説明

電源装置及びそれを使用する画像形成装置

【課題】出力電圧を目標電圧へ制御する際に、圧電トランスのスプリアスの影響を抑制し、目標電圧に到達するまでに要する時間を短縮する電源装置及びそれを使用する画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の電源装置は、圧電トランスを駆動するためのパルス信号の駆動周波数の初期値を設定するために、予め定められた範囲に属する複数の周波数のパルス信号に応じて圧電トランスから出力される電圧を検出する。また、検出した複数の電圧の駆動周波数に応じた変化から極値を検出し、最大値に対応する周波数と、最大値に対応する周波数に対して高周波数側又は低周波数側における隣接した隣接極値に対応する周波数とを特定する。さらに、特定した2つの周波数の間の周波数範囲において、圧電トランスの出力電圧を目標電圧に近づける電圧制御を開始する際の駆動周波数の初期値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及びそれを使用する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、転写等の画像形成処理に必要となる高電圧を生成するための電源装置として、巻線式の電磁トランスを使用していた。電磁トランスによる電源装置では、例えば、トランスの巻線をモールド等により絶縁する必要があり、かつ比較的大きなトランスが必要となるため、電源装置の小型化・軽量化の妨げとなっていた。このため、電磁トランスに代えて、電源装置として圧電トランスを使用して高電圧を生成することが検討されている(特許文献1を参照)。セラミックを素材とした圧電トランスは、薄型かつ軽量であり、電磁トランス以上の効率で高電圧を生成できる。また、圧電トランスは、電磁トランスのように絶縁のためにモールド加工が必要なく、高電圧を出力可能な電源装置の小型化・軽量化の実現のために有用である。
【0003】
圧電トランスは、その寸法等の構造上の特性によって定まる固有の共振特性を有し、一次側から入力される駆動信号の周波数に応じた電圧を二次側から出力する。例えば、電圧制御発信器(VCO)を圧電トランスに接続するとともに、VCOから出力する駆動信号の周波数を変化させることによって圧電トランスからの出力電圧を変化させることが可能である。このようにして圧電トランスを制御することにより、圧電トランスからの出力電圧を目標電圧に設定することができる。
【0004】
一般的に、圧電トランスを電源装置として使用する場合、最大値を共振時の出力電圧とする所定範囲の出力電圧を圧電トランスから得るために、VCOからの駆動信号の周波数の範囲を共振周波数を含む範囲に設定する。また、VCOからの駆動信号の周波数を変化させることにより、圧電トランスからの出力電圧を目標電圧に設定する。圧電トランスからの出力電圧を目標電圧に設定するためには、VCOは、例えば圧電トランスからフィードバックされる出力電圧と目標電圧との差分値に基づいて、圧電トランスへ出力する駆動信号の周波数の変化量を決定する。具体的には、VCOは、当該差分値が小さい場合には駆動信号の周波数の変化量を小さくし、当該差分値が大きい場合には駆動信号の周波数の変化量を大きくする。このようにしてVCOは駆動周波数を変化させることにより、圧電トランスの出力電圧を目標電圧に段階的に近づけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−206113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術には、以下のような問題がある。例えば、圧電トランスの周波数と出力電圧の関係を示す周波数特性において共振周波数以外の周波数成分にスプリアスが存在する場合、駆動信号の周波数に応じて圧電トランスの出力電圧を目標電圧に設定する際の立ち上がり時間が長くなる問題がある。具体的には、VCOがある初期周波数から目標電圧に対応する目標周波数まで駆動信号の周波数を変化させる際に、当該初期周波数と目標周波数との間にスプリアスが存在すると、当該スプリアス周波数において圧電トランスからの出力電圧が一時的に高くなる。このとき、圧電トランスの出力電圧と目標電圧との差分値が小さくなることにより駆動周波数の変化量が一時的に小さくなるため、駆動周波数を目標周波数まで変化させるのに要する立ち上がり時間が長くなってしまう。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、出力電圧を目標電圧へ制御する際に、圧電トランスのスプリアスの影響を抑制し、目標電圧に到達するまでに要する時間を短縮する電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、電源装置として実現できる。電源装置は、パルス信号を生成するパルス生成手段と、パルス生成手段によって生成されたパルス信号の周波数に応じた電圧を出力する圧電トランスとを備える電源装置であって、パルス信号の予め定められた周波数範囲に属する複数の周波数を生成すべく、パルス生成手段を制御する第1制御手段と、パルス生成手段によって生成された複数の周波数のパルス信号の各周波数に応じて圧電トランスから出力された電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段によって検出された複数の電圧のパルス信号の周波数に応じた変化から複数の極値を検出する極値検出手段と、極値検出手段によって検出された複数の極値のうち、最大値に対応する周波数と、最大値に対応する周波数に対して高周波数側又は低周波数側における隣接した隣接極値に対応する周波数とを特定する特定手段と、特定手段によって特定された最大値に対応する周波数と隣接極値に対応する周波数との間の周波数範囲において、圧電トランスからの出力電圧を目標電圧に近づける電圧制御を開始する際のパルス信号の周波数の初期値を設定する設定手段と、パルス生成手段によって生成されるパルス信号の周波数を、設定手段によって設定された初期値から、圧電トランスからの出力電圧が目標電圧に近づくように変化させる電圧制御を行う第2制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、出力電圧を目標電圧へ制御する際に、圧電トランスのスプリアスの影響を抑制し、目標電圧に到達するまでに要する時間を短縮する電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係るDCコントローラ201及び高圧電源装置202の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置401の構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る圧電トランス101に入力されるパルス信号波形例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る圧電トランス101の周波数特性例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る圧電トランス101の駆動周波数の初期値設定の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の各部の信号波形例を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る圧電トランス101に対するスイープ動作により取得される周波数特性例を示す図である。
【図8】第1の実施形態に係る圧電トランス101の周波数特性から得られる極値を示す図である。
【図9】第1の実施形態に係る圧電トランス101の駆動周波数の初期値設定について示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る圧電トランス101の駆動周波数の初期値設定について示す図である。
【図11】第3の実施形態に係る圧電トランス101の周波数特性の変動例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の実施形態によって限定されるわけではない。
【0012】
[第1の実施形態]
以下では、図1乃至図9を参照して、本発明における第1の実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係る電源装置の一例として、画像形成装置における高圧電源装置として使用される場合について説明する。
【0013】
<高圧電源装置の構成>
まず、図1を参照して、圧電トランスを用いた高圧電源装置の回路構成について説明する。圧電トランス101を備える高圧電源装置202は、DCコントローラ201による制御により高電圧Voutを出力する。本実施形態では、一例として、高圧電源装置202に対する制御機能を有するDCコントローラ201が高圧電源装置202とは分離して、(後述するように)画像形成装置に設けられた場合について説明する。なお、DCコントローラ201は、高圧電源装置202に一体として組み込まれていてもよい。
【0014】
高圧電源装置202は、圧電トランス式の電源装置の一例であり、DCコントローラ201から供給される駆動信号(パルス信号)の周波数に応じた高電圧の出力電圧Voutを出力する。DCコントローラ201は、当該パルス信号の周波数(駆動周波数)でトランジスタ111をスイッチングするとともに、インダクタ112で増幅した電圧を圧電トランス101の一次側に供給する。ここで、圧電トランス101には図3に示すような所定の駆動周波数のパルス状の電圧が供給される。圧電トランス101の二次側からの高電圧の出力は、ダイオード102,103と、高圧コンデンサ104とにより正極性の電圧に整流された後に、画像形成装置内の転写ローラ等の負荷に供給される。また、当該出力電圧は、抵抗105,106,107により分圧され、保護用抵抗108を介してDCコントローラ201に入力される。
【0015】
DCコントローラ201において、記憶部2051は、高圧電源装置202の制御のために必要な種々のデータを記憶する記憶デバイスである。具体的には、圧電トランス101の駆動周波数と、圧電トランス101からの出力電圧として、整流後、A/Dコンバータ2055によりA/D変換された値とを記憶する。また、記憶部2051は、CPU207から出力されたデータを記憶するとともに、記憶したデータをCPU207による制御に応じてCPU207以外の各部に出力する。
【0016】
計測開始信号生成部2052は、CPU207から記憶部2051へ格納されたデータを用いてスイープ動作を開始するための信号を生成し、生成した信号をタイミング生成部2053へ送る。ここで、スイープ動作とは、圧電トランス101に送るパルス信号の駆動周波数を種々の値に切り替えながら、圧電トランス101が出力される電圧を取り込む(検出する)動作である。これにより、例えば後述する図4に示すような圧電トランス101の周波数特性を得ることができる。
【0017】
タイミング生成部2053は、計測開始信号生成部2052から計測開始信号を受信すると、圧電トランス101に送るパルス信号の周波数を切り替えるタイミングを示すタイミング信号を生成する。タイミング生成部2053は、生成したタイミング信号を周波数生成部2054に送る。周波数生成部2054は、タイミング生成部2053から受信したタイミング信号に応じてパルス信号の周波数を切り替えながら、高圧電源装置202を駆動するためのパルス信号を生成するとともに、生成したパルス信号を高圧電源装置202へ出力する。
【0018】
高圧電源装置202から出力された信号は、出力電圧Voutとして出力される一方で、DCコントローラ201のA/Dコンバータ2055へ入力される。A/Dコンバータ2055は、圧電トランス101から出力されたアナログ信号を検出し、検出した信号をデジタル信号に変換(A/D変換)する。例えば、A/Dコンバータ2055は、圧電トランス101からの出力電圧を分圧して、整流素子を通過させることによりA/D変換を行う。A/D変換後の信号値は、記憶部2051へ格納される。
【0019】
極値検出部2056は、スイープ動作によって得られ、記憶部2051に格納された出力電圧値と駆動パルス信号の周波数とに基づいて、当該出力電圧値の極値(極大値及び極小値)を検出する。周波数制御範囲特定部2058は、後述するように、極値検出部2056による極値検出結果に基づいて、圧電トランス101の出力電圧を目標電圧へ近づける電圧制御を行う際の、駆動周波数の制御範囲を特定する。
【0020】
なお、本実施形態に係るDCコントローラ201及び高圧電源装置202の動作の詳細については後述する。
【0021】
<画像形成装置の構成>
次に、図2を参照して、本発明の高圧電源を搭載した画像形成装置の一例として、図1に示す高圧電源装置202を搭載した電子写真方式によるフルカラー(多色)のレーザプリンタ401の構成及び動作について説明する。なお、本発明の画像形成装置はモノカラー(単色)の画像形成装置にも適用でき、画像形成装置は複合機であってもよい。
【0022】
レーザプリンタ401において、デッキ402は記録紙32を収納し、デッキ402内に収納された記録紙32は、デッキ紙有無センサ403によって検知される。ピックアップローラ404は、記録紙32をデッキ402から取り出して搬送路へ送り出すためのローラである。デッキ402から取り出された記録紙32は、デッキ給紙ローラ405によって搬送路上を搬送される。ここで、リタードローラ406は複数の記録紙32を重複して搬送することを防止するためのローラである。
【0023】
搬送路上でデッキ給紙ローラ405の下流には、画像形成のタイミングに同期して記録紙32を搬送するレジストローラ対407と、レジストローラ対407への記録紙32の搬送状態を検知するレジ前センサ408が配置されている。搬送路上でレジストローラ対407の下流に設けられた静電吸着搬送転写ベルト(以下では、「ETB」と称する。)409上に沿って、4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、Bk:ブラック)の各々に対応した複数の画像形成部が配置されている。各画像形成部は、各色に対応した画像信号に応じた露光を行うスキャナユニット420Y、420M、420C、420Bkと、トナーを用いて画像を形成するプロセスカートリッジ410Y、410M、410C、410Bkとをそれぞれ備える。これらの画像形成部により形成された画像は、転写ローラ430Y、430M、430C、430BkによってETB409上の記録紙32に順次重ねて転写される。これにより、記録紙32上にフルカラーのトナー像が形成される。その後、転写後の記録紙32はさらに搬送路上を下流に搬送される。画像形成部の下流には、記録紙32上に転写されたトナー像を熱定着するために内部に加熱用のヒータ432を備えた定着ローラ433と加圧ローラ434対とが配置されている。さらに搬送路上の下流には、定着ローラから記録紙32を搬送するための定着排紙ローラ対435と、搬送された記録紙32を検知する定着排紙センサ436とが配置されている。
【0024】
各スキャナユニット420は、ビデオコントローラ440からの各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光するレーザユニット421と、各レーザユニット421からのレーザ光を各感光ドラム305上に走査するための光学系とを備える。当該光学系は、ポリゴンミラー422、スキャナモータ423、及び結像レンズ群424から成る。また、各プロセスカートリッジ410には、電子写真プロセスに必要な感光ドラム305、帯電ローラ303、現像ローラ302、及びトナー格納容器411を備え、レーザプリンタ401本体に対して着脱可能である。なお、ビデオコントローラ440は、パーソナルコンピュータ等の外部装置441から入力される画像データをビットマップデータに展開することにより、画像形成用の画像信号を生成する。
【0025】
DCコントローラ201は、図1にも示したように、CPU207、特定用途向け集積回路(ASIC)205、及びその他の入出力制御回路(不図示)等を備え、これらは相互にバス通信を行う。ASIC205及びCPU207は、高圧電源装置202及び環境検出部450の制御を行うデジタル素子である。環境検出部450は、各種のセンサを備え、レーザプリンタ401が設置された、高圧電源装置202の周囲の環境に関するデータ(例えば、温度や湿度)を環境条件として測定する。高圧電源装置202は、プロセスカートリッジ410Y、410M、410C、410Bkのそれぞれに対応した高電圧を出力する帯電用高圧電源及び現像用高圧電源を備える。さらに、高圧電源装置202は、転写ローラ430Y、430M、430C、430Bkにそれぞれ対応した高電圧を出力する転写用高圧電源を備える。本発明の電源装置はこれらの高圧電源の何れに対しても適用できる。
【0026】
<高圧電源装置の動作>
次に、本実施形態における圧電トランス101の制御について説明する。まず、圧電トランス101は、通常、図4に示すような周波数特性を有し、圧電トランス101からの出力電圧は、入力されるパルス信号の周波数に応じて変化する。圧電トランス101からの出力電圧は、その構造上の特性によって定まる固有の共振周波数fMにおいて最大となる。また、圧電トランス101は、図7に示すように、共振周波数fMの周辺の複数の周波数にもピークが存在し、これらはスプリアス成分に相当する。
【0027】
圧電トランス101を有する高圧電源装置202においては、その出力電圧を変化させて目標電圧となるように制御するために、駆動周波数を変化させる制御範囲を予め設定する。例えば、出力電圧のダイナミックレンジをできる限り広くするためには、図7に示すように、駆動周波数の制御範囲を共振周波数fMを含む範囲(f0〜fN)に設定すればよい。また、圧電トランス101の製造時の特性のばらつきに起因して生じる圧電トランス101ごとの共振周波数fMの変動の影響を抑制するためにも、当該制御範囲を共振周波数fMを含むこのような範囲に設定することが望ましい。
【0028】
ところが、駆動周波数の制御範囲にスプリアス成分が含まれている場合、上述のように、圧電トランス101の出力電圧が目標電圧に到達するまで(駆動周波数が目標周波数に到達するまで)に要する時間が長くなってしまう。そこで、本実施形態では、圧電トランス101の駆動周波数の制御範囲を、スプリアス成分が含まれない範囲で設定することにより、スプリアス成分の影響を抑制し、出力電圧が目標電圧に到達するまでに要する時間を短縮する。
【0029】
より具体的には、まず、出力電圧を目標電圧に近づけるための電圧制御を開始する前に、パルス信号の予め定められた周波数範囲に属する周波数についてスイープ動作を実行することにより、圧電トランス101の出力電圧の周波数特性を取得する。次に、取得した周波数特性における、検出された複数の電圧のパルス信号の周波数に応じた変化から複数の極値(極大値及び極小値)を検出する。検出した複数の極値のうちの最大値に対応する周波数と、当該最大値に対応する駆動周波数に対して高周波数側又は低周波数側の隣接した極小値(隣接極値)に対応する周波数(例えば、図4のf0')を特定する。さらに、特定した周波数間の周波数範囲を駆動周波数の制御範囲(例えば、図4のfM〜f0')とし、当該制御範囲に属する何れかの周波数を、圧電トランス101の出力電圧を制御する際の初期値に設定する。このような処理を行うことにより、駆動周波数の初期値がスプリアスを含まない周波数範囲から設定されることになるため、立ち上がり時間に対するスプリアスの影響を抑制することが可能となる。
【0030】
以下では、図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る高圧電源装置202の制御についてより具体的に説明する。なお、本実施形態において図5に示す各ステップの処理は、DCコントローラ201による制御に基づいて実行される。
【0031】
S101で、DCコントローラ201は、スイープ動作によって、圧電トランス101へ入力するパルス信号の各周波数について、圧電トランス101からの出力電圧を検出する。S101においては、CPU207の制御によって、計測開始信号生成部2052は、スイープ動作による計測を開始するための計測開始信号(図6の601)を生成してタイミング生成部2053に出力する。タイミング生成部2053は、計測開始信号の立ち上がりを検知すると、圧電トランス101に対して出力するパルス信号の周波数を切り替えるタイミングを示すタイミング信号(図6の602)を、周波数生成部2054に出力する。なお、周波数の切り替えタイミングには、記憶部2051に予め記憶されている値が使用される。
【0032】
周波数生成部2054は、CPU207の制御によって、タイミング生成部2053から入力されたタイミング信号に同期して周波数を順次切り替えながら、パルス信号(図6の603)を生成する。CPU207は、予め定められた範囲に属する複数の周波数を生成するために、記憶部2051に予め記憶されている当該範囲に属する複数の周波数(f0〜fN)を読み出して、周波数生成部2054に入力する。例えば、周波数生成部2054は、例えば図7に示すように、周波数f0から開始して、周波数fNまでの(N+1)個の周波数のパルス信号を生成する。このように、本実施形態では、CPU207が第1制御手段として機能し、周波数生成部2054がパルス生成手段として機能する。
【0033】
周波数生成部2054によって生成されたパルス信号が高圧電源装置202に入力されると、その内部の圧電トランス101は、当該パルス信号の周波数に応じた電圧(図6の信号604)を出力する。例えば、圧電トランス101は、図7の周波数f0〜fNに対応して、電圧V0〜VNを出力する。出力された電圧は、出力電圧Voutとして出力される一方で、DCコントローラ201へ入力され、A/Dコンバータ2055において検出される。A/Dコンバータ2055は、検出した出力電圧をデジタル信号に変換後、記憶部2051へ一時的に格納する。このようにして、DCコントローラ201は、図7に示すような圧電トランス101の周波数特性を取得できる。その後、S101からS102へ処理が移行する。このように、本実施形態において、A/Dコンバータ2055は電圧検出手段として機能する。なお、S101においては、十分な分解能の周波数特性を取得するために、予め定められた周波数範囲において可能な限り多数の周波数について出力電圧データを取得することが望ましい。
【0034】
S102で、極値検出部2056は、CPU207の制御によって、検出された圧電トランス101からの複数の出力電圧における駆動周波数に応じた変化から、当該出力電圧の複数の極値を検出する。例えば、極値検出部2056は、図8に示すように、予め定められた周波数範囲f0〜fNにおいて、極大値(fA1,VA1)〜(fA5,VA5)と、極小値(fB1,VB1)〜(fB5,VB5)とを検出する。なお、これらの極値は、各駆動周波数に対応する出力電圧に関して、周波数の隣り合ったデータ間で出力電圧の傾きを算出するとともに、算出した傾きの極性の変化に基づいて検出することが可能である。極値検出部2056は、検出した複数の極値のデータを記憶部2051に格納する。なお、極値検出部2056による極値検出を終えた出力電圧データについては、記憶部2051から消去又は他のデータで上書きすることにより、記憶部2051の記憶領域の使用効率を向上させてもよい。その後、S102からS103へ処理が移行する。
【0035】
S103で、周波数制御範囲特定部2058は、CPU207の制御によって、極値検出部2056による極値検出結果に基づいて、圧電トランス101の出力電圧を目標電圧へ近づける電圧制御を行う際の、駆動周波数の制御範囲を特定する。具体的には、周波数制御範囲特定部2058は、極値検出部2056によって検出された複数の極値のうち、最大値に対応する周波数と、当該最大値に対応する周波数に対して高周波数側又は低周波数側における隣接した隣接極値に対応する周波数とを特定する。これにより、例えば図8によれば、最大値(VA4)に対応する周波数としてfA4が特定される。また、fA4に対して高周波数側又は低周波数側の隣接極値(VB4又はVB5)に対応する周波数としてfB4又はfB5が特定される。ここで、高周波数側の隣接極値に対応する周波数を特定したことを想定すると、上述のスプリアスを含まない駆動周波数の制御範囲として、fA4〜fB4が特定される。その後、S103からS104へ処理が移行する。
【0036】
S104で、DCコントローラ201のCPU207は、プリントコマンドを受信したか否かを判定する。プリントコマンドは、例えば、レーザプリンタ401の操作部を介してユーザによって入力されたプリント開始指示に応じて、当該操作部からCPU207へ送られる。S104で、CPU207は、プリントコマンドを受信していないと判定する限り、S104における判定処理を繰り返す。一方で、CPU207は、プリントコマンドを受信したと判定すると、S105へ処理を移行する。
【0037】
S105で、CPU207は、画像形成処理において各負荷に必要な電圧を記憶部2051に記憶されているデータ等から判断し、高圧電源装置202からの出力電圧の目標電圧VGを設定する。さらに、S106で、CPU207は、圧電トランス101からの出力電圧を目標電圧に近づける電圧制御を開始する際のパルス信号の周波数の初期値を設定する。ここで、CPU207は、S103において特定された周波数範囲において当該初期値を設定する。一例としては、当該周波数範囲の端部の周波数を当該初期値に設定することができる。これにより、駆動周波数の初期値をスプリアスを含まない周波数範囲から設定することになるため、圧電トランス101の出力電圧が目標電圧まで立ち上がるのに要する時間を短縮することができる。
【0038】
本実施形態では、圧電トランス101の出力電圧の立ち上がり時間をさらに短縮するために、以下の処理を実行してもよい。具体的には、まず、圧電トランス101から出力される電圧の範囲を複数の範囲に分割するための予め定められた複数の閾値電圧を記憶部2051に記憶しておく。例えば、図9において、VT0〜VT5が当該複数の閾値電圧に相当する。DCコントローラ201は、スイープ動作の実行中に、S101において検出された圧電トランス101の複数の出力電圧のうち、当該複数の閾値電圧の何れかから許容範囲内にある電圧を、駆動周波数の初期値に対応する初期値候補の電圧に決定する。ここで、出力電圧の許容範囲は、例えば、閾値電圧と出力電圧との差分がほぼ無視できる程度の範囲に設定すればよい。DCコントローラ201は、決定した初期値候補の電圧と、当該初期値候補の電圧に対応する駆動周波数とを関連付けて、記憶部2051等の記憶装置に保持しておく。
【0039】
その後、S106で、DCコントローラ201のCPU207は、S103において特定された周波数範囲において、記憶部2051に保持している初期値候補の電圧のうち、目標電圧との差分が最小となる電圧を特定する。さらに、CPU207は、特定した周波数を、圧電トランス101の出力電圧を目標電圧に近づける電圧制御を開始する際の駆動周波数の初期値に設定する。例えば、図9においては、初期値候補の電圧VT3と目標電圧との差分が最小と成るため、VT3に対応する周波数fT3が駆動周波数の初期値(制御開始位置)に設定される。以上のS106における初期値設定が終了すると、処理がS107へ移行する。このようにして複数の閾値電圧に基づいて初期値候補の電圧を決定するとともに、初期値候補の電圧に対応する駆動周波数を初期値とすることによって、駆動周波数の制御範囲をさらに限定することができる。このため、以下のS107における圧電トランス101の出力電圧の立上げに要する時間をさらに短縮することが可能とのなる。
【0040】
S107で、CPU207は、周波数生成部2054によって生成されるパルス信号の周波数を、S106において設定した初期値から、圧電トランス101の出力電圧が目標電圧に近づくように変化させる電圧制御を行う。このように、本実施形態では、CPU207が第2制御手段として機能する。S107においてCPU207は、例えば、設定した初期値から、圧電トランス101の出力電圧が検出されるごとに、検出した出力電圧と目標電圧との差分が大きいほど大きな変化量で、駆動周波数を変化させる電圧制御を実行すればよい。また、CPU207は、出力電圧を増加(又は減少)させるために、次のような方向に駆動周波数を変化させればよい。即ち、S103で検出した隣接極値に対応する周波数が、最大値に対応する周波数に対して低周波数側にある場合、出力電圧を増加させるためには駆動周波数を増加させ、逆に出力電圧を減少させるためには駆動周波数を減少させればい。一方で、S103で検出した隣接極値に対応する周波数が、最大値に対応する周波数に対して高周波数側にある場合、圧電トランスからの出力電圧を増加させるためには駆動周波数を減少させ、逆に出力電圧を減少させるためには駆動周波数を増加させればい。
【0041】
S107の処理により、圧電トランス101の出力電圧が目標電圧と等しくなるか、又は当該出力電圧と目標電圧との誤差が所定の許容範囲内となると、処理がS108へ移行する。S108で、CPU207は、実際にプリントを開始するための各種の設定を行うとともに、(連続的な)プリント処理を開始する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る電源装置は、圧電トランスを駆動するためのパルス信号の駆動周波数の初期値を設定するために、予め定められた範囲に属する複数の周波数のパルス信号に応じて圧電トランスから出力される電圧を検出する。また、検出した電圧における駆動周波数に応じた変化から極値を検出し、最大値に対応する周波数と、最大値に対応する周波数に対して高周波数側又は低周波数側における隣接した隣接極値に対応する周波数を特定する。さらに、特定した2つの周波数の間の範囲において、圧電トランスの出力電圧を目標電圧に近づける電圧制御を開始する際の駆動周波数の初期値を設定する。これにより、圧電トランスの出力電圧を目標電圧へ制御する際に、圧電トランスの周波数特性に含まれるスプリアスの影響を抑制できるとともに、目標電圧に到達するまでに要する時間を短縮することができる。
【0043】
また、本実施形態では、圧電トランスの出力電圧の範囲を複数の範囲に分割するための予め複数の閾値電圧を用意し、当該閾値電圧の各々から許容範囲にある出力電圧を、初期値候補の電圧として決定してもよい。さらに、決定した初期値候補の電圧のうち、目標電圧との差分が最小となる電圧に対応する駆動周波数を、上記の駆動周波数の初期値として設定してもよい。これにより、圧電トランスの出力電圧を目標電圧へ近づける電圧制御を行う際の駆動周波数の制御範囲をさらに限定することができるため、出力電圧が目標電圧に到達するのに要する時間をさらに短縮することができる。
【0044】
さらに、上記の閾値電圧の設定に際しては、種々の方法で設定することが可能である。例えば、圧電トランスにおいて素子ごとに固有に定まる出力電圧の範囲を、素子ごとに定めた分割数(又は分割幅)に応じて複数の範囲に分割するようにしてもよい。この場合、閾値電圧を予め用意するのではなく、分割数(又は分割幅)に応じて閾値電圧を定めることができる。このようにすることで、圧電トランスの周波数特性に素子ごとのばらつきが存在する場合にも、各素子に合わせて自由に電圧制御の範囲を分割することができる。これにより、圧電トランスの駆動周波数の制御範囲を適切に限定することができ、出力電圧が目標電圧に到達するのに要する時間を素子ごとに適切に短縮することができる。
【0045】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、圧電トランスの駆動周波数の初期値設定に関して、出力電圧の範囲を分割するために用意した複数の閾値電圧を用いることによって、目標電圧に近い出力電圧に対応する周波数を初期値に設定する実施形態について説明した。第2の実施形態では、第1の実施形態の場合よりもさらに目標電圧に近い出力電圧に対応する周波数を初期値に設定する実施形態について説明する。なお、以下では説明の簡略化のために、第1の実施形態と異なる部分についてのみ記載する。
【0046】
本実施形態に係る高圧電源装置202及びレーザプリンタ401の構成は、第1の実施形態において説明した図1及び図2と同様である。第1の実施形態の図5において、DCコントローラ201のA/Dコンバータ2055は、S101で、検出した圧電トランス101の出力電圧のデータを記憶部2051に一時的に格納する。また、A/Dコンバータ2055は、極値検出部2056による極値検出後のデータに対して、新たに検出した出力電圧のデータで上書き等を行うことが可能である。このようにして、記憶部2051の記憶領域の使用効率を向上させる。これに対して、本実施形態では、検出された圧電トランス101の出力電圧のデータに対して上書き等を行うことなく保持し、保持したデータを駆動周波数の初期値設定に用いる。
【0047】
具体的には、記憶部2051は、S101におけるスイープ動作で周波数生成部2054によって生成されるパルス信号の複数の周波数と、当該複数の周波数のそれぞれに対応する、S101で検出された圧電トランス101の出力電圧とを関連付けて保持する。
【0048】
さらに、S106において、S103で特定された駆動周波数の制御範囲において、記憶部2051に保持している出力電圧のうち、目標電圧との差分が最小となる電圧に関連付けられた周波数を、駆動周波数の初期値に設定する。例えば、図10において、特定された駆動周波数の制御範囲をfM〜fT0とする。この場合に、記憶部2051には、当該範囲に属する多数の周波数と、当該周波数の各々に対応する複数の出力電圧(VT0〜VM)とが関連付けて保持されている。S106で、CPU207は、記憶部2051に保持された出力電圧のうち、目標電圧にVGに最も近い電圧に対応する周波数を、駆動周波数の初期値(制御開始位置)として設定する。
【0049】
以上のようにして、本実施形態に係る電源装置では、第1の実施形態における複数の閾値電圧に関連するデータよりも出力電圧の分解能が高い、検出した出力電圧そのものを記憶部2051に保持する。これにより、第1の実施形態の場合よりも、目標電圧に近い圧電トランスの出力電圧に対応する周波数を、圧電トランスの電圧制御を開始する際の駆動周波数の初期値として設定することができる。これにより、第1の実施形態よりも圧電トランスの出力電圧の立ち上がり時間を短縮することができる。
【0050】
[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態においては、電源の起動中は圧電トランスの周波数特性が変化しないものと仮定して、主として電源装置(画像形成装置)の起動時にのみ圧電トランスの駆動周波数の制御範囲を特定することを想定している。ところが、圧電トランスは、電源装置の周囲の環境条件に依存してその周波数特性が変化してしまう場合がある。この場合、第1及び第2の実施形態による駆動周波数の制御範囲の特定後に環境条件の変化が生じると、例えば、当該制御範囲内にスプリアス成分が含まれてしまう場合が起こり得る。そこで、第3の実施形態では、電源装置の周囲の環境条件に変化が生じた場合に、あらためて駆動周波数の制御範囲を特定するとともに、駆動周波数の初期値を設定し直す実施形態について説明する。
【0051】
本実施形態に係る高圧電源装置202及びレーザプリンタ401の構成は、第1の実施形態において説明した図1及び図2と同様である。本実施形態において、レーザプリンタ401に設けられた環境検出部450は環境測定手段の一例であり、高圧電源装置202の周囲の温度又は湿度を環境条件として測定する。なお、本実施形態においては、図2に示すように、環境検出部450はレーザプリンタ401に設けられているが、高圧電源装置202本体に直接設けられていてもよい。何れにしても、環境検出部450は高圧電源装置202の周囲の環境条件が測定できればよい。
【0052】
圧電トランス101の周波数特性は、図11に示すように、高圧電源装置202の周囲の環境条件に応じて1101〜1103のように変化する。このように周波数特性が変化すると、例えば、図5のS103で一度特定された圧電トランス101の駆動周波数の制御範囲内に、再びスプリアス成分が含まれてしまう場合が起こり得る。従って、環境条件に変化が生じた場合には、再度、駆動周波数の制御範囲を特定するとともに、駆動周波数の初期値を設定する必要がある。
【0053】
具体的には、DCコントローラ201のCPU207は、環境検出部450において測定された環境条件に関するデータを、記憶部2051に保持しておくとともに、環境条件の変化を検出する。このように、本実施形態においてCPU207は、変化検出手段としても機能する。CPU207は、記憶部2051に保持されたデータから環境条件の変化を検出すると、S101からスイープ動作を再び開始して、S106における初期値設定を実行する。例えば、CPU207は、測定された温度又は湿度が、記憶部2051に記憶されている値から所定の範囲内にあるか否かを判定することにより、環境条件が変化したか否かを判定することができる。なお、環境条件を測定するタイミングや環境条件の変化の有無を判定するタイミングについては、画像形成中であってもよいし、画像形成を行っていない待機中であってもよい。また、画像形成中に環境条件の変化が検出された場合には、画像形成の終了後に、上記の処理を実行すればよい。このようにして、本実施形態では、第1及び第2の実施形態の効果に加えて、環境条件の変化に対応して適切に圧電トランスの駆動周波数の制御範囲及び初期値を設定することができるという効果を奏する。
【0054】
さらに、CPU207は、環境条件が測定されるごとに、当該環境条件と、当該環境条件において特定された駆動周波数の制御範囲(出力電圧の最大値に対応する周波数及び隣接極値に対応する周波数)とを、記憶部2051に関連付けて保存してもよい。例えば、これらのデータを記憶部2051にテーブル化して保存してもよい。この場合、上記のように環境条件に変化が検出された場合に、CPU207は、変化後の環境条件に対応するデータが記憶部2051に既に記憶されているか否かを確認する。さらに、CPU207は、変化後の環境条件に対応するデータが記憶部2051に記憶されている場合には、S101における処理を開始する代わりに、当該データを用いて、S106における初期値設定を行えばよい。これにより、あらためてスイープ動作を実行することなく、圧電トランスの駆動周波数の初期値設定を迅速に実行することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス信号を生成するパルス生成手段と、前記パルス生成手段によって生成されたパルス信号の周波数に応じた電圧を出力する圧電トランスとを備える電源装置であって、
前記パルス信号の予め定められた周波数範囲に属する複数の周波数を生成すべく、前記パルス生成手段を制御する第1制御手段と、
前記パルス生成手段によって生成された前記複数の周波数のパルス信号の各周波数に応じて前記圧電トランスから出力された電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された複数の電圧の前記パルス信号の周波数に応じた変化から複数の極値を検出する極値検出手段と、
前記極値検出手段によって検出された前記複数の極値のうち、最大値に対応する周波数と、該最大値に対応する周波数に対して高周波数側又は低周波数側における隣接した隣接極値に対応する周波数とを特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記最大値に対応する周波数と前記隣接極値に対応する周波数との間の周波数範囲において、前記圧電トランスからの出力電圧を目標電圧に近づける電圧制御を開始する際の前記パルス信号の周波数の初期値を設定する設定手段と、
前記パルス生成手段によって生成される前記パルス信号の周波数を、前記設定手段によって設定された前記初期値から、前記圧電トランスからの出力電圧が前記目標電圧に近づくように変化させる前記電圧制御を行う第2制御手段と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電圧制御において前記圧電トランスから出力される電圧の範囲を複数の範囲に分割するための予め定められた複数の閾値電圧を記憶した記憶手段と、
前記電圧検出手段によって検出された複数の電圧のうち、前記複数の閾値電圧の何れかから許容範囲内にある電圧を初期値候補の電圧に決定する決定手段と、
前記初期値候補の電圧と、該初期値候補の電圧に対応する前記パルス信号の周波数とを関連付けて保持する保持手段と
をさらに備え、
前記設定手段は、
前記特定手段によって特定された前記最大値に対応する周波数と前記隣接極値に対応する周波数との間の周波数範囲において、前記保持手段によって保持されている前記初期値候補の電圧のうち、前記目標電圧との差分が最小となる電圧に関連付けられた周波数を、前記第2制御手段による電圧制御を開始する際の前記パルス信号の周波数の初期値に設定することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記複数の周波数と、該複数の周波数のそれぞれに対応する前記電圧検出手段によって検出された電圧とを関連付けて保持する保持手段をさらに備え、
前記設定手段は、
前記特定手段によって特定された前記最大値に対応する周波数と前記隣接極値に対応する周波数との間の周波数範囲において、前記保持手段に保持されている電圧のうち、前記目標電圧との差分が最小となる電圧に関連付けられた周波数を、前記第2制御手段による電圧制御を開始する際の前記パルス信号の周波数の初期値に設定することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第2制御手段は、
前記隣接極値に対応する周波数が前記最大値に対応する周波数に対して低周波数側にある場合、前記圧電トランスからの出力電圧を増加させるときは前記パルス信号の周波数を増加させ、該出力電圧を減少させるときは該パルス信号の周波数を減少させ、
前記隣接極値に対応する周波数が前記最大値に対応する周波数に対して高周波数側にある場合、前記圧電トランスからの出力電圧を増加させるときは前記パルス信号の周波数を減少させ、該出力電圧を減少させるときは該パルス信号の周波数を増加させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2制御手段は、
前記電圧制御において、前記設定手段によって設定された初期値から、前記電圧検出手段によって電圧が検出されるごとに、該検出された電圧と前記目標電圧との差分が大きいほど大きな変化量で前記パルス信号の周波数を変化させる前記電圧制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記電源装置の周囲の温度又は湿度を環境条件として測定する環境測定手段と、
前記環境測定手段によって測定された前記環境条件の変化を検出する変化検出手段と
をさらに備え、
前記変化検出手段によって前記環境条件の変化が検出されると、前記第1制御手段による制御を開始して、前記設定手段によって前記初期値を設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記環境測定手段によって測定された前記環境条件と、前記特定手段によって特定された前記最大値に対応する周波数と、前記隣接極値に対応する周波数とを関連付けて記憶する手段をさらに備え、
前記変化検出手段によって前記環境条件の変化が検出された場合に、変化後の該環境条件が前記記憶する手段に記憶されていると、前記第1制御手段による制御を開始する代わりに該記憶されているデータを用いて、前記設定手段によって前記初期値を設定することを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の電源装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−166856(P2011−166856A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23547(P2010−23547)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】