS1の状態を変化させる。具体的には、図9に示すように時間T18でメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させた場合、次回は図10に示すように時間T17でメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させる。
【0065】
このように制御することで、あるタイミングではメインスイッチS1の両端の電圧が上昇しているタイミングでメインスイッチS1を非導通状態から導通状態へと変化させたとしても、次回のタイミングではメインスイッチS1の両端の電圧が上昇する前のタイミングでメインスイッチS1の状態を変化させることができる。
【0066】
<6.まとめ>
上記実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL1、メインスイッチS1、出力コンデンサC3、リアクトルL2、補助スイッチS2、共振コンデンサC2、及びECU20に含まれるスイッチ制御回路を備える。そして、スイッチ制御回路は、メインスイッチS1の両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、当該メインスイッチS1の状態変化を禁止させるように構成されている。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。
【0067】
また、上記実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12のスイッチ制御回路は、メインスイッチS1の両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されてもよい。これによって、電源回路を構成する電子部品の特性にばらつきがあった場合でも、ZVSにより電源回路を動作させることが可能となり、無駄な電力の損失を抑制することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、共振コンデンサC2の両端の電圧を測定する第2の電圧測定部をさらに備え、スイッチ制御回路は、当該第2の電圧測定部の測定結果に基づいてメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されている。これによれば、メインスイッチS1の両端の電圧と同様に変化する共振コンデンサC2の両端の電圧の測定結果に基づいて、メインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0069】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、メインスイッチS1の両端の電圧を測定する第1の電圧測定部をさらに備え、スイッチ制御回路は、当該第1の電圧測定部の測定結果に基づいてメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御するよう構成されている。これによれば、メインスイッチS1の両端の電圧を直接測定しながら、当該測定結果に基づいてメインスイッチS1の導通状態及び非導通状態を制御させることができる。
【0070】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL1に流れる電流とリアクトルL2に流れる電流とを測定する電流測定部をさらに備える。そして、スイッチ制御回路は、リアクトルL2に流れる電流が、リアクトルL1に流れる電流より低くなる前に、メインスイッチS1を非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されている。これによれば、メインスイッチS1の両端の電圧が上昇することで電源回路がZVSによる動作でなくなることを回避することができる。
【0071】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12は、リアクトルL2にアノードが接続され、補助スイッチS2にカソードが接続されたスナバ逆流防止ダイオードD2をさらに備える。これによれば、リアクトルL2に電源電位ノードから出力電位ノードに向かう方向に意図せず電流が逆流することにより、共振コンデンサC2に電荷が蓄積されることを防止することができる。
【0072】
また、本実施形態における電源回路としてのFC昇圧コンバータ12、直流電源としてのFC11を備える電源システムに用いることが可能である。また、この電源システムは、図1に示すように車両などに搭載することが可能である。
【0073】
<7.補足>
上記実施形態では、メインスイッチS1及び補助スイッチS2は、いずれも電圧がHiのときに導通状態となり、Loのときに非導通状態となる例を挙げたが、これに限るものではない。すなわち、これらのスイッチは、電圧がLoのときに導通状態となり、Hiのときに非導通状態になるものでもよい。また、それぞれのスイッチにおいて電圧と導通・非導通状態が逆になっていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
C1……入力コンデンサ
C2……共振コンデンサ
C3……出力コンデンサ
D1……逆並列ダイオード
D2……スナバ逆流防止ダイオード
D3……回生ダイオード
D4……逆並列ダイオード
D5……出力ダイオード
L1……リアクトル
L2……リアクトル
S1……メインスイッチ
S2……補助スイッチ
T0〜T3・T11〜T19……時間
10……電源システム(燃料電池システム)
12……電源回路(昇圧コンバータ)
12a……主回路
12b……補助回路
13……バッテリ
14……バッテリ昇圧コンバータ
15……インバータ
16……モータ
21……アクセルペダルセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、
前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、
前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、
前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、
前記第1のスイッチの両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチの状態変化を禁止させるように構成されたスイッチ制御回路と、を備える
ことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、
前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、
前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、
前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、
前記第1のスイッチの両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されたスイッチ制御回路と、を備える
ことを特徴とする電源回路。
【請求項3】
前記第2のコンデンサの両端の電圧を測定する第2の電圧測定部をさらに備え、
前記スイッチ制御回路は、前記第2の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記第1のスイッチの両端の電圧を測定する第1の電圧測定部をさらに備え、
前記スイッチ制御回路は、前記第1の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項5】
前記第1のリアクトルに流れる電流と前記第2のリアクトルに流れる電流とを測定する電流測定部をさらに備え、
前記スイッチ制御回路は、前記第2のリアクトルに流れる電流が、前記第1のリアクトルに流れる電流より低くなる前に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成された
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項6】
前記第2のリアクトル及び前記第2のスイッチのいずれか一方並びに前記第2のコンデンサが接続された第1ノードにカソードが接続され、前記出力電位ノードにアノードが接続された第1のダイオードをさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項7】
前記第2のリアクトルにアノードが接続され、前記第2のスイッチにカソードが接続された第2のダイオードをさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載の電源回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電源回路と、
前記直流電源とを備えることを特徴とする電源システム。
【請求項1】
直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、
前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、
前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、
前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、
前記第1のスイッチの両端の電圧が減少状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチの状態変化を禁止させるように構成されたスイッチ制御回路と、を備える
ことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
直流電源から入力される直流電圧を所定の電圧に昇圧して出力電位ノードから出力する電源回路であって、
前記直流電源の高電位側に接続された電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に接続された第1のリアクトルと、
前記出力電位ノードと前記直流電源の低電位側に接続された接地電位ノードとの間に接続された第1のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチと並列に接続された第1のコンデンサと、
前記電源電位ノードと前記出力電位ノードとの間に前記第1のリアクトルと並列に接続されかつ互いに直列接続された第2のリアクトル及び第2のスイッチと、
前記出力電位ノードと前記接地電位ノードとの間に前記第1のスイッチ及び前記第1のコンデンサと並列に接続された第2のコンデンサと、
前記第1のスイッチの両端の電圧が不変状態または増加状態であると判定した場合に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成されたスイッチ制御回路と、を備える
ことを特徴とする電源回路。
【請求項3】
前記第2のコンデンサの両端の電圧を測定する第2の電圧測定部をさらに備え、
前記スイッチ制御回路は、前記第2の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記第1のスイッチの両端の電圧を測定する第1の電圧測定部をさらに備え、
前記スイッチ制御回路は、前記第1の電圧測定部の測定結果に基づいて前記第1のスイッチの導通状態及び非導通状態を制御するよう構成された
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項5】
前記第1のリアクトルに流れる電流と前記第2のリアクトルに流れる電流とを測定する電流測定部をさらに備え、
前記スイッチ制御回路は、前記第2のリアクトルに流れる電流が、前記第1のリアクトルに流れる電流より低くなる前に、前記第1のスイッチを非導通状態から導通状態へ変化させるよう構成された
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項6】
前記第2のリアクトル及び前記第2のスイッチのいずれか一方並びに前記第2のコンデンサが接続された第1ノードにカソードが接続され、前記出力電位ノードにアノードが接続された第1のダイオードをさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項7】
前記第2のリアクトルにアノードが接続され、前記第2のスイッチにカソードが接続された第2のダイオードをさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載の電源回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電源回路と、
前記直流電源とを備えることを特徴とする電源システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−167018(P2011−167018A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29439(P2010−29439)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
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